説明

採取対象物品の認識構造及びこれを用いた採取情報認識装置並びに採取処理装置

【課題】採取対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報を容易且つ正確に認識可能とする。
【解決手段】採取対象物品2を予め決められた位置関係で保持する保持基台1の一部に設けられ、保持基台1の位置及び姿勢からなる配置情報を認識する基準となる認識基準面11と、この認識基準面11に対し撮像具5にて撮像可能に設けられ、中心位置Cから周囲に向かって濃度パターンが順次変化するように形成される単位パターン印13を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体12とを備える。尚、保持基台1に代えて採取対象物品2そのものに認識基準面11及び認識表示体12を設けてもよい。更に、これらを用いた採取情報認識装置、採取処理装置をも対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採取対象物品の認識構造及びこれを用いた採取情報認識装置並びに採取処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における採取対象物品の採取情報認識装置としては例えば特許文献1が挙げられる。
この特許文献1には、トレイの2〜4箇所にアライメントマークを設け、画像認識によりトレイの位置・角度を求める点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−055244号公報(発明を実施するための最良の形態,図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、採取対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報を容易且つ正確に認識可能とする採取対象物品の認識構造及びこれを用いた採取情報認識装置並びに採取処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、採取対象物品を予め決められた位置関係で保持する保持基台の一部に設けられ、前記保持基台の位置及び姿勢からなる配置情報を認識する基準となる認識基準面と、この認識基準面に対し撮像具にて撮像可能に設けられ、中心位置から周囲に向かって濃度パターンが順次変化するように形成される単位パターン印を予め決められた位置関係で4以上有する認識表示体と、を備えたことを特徴とする採取対象物品の認識構造である。
請求項2に係る発明は、採取対象物品の一部に設けられ、前記採取対象物品の位置及び姿勢からなる配置情報を認識する基準となる認識基準面と、この認識基準面に対し撮像具にて撮像可能に設けられ、中心位置から周囲に向かって濃度パターンが順次変化するように形成される単位パターン印を予め決められた位置関係で4以上有する認識表示体と、を備えたことを特徴とする採取対象物品の認識構造である。
【0006】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る採取対象物品の認識構造において、認識表示体は単位パターン印の濃度パターン変化を点像で表示するものであることを特徴とする採取対象物品の認識構造である。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれかに係る認識対象の認識構造において、
認識表示体は保持基台又は採取対象物品からなる認識対象物品の同一平面上に四つの単位パターン印を有することを特徴とする採取対象物品の認識構造である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれかに係る採取対象物品の認識構造において、認識表示体は保持基台又は採取対象物品からなる認識対象物品に着脱自在に装着されるカードに表示されていることを特徴とする採取対象物品の認識構造である
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれかに係る採取対象物品の認識構造において、認識表示体は、4以上の単位パターン印と、保持基台又は採取対象物品からなる認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報以外の種別情報を認識するための種別表示印とを有することを特徴とする採取対象物品の認識構造である。
【0007】
請求項7に係る発明は、採取対象物品を予め決められた位置関係で保持する保持基台の一部又は採取対象物品の一部に設けられ、中心位置から周囲に向かって濃度パターンが順次変化するように形成される単位パターン印を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体と、前記保持基台又は採取対象物品に対向配置されて前記認識表示体を撮像する撮像具と、この撮像具にて撮像された認識表示体の撮像情報を少なくとも用い、前記保持基台又は採取対象物品からなる認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する配置情報認識部と、を備えたことを特徴とする採取情報認識装置である。
請求項8に係る発明は、請求項7に係る採取情報認識装置と、この採取情報認識装置にて認識された保持基台又は採取対象物品からなる認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報に基づいて制御信号を生成し、採取対象物品に対する採取処理動作を制御する制御部と、この制御部にて生成された制御信号に基づいて前記採取対象物品の採取処理動作を実施する処理機構と、を備えたことを特徴とする採取処理装置である。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る採取処理装置において、処理機構は、撮像具の支持機構を兼用することを特徴とする採取処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、撮像具による撮像を行うだけで、採取対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報を容易且つ正確に認識することができる。
