説明

接着シート及び接着シートロール

【課題】巻芯にロール状に巻き付けられて使用される接着シートであって、接着シートにおける使用上の終点を容易に検出することが可能な接着シート、及びそれを巻芯に巻き付けた接着シートロールを提供すること。
【解決手段】巻芯にロール状に巻き付けられて使用される接着シート100であって、長尺状の基材シート1と、上記基材シート1の一面側で上記基材シート1の長手方向に配列された、接着フィルム2及び該接着フィルム2を覆うように設けられた粘着フィルム3からなる積層体10と、上記巻芯への巻き始め部分となる上記基材シート1の一端側に位置するリード部分20と、を備え、上記リード部分20は、上記基材シート1と異なる色調で着色された着色領域4を有していることを特徴とする、接着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着シート及び接着シートロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子と半導体素子搭載用の支持部材との接合には銀ペーストが主に使用されている。しかし、近年の半導体素子の小型化・高性能化に伴い、使用される支持部材にも小型化・細密化が要求されるようになってきている。こうした要求に対して、銀ペーストでは、はみ出しや半導体素子の傾きに起因するワイヤボンディング時における不具合の発生、銀ペーストからなる接着フィルムの膜厚の制御困難性、及び接着フィルムのボイド発生などにより上記要求に対処しきれなくなってきている。
【0003】
そのため、上記要求に対処するべく、近年、フィルム状の接着剤が使用されるようになってきた。このフィルム状接着剤は、個片貼付け方式あるいはウェハ裏面貼付け方式において使用されている。フィルム状接着剤を用いて個片貼付け方式により半導体装置を作製する場合には、まず、ロール状(リール状)に巻き取られたフィルム状接着剤をカッティング又はパンチングによって任意のサイズに切り出し、フィルム状接着剤の個片を得る。この個片を、半導体素子搭載用の支持部材に貼り付け、フィルム状接着剤付き支持部材を得る。その後、ダイシング工程によって個片化した半導体素子をフィルム状接着剤付き支持部材に接合(ダイボンド)して半導体素子付き支持部材を作製する。
【0004】
しかし、個片貼付け方式においてフィルム状接着剤を用いる場合には、フィルム状接着剤を切り出して支持部材に接着するための専用の組立装置が必要であるため、銀ペーストを使用する方法に比べて製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
一方、フィルム状接着剤を用いてウェハ裏面貼付け方式により半導体装置を作製する場合には、まず、半導体ウェハの回路面とは反対側の面(裏面)にフィルム状接着剤を貼付け、更にフィルム状接着剤の半導体ウェハ側と反対側の面にダイシングテープを貼り合わせる。次に、ダイシングによって半導体ウェハ及びフィルム状接着剤を個片化し、フィルム状接着剤付き半導体素子を得る。得られたフィルム状接着剤付き半導体素子をピックアップし、それを半導体素子搭載用の支持部材に接合(ダイボンド)する。その後、加熱、硬化、ワイヤボンド等の工程を経ることにより半導体装置を作製する。
【0006】
しかし、フィルム状接着剤を用いた上記のウェハ裏面貼付け方式においては、半導体ウェハのダイシングを行うまでに、フィルム状接着剤を半導体ウェハに貼付する工程とダイシングテープをフィルム状接着剤に貼付する工程との2つの貼付工程が必要である。そこで、このプロセスを簡略化するために、フィルム状接着剤とダイシングテープとを貼り合わせ、一枚で両方の機能を併せ持つ接着シート(ダイボンドダイシングシート)が開発されている(例えば、特許文献1参照)。このような接着シートは、例えば、基材シート/接着フィルム/粘着フィルムの三層構造を有している。
【0007】
また、このような接着シートを、半導体素子を構成するウェハの形状にあらかじめ加工しておく方法(いわゆるプリカット加工)が知られている(例えば特許文献2及び3参照)。プリカット加工は、使用されるウェハの形状に合わせて樹脂層(接着フィルム及び粘着フィルム)を打ち抜き、ウェハを貼り付ける部分以外の樹脂層を剥離しておく方法である。
【0008】
プリカット加工が施された接着シート200は、例えば、図12(a)に示すような構造を有している。また、図12(b)は図12(a)の接着シート200のX−X端面図であり、基材シート1上に接着フィルム2が積層され、その上にさらに粘着フィルム3が、基材シート1側が粘着性を有する面となるようにして積層されている。
【0009】
かかるプリカット加工を施す場合、接着シートは一般的に、フィルム状接着剤において接着剤層をウェハ形状に合わせてプリカット加工し、それとダイシングテープとを貼り合わせた後、このダイシングテープに対してウェハリング形状に合わせたプリカット加工を施すか、又は、あらかじめウェハリング形状にプリカット加工したダイシングテープを、プリカット加工したフィルム状接着剤と貼り合わせることによって作製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−44557号公報
【特許文献2】実公平6−18383号公報
【特許文献3】特開2007−2173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
プリカット加工が施された接着シート200は、通常、図13に示すように円筒状の巻芯11に巻きつけて、ロール状の接着シートロール210として提供される。このとき、接着フィルム2及び粘着フィルム3からなる積層体10が、一般的に25枚から500枚程度、一つのロール状の接着シートロール210に形成されている。
【0012】
このような接着シートロール210は、通常、ウェハ貼り付け機に取り付けられて使用される。このとき、上記接着シートロール210等の従来の接着シートロールでは、以下のような不具合が生じることを本発明者らは見出した。
【0013】
すなわち、ウェハ貼り付け機においては、接着シートロール210から連続して基材シート1が引き出され、引き出された基材シート1上の積層体10が半導体ウェハに貼り付けられる。ここで、接着シートロール中の積層体10が全て使用された後にもウェハ貼り付け機の運転が継続された場合、巻芯11から脱落した基材シート1が半導体ウェハに接触して半導体ウェハに損傷が生じる、等の不具合が生じるおそれがある。
【0014】
したがって、積層体10が全て使用された後は、速やかに接着シートロール210は交換される必要がある。しかしながら、接着シート200は、通常、積層体10を備える面を内側にして巻芯11に巻き付けられることから、外観から接着シートロール210中の積層体10の残数を確認することは難しい。また、接着シートロール210から連続して引き出される基材シート1を常時監視して、積層体10の有無を判断することは、多大な労力を要する。さらに、積層体10と基材シート1とが同系色であったり、積層体10が透明性を有したりする場合、積層体10有無の判断は一層難しくなる。
【0015】
そこで本発明は、巻芯にロール状に巻き付けられて使用される接着シートであって、接着シートにおける使用上の終点を容易に検出することが可能な接着シート、及びそれを巻芯に巻き付けた接着シート巻重体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
すなわち本発明は、巻芯にロール状に巻き付けられて使用される接着シートであって、長尺状の基材シートと、上記基材シートの一面側で上記基材シートの長手方向に配列された接着フィルム及び該接着フィルムを覆うように設けられた粘着フィルムからなる積層体と、上記巻芯への巻き始め部分となる上記基材シートの一端側に位置するリード部分と、を備え、上記リード部分は、上記基材シートと異なる色調で着色された着色領域を有していることを特徴とする、接着シートを提供する。
【0017】
本発明に係る接着シートは、巻芯への巻き始め部分に、基材シートと異なる色調で着色された着色領域を有するリード部分を有している。そのため、本発明に係る接着シートを巻芯にロール状に巻きつけて使用する場合に、光学センサ等により容易に終点を検出することができる。なお、通常、ウェハ裏面貼付け方式に用いられる接着シートにおいて、接着フィルム及び粘着フィルムからなる積層体は、白色であったり透明性を有したりするため、光学センサを用いた場合であっても当該積層体を検出することは難しい。本発明に係る着色シートにおいては、着色領域が基材シートと異なる色調で着色されているため、接着シートの終点を検出するためには基材シートと着色領域との色調の差を検出すれば足り、容易且つ確実な終点の検出が実現できる。
【0018】
そして、接着シートの使用上の終点が検出されることにより、接着シートの巻芯からの脱落を防ぐことができ、それに伴う半導体装置不具合を防止することができる。また、本発明に係る接着シートによれば、光学センサによる終点の自動検出が可能となるため、半導体製造工程の効率化が図れる。
【0019】
本発明において、上記着色領域は、上記リード部分の一面側における全面に形成することができる。
【0020】
また、上記着色領域は、上記リード部分の一面側において、上記リード部分の幅方向の縁に沿って長手方向に連続して形成することができる。
【0021】
また、上記着色領域は、上記リード部分の一面側において、上記リード部分と上記基材シートとの境界に沿って幅方向に連続して形成することができる。
