説明

搬送装置および画像形成装置

【課題】検出部に付着した用紙の紙粉による用紙の誤検知を効果的に防止する。
【解決手段】制御部は、ラインセンサ清掃モードの開始条件になると(S100)、用紙Pをニップした状態でシフトローラを外方向に移動させることで、用紙Pの側端部Paを画像形成位置の端部Gaおよび用紙Pの側端部Paより外側に移動させる(S140,S160)。これにより、用紙Pの側端部Pa上のラインセンサのコンタクトガラスに付着する紙粉を外方向に移動、除去できる。その後、シフトローラを内方向に移動させることで、用紙Pを正規の画像形成位置に移動させ、用紙Pの曲がり補正を行う(S150,S170)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される用紙の片寄り補正を行う機能を備えた搬送装置および画像形成装置に関する。詳しくは、用紙の片寄り補正時に検出部に付着した用紙の紙粉等を効果的に除去することで、検出部による用紙の誤検知を防止するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタやスキャナ、コピー機、ファックス等の機能を兼ねた多機能な画像形成装置が広く使用されている。画像形成装置においては、画像を転写する二次転写部に用紙が搬送されるまでの間に、装置の機械的な要因等により用紙が片寄ってしまう場合がある。そのため、二次転写部の搬送経路の上流側には、用紙の位置ずれを検出するラインセンサおよび用紙の片寄りを補正するシフトローラが設置されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、搬送されてくる用紙の側面端部の位置ずれをラインセンサによって検出し、一対のローラによって用紙をその表裏側から挟持し、これらローラをずれ量分だけ用紙幅方向にスライド移動させる画像形成装置が提案されている。この画像形成装置によれば、用紙の幅方向の位置を適切な位置に修正した状態で画像形成動作を開始させることが可能になる。
【0004】
ここで、上記画像形成装置において、同一サイズの用紙を大量に通紙する場合、ラインセンサの搬送経路側に設けられたコンタクトガラスに用紙の紙粉が付着してしまう場合がある。コンタクトガラスに付着した紙粉は、通常、用紙の通過時に用紙に付着して排出されるが、紙粉が大量に付着している場合にはコンタクトガラス上に残ってしまい、特に、用紙の側端部上のコンタクトガラスに用紙の紙粉が残ってしまう場合が多い。これは、同一の給紙トレイから給紙される用紙は、同じ片寄り等で搬送されるので、常に同一箇所を通過し、特定の箇所に紙粉が残ってしまうためである。さらに、用紙は、最終的に画像形成位置と用紙を合わせるために、ラインセンサ上では常に同一位置を用紙の側端部が通過するからである。同様にして、オフセット印刷された用紙へ追い刷りを行う場合にも、用紙の裏写り防止のためのブロッキングパウダー等の打ち粉が、コンタクトガラス上に付着してしまう場合がある。
【0005】
このようにラインセンサのコンタクトガラスに用紙の紙粉等が付着してしまうと、紙粉によりラインセンサが用紙の側端部を誤検出してしまうという問題がある。図10(A)はラインセンサ300が正常に用紙Pの側端部psを検出する場合の検知例であり、図10(B)はラインセンサ300が紙粉により用紙Pの側端部Psを誤検出した場合の検知例を示している。例えば、ラインセンサ300に対向配置された対向ガイド板を黒色とした場合、図10(A)に示すように、用紙Pの範囲では用紙Pにより光が反射して用紙検知出力が所定の閾値Lthより大きくなり、用紙Pの側端部Psよりも外側部分では光が対向ガイド板により反射しないので用紙検知出力が閾値Lthよりも小さくなる。そのため、この場合には、用紙Pの側端部Psを正確に測定することができる。
【0006】
一方、ラインセンサ300の同一位置に連続して用紙Pが通過した場合、用紙Pが通過する範囲は用紙Pによって紙粉が押し流されるため紙粉は付着しないが、図10(B)に示すように、用紙Pの通過範囲のすぐ外側には用紙Pから飛び散った紙粉Bが大量に付着する。そのため、用紙Pの紙粉Bが付着した用紙Pの側端部Psよりも外側部分Dでは、図10(B)の右図に示すように、付着した紙粉Bにより光が反射してしまい、用紙検知出力が閾値Lthよりも大きくなってしまう場合がある。この場合には、用紙Pの側端部Psよりも外側部分Dを用紙Pの側端部Psと認識してしまい、正確に用紙Pの側端部Psを特定できないという問題がある。
【0007】
このような誤検知を防止するために、例えば特許文献2には、開閉可能な上側の用紙ガイド板に対して片寄り検出センサを設け、上側の用紙ガイド板を開いたときに片寄り検出センサに設けられたコンタクトガラスを外部に露出させることで、コンタクトガラスを容易に清掃可能とした画像記録装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−22820号公報
