説明

排紙装置

【課題】分割されたスポンジローラの溝に用紙が入り込み、用紙によって上限検知手段が誤検知することを抑制する排紙装置を提供することを目的とする。
【解決手段】排紙トレイに用紙を排出する駆動ローラ部2と、駆動ローラ部2に付勢して回転する従動ローラ部3を備え、駆動ローラ部2のスポンジローラ21の両側面に分離部材23を設けることにより、スポンジローラ21の溝に入り込んだ用紙を取り除き、排紙トレイ上に用紙が堆積される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置より排出される用紙の排紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置や、オフセット印刷装置等から搬送される用紙を排紙トレイに排紙する手段としては、駆動ローラと従動ローラによって挟持搬送する排紙装置が使われている。
【0003】
排紙トレイ上に複数枚排出された用紙は、前後左右の端面が整って積載されている(整合という)方が見た目や、ペーパーハンドリングの点から望ましい。
【0004】
そのために従来、用紙の側面を整合する横整合手段などの技術が公開されている。また排紙トレイに落下する用紙に対して用紙の搬送方向下流側(用紙後端側)をゴムなどの弾性部材を用いたパドルなどにより排紙トレイに押し付けて用紙後端整合を行う手段が用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−293471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、パドルを用いた整合手段では、パドルが用紙に対して当接しながら回転することによる摩耗等の不具合が発生する。この不具合を解決するためにパドルに相当する位置にウレタンスポンジ材などを使ったスポンジローラを、用紙を挟持搬送する駆動ローラと従動ローラからなる排紙ローラ対と併用して用いた排紙装置が使われている。
【0007】
このように排紙装置には、複数個のスポンジローラと、排紙ローラ対が取り付けられているので、例えば駆動ローラを駆動軸と一体となるように成型すると、スポンジローラを取り付ける際は、スポンジローラを半円形状に2分割して、駆動軸に接着材などを用いて組み込むという手段が必要になる。
【0008】
スポンジローラを接着する面は、スポンジ面に接着剤が塗布されると接着剤の硬化などによりスポンジの発泡密度が変化し均一な弾力性能が損なわれるので、軸部のみに接着する。
【0009】
しかしながら、用紙が排紙される際に、この接着されていないスポンジローラ面に用紙が入り込みそのまま排紙ローラが回転すると、入り込んだ用紙が上限検知手段に設けられたアクチェータに当接する。アクチェータの作動により、上限検知手段は、排紙トレイ上の用紙がまだ所定の量に達していなくても、上限位置まで積載されたという信号を発信する。信号を受信している間は、排紙トレイを、アクチェータが信号を解除する位置まで下降し続けるという不具合が生じる。
【0010】
本発明は、分割されたスポンジローラの溝に用紙が入り込み、用紙によって上限検知手段が誤検知することを抑制する排紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、下記構成により達成できる。すなわち、
1.画像形成装置から搬送された用紙を積載し、用紙搬送方向上流側が下流側よりも低くなるように傾斜した排紙トレイと、
前記排紙トレイの用紙搬送方向上流側に設けられ、用紙の後端側部を滑止するエンドフェースと、
前記排紙トレイに用紙を排出する駆動ローラ部と、
前記駆動ローラ部に付勢して回転する従動ローラ部と、
前記排紙トレイに用紙が所定の位置まで積載されたことを検知する上限検知手段と、
を有する排紙装置であって、
前記駆動ローラ部は、少なくとも、前記従動ローラ部と挟持して用紙を搬送する第1のローラと、前記排紙トレイに排出された用紙の搬送方向上流側を前記エンドフェースに押し当てる第2のローラと、により構成されており、
前記第2のローラの外周に沿って排紙された用紙を、前記第2のローラから分離する分離部材を有することを特徴とする排紙装置。
【0012】
2.前記分離部材は、前記第2のローラの両側面に設けられていることを特徴とする前記1に記載の排紙装置。
【0013】
3.前記第2のローラはスポンジローラであり、前記第2のローラの外径は、前記第1のローラの外径より大きいことを特徴とする前記1又は2に記載の排紙装置。
【発明の効果】
【0014】
分離部材を設けることにより、非接着部に入り込んだ用紙は、分離部材によって取り除かれ排紙トレイ上に用紙が堆積される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係る排紙装置の概略断面図である。