【0022】
また、上記着色領域は、上記リード部分の一面側において、上記基材シートと接する角部の近傍に形成することができる。
【0023】
さらに、上記着色領域は、上記リード部分の一面側において、上記リード部分の幅方向の縁に沿って、所定の間隔をもって複数形成することができる。
【0024】
本発明において、上記リード部分は、上記基材シートの一端部であってもよく、上記基材シートとは別体のシートを上記基材シートの一端に接合して形成されたものであってもよい。
【0025】
本発明において、上記リード部分には、上記積層体が設けられていないことが好ましい。
【0026】
本発明はまた、円筒状の巻芯と、当該巻芯にロール状に巻き付けられた上記接着シートと、を備える、接着シートロールを提供する。本発明に係る接着シートロールは、上述した本発明に係る接着シートを備えるものであるため、光学センサ等により容易に使用上の終点を検出することできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、巻芯にロール状に巻き付けられて使用される接着シートであって、接着シートにおける使用上の終点を容易に検出することが可能な接着シート、及びそれを巻芯に巻き付けた接着シートロールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の接着シートの第一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す接着シートを図1のA−A’線に沿って切断した場合の断面図である。
【図3】本発明の接着シートの第二実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明の接着シートの第三実施形態を示す平面図である。
【図5】本発明の接着シートの第四実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明の接着シートの第五実施形態を示す平面図である。
【図7】(a)〜(d)は、本発明の接着シートの製造方法の好適な一実施形態を示す一連の工程図である。
【図8】(e)〜(h)は、本発明の接着シートの製造方法の好適な一実施形態を示す一連の工程図である。
【図9】本発明に係る接着シートロールの好適な一実施形態を示す模式図である。
【図10】(a)〜(b)は、接着シートにおける積層体を半導体ウェハに貼り付ける作業を行う一連の工程図である。
【図11】(a)〜(b)は、接着シートにおける積層体を半導体ウェハに貼り付ける作業を行う一連の工程図である。
【図12】(a)は、従来の接着シートの一例を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)のX−X端面図である。
【図13】図12に示す接着シートを巻芯に巻き付けてなる接着シートロールを示す模式図である。
【図14】比較例1の接着シートを示す模式図である。
【図15】比較例2の接着シートを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0030】
(接着シート)
本発明の接着シートは、巻芯にロール状に巻き付けられて使用される接着シートであって、長尺状の基材シートと、基材シートの一面側で基材シートの長手方向に配列された、接着フィルム及び該接着フィルムを覆うように設けられた粘着フィルムからなる積層体と、巻芯への巻き始め部分となる基材シートの一端側に位置するリード部分と、を備え、リード部分は、基材シートと異なる色調で着色された着色領域を有していることを特徴とする。
【0031】
本発明に係る接着シートは、巻芯への巻き始め部分に、基材シートと異なる色調で着色された着色領域を有するリード部分を有している。そのため、本発明に係る接着シートを巻芯にロール状に巻きつけて使用する場合に、光学センサ等により容易に終点(ロールエンド)を検出することができる。なお、通常、ウェハ裏面貼付け方式に用いられる接着シートにおいて、接着フィルム及び粘着フィルムからなる積層体は、白色であったり透明性を有したりするため、光学センサを用いた場合であっても当該積層体を検出することは難しい。本発明に係る着色シートにおいては、着色領域が基材シートと異なる色調で着色されているため、接着シートの終点を検出するためには基材シートと着色領域との色調の差を検出すれば足り、容易且つ確実な終点の検出が実現できる。そして、接着シートの使用上の終点が検出されることにより、接着シートの巻芯からの脱落を防ぐことができ、それに伴う半導体装置不具合を防止することができる。また、本発明に係る接着シートによれば、光学センサによる終点の自動検出が可能となるため、半導体製造工程の効率化が図れる。
【0032】
(第一実施形態)
図1は、本発明の接着シートの第一実施形態を示す平面図であり、図2は、図1に示す接着シートを図1のA−A’線に沿って切断した場合の断面図である。
【0033】
図1及び図2に示すように、接着シート100は、長尺状の基材シート1と、接着フィルム2及び粘着フィルム3からなる積層体10と、リード部分20とを備える。積層体10における接着フィルム2は、基材シート1の一面側で基材シート1の長手方向に配列されている。また、積層体10における粘着フィルム3は、接着フィルム2を覆うように設けられており、接着フィルム2の周囲で基材シート1に接するように形成されている。リード部分20は基材シート1の一端側に位置し、リード部分20が位置する一端側が、巻芯への巻き始め部分となる。そして、リード部分20は、基材シート1と異なる色調で着色された着色領域4を有している。
【0034】
接着フィルム2及び粘着フィルム3は、所定の形状となるようにプリカット加工が施されている。粘着フィルム3のプリカット加工時には、センサによって、接着フィルム2の端部6が検出され、その検出結果に基づいて、粘着フィルム3にプリカット加工が施されることとなる。
【0035】
接着フィルム2は、積層体10が基材シート1から剥離した後に、被着体に貼り付けられるが、接着フィルム2は、当該被着体の平面形状に合致する平面形状を有していることが好ましい。
【0036】
上記被着体としては、例えば半導体ウェハが挙げられるが、この半導体ウェハの平面形状に合致する平面形状を接着フィルム2が有していることにより、半導体ウェハをダイシングする工程が容易となる傾向がある。また、接着フィルム2の平面形状は、半導体ウェハの平面形状に完全に一致している必要はなく、例えば、半導体ウェハの平面形状と相似であってもよく、半導体ウェハの平面形状の面積よりもやや大きくてもよい。
【0037】
粘着フィルム3は、基材フィルム8上に粘着剤層7を形成した構造を有しており、基材シート1側に粘着剤層7が位置するように設けられている。粘着剤層7は、接着フィルム2に対して室温(25℃)で粘着性を有することが好ましい。また、粘着剤層7は、上記被着体に対して室温(25℃)で粘着性を有することが好ましい。これにより、半導体ウェハをダイシングする際に半導体ウェハが十分に固定され、ダイシングが容易となる。
【0038】
粘着フィルム3は、接着フィルム2を覆い、且つ、接着フィルム2の周囲で基材シート1に接するように積層されており、これにより、半導体ウェハのダイシングを行う際に、半導体ウェハの外周部のウェハリングに粘着フィルム3を貼り付けて、半導体ウェハを十分に固定することができるようになっている。すなわち、半導体ウェハをダイシングする際にウェハリングを用い、このウェハリングに粘着剤層7が密着するように積層体10の貼り付けを行った場合、ウェハリングへの粘着剤が十分に得られてダイシングが容易となる。
【0039】
また、接着フィルム2がウェハリングに直接貼り付けられる場合には、接着フィルム2の粘着力は、ウェハリングから容易に剥離できる程度の低い粘着力に調整する必要が生じるが、粘着剤層7をウェハリングに貼り付けることにより、このような粘着力の調整が不要となる。したがって、接着フィルム2には十分に高い粘着力を持たせるとともに、粘着剤層7にはウェハリングを容易に剥離できる程度の十分に低い粘着力を持たせることにより、半導体ウェハのダイシング作業及びその後のウェハリングの剥離作業をより効率的に行うことが可能となる。更に、粘着剤層7の粘着力を十分に低く調整することができるため、基材シート1と粘着剤層7との間に剥離起点を作り出しやすくなり、基材シート1からの積層体10の剥離が容易となって剥離不良の発生をより十分に抑制することが可能となる。
【0040】
更に、粘着剤層7は、高エネルギー線の照射により接着フィルム2に対する粘着力が低下することが好ましい。これにより、接着フィルム2を粘着剤層7から(粘着フィルム3から)剥離する際において、紫外線、電子線、放射線等の高エネルギー線を照射することにより、剥離が容易に可能となる。
【0041】
粘着剤層7は、室温(25℃)で半導体ウェハやウェハリング等の被着体を十分に固定することが可能であり、且つ、ウェアリング等に対してはダイシング後に剥離可能な程度の粘着性を有していることが好ましい。粘着剤層7の高エネルギー線照射前の粘着力は3.0〜150N/mであることが好ましく、30〜100N/mであることがより好ましい。150N/mを超えるとウェハリングから剥がし難く、作業性が低下する場合がある。3.0N/m未満であるとウェハリングに対する保持力が不足し、半導体装置の製造工程において支障をきたすおそれがある。
【0042】
