説明

接着剤組成物、接着フィルムおよび基板の処理方法

【課題】柔軟性を有するとともに、基板界面への接着性に優れた接着剤組成物、接着フィルムおよび、当該接着剤組成物を用いた基板の処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る接着剤組成物は、炭化水素樹脂と、官能基含有原子団が少なくとも1個結合している変性エラストマーと、溶剤と、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物、接着フィルム、および、当該接着剤組成物を用いた基板の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、デジタルAV機器およびICカード等の高機能化に伴い、搭載される半導体シリコンチップ(以下、チップ)を小型化および薄型化することによって、パッケージ内にシリコンを高集積化する要求が高まっている。例えば、CSP(chip size package)またはMCP(multi-chip package)に代表されるような複数のチップをワンパッケージ化する集積回路において、薄型化が求められている。パッケージ内のチップの高集積化を実現するためには、チップの厚さを25〜150μmの範囲にまで薄くする必要がある。
【0003】
しかしながら、チップのベースになる半導体ウエハ(以下、ウエハ)は、研削することにより肉薄になるため、その強度は弱くなり、ウエハにクラックまたは反りが生じ易くなる。また、薄板化することによって強度が弱くなったウエハを自動搬送することは困難であるため、人手によって搬送しなければならず、その取り扱いが煩雑であった。
【0004】
そのため、研削するウエハにサポートプレートと呼ばれる、ガラス、硬質プラスチック等からなるプレートを貼り合わせることによって、ウエハの強度を保持し、クラックの発生およびウエハの反りを防止するウエハハンドリングシステムが開発されている。ウエハハンドリングシステムによりウエハの強度を維持することができるため、薄板化した半導体ウエハの搬送を自動化することができる。
【0005】
ウエハハンドリングシステムにおいて、ウエハとサポートプレートとは粘着テープ、熱可塑性樹脂、接着剤等を用いて貼り合わせられる。そして、サポートプレートが貼り付けられたウエハを薄板化した後、ウエハをダイシングする前にサポートプレートを基板から剥離する。このウエハとサポートプレートとの貼り合わせに接着剤を用いた場合、接着剤を溶解してウエハをサポートプレートから剥離する。
【0006】
ここで、近年、上記接着剤として、炭化水素系の接着剤が開発されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2009−529065号公報(2009年8月13日公開)
【特許文献2】特表2010−506406号公報(2010年2月25日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術に係る炭化水素系の接着剤は、柔軟性に乏しく、基板界面への接着性(追従性)が弱いため、例えば、熱工程、研削工程等において、接着剤を用いて構成した積層体に対して応力を加えたときに界面剥がれが発生するおそれがある。
【0009】
そこで、柔軟性を有するとともに、基板界面への接着性に優れた接着剤組成物の開発が求められている。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、柔軟性を有するとともに、基板界面への接着性に優れた接着剤組成物を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る接着剤組成物は、炭化水素樹脂と、官能基含有原子団が少なくとも1個結合している変性エラストマーと、溶剤と、を含んでいることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、柔軟性を有するとともに、基板界面への接着性に優れた接着剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔接着剤組成物〕
本発明に係る接着剤組成物は、炭化水素樹脂と、官能基含有原子団が少なくとも1個結合している変性エラストマーと、溶剤と、を含む構成である。
【0014】
本発明に係る接着剤組成物の用途は特に限定されないが、例えば、半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)の製造工程に使用可能であり、中でも、薄化されたウエハの破損および汚れを防ぐために、該ウエハを支持基板(以下、サポートプレート)に一時的に接着する用途において好適に用いることができる。
【0015】
(炭化水素樹脂)
