説明

携帯ナビゲーションシステム、携帯ナビゲーション装置、サーバ

【課題】 前述の事情に鑑み、残高不足による自動改札機のゲートが閉じることを低減すること。
【解決手段】 交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する残高記憶手段(KC11)と、異なる2つの位置を結ぶ前記交通機関を利用した経路の前記交通機関の運賃を計算する運賃計算手段と、前記運賃計算手段が計算した運賃と前記残高とを比較する残高比較手段と、前記残高比較手段による比較結果をユーザに告知する結果告知手段(KC5E)と、を備えた携帯ナビゲーションシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通機関を利用した経路の案内が可能な携帯ナビゲーションシステム、前記携帯ナビゲーションシステムで使用される携帯電話やPDA(Personal Digital Assistance)等の携帯ナビゲーション装置、及び前記携帯ナビゲーション装置と交信可能なサーバに関し、特に、交通機関の運賃の決済に利用可能な残高を記憶する残高記憶手段を有する携帯ナビゲーションシステム、前記携帯ナビゲーションシステムで使用される携帯ナビゲーション装置及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話等の携帯端末の高機能化により、携帯電話に非接触ICを組み込んで、鉄道運賃等の交通機関の運賃を自動的に決済することが可能となっている。前記非接触ICを携帯電話に組み込んだ技術として、下記の特許文献1記載の技術が従来公知である。
(特許文献1(特開2003−077019号公報)記載の技術)
特許文献1には、携帯電話にICチップを内蔵し、ユーザが自動改札機を通過する度に、乗車情報または降車情報をICチップ(非接触IC)に書き込んで蓄積し、月ごとに携帯電話から乗車情報等をサーバに送信してもらい決済を行う技術が記載されている。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1記載の技術では、ユーザが操作して月ごとに乗車情報を送信する必要があり、ユーザにとって面倒である。その上、ユーザが操作を誤ったり、面倒な操作をしなかったために、乗車情報が送信されてこなかったり、ユーザが途中で携帯電話の契約を解約したりした場合には、乗車情報が得られず、決済できない問題がある。
したがって、現在、非接触ICに決済用の金額(残高)を前もって登録して(チャージして)、自動改札機を通過する度に、残高から運賃を引き落とす決済方式が採用されている。このようなプリペイド型(料金前払い型)の決済方式を利用する非接触ICの技術として、Suica(登録商標)やICOCA(登録商標)と呼ばれる非接触ICが公知であり(例えば、特開平11−16011号公報等参照)、この種の非接触ICが今後、順次携帯電話に搭載されていくことが予想される。
【0004】
【特許文献1】特開2003−077019号公報(段落番号「0021」〜「0028」、第1図〜第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記プリペイド型の決済方式では、ユーザが前もって残高を登録しておかなければならず、自動改札機を通過する際に、残高が不足すると、自動改札機のゲートが閉じてしまう。自分が、ついうっかり残高不足でゲートを閉めてしまうのも気持ちの良いものでもないし、自分の前に通過しようとした人がゲートを閉めてしまうのも時間的ロスになるので不快なものである。特に、ラッシュ時(混雑時)に、ゲートが閉じてしまうと、自動改札のスループット(処理能力)が低下し、混雑の原因になる。
前記プリペイド型の決済方式を採用する非接触ICが携帯電話に内蔵されている場合、残高を管理するアプリケーションソフトウェアにより、残高を参照することが考えられるが、残高を確認することは煩わしいため、ユーザが頻繁に残高を確認することは考えにくい。したがって、ついうっかり残高不足で自動改札機のゲートが閉じてしまうことは、なかなか減らないという問題がある。
【0006】
また、近年、携帯ナビゲーション技術の進歩により、携帯電話により、ユーザが出発地から目的地までの交通機関を利用した経路を探索することが可能になっている。このような技術として、例えば、本出願人の出願である特願2003−369314号の明細書に記載された技術がある。
前記経路探索により探索した経路で、交通機関の運賃を調べることができるが、前記運賃が、非接触ICにチャージされている残高以内であるかを確認する場合、ユーザは、一度ナビゲーション用(経路探索用)ソフトウェアを終了して、運賃管理用のソフトウェアを起動する必要がある。これは、携帯電話の処理能力や記憶領域の関係で、一度に複数のアプリケーションソフトウェアを起動できないためである。したがって、従来技術では、ナビゲーション用ソフトウェアで調べた運賃をユーザが記憶した状態で、ナビゲーション用ソフトウェアを終了して運賃管理用ソフトウェアを起動し、運賃が残高以内であるか否かをユーザが判断する必要があり、ユーザの使い勝手が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、前述の事情に鑑み、残高不足による自動改札機のゲートが閉じることを低減することを第1の技術的課題とする。
また、本発明は、交通機関の運賃が残高以内であるか否かの確認を容易にすることを第2の技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施の形態の具体例(実施例)の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。また、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0009】
(本発明)
(第1発明)
前記技術的課題を解決するために、第1発明の携帯ナビゲーションシステム(S)は、
交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する残高記憶手段(KC11)と、
異なる2つの位置を結ぶ前記交通機関を利用した経路の前記交通機関の運賃を計算する運賃計算手段(例えば、SC5B,KC38)と、
前記運賃計算手段(SC5B,KC38)が計算した運賃と前記残高とを比較する残高比較手段(例えば、SC5,SC21,KC39,KC52)と、
前記残高比較手段(SC5,SC21,KC39,KC52)による比較結果をユーザに告知する結果告知手段(例えば、KC5E,KC23,KC40,KC53)と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