【特許文献2】特許第3758418号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1および2に開示される画像形成装置では以下のような問題がある。
(1)特許文献1に開示される画像形成装置では、用紙をニップした状態で用紙の幅方向に移動させることについては開示されているが、ラインセンサのコンタクトガラスに付着した紙粉を清掃することについては何ら記載されていない。そのため、引用文献1に開示される画像形成装置では、ラインセンサによる用紙の側端部の誤検出を防止することはできない。
(2)特許文献2に開示される画像形成装置では、片寄り検出センサが設けられた上側の用紙ガイド板を開閉可能な機構としなければならないため、機械的な構成を新たに追加しなければならない。そのため、画像形成装置の設計が複雑化すると共に、製造コストが上がってしまうという問題がある。また、上記画像形成装置では、清掃時に、用紙ガイド板を手動で開閉しなければならないので、煩わしい作業が増えてしまうという問題もある。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、検出部に付着した用紙の紙粉による用紙の誤検知を効果的に防止することが可能な搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る搬送装置は、用紙を搬送する第1の方向と直交する第2の方向における用紙の側端部を検出する検出部と、検出部により検出された用紙の側端部の位置情報と予め設定されている画像を形成する画像形成位置情報とに基づいて、用紙の画像形成位置に対する位置ずれ情報を算出する制御部と、検出部よりも用紙の搬送方向の上流側に設けられ、制御部により算出された位置ずれ情報に基づいて用紙を挟持した状態で当該用紙を第2の方向に移動させるローラ部材とを備え、制御部は、ローラ部材を第2の方向に移動させて用紙の曲がり補正を行う場合に、画像形成部による画像形成位置と検出部により検出された用紙の側端部の位置とに基づいて、検出部を通過する用紙の側端部の位置および画像形成位置よりも外側の位置に移動させた後、用紙を画像形成位置に移動させるようローラ部材を制御する検出部清掃モードを有するものである。また、本発明に係る画像形成装置は、上記搬送装置を備えるものである。
【0012】
本発明において、検出部清掃モードでは、予め設定されている用紙の一方の側端部に対応した画像形成位置の端部を基準とした場合における用紙の一方の側端部の通過位置を検出部により検出する。制御部は、画像形成位置の端部と通過する用紙の側端部との差分から、検出部により検出された用紙の側端部が画像形成位置の端部よりも内側(画像形成位置の中心側)であると判断した場合には、用紙の側端部が画像形成装置の端部よりも外側の位置となるようにローラ部材を移動させた後に、ローラ部材を正規の画像形成位置に移動させる。また、検出部により検出された用紙の側端部が画像形成位置の端部よりも外側または画像形成装置の端部と同一であると判断した場合には、用紙の側端部が用紙の通過位置(側端部)よりも外側の位置となるようにローラ部材を移動させた後に、ローラ部材を正規の画像形成位置に移動させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検出部清掃モードを設け、この検出部清掃モードにおいて、用紙Pの通過時の位置および画像形成位置の端部よりも外側に用紙Pを移動させるので、用紙Pの側端部Paの通過位置上の検出部に付着した紙粉を直接または間接的に除去することができる。これにより、検出部の誤検出を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に画像形成装置の構成例を示す図である。
【図2】搬送装置の構成例を示す斜視図である。
【図3】ラインセンサの構成例を示す断面図である(その1)。
【図4】ラインセンサの構成例を示す断面図である(その2)。
【図5】画像形成装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】画像形成装置の動作例を示すフローチャートである。
【図7】(A)〜(C)は、ラインセンサ清掃モード時の用紙の動作例を示す図である(その1)。
【図8】(A)〜(C)は、ラインセンサ清掃モード時の用紙の動作例を示す図である(その2)。
【図9】(A)〜(C)は、ラインセンサ清掃モード時の用紙の動作例を示す図である(その3)。