炭化水素樹脂は、炭化水素骨格を有し、単量体成分を重合してなる樹脂である。炭化水素樹脂としては、例えば、シクロオレフィンポリマー(以下、「樹脂A」ともいう)、ならびにテルペン系樹脂、ロジン系樹脂および石油系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(以下、「樹脂B」ともいう)が挙げられる。
【0016】
シクロオレフィンポリマーは、単量体成分であるシクロオレフィンモノマーを重合してなる樹脂である。シクロオレフィンモノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体、ジシクロペンタジエン、ヒドロキシジシクロペンタジエン等の三環体、テトラシクロドデセン等の四環体、シクロペンタジエン三量体等の五環体、テトラシクロペンタジエン等の七環体、またはこれら多環体のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)置換体、アルケニル(ビニル等)置換体、アルキリデン(エチリデン等)置換体、アリール(フェニル、トリル、ナフチル等)置換体等が挙げられる。樹脂(A)としては、これらシクロオレフィンモノマーのうち1種のみを重合させてなるものであってもよいし、2種以上を共重合させてなるものであってもよい。
【0017】
また、樹脂(A)に含まれる単量体成分はシクロオレフィンモノマーに限定されるものではなく、当該シクロオレフィンモノマーと共重合可能な他のモノマーを含有していてもよい。他のモノマーとしては、例えば、直鎖状または分岐鎖状のアルケンモノマーが挙げられ、そのようなアルケンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、および1−ヘキセン等のα−オレフィンが挙げられる。なお、アルケンモノマーは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
樹脂(A)の分子量は特に限定されないが、例えば、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した重量平均分子量(Mw)が50,000〜200,000であり、より好ましくは50,000〜150,000である。樹脂(A)の重量平均分子量が上記範囲内であれば、成膜後にクラックが発生し難く、且つ特定の溶剤への溶解性を得ることができる。
【0019】
また、樹脂(A)を構成する単量体成分は、その5モル%以上がシクロオレフィンモノマーであることが高耐熱性(低い熱分解性・熱重量減少性)の点から好ましく、10モル%以上がシクロオレフィンモノマーであることがより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、80モル%以下であることが溶解性および溶液での経時安定性の点から好ましく、70モル%以下であることがさらに好ましい。他のモノマーとして、直鎖状または分岐鎖状のアルケンモノマーを含有する場合、樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対して10〜90モル%であることが溶解性および柔軟性の点から好ましく、20〜85モル%がさらに好ましく、30〜80モル%が特に好ましい。
【0020】
単量体成分の重合方法および重合条件は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いて行えばよい。
【0021】
樹脂(A)として用いられ得る市販品としては、例えば、三井化学社製の「APEL(商品名)」、ポリプラスチックス社製の「TOPAS(商品名)」、日本ゼオン社製の「ZEONOR(商品名)」および「ZEONEX(商品名)」、ならびにJSR社製の「ARTON(商品名)」が挙げられる。
【0022】
樹脂(B)は、上述したようにテルペン系樹脂、ロジン系樹脂および石油系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である。テルペン系樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂および水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステルおよび変性ロジン等が挙げられる。石油系樹脂としては、例えば、脂肪族または芳香族石油樹脂、水添石油樹脂、変性石油樹脂、脂環族石油樹脂およびマロン・インデン石油樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特に、水添テルペン樹脂および水添テルペンフェノール樹脂が好ましい。
【0023】
