説明

接続装置

【課題】 長年使用しても接続不良を生じない接続装置を提供する。
【解決手段】 第1基部12に配管14を取り付け、配管14の先端に接続具32を取り付、第2基部38に接続具40を固定し、配管14を基部12に対して相対的に摺動可能とするコイルバネ24を設け、配管14を基部12に対して相対的に揺動可能とする球体20と球面22とからなる球体継手とを、設け、接続具32を配管14に対して揺動可能にする球体30と球面34からなる球体継手を設け、離間時に接続具32を接続具40のほぼ軸線上に保持させるバネシリンダ28a、28bを、設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を接続する接続装置に関し、特に継手を用いたものに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような接続装置は、例えば貨車のような運搬台車を連結する連結器に設けられることがある。連結器による貨車の連結時に、互いの貨車に設けられている配管を接続する。このような接続装置の一例が、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されている接続装置では、互いに連結される2つの連結器本体にそれぞれ継手が設けられている。これら継手は配管にそれぞれ接続されている。継手の先端は、連結器本体の連結面にそれぞれ突出している。2つの連結器を連結したとき、それぞれの連結面が面接触し、連結面から突出している継手が接続される。
【0004】
【特許文献1】実開昭59−66665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような接続装置では、単に継手同士を接続しているだけであるので、長年の使用により、継手に芯ずれが生じ、接続不良になるという問題点があった。
【0006】
本発明は、長年使用しても接続不良を生じない接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による接続装置は、第1基部に取り付けられた配管と、この配管の先端に取り付けられた第1継手と、第2基部に固定された第2継手とを、備えたものである。配管は、例えば流体、具体的には空気用のものとすることができる。前記配管を第1基部に対して相対的に摺動可能にする摺動手段を設けると共に、前記配管を第1基部に対して相対的に揺動可能とする第1揺動手段とが、設けられている。第1継手を前記配管に対して揺動可能にする第2揺動手段が設けられ、離間時に第1継手を第2継手のほぼ軸線上に保持させる待機位置保持手段が設けられている。
【0008】
このように構成された接続装置では、例えば長年の使用により、第1及び第2継手の中心がずれたとき、第1揺動手段が、第1継手を第2継手と対向する位置に揺動させる。第2揺動手段は、第1継手の第1継手と第2継手との接続面が平行でなくなった場合、第1継手の接続面を第2継手の接続面と平行となるように第1継手を揺動させる。第1揺動手段によって揺動したとき、第1継手と第2継手との距離が変動すると、摺動手段が、この変動を吸収するように配管を摺動させる。これによって、第1及び第2継手間で中心のずれが生じても、このずれを自動的に調整することができる。
【0009】
第1揺動手段は、前記配管と第1基部との間に設けられた球面継手とすることができる。この場合、前記摺動手段は、前記球面継手に前記配管を摺動自在に配置すると共に、前記配管を第2継手側に押圧するバネからなる。
【0010】
第1及び第2継手の接続を、単にバネによって保持したなら、第2継手とバネの軸線とがなす角度が所定角度以上になると、バネによる第2継手方向に作用する押しつけ力が、配管の内部流体圧による離間方向の力よりも低くなり、接続状態を維持できなくなる。そのため、上記第2継手とバネの軸線とがなす角度が所定角度以内に制限される。上記のように球面継手の中に配管を摺動自在としたなら、摺動手段と第1揺動手段とを別々に配置するものに比して、制限されたスペース内で配管の長さを長くすることができる。これにより、第2継手と摺動手段のバネの軸線とがなす角度が所定角度以内に制限されていても、配管の長さを長くできるから、配管先端の移動範囲を大きくでき、第1及び第2継手のずれの許容範囲を大きくすることができる。
【0011】
前記待機位置保持手段を、2つのバネシリンダから構成することができる。この場合、一方のバネシリンダは、鉛直方向に対して傾斜した方向から第1継手を支える。他方のシリンダバネは、前記一方のシリンダバネと鉛直線対称となる前記鉛直方向に対して傾斜した方向から第1継手を支える。
【0012】
このように構成すると、第1及び第2の継手を接続しているときに、第1及び第2基部が振動しても、第1継手の高さ位置及び水平位置の変動を押させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明による接続装置では、長年使用しても、第1及び第2継手の接続不良が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施形態の接続装置2は、2台の台車、例えば貨車を連結する2台の連結器4、8にそれぞれ設けられている。これら連結器が互いに連結されたとき、2台の貨車それぞれに設けられている流体、例えばエアーの配管を、この接続装置2が接続する。