(第1発明の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の携帯ナビゲーションシステム(S)では、残高記憶手段(KC11)は、交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する。運賃計算手段(SC5B,KC38)は、異なる2つの位置を結ぶ前記交通機関を利用した経路の前記交通機関の運賃を計算する。残高比較手段(SC5,SC21,KC39,KC52)は、前記運賃計算手段(SC5B,KC38)が計算した運賃と前記残高とを比較する。結果告知手段(KC5E,KC23,KC40,KC53)は、前記残高比較手段(SC5,SC21,KC39,KC52)による比較結果をユーザに告知する。したがって、第1発明の携帯ナビゲーションシステム(S)では、ユーザが運賃と残高の比較結果を容易に確認することができる。この結果、比較結果を告知されたユーザが、残高不足等を認識でき、残高のチャージをすることができるので、残高不足により自動改札機のゲートが閉じてしまうことを低減できる。したがって、ゲートが閉まってしまうことにより改札が混雑することを緩和できる。
【0011】
(第1発明の形態1)
第1発明の形態1の携帯ナビゲーションシステム(S)は、前記第1発明において、
交通機関の全駅を記憶する全駅記憶手段(SC2)と、
ユーザが乗車した交通機関の出発駅を記憶する出発駅記憶手段(例えば、KC13)と、
前記異なる2つの位置のうちの一方の位置である前記出発駅と他方の位置である前記全駅記憶手段(SC2)に記憶された各駅の間を結ぶ前記交通機関を利用した経路を探索する経路探索手段(SC5A)と、
探索された前記経路の前記交通機関の運賃を計算する前記運賃計算手段(SC5B)と、
前記運賃と前記残高とを比較して、前記残高以下の運賃で到達可能な到達圏駅を検出する前記残高比較手段(例えば、SC5)と、
前記到達圏駅を前記比較結果として表示器に表示する前記結果告知手段(例えば、KC5E)と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
(第1発明の形態1の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態1の携帯ナビゲーションシステム(S)では、全駅記憶手段(SC2)は、交通機関の全駅を記憶する。出発駅記憶手段(KC13)は、ユーザが乗車した交通機関の出発駅を記憶する。経路探索手段(SC5A)は、前記異なる2つの位置のうちの一方の位置である前記出発駅と他方の位置である前記全駅記憶手段(SC2)に記憶された各駅の間を結ぶ前記交通機関を利用した経路を探索する。前記運賃計算手段(SC5B)は、探索された前記経路の前記交通機関の運賃を計算する。前記残高比較手段(SC5)は、前記運賃と前記残高とを比較して、前記残高以下の運賃で到達可能な到達圏駅を検出する。前記結果告知手段(KC5E)は、前記到達圏駅を前記比較結果として表示器に表示する。したがって、第1発明の形態1の携帯ナビゲーションシステム(S)では、ユーザが残高で到達可能な到達圏駅を容易に確認できる。
【0013】
(第1発明の形態2)
第1発明の形態2の携帯ナビゲーションシステム(S)は、前記第1発明において、
前記異なる2つの位置としての出発地及び目的地を結ぶ交通機関を利用した経路を探索する経路探索手段(SC5A)と、
探索された前記経路の前記交通機関の運賃を計算する前記運賃計算手段(SC5B)と、
前記運賃と前記残高とを比較して、前記経路の運賃が残高以上であるか否かを判別する前記残高比較手段(例えば、SC21)と、
前記経路の運賃が残高以上の場合に、前記残高が不足していることを前記比較結果として表示器(例えば、11)に表示する前記結果告知手段(KC23)と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
(第1発明の形態2の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態2の携帯ナビゲーションシステム(S)では、経路探索手段(SC5A)は、前記異なる2つの位置としての出発地及び目的地を結ぶ交通機関を利用した経路を探索する。前記運賃計算手段(SC5B)は、探索された前記経路の前記交通機関の運賃を計算する。前記残高比較手段(例えば、SC21)は、前記運賃と前記残高とを比較して、前記経路の運賃が残高以上であるか否かを判別する。前記結果告知手段(KC23)は、前記経路の運賃が残高以上の場合に、前記残高が不足していることを前記比較結果として表示器(例えば、11)に表示する。したがって、第1発明の形態2の携帯ナビゲーションシステム(S)では、探索した経路の運賃が残高以内であるか否かをユーザが容易に確認できる。
【0015】
(第1発明の形態3)
第1発明の形態3の携帯ナビゲーションシステム(S)は、前記第1発明において、
ユーザの現在位置を検出する現在位置検出手段(例えば、KC37)と、
ユーザが交通機関に乗車した出発駅を記憶する出発駅記憶手段(例えば、KC13)と、
前記乗車駅から前記現在位置に移動するまでに利用した前記交通機関の経路を記憶する経路記憶手段(例えば、KC37A)と、
前記経路の前記交通機関の運賃を計算する前記運賃計算手段(KC38)と、
前記経路の運賃と前記残高とを比較して、前記経路の運賃が残高以上であるか否かを判別する前記残高比較手段(例えば、KC39)と、
前記経路の運賃が残高以上の場合に、前記残高が不足していることを前記比較結果として表示器(例えば、11)に表示する前記結果告知手段(例えば、KC40)と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
(第1発明の形態3の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態3の携帯ナビゲーションシステム(S)では、現在位置検出手段(KC37)は、ユーザの現在位置を検出する。出発駅記憶手段(KC13)は、ユーザが交通機関に乗車した出発駅を記憶する。経路記憶手段(KC37A)は、前記乗車駅から前記現在位置に移動するまでに利用した前記交通機関の経路を記憶する。前記運賃計算手段(KC38)は、前記経路の前記交通機関の運賃を計算する。前記残高比較手段(KC39)は、前記経路の運賃と前記残高とを比較して、前記経路の運賃が残高以上であるか否かを判別する。前記結果告知手段(KC40)は、前記経路の運賃が残高以上の場合に、前記残高が不足していることを前記比較結果として表示器(11)に表示する。したがって、第1発明の形態3の携帯ナビゲーションシステム(S)では、乗車駅からユーザの現在位置までの運賃が残高以内であるか否かを、ユーザが容易に確認できる。