請求項2に係る発明によれば、撮像具による撮像を行うだけで、採取対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報を直接的により正確に認識することができる。
請求項3に係る発明によれば、保持基台又は組付受部品からなる認識対象物品に対し認識表示体を簡単に構築することができる。
請求項4に係る発明によれば、認識表示体として単位パターン印を共通の平面に形成することができる。
請求項5に係る発明によれば、認識対象物品に対し認識表示体を容易に変更することができる。
請求項6に係る発明によれば、認識対象物品が異なる種別を有する場合でも、種別を考慮した認識表示体を付すことができる。
請求項7に係る発明によれば、採取対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報を容易且つ正確に認識することができる。
請求項8に係る発明によれば、認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報を認識することができ、これに伴って、採取対象物品組付受部品に対する組付部品の組立処理動作を正確に実現することができる。
請求項9に係る発明によれば、処理機構の動きを利用し、撮像具による撮像方向を最適に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明が適用される採取対象物品の認識構造及びこれを用いた採取情報認識装置、採取処理装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は実施の形態で用いられる認識表示体の一例を示す説明図である。
【図2】実施の形態1に係る採取処理装置の全体構成を示す説明図である。
【図3】(a)は実施の形態1で用いられるパターンマーカの付された整列トレイの一例を示す説明図、(b)(c)はパターンマーカの一要素である単位パターン印の構成例を示す説明図である。
【図4】(a)は実施の形態1で用いられるパターンマーカの単位パターン印の特性を模式的に示す説明図、(b)は比較の形態で用いられるマーカの構成例を示す説明図である。
【図5】実施の形態1で用いられるパターンマーカによる組立部品の位置、姿勢の特定原理を示す説明図である。
【図6】実施の形態1で用いられるパターンマーカの製造例を示す説明図である。
【図7】実施の形態1で用いられるパターンマーカの構成寸法例を示す説明図である。
【図8】(a)は撮像具としてのカメラの撮像面をパターンマーカの中心原点に対して正対計測位置に設置した態様を示す説明図、(b)は撮像具としてのカメラの撮像面を(a)の正対計測位置に対し平行移動させた態様を示す説明図、(c)は撮像具としてのカメラの撮像面をパターンマーカの表示面とが非平行な位置関係にある非正対計測位置に設置した態様を示す説明図である。
【図9】(a)は撮像具としてのカメラの撮像面をパターンマーカの中心原点に対して正対計測位置に設置した態様を模式的に示す説明図、(b)は(a)の場合における計測精度を示す説明図である。
【図10】実施の形態1に係る採取処理装置によるワーク採取処理過程を示すフローチャートである。
【図11】(a)は実施の形態2に係る採取処理装置の全体構成を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図12】実施の形態3に係る採取処理装置の全体構成を示す説明図である。
【図13】(a)は整列トレイの平面説明図、(b)は整列トレイに付加されたパターンマーカの概要を示す説明図である。
【図14】(a)(b)は実施の形態3で用いられるパターンマーカの構成例を示す説明図である。
【図15】(a)(b)は実施の形態3で用いられるパターンマーカの固定例を示す説明図であり、(I)は断面説明図、(II)はその平面説明図である。
【図16】(a)(b)は実施の形態3で用いられるパターンマーカの別の固定例を示す説明図であり、(I)は断面説明図、(II)はその平面説明図である。
【図17】(a)(b)は実施の形態3で用いられるパターンマーカの配置例を示す説明図である。
【図18】(a)は実施の形態4に係る採取処理装置の全体構成を示す説明図、(b)は採取処理装置の処理ステージの平面説明図である。
【図19】実施の形態4に係る採取処理装置の空トレイ回収処理過程を示すフローチャートである。
【図20】(a)はワーク取出し完了時の整列トレイの状態を示す説明図、(b)は空トレイの配置計測過程を示す説明図である。
【図21】(a)は空トレイ把持過程を示す説明図、(b)は空トレイ置き場への移動過程を示す説明図である。
【図22】(a)は空トレイ置き場の配置計測過程を示す説明図、(b)は空トレイ積み重ね過程を示す説明図である。
【図23】(a)は比較の形態に係る整列トレイによるワーク取出装置を示す説明図、(b)はその処理ステージの平面説明図である。
【図24】実施の形態5に係る採取対象物品の一例としてトナーカートリッジの認識構造を示す説明図である。
【図25】図24に示すトナーカートリッジの認識構造の好ましい態様を示す説明図である。
【図26】(a)は多数のトナーカートリッジを収容する収容容器を示す説明図、(b)は収容容器に収容されたトナーカートリッジの認識構造例を示す説明図である。
【図27】実施の形態6に係る採取処理装置を示し、(a)は整列トレイに対する一段階目の位置・姿勢計測過程を示す説明図、(b)は高精度計測可能位置へ移動する過程を示す説明図、(c)は整列トレイに対する二段階目の位置・姿勢計測過程を示す説明図、(d)は整列トレイ内のワークの把持過程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