樹脂(B)の分子量は特に限定されないが、例えば、GPCによるポリスチレン換算値として測定した重量平均分子量(Mw)が300〜10,000であり、より好ましくは500〜5,000である。樹脂(B)の重量平均分子量が上記範囲内であれば、成膜後にクラックが発生し難く、且つ高い耐熱性(熱分解性・昇華性への耐性)が得られる。
【0024】
なお、樹脂(A)と樹脂(B)とを混合して使用してもよい。樹脂(A)の含有量が炭化水素樹脂全体の40重量部以上であることが好ましく、60重量部以上であることがより好ましい。樹脂(A)の含有量が炭化水素樹脂全体の40重量部以上である場合には、柔軟性とともに高い耐熱性(低い熱分解性)が発揮できる。
【0025】
(変性エラストマー)
本発明に係る変性エラストマーは、エラストマーであって、少なくとも1個の官能基含有原子団が結合しているものである。このような変性エラストマーは、例えば、公知のエラストマーに対し、変性剤を用いて当該官能基含有原子団を少なくとも1個結合させることによって得ることができる。
【0026】
官能基含有原子団とは、1個以上の官能基を含む原子団である。本発明における官能基含有原子団が含む官能基としては、例えば、アミノ基、酸無水物基(好ましくは無水マレイン酸基)、イミド基、ウレタン基、エポキシ基、イミノ基、水酸基、カルボキシル基、シラノール基およびアルコキシシラン基(当該アルコキシ基は炭素数1〜6であることが好ましい)が挙げられる。
【0027】
また、本発明に係る変性エラストマーとなる変性前のエラストマーとしては、種々のエラストマーを用いることができるが、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SBBS)、エチレン−プロピレンターポリマー(EPT)、および、これらの水添物、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEEPS)等を用いることができる。特に、ビニル芳香族炭化水素および共役ジエンからなるブロックコポリマーの水添物を好適に用いることができる。
【0028】
変性エラストマーとして用いられ得る市販品としては、例えば、旭化成社製の「タフテック(商品名)」、クラレ社製「セプトン(商品名)」、「ハイブラー(商品名)」、JSR社製「ダイナロン(商品名)」等が挙げられる。
【0029】
このように、変性エラストマーは、エラストマーであり、かつ、極性をもたらす官能基を有している。そのため、変性エラストマーを含有させることにより、本発明に係る接着剤組成物は、柔軟性および接着性が向上している。
【0030】
なお、エラストマーは一般に耐熱性に乏しいため、接着剤組成物を熱工程において使用する場合、接着剤組成物に添加する変性エラストマーの量を調整して、耐熱性を確保することが好ましい。
【0031】
すなわち、一実施形態において、本発明に係る接着剤組成物では、炭化水素樹脂100重量部に対して、変性エラストマーを0.1重量部以上、20重量部以下の範囲で含んでいることがより好ましく、1重量部以上、15重量部以下の範囲で含んでいることが特に好ましく、1重量部以上、10重量部以下の範囲で含んでいることが最も好ましい。変性エラストマーを上記範囲で含んでいることにより、接着剤組成物の耐熱性を確保することができる。
【0032】
(溶剤)
溶剤は、炭化水素樹脂および変性エラストマーを溶解する機能を有するものであればよく、例えば、非極性の炭化水素系溶剤、極性および無極性の石油系溶剤等を用いることができる。
【0033】
好ましくは、溶剤は、縮合多環式炭化水素を含み得る。溶剤が縮合多環式炭化水素を含むことによって、接着剤組成物を液状形態で(特に低温にて)保存した際に生じ得る白濁化を避けることができ、製品安定性を向上させることができる。
【0034】
炭化水素系溶剤としては、直鎖状、分岐状または環状の炭化水素が挙げられる。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の直鎖状の炭化水素、炭素数3から15の分岐状の炭化水素;p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、1,4−テルピン、1,8−テルピン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン、α−ピネン、β−ピネン、ツジャン、α−ツジョン、β−ツジョン、カラン、ロンギホレン等が挙げられる。
【0035】
また、石油系溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ナフタレン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレンなどが挙げられる。
【0036】
また、縮合多環式炭化水素とは、2つ以上の単環がそれぞれの環の辺を互いに1つだけ供給してできる縮合環の炭化水素であり、2つの単環が縮合されてなる炭化水素を用いることが好ましい。
