説明

揺動型減衰装置およびそれを備えたベルトテンショナ装置

【課題】揺動型減衰装置の部品点数およびシール箇所を減らして、製造コストの低減化および信頼性ならびに耐久性の向上に寄与できるようにする。
【解決手段】ケーシング12,16の複数の内部空間に揺動ピストン51の区画部51a,51aを配置して該各内部空間をそれぞれ揺動方向に分割された2つの流体室C1,C2に区画する一方、揺動方向に相隣る内部空間の間で揺動方向に相隣る両流体室C1,C2間を互いに連通する複数の連通路52を形成し、これら流体室C1,C2および連通路52に磁気粘性流体Fを充填し、各連通路52内の磁気粘性流体Fに磁界を印加して剪断応力を変化させることで、揺動ピストン51の相対揺動に対する減衰力を変化させるようにした揺動型減衰装置において、揺動ピストン51とケーシング12,16との間の隙間の全ての領域のうち、少なくとも一部の隙間領域により各連通路52を構成するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印加される磁界に応じて剪断応力が変化する磁気粘性流体を用いてケーシングと揺動ピストンとの間の相対揺動に対する減衰力を変化させるようにした揺動型減衰装置に関し、特に剪断応力による減衰力を十分に活用するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、磁気粘性流体を用いた従来の揺動型減衰装置としては、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
このものは、円筒状をなすケーシングの内部空間に、円筒状要素およびピストン羽根からなる揺動ピストンを配置して該内部空間を第1および第2の2つの流体室に区画する一方、円筒状要素の周りに断面円弧状のスリーブおよび絶縁層を配置してケーシングに一体に設けることで、スリーブとケーシングとの間に両流体室同士を連通する断面円弧状の隙間からなる連通路を形成し、これら第1および第2流体室ならびに連通路に、液圧流体としての磁気レオロジー液体(磁気粘性流体)を充填するようになされている。
【0004】
そして、連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加することで、該連通路内の磁気粘性流体の剪断応力を増加させて見掛け上の粘度を高くし、これにより、連通路内における磁気粘性流体の通過抵抗を大きくすることで、ケーシングに対する揺動ピストンの相対回動を減衰させるようになされている。
【特許文献1】特表2002−524703号公報(第6〜7頁,図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の場合には、磁気回路を形成するのにスリーブおよび絶縁層という2つの部品と、それらの部品をケーシングに組み付ける工程とが必要であるために、その分だけ、製造コストがかさむ。
【0006】
また、ケーシング内にスリーブおよび絶縁層の配置スペースを確保する必要があるために、コンパクト化が困難である。
【0007】
さらに、揺動ピストン周りの全ての隙間領域をシールしなければならず、減衰特性に対する信頼性や耐久性の点で改良の余地がある。
【0008】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ケーシング内に揺動ピストンを配置して内部空間を2つの流体室に区画する一方、それら両流体室同士を連通路により連通させ、これら流体室および連通路に磁気粘性流体を充填し、連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加することでケーシングに対する揺動ピストンの相対揺動を減衰させるようにした揺動型減衰装置において、連通路の配置に見直しを加えることで、部品点数およびシール箇所を減らし、もって、製造コストの低減化ならびに信頼性および耐久性の向上に寄与できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成すべく、本発明では、揺動ピストンとケーシングとの間に生じる隙間に着目し、この隙間の全ての領域のうち、少なくとも一部の隙間を連通路に利用することで、部品点数およびシール箇所を減らすようにした。
【0010】
具体的には、本発明に係る揺動型減衰装置では、軸心の周りに周方向に並ぶように配置された複数の内部空間を有するケーシングと、各々、上記各内部空間に該内部空間を周方向に分割された2つの流体室に区画するように配置された複数の区画部を有していて、上記軸心回りの第1および第2の2つの回動方向において揺動可能に設けられた揺動ピストンと、上記周方向に相隣る各2つの上記内部空間の間で周方向に相隣る2つの流体室をそれぞれ互いに連通する複数の連通路と、上記複数の内部空間および上記複数の連通路に充填されていて、印加される磁界に応じて粘度を変化させる磁気粘性流体と、上記複数の連通路のうちの少なくとも1つの連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加する印加手段とを備えている場合に、上記複数の連通路のうちの1つ以上の連通路は、上記揺動ピストンと上記ケーシングとの間の全隙間領域のうちの少なくとも一部の隙間領域により構成されているものとする。