【0017】
(第1発明の形態4)
第1発明の形態4の携帯ナビゲーションシステム(S)は、前記第1発明において、
ユーザの現在位置を検出する現在位置検出手段(例えば、KC24B)と、
目的地を記憶する目的地記憶手段(KC51B)と、
前記現在位置と前記目的地とを結ぶ前記交通機関を利用した経路を探索する経路探索手段(SC5A)と、
前記経路探索手段(SC5A)で探索された経路探索結果を記憶する探索結果記憶手段(例えば、KC7F)と、
前記経路の運賃と前記残高とを比較して、前記経路の運賃が残高以上であるか否かを判別する前記残高比較手段(例えば、KC52)と、
前記経路の運賃が残高以上の場合に、前記残高が不足していることを前記比較結果として表示器(例えば、11)に表示する前記結果告知手段(例えば、KC53)と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
(第1発明の形態4の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態4の携帯ナビゲーションシステム(S)では、現在位置検出手段(KC24B)は、ユーザの現在位置を検出する。目的地記憶手段(KC51B)は、目的地を記憶する。経路探索手段(SC5A)は、前記現在位置と前記目的地とを結ぶ前記交通機関を利用した経路を探索する。探索結果記憶手段(KC7F)は、前記経路探索手段(SC5A)で探索された経路探索結果を記憶する。前記残高比較手段(KC52)は、前記経路の運賃と前記残高とを比較して、前記経路の運賃が残高以上であるか否かを判別する。前記結果告知手段(KC53)は、前記経路の運賃が残高以上の場合に、前記残高が不足していることを前記比較結果として表示器(11)に表示する。したがって、第1発明の形態4の携帯ナビゲーションシステム(S)では、現在位置から目的地までの運賃が残高以内であるか否かを、ユーザが容易に確認できる。
【0019】
(第2発明)
前記技術的課題を解決するために、第2発明の携帯ナビゲーション装置(1)は、
交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する残高記憶手段(KC11)と、
異なる2つの位置を結ぶ前記交通機関を利用した経路の前記交通機関の運賃の情報をサーバ(7)から受信する運賃情報受信手段(例えば、KC7F)と、
受信した前記経路の運賃と前記残高とを比較する残高比較手段(例えば、KC52)と、
前記残高比較手段(KC52)による比較結果をユーザに告知する結果告知手段(例えば、KC53)と、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
(第2発明の作用)
前記構成要件を備えた第2発明の携帯ナビゲーション装置(1)では、残高記憶手段(KC11)は、交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する。運賃情報受信手段(KC7F)は、異なる2つの位置を結ぶ前記交通機関を利用した経路の前記交通機関の運賃の情報をサーバ(7)から受信する。残高比較手段(KC52)は、受信した前記経路の運賃と前記残高とを比較する。結果告知手段(KC53)は、前記残高比較手段(KC52)による比較結果をユーザに告知する。したがって、第2発明の携帯ナビゲーション装置(1)では、ユーザが運賃と残高の比較結果を容易に確認することができる。この結果、比較結果を告知されたユーザが、残高不足等を認識でき、残高のチャージをすることができるので、残高不足により自動改札機のゲートが閉じてしまうことを低減できる。したがって、ゲートが閉まってしまうことにより改札が混雑することを緩和できる。
【0021】
(第3発明)
前記技術的課題を解決するために、第3発明の携帯ナビゲーション装置(1)は、
交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する残高記憶手段(KC11)と、
異なる2つの位置を結ぶ前記交通機関を利用した経路の前記交通機関の運賃と、前記残高とを比較した比較結果をサーバ(7)から受信する比較結果受信手段(例えば、KC7B,KC7C)と、
受信した前記比較結果をユーザに告知する結果告知手段(例えば、KC5E,KC23)と、
を備えたことを特徴とする携帯ナビゲーション装置(1)。
【0022】
(第3発明の作用)
前記構成要件を備えた第3発明の携帯ナビゲーション装置(1)では、残高記憶手段(KC11)は、交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する。比較結果受信手段(KC7B,KC7C)は、異なる2つの位置を結ぶ前記交通機関を利用した経路の前記交通機関の運賃と、前記残高とを比較した比較結果をサーバ(7)から受信する。結果告知手段(KC5E,KC23)は、受信した前記比較結果をユーザに告知する。したがって、第3発明の携帯ナビゲーション装置(1)では、ユーザが運賃と残高の比較結果を容易に確認することができる。この結果、比較結果を告知されたユーザが、残高不足等を認識でき、残高のチャージをすることができるので、残高不足により自動改札機のゲートが閉じてしまうことを低減できる。したがって、ゲートが閉まってしまうことにより改札が混雑することを緩和できる。
【0023】
(第4発明)
前記技術的課題を解決するために第4発明の携帯ナビゲーション装置(1)は、
交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する残高記憶手段(KC11)と、
前記交通機関を利用した経路の探索結果をサーバ(7)から受信する経路探索結果受信手段(例えば、KC7E)と、
受信した前記経路の前記交通機関の運賃を計算する運賃計算手段(KC38)と、
受信した前記経路の運賃と前記残高とを比較する残高比較手段(例えば、KC39)と、
前記残高比較手段(KC39)による比較結果をユーザに告知する結果告知手段(例えば、KC40)と、
を備えたことを特徴とする。
【0024】
(第4発明の作用)