【0037】
そのような炭化水素としては、5員環および6員環の組み合わせ、または2つの6員環の組み合わせが挙げられる。5員環および6員環を組み合わせた炭化水素としては、例えば、インデン、ペンタレン、インダン、テトラヒドロインデン等が挙げられ、2つの6員環を組み合わせた炭化水素としては、例えば、ナフタレン、テトラヒドロナフタリン(テトラリン)およびデカヒドロナフタリン(デカリン)等が挙げられる。
【0038】
また、溶剤が上記縮合多環式炭化水素を含む場合、溶剤に含まれる成分は上記縮合多環式炭化水素のみであってもよいし、例えば、飽和脂肪族炭化水素等の他の成分を含有していてもよい。この場合、縮合多環式炭化水素の含有量が炭化水素系溶剤全体の40重量部以上であることが好ましく、60重量部以上であることがより好ましい。縮合多環式炭化水素の含有量が炭化水素系溶剤全体の40重量部以上である場合には、上記樹脂に対する高い溶解性が発揮できる。縮合多環式炭化水素と飽和脂肪族炭化水素との混合比が上記範囲内であれば、縮合多環式炭化水素の臭気を緩和させることができる。
【0039】
上記飽和脂肪族炭化水素としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の直鎖状の炭化水素、炭素数3から15の分岐状の炭化水素、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、1,4−テルピン、1,8−テルピン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン、ツジャン、カラン、ロンギホレン等が挙げられる。
【0040】
なお、本発明の接着剤組成物における溶剤の含有量としては、当該接着剤組成物を用いて成膜する接着層の厚さに応じて適宜調整すればよいが、例えば、炭化水素樹脂の重量を100重量部としたとき、100重量部以上、2,000重量部以下であることが好ましい。溶剤の含有量が上記範囲内であれば、粘度調整が容易となる。
【0041】
(熱重合禁止剤)
本発明において、接着剤組成物は熱重合禁止剤を含有していてもよい。熱重合禁止剤は、熱によるラジカル重合反応を防止する機能を有する。具体的には、熱重合禁止剤はラジカルに対して高い反応性を示すため、モノマーよりも優先的に反応してモノマーの重合を禁止する。そのような熱重合禁止剤を含む接着剤組成物は、高温環境下(特に、250℃〜350℃)において重合反応が抑制される。
【0042】
例えば半導体製造工程において、サポートプレートが接着されたウエハを250℃で1時間加熱する高温プロセスがある。このとき、高温により接着剤組成物の重合が起こると高温プロセス後にウエハからサポートプレートを剥離する剥離液への溶解性が低下し、ウエハからサポートプレートを良好に剥離することができない。しかし、熱重合禁止剤を含有している本発明の接着剤組成物では熱による酸化およびそれに伴う重合反応が抑制されるため、高温プロセスを経たとしてもサポートプレートを容易に剥離することができ、残渣の発生を抑えることができる。
【0043】
熱重合禁止剤としては、熱によるラジカル重合反応を防止するのに有効であれば特に限定されるものではないが、フェノールを有する熱重合禁止剤が好ましい。これにより、大気下での高温処理後にも良好な溶解性が確保できる。そのような熱重合禁止剤としては、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤を用いることが可能であり、例えば、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2−メチルフェノール)、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4”−エチリデントリス(2−メチルフェノール)、4,4’,4”−エチリデントリスフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[2−(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、n−オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名IRGANOX1010、チバ・ジャパン社製)、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられる。熱重合禁止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