【0011】
尚、上記の構成において、揺動ピストンを、軸心を中心とする回転対称形状に形成することができる。
【0012】
また、揺動ピストンが、軸心上に配置された軸部を有する場合に、各連通路を、揺動ピストンの軸部とケーシングとの間に形成された隙間領域の少なくとも一部からなるものとすることができる。
【0013】
また、連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加する磁気回路が形成されるように磁力を発生するために印加手段が有する磁力発生部は、ケーシング側に配置してもよいし、揺動ピストンの軸部上に配置してもよい。その際に、各連通路を、複数の印加領域と、少なくとも1つの非印加領域とに軸方向において分割するとともに、磁力発生部を、各連通路における複数の印加領域のみを磁力線が通る磁気回路を形成するように構成する場合には、各連通路内に、該各連通路内の非印加領域における磁気粘性流体の通過を規制する規制部を設けると好適である。
【0014】
さらに、上記構成の揺動型減衰装置は、ベルトテンショナ装置など、任意の装置に組み込んで用いることができる。具体的には、例えば、伝動ベルトを押圧するための押圧部を有していて、上記固定部に揺動軸心回りの2つの回動方向において揺動可能に支持された揺動部と、これら固定部と揺動部との間に介装されていて、該固定部に対し揺動部を押圧部が伝動ベルトを押圧する回動方向に向かって常時付勢する付勢手段と、上記揺動部の回動を減衰させる減衰手段とを備えたベルトテンショナ装置の場合に、上記の減衰手段としては、上記の揺動型減衰装置から選んで用いることができる。この場合、上記揺動型減衰装置のケーシングは、上記固定部および上記揺動部のうちの一方に連結され、上記揺動型減衰装置の揺動ピストンは、上記固定部および上記揺動部のうちの他方に連結されることになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ケーシングの複数の内部空間を揺動ピストンの有する複数の区画部によりそれぞれ2つの流体室に区画する一方、相隣る内部空間間において相隣る流体室同士をそれぞれ複数の連通路により連通し、これら流体室および連通路に磁気粘性流体を充填し、複数の連通路のうちの少なくとも1つの連通路内の磁気粘性流体に印加手段により磁界を印加して剪断応力を変化させることで、ケーシングに対する揺動ピストンの相対揺動を減衰させるようにした揺動型減衰装置において、揺動ピストンとケーシングとの間に生じる隙間の全領域のうちの少なくとも一部の隙間領域を上記連通路として利用するようにしたので、揺動ピストン周りの隙間以外に新たな隙間を設け、その隙間により連通路を構成するようにする従来の場合に比べ、部品点数および部品組付工程を少なくして製造コストの低減に寄与することができるとともに、揺動ピストン周りのシール領域を少なくして信頼性および耐久性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0017】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るベルトテンショナ装置の全体構成を示しており、このベルトテンショナ装置は、自動車用エンジンの出力トルクの一部を1本の伝動ベルトを介して複数の補機に伝達するようにしたサーペンタインレイアウトのベルト伝動装置において伝動ベルトに所定の張力を付与するために使用される。
【0018】
このベルトテンショナ装置は、エンジン側に固定される固定部10と、この固定部10に、所定の揺動軸心P回りの2つの回動方向において揺動可能に支持された揺動部20とを備えている。揺動部20には、伝動ベルト(図示せず)を押圧するためのテンションプーリ30が取り付けられている。このテンションプーリ30は、揺動軸心Pに平行な軸心Q回りに回転可能に揺動部20に支持されている。
【0019】
固定部10と揺動部20との間には、テンションプーリ30が伝動ベルトを押圧する回動方向に向かって固定部10に対し揺動部20を常時付勢する捻りコイルばね40が介装されている。また、固定部10と揺動部20との間には、固定部10に対する揺動部20の揺動を減衰させるための揺動型ダンパ50が設けられている。
【0020】
固定部10は、円盤状のベース部材11を有する他、図2および図3にも示すように、凹部が設けられた第1部材12と、この第1部材の凹部の開口を覆う蓋の役目を担う第2部材16とを有する。ベース部材11の周縁部の複数箇所には、それぞれ、雌ねじが形成されたボルト螺着孔11aが軸方向に貫通するように設けられている。また、ベース部材11における揺動部20側の面(図1の下側の面)の中央部分には、揺動軸心Pに直交する方向に延びる断面方形状の凹溝部11bが設けられている。ここで、第1部材12および第2部材16は、本発明におけるケーシングを構成する。
