説明

接合方法、及びマイクロ流路デバイスの製造方法

【課題】超音波溶着によって二部材を接合する凸条を、その全長に亘ってムラなく超音波溶着することができる接合方法、及び、流路の密閉性を向上させることのできるマイクロ流路デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】複数の基板部材が積層接合されてなり、隣接する二つの基板部材の間に流路が形成されているマイクロ流路デバイスの製造方法であって、前記流路を形成する二つの基板部材のうち、一方の基板部材の接合面には、他方の基板部材を積層した状態で前記流路に露呈する二つの基板部材の境界を囲むように延びる凸条が形成されており、前記二つの基板部材を積層して加圧し、前記凸条をその全長に亘って前記他方の基板部材の接合面に接触させ、前記凸条がその全長に亘って前記他方の基板部材の接合面に接触した状態で、超音波の発振を開始し、前記凸条を前記他方の基板部材の接合面に超音波溶着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合方法、及びマイクロ流路デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体試料の分析にマイクロ流路デバイスが用いられている。マイクロ流路デバイスは、微細な流路に試料やその他の液を流通させて流路内で化学的又は生化学的な反応を生じさせ、試料に含まれる検出対象物質を検出するものである。
【0003】
マイクロ流路デバイスは、典型的には、複数の基板部材を積層して構成され、隣接する二つの基板部材の間に流路が形成される。流路を形成する二つの基板部材は、典型的には、粘着テープ等を用いて接合されるが、流路の密閉性を高めるべく、超音波溶着によって接合するようにしたものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載されたマイクロ流路デバイスの製造方法では、流路を形成する二つの基板部材のうち、一方の基板部材の接合面には流路となる凹部が形成され、他方の基板部材の接合面には、二つの基板部材が積層された状態で凹部の縁を包囲するように、凸条が形成される。そして、二つの基板部材を積層し、所定の加圧条件下で超音波を加振して、凸条を他方の基板部材の接合面に溶着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−204983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたマイクロ流路デバイスの製造方法によれば、流路に露呈する二枚の基板部材の境界は、流路となる凹部の縁を包囲する凸条の超音波溶着によって塞がれ、粘着テープに比べれば密閉性が向上する。しかし、凸条は比較的長く、その各所で超音波溶着にムラが生じ、必ずしも十分な密閉性が得られるものではなかった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みされたものであり、超音波溶着によって二部材を接合するための凸条を、その全長に亘ってムラなく超音波溶着することができる接合方法、及び、流路の密閉性を向上させることのできるマイクロ流路デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)接合する二部材を加圧し、これら二部材の一方の部材の接合面に延在する凸条をその全長に亘って他方の部材の接合面に接触させ、前記凸条がその全長に亘って前記他方の部材の接合面に接触した状態で、超音波の発振を開始し、前記凸条を前記他方の部材の接合面に超音波溶着する接合方法。
(2)複数の基板部材が積層接合されてなり、隣接する二つの基板部材の間に流路が形成されているマイクロ流路デバイスの製造方法であって、前記流路を形成する二つの基板部材のうち、一方の基板部材の接合面には、他方の基板部材を積層した状態で前記流路に露呈する二つの基板部材の境界を囲むように延びる凸条が形成されており、前記二つの基板部材を積層して加圧し、前記凸条をその全長に亘って前記他方の基板部材の接合面に接触させ、前記凸条がその全長に亘って前記他方の基板部材の接合面に接触した状態で、超音波の発振を開始し、前記凸条を前記他方の基板部材の接合面に超音波溶着するマイクロ流路デバイスの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、超音波溶着によって二部材を接合するための凸条を、その全長に亘ってムラなく超音波溶着することができ、これを利用して、マイクロ流路デバイスにおいては、流路の密閉性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を説明するための、マイクロ流路デバイスの一例を示す図。