熱重合禁止剤の含有量は、炭化水素樹脂の種類、ならびに接着剤組成物の用途および使用環境に応じて適宜決定すればよいが、例えば、炭化水素樹脂を100重量部としたとき、0.1重量部以上、10重量部以下であることが好ましい。熱重合禁止剤の含有量が上記範囲内であれば、熱による重合を抑える効果が良好に発揮され、高温プロセス後において、接着剤組成物の剥離液に対する溶解性の低下をさらに抑えることができる。
【0045】
また、本発明に係る接着剤組成物は、熱重合禁止剤を溶解し、上記炭化水素樹脂を溶解するための溶剤とは異なる組成からなる添加溶剤を含有する構成であってもよい。添加溶剤としては、特に限定されないが、接着剤組成物に含まれる成分を溶解する有機溶剤を用いることができる。
【0046】
有機溶剤としては、例えば、接着剤組成物の各成分を溶解し、均一な溶液にすることができればよく、任意の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
有機溶剤の具体例としては、例えば、極性基として酸素原子、カルボニル基またはアセトキシ基等を有するテルペン溶剤が挙げられ、例えば、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、イソメントール、ネオメントール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネン−1−オール、テルピネン−4−オール、ジヒドロターピニルアセテート、1,4−シネオール、1,8−シネオール、ボルネオール、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファーが挙げられる。また、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン(CH)、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体(これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい);ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル等の芳香族系有機溶剤等を挙げることができる。
【0048】
添加溶剤の含有量は、熱重合禁止剤の種類等に応じて適宜決定すればよいが、例えば、熱重合禁止剤を1重量部としたとき、1重量部以上、50重量部以下であることが好ましく、1〜30重量部がさらに好ましく、1〜15重量部が最も好ましい。熱重合禁止剤の含有量が上記範囲内であれば、熱重合禁止剤を十分に溶解することができる。
【0049】
(その他の成分)
接着剤組成物には、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、混和性のある他の物質をさらに含んでいてもよい。例えば、接着剤の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤および界面活性剤等、慣用されている各種添加剤をさらに用いることができる。
【0050】
(接着剤組成物の調製方法)
本発明に係る接着剤組成物の調製方法は特に限定されず、公知の方法を用いればよいが、例えば、炭化水素樹脂と変性エラストマーとを溶剤に溶解させ、既存の攪拌装置を用いて、各組成を攪拌することにより、本発明に係る接着剤組成物を得ることができる。
【0051】
また、本発明に係る接着剤組成物に熱重合禁止剤を添加する場合には、熱重合禁止剤を、予め熱重合禁止剤を溶解させるための添加溶剤に溶解させたものを添加することが好ましい。
【0052】
〔接着フィルム〕
本発明に係る接着剤組成物は、用途に応じて様々な利用形態を採用することができる。例えば、液状のまま、半導体ウエハなどの被加工体の上に塗布して接着剤層を形成する方法を用いてもよいし、本発明に係る接着フィルム、すなわち、予め可撓性フィルムなどのフィルム上に上記何れかの接着剤組成物を含む接着剤層を形成した後、乾燥させておき、このフィルム(接着フィルム)を、被加工体に貼り付けて使用する方法(接着フィルム法)を用いてもよい。
【0053】
このように、本発明に係る接着フィルムは、フィルム上に、上記何れかの接着剤組成物を含有する接着剤層を備える。
【0054】
接着フィルムは、接着剤層にさらに保護フィルムを被覆して用いてもよい。この場合には、接着剤層上の保護フィルムを剥離し、被加工体の上に露出した接着剤層を重ねた後、接着剤層から上記フィルムを剥離することによって被加工体上に接着剤層を容易に設けることができる。
【0055】
したがって、この接着フィルムを用いれば、被加工体の上に直接、接着剤組成物を塗布して接着剤層を形成する場合と比較して、膜厚均一性および表面平滑性の良好な接着剤層を形成することができる。
【0056】