本実施の形態において、採取対象物品の認証構造の代表的態様は、図1(a)(b)に示すように、採取対象物品2を予め決められた位置関係で保持する保持基台1の一部に設けられ、前記保持基台1の位置及び姿勢からなる配置情報を認識する基準となる認識基準面11と、この認識基準面11に対し撮像具5にて撮像可能に設けられ、中心位置Cから周囲に向かって濃度パターンPcが順次変化するように形成される単位パターン印13を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体12と、を備えている。
これは、採取対象物品2の保持基台1に、認識基準面11及び認識表示体12を付加した態様であり、保持基台1の配置情報から間接的に採取対象物品2の配置情報を認識するものである。
このような技術的手段において、認識表示体12としては、四以上の単位パターン印を有するものであればよい。三つの単位パターン印の場合、姿勢について三次元位置が複数個存在することがあり得るため、三次元位置を特定し得ない懸念がある。
ここで、単位パターン印13としては、濃度パターンPcが順次変化するものであればよく、中心位置Cが周囲よりも高濃度である態様に限られず、中心位置Cが周囲よりも低濃度である態様も含む。単位パターン印13の濃度パターンPc変化についてはグラデーションで表示する手法が挙げられるが、これに限られず点像(ドット)で表示するようにしても差し支えない。
また、撮像具5は複数用いてもよいが、装置構成を簡略化するという観点からすれば一つがよい。
【0011】
また、採取対象物品の認識構造の他の代表的態様は、図1(a)(b)に示すように、採取対象物品2の一部に設けられ、前記採取対象物品2の位置及び姿勢からなる配置情報を認識する基準となる認識基準面11と、この認識基準面11に対し撮像具5にて撮像可能に設けられ、中心位置Cから周囲に向かって濃度パターンPcが順次変化するように形成される単位パターン印13を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体12と、を備えたものである。
これは、採取対象物品2に、認識基準面11及び認識表示体12を付加した態様で、採取対象物品2の配置情報を直接的に認識するものである。
これらの採取対象物品2の認識構造は、いずれも技術上の意義が共通若しくは密接に関連している。
【0012】
次に、認識表示体12の好ましい態様について説明する。
先ず、認識表示体12の好ましい態様としては、単位パターン印13の濃度パターンPc変化を点像で表示するものが挙げられる。本態様では、点像表示であるため、インクジェット方式や電子写真方式の画像形成装置にて認識表示体12の単位パターン印13を形成することが可能である。
また、認識表示体12としては認識対象物品の同一平面上に四つの単位パターン印13を有する態様が挙げられる。例えば四つの単位パターン印13の1つを他の三つと異なる平面に形成するなどしなくても、認識対象物品の位置及び姿勢を特定することが可能である。
更に、認識表示体12を簡単に変更するという観点からすれば、認識対象物品に着脱自在に装着されるカードに表示されているように構成すればよい。
更にまた、認識対象物品が異なる種別を有する場合には、認識表示体12として、図1(b)に示すように、四以上の単位パターン印13と、認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報以外の種別情報を認識するための種別表示印14とを有するようにすればよい。
【0013】
また、本実施の形態では、上述した採取対象物品2の認識構造を利用することで、採取情報認識装置が構築される。
この採取情報認識装置は、図1(a)(b)に示すように、採取対象物品2を予め決められた位置関係で保持する保持基台1の一部又は採取対象物品2の一部に設けられ、中心位置Cから周囲に向かって濃度パターンPcが順次変化するように形成される単位パターン印13を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体12と、前記保持基台1又は採取対象物品2に対向配置されて前記認識表示体12を撮像する撮像具5と、この撮像具5にて撮像された認識表示体12の撮像情報を少なくとも用い、前記保持基台1又は採取対象物品2からなる認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する配置情報認識部6と、を備えたものである。
このような技術的手段において、撮像具5による計測位置は任意に設定して差し支えないが、計測精度を高くするには、撮像具5の撮像面とこの撮像具の視野範囲に入る前記認識対象物品に設けられる認識表示体12面とが正対しない非正対計測位置に撮像具5を設置することが好ましい。この場合、非正対計測位置に撮像具5を固定的に設ける構成でもよいが、正対計測位置と非正対計測位置とを含む計測を可能にするように撮像具5を移動可能に支持する構成を採用するようにしてもよいし、あるいは、非正対計測位置を複数段階計測可能にするように撮像具5を移動可能に支持する構成を採用してもよい。
また、配置情報認識部6としては、認識対象物品(保持基台1又は採取対象物品2)の位置及び姿勢に関する配置情報を認識するアルゴリズムであれば、どのような認識手法を採用しても差し支えない。
【0014】
更に、上述した採取情報認識装置を利用すれば、採取処理装置が構築される。
この採取処理装置は、上述した採取情報認識装置と、この採取情報認識装置にて認識された保持基台1又は採取対象物品2からなる認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報に基づいて制御信号を生成し、採取対象物品2に対する採取処理動作を制御する制御部7と、この制御部7にて生成された制御信号に基づいて前記採取対象物品2の採取処理動作を実施する処理機構8と、を備えたものである。