接着シート100において、接着フィルム2は、25℃での貯蔵弾性率が10〜10000MPaであり、且つ、260℃での硬化後の貯蔵弾性率が0.5〜1000MPaであることが好ましい。25℃での硬化前の接着フィルム2の貯蔵弾性率が上記範囲であると、プリカット加工性を確保しやすくなる。また、260℃での完全に硬化せしめた接着フィルム2の貯蔵弾性率が上記範囲であると、半導体装置の信頼性に優れる。この貯蔵弾性率は、例えば、動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、商品名:DVE−V4)を使用し、接着フィルム2に引張荷重をかけて、周波数10Hz、昇温温度5〜10℃/minの条件で−70℃から300℃まで測定する、温度依存性測定モードによって測定できる。
【0043】
積層体10は、基材シート1上に配置され、所定の平面形状を有する接着フィルム2と、該接着フィルム2を覆い、且つ接着フィルム2の周囲で基材シート1に接するよう形成された粘着フィルム3とが、順次積層された構成を有している。積層体10は、複数個、基材シート1の長手方向に分散配置されている。
【0044】
積層体10の平面形状は、基材シート1上に積層体10が部分的に設けられた状態となり得、接着フィルム2の平面形状が半導体ウェハ等の平面形状よりも大きい平面形状となるような形状であれば、特に制限されないが、例えば、円形、略円形、四角形、五角形、六角形、八角形、ウェハ形状と相似の形状等の、半導体ウェハへの貼付が容易な形状であることが好ましい。これらの中でも、半導体ウェハ搭載部以外の無駄な部分を少なくするために、円形やウェハ形状と類似の形状(円の外周の一部が直線である形状)が好ましい。
【0045】
半導体ウェハのダイシングを行う際には、通常、ダイシング装置での取り扱いのためにウェハリングが用いられる。この場合、積層体4を基材シート1から剥離し、粘着フィルム3の粘着剤層7にウェハリングを貼り付け、その内側に半導体ウェハを貼り付ける。ここで、ウェハリングは、円環状や四角環状等の枠となっており、積層体10における粘着フィルム3は、更にこのウェハリングに合致する平面形状を有していることが好ましい。
【0046】
接着シート100において、リード部分20は基材シート1の一端側に位置し、リード部分20が位置する一端側が、巻芯への巻き始め部分となる。リード部分20は、基材シート1の一端部をリード部分20としたものであってもよく、基材シート1の端部に基材シート1とは別体のシートを接合して形成されたものであってもよい。
【0047】
リード部分20は、基材シート1と異なる色調で着色された着色領域4を有している。第一実施形態に係る接着シート100において、着色領域4は、リード部分20の一面側における全面に形成されている。ウェハ貼り付け装置において、着色領域4を検出するための光学センサは、着色領域4が通過する位置をモニターできるように設置される必要がある。着色領域4が、リード部分20の一面側における全面に形成されていると、ウェハ貼り付け装置における着色領域4が通過する位置を、容易に判断することができるため、光学センサのウェハ貼り付け装置への設置が容易となる。
【0048】
リード部分20が基材シート1の一端部である場合、着色領域4は、例えば、基材シート1への印刷、基材シート1への着色層の貼り付け、基材シート1への着色顔料の練りこみ等により形成することができる。
【0049】
また、リード部分20が基材シート1とは別体のシート(以下、「リード部シート」ともいう)により構成される場合、着色領域4は、例えば、リード部シートへの印刷、リード部シートへの着色層の貼り付け、リード部シートへの着色顔料の練りこみ等により形成することができる。着色領域4は、基材シート1とリード部シートとを接合した後に形成されてもよく、基材シート1との接合前にリード部シートに形成されていてもよい。
【0050】
以下、接着シート100を構成する各構成要素について、詳細に説明する。
【0051】
基材シート1は、接着シート100の使用時にキャリアフィルムとしての役割を果たすものである。かかる基材シート1としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルム等を使用することができる。また、紙、不織布、金属箔等も使用することができる。
【0052】
また、基材シート1の積層体10が形成される側の面は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の離型剤で表面処理されていることが好ましい。
【0053】
基材シート1の厚さは、使用時の作業性を損なわない範囲で適宜選択することができるが、10〜500μmであることが好ましく、20〜100μmであることがより好ましく、25〜50μmであることが特に好ましい。
【0054】
接着フィルム2は、波長200〜800nmの光線透過率が10〜90%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましく、30〜60%であることが特に好ましい。また、波長200〜400nmの領域での分光透過率が85%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、60%以下であることが特に好ましい。接着フィルム2及び粘着フィルム3は、所定の形状となるようにプリカット加工が施されるが、粘着フィルム3のプリカット加工時には、センサによって、接着フィルム2の端部6が検出され、その検出結果に基づいて、粘着フィルム3にプリカット加工が施されることとなる。このとき、接着フィルム2の光線透過率が上記範囲であると、センサによる端部6の検出をより確実に行うことができる。
【0055】
接着フィルム2は、熱硬化性接着剤、光硬化性接着剤等の接着剤により構成される。これらのうち、接着フィルム2は熱硬化性接着剤により構成されていることが好ましい。
【0056】
接着フィルム2は、例えば、(A)熱重合性成分と、(B)官能性ポリマーを構成単位として含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分と、を含有する接着剤から構成されていることが好ましい。また、接着フィルム2を構成する接着剤は、光線透過率を上記の好適な範囲とすることができる観点から、(B)ポリエーテル系化合物、顔料、染料及び光吸収剤からなる群より選択される少なくとも一種の光透過率調整成分を含有することが好ましい。
【0057】
接着フィルム2に用いられる(A)熱重合性成分としては、熱により重合するものであれば特に制限は無く、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等の官能基を持つ化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、接着シート100としての耐熱性を考慮すると、熱によって硬化して接着作用を及ぼす熱硬化性樹脂を使用することが好ましい。
【0058】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、作業性、信頼性に優れる接着シート100が得られる点で、エポキシ樹脂を使用することが好ましい。
【0059】
エポキシ樹脂は、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されない。かかるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ等の二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂等を使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂等、一般に知られているものを使用することができる。
【0060】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコートシリーズ(エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009)、ダウケミカル社製のDER−330、DER−301、DER−361、及び、東都化成株式会社製のYD8125、YDF8170等が挙げられる。
【0061】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート152、エピコート154、日本化薬株式会社製のEPPN−201、ダウケミカル社製のDEN−438等が挙げられる。
【0062】
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂である日本化薬株式会社製のEOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027や、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂である東都化成株式会社製のYDCN700−10等が挙げられる。
【0063】
多官能エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のEpon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163、ナガセケムテックス株式会社製のデナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等が挙げられる。