【図2】排紙装置を排紙トレイ側から見た図である。
【図3】排紙ローラ部を排紙トレイ側から見た斜視図である。
【図4】図4(a)は、用紙が排紙トレイに所定量以下に積載されたときのアクチェータの位置を示す図であり、図4(b)は、用紙が排紙トレイに所定量以上に積載されたときのアクチェータの位置を示す図である。
【図5】スポンジローラが排紙した用紙を排紙エンドストッパに押し付ける状態を示す図である。
【図6】用紙がスポンジローラに挟まってアクチェータを作動させたところを示す図である。
【図7】分離部材を取り付けるところを示す斜視図である。
【図8】用紙が分離されて排紙されるところを示す図である。
【図9】他の形状をした分離部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を説明する。なお、本欄の記載は請求項の技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また以下の本発明の実施の形態における断定的な説明は、ベストモードを示すものであって、本発明の用語の意義や技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る排紙装置1の概略断面図であり、図2は排紙トレイ側から見た図である。
【0018】
図1において、画像形成装置から搬送されてきた用紙Pは、搬送ローラR1を通過して排紙装置1に進入する。排紙装置1は、不図示の駆動手段によって駆動される駆動ローラ部2と、駆動ローラ部2に付勢して回転する従動ローラ部3と、排紙された用紙Pを積載する排紙トレイ6と、排紙トレイ6に用紙Pが所定の位置まで積載されると作動するアクチェータ4と、アクチェータ4が作動したことによって信号を発信する上限検知手段5で主に構成されている。
【0019】
駆動ローラ部2は、図2に示すように、駆動軸J1に第1のローラとしての排紙ローラ22と、第2のローラとしてのスポンジローラ21とが設けられている。スポンジローラ21は、本実施の形態ではセル数が37〜43個/25mmのウレタンを主成分とする発泡材料を使用している。また排紙ローラ22はEPDM(エチレンプロピレンゴム)材を用いている。さらに、スポンジローラ21の側面には、第2のローラの外周に沿って排紙された用紙を、第2のローラから分離する分離部材23が取り付けられている。
【0020】
従動ローラ部3はEPDM材のローラであり、排紙ローラ22に対向する位置に付勢するように設けられ、用紙Pを駆動ローラ部2とともに挟持搬送する。
【0021】
図3は、駆動ローラ部2の一部を排紙トレイ側から見た斜視図である。スポンジローラ21は半円柱状に分割され、駆動軸J1に接着されている。スポンジローラ21の外径は、排紙ローラ22の外径より大きくしてある。
【0022】
アクチェータ4は、フック状の形状をしており、フック状の根元にはアクチェータ4を取り付ける検知軸J2が設けられている。検知軸2とアクチェータ4は固定されており、検知軸J2の端部には遮蔽板41が取り付けられ、上限検知手段5としての検知センサのスイッチング部材として用いている。
【0023】
検知センサ5は、本実施の形態では、発行部と受光部からなる光センサを用いており、遮蔽板41が発光部と受光部の間の光を遮ると発光信号が遮断され、信号として図示しない制御手段に送信される。なお、遮蔽板41と、検知センサ5は排紙装置を構成する筐体の側板の外側に設けている。
【0024】
図4は、アクチェータ4の動作を説明する図であり、図4(a)は、用紙Pが排紙トレイ6に所定量以下に積載されたときのアクチェータ4の位置を示す図である。このとき遮蔽板41は検知センサ5の光を通過したNO(ノーマルオープン)状態を示し、信号はNOのときONするシーケンスとしている。図4(b)は、用紙Pが排紙トレイ6に所定量以上に積載されたときのアクチェータ4の位置を示す図である。このとき遮蔽板41はアクチェータ4の回転とともに検知センサ5を遮蔽する。検知センサ5は光を遮蔽したNC(ノーマルクローズ)状態を示し、信号はNCのときOFFするシーケンスとしている。
【0025】
信号がOFFになった時点で、排紙トレイ6は、図1に示す昇降手段61によってアクチェータ4がスムーズに作動する所定の位置まで移動する。
【0026】
図5は、スポンジローラ21が回転することにより、排紙した用紙Pをエンドフェース62に押し付ける状態を示す図である。排紙トレイ6は用紙Pがエンドフェース62に滑落するように、用紙搬送方向上流側が下流側よりも低くなるように傾斜させている。しかしながら用紙Pの表面摩擦抵抗などにより必ずしも滑落しない場合がある。そのためにスポンジローラ21を用いて、確実にエンドスフェース62に用紙を押し付け、排紙された用紙Pの後端部を整合している。なおエンドフェース62は、本実施の形態では昇降手段61(図1参照)側に設けられている。