このような技術的手段において、‘採取処理’には単に採取対象物品2を把持したり、採取対象物品2を回収したり、廃棄する等採取する処理を広く含む。
また、処理機構8は例えばロボットハンド等のマニピュレータを指す。
更に、撮像具5の好ましい支持機構としては、処理機構8が撮像具5の支持機構を兼用する態様が挙げられる。
【0015】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は実施の形態1に係る採取処理装置の全体構成を示す説明図である。
<採取処理装置の全体構成>
同図において、採取処理装置は、整列トレイ20上に整列配置された採取対象物品であるワークWを順次採取し、所定の部位まで移動させるものである。
本実施の形態において、採取処理装置は、前記整列トレイ20に位置及び姿勢からなる配置情報を認識するために設けられた認識表示体としてのパターンマーカ30と、この整列トレイ20のパターンマーカを撮像するカメラ40と、前記整列トレイ20上のワークWを採取し且つ所定部位まで移動させるロボット50と、前記カメラ40の撮像タイミングを制御し、前記カメラ40からの撮像情報を入力して前記整列トレイ20の位置及び姿勢からなる配置情報を認識すると共に、この認識した配置情報に基づいて後述する図10のフローチャートに従ってロボット50の動きを制御する制御装置60とを備えている。
本例では、整列トレイ20は、図2及び図3(a)に示すように、積み重ね可能な皿状のトレイ本体21を有し、このトレイ本体21には縦横に整列されたワーク収容凹部25を形成すると共に、各ワーク収容凹部25には夫々ワークWを採取可能に収容するようにしたものである。
また、ロボット50は多軸関節にて可動するロボットアーム51の先端に把持動作可能なロボットハンド52を有し、モーションキャプチャ等の入力軌跡情報に従ってロボットハンド52による処理動作を教示すると共に、前記カメラ40からの撮像情報に基づいて前記ロボットハンド52による処理動作に補正を施すようにしたものである。
そして、本例では、前記カメラ40はロボットハンド52の一部に固着され、ロボットハンド52によって予め決められた計測位置に設置されるようになっている。
【0016】
<パターンマーカ>
本実施の形態において、パターンマーカ30は、図3(a)に示すように、整列トレイ20のトレイ本体21の頂部面22を認識基準面とし、この頂部面22の四隅に設けられる単位パターン印31と、トレイ品本体21の頂部面22の隣接する二辺に沿って設けられる種別表示印36とを有している。
ここで、単位パターン印31の一つの代表的態様は、例えば図3(b)及び図4(a)に示すように、中心位置Cが最も高濃度で周辺に向かって順次薄く変化する濃度パターンPcのグラデーション32として表示されている。
また、単位パターン印31の別の代表的態様は、図3(c)及び図4(a)に示すように、中心位置Cが最も密にドット33が分布して高濃度領域34を形成し且つ周囲に向かってドット33の分布が次第に粗くなって低濃度領域35を形成するドットパターンとして表示されている。この場合、ドット33の直径サイズ及びドット同士の間隔、配置位置を変えることで濃度分布を持たせることが可能である。
特に、ドットパターン方式は、インクジェットや電子写真方式の画像形成装置を利用した印刷により容易に形成される点で好ましい。
一方、種別表示印36は、例えば収容すべきワークWが複数の種類ある場合(例えば色による種別や、サイズによる種別など)に、該当する種別のワークWとの整合を図る上でのID(Identification)表示となるものである。尚、本例では、種別表示印36は二箇所に設けられているが、一箇所に設けるようにしてもよいし、あるいは、三箇所以上に分割して設けるようにしても差し支えない。
【0017】
−LED表示板との対比−
図4(b)に示すLED表示板180は、パターンマーカ30と異なり、基板181上に四つのLED182(182a〜182d)を設け、四つのLED182のうち三つのLED182(182a〜182c)を基板181の同一面に設置し、この三つのLED182を頂点とする三角形参照面183に対してhだけ離間した垂線v上に他の一つのLED182(182d)を設置し、前記三角形参照面183とこれの垂線v上のLED182(182d)との位置関係から前記三角形参照面183の位置及び姿勢を求めるようにしたものである。尚、符号184はID用LEDである。
このLED表示板180でも、確かに整列トレイ20の位置及び姿勢は認識されるが、LED182を使用するための電源が必要であることから、このような電源が不要である点において本例のパターンマーカ30の方が好ましい。
また、LED表示板180では、四つのLED182を立体的に配置することで位置及び姿勢の認識精度を高める手法を採用しているが、パターンマーカ30では単位パターン印31の夫々は中心位置Cの周囲に順次変化する濃度分布を具備していることから、濃度分布の近似式から濃度分布の中心位置C(濃度の一番高い点)を高精度に算出することが可能である。このため、単位パターン印31に対する認識精度が高いことに伴って、四つの単位パターン印31を同一面に配置したとしても、四つの単位パターン印31の中心位置Cに相当する頂点の位置を認識することで、図5に示すように、仮に、整列トレイ20がA位置からB位置へ回転角αの回転を伴って変化した場合でも、整列トレイ20の認識基準面である頂部面22の位置及び姿勢が正確に認識される。
尚、本例では、単位パターン印31は同一平面上に四つ設けられているが、これに限られるものではなく、例えば任意の六点に単位パターン印31を設ける等してもよい。つまり、三次元の位置及び姿勢を認識することが可能であれば、適宜選定して差し支えなく、単位パターン印31の数を四以上設けるようにすればよく、また、単位パターン印31の設置箇所については同一平面に限らず、異なる平面にわたって設けるようにしてもよい。
【0018】
−パターンマーカの製造例−