接着フィルムの製造に使用する上記フィルムとしては、フィルム上に製膜された接着剤層を当該フィルムから剥離することができ、接着剤層を保護基板やウエハなどの被処理面上に転写できる離型フィルムであれば限定されるものではない。例えば、膜厚15〜125μmのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、およびポリ塩化ビニルなどの合成樹脂フィルムからなる可撓性フィルムが挙げられる。上記フィルムには、必要に応じて、転写が容易となるように離型処理が施されていることが好ましい。
【0057】
上記フィルム上に接着剤層を形成する方法としては、所望する接着剤層の膜厚や均一性に応じて適宜、公知の方法を用いて、フィルム上に接着剤層の乾燥膜厚が10〜1000μmとなるように、本発明に係る接着剤組成物を塗布する方法が挙げられる。
【0058】
また、保護フィルムを用いる場合、保護フィルムとしては、接着剤層から剥離することができる限り限定されるものではないが、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエチレンフィルムが好ましい。また、各保護フィルムは、シリコンをコーティングまたは焼き付けしてあることが好ましい。接着剤層からの剥離が容易となるからである。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、15〜125μmが好ましい。保護フィルムを備えた接着フィルムの柔軟性を確保できるからである。
【0059】
接着フィルムの使用方法は、特に限定されるものではないが、例えば、保護フィルムを用いた場合には、これを剥離した上で、被加工体の上に露出した接着剤層を重ねて、フィルム上(接着剤層の形成された面の裏面)から加熱ローラを移動させることにより、接着剤層を被加工体の表面に熱圧着させる方法が挙げられる。このとき、接着フィルムから剥離した保護フィルムは、順次巻き取りローラなどのローラでロール状に巻き取れば、保存し再利用することが可能である。
【0060】
〔基板の処理方法〕
本発明に係る接着剤組成物は、様々な用途に用いることができるが、特に、基板の処理工程において好適に利用することができる。一実施形態において、本発明に係る基板の処理方法は、基板上に、本発明に係る接着剤組成物からなる接着層を介して支持体を貼付する工程と、該支持体が貼付された該基板を、100℃以上、400℃以下で熱処理する工程と、を含んでいる。
【0061】
(基板)
基板としては、例えば、従来公知の材質の半導体ウエハ等を好適に用いることができるが特に限定されない。
【0062】
(支持体)
支持体は、例えば、基板を薄化する工程で支持する役割を果たす部材であり、本願発明に係る接着剤組成物によって基板に接着される。一実施形態において、支持体は、例えば、その膜厚が500〜1000μmであるガラスまたはシリコンで形成されている。
【0063】
なお、一実施形態において、支持体には、支持体を厚さ方向に貫通する穴が設けられている。この穴を介して溶剤を支持体と基板との間に流し込むことによって、支持体と基板とを容易に分離することができる。
【0064】
また、他の実施形態において、支持体と基板との間には、接着層の他に反応層が介在していてもよい。反応層は、支持体を介して照射される光を吸収することによって変質するようになっており、反応層にレーザー光等を照射して反応層を変質させることによって、支持体と基板とを容易に分離することができる。この場合、支持体は厚さ方向に貫通する穴が設けられていない支持体を用いることが好ましい。
【0065】
反応層は、例えばレーザー光等によって分解される光吸収剤を含んでいてもよい。光吸収剤としては、例えば、グラファイト粉、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、亜鉛、テルルなどの微粒子金属粉末、黒色酸化チタンなどの金属酸化物粉末、カーボンブラック、または芳香族ジアミノ系金属錯体、脂肪族ジアミン系金属錯体、芳香族ジチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、スクアリリウム系化合物、シアニン系色素、メチン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの染料もしくは顔料を用いることができる。このような反応層は、例えば、バインダー樹脂と混合して、支持体上に塗布することによって形成することができる。また、光吸収基を有する樹脂を用いることもできる。
【0066】
また、反応層として、プラズマCVD法により形成した無機膜または有機膜を用いてもよい。無機膜としては、例えば、金属膜を用いることができる。また、有機膜としては、フルオロカーボン膜を用いることができる。このような反応膜は、例えば、支持体上にプラズマCVD法により形成することができる。
【0067】
(処理の一例)
