説明

接続具

【課題】解体や再利用を可能にするだけでなく、取り付け時や取り付け後に、接続の自由度を向上させ、容易かつ強固に接続することができる接続具を提供すること。
【解決手段】本体部5と、前記本体部5の内部において回転可能に設けられ、貫通孔を有する内部側連結部10と、前記本体部5の外部において回転可能に設けられ、貫通孔を有する外部側連結部11と、前記内部側連結部10の貫通孔と前記外部側連結部11の貫通孔とにわたって挿通し、前記基準線B方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられたボルト12とを備え、前記ボルト12と前記内部側連結部10とがともに回転するように前記ボルト12と前記内部側連結部10とを固定する第1の固定部が設けられ、前記内部側連結部10と前記外部側連結部11とがともに回転するように前記内部側連結部10と前記外部側連結部11とを固定する第2の固定部が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管体を他の管体又は他の構成物に接続するための接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば金属製の丸パイプなどの管体を建物や工作物の構成材として使用するためには、管体を他の管体又は他の構成物に接続する必要がある。そのため、従来、種々の接続具が利用されていた(例えば、特許文献1参照。)。
図18及び図19は、接続部の典型的な使用例を示す。
接続具200は、管体Pの先端又は構成物Kに取り付けられる本体部201と、この本体部201に一体に形成された環状部202とを備えている。環状部202を挿通する中心線aと、本体部201を挿通する基準線bとは直交している。なお、基準線bは、管体Pの軸線と一致するものである。
【0003】
そして、接続しようとする管体Pや構成物Kに接続具200を取り付け、互いの環状部202同士を中心線aの方向に並べて、互いの環状部202にわたってボルト203を通し、ナット204を螺合させることにより、互いの基準線bのなす角を所定の角度にした状態で、図18に示すように管体P同士が接続され、図19に示すように管体Pと構成物Kとが接続される。
【0004】
ここで、管体Pや構成物Kに接続具200を取り付ける場合、例えば以下のよう行われていた。なお、ここでは、接続具200を管体Pに取り付ける場合について説明するが、構成物Kに取り付ける場合も同様である。
(1)図20(a)に示すように、接続具200を管体Pに溶接する。すなわち、溶接部205によって、接続具200が管体Pに取り付けられる。
(2)図20(b)に示すように、管体Pにねじ切りをして管体Pを接続具200に締め付ける。すなわち、管体Pにねじ部206を形成して、このねじ部206を接続具200に形成したねじ部に締め付けることによって、接続具200が管体Pに取り付けられる。
(3)図20(c)に示すように、接続具200内に管体Pの先端を嵌合し、この状態で固定ねじ207を締め付けることにより、接続具200が管体Pに取り付けられる。
(4)図20(d)に示すように、接続具200内に管体Pの先端を嵌合し、この状態でボルト208を挿通させることにより、接続具200が管体Pに取り付けられる。
(5)図20(e)に示すように、接続具200内に管体Pの先端を嵌合し、この状態で、固定ねじ210によりベルト部209を介して本体部201の外周を締め付けることによって、接続具200が管体Pに取り付けられる。
【特許文献1】特開2003−90133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記(1)の溶接の場合、溶接部205によって固定するため、取り付け後の解体や再利用が困難であり、上記(2)のねじ切りの場合、取り付け時において、その設置状況に応じて、環状部202の基準線b周りの回転位置を変更、調整することができず設置の自由度が低下するという問題がある。
また、上記(1)の溶接、(2)のねじ切り、(4)のボルト止めの場合、取り付け後において、環状部202の基準線b周りの回転位置を変更、調整することはできない。
また、上記(3)や(5)のねじ止めの場合、取り付け時や取り付け後において、環状部202の基準線b周りの回転位置を変更、調整することはできるものの、取り付け後に回転位置を調整するとき、固定ねじ207,210を取り外すことにより、接続具200が管体Pから基準線b方向に外れ易くなってしまうだけでなく、固定後も固定ねじ207,210の脱落などにより接続具200が外れ易くなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、解体や再利用を可能にするだけでなく、取り付け時や取り付け後に、接続の自由度を向上させ、容易かつ強固に接続することができる接続具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