【0015】
接続装置2は、図1に示すように、一方の貨車に設けられている連結器4に第1接続部6を有し、他方の貨車に設けられている連結器8に第2接続部10を有している。
【0016】
第1接続部6は、図2に示すように、連結器4の下方に結合された第1基部12を備えている。第1基部12は、図3に示すように前後方向に開口した矩形の枠状に形成されている。第1基部12の上壁12aが、図2に示すように後方に突出し、その後端には、上壁12aと垂直にかつ下方に向かう垂直壁12bが取り付けられている。
【0017】
第1基部12内における上壁12aの近傍にその前後方向に沿い、かつほぼ水平に配管14が配置されている。配管14は、例えば円管で、その後端は、上壁12aの後端付近に位置し、前端は、第1基部12よりも前方に突出している。配管14の後端には、別のエア供給用のホース16が継手18を介して接続されている。配管14の後端より幾分前方側に寄った位置の全周囲は、第1の揺動手段、例えば球面継手の一部を構成するための球体20に挿通されている。この球体20は、垂直壁12bに形成され、球面継手の他の部分を構成する球面受け部22内に嵌められている。この球面継手によって、任意方向に揺動可能である。なお、配管14は、球体20が嵌められている状態においても、その長さ方向に摺動可能である。
【0018】
配管14は、その前端よりも幾分後方に寄った位置で、段を形成するようにその外径が拡大されている。この段には、支持体、例えば板状のバネ受け24が嵌められている。このバネ受け24と垂直壁12bとの間に、摺動手段、例えばバネ、具体的にはコイルバネ26が配管14の周囲を包囲するように配置されている。このコイルバネ26は、配管14を前方に押圧する押圧力をバネ受け24を介して配管14に付与している。
【0019】
バネ受け24には、図3に示すように、待機位置保持手段、例えばバネシリンダ28a、28bが設けられている。バネシリンダ28aは、配管14の中心軸が通る鉛直面に対して所定の角度、例えば鋭角をなすように、その一端がバネ受け24の上側に結合され、他端が第1基部12内の固定台29aに結合されている。バネシリンダ28bは、バネシリンダ28aと、上記鉛直面を対称軸として線対称に配置され、その一端がバネ受け24の上側に結合され、他端が第1基部12内の固定台29bに結合されている。なお、図2には、バネシリンダ28aの一端のバネ受け24への結合部分のみを示してある。これらバネシリンダ28a、28bによって配管14が、図2に示すようにほぼ水平に支持されている。そして、配管14の位置が、その上下方向及び水平方向に移動すると、バネシリンダ28a、28bの作用によって元の位置に復帰する。
【0020】
配管14の前端は、第2の揺動手段、例えば球面継手の一部を構成する球体30に形成されている。この球体30は、第1継手、例えば接続具32内に設けられ、球面継手の他の部分を構成する球面34と面接触している。これによって配管14は、その前端において接続具32に対して揺動可能である。なお、接続具32は、配管14の内孔と連通し、前方に突出しているコネクタ36を有している。
【0021】
第2接続部10は、図4に示すように、連結器8の下部に、第2基部38を有している。第2基部38も、第1基部12と同様に前後方向がそれぞれ開口した矩形の枠状体に形成されている。第2基部38の上壁38aには、第2継手、例えば接続具40が設けられている。接続具40は、その連結器4側を向く面に、接続具32の先端が挿入される凹面42を有し、その中央にコネクタ36と接続されるコネクタ44を有している。コネクタ44は、図1に示すように、継手46を介してホース48に接続されている。これら接続具32、40は、それぞれの中心が同一の所定位置に位置するように形成されている。
【0022】
このように構成された接続装置では、図1に示すように連結器4、8が連結された際に、接続具32の先端が、接続具40の凹面42に接触し、コネクタ36、44が接続される。この接続の際、バネシリンダ28a、28bを配管14に対して設けてあるので、配管14の位置を所定位置に保持することができ、接続を容易に行える。この接続状態では、接続具32、40の軸線が一致している。この両者の接続は、コイルバネ26の押圧力によって維持されている。
【0023】
図5(a)は、図1に示す接続状態を略図で示したもので、この状態において例えば接続具40が上方向に移動したとする。この移動につれて、同図(b)に略図で示すように接続具32も移動する。このとき、配管14の後端に球体30と球面32とによって球体継手が形成されているので、配管14も球体30の球心を中心として回転する。このとき、配管14の前端と球体34とが接続具32と共に接続具40から離れようとするとが、配管14が球体20に摺動可能に設けられている上に、コイルバネ26によって接続具32側に押圧されているので、配管14と球体34とは、図5(b)に矢印で示すようにコイルバネ26の押圧力によって摺動し、接続具32、40の接続状態がずれることはない。なお、配管14の前端の球体30と接続具32の球面34とによって球体継手が形成されているので、接続具32の移動に、配管14の前端も追従する。