前記構成要件を備えた第4発明の携帯ナビゲーション装置(1)では、残高記憶手段(KC11)は、交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する。経路探索結果受信手段(KC7E)は、前記交通機関を利用した経路の探索結果をサーバ(7)から受信する。運賃計算手段(KC38)は、受信した前記経路の前記交通機関の運賃を計算する。残高比較手段(KC39)は、受信した前記経路の運賃と前記残高とを比較する。結果告知手段(KC40)は、前記残高比較手段(KC39)による比較結果をユーザに告知する。したがって、第4発明の携帯ナビゲーション装置(1)では、ユーザが運賃と残高の比較結果を容易に確認することができる。この結果、比較結果を告知されたユーザが、残高不足等を認識でき、残高のチャージをすることができるので、残高不足により自動改札機のゲートが閉じてしまうことを低減できる。したがって、ゲートが閉まってしまうことにより改札が混雑することを緩和できる。
【0025】
(第5発明)
前記技術的課題を解決するために第5発明のサーバ(7)は、
交通機関の運賃の決済に利用可能な残高の情報を携帯ナビゲーション装置(1)から受信する残高受信手段(例えば、SC1B,SC1C)と、
異なる2つの位置を結ぶ交通機関を利用した経路を探索する経路探索手段(SC5A)と、
探索された前記経路の前記交通機関の運賃を計算する運賃計算手段(SC5B)と、
計算した前記経路の運賃と前記残高とを比較する残高比較手段(例えば、SC5,SC21)と、
前記残高比較手段(SC5,SC21)による比較結果を前記携帯ナビゲーション装置(1)に送信する比較結果送信手段(例えば、SC6B,SC6C)と、
を備えたことを特徴とする。
【0026】
(第5発明の作用)
前記構成要件を備えた第5発明のサーバ(7)では、残高受信手段(SC1B,SC1C)は、交通機関の運賃の決済に利用可能な残高の情報を携帯ナビゲーション装置(1)から受信する。経路探索手段(SC5A)は、異なる2つの位置を結ぶ交通機関を利用した経路を探索する。運賃計算手段(SC5B)は、探索された前記経路の前記交通機関の運賃を計算する。残高比較手段(SC5,SC21)は、計算した前記経路の運賃と前記残高とを比較する。比較結果送信手段(SC6B,SC6C)は、前記残高比較手段(SC5,SC21)による比較結果を前記携帯ナビゲーション装置(1)に送信する。したがって、第5発明のサーバ(7)では、前記比較結果を受信した携帯ナビゲーション装置(1)において、ユーザが運賃と残高との比較結果を容易に確認できる。この結果、比較結果を告知されたユーザが、残高不足等を認識でき、残高のチャージをすることができるので、残高不足により自動改札機のゲートが閉じてしまうことを低減できる。したがって、ゲートが閉まってしまうことにより改札が混雑することを緩和できる。
【発明の効果】
【0027】
前述の本発明は、残高不足による自動改札機のゲートが閉じることを低減することができる。
また、本発明は、交通機関の運賃が残高以内であるか否かの確認を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の携帯ナビゲーションシステムの実施例1の説明図である。
図1において、実施例1の携帯ナビゲーションシステムSは、ユーザが携帯可能な携帯ナビゲーション装置としての携帯電話1を有する。前記携帯電話1は、携帯電話ネットワーク2を介して携帯電話事業者のデータ通信装置3と接続している。そして、前記データ通信装置3は、専用線4やインターネット6を介して、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7やその他の情報配信業者(コンテンツプロバイダ、アプリケーションサービスプロバイダ)の情報配信サーバ8に接続されている。また、前記データ通信装置3には、専用線4を介して、入場管理サーバ9が接続されており、前記入場管理サーバ9は、交通機関の各駅に設置された自動改札機10との間でデータ送受信可能に構成されている。なお、実施例1では、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7は、専用線4を介してデータ通信装置3に接続されているが、インターネット6を介して接続することも可能である。
【0030】
前記携帯電話1は、表示画像が表示される情報表示画面(表示器)11や、ユーザが各種入力を行う入力キー12を有し、内部にプログラム等が記録された記憶装置(記録媒体)を備えている。また、実施例1の携帯電話1には、交通機関の運賃の決済に利用可能な残高(残金)を記憶する非接触型IC(「無線タグ」、「RFID」等とも呼ばれることがある)を内蔵している。
また、前記携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7も、サーバ本体16及びディスプレイ(図示せず)、キーボードやマウス等の入力装置(図示せず)、ハードディスクドライブ(記録媒体、図示せず)、CDドライブ等の光学ドライブ(記録媒体読み取り装置、図示せず)等を有している。
【0031】
また、前記自動改札機10は、非接触型の読取り部10aを有しており、非接触型ICを内蔵した携帯電話1または、非接触型ICを内蔵した乗車券21が読取り部10aに接近した時にICに記録された情報を、無線交信により読み取ったり、書き込んだり(更新したり)することができる。したがって、前記非接触ICの情報を読み書きすることにより、携帯電話1や乗車券21を使用しているユーザが入場した出発駅や下車した降車駅の情報を取得してユーザの入出場を管理したり、非接触ICに記録された残高の情報等を取得したりすることができる。なお、前記非接触型ICを利用して駅への入場の管理を行うシステムは従来公知(例えば、特開平11−16011号公報等参照)であるので、その詳細な説明は省略する。
【0032】
(携帯電話1の制御部の説明)
図2は前記図1に示す携帯ナビゲーションシステムの携帯端末の機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図である。
図2において、携帯電話1のコントローラKCは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行うI/O(入出力インターフェース)、必要な処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ、記録媒体)、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ、記録媒体)、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)、ならびにクロック発振器等を有するマイクロコンピュータにより構成されており、前記ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0033】