、管体を他の管体又は他の構成物に接続するための接続具であって、環状部を有し、前記環状部を挿通する中心線と交差する基準線方向に延びる中空状の本体部と、前記本体部の内部において前記基準線方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、前記基準線方向に貫通する貫通孔を有する内部側連結部と、前記本体部の外部において前記基準線方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、前記基準線方向に貫通する貫通孔を有する外部側連結部と、前記内部側連結部の貫通孔と前記外部側連結部の貫通孔とにわたって挿通し、前記基準線方向に延ばされて、前記基準線方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられたボルトとを備え、前記基準線方向に延びる軸を中心として前記ボルトと前記内部側連結部とがともに回転するように前記ボルトと前記内部側連結部とを固定する第1の固定部が設けられ、前記基準線方向に延びる軸を中心として前記内部側連結部と前記外部側連結部とがともに回転するように前記内部側連結部と前記外部側連結部とを固定する第2の固定部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明においては、内部側連結部の貫通孔と外部側連結部の貫通孔とにわたってボルトが挿通した状態で、内部側連結部が本体部内において回転可能に支持される。また、ボルトと内部側連結部とが第1の固定部によって固定され、内部側連結部と外部側連結部とが第2の固定部によって固定される。この状態で、外部側連結部を回転させると、第2の固定部を介して内部側連結部が回転し、さらに第1の固定部を介してボルトが回転する。このとき、本体部と内部側連結部とは互いに回転可能であることから、取り付け時や取り付け後においても、ボルトを緩めた状態で、本体部を適切な回転位置に変更、調整することができる。
これにより、外部側連結部を回転させることによって本体部を容易かつ強固に取り付けることができるだけでなく、取り付け後においても、外部側連結部を回転させるだけで、ボルトを緩めることができ、本体部を容易に取り外したり、回転位置の調整を行うことができる。また、ボルトと取り付け先のねじ穴とが螺合した状態でボルトをわずかに緩めても、本体部が他の管体や構成物から直ちに外れることはないため、取り付けや取り付け後の調整などを容易に行うことができる。
【0009】
また、本発明は、環状に形成された環状部材と、前記他の管体又は前記他の構成物に形成された前記基準線方向に交差する方向に貫通する係止孔を介して、前記環状部材を挿通するピンとを備え、前記環状部材に、当該環状部材を挿通するピンと交差する方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記ボルトは、前記内部側連結部、前記外部側連結部及び前記環状部材のそれぞれの貫通孔を挿通して、前記環状部材の中に配されたナットに螺合することを特徴とする。
【0010】
この発明においては、環状部材の貫通孔にボルトを通してナットと螺合させた状態で、環状部材を管体内に配する。そして、係止孔及び環状部材にピンを通した状態で、外部側連結部を回転させる。すると、内部側連結部を介してボルトが回転し、ボルトの先端がナットにさらに締め込まれていく。すなわち、ボルトの頭部とナットとが基準線方向において互いに接近していく。これにより、ナットを介して、環状部材に本体部に対して引張り力が加えられ、環状部材が徐々に本体部に近づけられていく。
すると、ピンが環状部材の内周部に、あるタイミングで当接する。さらに、外部側連結部を介してボルトをナットに締め付けていくと、環状部材に対する引張り力と、ピンによる基準線方向の耐力とによって、本体部が管体に強固に取り付けられる。
これにより、本体部を容易かつ強固に取り付けることができるだけでなく、取り付け後においても、外部側連結部を回転させるだけで、ボルトを緩めることができ、本体部を容易に取り外したり、回転位置の調整を行うことができる。さらに、環状部材とピンとによって、本体部との離隔が規制されることから、取り付け時や調整時において、本体部が容易に取り外れてしまうことを防止することができる。
【0011】
また、本発明は、前記環状部材の内周部のうち、前記環状部材の貫通孔に対向する領域に、前記ピンを前記基準線方向に係合させる係合凹部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、本体部を管体や他の構成物に取り付けたときに、ピンを支持することができることから、より強固に管体同士又は管体と他の構成物とを接続することができる。
【0013】