【0064】
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート604、東都化成株式会社製のYH−434、三菱ガス化学株式会社製のTETRAD−X及びTETRAD−C、住友化学株式会社製のELM−120等が挙げられる。
【0065】
複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810、UCC社製のERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206等が挙げられる。
【0066】
脂環式エポキシ樹脂としては、ダイセル化学工業(株)製のエポリードシリーズ、セロキサイドシリーズ等が挙げられる。
【0067】
これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0068】
エポキシ樹脂を使用する際は、エポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ジシアンジアミド、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも特に、吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂が好ましい。なお、本発明においてエポキシ樹脂硬化剤とは、エポキシ基に触媒的に作用し架橋を促進するような、いわゆる硬化促進剤と呼ばれるものも含む。
【0069】
上記エポキシ樹脂硬化剤としてのフェノール樹脂の中で好ましいものとしては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製の商品名:フェノライトLF4871、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH−4150、フェノライトVH4170、明和化成株式会社製の商品名:H−1、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名:エピキュアMP402FPY、エピキュアYL6065、エピキュアYLH129B65、及び、三井化学株式会社製の商品名:ミレックスXL、ミレックスXLC、ミレックスRN、ミレックスRS、ミレックスVR等が挙げられる。
【0070】
(B)官能性モノマーを構成単位として含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分のうち好ましいものの一つとして、官能性モノマーを構成単位として含む重合体が挙げられる。かかる重合体における官能基としては、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、中でもグリジシル基が好ましい。より具体的には、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能性モノマーを構成単位として含有するグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体等が好ましく、さらにこれらは、接着フィルム2の構成原料として用いられる、硬化前のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と非相溶であることが好ましい。
【0071】
上記官能性モノマーを構成単位として含む重合体であって、重量平均分子量が10万以上である高分子量成分としては、例えば、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能性モノマーを構成単位として含有し、かつ重量平均分子量が10万以上であるグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体等が挙げられ、その中でも硬化前のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と非相溶であるものが好ましい。
【0072】
上記グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、グリシジル基含有(メタ)アクリルエステル共重合体、グリシジル基含有アクリルゴム等を使用することができ、グリシジル基含有アクリルゴムがより好ましい。本発明でいうグリシジル基含有アクリルゴムとは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリル等からなるグリシジル基を含有する共重合体である。
【0073】
上記官能性モノマーとは、官能基を有するモノマーのことをいい、このようなモノマーとしては、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等を使用することが好ましい。重量平均分子量が10万以上であるグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体として具体的には、例えば、ナガセケムテックス株式会社製のHTR−860P−3(商品名)等が挙げられる。
【0074】
(B)高分子量成分において、上記グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマー単位の量は、加熱により硬化して網目構造を効果的に形成する観点から、モノマー全量を基準として0.5〜50質量%であることが好ましい。また、十分な接着力を確保できるとともに、ゲル化を防止することができるという観点からは、0.5〜6.0質量%であることがより好ましく、0.8〜5.0質量%であることがさらに好ましく、1.0〜4.0質量%であることが特に好ましい。
【0075】
(B)高分子量成分は、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマーと、エポキシ基含有モノマー以外の官能性モノマーとを共重合させたものであってもよい。エポキシ基含有モノマー以外の上記官能性モノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、本発明において、エチル(メタ)アクリレートとは、エチルアクリレート又はエチルメタクリレートを示す。エポキシ基含有モノマー以外の官能性モノマーを組み合わせて使用する場合の混合比率は、グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体のTgを考慮して決定し、Tgが−10℃以上となるように調整することが好ましい。Tgが−10℃以上であると、未硬化状態での接着フィルム2のタック性が適当であり、取り扱い性が良好なものとなる傾向にある。
【0076】
上記官能性モノマーを重合させて、官能性モノマーを構成単位として含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分を製造する場合、その重合方法としては特に制限はなく、例えば、パール重合、溶液重合等の方法を使用することができる。官能性モノマーを構成単位として含む高分子量成分の重量平均分子量は、10万以上であるが、30万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあると、シート状又はフィルム状としたときの強度、可とう性、及びタック性が適当であり、また、フロー性が適当であるため、配線の回路充填性が確保できる傾向にある。
【0077】
なお、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
【0078】
また、(B)高分子量成分の使用量は、(A)熱重合性成分100質量部に対して、10〜400質量部であることが好ましい。使用量がこの範囲にあると、貯蔵弾性率及び成型時のフロー性抑制が確保でき、また高温での取り扱い性が良好なものとなる傾向にある。また、(B)高分子量成分の使用量は、(A)熱重合性成分100質量部に対して、15〜350質量部であることがより好ましく、20〜300質量部であることが特に好ましい。
【0079】
また、熱で硬化する接着フィルム2の貯蔵弾性率を大きくするために、例えば、エポキシ樹脂等の(A)熱重合性成分の使用量を増やしたり、グリシジル基濃度の高いエポキシ樹脂又は水酸基濃度の高いフェノール樹脂を使用する等してポリマー全体の架橋密度を上げたり、無機フィラーを添加するといった方法を用いることができる。接着フィルム2の貯蔵弾性率を大きくするための無機フィラーについては、後述する。
【0080】
(C)光透過率調整成分の一種であるポリエーテル系化合物は、アミド基(−NHCO−)、エステル基(−CO−O−)、イミド基(−NR2、ただしRはそれぞれ−CO−である)、エーテル基(−O−)又はスルホン基(−SO2−)を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。特に、アミド基、エステル基、イミド基又はエーテル基を有する熱可塑性樹脂であることがより好ましい。このようなポリエーテル系化合物として具体的には、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエーテルアミドイミド、芳香族ポリエーテルアミド、芳香族ポリエステルイミド及び芳香族ポリエーテルイミド等が挙げられる。
【0081】
これらの中で、芳香族ポリエーテルアミドイミド、芳香族ポリエーテルイミド及び芳香族ポリエーテルアミドが、接着性の点から好ましい。