【図10】(A)および(B)は従来のラインセンサによる用紙の側端部の検出例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置100の概略構成の一例を示している。本発明に係る画像形成装置100は、通常時に用紙Pの位置ずれ(片寄り)補正を行う片寄り補正モードと、所定の条件を満たしたときに実行されるラインセンサ清掃モード(検出部清掃モード)とを有している。ラインセンサ清掃モードは、用紙Pの位置ずれ補正に加えて、ラインセンサ70に付着した紙粉Pd(図7等)を清掃する機能を備えたモードである。
【0016】
画像形成装置100は、図1に示すように、タンデム型の画像形成装置と称されるものであって、画像形成装置本体101とその上部に取り付けられた自動原稿送り装置102とを備えている。自動原稿送り装置102は、原稿載置台に載置された原稿Mを一枚ずつに分離して画像形成装置本体101に送り出す。
【0017】
画像形成装置本体101は、原稿読取部202と画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kと中間転写ベルト6と搬送装置90と二次転写ローラ36と給紙部20と定着部80とを備えている。搬送装置90は、少なくとも制御部50とシフトローラ30とラインセンサ70とを有している。また、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、中間転写ベルト6および二次転写ローラ36は、画像形成部60の一例を構成している。
【0018】
原稿読取部202は、原稿画像読み取り位置にて原稿Mの画像をランプLにて照射し、その反射光をミラーユニット等を介してCCD等の撮像素子204に結像させる。撮像素子204は、入射した光を光電変換して画像信号を制御部50に出力する。制御部50は、画像信号に対して、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理を施して画像データを生成する。
【0019】
画像形成ユニット10Yは、帯電部2Yと露光部3Yと現像部4Yと感光体ドラム1Yとクリーニング部8Yとを有している。帯電部2Yは、感光体ドラム1Yの周面に一様に電荷を帯電させる。露光部3Yは、図示しないレーザ光源、ポリゴンミラー、複数のレンズ等から構成され、制御部50から送られる画像データに基づいて感光体ドラム1Yの表面をレーザビームにより走査露光して潜像を形成する。現像部4Yは、イエロー(Y)のトナー像で現像することにより感光体ドラム1Y上の潜像を顕像化する。クリーニング部8Yは、トナー像の転写を終えた感光体ドラム1Yの表面に残留するトナーを除去する。
【0020】
その他の画像形成ユニット10M,10C,10Kも、画像形成ユニット10Yと同様の構成および機能を備えており、感光体ドラム1M、1C、1Kのそれぞれにマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)のトナー像で現像して感光体ドラム1M、1C、1K上の潜像を顕像化する。各感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上のそれぞれに形成されたトナー像は、無端状の中間転写ベルト6上の所定位置に重ね合わせて転写され、中間転写ベルト6上にカラー画像を形成する。
【0021】
給紙部20は、複数の給紙トレイ20A,20B,20Cを備えており、ユーザによって選択された用紙Pを給紙トレイ20A,20,20Cから搬送ローラにより送り出してシフトローラ30に搬送する。
【0022】
シフトローラ30は、二次転写ローラ36の搬送経路における上流側に設置され、給紙部20から搬送されてくる用紙Pの先端部の突き当てによりループを形成することで用紙Pの斜行補正等を行う。また、シフトローラ30は、用紙Pを挟持した状態で用紙Pの搬送方向(第1の方向)D1と直交する方向(以下、スラスト方向(第2の方向)D2)に移動することで、用紙Pを正しい画像形成位置に移動させる。ラインセンサ70は、シフトローラ30の用紙Pの搬送方向下流側に設けられ、シフトローラ30を通過する用紙Pの画像形成位置に対する差分(ずれ量)を検出する。
【0023】
シフトローラ30によって位置ずれが補正された用紙Pは、所定のタイミングで二次転写部に搬送され、中間転写ベルト6上に重ね合わされて転写されたカラー画像が用紙Pに転写される。カラー画像が転写された用紙Pは、二次転写ローラ36等によって定着部80に搬送される。定着部80は、ヒータを備え、用紙Pを加圧・加熱することによってカラー画像(未トナー像)を用紙Pに定着させる。定着処理が施された用紙Pは、排紙ローラ24により排紙トレイ25に排出される。
【0024】