【図2】図1のマイクロ流路デバイスのII-II線断面を示す図。
【図3】超音波溶着される凸条が形成された基板部材を示す図。
【図4】図3の基板部材のIV-IV線断面を示す図。
【図5】二枚の基板部材を超音波溶着によって接合する過程を示す図。
【図6】実施例の密閉性試験の結果を示すグラフ。
【図7】比較例の密閉性試験の結果を示すグラフ。
【図8】実施例の超音波溶着の進行過程を示すグラフ。
【図9】比較例の超音波溶着の進行過程を示すグラフ。
【図10】二枚の基板部材の積層体に荷重を負荷した際の接触圧の分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2は、マイクロ流路デバイスの一例を示す。
【0012】
以下に説明するマイクロ流路デバイスは、検出対象物質としてアレルゲン等の抗原を含む液体試料を流通させ、励起発光する標識物質が結合した抗原を流路内に捕捉し、捕捉された抗原に付着している標識物質の発光を観察し、それにより抗原を検出するものである。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
マイクロ流路デバイス1は、基板2を備えている。そして、基板2は、略矩形状の二枚の基板部材10、11が積層接合されて構成されている。マイクロ流路デバイス1は、上述のとおり、標識物質の発光を観察して、抗原を検出するものであるから、基板部材10、11の少なくともいずれかは透明である。
【0014】
基板部材11と接合される基板部材10の接合面には、所定のパターンで微細な凹部12が形成されている。また、基板部材11には、厚み方向に貫通する二つの孔14、15が形成されている。基板部材10と基板部材11とを積層し、基板部材11で基板部材10の凹部12に蓋をすることで、基板2の内部に流路3が形成される。孔14は、流路3の一方の端部に連通し、流路3に試料等の液を導入する導入孔となる。また、孔15は、流路3の他方の端部に連通し、流路3を流れた液を排出する排出孔となる。
【0015】
流路3の略中央の区間には、検出部16が設けられている。検出部16は、試料に含まれる検出対象物質を検出するための検出手段が設けられる。マイクロ流路デバイス1は、上述のとおり、抗原を流路内に捕捉して検出するものであるから、検出部16には、抗原を特異的に吸着して捕捉する抗体が固定される。
【0016】
以上のように構成されたマイクロ流路デバイス1を用い、アレルゲン等の抗原を検出する方法を簡単に説明する。
【0017】
抗原を含む液体試料に対して、励起発光する標識物質を抗原に結合させる前処理を施し、前処理を施した試料を導入孔14に注入する。排出孔15に減圧ポンプを接続し、導入孔14と排出孔15とに圧力差を生じさせ、導入孔14に注入された試料を流路3に引き込む。試料が検出部16を流れる過程で、試料に含まれる抗原は、検出部16の表面に固定された抗体に特異的に吸着され、捕捉される。そして、検出部16に励起光を照射し、検出部16に捕捉された抗原に結合している標識物質の発光を観察する。発光の有無、発光の強度から、試料に含まれていた抗原を検出する。
【0018】
なお、前処理によって抗原に標識物質を付着させるものとして説明したが、流路3において、検出部16より上流側の区間に反応部を設け、反応部の表面に標識物質を付着させ、或いは、標識物質を担持した担体を配置してもよい。これによれば、試料が反応部を流れる過程で、試料に含まれる抗原に標識物質を結合させることができる。
【0019】
上述のとおり、試料の送液は圧力によってなされる。また、試料の漏出は、検出精度に影響する。そのため、流路3には高い密閉性が求められる。そこで、流路3を形成する二枚の基板部材10、11は、超音波溶着によって接合されている。
【0020】
図3及び図4は、超音波溶着される凸条が設けられた基板部材を示す。
【0021】
本例のマイクロ流路デバイス1において、超音波溶着される凸条は、基板部材10の接合面に設けられている。そして、凸条17が設けられた基板部材10の接合面には、ストッパ18が設けられている。
【0022】
