説明

排気タービン過給機及び内燃機関

【課題】ウェイストゲートバルブの通路部がタービンハウジングと一体にて板金により形成されるものにあって、ウェイストゲートバルブから排出される排気の流れ方向を所望の方向に設定することができる。
【解決手段】排気タービン過給機10は板金により形成されるとともにタービンホイールを囲繞するタービンハウジング20を備える。また、タービンハウジング20の内部にウェイストゲートバルブ30が設けられている。また、ウェイストゲートバルブ30に排気を導入するための通路部31がタービンハウジング20と一体形成されている。また、通路部31の先端にはウェイストゲートバルブ30の弁体が着座するポート部材32がタービンハウジング20とは別体にて設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気タービン過給機及び該過給機が設けられる内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃費の節減等を目的として排気のエネルギによって過給を行なう排気タービン過給機及び内燃機関としては例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載のものも含め従来一般の排気タービン過給機では、排気の一部を分流してタービンホイールへの流入量を調節するウェイストゲートバルブが設けられている。このウェイストゲートバルブは通常、タービンハウジングの内部に設けられており、タービンホイールの上流側の排気を導入するための通路部と、この通路部の先端のポート部に設けられて該ポート部を開閉する弁体とを有している。ちなみに、この通路部とタービンハウジングとは鋳造にて一体形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1―76523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のタービンハウジングは鋳造にて形成されているため、薄肉化を図ることが困難であり、軽量化には自ずと限界がある。
そこで、タービンハウジングを、板金をプレス成形することによって形成することが考えられる。この場合、タービンハウジングに対して例えばバーリング加工することによりウェイストゲートバルブの通路部を形成することが考えられる。
【0005】
ところが、この場合には、成形のし易さや剛性の確保といった観点から、通路部はその軸線方向がタービンホイールの軸線方向に沿った形状となる。すなわち、通路部の形状の自由度が低いものとなる。その結果、ウェイストゲートバルブから排出される排気の流れ方向を所望の方向に設定することが困難なものとなっている。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウェイストゲートバルブの通路部がタービンハウジングと一体にて板金により形成されるものにあって、ウェイストゲートバルブから排出される排気の流れ方向を所望の方向に設定することのできる排気タービン過給機及び内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、板金により形成されてタービンホイールを囲繞するタービンハウジングを備える排気タービン過給機であって、前記タービンハウジングの内部にウェイストゲートバルブが設けられてなる排気タービン過給機において、前記ウェイストゲートバルブに排気を導入するための通路部が前記タービンハウジングと一体形成され、前記通路部の先端には前記ウェイストゲートバルブの弁体が着座するポート部材が前記タービンハウジングとは別体にて設けられてなることをその要旨としている。
【0008】
同構成によれば、ウェイストゲートバルブに排気を導入するための通路部がタービンハウジングと一体にて板金により形成されるため、タービンハウジングの軽量化を図ることができる。また、ウェイストゲートバルブの弁体が着座するポート部材がタービンハウジングとは別体にて設けられるため、ポート部材の形状を適宜設定することによって、ウェイストゲートバルブから排出される排気の流れ方向を通路部の形状とは独立して設定することが可能となる。従って、ウェイストゲートバルブの通路部がタービンハウジングと一体にて板金により形成されるものにあって、ウェイストゲートバルブから排出される排気の流れ方向を所望の方向に設定することができる。
【0009】
請求項1に記載の発明は、請求項2に記載の発明によるように、前記ポート部材は筒状をなすとともにその内部空間の軸線方向が前記通路部の軸線方向と異なるように形成されてなるといった態様をもって具体化することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の排気タービン過給機において、前記ポート部材は前記通路部の先端に固定されてなることをその要旨としている。