(携帯電話のコントローラKCに接続された信号入力要素)
前記携帯電話1のコントローラKCは、前記入力キー12やその他の信号入力要素からの信号が入力されている。
前記入力キー12は、ユーザにより入力された入力信号を検出して、その検出信号をコントローラKCに入力する。
【0034】
(携帯電話のコントローラKCに接続された制御要素)
また、携帯電話1のコントローラKCは、液晶駆動回路KD1、スピーカ駆動回路KD2、非接触ICや図示しない電源回路、その他の制御要素に接続されており、それらの作動制御信号を出力している。
前記液晶駆動回路KD1は、液晶表示パネルの表示用電極のオン・オフを制御して情報表示画面11に表示画像を表示する。
前記スピーカ駆動回路KD2は、音声信号を制御してスピーカから音声や効果音等を流す。
【0035】
前記非接触ICは、交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する残高記憶手段KC11と、交通機関の定期乗車券(定期券)の区間、定期券の有効期限及び定期券が大人料金/子供料金のいずれかであるかを記憶する定期券区間記憶手段KC12と、ユーザが交通機関に乗車した出発駅及び降車した降車駅の情報を記憶する改札情報記憶手段(出発駅記憶手段)KC13と、前記自動改札機10の読取り部10aに接近した場合に、読取り部10aとの間で無線交信する無線交信手段KC14とを有し、コントローラKCから要求信号が入力されると要求信号に応じた情報をコントローラKCに入力する。なお、非接触ICの前記残高記憶手段KC11、定期券区間記憶手段KC12及び改札情報記憶手段KC13は、通常、セキュリティのために、運賃決済プログラムAP1(後述)以外のアプリケーションプログラムからのアクセス(データの読み書き)はできないように構成されているが、実施例1の非接触ICは、残高記憶手段KC11、定期券区間記憶手段KC12及び改札情報記憶手段KC13は公開領域に指定され、他のアプリケーションプログラムからのデータの読み取りは可能に構成されている。なお、このように、非接触ICのデータが公開領域に記憶されることは、例えば、本出願人の特願2004−224776号等に詳細に記載されているので、詳細な説明は省略する。
【0036】
(携帯電話のコントローラKCの機能)
携帯電話1のコントローラKCは、残高管理プログラム(アプリケーションソフトウェア)AP1や、ナビゲーションプログラム(アプリケーションソフトウェア)AP2や、通話制御プログラムAP3、その他のプログラム等を有しており、前記各信号出力要素からの出力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能(制御手段)を有している。前記コントローラKCの機能(制御手段)を次に説明する。なお、前記通話制御プログラムAP3は、携帯電話1の通話を制御するプログラムであり、従来公知の種々の技術を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
KC1:液晶制御手段
液晶制御手段KC1は、液晶駆動回路KD1を制御して、情報表示画面11に画像を表示する。
KC2:スピーカ制御手段
スピーカ制御手段KC2は、スピーカ駆動回路KD2を制御して、スピーカから音声等を出力する。
AP1:運賃決済プログラム
運賃決済プログラムAP1は、残高チャージ手段KC3を有し、前記非接触ICに記憶された残高等の運賃関連情報の管理(読み書き)を行う。
【0038】
KC3:残高チャージ手段
残高チャージ手段KC3は、ユーザの入力に応じて、非接触ICに記憶された残高のチャージ(金額の追加)等を行う。なお、前記残高チャージ手段KC3は、電話回線を利用して、ユーザが入力した金額を、ユーザが登録しておいた銀行口座等から引き落として決済を行う従来公知(例えば、特開平11−16011号公報等参照)の技術であるので、詳細な説明は省略する。
AP2:ナビゲーションプログラム
ナビゲーションプログラムAP2は、運賃関連情報照会手段KC4と、到達圏探索画像表示手段KC5と、携帯側データ送信手段KC6と、携帯側データ受信手段KC7と、出発駅確定フラグFL0とを有し、ユーザの入力に応じて、所定の案内(ナビゲーション)を行う。実施例1のナビゲーションプログラムAP2は、ユーザの入力に応じて、残高で到達可能な交通機関の駅(到達圏駅)の案内を行う。
【0039】
KC4:運賃関連情報照会手段
運賃関連情報照会手段KC4は、残高照会手段KC4Aと、定期券区間照会手段KC4Bと、改札情報照会手段KC4Cとを有し、非接触ICに記憶された残高や定期券区間、改札情報(出発駅及び降車駅)等の運賃関連情報を非接触ICから読取る(照会する)。
KC4A:残高照会手段
残高照会手段KC4Aは、前記残高記憶手段KC11に記憶された残高を読取り、記憶する。
KC4B:定期券区間照会手段
定期券区間照会手段KC4Bは、前記定期券区間記憶手段KC12に記憶された定期券区間、有効期限及び料金体系(例えば、大人料金か子供料金か)を読取り、記憶する。
【0040】
KC4C:改札情報照会手段
改札情報照会手段KC4Cは、前記改札情報記憶手段KC13に記憶された出発駅や降車駅等の改札情報を読取り、記憶する。
KC5:到達圏探索画像表示手段
到達圏探索画像表示手段KC5は、メイン画像表示手段KC5Aと、運賃プロパティ画像表示手段KC5Bと、出発駅名入力画像表示手段KC5Cと、出発駅名検索結果表示手段KC5Dと、到達圏探索結果画像表示手段KC5Eとを有する。そして、到達圏探索画像表示手段KC5は、前記液晶制御手段KC1に信号を送信して、到達圏探索の条件や結果等の画像を情報表示画面11に表示する。
KC5A:メイン画像表示手段
メイン画像表示手段KC5Aは、到達圏探索を開始する場合に最初に表示されるメイン画像(後述する図5参照)を情報表示画面11に表示する。
【0041】
KC5B:運賃プロパティ画像表示手段
運賃プロパティ画像表示手段KC5Bは、定期券区間照会手段KC4Bで読取った定期券区間や有効期限等や、残高が不足した場合に、運賃決済プログラムAP1を起動させるか否かのユーザ設定を示す運賃プロパティ画像(後述する図6参照)を情報表示画面11に表示する。
KC5C:出発駅名入力画像表示手段
出発駅名入力画像表示手段KC5Cは、到達圏探索を行う場合に、出発駅をユーザが入力するための出発駅入力画像(後述する図7参照)を情報表示画面11に表示する。