また、本発明は、前記ピンは、長手方向の中央に形成された小径部と、前記長手方向の両端部において前記小径部よりも大径に形成された大径部とを備え、前記小径部の長さ寸法が、前記環状部材の厚さ寸法と略同等になっていることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、本体部を管体や他の構成物に取り付けたとき、また、調整のためにボルトを緩めたときも、ピンが長手方向に抜け易くなることを防止することができる。
【0015】
また、本発明は、前記環状部材の内周部に、面取りされた面取り部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、組立時にピンを環状部材内に容易に通すことができる。
【0017】
また、本発明は、前記環状部材の内周部のうち、前記環状部材の貫通孔の近傍に、前記ナットを支持する支持部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、ナットを支持することができ、取り付け作業を容易にするだけでなく、管体同士又は管体と他の構成物とをより強固に接続することができる。また、部材にねじ切りをする必要が無く、安価にできる。
【0019】
また、本発明は、前記第1の固定部は、前記ボルトの頭部を収容固定する収容凹部を備え、前記第2の固定部は、前記内部側連結部又は前記外部側連結部のいずれか一方に設けられた係合部と、前記内部側連結部又は前記外部側連結部の他方に設けられ、前記係合部に係合する被係合部とを備えることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、ボルトと内部側連結部とを強固に固定することができ、外部側連結部と内部側連結部とを強固に固定することができる。また、部材にねじ切りをする必要が無く、安価にできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、解体や再利用を可能にするだけでなく、取り付け時や取り付け後に、接続の自由度を向上させ、容易かつ強固に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態における接続具について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態としての接続具の設置状況の一例を示したものである。
まず、図1を参照して、接続具1の設置状況について説明する。
地面に、複数の支柱土台(他の構成物)2が埋め込まれており、支柱土台2の上端に管体Pが斜め上方に向けられた状態で接続されている。管体Pは、金属からなる丸パイプである。
また、格子状に連結された管体Pkが傾斜して立て掛けられており、それら格子状の管体Pkが、支柱土台2から延ばされた複数の管体Pの先端に接続されている。これにより、格子状の管体Pkは、傾斜した姿勢で支持されている。
なお、格子状の管体Pkには、太陽電池パネル3が固定されており、構造全体として太陽電池として機能する。
【0023】
次いで、このように設置される接続具1について説明する。
図2は、接続具1を利用して、管体Pと支柱土台2とが接続された様子を示す説明図である。
また、図3は、接続具1を部品ごとに分解して示す分解斜視図である。
以下では、支柱土台2に接続される接続具1について説明する。なお、図2における符号1aは、管体Pに取り付けるための接続具を示すものであるが、この接続具1aについては、第2の実施形態として後述する。
本実施形態における接続具1は、金属からなるものであり、図3に示すように、円錐状に形成された本体部5と、円板状に形成された内側円板部(内部側連結部)10と、円板状に形成された外側円板部(外部側連結部)11と、ボルト12とを備えている。
本体部5は、基準線B上に延ばされている。本体部5の頂上部には、円環状の環状部6が一体に形成されている。環状部6の中心を挿通する中心線Aは、基準線Bと直交する方向に向けられている。また、環状部6は、本体部5の頂上部において、中心線A方向の一方側に偏心して設けられている(図4に示す)。
また、本体部5は、図3及び図4に示すように、中空状に形成されており、内部に空洞部5aが形成されている。本体部5の底面には、矩形状の開口部5bが形成されている。そして、空洞部5aは、開口部5bを介して外方に開放されている。さらに、中心線A方向における開口部5bの開口寸法d1は、中心線A方向における空洞部5aの長さ寸法d2よりも小さくなっている。すなわち、本体部5内には、中心線A方向内方に互いに突出する段差支持部7が形成されている。
【0024】
また、内側円板部10は、外側円板部11よりも小径に形成されている。この内側円板部10の外径は、開口寸法d1よりも大きく、長さ寸法d2よりも小さくなっている。そして、内側円板部10は、図9に示すように、本体部5の空洞部5a内に配されるようになっている。すなわち、内側円板部10を斜めにしてその縁部から開口部5bを介して空洞部5a内に入れることにより、内側円板部10が空洞部5a内に配され、さらに、内側円板部10を基準線Bと直交する方向に向けて解放すると、内側円板部10の縁部が、段差支持部7に当接するようになっている。これら段差支持部7により、内側円板部10は、空洞部5a内において、基準線Bを回転中心として、回転可能に支持されるようになっている。