同構成によれば、ポート部材が通路部の先端に固定されているため、ウェイストゲートバルブを通じて排出される排気の流れ方向を所望の方向に確実に維持することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の排気タービン過給機において、前記ポート部材は筒状をなし、前記ポート部材の内部空間の軸線方向を可変する可変機構が設けられてなることをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、可変機構によってポート部材の内部空間の軸線方向を変更することができることから、ウェイストゲートバルブを通じて排出される排気の流れ方向を変更することが可能となる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の排気タービン過給機を備える内燃機関において、内燃機関の排気通路におけるウェイストゲートバルブの下流側には触媒装置が配置され、前記ポート部材は筒状をなし、前記ポート部材における内部空間の軸線方向は前記通路部の軸線方向よりも前記触媒装置の中心を指向してなることをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、ウェイストゲートバルブを通じて排出される排気が触媒装置の中心に向けて流れるようになる。従って、触媒装置の暖機性を向上させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の排気タービン過給機を備える内燃機関において、内燃機関の排気通路におけるウェイストゲートバルブの下流側には排気の空燃比を検出する空燃比センサが配置され、前記ポート部材は筒状をなし、前記ポート部材における内部空間の軸線方向は前記通路部の軸線方向よりも前記空燃比センサを指向してなることをその要旨としている。
【0015】
多気筒内燃機関においては、気筒間における空燃比の不均衡が生じると、排気性状が悪化する等の不都合が生じるおそれがある。そこで、排気通路に空燃比センサを設け、該空燃比センサの出力に基づき気筒間における空燃比の不均衡が生じているか否かを判定するようにしている。ここで、一般に排気タービン過給機の下流側に触媒装置が配置されていることから、該触媒装置の直前、換言すれば排気タービン過給機の直後に空燃比センサを配置することが当該触媒装置に流入する排気の空燃比を精度良く検出する上では望ましい。
【0016】
上記構成によれば、ウェイストゲートバルブを通じて排出される排気が空燃比センサに向けて流れるようになる。従って、過給機の下流側に空燃比センサが配置される構成にあって、気筒間における空燃比の不均衡が生じているか否かを的確に判定することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項4に記載の排気タービン過給機を備える内燃機関、及び請求項5のいずれか一項に記載の内燃機関において、内燃機関の排気通路におけるウェイストゲートバルブの下流側には排気の空燃比を検出する空燃比センサが配置され、前記ポート部材は筒状をなし、前記ポート部材の内周面と下流側端面とを貫通するとともに前記空燃比センサを指向する連通路が形成されてなることをその要旨としている。
【0018】
同構成によれば、各気筒から排出された排気の一部がタービンホイールを通過することなくポート部材に貫通形成された連通路を通じて空燃比センサに向けて流れるようになる。従って、過給機の下流側に空燃比センサが配置される構成にあって、気筒間における空燃比の不均衡が生じているか否かを的確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る一実施形態について、排気タービン過給機の部分断面構造を示す部分断面図。
【図2】同実施形態のタービンハウジングについて、先端側フランジ側からの斜視構造を示す斜視図。
【図3】同実施形態のタービンハウジングについて、基端側フランジ側からの斜視構造を示す斜視図。
【図4】同実施形態における内燃機関の排気通路について、排気タービン過給機を中心とした断面構造を示す断面図。
【図5】同実施形態のウェイストゲートバルブの断面構造を示す断面図。
【図6】同実施形態の変形例について、排気タービン過給機を中心とした断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図5を参照して、本発明に係る排気タービン過給機及び内燃機関を具体化した一実施形態について詳細に説明する。
図1に、本実施形態における排気タービン過給機10の部分断面構造を示す。また、図2に、先端側フランジ14側からのタービンハウジング20の斜視構造を示す。また、図3に、基端側フランジ13側からのタービンハウジング20の斜視構造を示す。
【0021】
尚、以降において、タービンホイール11の軸線方向Cにおいてタービンシャフト12に近接する側(図1において左側)を基端側とし、タービンシャフト12から離間する側(図1において右側)を先端側とする。
【0022】
図1〜図3に併せ示すように、排気タービン過給機10は、図示しないベアリングによって回転可能に支持されるタービンシャフト12と、タービンシャフト12に連結されるタービンホイール11と、タービンホイール11を囲繞するとともにスクロール部をなすタービンハウジング20とを備えている。
【0023】
タービンハウジング20は、ベアリングハウジング(図示略)に連結される基端側フランジ13と、後述する下流側排気管3に連結される先端側フランジ14との間に配置されており、大きくは、外側ハウジング部材21と、外側ハウジング部材21の内部に設けられる内側ハウジング部材24とによって構成されている。
【0024】
外側ハウジング部材21は、基端側ハウジング部材22と先端側ハウジング部材23との分割構造とされている。尚、図2及び図3において符号「6」によって示される部位は、排気マニホルド(図示略)に連結される上流側フランジ15である。
【0025】