KC5D:出発駅名検索結果表示手段
出発駅名検索結果表示手段KC5Dは、ユーザが入力した出発駅の検索結果を示す出発駅名検索結果画像(後述する図8参照)を情報表示画面11に表示する。
【0042】
KC5E:到達圏探索結果画像表示手段(結果告知手段)
到達圏探索結果画像表示手段KC5Eは、残高記憶手段KC11に記憶された残高で到達可能な駅(到達圏駅)の検索結果を示す到達圏探索結果画像(後述する図9参照)を情報表示画面11に表示する。
KC6:携帯側データ送信手段
携帯側データ送信手段KC6は、出発駅名検索データ送信手段KC6Aと、到達圏探索データ送信手段KC6Bとを有し、携帯電話1から携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7へデータを送信する。
KC6A:出発駅名検索データ送信手段
出発駅名検索データ送信手段KC6Aは、前記出発駅名入力画像において、ユーザが入力キー12で出発駅名を入力し、出発駅名の検索が指定された場合に、出発駅名のデータを含む出発駅名検索データを携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7へ送信する。
【0043】
KC6B:到達圏探索データ送信手段
到達圏探索データ送信手段KC6Bは、前記出発駅名入力画像においてユーザが入力キー12で出発駅名を入力し、到達圏の検索が指定された場合に、残高や出発駅名、定期券区間等のデータを含む到達圏探索データを携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7へ送信する。
KC7:携帯側データ受信手段
携帯側データ受信手段KC7は、出発駅名検索結果受信手段KC7Aと、到達圏探索結果受信手段KC7Bと、を有し、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7から送信されたデータを送信する。
【0044】
KC7A:出発駅名検索結果受信手段
出発駅名検索結果受信手段KC7Aは、前記出発駅名検索データ送信手段KC6Aが送信した出発駅名検索データに対する検索結果である出発駅名検索結果を受信し、記憶する。
KC7B:到達圏探索結果受信手段(比較結果受信手段)
到達圏探索結果受信手段KC7Bは、到達圏探索データ送信手段KC6Bが送信した到達圏探索データに対する検索結果である到達圏探索結果を受信し、記憶する。
FL0:出発駅確定フラグ
出発駅確定フラグFL0は、初期値は「0」であり、出発駅名の検索が行われると「1」となり、出発駅名の検索が行われていない状態では「0」となる。即ち、出発駅名と同名の駅が複数あるか否かが未確定の状態では「0」となり、検索により出発駅名と同名の駅が1つまたは複数であることが確定した状態では「1」となる。
【0045】
(携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7の制御部の説明)
図3は実施例1の携帯ナビゲーションシステムのサーバの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図である。
図3において、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7のコントローラSCは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行うI/O(入出力インターフェース)、必要な処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ、ハードディスク等の記録媒体)、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ、記録媒体)、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)、ならびにクロック発振器等を有するマイクロコンピュータにより構成されており、前記ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0046】
(サーバのコントローラSCに接続された信号入力要素)
前記携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7のコントローラSCは、キーボードやマウス等の入力装置(図示せず)やその他の信号入力要素からの信号が入力されている。
前記入力装置は、ユーザによりそれらの信号が入力されたことを検出して、その検出信号をコントローラSCに入力する。
【0047】
(サーバのコントローラSCに接続された制御要素)
また、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7のコントローラSCは、ディスプレイ(図示せず)や図示しない電源回路、その他の制御要素に接続されており、それらの作動制御信号を出力している。
前記ディスプレイには、ユーザの操作に応じた表示画像が表示される。
【0048】
(サーバのコントローラSCの機能)
携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7のコントローラSCは、携帯電話1のナビゲーションソフトAP2から送信された各データの処理を行う携帯ナビゲーション用アプリケーションプログラムAP4や、その他のプログラム等を有しており、前記各信号出力要素等からの出力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素等に制御信号を出力する機能(制御手段)を有している。次に、前記コントローラSCの携帯ナビゲーション用アプリケーションプログラムAP4の機能(制御手段)を説明する。
【0049】
SC1:サーバ側データ受信手段
サーバ側データ受信手段SC1は、出発駅名検索データ受信手段SC1Aと、到達圏探索データ受信手段SC1Bと、を有し、携帯電話1から送信されたデータを受信する。
SC1A:出発駅名検索データ受信手段
出発駅名検索データ受信手段SC1Aは、出発駅名検索データ送信手段KC6Aから送信された出発駅名検索データを受信し、記憶する。
SC1B:到達圏探索データ受信手段(残高受信手段)
到達圏探索データ受信手段SC1Bは、前記到達圏探索データ送信手段KC6Bから送信された到達圏探索データ(残高や出発駅名、定期券区間等のデータ等)を受信し、記憶する。
【0050】
SC2:全駅記憶手段
全駅記憶手段SC2は、路線データ記憶手段SC2Aと、駅データ記憶手段SC2Bとを有し、日本国内の交通機関の全駅を記憶する。なお、実施例1の全駅記憶手段SC2は、交通機関の各駅と、交通機関の路線とを対応させて記憶している。