【0082】
上記の樹脂はいずれも、塩基成分である芳香族ジアミン又はビスフェノール等と、酸成分であるジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸若しくは芳香族塩化物又はこれらの反応性誘導体とを重縮合させて製造することができる。すなわち、アミンと酸との反応に用いられている公知の方法で製造することができ、諸条件等についても特に制限はない。芳香族ジカルボン酸、芳香族トリカルボン酸又はこれらの反応性誘導体とジアミンとの重縮合反応については、公知の方法が用いられる。
【0083】
芳香族ポリエーテルイミド、芳香族ポリエーテルアミドイミド又は芳香族ポリエーテルアミドの合成に用いられる塩基成分としては、特に制限はないが、例えば、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)]ヘキサフルオロプロパン等のエーテル基を有する芳香族ジアミン;4,4’−メチレンビス(2,6−ジイソプロピルアミン)等のエーテル基を有しない芳香族ジアミン;1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサン等のシロキサンジアミン;及び1,12−ジアミノドデカン、1,6−ジアミノヘキサン等のα,ω−ジアミノアルカンが好適に用いられる。
【0084】
芳香族ポリエーテルイミド、芳香族ポリエーテルアミドイミド又は芳香族ポリエーテルアミドの合成に用いられる酸成分としては、例えば、無水トリメリット酸、無水トリメリット酸クロライド等の無水トリメリット酸の反応性誘導体、ピロメリット酸二無水物等の単核芳香族トリカルボン酸無水物又は単核芳香族テトラカルボン酸二無水物;ビスフェノールAビストリメリテート二無水物、オキシジフタル酸無水物等の多核芳香族テトラカルボン酸二無水物;テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド等のフタル酸の反応性誘導体等の芳香族ジカルボン酸;などが挙げられる。
【0085】
本実施形態においては、ポリエーテル系化合物が5質量%減少する温度が300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましく、400℃以上であることがさらに好ましい。ポリエーテル化合物が5質量%減少する温度が300℃未満の場合、被着体に接着フィルム2を接着する際の熱や、半導体素子製造工程での熱でアウトガスが生じやすい傾向がある。なお、ポリエーテル系化合物が5質量%減少する温度は、示差熱天秤(セイコー電子工業社製、商品名:TG/DTA220)により、昇温速度10℃/分で測定して求められる。
【0086】
(C)光透過率調整成分としてポリエーテル系化合物を用いる場合、その使用量は、(A)熱重合性成分100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることがより好ましく、2〜10質量部であることが特に好ましい。使用量がこの範囲にあると、接着フィルム2の貯蔵弾性率が確保でき、また高温での耐半田リフロー性が良好なものとなる傾向にあるとともに、接着フィルム2における波長200〜400nmの領域の分光透過率を、より確実に85%以下まで低下させることができる。
【0087】
(C)光透過率調整成分である顔料及び染料については、プリカット加工時にセンサから発する光線を吸収する性質があるものであれば特に制限はないが、例えば、顔料であればアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、レーキ系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサンジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの顔料が挙げられる。また、染料であれば、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、カルボニル系、インジゴ系、キノンイミン系、メチン系、キノリン系、ニトロ系などの染料が挙げられる。
【0088】
(C)光透過率調整成分として顔料及び/又は染料を用いる場合、その使用量は、(A)熱重合性成分100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.3〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。使用量がこの範囲にあると、接着フィルム2の貯蔵弾性率が確保できるとともに、接着フィルム2における波長200〜400nmの領域の分光透過率を、より確実に85%以下まで低下させることができる。
【0089】
(C)光透過率調整成分である光吸収剤については、プリカット加工時にセンサから発する光線を吸収する性質があるものであれば特に制限はないが、例えば、パラメトキシケイ皮酸2エチルヘキシル(オクチル)、パラジメチルアミノ安息香酸2エチルヘキシル(オクチル)、オキシベンゾン、サリチル酸2エチルヘキシル(オクチル)、4−tert−ブチル−4−メトキシ−ベンゾイルメタン、サリチル酸フェニルシノキサート、パラアミノ安息香酸エステル2−(2−ヒドロキシー5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、グアイアズレンなどのベンゼン系化合物やフェノール系化合物が挙げられる。
【0090】
(C)光透過率調整成分として光吸収剤を用いる場合、その使用量は、(A)熱重合性成分100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.3〜5質量部であることが特に好ましい。使用量がこの範囲にあると、接着剤層2における波長200〜400nmの領域の分光透過率を、より確実に85%以下まで低下させることができる。
【0091】
これらのポリエーテル系化合物、顔料、染料及び光吸収剤は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0092】
また、接着フィルム2を構成する接着剤には、その取り扱い性向上、熱伝導性向上、溶融粘度の調整、チキソトロピック性付与、及び、上述した貯蔵弾性率の向上等を目的として、無機フィラーを添加することもできる。無機フィラーとしては、特に制限はないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられる。なお、無機フィラーの形状は特に制限されるものではない。これらの中でも、熱伝導性向上のためには、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカが好ましい。また、溶融粘度の調整やチキソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカなどが好ましい。これらの無機フィラーは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0093】
また、無機フィラーの平均粒径は0.005μm〜1.0μmであることが好ましく、これより小さくても大きくても接着性が低下する可能性がある。
【0094】
無機フィラーを用いる場合の配合量は、接着フィルム2を構成する接着剤の固形分全量を基準として1〜20質量%であることが好ましい。この配合量が1質量%未満では無機フィラーの添加効果が得られない傾向があり、20質量%を超えると、接着フィルム2の貯蔵弾性率の過剰な上昇、接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題を起こす傾向がある。
【0095】
接着フィルム2の厚さは、被着体への接着性は十分に確保しつつ、半導体ウェハへの貼り付け作業及び貼り付け後のダイシング作業に影響を及ぼさない範囲であることが望ましい。かかる観点から、接着フィルム2の厚さは、1〜300μmであることが好ましく、1〜75μmであることがより好ましく、1〜20μmであることが特に好ましい。厚さが1μm未満であると、十分なダイボンド接着力を確保することが困難となる傾向があり、300μmを超えると、貼り付け作業やダイシング作業への影響等の不具合が生じる傾向がある。
【0096】
また、半導体装置の軽量小型化の観点からは、接着フィルム2の厚さは、15μm以下であることが好ましく、1〜15μmであることがより好ましく、3〜15μmであることが特に好ましい。接着フィルムの厚さを15μm以下にした場合、プリカット加工時のセンサによる接着フィルムの位置認識が困難となる傾向があったが、光線透過率を上述の好適な範囲とすることで接着フィルム2の厚さを15μm以下に薄膜化した場合であっても、センサによる接着剤層の位置認識が容易となる。
【0097】
粘着フィルム3としては、基材フィルム8と粘着剤層7とから構成されたものを用いることができる。
【0098】
基材フィルム8には、基材シート1に用いたフィルム又はシートと同様のものを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。更に、基材フィルム8は、これらのフィルムが2層以上に積層されたものであってもよい。
【0099】