基端側ハウジング部材22は、外側ハウジング部材21の基端側の部位を構成するものであり、タービンホイール11の基端側を覆うように設けられている。基端側ハウジング部材22の基端部22aは基端側フランジ13の先端外周面に接合されている。基端側ハウジング部材22には、基端部22aから外周側に延びる基端側スクロール部22cが形成されている。また、先端部22bは基端側スクロール部22cの外周側端部から軸線方向Cに沿って延びている。
【0026】
先端側ハウジング部材23は、外側ハウジング部材21の先端側の部位を構成するものであり、後述する内側ハウジング部材24、支持パイプ25を覆うように設けられている。先端側ハウジング部材23の基端部23aは軸線方向Cに沿って延びており、その内周面が基端側ハウジング部材22の先端部22bの外周面に接合されている。また、先端側ハウジング部材23は、その基端部23aの先端側において基端部23aよりも縮径された第1縮径部23bを有するとともに、第1縮径部23bの先端側において第1縮径部23bよりも更に縮径された第2縮径部23cを有している。尚、第2縮径部23cの外周面には先端側フランジ14の内周面が接合されている。
【0027】
内側ハウジング部材24は、断面略S字状をなしており、軸線方向Cにおいてタービンホイール11の羽根部11aに対向するシュラウド面24dを有している。内側ハウジング部材24の基端部24aは軸線方向Cに沿って延びており、その外周面が基端側ハウジング部材22の先端部22bの内周面に接合されている。すなわち、基端側ハウジング部材22の先端部22b、先端側ハウジング部材23の基端部23a、及び内側ハウジング部材24の基端部24aは互いに重なり合うようにアーク溶接にて接合されている。また、基端部24aからは断面略円弧状をなす先端側スクロール部24cが延びており、この先端側スクロール部24cと基端側ハウジング部材22の基端側スクロール部22cとによって排気マニホルドから排出された排気をタービンホイール11の羽根部11aに導入するための通路であるスクロール部が構成される。また、先端側スクロール部24cからは断面略円弧状をなすシュラウド面24dを有する部位が先端側に向けて延びており、その先端部24bは軸線方向Cに沿って延びている。
【0028】
ここで、本実施形態では、ステンレス鋼からなる板状が金型プレス成形されることによって基端側ハウジング部材22、先端側ハウジング部材23、及び内側ハウジング部材24がそれぞれ形成されている。
【0029】
先端側ハウジング部材23の内周面には支持パイプ25が連結されている。具体的には、支持パイプ25はタービンホイール11の軸線方向Cに沿って延びるとともに、その先端部25bが基端部25aよりも縮径されている。この基端部25aの外周面が先端側ハウジング部材23の第1縮径部23bの内周面に接合されている。ここで、基端部25aは内側ハウジング部材24の先端部24bを覆うように配置されており、基端部25aの内周面と先端部24bの外周面との間にはこれらの間隙をシールするシール部材26が設けられている。ここで、シール部材26は、セラミックファイバー(例えばアルミナ)を周知の結合剤によって互いに結合させることによって形成されている、所謂セラミックマットである。内側ハウジング部材24の先端部24bは、このシール部材26を介して支持パイプ25により軸線方向Cにおいて変位可能に支持されている。
【0030】
次に、ウェイストゲートバルブ30の構成について説明する。
図4に、本実施形態の内燃機関1の排気通路2について、排気タービン過給機10を中心とした断面構造を示す。尚、図4は、図1に示す断面構造とは排気タービン過給機10における異なる回転位置での断面構造を示している。また、図4では、便宜上、タービンホイール11が図示されていない。
【0031】
図5に、ウェイストゲートバルブ30の断面構造を示す。
図4に併せ示すように、排気通路2において先端側フランジ14の排気下流側には下流側フランジ3aを介して下流側排気管3が接続されている。この下流側排気管3の内部には排気を浄化するための触媒装置4が配置されている。ちなみに、触媒装置4は略円柱状をなしている。
【0032】
タービンハウジング20の内部には、排気マニホルドからの排気の一部を分流してタービンホイール11への流入量を調節するためのウェイストゲートバルブ30が設けられている。
【0033】
ウェイストゲートバルブ30は、タービンホイール11の上流側の排気を導入するための通路部31と、この通路部31の先端に取り付けられるポート部材32と、このポート部材32に着座可能に設けられてポート部材32の先端開口部を開閉する弁体33とを備えて構成されている。ポート部材32は通路部31に対して固定されている。尚、図4では、便宜上、弁体33が図示されていない。
【0034】
図5に併せ示すように、通路部31は筒状をなしており、内側ハウジング部材24の形成に際して同部材24に対してバーリング加工することにより形成される。すなわち、通路部31はタービンハウジング20と一体形成されている。また、通路部31はその軸線方向Qがタービンホイール11の軸線方向Cに沿うように形成されている。これは、バーリング加工をし易いといった理由や、通路部31の剛性を確保する等の理由によるものである。
【0035】