本実施の形態において、パターンマーカ30は、例えば図6に示すように、整列トレイ20の頂部面22の四隅並びに二辺に沿った箇所に夫々取付凹部37を形成し、この取付凹部37に前記単位パターン印31及び種別表示印36が印刷されたラベル38を貼付するようにしたものである。このとき、例えば取付凹部37の深さはラベル38の厚さに相当するように選定され、単位パターン印31及び種別表示印36が認識基準面になる頂部面22と面一になるように設定されている。尚、パターンマーカ30は認識基準面となる頂部面22と面一に設定されているが、必ずしも面一でなくても差し支えない。また、本例では、取付凹部37を介してラベル38を貼付するようにしているが、取付凹部37を介さずに直接認識基準面となる頂部面22に貼付するようにしても差し支えない。
また、本例では、パターンマーカ30の単位パターン印31は、整列トレイ20の頂部面22の縁部からある程度離間して設けることが好ましい。
例えば図7に示すように、単位パターン印31の半径をR、単位パターン印31の最外郭と頂部面22の縁部との間隔をSとすると、S>2Rを満たすことが好ましい。これは、単位パターン印31の中心位置Cを高精度に検出するためのアルゴリズムに基づくもので、単位パターン印31の円パターンにかぶせる検出用の矩形ウィンドウが前記整列トレイ20の頂部面22の縁部(黒い縁取り部分で表示)と重ならないようにS>2Rという関係を満たすようにしたものである。尚、パターンマーカ30について異なる検出アルゴリズムを用いるようにすれば単位パターン印31のレイアウトについては任意に設定できることは勿論である。
【0019】
<カメラの計測位置>
本例では、カメラ40は整列トレイ20のパターンマーカ30を撮像可能にすべき当該パターンマーカ30に対向配置されている。
このとき、カメラ40の計測位置について検討すると、図8(a)〜(c)の態様が挙げられる。
先ず、図8(a)に示す態様は、カメラ40の撮像面中心位置(視野範囲の中心位置)が整列トレイ20のパターンマーカ30のうち四つの単位パターン印31の中心位置Cを含み、認識基準面である頂部面22に正対した正対計測位置である場合である。
この態様では、カメラ40とパターンマーカ30との間の距離方向の計測精度が低下する懸念がある。
今、図9(a)(b)に示すように、カメラ40がパターンマーカ30に正対している場合、パターンマーカ30の単位パターン印31間の幅寸法をカメラ40で撮像される画像サイズLとし、仮に、整列トレイ20の認識基準面である頂部面22上のパターンマーカ30がθだけ微小に変化したときの画像サイズ変化をL’とすれば、L’=L×cosθという関係を満たす。
このことからすれば、画像サイズ変化L’は当初の画像サイズLよりも小さくなることから、計測精度が低下することが理解される。
【0020】
次に、図8(b)に示す態様は、図8(a)の位置からカメラ40の視野範囲中心位置がパターンマーカ30の四つの単位パターン印31の中心位置Cから外れるように、パターンマーカ30の面に沿ってカメラ40を平行移動させ、図9(a)の正対計測位置からオフセットした場合である。
この場合には、図9(a)の場合に比べて、カメラ40の計測精度は向上する。但し、パターンマーカ30がカメラ40の視野範囲の中心位置Cから外れた位置となるため、カメラ40のレンズ歪の影響により計測精度が低下する懸念がある。このとき、レンズ歪補正を行ったとしても、計測精度は低下する傾向にあるため、更に改善策を講ずることが好ましい。
これに対し、図8(c)に示す態様は、カメラ40の撮像面とパターンマーカ30の面(認識基準面である組付部品20の頂部面22に相当)とが正対せず、カメラ40の視野範囲中心がパターンマーカ60の四つの単位パターン印31の中心位置Cに対応して配置されている場合である。これは、図8(c)に示すように、パターンマーカ30の認識基準面に対してカメラ40の撮像面を傾斜配置したものであり、カメラ40の計測精度は向上する。つまり、図9(a)(b)に示す場合を想定すれば、図8(c)に示す態様は画像サイズL’に傾いたものと仮定することができ、これがθだけ回転して画像サイズ変化がLに至ったものと考えられる。この場合、画像サイズの変化は、L=L’/cosθであることから、θの変化が大きいほど、cosθの値の変化が大きくなり、それに従い画像サイズの変化も大きいものとして与えられる。
よって、図8(c)に示す態様ではカメラ40の計測精度が向上することが理解される。
傾斜角度θの選定については適宜選定して差し支えないが、15°〜75°の範囲が好ましく、計測精度を高めるという点では、特には45°付近に選定することがよい。
但し、例えば図2に示すように、カメラ40がロボットハンド52に取り付けられている態様では、傾斜角度θが大きい程、計測後にロボットハンド52を整列トレイ20のワークW位置まで移動させる距離が大きくなり、生産タクトに影響することから、生産タクトを考慮すれば、計測精度が確保できる範囲で可能な限り傾斜角度θは小さい方が好ましい。
【0021】
<ワーク採取処理>
次に、本実施の形態に係る採取処理装置によるワーク採取処理について説明する。
先ず、制御装置60は、図10に示すフローチャートを実行し、カメラ40及びロボット50に対して制御信号を送出する。
同図において、制御装置60は、先ずカメラ40にて整列トレイ20のパターンマーカ30を計測し、この後、整列トレイ20の位置及び姿勢からなる配置情報を認識すると共に、整列トレイ20に収容されている各ワークWの位置及び姿勢からなる配置情報を間接的に認識する。
この後、制御装置60は、ロボットハンド52の移動動作を決定し、ロボットハンド52にてワークWを所定の部位へ移動させるべく採取する。
この後、制御装置60は、ロボットハンド52による整列トレイ20のワークWの採取処理が終了したか否かをチェックし、整列トレイWの全てのワークWの採取処理が終了した時点で、空整列トレイ20の回収処理を実施する。
尚、空整列トレイ20の回収処理の詳細例ついては、後述する実施の形態4で説明する。
【0022】
◎実施の形態2