用紙Pの両面に画像を形成する場合には、表面に画像が形成された用紙Pは、分岐部26によって循環経路27Aに搬送され、反転部27Bにおいて用紙Pを表裏反転させた後に再給紙経路27Cを経由して再度、二次転写部に搬送される。二次転写部では、用紙Pの裏面にカラー画像が転写され、その後、定着部80を介して排紙トレイ25に排紙される。
【0025】
[ラインセンサの構成例]
図2は、搬送装置90を構成するラインセンサ70およびシフトローラ30の構成の一例を示している。図3および図4は、搬送装置90を構成するラインセンサ70およびシフトローラ30の断面構成の一例を示している。まず、ラインセンサ70について説明する。図2および図3に示すように、ラインセンサ70は、複数の撮像素子(CCD)74が一列に並べて構成され、撮像素子74の並び方向が搬送方向D1と直交するスラスト方向D2に沿うようにして設置されると共に、これらの撮像素子74が用紙Pの幅方向の一方の側端部Paに跨るようにして設置されている。なお、ラインセンサ70は、検出部の一例を構成している。
【0026】
ラインセンサ70は、図2に示すように、スラスト方向D2に延びる細長の筐体71を有している。筐体71の内部には、コンタクトガラス72とレンズ73と撮像素子74と基板75とが内蔵されている。コンタクトガラス72は、光を入射させると共にカバー部材として機能するものであって、筐体71の下面部に搬送経路に対して露出するようにして取り付けられている。撮像素子74は、コンタクトガラス72およびレンズ73の上方に設けられ、コンタクトガラス72およびレンズ73を介して入射される用紙Pおよび対向ガイド板に基づく光を電気信号に変換し、変換した電気信号を基板75に出力する。基板75は、用紙Pと対向ガイド板とのコントラスト差に基づく電気信号を図示しない制御部50に供給する。
【0027】
ラインセンサ70に対向して配置されたガイド板77は、黒色となっている。ラインセンサ70は、通過する用紙Pの側端部Paと黒色のガイド板77とのコントラスト差を検出する。これにより、用紙Pの側端部Paの位置を測定できる。なお、図4に示すように、ラインセンサ70のレンズ73に対向したガイド板77を黒色にするのではなく、ガイド板77を貫通する開口部76を形成しても良い。このような構成によっても、通過する用紙Pの側端部Paと黒色のガイド板77とのコントラスト差により、用紙Pの側端部Paを検出することができる。
【0028】
[シフトローラの構成例]
続けて、シフトローラ30について説明する。図2および図3に示すように、シフトローラ30は、ローラ部材の一例であり、駆動ローラ34と従動ローラ32とを有している。駆動ローラ34は、後述するシフトローラ駆動モータ40に接続され、このシフトローラ駆動モータ40の駆動により回転する。従動ローラ32は、周面が駆動ローラ34の周面に当接しており、駆動ローラ34の回転に伴って従動回転する。これにより、用紙Pが駆動ローラ34と従動ローラ32とに挟持された状態で搬送される。
【0029】
また、シフトローラ30は、後述するスラスト移動モータ42に接続され、このスラスト移動モータ42の駆動により用紙Pを挟持した状態でスラスト方向D2に往復移動する。また、従動ローラ32は、後述するシフトローラ圧着機構44に接続され、駆動ローラ34に圧接したり、圧接を解除することで、次の用紙Pを受け入れる準備を行う。
【0030】
ここで、本例においては、従動ローラ32は、中心O1が駆動ローラ34の中心O2の鉛直上ではなく、搬送方向D1の上流側に角度θだけ傾くようにして駆動ローラ34の周面に当接して設けられている。すなわち、駆動ローラ34と従動ローラ32との接線方向が、水平ではなく搬送方向D1の下流側が上方のラインセンサ70側に傾斜するように、従動ローラ32が駆動ローラ34に対してずれて配置されている。これにより、用紙Pの搬送時において、駆動ローラ34と従動ローラ32とに用紙Pが挟持されると、用紙Pの先端側がラインセンサ70のコンタクトガラス72の下面に接触または接近するようになる。その結果、ラインセンサ清掃モードにおいて用紙Pがスラスト方向に移動したときに、用紙Pの側端部Paによりコンタクトガラス72の下面部に付着した紙粉が直接掃き出されて除去される。
【0031】
また、駆動ローラ34と従動ローラ32とをずらして配置せずに駆動ローラ34の略鉛直上に従動ローラ32を配置することで、用紙Pをコンタクトガラス72の下面部に接触または近接させずに搬送させるようにしても良い。この場合でも、用紙Pのスラスト方向D2への移動する際に発生する風等により、十分にコンタクトガラス72の下面に付着した紙粉をコンタクトガラス72の外側に移動させたり、除去したりできる。
【0032】
[画像形成装置のブロック構成例]