以下、本発明に係る基板の処理方法の一例を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0068】
まず、基板上に本発明に係る接着剤組成物を塗布する。そして、基板上に接着剤組成物が塗布された状態で、接着剤組成物を加温することにより、接着剤組成物の膜(接着層)を成膜する。接着層の膜厚は、特に限定されないが、例えば、15μm以上、130μm以下とすることができる。
【0069】
また、加温の条件は、用いる接着剤組成物に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、例えば、50℃以上、250℃以下の範囲で、温度を上げながら段階的にベークすることにより、効率的に接着層を成膜することができる。
【0070】
続いて、基板と支持体とを接着層を介して接着する。例えば、基板における接着層が成膜されている側に、支持体を重ね、高温(例えば、215℃)下、真空中において加圧することにより、基板と支持体とを接着することができる。ただし、接着の手法は、基板の状態(表面の凹凸、強度など)、接着剤組成物および支持体の組成などに応じて、従来公知の種々の手法から好適なものを適宜選択すればよい。
【0071】
そして、得られた基板と支持体とからなる積層体に対して、研削(薄化)、貫通電極形成等の所望の加工を行う。その際に、100℃以上、400℃以下の温度下でこれらの加工を行ってもよい。
【0072】
その後、支持体を基板から分離する。分離の手法は特に限定されないが、上述したように、支持体が穴を有している場合には、穴から溶剤を供給することによって、接着層を溶解し、支持体を基板から分離してもよい。また、上述したように、基板と支持体との間に反応層が介在している場合には、反応層に光を照射することによって反応層を変質させて、支持体を基板から分離してもよい。
【0073】
続いて、基板上の接着層に溶剤を供給することによって、接着層を溶剤に溶解させ、基板上から接着層を除去する。溶剤の供給方法は特に限定されないが、例えば、2流体ノズル等を用いて、溶剤を噴射(スプレー)してもよい。
【0074】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
【実施例】
【0075】
〔接着剤組成物の調製〕
後述する表1に記載した組成となるように、接着剤組成物を調製した。
【0076】
炭化水素樹脂としては、下記の化学式(I)に示す三井化学社製の「APEL(商品名)8008T COC、Mw=100,000、Mw/Mn=2.1、m:n=80:20(モル比)」(以下、COC 1という)、「APEL(商品名)8009T COC、Mw=120,000、Mw/Mn=2.2、m:n=75:25(モル比)」(以下、COC 2という)および「APEL(商品名)6013T COC、Mw=80,000、Mw/Mn=2.0、m:n=52:48(モル比)」(以下、COC 3という)、ならびに、下記の化学式(II)に示すポリプラスチックス社製の「TOPAS(商品名)8007X10、Mw=95,000、Mw/Mn=1.9、m:n=35:65(モル比)」(以下、COC Aという)を用いた。
【0077】
【化1】

【0078】
【化2】

変性エラストマーとしては、下記化学式(III)に示す旭化成社製の「タフテック(商品名)MP−10」(アミン変性水添SEBS)、下記化学式(IV)に示す旭化成社製の「タフテック(商品名)MP1911」(酸変性水添SEBS)、および、下記化学式(V)に示すクラレ社製の「セプトン(商品名)HG−252」(水酸基変性水添SEEPS)を用いた。なお、化学式(IV)では、官能基含有原子団以外については主鎖のみを示した。
【0079】
【化3】

【0080】
【化4】

【0081】
【化5】

また、熱重合禁止剤としては、BASF社製の「IRGANOX(商品名)1010」を用いた。また、主溶剤としては、下記化学式(VI)に示すデカヒドロナフタリンを用いた。また、添加溶剤として、酢酸ブチルを用いた。
【0082】
【化6】

実施例1〜14では、以下の表1に示す炭化水素樹脂および変性エラストマーを、主溶剤に25重量%の濃度になるように溶解させた後、添加溶剤に5重量%の濃度で溶解させた熱重合禁止剤(酸化防止剤)を、炭化水素樹脂100重量部に対して1重量部添加して混合し、接着剤組成物を得た。
【0083】
また、比較例1〜3では、以下の表1に示す炭化水素樹脂を、主溶剤に25重量%の濃度になるように溶解させた後、添加溶剤に5重量%の濃度で溶解させた熱重合禁止剤(酸化防止剤)を、炭化水素樹脂100重量部に対して1重量部添加して混合し、接着剤組成物を得た。
【0084】
なお、表中、括弧内に示す数値の単位は、変性エラストマーおよび熱重合禁止剤については、炭化水素樹脂100重量部に対する重量部であり、添加溶剤については、全溶剤に対する体積%である。