図11(a)は実施の形態2に係る採取処理装置の全体構成を示す説明図である。
同図において、採取処理装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、カメラ40をロボットハンド52とは切り離して固定的に設けたものである。尚、実施の形態1と同様な要素については、実施の形態1と同様な符号を付し、ここでは詳細な説明を省略する。
本実施の形態においては、整列トレイ20のパターンマーカ30につき撮像可能な位置にカメラ40を予め設置しておけばよく、カメラ40にてパターンマーカ30を撮像することにより、整列トレイ20の位置及び姿勢からなる配置情報を認識し、これに伴って、整列トレイ20の各ワークWの位置及び姿勢からなる配置情報を間接的に認識することが可能である。
このため、実施の形態1と略同様に、整列トレイ20のワーク採取処理が実施される。
【0023】
◎実施の形態3
図12は実施の形態3に係る採取処理装置の全体構成を示す。
同図において、採取処理装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、整列トレイ20に付加されるパターンマーカ110の構成が実施の形態1のパターンマーカ30と異なるものである。尚、実施の形態1と同様な要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、パターンマーカ110は、図12及び図13(a)(b)に示すように、カード120表面に印刷されており、整列トレイ20の頂部面22の一部(例えば一隅部)に形成された取付凹部23にカード120を固定するようにしたものである。
ここで、パターンマーカ110としては、図14(a)に示すように、カード120の表面の四隅に設けられる例えばグラデーション112からなる単位パターン印111と、カード120表面の二辺に沿って設けられる種別表示印116とを有する態様や、あるいは、図14(b)に示すように、カード120の表面の四隅に設けられる例えばドット113パターンからなる単位パターン印111と、カード120表面の二辺に沿って設けられる種別表示印116とを有する態様が挙げられる。
【0024】
<パターンマーカの固定方法>
パターンマーカ110の固定方法としては以下のものが挙げられる。
図15(a)に示す態様は、整列トレイ20の頂部面22に形成された取付凹部23の周壁に弾性変形可能な押さえ突片130を設け、パターンマーカ110が印刷されたカード120を前記押さえ突片130を弾性変形させながら取付凹部23内に収容し、取付凹部23内のカード120の周囲を押さえ突片130で押さえ込むようにしたものである。尚、本例では、前記押さえ突片130を弾性変形させながら、前記カード120を取り外すことは可能である。
また、図15(b)に示す態様は、整列トレイ20の頂部面22に形成された取付凹部23の底部及びパターンマーカ110が印刷されたカード120の四隅に取付孔131,132を開設し、図示外の止め具にて前記取付凹部23内にカード120を固定するようにしたものである。
更に、図16(a)に示す態様は、紙や樹脂製のラベル140にパターンマーカ110を印刷し、整列トレイ20の取付凹部23の底部にラベル140を貼り付けるようにしたものである。
更にまた、図16(b)に示す態様は、整列トレイ20の頂部面22の取付凹部23の底部にパターンマーカ110を直接印刷するようにしたものである。
【0025】
このように、本実施の形態では、整列トレイ20の一部にパターンマーカ110を設けるようにしたので、カメラ40にて整列トレイ20の一部のパターンマーカ110を計測することにより、整列トレイ20の位置及び姿勢からなる配置情報を認識し、これに基づいて、ワークWの位置及び姿勢からなる配置情報を認識することが可能であり、実施の形態1と同様に、ワークWの採取処理が実施される。
また、本実施の形態では、整列トレイ20の頂部面22の一隅部にパターンマーカ110を設置しているが、パターンマーカ110の設置箇所については適宜変更して差し支えなく、例えば図17(a)に示すように、例えばワークW収容数の多い整列トレイ20にあっては、整列トレイ20の頂部面22の中央付近にパターンマーカ110を設置するようにしたり、あるいは、図17(b)に示すように、整列トレイ20の頂部面22の対角位置にある隅部に一対のパターンマーカ110を設置する等複数のパターンマーカ110を設置するようにしてもよい。
特に、複数のパターンマーカ110を設置する場合には、夫々のパターンマーカ110に対応した部位の位置及び姿勢からなる配置情報を認識することが可能になるため、整列トレイ20の配置情報がより正確に認識される。
【0026】
◎実施の形態4
図18(a)(b)は実施の形態4に係る採取処理装置の全体構成を示す。
同図において、採取処理装置は、整列トレイ20に収容されたワークWに対して採取処理すると共に、ワークWの採取処理が完了して空になった空整列トレイ20’を回収処理(採取処理の一態様)するものである。
同図において、符号150はワークWが収容されている整列トレイ(本実施の形態では必要に応じて実トレイと称する)20及びワークWの採取処理が終了して空になった空整列トレイ(本実施の形態では必要に応じて空トレイと称する)20’を置くトレイ置き台であり、このトレイ置き台150上には実トレイ置き場151及び空トレイ置き場152が隣接して確保されている。
また、本実施の形態において、図示外の制御装置は、カメラ40の撮像タイミングを制御すると共に、ロボット50を制御し、実施の形態1と略同様なワークWの採取処理を実施し、更に、図19に示すフローチャートに従って空トレイ回収処理を実施する。
【0027】
次に、本実施の形態に係る採取処理装置による空トナー回収処理を模式的に示す。
先ず、制御装置は、整列トレイ20内の各ワークWに対して採取処理を順次繰り返す。