【0021】
第1部材12の凹部の周壁部13は、揺動軸心Pを挟んで径方向に相対向する部位がそれぞれ揺動軸心P側から半径方向外方に向かって周方向に拡がる断面略扇形に形成されている。周壁部13によりそれぞれ扇形に形成された2つの扇形部分は、揺動軸心Pの部分で互いに繋がっている。揺動軸心Pの近傍における周壁部13は、揺動軸心Pを中心とする断面円弧状に形成されている。一方、周壁部13の半径方向外方部分も、揺動軸心Pを中心とする断面円弧状に形成されている。凹部の底壁部14中央には、該底壁部14を軸方向に貫通する断面円形状の軸孔12aが設けられている。また、第1部材12は、揺動軸心Pを中心とする円環状の取付部15を有する。この取付部15は、周壁部13における外周側断面円弧状部分では凹部の開口縁を形成している。取付部15の外周部位は、半径方向外方に向かって突出する鍔状に形成されている。この取付部15の鍔部における周方向の複数箇所には、それぞれ、該取付部15を軸方向に貫通するボルト挿通孔12bが上記ベース部材11のボルト螺着孔11aに対応するように設けられている。
【0022】
第2部材16は、第1部材12の凹部を覆う蓋部17を有する。この蓋部17は、各々、略扇形形状をなす2つの部分が各扇形の中心部同士で結合された形状をなしている。また、第2部材16は、第1部材12の取付部15に対応する円環状の取付部18を有する。この第2部材16には、蓋部17の長手方向と揺動軸心Pとに直交する方向に並ぶように2つの開口部が形成されている。各開口部は、揺動軸心P側から半径方向外方に向かって周方向に拡がる略扇形形状をなしている。また、第2部材16における第1部材12側の面の中央には、断面円形状の軸受穴16aが設けられている。さらに、取付部18の外周部位の輪郭形状は第1部材12の取付部15の外周部位の輪郭形状に一致しており、その外周部位における周方向の複数箇所には、それぞれ、該外周部位を軸方向に貫通するボルト挿通孔16bが上記ベース部材11のボルト螺着孔11aに対応するように設けられている。そして、第1部材12のボルト挿通孔12bおよび第2部材16のボルト挿通孔16bに挿通されたボルト19の軸部がベース部材11のボルト螺着孔11aに螺着されており、このことで、第1部材12および第2部材16はベース部材11に一体に結合されている。
【0023】
一方、揺動部20は、外周縁が固定部10の第1部材12の外周縁よりも半径方向内方に位置する円形平板状の円板部21と、この円板部21の周縁に固定部10の側(図1の上側)に向かって突出するように周設された周壁部22と、円板部21の外周から半径方向外方に向かって突出するように設けられたアーム部23とを有する。アーム部23の突出端には、揺動軸心Pに平行でかつ固定部10側に向かって延びる枢支部23aが設けられており、テンションプーリ30は、この枢支部23aに揺動軸心Pに平行な軸心Q回りに回転可能に枢支されている。
【0024】
上記揺動部20の円板部21の中央部分には、揺動軸心Pに沿って延びるように配置された軸部材24が固定部10の側に向かって突出する状態に揺動一体に取り付けられている。この軸部材24の先端部は、断面テーパ状に形成されており、固定部10の第1部材12の軸孔12aを貫通した後、該固定部10の第2部材16の軸受穴16a内に係入している。その際に、第1部材12の軸孔12a内には、内輪と外輪との間に複数個のボールが介装されてなるボールベアリング25が外輪において圧入されている。そして、軸部材24は、このボールベアリング25の内輪に回転一体に連結されており、このことで、軸部材24は、揺動軸心P回りに揺動可能なようにラジアル方向において固定部10に支承されている。また、第2部材16の軸受穴16a内には、軸部材24の先端部のテーパ面に摺接する摺動材からなる円環状のスラスト軸受26が配置されている。そして、軸部材24は、このスラスト軸受26を介して、揺動軸心P回りに揺動可能なようにスラスト方向において固定部10に支承されている。これらにより、揺動部20は、固定部10に軸部材24を介して揺動軸心P回りに揺動可能に支持されている。
【0025】
さらに、固定部10の第1部材12と、揺動部20の円板部21との間に形成された円環状の隙間空間には、固定部10に対し揺動部20をテンションプーリ30がベルトを押圧する回動方向に向かって常時付勢する捻りコイルばね40が介装されている。この捻りコイルばね40は、コイル部が固定部10の第1部材12上に套嵌されている。コイル部の固定部10側のタングは固定部10に設けられた図外の係止部により周方向において移動不能に係止されている。コイル部の揺動部20側端部は揺動部20の円板部21上における周壁部22の半径方向内方に位置しており、揺動部20側のタングは、揺動部20に設けられた図外の係止部により周方向において移動不能に係止されている。図示する例では、捻りコイルばね40のコイル部は左巻きとされており、テンションプーリ30が図1の奥側から同図の手前側に向かう回動方向に揺動部を付勢するようになっている。つまり、軸方向における揺動部とは反対の側から見た場合、時計回り方向がベルト押圧方向であり、反時計回り方向が反ベルト押圧方向である(図4参照)。