図5は、画像形成装置100のブロック構成例を示している。図5に示すように、画像形成装置100は、画像形成装置100の全体の動作を制御する制御部50を備えている。制御部50は、例えばCPU(Central Processing Unit)52、ROM(Read Only Memory)54およびRAM(Random Access Memory)56等を有している。CPU52は、ROM54に格納されたプログラムを読み出してRAM56に展開して実行することにより、画像形成処理やラインセンサ清掃モード等を実行する。
【0033】
制御部50には、操作表示部62と記憶部64と画像形成部60と給紙部20とラインセンサ70とシフトローラ駆動モータ40とスラスト移動モータ42とシフトローラ圧着機構44とがそれぞれ接続されている。
【0034】
操作表示部62は、例えば静電容量方式や抵抗膜方式等が採用されたタッチパネルから構成され、ユーザの入力操作に基づく入力情報を検出して操作信号を制御部50に供給する。例えば、操作表示部62は、ラインセンサ清掃モードの開始条件の設定やラインセンサ清掃モード時においてシフトローラ30の外側への移動位置を異ならせるランダム設定を受け付けたり、画像形成処理の各種条件等を受け付けて、これらの入力情報に基づく操作信号を制御部50に供給する。ラインセンサ清掃モード時におけるシフトローラ30の移動量は、用紙Pの側端部Paの実際の移動距離を操作表示部62により入力できるようにしても良いし、制御部50で自動的にランダム値を算出するようにしても良い。
【0035】
記憶部64は、例えば半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等から構成されている。記憶部64には、ラインセンサ清掃モード時に読み出される制御値等が記憶されている。画像形成部60は、例えば中間転写ベルト6等を備えており、制御部50から供給される制御情報に基づいて画像形成処理を実行する。給紙部20は、操作表示部62等で入力された用紙サイズ情報に基づいて給紙部20から用紙サイズ情報に対応した用紙Pを画像形成部60に給紙する。
【0036】
ラインセンサ70は、シフトローラ30から二次転写部に搬送される用紙Pの側端部Paを検出し、この検出により得られた検出信号を制御部50に供給する。
【0037】
シフトローラ駆動モータ40は、例えばステッピングモータ等により構成され、制御部50から供給される駆動信号に基づいて駆動し、シフトローラ30を回転、停止制御させる。これにより、シフトローラ30に用紙Pを突き当ててループを形成することで、用紙Pの斜行が補正される。
【0038】
スラスト移動モータ42は、例えばステッピングモータ等により構成され、制御部50から供給される駆動信号に基づいて駆動し、ギア等の駆動伝達手段を介してシフトローラ30をスラスト方向D2に移動させる。これにより、用紙Pが正規の画像形成位置に移動されて用紙Pの片寄りが補正される。
【0039】
シフトローラ圧着機構44は、ソレノイドやモータ等により構成され、従動ローラ32を駆動ローラ34に圧接したり、従動ローラ32の駆動ローラ34への圧接を解除したりする。これにより、用紙Pの片寄り補正時に用紙Pをニップして用紙Pをスラスト方向に移動できると共に、用紙Pが二次転写ローラ36に搬送されたときに用紙Pのニップを解除して、次の用紙Pを受け入れる準備を行うことができる。
【0040】
制御部50は、画像形成時において片寄り補正モードを実行する。制御部50は、ラインセンサ70により検出された用紙Pの側端部Paの位置ずれ情報をラインセンサ70から取得し、この位置ずれ情報と、予め設定されている画像形成位置の用紙Pの側端部Paに対応する端部情報との差分を演算し、この差分だけシフトローラ30をスラスト方向D2に移動させることで、用紙Pを正規の画像形成位置に移動させる。本例において画像形成位置は、画像形成部60によって画像が転写される位置を示すものであって、例えば用紙Pが搬送経路のセンター基準で搬送される場合に基づいて予め規定される。もちろん、画像形成位置は搬送経路の片側基準であっても良い。
【0041】
制御部50は、画像形成処理が所定の条件になると、ラインセンサ清掃モードを実行する。例えば、制御部50は、複数枚の用紙に画像を形成する印刷ジョブがユーザから要求された場合に、この印刷ジョブで最終用紙に画像を形成するときにラインセンサ清掃モードを実行する。また、制御部50は、画像形成装置100が色ずれ補正や濃度補正等の安定化処理に入る直前や、予め設定された特定の枚数毎にラインセンサ清掃モードを実行する。このようなタイミングでラインセンサ清掃モードを実行することにより、印刷速度の速い画像形成装置100でも対応できるようになる。
【0042】