そして、制御装置は、図19に示すように、例えばカメラ40で整列トレイ20全体を監視し、所定の整列トレイ20からのワークW採取処理(ワーク取出処理)が全て終了したか否かをチェックし、図20(a)に示すように、整列トレイ20が空トレイ20’に至ったと仮定すると、カメラ40にて実トレイ置き場151の空トレイ20’のパターンマーカ30を計測する(図20(b)参照)。
この結果、制御装置は、空トレイの位置及び姿勢からなる配置情報を認識し、ロボットハンド52に空トレイ回収動作を指示し、ロボットハンド52にて空トレイ20’のワーク収容凹部25間の被把持部26を把持し(図21(a)参照)、空トレイ置き場152に前記空トレイ20’を移動させる(図21(b)参照)。
次いで、制御装置は、空トレイ置き場152にて既に回収されて積み重ねられている最上部の空トレイ20’のパターンマーカ30を計測し(図22(a)参照)、当該空トレイ20’の位置及び姿勢からなる配置情報を認識する。
この状態において、制御装置は、空トレイ置き場152の配置情報に基づいてロボットハンド52の動きを制御し、空トレイ置き場152に移動した空トレイ20’を既に置いてある空トレイ20’の上に正確に積み重ねる(図22(b)参照)。
このように、本実施の形態では、整列トレイ20の位置及び姿勢からなる配置情報が認識されることから、位置決め機構や空トレイの回収機構等は必要なく、単にトレイ置き台150を用意すれば、空トレイ20’の回収処理が実現される。
【0028】
−比較の形態に係る整列トレイによるワーク取出装置−
これに対し、図23に示す比較の形態に係る整列トレイによるワーク取出装置200は、実トレイ20を搬送する実トレイ搬送コンベア201と、空トレイ20’を搬送する空トレイ搬送コンベア202と、実トレイ搬送コンベア201から搬入された実トレイ20をワーク取出ステージにて供給すると共に空トレイ20’になったものを空トレイ搬送コンベア202に回収するように昇降する昇降台203と、前記ワーク取出ステージにて実トレイ20内のワークを取出す取出しロボット205とを備えている。
本例においては、ワーク取出ステージにて実トレイ20の位置決めを高精度に行うために、二方向にて位置決めする位置決め基準部材206,207に対し実トレイ20を二方向から押し付ける位置決め機構208を設けることが必要になるばかりか、空トレイ20’を回収するために昇降台203や空トレイ搬送コンベア202が必要不可欠になり、その分、設備が複雑化する懸念がある。
また、仮に、実トレイ20の位置決めをラフにした場合には、取出しロボット205側に高精度の位置決め機構を設けたり、位置決め用の治具に一旦実トレイ20をセットしてからワークWを再度把持するなど、設備構成が複雑化する懸念がある。
【0029】
◎実施の形態5
図24は実施の形態5に係る採取対象物品の認識構造を示す。
同図において、採取対象物品としては、例えば電子写真方式の画像形成装置において用いられるトナーを供給するためのトナーカートリッジ160が挙げられている。
このトナーカートリッジ160は、トナーが収容されるトナー容器161を有し、このトナー容器161の一側面162にパターンマーカ170を付加したものである。
本例において、パターンマーカ170は、トナー容器161の一側面162の一部に正方形領域Uの頂点に対応する四箇所に単位パターン印171を設けると共に、前記正方形領域Uの二辺に沿って種別表示印176を設けたものである。
ここで、単位パターン印171及び種別表示印176はラベルやカードに付加して取り付けるようにしてもよいが、本例では、型成形時の表面刻印模様として構成されており、例えばコーナーキューブ(立方体内面の隅の性質を利用した光などを元の方向へ反射する器具)のように、再帰反射を利用して必要な各機能部がトナー容器161に直接刻印されて設けられている。特に、単位パターン印171は例えばドット173の大きさや配置関係を変えるドットパターンによって、中心位置Cが高濃度領域174で周囲に向かって次第に低下する濃度分布を有するものとして構成されている。また、種別表示印176はトナーの色や種類を種別するために設けられるものであって、例えばバーコード形式や符号形式にて構成されている。
このようなパターンマーカ170をトナーカートリッジ160に付加するようにすれば、トナーカートリッジ160の一及び姿勢からなる配置情報を認識することが可能になるため、例えばロボットにてトナーカートリッジ160を自動装着するようなシステムが容易に構築される。
【0030】
また、トナー容器161の一側面162にパターンマーカ170を設ける態様では、単位パターン印171はトナー容器161の一側面162の周縁部やテーパ部などの段差部163との間にある程度の空間領域Qを確保することが好ましい。これは、単位パターン印171の中心位置Cを高精度に検出するためのアルゴリズムに基づくもので、単位パターン印171の円パターンにかぶせる検出用の矩形ウィンドウが前記段差部163と重ならないようにS>2Rという関係を満たすようにしたものである。尚、パターンマーカ170について異なる検出アルゴリズムを用いるようにすれば単位パターン印171のレイアウトについては任意に設定できることは勿論である。
更に、トナーカートリッジ160に対しパターンマーカ170を形成する箇所については、必ずしもトナー容器161の一側面162である必要はなく、例えば図26(b)に示すように、トナー容器161の一端部164にパターンマーカ170を設けるようにしてもよい。この場合、例えば図26(a)に示すように、整列収容箱190に多数のトナーカートリッジ160を生産ライン等で整列収容した場合であっても、整列収容箱190に収容されているトナーカートリッジ160の位置及び姿勢からなる配置情報を正確に認識することが可能になる。
【0031】
◎実施の形態6
図27は実施の形態6に係る採取処理装置を示す。
同図において、採取処理装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、カメラ40による整列トレイ20のパターンマーカ30の計測方式が実施の形態1と異なる。尚、実施の形態1と同様な要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