【0026】
そして、本実施形態では、固定部10と揺動部20との間に、揺動部20の揺動を減衰する揺動型ダンパ50が設けられている。
【0027】
具体的には、この揺動型ダンパ50は、第1部材12および第2部材16をケーシングとしており、このケーシング内には、各々、揺動軸心Pから半径方向外方に向かって延びかつ周方向に拡がる断面略扇形の2つの内部空間が揺動軸心Pを中心とする点対称形状に形成されている。
【0028】
また、上記の各内部空間には、それぞれ、該内部空間を周方向に分割された第1流体室C1および第2流体室C2に区画する区画部51aが配置されている。これら区画部51a,51aは、軸部材24に揺動一体に連結されている。尚、図示する例では第1流体室C1はベルト押圧方向側に、また第2流体室C2は反ベルト押圧方向側に位置している。ここで、区画部51a,51aと、軸部材24において上記両内部空間に対応する部位である軸心部位51bとは、揺動ピストン51を構成している。
【0029】
さらに、第1部材12の周壁部13における揺動軸心P周りの2箇所の部分は、それぞれ、該揺動軸心Pを中心としかつ半径が軸心部位51bの半径よりも僅かに大きい断面円弧状に凹設されていて、揺動ピストン51の軸心部位51bの外周面との間に、断面円弧状の隙間を形成するようになされている。この2つの隙間は、それぞれ、軸心部位51bの軸方向長さと略同じ寸法を軸方向における幅寸法とされていて、一方の内部空間の第1流体室C1と他方の内部空間の第2流体室C2とを互いに連通する連通路52と、一方の内部空間の第2流体室C2と他方の内部空間の第1流体室C1とを互いに連通する連通路52とされている。
【0030】
その上で、各第1流体室C1,第2流体室C2および連通路52には、印加された磁界に応じて剪断応力を変化させる磁気粘性流体Fが充填されている。また、第1部材12の軸孔12a内には、磁気粘性流体Fが軸孔12aを通って外部空間に漏出しないように軸部材24に摺接してシールするシール材27が配置されている。また、さらに、揺動ピストン51と固定部10との間に形成される隙間の全ての領域のうち、揺動ピストン51の軸心部位51b周りに位置する隙間領域以外の隙間領域では、第1および第2流体室C1,C2間における磁気粘性流体Fの洩れを抑えるシール装置(図示せず)が設けられている。ここで、「磁気粘性流体」とは、粒子径が0.5〜100μmである磁性粒子を炭化水素系やシリコーン系などの媒体に分散含有させてなるものであり、粒子径が1〜100nmと相対的に小さい磁性粒子を媒体に分散含有させてなる「磁性流体」とは、分散のさせ方や減衰特性が大きく異なっており、また、適用分野も大きく異なっている。
【0031】
一方、固定部10には、各連通路52内の磁気粘性流体Fに磁界を印加する磁気回路を形成するための磁力を発生する電磁石53が組み付けられている。この電磁石53は、略U字状の鉄心部53aと、この鉄心部53aに巻き付けられた導電線からなるコイル部53bとからなっており(図2参照)、該電磁石53の両端部は、両磁極部が第2部材16の2つの開口部を経由してそれぞれ半径方向において各連通路52に対応する位置に位置付けられるように配置されている。また、各端部の先端に形成される各々の磁極部は、互いに接近する方向に向かって突出する形状をなしているとともに、その端面が連通路52をその通路幅(軸方向幅)の略全体に亘って覆うように設けられている。
【0032】
この電磁石53のコイル部53bは、該コイル部53bに電流を供給する電源部56に接続されている。そして、電源部56から給電されて電磁石53が磁力を発生することにより、揺動ピストン51の軸心部位51bを略径方向に通る磁力線が2つの連通路52,52をその通路幅全体に亘って略半径方向に貫通する磁気回路が形成されるようになされており、この磁気回路により、各連通路52内の磁気粘性流体Fにそれぞれ磁界が印加されるようになっている。ここで、電磁石53および電源部56は、本発明における印加手段を構成している。
【0033】
また、本実施形態では、揺動型ダンパ50のケーシングおよび揺動ピストン51は、共に各重心が揺動軸心P上に位置付けられるように設けられている。
【0034】
ここで、本ベルトテンショナ装置において、電磁石53に対し、電源部56による給電がON・OFFされたとき、つまり、揺動型ダンパ50の連通路52内の磁気粘性流体Fに対する磁界の印加がON・OFFされたときに揺動部20の揺動に作用する揺動型ダンパ50の減衰力の変化を、図5(a)に模式的に示す変位量(回動量)と減衰力との関係を示す特性図に基づいて説明する。
【0035】