【0025】
さらに、内側円板部10の中央には、図5に示すように、厚さ方向に貫通する貫通孔10aが形成されている。この貫通孔10aにボルト12が挿通するようになっている。また、内側円板部10の一方の主面のうち、貫通孔10aの周りには、ボルト12の六角形状の頭部12aを収容固定する収容凹部(第1の固定部)13が形成されている。収容凹部13は、六角形状に形成されており、ボルト12の頭部12aが嵌合されるようになっている。そして、収容凹部13に頭部12aが収容固定されることにより、内側円板部10とボルト12とが、基準線Bを回転中心としてともに回転するようになっている。
また、図6に示すように、内側円板部10の他方の主面には、径方向内方に向かって矩形状に没する複数の被係合凹部(第2の固定部、被係合部)14が形成されている。複数の被係合凹部14は、内側円板部10の周方向に均等間隔を空けて配置されている。
【0026】
また、図7及び図8に示すように、外側円板部11の中央には、厚さ方向に貫通する貫通孔11aが形成されている。この貫通孔11aにボルト12が挿通するようになっている。外側円板部11の一方の主面には、厚さ方向に向けて矩形状に突出する複数の係合凸部(第2の固定部、係合部)15が形成されている。これら複数の係合凸部15は、外側円板部11の周方向に均等間隔を空けて配置されている。また、内側円板部10の他方の主面と、外側円板部11の一方の主面とを、基準線B軸上において所定の回転位置で重ね合わせると、係合凸部15と被係合凹部14とが互いに係合するようになっている。そして、係合凸部15と被係合凹部14とが係合することにより、内側円板部10と外側円板部11とが、基準線Bを回転中心としてともに回転するようになっている。
また、外側円板部11の外周面には、径方向内方に切り欠かれた複数の切欠部16が形成されている。これら複数の切欠部16は、外側円板部11の周方向に均等間隔を空けて配置されている。
なお、外側円板部11の径寸法は、本体部5の径寸法よりも大きくなっている。
【0027】
ボルト12は、内側円板部10の貫通孔10aと外側円板部11の貫通孔11aとにわたって挿通するようになっている。
このような構成のもと、内側円板部10の貫通孔11aにボルト12を挿通させた状態で、内側円板部10を空洞部5aに配することにより、ボルト12が本体部5から基準線B上に延ばされ、そのボルト12を外側円板部11の貫通孔11aに挿通させることにより、ボルト12、内側円板部10及び外側円板部11が、基準線Bを回転中心として、互いに相対回転することができるようになっている。さらに、その状態から、図9に示すように、ボルト12の頭部12aを収容凹部13に嵌合し、外側円板部11を内側円板部10に当接させて係合凸部15と被係合凹部14とを係合させることにより、ボルト12、内側円板部10及び外側円板部11が固定されて、これらボルト12、内側円板部10及び外側円板部11の基準線Bを回転中心とした互いの相対回転が規制されるようになっている。すなわち、この連結状態では、ボルト12、内側円板部10及び外側円板部11が本体部5に対して、すべて一体的に回転するようになっている。
【0028】
次に、このように構成された本実施形態における接続具1の使用方法について説明する。
まず、図9に示すように、上述のようにボルト12、内側円板部10及び外側円板部11を連結状態にし、外側円板部11の他方の主面から貫通孔11aを介して突出するボルト12の先端を、支柱土台2のねじ穴18に刺し込む。そして、外側円板部11を基準線Bを中心として回転させる。すると、その回転力が、係合凸部15及び被係合凹部14を介して、内側円板部10に伝達されて、内側円板部10が空洞部5a内において基準線Bを中心として回転する。さらに、内側円板部10の回転力は、収容凹部13を介してボルト12に伝達され、ボルト12も基準線Bを中心として回転する。すなわち、外側円板部11を回転させることにより、内側円板部10を介してボルト12が回転する。これにより、図10に示すように、ボルト12がねじ穴18に締め込まれていく。さらに、外側円板部11の切欠部16に工具(例えば、フックスパナなど)を設置し、その工具を使って、外側円板部11をさらに回転させて、ボルト12をねじ穴18にさらにねじ込み、これにより、本体部5が支柱土台2に強固に取り付けられる。
そして、図1に示すように、支柱土台2に取り付けられた本体部5と、管体Pに取り付けられた他の本体部5と環状部6を介してボルト締めすることにより、管体Pの軸線と本体部5の基準線Bとを所定の角度にした状態で、管体Pと支柱土台2とが強固に接続される。
【0029】
ここで、設置する現場の状況に応じて、複数の支柱土台2の設置位置は同一直線上からわずかに異なる位置や高さに設置されたり、また、格子状の管体Pkの設置位置や角度もわずかに異なることになる。