【0085】
【表1】

〔柔軟性および接着性の評価〕
(積層体の作製)
半導体ウエハ基板上に、実施例および比較例に係る各接着剤組成物をスピン塗布した。続いて、100℃,160℃,220℃で、各5分間ベークし、基板上に接着層を形成した。なお、接着層の膜厚は、20μm、50μmまたは100μmとなるようにした。
【0086】
続いて、接着層が形成された基板と、フルオロカーボン膜からなる反応層を有する支持体とを、200℃下で貼り合わせて積層体を作製した。なお、フルオロカーボン膜はプラズマCVD装置において、厚さ0.7mmの板状のガラス支持体上に、Cガスを用いて、フルオロカーボンの膜を成膜した。これにより、厚さ1μmの反応層が形成された支持体を得た。
【0087】
(積層体の薄化、高温処理)
作製した積層体に対し、ウエハの薄化、フォトリソグラフィー工程等の所定の処理を行った後、波長532nmのレーザーを照射することによって、反応層を変質させ、支持体を基板から取り除いた。
【0088】
このとき、実施例1〜14では、接着層の膜厚にかかわらず、接着層/基板界面における接着剤剥がれは観察されなかった。
【0089】
一方、比較例1〜3では、接着層が50μm以上の膜厚であるとき、接着層/基板界面において接着剤剥がれが発生していた。また、高温真空工程において発泡が生じ、ウエハチッピングリスクが存在した。
【0090】
(接着層の洗浄)
その後、支持体を取り除いた基板を、p−メンタンによってスプレー洗浄し、接着層を除去した。その結果、基板上には、接着層の残渣は見られず、問題なく積層体が分離された。
【0091】
(Si面接着強度(90°ピール剥離強度)の測定)
基板上に接着層が形成された状態において、接着層をカッターにより10mm幅の帯状にカットした。そして、ピール角度(接着層と基板との角度)が常に90°になるように、基板に対して垂直方向に200mm/sの速度で帯状の接着層を引っ張り剥離した。その際のピール強度(g/cm)を接着強度として測定した。接着強度が、20g/cm以上であれば、十分な接着性を有しているといえる。
【0092】
表1に結果を示すように、実施例1〜14では何れも十分な接着性を有していた。一方、比較例1〜3では、何れも十分な接着性を有していなかった。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係る接着剤組成物、接着フィルムおよび基板の処理方法は、例えば、微細化された半導体装置の製造工程において好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素樹脂と、
官能基含有原子団が少なくとも1個結合している変性エラストマーと、
溶剤と、を含んでいることを特徴とする接着剤組成物。
【請求項2】
上記炭化水素樹脂100重量部に対して、上記変性エラストマーを0.1重量部以上、20重量部以下の範囲で含んでいることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
上記官能基含有原子団が、アミノ基、酸無水物基、イミド基、ウレタン基、エポキシ基、イミノ基、水酸基、カルボキシル基、シラノール基およびアルコキシシラン基からなる群より選ばれる1個以上の官能基を含有する原子団であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
上記変性エラストマーが、ビニル芳香族炭化水素および共役ジエンからなるブロックコポリマーの水添物に上記官能基含有原子団が少なくとも1個結合しているものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
上記溶剤が、縮合多環式炭化水素を含んでいることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
上記炭化水素樹脂が、シクロオレフィンポリマーであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
フィルム上に、請求項1〜6の何れか1項に記載の接着剤組成物からなる接着層が形成されていることを特徴とする接着フィルム。
【請求項8】
基板上に、請求項1〜6の何れか1項に記載の接着剤組成物からなる接着層を介して支持体を貼付する工程と、
該支持体が貼付された該基板を、100℃以上、400℃以下で熱処理する工程と、を含むことを特徴とする基板の処理方法。

【公開番号】特開2013−82877(P2013−82877A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−62145(P2012−62145)
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】