尚、図5では、変位の変化を示す横軸については、揺動部20が反ベルト押圧方向に回動するときの変位量を「プラス」、ベルト押圧方向に回動するときの変位量を「マイナス」とし、一方、減衰力の変化を示す縦軸については、揺動部20が反ベルト押圧方向に回動するときの減衰力を「プラス」、ベルト押圧方向に回動するときの減衰力を「マイナス」(したがって、その絶対値が、ベルト押圧方向に回動するときの減衰力となる)としてそれぞれ示している。また、特性を表す実線(太い実線および細い実線)中の矢印は、その特性の経時的変化の方向を示している。つまり、特性は、揺動部20が反ベルト押圧方向に回動するときには変位の「プラス」側(同図の右側)に向かって経時的に変化し、一方、揺動部20がベルト押圧方向に回動するときには変位の「マイナス」側(同図の左側)に向かって経時的に変化する。
【0036】
磁界の印加がONであるとき、揺動型ダンパ50の連通路52内における磁気粘性流体Fは、その剪断応力を増加させ、その結果、見掛け上の粘度が高くなる。これにより、連通路52における磁気粘性流体Fの通過抵抗は、磁界の印加がOFFであるときに比べて大きくなるので、その分だけ、揺動ピストン51は、該揺動ピストン51の回動方向前側に位置する流体室C1,C2内の磁気粘性流体Fの圧力を受ける。具体的には、揺動部20がベルト押圧方向に回動するときには第1流体室C1内の磁気粘性流体Fの圧力を受け、一方、揺動部20が反ベルト押圧方向に回動するときには第2流体室C2内の磁気粘性流体Fの圧力を受ける。よって、図5(a)に細い実線で示すように、磁界の印加がONであるときの揺動部20の揺動に対する揺動型ダンパ50の減衰力は、同図(a)に太い実線で示す磁界の印加がOFFであるときの減衰力に比べて、何れの回動方向においても大きくなる。
【0037】
さらに、本ベルトテンショナ装置は、図4に示したように、揺動部20の揺動位置を検出する検出手段としての検出センサ60と、この検出センサ60により検出された揺動部20の揺動位置に関するデータに基づいて、揺動部20の回動方向,回動速度,回動角度などを演算し、その演算結果に基づいて、電磁石53に対する電源部56の給電量を制御する制御手段としての制御部61とを備えている。具体的には、制御部61は、図5(b)に模式的に示すように、揺動部20がベルト押圧方向に回動するときには、該揺動部20の回動に対する揺動型ダンパ50の減衰力が小さくなるように電源部56を制御(電源OFF)し、一方、揺動部20が反ベルト押圧方向(同図の反時計回り方向)に回動するときには、該揺動部20の回動に対する揺動型ダンパ50の減衰力が大きくなるように電源部56を制御(電源ON)する。
【0038】
次に、上記のように構成されたベルトテンショナ装置の作動について説明する。
【0039】
ベルトテンショナ装置の揺動部20は、捻りコイルばね40の付勢力により、テンションプーリ30がベルトを押圧する方向に常時付勢されているので、基本的には、ベルト張力が低下したときにベルト押圧方向に回動してベルト張力を回復させ、ベルト張力が増加したときに反ベルト押圧方向に回動してそのベルト張力の増加分を吸収するように作動する。つまり、ベルト張力の増減に応じて揺動する。ところが、その際に、揺動部20は、ベルト張力の増減変化に僅かに遅れて回動することから、単にベルト張力の変動に追従して作動するだけでは、ベルト張力の変動を逆に増幅する虞がある。
【0040】
そこで、本ベルトテンショナ装置では、揺動部20がベルト押圧方向に回動するときには、その回動に対する揺動型ダンパ50の減衰力が小さくなり、一方、揺動部20が反ベルト押圧方向に回動するときには、その回動に対する揺動型ダンパ50の減衰力が大きくなるように作動する。
【0041】
具体的には、制御部61では、検出センサ60の検出信号に基づいて揺動部20の回動方向を算出し、揺動部20がベルト押圧方向に回動していると判定したときには、電磁石53に対する電源部56の給電をOFFにする。これにより、電磁石53は磁力を発生せず、各連通路52内の磁気粘性流体Fに磁界が印加されないので、各連通路52内における磁気粘性流体Fの通過抵抗は最小になる。よって、揺動部20のベルト押圧方向への回動に伴い、揺動ピストン51がそれぞれ各第1流体室C1の容積を減少させるとともに、各第2流体室C2の容積を増加させる方向の回動は比較的速やかに行われることとなる。
【0042】
一方、揺動部20が反ベルト押圧方向に回動していると判定したときには、電磁石53に対する電源部56の給電をONにする。これにより、電磁石53が磁力を発生し、各連通路52内の磁気粘性流体Fに磁界が印加されるので、各連通路52内における磁気粘性流体Fの剪断応力が大きくなり、各連通路52内における磁気粘性流体Fの通過抵抗は最大になる。よって、揺動部20の反ベルト押圧方向への回動に伴い、揺動ピストン51が各第2流体室C2の容積を減少させるとともに、各第1流体室C1の容積を増加させる方向の回動は比較的緩慢に行われることとなる。
【0043】