また、制御部50は、運転モードがラインセンサ清掃モードに切り替わると、用紙Pの通過位置に応じて、画像形成位置の端部Gaおよび用紙Pの通過時の側端部Paよりも外側に用紙Pを移動させた後に、正規の画像形成位置に戻すようにシフトローラ30を制御する。一方、制御部50は、運転モードが通常モード(片寄り補正モード)の場合には、片寄りを生じた用紙Pが正規の画像形成位置に移動するようにシフトローラ30を移動させる。操作表示部62でランダム設定が選択された場合には、制御部50は、ラインセンサ清掃モードを一回実行する毎または複数回実行する毎に、用紙Pの側端部Paの移動位置を異ならせるようにシフトローラ30を制御する。
【0043】
また、制御部50は、ラインセンサ70により検出された用紙Pの側端部Paの位置ずれ情報をラインセンサ70から取得し、この位置ずれ情報と、予め設定されている画像形成部60により形成される画像形成位置の用紙Pの側端部Paに対応する端部情報との差分を演算し、この差分だけシフトローラ30をスラスト方向D2に移動させることで、用紙Pを画像形成位置に移動させる。
【0044】
[画像形成装置の制御部の動作例]
図6は、画像形成装置100の制御部50の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図7〜図9において、正規の画像形成位置の一方の端部Gaを「0」とし、この端部Gaよりも外側方向を+方向とし、内側方向を−方向とする。
【0045】
図7に示すように、ステップS10で制御部50は、ラインセンサ清掃モードの開始条件になったか否かを判断する。例えば、複数枚の用紙を印刷する印刷ジョブがユーザから要求されている場合に、この印刷ジョブの最終用紙が印刷されるときにラインセンサ清掃モードの開始条件を満たしたと判断する。制御部50は、ラインセンサ清掃モードを開始すると判断した場合にはステップS110に進み、ラインセンサ清掃モードを開始しないと判断した場合にはステップS180に進む。
【0046】
ステップS110で制御部50は、ラインセンサ清掃モードにおいて、ランダム設定がされている場合、ランダム値αを記憶部64から取得する。制御部50は、ランダム値αを取得したらステップS120に進む。
【0047】
ステップS120で制御部50は、ラインセンサ清掃モードを実行し、ラインセンサ70により検出された印刷ジョブの最終用紙Pの側端部Paの測定値(位置情報)xを取得する。測定値xは、ラインセンサ70を通過する最終用紙Pの側端部Paが画像形成位置の端部Gaに対してプラス方向またはマイナス方向の何れの方向にどの程度ずれているかを示す位置ずれ量である。制御部50は、測定値xを取得したら、ステップS130に進む。
【0048】
ステップS130で制御部50は、画像形成位置の端部Gaを「0」としたときに、ラインセンサ70から取得した用紙Pの測定値xが「0」以上であるか否かを判断する。制御部50は、用紙Pの測定値xがマイナスであって「0」以上ではないと判断した場合にはステップS140に進む。例えば、図7(A)に示すように、用紙Pの側端部Paが画像形成位置の端部Gaよりも内側を通過する場合である。この場合には、例えば、用紙Pの側端部Paの外側に対応したコンタクトガラス72付近に紙粉Pdが付着する。
【0049】
一方、制御部50は、用紙Pの測定値xが「0」以上であると判断した場合にはステップS160に進む。例えば、図8(A)に示すように、用紙Pの側端部Paが画像形成位置の端部Gaよりも外側を通過する場合や、図9(A)に示すように、用紙Pの側端部Paが画像形成位置の端部Gaと同一位置(位置ずれなし)を通過する場合である。図8(A)の場合には例えば用紙Pの側端部Paの外側に対応したコンタクトガラス72付近に紙粉Pdが付着し、図9(A)の場合には例えば用紙Pの側端部Paの外側であって端部Gaに対応したコンタクトガラス72付近に紙粉Pdが付着する。
【0050】
ステップS140で制御部50は、用紙Pの側端部Paが画像形成位置の端部Gaよりも内側を通過する場合、用紙Pをニップした状態で、スラスト移動モータ42を駆動してシフトローラ30を「(−x+α)」だけプラス方向に移動させる。例えば、図7(B)に示すように、シフトローラ30を「−x」だけプラス方向に移動させることで用紙Pの側端部Paを画像形成位置に移動させ、さらに画像形成位置から「+α」だけシフトローラ30を外側のプラス方向に移動させることで用紙Pの側端部Paを画像形成装置の端部Gaよりも外側に移動させる。これにより、コンタクトガラス72に付着した紙粉Pdが用紙Pの側端部Paおよび画像形成位置の端部Gaの外側に掃き出すことができる。制御部50は、用紙Pを移動させたらステップS150に進む。
【0051】