つまり、本実施の形態では、図示外の制御装置は、先ず、一段階目の位置であるロボットのホームポジション(本例では、整列トレイ20のパターンマーカ30の中心位置Cにカメラ40の視野範囲の中心位置Cが正対する正対計測位置P)にカメラ40を設置し、整列トレイ20のパターンマーカ30をラフな精度から計測する(図27(a)参照)。
次いで、制御装置は、ロボットハンド52を回転移動させることにより、二段階目の位置である高精度計測可能位置(例えば正対計測位置に対し角度θ(例えば45°)傾斜した非正対計測位置P)にカメラ40を移動させる(図27(b)参照)。
この状態において、整列トレイ20のパターンマーカ30を高精度に計測し(図27(c)参照)、整列トレイ20のパターンマーカ30の一段階目のラフな計測情報及び二段階目の高精度な計測情報に基づいて、整列トレイ20の位置及び姿勢からなる配置情報を高精度に認識し、これに伴って、整列トレイ20内のワークWの位置及び姿勢に伴う配置情報を正確に割り出して認識する。
この後、制御装置は、ロボットハンドにて整列トレイ20のワークWの採取処理を実施する。
尚、本実施の形態では、正対計測位置Pを第一の計測位置、非正対計測位置Pを第二の計測位置として二段階計測を行っているが、これに限られるものではなく、例えば第一の計測位置として非正対正対計測位置Pを選定してもよいし、更には、三段階以上の複数計測を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…保持基台,2…採取対象物品,5…撮像具,6…配置情報認識部,7…制御部,8…処理機構,11…認識基準面,12…認識表示体,13…単位パターン印,14…種別表示印,C…中心位置,Pc…濃度パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
採取対象物品を予め決められた位置関係で保持する保持基台の一部に設けられ、前記保持基台の位置及び姿勢からなる配置情報を認識する基準となる認識基準面と、
この認識基準面に対し撮像具にて撮像可能に設けられ、中心位置から周囲に向かって濃度パターンが順次変化するように形成される単位パターン印を予め決められた位置関係で4以上有する認識表示体と、
を備えたことを特徴とする採取対象物品の認識構造。
【請求項2】
採取対象物品の一部に設けられ、前記採取対象物品の位置及び姿勢からなる配置情報を認識する基準となる認識基準面と、
この認識基準面に対し撮像具にて撮像可能に設けられ、中心位置から周囲に向かって濃度パターンが順次変化するように形成される単位パターン印を予め決められた位置関係で4以上有する認識表示体と、
を備えたことを特徴とする採取対象物品の認識構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の採取対象物品の認識構造において、
認識表示体は単位パターン印の濃度パターン変化を点像で表示するものであることを特徴とする採取対象物品の認識構造。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれかに記載の採取対象物品の認識構造において、
認識表示体は保持基台又は採取対象物品からなる認識対象物品の同一平面上に四つの単位パターン印を有することを特徴とする採取対象物品の認識構造。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれかに記載の採取対象物品の認識構造において、
認識表示体は保持基台又は採取対象物品からなる認識対象物品に着脱自在に装着されるカードに表示されていることを特徴とする採取対象物品の認識構造。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれかに記載の採取対象物品の認識構造において、
認識表示体は、4以上の単位パターン印と、保持基台又は採取対象物品からなる認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報以外の種別情報を認識するための種別表示印とを有することを特徴とする採取対象物品の認識構造。
【請求項7】
採取対象物品を予め決められた位置関係で保持する保持基台の一部又は採取対象物品の一部に設けられ、中心位置から周囲に向かって濃度パターンが順次変化するように形成される単位パターン印を予め決められた位置関係で四以上有する認識表示体と、
前記保持基台又は採取対象物品に対向配置されて前記認識表示体を撮像する撮像具と、
この撮像具にて撮像された認識表示体の撮像情報を少なくとも用い、前記保持基台又は採取対象物品からなる認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報を認識する配置情報認識部と、
を備えたことを特徴とする採取情報認識装置。
【請求項8】
請求項7記載の採取情報認識装置と、
この採取情報認識装置にて認識された保持基台又は採取対象物品からなる認識対象物品の位置及び姿勢に関する配置情報に基づいて制御信号を生成し、採取対象物品に対する採取処理動作を制御する制御部と、
この制御部にて生成された制御信号に基づいて前記採取対象物品の採取処理動作を実施する処理機構と、
を備えたことを特徴とする採取処理装置。
【請求項9】
請求項8記載の採取処理装置において、
処理機構は、撮像具の支持機構を兼用することを特徴とする採取処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−209958(P2011−209958A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76226(P2010−76226)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】