粘着剤層7は、高エネルギー線の照射により重合する高エネルギー線重合性成分を含有することが好ましい。これにより、半導体ウェハ等の被着体に接着フィルム2を貼り付けた後、ダイシングを行う前に放射線等の高エネルギー線を照射してダイシング時の粘着力を向上させることや、逆にダイシングを行った後に放射線等の高エネルギー線を照射して粘着力を低下させることでピックアップを容易にすることができる。このような高エネルギー線重合性成分としては、従来の高エネルギー線重合性のダイシングシートに使用されていた化合物を特に制限なく使用することができる。
【0100】
粘着剤層7に用いられる高エネルギー線重合性成分としては、例えば、放射線重合性成分が挙げられる。放射線重合性成分としては、特に制限されないが、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、ペンテニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,2−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート等を使用することができる。
【0101】
また、粘着剤層7には、光重合開始剤(例えば、放射線等の高エネルギー線の照射によって遊離ラジカルを生成するようなもの)を添加することもできる。かかる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
【0102】
また、粘着剤層7の厚さは、10〜500μmであることが好ましく、25〜200μmであることがより好ましく、50〜150μmであることが特に好ましい。
【0103】
リード部分20は、基材シート1の、接着フィルム2及び粘着フィルム3が配置されていない、一端部そのものであってよい。この場合、例えば、基材シート1の一端部において接着フィルム2及び粘着フィルム3を除去し、着色を施して着色領域4を形成することにより、リード部分20とすることができる。
【0104】
また、リード部20は、基材シートとは別体のシート(リード部シート)により構成されていてもよい。この場合、リード部分20は、基材シート1とリード部シートとを接合することにより形成される。
【0105】
リード部シートは、基材シート1と略同一幅の矩形状であることが好ましい。そしてこの場合、基材シート1とリード部シートとは、例えば、並行に配置された金属ロール上で基材シート1の幅方向の縁とリード部シートの幅方向の縁とが並行になるように接合されることが好ましい。
【0106】
リード部シートとしては、基材シート1に用いたフィルム又はシートと同様のものを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。更に、リード部シートは、これらのフィルムが2層以上に積層されたものであってもよい。リード部シートは、基材シート1との接合前に、基材シート1と異なる色調で着色された着色領域4を有していてもよい。また、着色領域4は、基材シート1との接合後に、リード部シート上に形成されたものであってもよい。
【0107】
基材シート1としては、通常、白色等の色調の基材シートが用いられる。着色領域4は、これらの光学センサにより基材シート1との色調の差異を識別できる程度に着色されていればよい。具体的には、着色領域4は、例えば赤色等の色調で着色される。
【0108】
(第二実施形態)
図3は、本発明の接着シートの第二実施形態を示す平面図である。以下の説明において、第二実施形態における第一実施形態と重複する部分の説明は省略する。
【0109】
図3に示すように、接着シート110は、長尺状の基材シート1と、接着フィルム2及び粘着フィルム3からなる積層体10と、リード部分20とを備える。リード部分20は基材シート1の一端側に位置し、リード部分20が位置する一端側が、巻芯への巻き始め部分となる。そして、リード部分20は、基材シート1と異なる色調で着色された着色領域4を有している。
【0110】
接着シート110において、着色領域4は、リード部分20の一面側において、リード部分20の幅方向の縁に沿って長手方向に連続して形成されている。ウェハ貼り付け装置において、着色領域4を検出するための光学センサは、着色領域4が通過する位置をモニターできるように設置される必要がある。着色領域4が、リード部分20の幅方向に沿って長手方向に連続して形成されていると、ウェハ貼り付け装置における着色領域4が通過する位置を、容易に判断することができるため、光学センサのウェハ貼り付け装置への設置が容易となる。
【0111】
着色領域4は、リード部分20の幅方向に、5mm以上の幅をもって形成されていることが好ましい。このような着色領域は、光学センサによりより確実に検出される。
【0112】
(第三実施形態)
図4は、本発明の接着シートの第三実施形態を示す平面図である。以下の説明において、第三実施形態における第一実施形態と重複する部分の説明は省略する。
【0113】
図4に示すように、接着シート120は、長尺状の基材シート1と、接着フィルム2及び粘着フィルム3からなる積層体10と、リード部分20とを備える。リード部分20は基材シート1の一端側に位置し、リード部分20が位置する一端側が、巻芯への巻き始め部分となる。そして、リード部分20は、基材シート1と異なる色調で着色された着色領域4を有している。
【0114】
接着シート120における着色領域4は、リード部分20の一面側において、リード部分20と基材シート1との境界に沿って幅方向に連続して形成されている。ウェハ貼り付け装置において、着色領域4を検出するための光学センサは、着色領域4が通過する位置をモニターできるように設置される必要がある。着色領域4が、リード部分20と基材シート1との境界に沿って幅方向に連続して形成されていると、ウェハ貼り付け装置における着色領域4が通過する位置を、容易に判断することができるため、光学センサのウェハ貼り付け装置への設置が容易となる。
【0115】
(第四実施形態)
図5は、本発明の接着シートの第四実施形態を示す平面図である。以下の説明において、第四実施形態における第一実施形態と重複する部分の説明は省略する。
【0116】
図5に示すように、接着シート130は、長尺状の基材シート1と、接着フィルム2及び粘着フィルム3からなる積層体10と、リード部分20とを備える。リード部分20は基材シート1の一端側に位置し、リード部分20が位置する一端側が、巻芯への巻き始め部分となる。そして、リード部分20は、基材シート1と異なる色調で着色された着色領域4を有している。
【0117】
接着シート130における着色領域4は、リード部分20の一面側において、基材シート1と接する角部に形成されている。なお、本発明において「角部に形成されている」とは、必ずしも、図5に示すように着色領域4が、リード部分20の幅方向の縁及びリード部分20と基材シート1との境界に接している必要はなく、リード部分20の幅方向の縁から離解していてもよく、リード部分20と基材シート1との境界から離解していてもよく、該縁及び該境界の双方から離解していてもよい。
【0118】
基材シート1とリード部分20が一体であり、基材シート1の一端部をリード部分20とする場合には、積層体10が形成されている基材シート1に着色を行う必要がある。本実施形態に係る着色領域4は着色範囲が少ないため、基材シート1に積層体10が形成されている場合であっても、積層体10を汚したり、損傷させたりすることなく、容易に着色領域4を形成することができる。
【0119】
着色領域4の形状は、例えば、円形、略円形、四角形、五角形、六角形、八角形等の形状とすることができる。
【0120】
(第五実施形態)
図6は、本発明の接着シートの第五実施形態を示す平面図である。以下の説明において、第五実施形態における第一実施形態と重複する部分の説明は省略する。
【0121】
図6に示すように、接着シート140は、長尺状の基材シート1と、接着フィルム2及び粘着フィルム3からなる積層体10と、リード部分20とを備える。リード部分20は基材シート1の一端側に位置し、リード部分20が位置する一端側が、巻芯への巻き始め部分となる。そして、リード部分20は、基材シート1と異なる色調で着色された着色領域4を有している。
【0122】
接着シート140における着色領域4は、リード部分20の一面側において、リード部分20の幅方向の縁に沿って、所定の間隔をもって複数形成されている。このような着色領域4を光学センサでモニターした場合、着色領域4の検出と基材シート1の検出(又は着色領域4の未検出)とが交互に行われることとなる。そのため、本実施形態に係る接着シート140を用いる場合には、光学センサにより着色領域4の検出と基材シート1の検出(又は着色領域4の未検出)とが交互に複数回行われた場合を、「接着シートの終点の検出」と認識するようにする。このような認識方法によれば、例えば、基材シート1に一部意図しない着色があった場合等における、検出エラーを防止することができる。
【0123】
(接着シートの製造方法)
上記接着シートの製造方法について説明する。本発明の接着シートの製造方法は、基材シート上に接着フィルムを積層する第1の積層工程と、上記接着フィルムの上記基材シートに接する側と反対側の面から上記基材シートに達するまで上記接着フィルムに対して切り込みを入れ、切り込まれた外周部分の接着フィルムを除去し、所定の平面形状を有する接着フィルムを形成する第1の切断工程と、上記所定の平面形状を有する接着フィルム及び上記基材シートを覆うように、粘着フィルムを積層する第2の積層工程と、上記粘着フィルムの上記基材シート側と反対側の面から上記基材シートに達するまで上記粘着フィルムに対して切り込みを入れ、切り込まれた外周部分の粘着フィルムを除去し、上記所定の平面形状の接着フィルムと、該接着フィルムを覆い且つ該接着フィルムの周囲で上記基材シートに接する粘着フィルムとからなる、所定の形状を有する積層体を形成する第2の切断工程と、上記基材シートの一端部に当該基材シートと異なる色調で着色された着色領域を有するリード部分を形成するリード部分形成工程と、を含む方法である。