そのため、現場の状況に応じて、管体Pの向きや角度を調製する必要がある。特に、環状部6の中心線Aの向きを基準線B周りに変更、調整するために、本体部5を、基準線Bを中心として回転させる必要がある。
本実施形態における接続具1においては、図9に示すように、取り付け時には、ボルト12、内側円板部10及び外側円板部11と、本体部5とは、基準線Bを中心として相対回転可能であるから、環状部6を適切な方向に向けた状態で、外側円板部11を回転させることにより、本体部5を支柱土台2に容易に取り付けることができ、環状部6の向きがわずかにずれてしまっても、本体部5のみを、基準線Bを中心として回転させることにより、環状部6の向きを逐次補正することができる。
【0030】
また、本体部5の取り付け後においても、図11に示すように、工具を使って、外側円板部11を反対側に回転させることにより、内側円板部10を介してボルト12が回転し、ねじ穴18から緩められる。この状態で、本体部5を回転させることにより、環状部6の向きを容易に補正することができる。
さらに、解体するときにも、外側円板部11を回転させることにより、ボルト12をねじ穴18から容易に外すことができる。
【0031】
以上より、本実施形態における接続具1によれば、外方に露出した外側円板部11を回転させることにより、本体部5を迅速かつ容易に支柱土台2に取り付けることができる。また、本体部5を回転させることにより、環状部6の向きを容易に変更、調整することができる。
したがって、接続具1によれば、解体や再利用を可能にするだけでなく、取り付け時や取り付け後に、接続の自由度を向上させ、管体Pと支柱土台2とを容易かつ強固に接続することができる。
また、ボルト12とねじ穴18とが螺合した状態でボルト12をわずかに緩めても、本体部5が支柱土台2から直ちに外れることはないため、取り付けや取り付け後の調整などを容易に行うことができる。
また、収容凹部13が形成されていることから、ボルト12と内側円板部10とを強固に固定することができる。
さらに、係合凸部15と被係合凹部14とが形成されていることから、外側円板部11と内側円板部10とを強固に固定することができる。
【0032】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図12から図17は、本発明の第2の実施形態を示したものである。
図12から図17において、図1から図11に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
【0033】
本実施形態における接続具1aは、本体部5を管体Pに取り付けるためのものである。
図12及び図13に示すように、接続具1aは、第1の実施形態における各部品の他、金属からなる矩形環状の環状部材22と、金属からなるピン23とを備えている。
図14に示すように、環状部材22の一辺部22bには、その厚さ方向(基準線B方向)に貫通する貫通孔22aが形成されている。すなわち、貫通孔22aは、環状部材22の中心を挿通する中心線A1と直交する方向に貫通している。
また、環状部材22の一辺部22bに対向する一辺部22cの内周面には、基準線B方向外方に向けて没する係合凹部25が形成されている。さらに、環状部材22の側辺部22dの内周面のうち、貫通孔22aの近傍には、互いに接近する方向に突出する突出支持部(支持部)26が形成されている。これら突出支持部26は、環状部材22内においてナット28を貫通孔22aと同軸上に支持するためのものである。
また、環状部材22の側辺部22dの内周面には、突出支持部26から一辺部22cにかけて延びる面取り部29が形成されている。
【0034】
また、ピン23は、環状部材22を挿通するものであり、図15に示すように、長手方向の中央に配された小径部32と、この小径部32よりも大径に形成され小径部32の両端に配された大径部33とを備えている。これら小径部32及び大径部33は一体に形成されている。さらに、小径部32の長さ寸法d3は、係合凹部25の厚さ寸法d4(図13に示す)と同等になっている。そして、ピン23を、環状部材22内に挿通させることにより、ピン23の小径部32が係合凹部25に係合可能になっている。
【0035】
次に、このように構成された本実施形態における接続具1aの使用方法について説明する。
本体部5を管体Pに取り付ける場合、ボルト12、内側円板部10及び外側円板部11を連結状態にしてから、図16及び図17に示すように、外側円板部11の他方の主面から貫通孔11aを介して突出するボルト12の先端を、環状部材22の貫通孔22aに挿通させる。そして、ボルト12を回転させて、突出支持部26に支持されたナット28とボルト12とを螺合させる。これにより、環状部材22がボルト12を介して本体部5に仮止めされる。