ポート部材32は、筒状をなすとともに通路部31の内部に挿通される内挿部32aと、内挿部32aの先端に形成されて弁体33が着座可能な円盤状の弁座32bとを有している。弁座32bは全周にわたって内挿部32aよりも外周方向に突出している。すなわち、ポート部材32はタービンハウジング20とは別体にて設けられている。
【0036】
ここで、ポート部材32の内部空間35は略円筒状をなしており、この内部空間35の軸線方向Pは通路部31の軸線方向Qとは異なるように形成されている。具体的には、図4に示すように、ウェイストゲートバルブ30の通路部31は触媒装置4の中心Ccatよりも外周側に位置しているのに対して、内部空間35の先端側の開口部(図4において右側の開口部)は基端側の開口部(図4において左側の開口部)よりも内周側に位置している。また、図5に示すように、内部空間35の先端側の開口部は、基端側の開口部よりも排気タービン過給機10のスクロール部内を排気が流れる方向Bの前方に位置している。すなわち、ポート部材32の軸線方向Pは通路部31の軸線方向Qよりも触媒装置4の中心Ccatを指向している。
【0037】
弁体33はフラップ式のものであり、周知のアクチュエータ(図示略)により駆動される。
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0038】
ウェイストゲートバルブ30の弁体33が弁座32bに着座して閉弁状態とされているときには、排気マニホルドからタービンハウジング20の内部に流入した排気は全てスクロール部を通じてタービンホイール11に流入する。
【0039】
一方、ウェイストゲートバルブ30が開弁状態とされると、排気マニホルドからタービンハウジング20の内部に流入した排気の一部はウェイストゲートバルブ30の通路部31、ポート部材32を通じてタービンハウジング20の外部に流出するようになり、タービンホイール11を迂回するようになる。
【0040】
ここで、ウェイストゲートバルブ30の通路部31がタービンハウジング20(具体的には、内側ハウジング部材24)と一体にて板金により形成されるため、これらを鋳造にて形成する従来構成に比べて、タービンハウジング20の軽量化を図ることができる。
【0041】
また、ポート部材32がタービンハウジング20(通路部31)とは別体にて設けられるため、ウェイストゲートバルブ30から排出される排気の流れ方向を通路部31の形状とは独立して設定することが可能となる。そして、本実施形態では、ポート部材32の軸線方向Pは通路部31の軸線方向Qよりも触媒装置4の中心Ccatを指向していることから、ウェイストゲートバルブ30を通じて排出される排気が触媒装置4の中心Ccatに向けて流れるようになる。
【0042】
以上説明した本実施形態に係る排気タービン過給機及び内燃機関によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(1)ウェイストゲートバルブ30に排気を導入するための通路部31がタービンハウジング20と一体形成されている。また、通路部31の先端にはウェイストゲートバルブ30の弁体33が着座するポート部材32がタービンハウジング20とは別体にて設けられている。こうした構成によれば、ウェイストゲートバルブ30の通路部31がタービンハウジング20と一体にて板金により形成されるものにあって、ウェイストゲートバルブ30から排出される排気の流れ方向を所望の方向に設定することができる。
【0043】
(2)ポート部材32は筒状をなすとともにその内部空間35の軸線方向Pが通路部31の軸線方向Qと異なるように形成されている。具体的には、ポート部材32の軸線方向Pは通路部31の軸線方向Qよりも触媒装置4の中心Ccatを指向している。こうした構成によれば、ウェイストゲートバルブ30を通じて排出される排気が触媒装置4の中心Ccatに向けて流れるようになるため、触媒装置4の暖機性を向上させることができる。
【0044】
(3)ポート部材32は通路部31の先端に固定されている。こうした構成によれば、ウェイストゲートバルブ30を通じて排出される排気が触媒装置4の中心Ccatに向けて流れる状態を確実に維持することができる。
【0045】
尚、本発明に係る排気タービン過給機及び内燃機関は、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
【0046】
・多気筒内燃機関においては、気筒間における空燃比の不均衡が生じると、排気性状が悪化する等の不都合が生じるおそれがある。そこで、図6に示すように、排気通路2において触媒装置4の直前、換言すれば排気タービン過給機10の直後に空燃比センサ40を配置し、空燃比センサ40の出力に基づき気筒間における空燃比の不均衡が生じているか否かを判定するようにすればよい。この場合、ポート部材132に内部空間135とは別に、ポート部材132の内周面と先端側端面(下流側端面)とを貫通するとともに空燃比センサ40を指向する連通路134が形成されるものを採用することもできる。この場合、各気筒から排出された排気の一部がタービンホイール11を通過することなくポート部材132に貫通形成された連通路134を通じて空燃比センサ40に向けて流れるようになる。従って、気筒間における空燃比の不均衡が生じているか否かを的確に判定することができる。
【0047】
・上記実施形態及びその変形例では、ポート部材32,132の内部空間35,135の軸線方向Pが触媒装置4の中心Ccatを指向するものについて例示した。これに代えて、ポート部材の内部空間の軸線方向Pが通路部の軸線方向Qよりも空燃比センサを指向するようにポート部材を形成することもできる。この場合、ウェイストゲートバルブを通じて排出される排気が空燃比センサに向けて流れるようになる。従って、気筒間における空燃比の不均衡が生じているか否かを的確に判定することができる。