【0124】
図7(a)〜(d)及び図8(e)〜(h)は、本発明の接着シートの製造方法の好適な一実施形態を示す一連の工程図である。本実施形態の接着シートの製造方法においては、まず、図7(a)に示すように、長尺の基材シート1上の全面に長尺の接着フィルム2を積層する(第1の積層工程)。次に、図7(b)に示すように、プリカット刃15又はそれに相当する部材を用いて、接着フィルム2の基材シート1に接する側と反対側の面F1から基材シート1に達するまで切り込みを入れ、切り込み部Aを環状に形成して所定の形状にプリカット加工を施す。その後、図7(c)に示すように、プリカット加工を施した接着フィルム2の不要部分を剥離除去する。これにより、図7(c)及び(d)に示すように、基材シート1上に、該基材シート1の長手方向に島状に分散配置された所定の平面形状を有する接着フィルム2を形成する(第1の切断工程)。
【0125】
次に、図8(e)に示すように、接着フィルム2及び露出している基材シート1の全体を覆うように粘着フィルム3を積層する(第2の積層工程)。次いで、図8(f)に示すように、粘着フィルム3に対してプリカット刃15等を用いて基材シート1に達するまで切り込みを入れ、切り込み部Bを環状に形成してプリカット加工を施す。このとき、センサにより接着フィルム2の端部の位置を検出することにより、該接着フィルム2と同心円状に粘着フィルム3の円形プリカット加工を行う。その後、図8(g)に示すように、プリカット加工を施した粘着フィルム3の不要部分を剥離除去する。これにより、図8(h)に示すように、基材シート1上に、接着フィルム2及び粘着フィルム3からなる積層体4を形成する(第2の切断工程)。
【0126】
第1の積層工程においては、まず、接着フィルム2を構成する材料を溶剤に溶解又は分散して接着フィルム形成用ワニスとし、これを基材シート1上に塗布後、加熱により溶剤を除去する。
【0127】
一方、第2の積層工程において積層する粘着フィルム3は、まず、粘着剤層7を構成する材料を溶剤に溶解又は分散して粘着剤層形成用ワニスとし、これを基材フィルム8上に塗布し、加熱により溶剤を除去することで得られる。なお、基材フィルム(支持フィルム)上に粘着剤層7を形成した後、該粘着剤層7上に別の基材フィルムを貼り合わせてもよい。その場合、第2の積層工程において粘着フィルム3を積層する際には、一方の基材フィルム(支持フィルム)を剥離して積層を行う。
【0128】
ここで、接着フィルム形成用ワニス及び粘着剤層形成用ワニスの調製に使用する上記溶剤としては、各構成材料を溶解又は分散することが可能なものであれば特に限定されないが、層形成時の揮発性等を考慮すると、例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等の比較的低沸点の溶媒を使用するのが好ましい。また、塗膜性を向上させる等の目的で、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノン等の比較的高沸点の溶媒を使用することもできる。これらの溶媒は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、ワニスを調製した後、真空脱気等によってワニス中の気泡を除去することもできる。
【0129】
第1の積層工程における接着フィルム形成用ワニスの基材シート1への塗布方法、及び、第2の積層工程における粘着剤層形成用ワニスの基材フィルム8への塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法、ダイコート法等を用いることができる。
【0130】
また、接着フィルム2と粘着フィルム3との貼り合わせは、従来公知の方法によって行うことができ、例えば、ラミネーター等を用いて行うことができる。
【0131】
さらに、本実施形態の接着シートの製造方法は、基材シートの一端部に当該基材シートと異なる色調で着色された着色領域を有するリード部分を形成する、リード部分形成工程(図示せず)を含む。
【0132】
リード部分形成工程は、例えば、第1の積層工程の前に行ってもよく、第2の切断工程の跡に行ってもよい。リード部分形成工程としては、(1)基材シート1の一端部における接着フィルム2及び粘着フィルム3を除去し、接着フィルム2及び粘着フィルム3が除去された部分のうち少なくとも一部を着色することにより、リード部分を形成する方法、(2)基材シートの一端に、着色領域を有するリード部シートを接合することにより、リード部分を形成する方法、等が挙げられる。
【0133】
(接着シートロール)
本発明に係る接着シートロールは、円筒状の巻芯と、当該巻芯にロール状に巻き付けられた本発明に係る接着シートと、を備える。
【0134】
図9は、本発明に係る接着シートロールの好適な一実施形態を示す模式図である。図9に示すように、接着シートロール220は、円筒状の巻芯11に、接着シート2及び粘着シート3からなる積層体10と基材シート1とを備える接着シートが巻き付けられている。接着シートは、リード部分を巻き始め部分として、巻芯11に巻き付けられているため、積層体10が全て引き出された後に、リード部分が引き出される。当該リード部分は着色領域を有するため、当該着色領域を光学センサ等で検出することにより、接着シートの使用上の終点を容易に検出することができる。
【0135】
(半導体装置の製造方法)
本発明の接着シートを用いて半導体装置を製造する方法について説明する。
【0136】
本発明の半導体装置の製造方法は、本発明の接着シートにおける積層体を、基材シートから剥離し、積層体を接着フィルム側の面から半導体ウェハに貼り付けて積層体付き半導体ウェハを得る貼り付け工程と、積層体付き半導体ウェハを、少なくとも接着フィルムと粘着フィルムとの界面まで切削部材で切削し、半導体ウェハを所定の大きさの半導体素子に切断するダイシング工程と、粘着フィルムから半導体素子を接着フイルムと共にピックアップし、接着剤層付き半導体素子を得るピックアップ工程と、接着剤層付き半導体素子における半導体素子を、接着剤層を介して被着体に接着する接着工程と、を含む方法である。ここで、上記被着体としては、半導体素子搭載用の支持部材、別の半導体素子が挙げられる。
【0137】
図10(a)〜(b)及び図11(a)〜(b)は、接着シート100における積層体10を半導体ウェハ32に貼り付ける作業を行う一連の工程図である。図10(a)に示すように、接着シート100は、基材シート1がキャリアフィルムの役割を果たしており、2つのロール62及び66と、楔状の部材64とに支持されながら、その一端が円柱状の巻芯44に接続された状態で巻回され第1のロール42を形成し、他端が円柱状の巻芯54に接続された状態で巻回され第2のロール52を形成している。そして、第2のロール52の巻芯54には、当該巻芯54を回転させるための巻芯駆動用モータ(図示せず)が接続されており、積層体10が剥離された後の基材シート1が所定の速度で巻回されるようになっている。さらに、第1のロール42から引き出される接着シート100をモニターできる位置に、光学センサ300が設置されている。
【0138】
まず、巻芯駆動用モータが回転すると、第2のロール52の巻芯54が回転し、第1のロール42の巻芯44に巻回されている接着シート100が第1のロール42の外部に引き出される。そして、引き出された接着シート100は、移動式のステージ上に配置された円板状の半導体ウェハ32及びそれを囲むように配置されたウェハリング34上に導かれる。
【0139】
次に、基材シート1から、接着フィルム2及び粘着フィルム3からなる積層体10が剥離される。このとき、接着シート100の基材シート1側から楔状の部材64が当てられており、基材シート1は部材64側へ鋭角に曲げられ、基材シート1と積層体10との間に剥離起点が作り出されることとなる。更に、剥離起点がより効率的に作り出されるように、基材シート1と積層体10との境界面にエアーが吹き付けられている。
【0140】
このようにして基材シート1と積層体10との間に剥離起点が作り出された後、図10(b)に示すように、粘着フィルム3がウェハリング34と密着し、接着フィルム2が半導体ウェハ32と密着するように積層体10の貼り付けが行われる。このとき、ロール68によって積層体10は半導体ウェハ32に圧着されることとなる。そして、図11(a)に示すように、半導体ウェハ32上への積層体10の貼り付けが完了し、積層体付き半導体ウェハが得られる。
【0141】
以上のような手順により、半導体ウェハ32への積層体10の貼り付けを、自動化された工程で連続して行うことができる。このような半導体ウェハ32への積層体10の貼り付け作業を行う装置としては、例えば、リンテック(株)製のRAD−2500(商品名)等が挙げられる。
【0142】
以上の工程において、接着シート10は連続して第一のロール42の外部に引き出される。そして、接着シート100が使用上の終点まで引き出されると、図11(b)に示すように、接着シート100のリード部分20が、第一のロール42の外部に引き出されることとなる。このとき、光学センサ300により当該リード部分20が有する着色領域が検出され、接着シート100の使用上の終点が認識される。