この状態で、環状部材22を管体Pの中に挿入する。そして、管体Pの軸線と直交する方向に管体Pの周面を貫通するように形成された一対の固定穴35の間に、環状部材22が配されるようにする。さらに、管体Pの外方から、一対の固定穴(係止孔)35にわたってピン23を挿通させる。このとき、ピン23が環状部材22を通るようにする。この場合、面取り部29が形成されていることから、ピン23が環状部材22内に案内され、ピン23が環状部材22を通り易くなる。
また、このようにピン23を固定穴35及び環状部材22に通すと、本体部5と管体Pとを基準線B上において互いに離隔させようとしても、ピン23が環状部材22の一辺部22cの内周面に当接することにより、本体部5と管体Pとが、所定の距離以上離隔することが規制される。
【0036】
そして、ピン23を固定穴35に通した状態で、外側円板部11を回転させる。すると、内側円板部10を介してボルト12が回転し、ボルト12の先端がナット28にさらに締め込まれていく。すなわち、ボルト12の頭部12aとナット28とが基準線B上において互いに接近していく。これにより、ナット28を介して、環状部材22に本体部5に対して引張り力が加えられ、環状部材22が徐々に本体部5に近づけられていく。
すると、ピン23が環状部材22の一辺部22cに、あるタイミングで当接する。このとき、環状部材22の一辺部22cには、係合凹部25が形成されており、小径部32の長さ寸法d3が、係合凹部25の厚さ寸法d4と同等に設定されていることから、ピン23の小径部32がちょうど係合凹部25に係合される。そして、ピン23の両端には大径部33が形成されていることから、小径部32と大径部33との段差により、ピン23が長手方向に移動することが規制され、管体Pから外れ難くなる。
【0037】
さらに、外側円板部11を介してボルト12をナット28に締め付けていくと、環状部材22に対する引張り力と、ピン23による基準線B方向の耐力とによって、本体部5が管体Pに強固に取り付けられる。
それから、図12に示すように、この接続具1aを他の管体Pに取り付けられた他の接続具1aと接続することによって、互いの基準線Bを所定の角度にした状態で、管体P同士が接続される。
また、上記のように取り付けた後に、管体Pを取り外したり、基準線Bを中心として本体部5を回転させる場合にも、外側円板部11を介して、ボルト12を緩めることにより、本体部5を容易に取り外したり、本体部5の回転位置の調整を行うことができる。
【0038】
以上より、本実施形態における接続具1aによれば、解体や再利用を可能にするだけでなく、取り付け時や取り付け後に、接続の自由度を向上させ、容易かつ強固に接続することができる。
また、環状部材22にピン23が挿通していることから、本体部5と管体Pとが基準線B上に互いに離隔することが規制されているため、取り付け時や調整時などにおいて、本体部5が管体Pから外れてしまうことを防止することができる。
また、環状部材22に係合凹部25が形成されていることから、本体部5を管体Pに取り付けたときに、ピン23を支持することができ、より強固に管体P同士を接続することができる。
また、ピン23に小径部32及び大径部33が形成されていることから、本体部5を管体Pに取り付けたときに、ピン23が長手方向に抜け易くなることを防止することができる。
【0039】
また、環状部材22に面取り部29が形成されていることから、ピン23を環状部材22内に容易に通すことができる。
また、環状部材22に、突出支持部26が形成されていることから、ナット28を支持することができ、取り付け作業を容易にするだけでなく、管体P同士をより強固に接続することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る接続具の実施形態を示す図であって、接続具の設置状況を示す説明図である。
【図2】本発明に係る接続具の第1の実施形態を示す説明図である。
【図3】図2の接続具を示す分解斜視図である。
【図4】図2の本体部を透過して示す側面図である。
【図5】図2の内側円板部を一方の主面側から示す斜視図である。
【図6】図5の内側円板部を他方の主面側から示す斜視図である。
【図7】図2の外側円板部を一方の主面側から示す斜視図である。
【図8】図7の外側円板部を他方の主面側から示す斜視図である。
【図9】図2の接続具を支柱土台に取り付ける様子を示す説明図である。
【図10】図9の接続具を支柱土台に取り付けた様子を示す説明図である。
【図11】図10の接続具を支柱土台から緩めた様子を示す説明図である。
【図12】本発明に係る接続具の第2の実施形態を示す説明図である。
【図13】図12の接続具を示す分解斜視図である。
【図14】図13の環状部材を示す平面図である。
【図15】図13のピンを示す平面図である。
【図16】図12の接続具を管体に取り付けた様子を示す説明図である。
【図17】図16の接続具を別の角度から観た様子を示す説明図である。
【図18】管体同士を接続するための従来の接続具を示す斜視図である。
【図19】管体と他の構成物を接続するための従来の接続具を示す斜視図である。