ステップS150で制御部50は、用紙Pをニップした状態で、スラスト移動モータ42を駆動して用紙Pを「α」だけマイナス方向に移動させることで、用紙Pを正規の画像形成位置に戻して位置ずれを補正する。例えば、図7(C)に示すように、用紙Pの側端部Paが画像形成位置の端部Gaと同一位置となるように、用紙Pを「α」だけマイナス方向に移動させて用紙Pの位置ずれを補正する。
【0052】
これに対し、用紙Pの側端部Paが画像形成位置の端部Gaよりも外側または端部Gaと同一位置を通過する場合、ステップS160で制御部50は、用紙Pをニップした状態で、スラスト移動モータ42を駆動してシフトローラ30を「α」だけプラス方向に移動させる。例えば、図8(B)および図9(B)に示すように、シフトローラ30を画像形成位置から「α」だけシフトローラ30を外側のプラス方向に移動させることで、用紙Pの側端部Paおよび画像形成位置の端部Gaよりも外側に用紙Pの側端部Paを移動させる。これにより、コンタクトガラス72に付着した紙粉Pdが用紙Pの側端部Paおよび画像形成位置の端部Gaの外側に掃き出すことができる。制御部50は、用紙Pを移動させたらステップS170に進む。
【0053】
ステップS170で制御部50は、用紙Pをニップした状態で、スラスト移動モータ42を駆動して用紙Pを「x+α」だけマイナス方向に移動させることで、用紙Pを正規の画像形成位置に戻して位置ずれを補正する。例えば、図8(C)に示すように、用紙Pの側端部Paが画像形成位置の端部Gaと同一位置となるように、用紙Pを「x+α」だけマイナス方向に移動させて用紙Pの位置ずれを補正する。また、通過する用紙Pが画像形成位置に対して位置ずれしていない場合には、図9(C)に示すように、測定値xは「0」なので、用紙Pを「α」だけマイナス方向に移動させて用紙Pの位置ずれを補正する。このような一連の動作により、ラインセンサ清掃モードを実行する。
【0054】
ステップS100での判断の結果、ラインセンサ清掃モードを実行しない場合には、通常の片寄り補正モードを実行する。ステップS180で制御部50は、ラインセンサ70により検出された印刷ジョブの最終用紙Pの側端部Paの測定値xを取得する。制御部50は、測定値xを取得したらステップS190に進む。
【0055】
ステップS190で制御部50は、ラインセンサ70から取得した用紙Pの測定値xが「0」であるか否かを判断する。制御部50は、用紙Pの測定値xが「0」であると判断した場合には、用紙Pに片寄り(位置ずれ)が発生していないものとしてステップS200に進む。一方、用紙Pの測定値xが「0」でないと判断した場合にはステップS210に進む。
【0056】
ステップS200で制御部50は、用紙Pの測定値xが「0」である場合には、用紙Pの片寄り補正を行う必要がないので、シフトローラ30のスラスト移動は行わずに用紙Pをニップして二次転写位置に用紙Pを搬送する。
【0057】
画像形成位置の端部Gaが「0」でない場合、ステップS210で制御部50は、ラインセンサ70から取得した用紙Pの測定値xが「0」を超えているか否かを判断する。制御部50は、用紙Pの測定値xがマイナスであって「0」超でないと判断した場合にはステップS220に進み、用紙Pの測定値xがプラスであって「0」超であると判断した場合にはステップS230に進む。
【0058】
ステップS220で制御部50は、用紙Pをニップした状態で、スラスト移動モータ42を駆動してシフトローラ30を「−x」だけプラス方向に移動させることで、用紙Pを正規の画像形成位置に戻して位置ずれを補正する。
【0059】
一方、ステップS230で制御部50は、用紙Pをニップした状態で、スラスト移動モータ42を駆動してシフトローラ30を「x」だけマイナス方向に移動させることで、用紙Pを正規の画像形成位置に戻して位置ずれを補正する。このような一連の動作により、片寄り補正モードを実行する。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ラインセンサ清掃モード時に、用紙Pの側端部Paを通過時の位置よりも外側に移動させるので、用紙Pの側端部Paの通過位置のコンタクトガラス72に付着した紙粉Pdを直接(接触)または間接的(風等)に除去することができる。これにより、ラインセンサ70の誤検出を効果的に防止することができるので、より高精度に用紙Pの側端部Paの位置検出を行うことができる。その結果、用紙Pを正確な画像形成位置に戻すことができ、高精度な画像形成を実現できる。
【0061】
また、ラインセンサ清掃モードを、印刷ジョブの最終用紙で行ったり、安定化処理の直前等で行うことで、装置の生産性を低下させることなく、ラインセンサ清掃モードを実行することができる。また、特許文献2に開示される画像形成装置のように、清掃時に用紙ガイド板を手動で開閉する必要もないので、煩わしい作業を行うことなく、ラインセンサ清掃モードを実行することができる。
【0062】