【0048】
・上記実施形態及びその変形例では、ポート部材32が通路部31の先端に固定されるものについて例示したが、これに代えて、筒状のポート部材の内部空間の軸線方向Pを可変とする可変機構を備えるものとしてもよい。すなわち、例えば、ポート部材が通路部の先端により回動可能に支持されるものとし、ポート部材を回動するアクチュエータが設けられるものとすれば、アクチュエータによってポート部材を通路部の先端に対して回動させることができる。このため、ウェイストゲートバルブを通じて排出される排気の流れ方向を変更することが可能となる。
【0049】
・上記実施形態及びその変形例では、ポート部材の内部空間の軸線方向が直線状をなすものについて例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。ポート部材の内部空間の軸線方向が曲線状をなすものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…内燃機関、2…排気通路、3…下流側排気管、3a…下流側フランジ、4…触媒装置、10…排気タービン過給機、11…タービンホイール、11a…羽根部、12…タービンシャフト、13…基端側フランジ、14…先端側フランジ、15…上流側フランジ、20…タービンハウジング、21…外側ハウジング部材、22…基端側ハウジング部材、22a…基端部、22b…先端部、22c…基端側スクロール部、23…先端側ハウジング部材、23a…基端部、23b…第1縮径部、23c…第2縮径部、24…内側ハウジング部材、24a…基端部、24b…先端部、24c…先端側スクロール部、24d…シュラウド面、25…支持パイプ、25a…拡径部、25b…縮径部、26…シール部材、30,130…ウェイストゲートバルブ、31,131…通路部、32,132…ポート部材、32a…内挿部、32b…弁座、33…弁体、35,135…内部空間、134…連通路、40…空燃比センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板金により形成されてタービンホイールを囲繞するタービンハウジングを備える排気タービン過給機であって、前記タービンハウジングの内部にウェイストゲートバルブが設けられてなる排気タービン過給機において、
前記ウェイストゲートバルブに排気を導入するための通路部が前記タービンハウジングと一体形成され、
前記通路部の先端には前記ウェイストゲートバルブの弁体が着座するポート部材が前記タービンハウジングとは別体にて設けられてなる
ことを特徴とする排気タービン過給機。
【請求項2】
請求項1に記載の排気タービン過給機において、
前記ポート部材は筒状をなすとともにその内部空間の軸線方向が前記通路部の軸線方向と異なるように形成されてなる
ことを特徴とする排気タービン過給機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気タービン過給機において、
前記ポート部材は前記通路部の先端に固定されてなる
ことを特徴とする排気タービン過給機。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の排気タービン過給機において、
前記ポート部材は筒状をなし、
前記ポート部材の内部空間の軸線方向を可変する可変機構が設けられてなる
ことを特徴とする排気タービン過給機。
【請求項5】
請求項3に記載の排気タービン過給機を備える内燃機関において、
内燃機関の排気通路におけるウェイストゲートバルブの下流側には触媒装置が配置され、
前記ポート部材は筒状をなし、
前記ポート部材における内部空間の軸線方向は前記通路部の軸線方向よりも前記触媒装置の中心を指向してなる
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項6】
請求項3に記載の排気タービン過給機を備える内燃機関において、
内燃機関の排気通路におけるウェイストゲートバルブの下流側には排気の空燃比を検出する空燃比センサが配置され、
前記ポート部材は筒状をなし、
前記ポート部材における内部空間の軸線方向は前記通路部の軸線方向よりも前記空燃比センサを指向してなる
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項7】
請求項1〜請求項4に記載の排気タービン過給機を備える内燃機関、及び請求項5のいずれか一項に記載の内燃機関において、
内燃機関の排気通路におけるウェイストゲートバルブの下流側には排気の空燃比を検出する空燃比センサが配置され、
前記ポート部材は筒状をなし、
前記ポート部材の内周面と下流側端面とを貫通するとともに前記空燃比センサを指向する連通路が形成されてなる
ことを特徴とする内燃機関。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−24205(P2013−24205A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162257(P2011−162257)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】