SC2A:路線データ記憶手段
路線データ記憶手段SC2Aは、交通機関の路線のデータを記憶する。
SC2B:駅データ記憶手段
駅データ記憶手段SC2Bは、交通機関の全駅のデータを記憶する。
SC3:運賃データ記憶手段
運賃データ記憶手段SC3は、前記交通機関の運賃のデータを記憶する。
【0051】
SC4:出発駅名検索手段
出発駅名検索手段SC4は、携帯電話1から送信された出発駅名検索データに対応する駅を、前記全駅記憶手段SC2に記憶されたデータに基づいて検索する。
SC5:到達圏探索手段(残高比較手段)
到達圏探索手段SC5は、経路探索手段SC5Aと、運賃計算手段SC5Bと、到達可能駅判別手段SC5Cと、到達可能駅記憶手段SC5Dと、到達圏駅検出手段SC5Eとを有し、携帯電話1から送信された到達圏探索データに応じて、出発駅から残高以内で到達可能な到達圏駅を探索する。なお、実施例1の到達圏探索手段SC5は、片道の運賃が残高以内の到達圏駅と、往復の運賃が残高以内の到達圏駅を探索する。
【0052】
SC5A:経路探索手段
経路探索手段SC5Aは、前記出発駅から交通機関の各駅との間の経路を複数探索する。経路探索方法は、従来公知(例えば、特開2003−214860号公報等参照)であり、種々の方法を採用可能なので、詳細な説明は省略する。なお、実施例1の経路探索手段SC5Aは、経路を所要時間が最短の最短経路だけでなく、所要時間が短い順に所定の数(例えば、10個)の経路を探索する。なお、複数の経路を検索する理由は、最短経路が必ずしも料金が最も安いとは限らないためであり、探索する経路の数を所定の数とするのは所要時間が余りにかかりすぎる経路は、ユーザに案内する経路として不適当だからである。
SC5B:運賃計算手段
運賃計算手段SC5Bは、前記経路探索手段SC5Aで探索した各経路の交通機関の運賃を計算する。実施例1の運賃計算手段SC5Bは、前記運賃データ記憶手段SC3に記憶された運賃のデータと、受信した運賃関連データの大人料金であるか子供料金であるかに基づいて、運賃を計算する。
【0053】
SC5C:到達可能駅判別手段
到達可能駅判別手段SC5Cは、前記経路探索を行った駅の最小運賃が残高以内であるか、即ち、残高以内で到達可能な駅であるか否かを判別する。
SC5D:到達可能駅記憶手段
到達可能駅記憶手段SC5Dは、到達可能駅であると判別された駅を記憶する。
SC5E:到達圏駅検出手段
到達圏駅検出手段SC5Eは、前記到達可能駅記憶手段SC5Dに記憶された到達可能駅の中で、出発駅から最も運賃が高い駅(最も遠い駅)を到達圏駅として検出(抽出)する。なお、実施例1の到達圏駅検出手段SC5Eは、路線毎に到達圏駅を検出する。
【0054】
SC6:サーバ側データ送信手段
サーバ側データ送信手段SC6は、出発駅名検索結果送信手段SC6Aと、到達圏探索結果送信手段SC6Bとを有し、携帯電話1にデータを送信する。
SC6A:出発駅名検索結果送信手段
出発駅名検索結果送信手段SC6Aは、前記出発駅名検索手段SC4による出発駅名の検索結果を携帯電話1に送信する。
SC6B:到達圏探索結果送信手段(比較結果送信手段)
到達圏探索結果送信手段SC6Bは、前記到達圏探索手段SC5による到達圏駅の検索結果を携帯電話1に送信する。
【0055】
(フローチャートの説明)
(携帯端末のフローチャートの説明)
図4は実施例1の携帯ナビゲーションシステムの携帯電話が備えている到達圏探索処理のフローチャートである。
図4のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記コントローラKCのROM等に記憶されたナビゲーションプログラム(到達圏探索プログラム)AP2に従って行われる。また、この処理は携帯電話1の他の各種処理と並行して実行される。
図4に示すフローチャートは、ユーザの入力に応じたナビゲーションプログラムの起動により開始される。
【0056】
図5は実施例1のメイン画像の説明図である。
図4のST1において、メイン画像(図5参照)が情報表示画面11に表示され、ST2に移る。図5において、実施例1のメイン画像には、非接触ICに記憶された残高及び定期券区間の有無を示す残高確認欄30と、到達圏の検索を開始するための「どこまでいける?」のアイコン31と、運賃プロパティ画像を表示するための「明細を見る」のアイコン32と、前記運賃決済プログラムAP1を起動させるための「チャージする」のアイコン33と、図示しない定期券購入用のプログラムを起動させるための「定期券購入」のアイコン34とが表示されている。なお、図5には、非接触ICの残高記憶手段KC11に記憶された残高が260円であり、定期券区間が設定されている場合のメイン画像が例示されている。
ST2において、メイン画像で「どこまで行ける?」を選択する入力がされたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST3に移り、イエス(Y)の場合はST8に移る。
ST3において、メイン画像で「明細を見る」を選択する入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST4に移り、ノー(N)の場合はST6に移る。
【0057】
図6は実施例1の運賃のプロパティ画像の説明図である。
ST4において、情報表示画面11に運賃プロパティ画像が表示され、ST5に移る。なお、前記運賃プロパティ画像には、定期券が大人料金であるか子供料金であるかを示す料金体系表示欄36と、定期券区間及び有効期限を示す定期券区間欄37と、残高が不足した場合にナビゲーションプログラムAP2を終了して、運賃決済用プログラムAP1を起動可能にするか否かの設定を示すチャージリンク設定欄38とが表示されている。
ST5において、ユーザが入力キー12を操作して、メイン画面に戻る操作をしたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST5を繰り返し、イエス(Y)の場合はST1に戻る。
ST6において、その他の入力(「チャージする」や「定期券購入」の入力)がされたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST2に戻り、イエス(Y)の場合はST7に移る。
ST7において、ナビゲーションプログラムAP2を終了して、入力に応じたプログラムを起動させる。
【0058】
図7は実施例1の出発駅名入力画像の説明図である。
ST8において、次の処理(1)、(2)を実行してST9に移る。