【図20】従来の接続具を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1,1a 接続具
2 支柱土台(他の構成物)
5 本体部
6 環状部
10 内側円板部(内部側連結部)
10a 貫通孔
11 外側円板部(外部側連結部)
11a 貫通孔
12 ボルト
13 収容凹部(第1の固定部)
14 被係合凹部(第2の固定部、被係合部)
15 係合凸部(第2の固定部、係合部)
22 環状部材
22a 貫通孔
23 ピン
25 係合凹部
26 突出支持部(支持部)
28 ナット
29 面取り部
32 小径部
33 大径部
35 固定穴(係止孔)
A 中心線
B 基準線
P,Pk 管体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体を他の管体又は他の構成物に接続するための接続具であって、
環状部を有し、前記環状部を挿通する中心線と交差する基準線方向に延びる中空状の本体部と、
前記本体部の内部において前記基準線方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、前記基準線方向に貫通する貫通孔を有する内部側連結部と、
前記本体部の外部において前記基準線方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、前記基準線方向に貫通する貫通孔を有する外部側連結部と、
前記内部側連結部の貫通孔と前記外部側連結部の貫通孔とにわたって挿通し、前記基準線方向に延ばされて、前記基準線方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられたボルトとを備え、
前記基準線方向に延びる軸を中心として前記ボルトと前記内部側連結部とがともに回転するように前記ボルトと前記内部側連結部とを固定する第1の固定部が設けられ、
前記基準線方向に延びる軸を中心として前記内部側連結部と前記外部側連結部とがともに回転するように前記内部側連結部と前記外部側連結部とを固定する第2の固定部が設けられていることを特徴とする接続具。
【請求項2】
環状に形成された環状部材と、
前記他の管体又は前記他の構成物に形成された前記基準線方向に交差する方向に貫通する係止孔を介して、前記環状部材を挿通するピンとを備え、
前記環状部材に、当該環状部材を挿通するピンと交差する方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記ボルトは、前記内部側連結部、前記外部側連結部及び前記環状部材のそれぞれの貫通孔を挿通して、前記環状部材の中に配されたナットに螺合することを特徴とする請求項1に記載の接続具。
【請求項3】
前記環状部材の内周部のうち、前記環状部材の貫通孔に対向する領域に、前記ピンを前記基準線方向に係合させる係合凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の接続具。
【請求項4】
前記ピンは、長手方向の中央に形成された小径部と、前記長手方向の両端部において前記小径部よりも大径に形成された大径部とを備え、
前記小径部の長さ寸法が、前記環状部材の厚さ寸法と略同等になっていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の接続具。
【請求項5】
前記環状部材の内周部に、面取りされた面取り部が形成されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の接続具。
【請求項6】
前記環状部材の内周部のうち、前記環状部材の貫通孔の近傍に、前記ナットを支持する支持部が形成されていることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の接続具。
【請求項7】
前記第1の固定部は、前記ボルトの頭部を収容固定する収容凹部を備え、
前記第2の固定部は、前記内部側連結部又は前記外部側連結部のいずれか一方に設けられた係合部と、前記内部側連結部又は前記外部側連結部の他方に設けられ、前記係合部に係合する被係合部とを備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の接続具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−249855(P2009−249855A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96283(P2008−96283)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究 北杜サイトにおける大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【出願人】(000128083)株式会社 NTTファシリティーズ総合研究所 (42)
【Fターム(参考)】