凸条17は、基板部材10の接合面より所定の高さH1で突出し、流路3となる凹部12を区画するように延在している。すなわち、凹部12は、凸条17によって形成され、凸条17は、凹部12の縁に沿って凹部12を囲んでいる。凸条17は、その先端において、基板部材11の接合面に接触し、超音波が加振されることによって、先端部が溶融して基板部材11の接合面に接着する。凸条17の断面形状は、その先端部に超音波振動が集中するように、先端部が尖った形状が好ましく、典型的には三角形状とされる。
【0023】
ストッパ18は、基板部材10の接合面の外周縁に沿って延在している。ストッパ18は、基板部材10の接合面より所定の高さH2で突出している。ストッパ18の高さH2は、凸条17の高さH1より小さくなっている。そして、ストッパ18の先端には、比較的大きい面が形成されている。超音波溶着の進行に伴い、凸条17は、その先端が溶着されて低くなり、ストッパ18が、その先端の面で基板部材11の接合面に接触する。それにより、超音波振動が分散され、凸条17の先端の溶着が停止する。即ち、ストッパ18は、超音波溶着後に残される凸条17の高さを規定する。換言すれば、ストッパ18は、凸条17によって区画されている凹部12の深さを規定し、つまりは流路3の厚みを規定する。
【0024】
以下、マイクロ流路デバイス1の製造方法の一例を説明する。
【0025】
基板部材10、11の材料としては、熱可塑性の樹脂が好適に用いられる。そして、凸条17やストッパ18は、例えばそれらのパターンが形成された型に樹脂を注入し、これを固化して形成することができる。また、樹脂の平板に、それらのパターンでホットエンボスを施して作製することもできる。
【0026】
基板部材10、11の材料として用いられる熱可塑性の樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリル系樹脂、ポリカーボネートなどのシリコン系樹脂、等が挙げられる。種々の液を流通させるものにあっては、耐酸性、耐アルカリ性、耐薬品性、等に優れるポリオレフィン系樹脂が好ましい。また、標識物質の発光を観察するものにあっては、光透過性に優れるポリアクリル樹脂が好ましい。
【0027】
凸条17によって基板部材10の接合面上に区画される凹部12の所定の箇所に抗体を固定する。例えば、スパッタリングによって金薄膜を成膜し、金薄膜の上に、抗体を含む溶液をディスペンサで定量点着し、金薄膜に抗体を結合させる。そして、標識物質が単独で抗体に吸着される非特異的吸着を防止するためのブロッキング剤を重ねて点着する。更に、抗体を保湿し、安定させるための、タンパク質を主たる成分として含有する免疫安定化剤を重ねて点着する。これを乾燥させ、凹部12の所定の箇所に抗体を固定する。当該箇所は、流路3における検出部16となる。
【0028】
次いで、基板部材10、11を超音波溶着によって接合し、マイクロ流路デバイス1を得る。
【0029】
図5は、二枚の基板部材を超音波溶着によって接合する過程を示す。
【0030】
基板部材11を、受けブロック19の上に載置し、凸条17が形成されている基板部材10を、基板部材11の上に積層する。そして、基板部材10の上に超音波発振ホーン20を重ね、受けブロック19とホーン20との間で基板部材10、11の積層体を加圧する。(FIG.5A)
【0031】
基板部材10、11の積層体に負荷される荷重は、通常は徐々に高められる。積層体に負荷される荷重が所定の閾値以上となったところで、ホーン20から超音波の発振を開始し、凸条17を基板部材11の接合面に溶着する。基板部材10、11の積層体に負荷される荷重に関する上記の閾値は、凸条17が、その全長に亘って基板部材11の接合面に接触している状態が保証される荷重である。(FIG.5B)
【0032】
超音波溶着の進行に伴い、凸条17は、その先端が溶融されて低くなり、ストッパ18が、その先端の面で基板部材11の接合面に接触する。それにより、超音波振動が分散され、凸条17の溶着が停止する。凸条17の高さは、ストッパ18の高さと略同じとなっており、これが流路3の厚みとなる。(FIG.5C)
【0033】
得られるマイクロ流路デバイス1において、流路3に露呈する二つの基板部材10、11の境界は、凸条17の超音波溶着によって全長に亘って塞がれる。そして、凸条17の超音波溶着は、凸条17が、その全長に亘って基板部材11の接合面に接触している状態でなされる。それにより、凸条17の全長に亘ってムラなく超音波溶着がなされ、流路3の密閉性が向上し、また、基板部材10、11の接合強度も向上する。
【実施例】
【0034】