【0027】
(分離部材)
次に、本発明に係る分離部材23について説明する。上述したようにスポンジローラ21は2分割された部材を駆動軸J1部にて接着し、スポンジ同士は接着されていない。この非接着部21aに用紙Pが入り込むと図6に示すように、用紙Pによってアクチェータ4が矢印X方向に作動し、遮蔽板41が回転して検知センサ5がNC状態となる。この状態では排紙トレイ6に所定量の用紙が積載してなくても上限位置まで積載されたと判断し、排紙トレイを、アクチェータが信号を解除する位置まで下降し続けるという不具合が生じる。
【0028】
このような問題を解決するために、図7に示すように、スポンジローラ21の側面に非接触な状態で分離部材23を設けている。分離部材23はスポンジローラ21の外径よりも短い径の円弧部(ガイド面23a)を有している。さらに、用紙Pが入り込んだ位置から確実に分離させるためには、分離部材23はスポンジローラ21の近傍に設けた方が望ましい。
【0029】
分離部材23を設けることにより、図8に示すように、非接着部21aに入り込んだ用紙Pは、分離部材23によって取り除かれ排紙トレイ6上に用紙Pが堆積される。
【0030】
なお図3では、分離部材23はスポンジローラ21の両側面に、ガイド面23aがくるようにしているが、一方の側面だけにガイド面23aがある分離部材であっても良い。
【0031】
分離部材23は、本実施の形態ではスポンジローラ21の外径よりも短い径の円弧部(ガイド面23a)を有しているが、用紙Pがスポンジローラと分離できる形状であれば、必ずしも本形状にこだわらない。例えば、図9に示すように、用紙Pと分離部材23とが接触する位置(図9C部)が、スポンジローラ21の外周より外側にある形状の場合、その位置で用紙Pはスポンジローラ21から分離される。
【0032】
以上説明したように、スポンジとウレタンゴムを用いた駆動ローラ部2を組み込んだ排紙装置1では、用紙Pが排紙される際に、スポンジローラ21の分割された面に用紙が入り込み、用紙Pがアクチェータ4の作動を阻害し、排紙トレイ6の昇降作動に誤作動を生じさせるという問題が発生する。この問題を解決するために、本発明ではスポンジローラ21の側面に非接触な状態で取り付けられ、スポンジローラ21の外径よりも短い径の円弧部を有した分離部材23を設けている。
【0033】
分離部材23を設けることにより、非接着部21aに入り込んだ用紙Pは、分離部材23によって取り除かれ排紙トレイ6上に用紙Pが堆積される。
【符号の説明】
【0034】
1 排紙装置
2 駆動ローラ部
3 従動ローラ部
4 アクチェータ
5 上限検知手段
6 排紙トレイ
21 スポンジローラ
22 搬送ローラ
23 分離部材
41 遮蔽板
61 昇降手段
62 エンドストッパ
P 用紙
J1 駆動軸
J2 検知軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置から搬送された用紙を積載し、用紙搬送方向上流側が下流側よりも低くなるように傾斜した排紙トレイと、
前記排紙トレイの用紙搬送方向上流側に設けられ、用紙の後端側部を滑止するエンドフェースと、
前記排紙トレイに用紙を排出する駆動ローラ部と、
前記駆動ローラ部に付勢して回転する従動ローラ部と、
前記排紙トレイに用紙が所定の位置まで積載されたことを検知する上限検知手段と、
を有する排紙装置であって、
前記駆動ローラ部は、少なくとも、前記従動ローラ部と挟持して用紙を搬送する第1のローラと、前記排紙トレイに排出された用紙の搬送方向上流側を前記エンドフェースに押し当てる第2のローラと、により構成されており、
前記第2のローラの外周に沿って排紙された用紙を、前記第2のローラから分離する分離部材を有することを特徴とする排紙装置。
【請求項2】
前記分離部材は、前記第2のローラの両側面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の排紙装置。
【請求項3】
前記第2のローラはスポンジローラであり、前記第2のローラの外径は、前記第1のローラの外径より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の排紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−254421(P2010−254421A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106273(P2009−106273)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】