さらに、ラインセンサ清掃モード時に、用紙Pの側端部Paの外側へ移動させたときの移動位置を、ランダム値に基づいて異ならせるので、用紙Pによって掃き出された紙粉Pdが一箇所に集まることを防止できる。これにより、ラインセンサ70による用紙Pの位置検出を正確に行うことができる。
【0063】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、制御部50は、ラインセンサ清掃モードを行う場合、通常の片寄り補正モードを行う場合と比べて、用紙Pの搬送間隔をあけるように搬送制御を行うこともできる。これは、ラインセンサ清掃モードでは、通常の片寄り補正に加えて、用紙Pを一旦外側に移動させた後に画像形成位置に戻す動作が必要となるので、そのための時間を確保する必要があるからである。
【0064】
また、例えば、上記実施の形態では、用紙Pの移動位置を異ならせるランダム値を設定したが、このランダム値を固定値とし、毎回同じ位置に用紙Pの側端部Paを移動させるようにしても良い。用紙Pの側端部Paが通過するコンタクトガラス72上の紙粉Pdを除去すれば、少なくとも誤検出の防止という効果を得られるからである。
【符号の説明】
【0065】
6 中間転写ベルト(画像形成部)
30 シフトローラ(ローラ部材)
50 制御部
70 ラインセンサ(検出部)
90 搬送装置
100 画像形成装置
P 用紙
Pa 側端部
Ga 画像形成位置の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する第1の方向と直交する第2の方向における前記用紙の側端部を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記用紙の側端部の位置情報と予め設定されている画像を形成する画像形成位置情報とに基づいて、前記用紙の前記画像形成位置に対する位置ずれ情報を算出する制御部と、
前記検出部よりも前記用紙の搬送方向の上流側に設けられ、前記制御部により算出された前記位置ずれ情報に基づいて前記用紙を挟持した状態で当該用紙を前記第2の方向に移動させるローラ部材とを備え、
前記制御部は、前記ローラ部材を前記第2の方向に移動させて前記用紙の曲がり補正を行う場合に、画像形成部による画像形成位置と前記検出部により検出された前記用紙の前記側端部の位置とに基づいて、前記検出部を通過する前記用紙の前記側端部の位置および前記画像形成位置よりも外側の位置に移動させた後、前記用紙を前記画像形成位置に移動させるよう前記ローラ部材を制御する検出部清掃モードを有することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記用紙の搬送経路側に設けられたカバー部材を有し、
前記ローラ部材は、前記用紙を前記第2の方向に移動させるときに前記用紙が前記カバー部材に接するまたは近接するように前記用紙を挟持して移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出部清掃モードを、画像形成ジョブが複数の用紙に画像を形成するジョブである場合に前記画像形成ジョブの最終用紙で行う
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出部清掃モードを画像形成時に実行される安定化処理に入る前に行う
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検出部清掃モードを予め設定された前記用紙の枚数毎に行う
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出部清掃モードを行う場合、通常の前記ローラ部材を前記第2の方向に移動させて前記用紙の曲がり補正を行う位置ずれ補正モードに対して、前記用紙の搬送間隔をあける
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記検出部清掃モードにおいて前記用紙の前記端部の位置および前記画像形成位置よりも外側に移動させる場合、前記用紙の移動位置を前記検出部清掃モードの所定実行回数毎に異ならせる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記請求項1から前記請求項7のいずれか一項に記載の搬送装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−229075(P2012−229075A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97359(P2011−97359)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】