したがって、本実施形態によれば、固定部10に対し揺動部20をテンションプーリ30がベルトを押圧する方向に捻りコイルばね40により回動付勢するようにしたベルトテンショナ装置において、揺動部20の揺動を減衰するために、第1および第2部材12,16間の2つの内部空間に、それぞれ、揺動部20に揺動一体に連結された揺動ピストン51の有する2つの区画部51a,51aを配置して該各内部空間をそれぞれ揺動方向に分割された2つの流体室C1,C2に区画し、両内部空間の間で周方向に相隣る2つの流体室C1,C2、C2,C1をそれぞれ互いに連通する2つの連通路52,52を揺動ピストン51の軸心部位51b周りにおける第1部材12の周壁部13との間の隙間領域により形成した上で、それら流体室C1,C2および連通路52に磁気粘性流体Fを充填し、各連通路52内の磁気粘性流体Fに磁界を印加して剪断応力を変化させて第1および第2部材12,16に対する揺動ピストン51の揺動を減衰するようにした揺動型ダンパ50を用いる際に、揺動ピストン51と第1および第2部材12,16との間に生じる隙間の全ての領域のうち、該揺動ピストン51の軸心部位51b周りに位置する周方向寸法の比較的小さい断面円弧状の2つの隙間領域をそれぞれ連通路52として利用し、その各連通路52内の磁気粘性流体Fに磁界を印加するための磁気回路を軸心部位51bとの間に形成するようにしたので、揺動ピストン51周りの隙間以外に比較的周方向寸法の大きい隙間を形成し、その隙間により連通路を構成するようにする従来の場合に比べて、部品点数および部品組付工程を少なくして製造コストの低減に寄与することができるとともに、揺動ピストン51周りにおける第1および第2部材12,16との間のシール領域を少なくして信頼性および耐久性の向上を図ることができ、しかも、磁気粘性流体Fの剪断応力の特性を十分に活かした減衰特性を無理なく得ることができる。
【0044】
また、揺動ピストン51の重心を揺動軸心上に位置付けるようにしたので、伝動ベルトのベルト張力変化に伴う揺動部20の揺動時における揺動ピストン51の挙動をバランスのとれた安定したものとすることができる。
【0045】
尚、上記の実施形態では、揺動ピストン51の軸心部位51b周りの隙間領域により連通路52を構成するようにしているが、揺動ピストン51が揺動軸心Pから離れた位置に位置していて軸心部位を有していない場合には、揺動軸心Pに近い部位である軸心側部位周りの隙間領域により連通路を構成するようにしてもよいし、さらには、揺動ピストン51が軸心部位51bを有するか否かに拘わらず、揺動ピストン51周りの隙間の全領域のうち、少なくとも一部の任意の隙間領域により連通路を構成するようにしてもよい。
【0046】
また、上記の実施形態では、揺動ピストン51の軸心部位51b周りの隙間(連通路52)以外の隙間(ケーシングとの間の隙間)を一定にするようにしているが、揺動ピストン51周りの隙間の全ての領域のうち、少なくとも一部の隙間領域において、その隙間寸法が揺動ピストン51の回動方向に応じて変化するようにしてもよい。具体的には、図6の変形例に示すように、軸方向における区画部51aの基端側部位51a1に対し該区画部51aの先端側部位51a2を揺動軸心Pに平行な軸心R回りに揺動可能に設け、揺動ピストン51がベルト押圧方向(同図の時計回り方向)に回動したときには、先端側部位51a2が第1流体室C1の磁気粘性流体Fの圧力を受けて、ケーシングとの間の隙間幅寸法が大きくなるように軸心R回りに回動し、一方、揺動ピストン51が反ベルト押圧方向(同図の反時計回り方向)に回動したときには、先端側部位51a2が第2流体室C2の磁気粘性流体Fの圧力を受けて、ケーシングとの間の隙間幅村法が小さくなって該隙間がシールされるように回動する構成とすることができる。このようにすれば、揺動ピストン51の回動方向に拘わらず磁界を常にON又は常にOFFにしておくようにしたときに、上記の実施形態の場合には、図7(a)に示すように、それぞれ回動方向に拘わらず常に一定の減衰力が作用することになるのに対し、同図(b)に示すように、それぞれ回動方向に依存して大きく変化する減衰特性を得ることができる。
【0047】
また、上記の実施形態では、揺動部20の揺動に対する減衰特性に異方性(回動方向によって減衰力が異なる特性)を持たせる際に、ベルト押圧方向に回動したときには減衰力を小さくする一方、反ベルト押圧方向に回動したときには減衰力を大きくするようにしているが、このような減衰特性は必要に応じて適宜設定することができる。
【0048】
また、上記の実施形態では、揺動部20が一方向に回動したときに、その回動期間の全体を通じて減衰力を略一定にするようにしているが、回動期間中の各時期や回動位置などに応じて減衰力を変化させるようにしてもよい。
【0049】
また、上記の実施形態では、磁力発生手段として電磁石53を用いるようにしているが、例えば一定の磁界を常に印加するような場合には、磁力発生手段として永久磁石を用いるようにしてもよい。
【0050】
(実施形態2)
図8は、本発明の実施形態2に係るオートテンショナの全体構成を示している。
【0051】
本実施形態では、揺動型ダンパ50の有する2つの連通路52,52にそれぞれ印加手段としての電磁石53を配置している。
【0052】