実施例として、基板部材10、11の積層体を、614Nまで荷重を負荷する加圧条件で加圧し、かつ負荷荷重が600Nに達した後に超音波を発振して、基板部材10、11を接合した。そして、得られたマイクロ流路デバイスの流路の密閉性を試験した。なお、基板部材10、11の長辺の寸法は42mm、また、短辺の寸法は28mmとした。
【0035】
比較例として、上記の基板部材10、11の積層体を、614Nまで荷重を負荷する加圧条件で加圧し、かつ負荷荷重が44Nに達した後に超音波を発振して、基板部材10、11を接合した。そして、得られたマイクロ流路デバイスの流路の密閉性を試験した。なお、基板部材10、11の長辺、及び短辺の寸法は、それぞれ実施例のものと同じである。
【0036】
実施例及び比較例の密閉性試験は、流路内を相対圧−1kPaに減圧して両端のポートを閉じ、1min保持した後の流路内の圧によって評価し、−0.86kPa以下のものを合格とし、−0.86kPaを超えるものを不合格とした。
【0037】
図6は、実施例の密閉性試験の結果を示し、図7は、比較例の密閉性試験の結果を示す。
【0038】
実施例では、全試料が合格と判定された。一方、比較例は、全試料のうち86%の試料が不合格と判定された。この試験結果より、超音波の発振を開始する際の負荷荷重が、凸条17の全長に亘る溶着の成否に影響していることが分かる。
【0039】
上記の密閉性試験で不合格と判定された比較例の試料について、流路3のリーク箇所は、抗体が固定されている検出部16の下流域に分布していた。検出部16は、上述のとおり、抗体固定化のために免疫安定化剤の被膜で覆われる。検出部16に沿う凸条17には、免疫安定化剤が付着して超音波溶着しにくい状態にあるが、免疫安定化剤の付着は、下流域に限らず上流域でも生じる。そこで、実施例及び比較例について、検出部16の上流域、及び下流域での超音波溶着の進行過程を観測した。
【0040】
図8は、実施例の超音波溶着の進行過程を示し、図9は、比較例の超音波溶着の進行過程を示す。
【0041】
図8、及び図9において、超音波溶着の進行は、超音波溶着される凸条の高さの変化で表されている。実施例では、上流域の凸条17の高さの推移と、下流域の凸条17の高さの推移とは、超音波の発振を開始した直後から一致しており、ほぼ同時にストッパ18の高さに達している。一方、比較例では、上流域の凸条17の高さの推移と、下流域の凸条17の高さの推移とは、超音波の発振を開始してから停止する直前まで一致しておらず、先に上流側の凸条17がストッパ18の高さに達し、遅れて下流側の凸条17がストッパ18の高さに達している。この観測結果より、比較例では、上流域での溶着が先行し、下流域での溶着が遅れていることが分かる。
【0042】
比較例で下流域の凸条17の溶着が遅れることの要因として、超音波の発振を開始する際に、下流域の凸条17が基板部材11の接合面に接触しておらず、超音波の発振開始から暫くの間、下流域の凸条17の溶着が進行していないと考えられる。そこで、基板部材10、11の積層体に負荷する荷重を種々に変えて、凸条17の各所における接触圧を測定した。
【0043】
図10は、二枚の基板部材の積層体に荷重を負荷した際の接触圧の分布を示す。
【0044】
接触圧は、フイルム状の圧力センサ(富士フイルム(株)社製プレスケール極超低圧用)を用い、これを基板部材10、11の間に介在させた状態で荷重を負荷し、測定した。この圧力センサは、圧力を受けた箇所が発色し、圧力が大きくなると発色が濃くなる。負荷荷重160N(FIG.10A)、320N(FIG.10B)では、検出部16の下流域の凸条17が重なる図中点線円で囲まれた箇所で発色が途切れている。一方、負荷荷重614N(FIG.10C)では、凸条17が重なる全ての箇所で発色が確認され、特に、検出部16の下流域の凸条17が重なる図中点線円で囲まれた箇所の接触圧は、0.34MPaであった。この測定結果より、超音波の発振を開始する際の負荷荷重が600Nである実施例では、超音波の発振を開始する際に、凸条17が、その全長に亘って基板部材11の接合面に接触していることが分かる。また、超音波の発振を開始する際の負荷荷重が44Nである比較例では、超音波の発振を開始する際に、検出部16の下流域の凸条17が基板部材11に接触していないことが分かる。
【0045】
以上のことから、凸条17において基板部材11の接合面と非接触な箇所がある状態で超音波の発振を開始すると、基板部材11の接合面と接触している箇所の溶着が先行し、非接触な箇所の溶着は遅れる。そして、先行する箇所の溶着によって基板部材10、11が接合されてしまい、後続する箇所の溶着は、振動が抑制されて不十分となる。これに対して、凸条17が全長に亘って基板部材11の接合面に接触した状態で超音波の発振を開始することにより、凸条17の全長に亘ってムラなく超音波溶着を行うことができ、それによって、流路3の高い密閉性が得られ、また、基板部材10、11の高い接合強度が得られると結論する。