【0143】
次に、上記の工程により得られた積層体付き半導体ウェハをダイシングし、必要な大きさの積層体付き半導体素子を得る。ここで更に、洗浄、乾燥等の工程を行ってもよい。このとき、接着フィルム2及び粘着フィルム3により半導体ウェハ32は積層体10に十分に粘着保持されているので、上記各工程中に半導体ウェハが脱落することが抑制される。
【0144】
次に、放射線等の高エネルギー線を積層体10の粘着フィルム3に照射し、粘着フィルム3における粘着剤層の一部又は大部分を重合硬化せしめる。この際、高エネルギー線照射と同時に又は照射後に、硬化反応を促進する目的で更に加熱を行っても良い。
【0145】
粘着フィルム3への高エネルギー線の照射は、基材フィルムの粘着剤層が設けられていない側の面から行う。したがって、高エネルギー線として紫外線を用いる場合には、基材フィルムは光透過性であることが必要である。なお、高エネルギー線として電子線を用いる場合には、基材フィルムは必ずしも光透過性である必要はない。
【0146】
高エネルギー線照射後、ピックアップすべき半導体素子を、例えば吸引コレットによりピックアップする。この際、ピックアップすべき半導体素子を基材フィルムの下面から、例えば針扞等により突き上げることもできる。粘着剤層を硬化させることにより、半導体素子と接着フィルム2との間の粘着力は、接着フィルム2と粘着剤層との間の粘着力よりも大きくなるため、半導体素子のピックアップを行うと、接着フィルム2と粘着剤層との界面で剥離が生じ、接着フィルム2が半導体素子の下面に付着した状態の接着剤層付き半導体素子がピックアップされることとなる。
【0147】
この接着剤層付き半導体素子を、接着フィルム2を介して半導体素子搭載用の支持部材に載置し、加熱を行う。加熱により接着フィルム2は接着力が発現し、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材との接着が完了する。その後、必要に応じてワイヤボンド工程や封止工程等を経て、半導体装置が製造される。
【0148】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0149】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0150】
PET(ポリエチレンテレフタレートフィルム)からなる基材シート上に、プリカット加工により積層体を形成した。次いで、基材シートの一端に、長さ1.2mのPETからなるリード部シートを接合し、接着シートを得た。リード部シートとしては、図1に示すような、一面側が全面着色されているものを使用した。また着色は、PETへの直接印刷により行った。次いで、得られた接着シートを、リード部シートの基材シートと接合された側とは反対側の端部を巻き始めとして、リールに巻き付け、接着シートロールを得た。
【0151】
(実施例2)
図3に示すような、リード部分の幅方向の縁に沿って長手方向に連続して着色されたリード部シートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして接着シート及び接着シートロールを得た。
【0152】
(実施例3)
図4に示すような、基材シートと接合される側の縁に沿って幅方向に連続して着色されたリード部シートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして接着シート及び接着シートロールを得た。
【0153】
(実施例4)
図5に示すような、基材シートと接合される側の角部のうち一方に着色が施されたリード部シートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして接着シート及び接着シートロールを得た。
【0154】
(実施例5)
図6に示すような、リード部分の幅方向の縁に沿って、所定の間隔をもって複数箇所着色されたリード部シートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして接着シート及び接着シートロールを得た。
【0155】
(比較例1)
PET(ポリエチレンテレフタレートフィルム)からなる基材シート上に、プリカット加工により積層体を形成した。次いで、基材シートの一端側で積層体を取り除くことにより、リード部分を形成し、図14に示すような接着シートを得た。得られた接着シートを、リード部分を巻き始めとしてリールに巻き付け、接着シートロールを得た。
【0156】
(比較例2)
PET(ポリエチレンテレフタレートフィルム)からなる基材シート上に、プリカット加工により積層体を形成した。次いで、基材シートの一端側で、積層体と、基材シートの幅方向の両縁に沿って形成された粘着フィルムとを除去し、基材シートのみからなるリード部分を形成し、図15に示すような接着シートを得た。
【0157】
(ロールエンド(終点)部分検出試験)
実施例1〜5及び比較例1〜2の接着シートロールを、ウェハ貼り付け装置に取り付け、ロールエンド部分の検出試験を行った。具体的には、実施例1〜5については、光学センサ(Keyence製 FS−V11)を着色領域が通過する位置に設置し、検出を行った。また、比較例1〜2については、光学センサ(Keyence製 FS−V11)を比較例1,2の接着シートが通過する位置に設置し、検出を行った。光学センサのON/OFFを確認することができ、ロールエンド部分の検出が可能であった場合をA、光学センサのON/OFFを確認することができず、ロールエンド部分の検出ができなかった場合をBとして、試験結果を表1に示す。
【0158】
【表1】

【0159】
本発明の接着シート(実施例1〜5)によれば、リード部分の着色化によりロールエンド部分の検出が可能であり、基材シートがリールから剥がれる等の不具合が生じる前に接着シートロールを効率良く交換することができた。一方、比較例の接着シート(比較例1、2)では、ロールエンド部分の検出を行うことが出来ず、基材シートがリールから剥がれて、ウェハ貼り付け装置内で半導体ウェハ等を傷つける場合があった。
【符号の説明】
【0160】
1…基材シート、2…接着フィルム、3…粘着フィルム、4…着色領域、7…粘着剤層、8…基材フィルム、10…積層体、20…リード部分、100,110,120,130,140,150,200…接着シート、210,220…接着シートロール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯にロール状に巻き付けられて使用される接着シートであって、
長尺状の基材シートと、
前記基材シートの一面側で前記基材シートの長手方向に配列された接着フィルム及び該接着フィルムを覆うように設けられた粘着フィルムからなる積層体と、
前記巻芯への巻き始め部分となる前記基材シートの一端側に位置するリード部分と、
を備え、
前記リード部分は、前記基材シートと異なる色調で着色された着色領域を有していることを特徴とする、接着シート。
【請求項2】
前記着色領域は、前記リード部分の一面側における全面に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の接着シート。
【請求項3】
前記着色領域は、前記リード部分の一面側において、前記リード部分の幅方向の縁に沿って長手方向に連続して形成されることを特徴とする、請求項1に記載の接着シート。
【請求項4】
前記着色領域は、前記リード部分の一面側において、前記リード部分と前記基材シートとの境界に沿って幅方向に連続して形成されることを特徴とする、請求項1に記載の接着シート。
【請求項5】
前記着色領域は、前記リード部分の一面側において、前記基材シートと接する角部に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の接着シート。
【請求項6】
前記着色領域は、前記リード部分の一面側において、前記リード部分の幅方向の縁に沿って、所定の間隔をもって複数形成されることを特徴とする、請求項1に記載の接着シート。
【請求項7】
前記リード部分は、前記基材シートの一端部であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着シート。
【請求項8】
前記リード部分は、前記基材シートとは別体の基材シートを、前記基材シートの一端に接合して形成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着シート。
【請求項9】
前記リード部分には、前記積層体が設けられていないことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着シート。
【請求項10】
円筒状の巻芯と、当該巻芯にロール状に巻き付けられた請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着シートと、を備える、接着シートロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−219694(P2011−219694A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93188(P2010−93188)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】