具体的には、各電磁石53は、図9および図10にも示すように、それぞれ、第1部材12の周壁部13における揺動軸心P近傍の外側に該周壁部の外壁面上に配置されている。この電磁石53は、略U字状をなす鉄心部53aと、この鉄心部53aに巻き付けられた導電線からなるコイル部53bとからなっており、磁極となる各端部が軸心Pに向かって突出しかつ両磁極が軸方向に並ぶ状態に配置されている。その際に、連通路52における軸方向両端側の領域がそれぞれ該領域の軸方向寸法の略全体に亘って2つの磁極に覆われるようになっており、これらにより、揺動ピストン51の軸心部位51bを略軸方向に通る磁力線が連通路52の軸方向両端側の各領域(印加領域)をそれぞれ略半径方向に貫通する磁気回路が形成されるようになっている。つまり、これら2つの印加領域に挟まれた領域は、上記磁気回路の磁力線が通らない非印加領域となっている。
【0053】
一方、図11に拡大して示すように、揺動ピストン51の軸心部位51b上には、各連通路52の上記非印加領域における磁気粘性流体の通過を規制する規制部としての円筒状のリング部材55が外嵌合状態に設けられている。このリング部材55は、例えば、PTFEなど、摺動性を有する樹脂材からなっていて、その外周面を第1部材12の内壁面に摺接させるように設けられている。つまり、各連通路52は、このリング部材55により2つの印加領域に区画されているとともに、非印加領域における磁気粘性流体Fの通過を規制しており、このことで、磁力線の通らない領域である非印加領域を磁気粘性流体Fが通過することに起因する減衰力の低下を抑え、減衰力の可変幅を大きくとれるようになっている。
【0054】
また、固定部10のベース部材11については、電磁石53の一部を収容するためのスペースが不要であるので、第1実施形態の場合のような凹溝部11b(図1参照)が不要であり、よって、その分、厚さ寸法(軸方向寸法)が薄くされている。尚、電磁石53の電源部を含むそれ以外の部分の構成については実施形態1の場合と同様であるので、説明は省略する
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態の場合と比べて、揺動型ダンパ50の減衰力は、揺動部20の回動方向に拘わらず一定であるが、電磁石53を第1および第2部材12,16の空きスペースに配置することができ、軸部材24の端面側に印加手段の収容スペースが不要であるので、固定部10のベース部材11を薄くすることができ、よって、ベルトテンショナ装置の軸方向におけるコンパクト化を図ることができる。
【0055】
尚、上記の実施形態では、各連通路52毎に電磁石53を配置するようにしているが、電磁石53に代えて永久磁石を配置することもできる。
【0056】
また、上記の実施形態では、電磁石53をケーシング側に配置するようにしているが、変形例として、図12に示すように、揺動ピストン51の軸心部位51b側に配置するようにしてもよい。同図における略矩形状の破線は、磁気回路を模式的に示している。尚、このような電磁石53の配置は、ケーシングが複数の内部空間を有しかつ揺動ピストン51が複数の区画部51aを有する本発明の場合に限定されず、図13および図14の参考例に示すように、ケーシングの内部空間が1つでありかつ揺動ピストン51の区画部51aが1つである場合にも適用することができる。
【0057】
また、上記の実施形態1および実施形態2では、固定部10側をケーシングとし、そのケーシング内に配置した揺動ピストン51を揺動部20に揺動一体に連結するようにしているが、揺動部20側をケーシングにする一方、固定部10に揺動ピストン51を連結するようにしてもよい。
【0058】
さらに、上記の実施形態1および実施形態2では、本発明に係る揺動型減衰装置が組み込まれてなるベルトテンショナ装置の場合について説明しているが、本発明は、それ以外の種々の装置における揺動型減衰装置として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態1に係るベルトテンショナ装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】ベルトテンショナ装置における揺動型ダンパの全体構成を示す斜視図である。
【図3】第2部材を取り外した状態の揺動型ダンパを示す斜視図である。
【図4】揺動型ダンパに対する制御系を示すブロック図である。
【図5】磁界を常にON又はOFFにしたとき(a)および磁界をON/OFF制御したとき(b)の揺動部の回動量と該揺動部の回動に対する減衰力との間の各特性を対比して示す特性図である。
【図6】実施形態1の変形例における揺動ピストンを示す要部の横断面図である。
【図7】実施形態(a)および変形例(b)においてそれぞれ磁界が常にON又はOFFであるときの揺動の回動量と該揺動部の回動に対する減衰力との間の各特性を対比して示す図5相当図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るベルトテンショナ装置の全体構成を示す図1相当図である。
【図9】ベルトテンショナ装置における揺動型ダンパの全体構成を示す図2相当図である。