【0046】
以上、説明したとおり、本明細書には下記の接合方法が開示されている。
【0047】
(1)接合する二部材を加圧し、これら二部材の一方の部材の接合面に延在する凸条をその全長に亘って他方の部材の接合面に接触させ、前記凸条がその全長に亘って前記他方の部材の接合面に接触した状態で、超音波の発振を開始し、前記凸条を前記他方の部材の接合面に超音波溶着する接合方法。
【0048】
(2)上記(1)の接合方法であって、前記凸条がその全長に亘って前記他方の部材の接合面に接触した状態は、前記凸条の各所における前記前記他方の部材の接合面との接触圧が、該凸条の全長に亘って0.34MPa以上である接合方法。
【0049】
また、本明細書には下記のマイクロ流路デバイスの製造方法が開示されている。
【0050】
(3)複数の基板部材が積層接合されてなり、隣接する二つの基板部材の間に流路が形成されているマイクロ流路デバイスの製造方法であって、前記流路を形成する二つの基板部材のうち、一方の基板部材の接合面には、他方の基板部材を積層した状態で前記流路に露呈する二つの基板部材の境界を囲むように延びる凸条が形成されており、前記二つの基板部材を積層して加圧し、前記凸条をその全長に亘って前記他方の基板部材の接合面に接触させ、前記凸条がその全長に亘って前記他方の基板部材の接合面に接触した状態で、超音波の発振を開始し、前記凸条を前記他方の基板部材の接合面に超音波溶着するマイクロ流路デバイスの製造方法。
【0051】
(4)上記(3)のマイクロ流路デバイスの製造方法であって、前記凸条がその全長に亘って前記他方の基板部材の接合面に接触した状態は、前記凸条の各所における前記前記他方の基板部材の接合面との接触圧が、該凸条の全長に亘って0.34MPa以上であるマイクロ流路デバイスの製造方法。
【符号の説明】
【0052】
1 マイクロ流路デバイス
2 基板
3 流路
10 基板部材
11 基板部材
12 凹部
13 導入孔
14 排出孔
16 検出部
17 凸条
18 ストッパ
19 ブロック
20 超音波発振ホーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合する二部材を加圧し、これら二部材の一方の部材の接合面に延在する凸条をその全長に亘って他方の部材の接合面に接触させ、
前記凸条がその全長に亘って前記他方の部材の接合面に接触した状態で、超音波の発振を開始し、前記凸条を前記他方の部材の接合面に超音波溶着する接合方法。
【請求項2】
請求項1記載の接合方法であって、
前記凸条がその全長に亘って前記他方の部材の接合面に接触した状態は、前記凸条の各所における前記前記他方の部材の接合面との接触圧が、該凸条の全長に亘って0.34MPa以上である接合方法。
【請求項3】
複数の基板部材が積層接合されてなり、隣接する二つの基板部材の間に流路が形成されているマイクロ流路デバイスの製造方法であって、
前記流路を形成する二つの基板部材のうち、一方の基板部材の接合面には、他方の基板部材を積層した状態で前記流路に露呈する二つの基板部材の境界を囲むように延びる凸条が形成されており、
前記二つの基板部材を積層して加圧し、前記凸条をその全長に亘って前記他方の基板部材の接合面に接触させ、
前記凸条がその全長に亘って前記他方の基板部材の接合面に接触した状態で、超音波の発振を開始し、前記凸条を前記他方の基板部材の接合面に超音波溶着するマイクロ流路デバイスの製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のマイクロ流路デバイスの製造方法であって、
前記凸条がその全長に亘って前記他方の基板部材の接合面に接触した状態は、前記凸条の各所における前記前記他方の基板部材の接合面との接触圧が、該凸条の全長に亘って0.34MPa以上であるマイクロ流路デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−161578(P2011−161578A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28266(P2010−28266)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】