【0024】
接続具が下方方向に移動した場合、配管14の径方向(図5における紙面の表面方向または裏面方向)に移動した場合でも、同様にして接続具32、40の接続がずれることはない。
【0025】
また、接続具32、40の接続は、コイルバネ26の押圧力によって保持されている。従って、接続具40とコイルバネ26の軸線とがなす角度が所定角度θ以上になると、コイルバネ26による押圧力が、接続具32、40の内部を流れる流体の圧力による接続具32、40を引き離そうとする方向の力よりも低くなり、接続具32、40の接続状態を維持することができなくなる。ところで、この実施の形態では、球体20の内部を配管14が摺動自在に設けてあるので、制限されたスペースしか無い接続装置において、配管14の長さを長くすることができる。これによって、図6に示すように上記所定角度θをなすまでに接続具32、40が移動することができる距離Dは、長さが短い配管14aを用いた場合に上記所定角度θをなすまでに接続具32、40が移動することができる距離dよりも大きくすることができる。従って、接続具32、40のずれの許容範囲を大きくすることができる。
【0026】
上記の実施の形態では、流体用の配管のみをこの接続装置に設けたが、これに加えて電気系の配線を接続する接続具を設けることもできる。また、上記の実施の形態では、バネシリンダ28a、28bは、バネ受け24の上部に結合したが、バネ受け24の下部に固定することもできるし、或いは配管14にバネ受けとは別にバネシリンダ28a、28b用の固定部を設けることもできる。また、上記の実施の形態では、第1及び第2の揺動手段として球体と球面とからなる球体継手を使用したが、これに限ったものではなく、3次元それぞれの方向に揺動自在な継手であれば種々のものを使用することができ、例えばユニバーサルジョイントを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の1実施形態の接続装置の使用状態を示す部分省略及び破断側面図である。
【図2】図1の接続装置の第1の接続部の部分省略及び破断側面図である。
【図3】図2の第1の接続部の部分省略正面図である。
【図4】図1の接続装置の第2の接続部の部分省略及び破断側面図である。
【図5】図1の接続状態と及び接続部が移動した状態とを示す略図である。
【図6】図1の接続装置と、他の接続装置とを使用した場合における接続装置のずれの許容範囲の違いを説明するための略図である。
【符号の説明】
【0028】
2 接続装置
4 8 連結器
6 第1接続部
10 第2接続部
12 第1基部
14 配管
20 球体(第1揺動手段)
22 球面(第1揺動手段)
26 コイルバネ(摺動手段)
28a 28b バネシリンダ(待機位置保持手段)
30 球体(第2揺動手段)
32 接続具(第1継手)
34 球面(第2揺動手段)
40 接続具(第2継手)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基部に取り付けられた配管と、この配管の先端に取り付けられた第1継手と、第2基部に固定された第2継手とを、備えた接続装置において、
前記配管を第1基部に対して相対的に摺動可能にする摺動手段を設けると共に、前記配管を第1基部に対して相対的に揺動可能とする第1揺動手段とを、設け、第1継手を前記配管に対して揺動可能にする第2揺動手段を設け、離間時に第1継手を第2継手のほぼ軸線上に保持させる待機位置保持手段とを、設けたことを特徴とする接続装置。
【請求項2】
請求項1記載の接続装置において、第1揺動手段は、前記配管と第1基部との間に設けられた球面継手であり、前記摺動手段は、前記球面継手に前記配管を摺動自在に配置すると共に前記配管を第2継手側に押圧するバネからなることを特徴とする接続装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の接続装置において、前記待機位置保持手段は、2つのバネシリンダからなり、一方のバネシリンダは、鉛直方向に対して傾斜した方向から第1継手を支え、他方のシリンダバネは、前記一方のシリンダバネと鉛直線対称となる前記鉛直方向に対して傾斜した方向から第1継手を支えることを特徴とする接続装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−312964(P2006−312964A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−135775(P2005−135775)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】