【図10】第2部材を取り外した状態の揺動型ダンパを示す図3相当図である。
【図11】揺動型ダンパにおける連通路周りの要部を拡大して示す斜視図である。
【図12】実施形態2の変形例における要部を拡大して示す断面図である。
【図13】変形例の参考例としての揺動型ダンパの構成を模式的に示す断面図である。
【図14】参考例の要部を拡大して示す図12相当図である。
【符号の説明】
【0060】
10 固定部
12 第1部材(ケーシング)
16 第2部材(ケーシング)
20 揺動部
30 テンションプーリ(押圧部)
40 捻りコイルばね(付勢手段)
50 揺動型ダンパ(減衰手段)
51 揺動ピストン
51a 区画部
51b 軸心部位(軸部)
52 連通路
53 電磁石(磁力発生部)
55 リング部材(規制部)
56 電源部(印加手段)
60 検出センサ(検出手段)
61 制御部(制御手段)
C1 第1流体室(流体室)
C2 第2流体室(流体室)
F 磁気粘性流体
P 揺動軸心(軸心)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心の周りに周方向に並ぶように配置された複数の内部空間を有するケーシングと、
各々、上記各内部空間に該内部空間を周方向に分割された2つの流体室に区画するように配置された複数の区画部を有し、上記軸心回りの第1および第2の2つの回動方向において揺動可能に設けられた揺動ピストンと、
各々、上記揺動ピストンと上記ケーシングとの間の全隙間領域のうちの少なくとも一部の隙間領域からなり、上記周方向に相隣る各2つの上記内部空間の間で周方向に相隣る2つの流体室をそれぞれ互いに連通する複数の連通路と、
上記複数の内部空間および上記複数の連通路に充填され、印加される磁界に応じて粘度を変化させる磁気粘性流体と、
上記複数の連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加する印加手段とを備えていることを特徴とする揺動型減衰装置。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動型減衰装置において、
揺動ピストンは、軸心を中心とする回転対称形状に形成されていることを特徴とする揺動型減衰装置。
【請求項3】
請求項1に記載の揺動型減衰装置において、
揺動ピストンは、軸心上に配置された軸部を有し、
各連通路は、上記揺動ピストンの上記軸部とケーシングとの間に形成された隙間領域の少なくとも一部からなることを特徴とする揺動型減衰装置。
【請求項4】
請求項3に記載の揺動型減衰装置において、
印加手段は、連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加する磁気回路が形成されるように磁力を発生する磁力発生部を有し、
上記磁力発生部は、ケーシング側に配置されていることを特徴とする揺動型減衰装置。
【請求項5】
請求項3に記載の揺動型減衰装置において、
印加手段は、連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加する磁気回路が形成されるように磁力を発生する磁力発生部を有し、
上記磁力発生部は、揺動ピストンの軸部上に配置されていることを特徴とする揺動型減衰装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の揺動型減衰装置において、
各連通路は、複数の印加領域と、少なくとも1つの非印加領域とに軸方向において分割され、
磁力発生部は、上記各連通路における上記複数の印加領域のみを磁力線が通る磁気回路を形成するように構成され、
上記各連通路内に設けられ、該連通路内の上記非印加領域における磁気粘性流体の通過を規制する規制部を備えていることを特徴とする揺動型減衰装置。
【請求項7】
固定体に固定される固定部と、
伝動ベルトを押圧するための押圧部を有し、上記固定部に揺動軸心回りの2つの回動方向において揺動可能に支持された揺動部と、
上記固定部と上記揺動部との間に介装され、該固定部に対し揺動部を押圧部が伝動ベルトを押圧する回動方向に向かって常時付勢する付勢手段と、
上記揺動部の回動を減衰させる減衰手段とを備えたベルトテンショナ装置であって、
上記減衰手段は、請求項1,2,3,4,5又は6のうちの何れか1項に記載の揺動型減衰装置により構成され、
上記揺動型減衰装置のケーシングは、上記固定部および上記揺動あ部のうちの一方に連結され、
上記揺動型減衰装置の揺動ピストンは、上記固定部および上記揺動部のうちの他方に連結されていることを特徴とするベルトテンショナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−139083(P2007−139083A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334196(P2005−334196)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】