(1)情報表示画面11に出発駅名入力画像(図7参照)を表示する。図7において、出発駅名入力画像には、出発駅名を入力するための出発駅名入力欄41と、出発駅名の検索を行うための「検索」のアイコン42と、到達圏探索を実行するための「OK」のアイコン43とが表示されている。
(2)出発駅確定フラグFL0を「0」とする。
ST9において、ユーザが入力キー12を使用して、出発駅名を入力したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST10に移り、ノー(N)の場合はST11に移る。
ST10において、入力に応じて、出発駅名入力画像を更新し、ST9に戻る。
【0059】
ST11において、「検索」のアイコン42を選択する入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST12に移り、ノー(N)の場合はST17に移る。
ST12において、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7に出発駅名検索データを送信する。そして、ST13に移る。
ST13において、出発駅名検索結果を受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST13を繰り返し、イエス(Y)の場合はST14に移る。
【0060】
図8は実施例1の出発駅名検索結果画像の説明図であり、「神田」で出発駅名の検索を実行した場合の出発駅名検索結果画像の説明図である。
ST14において、出発駅名検索結果画像(図8参照)を情報表示画面11に表示し、ST15に移る。なお、図8には、出発駅名として「神田」を入力して出発駅名検索を実行した場合の検索結果画像が例示されている。
ST15において、出発駅名検索画像において、ユーザが入力キー12でいずれかの駅を選択する入力がされたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST15を繰り返し、イエス(Y)の場合はST16に移る。
ST16において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST9に戻る。
(1)選択された駅名が前記出発駅名入力欄41に表示された出発駅名入力画像(図7参照)を情報表示画面11に表示する。
(2)出発駅確定フラグFL0を「1」とする。
【0061】
ST17において、出発駅名入力画像の「OK」のアイコン43を選択する入力がされたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST9に戻り、イエス(Y)の場合はST18に移る。
ST18において、出発駅名入力欄に入力されている出発駅と、出発駅確定フラグFL0の値と、残高及び定期券区間等の到達圏探索データを携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7に送信する。そして、ST19に移る。
ST19において、到達圏探索結果を受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST20に移り、イエス(Y)の場合はST21に移る。
ST20において、出発駅名検索結果を受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST19に戻り、イエス(Y)の場合はST14に移る。
【0062】
図9は実施例1の到達圏探索結果画像の説明図であり、神田から川崎の定期券区間を考慮して「神田」から260円で到達可能な到達圏駅の検索結果を示す到達圏探索結果画像の説明図である。
ST21において、到達圏探索結果画像(図9参照)を情報表示画面11に表示して、ST22に移る。なお、図9において、到達圏探索結果画像には、画像をスクロールさせる「次ページ」のアイコン51と、往復可能な到達圏を表示するための「往復ルート」アイコン52とが表示されている。
ST22において、ユーザが入力キー12を操作して、メイン画面に戻る操作をしたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST23に移り、イエス(Y)の場合はST1に戻る。
ST23において、その他の入力(「次ページ」アイコン51または「往復ルート」アイコン52の選択入力)がされたか否かを判別する、イエス(Y)の場合はST24に移り、ノー(N)の場合はST22に戻る。
ST24において、入力に応じて到達圏検索結果画像を更新する。そして、ST22に戻る。
【0063】
(サーバのフローチャートの説明)
図10は実施例1の携帯ナビゲーションシステムのサーバが備えている携帯ナビゲーション用プログラムの出発駅名及び到達圏探索処理のメインフローチャートである。
図10のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、サーバ7のコントローラSCのROM等に記憶された携帯ナビゲーション用プログラムAP4に従って行われる。また、この処理はサーバ7の他の各種処理と並行して実行される。
【0064】
図10に示すフローチャートは携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7の電源オンにより開始される。
図10のST31において、出発駅名検索データを受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST32に移り、ノー(N)の場合はST33に移る。
ST32において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST31に戻る。
(1)受信した出発駅名に対応する駅名を検索する。
(2)出発駅名検索結果を携帯電話1(携帯端末)に送信する。
ST33において、到達圏探索データを受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST31に戻り、イエス(Y)の場合はST34に移る。
【0065】
ST34において、出発駅確定フラグFL0が「0」であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST35に移り、イエス(Y)の場合はST36に移る。
ST35において、受信した到達圏探索データに含まれる出発駅を出発駅として設定、記憶する。そして、ST40に移る。
ST36において、受信した出発駅名に対応する駅名を検索する。そして、ST37に移る。
ST37において、出発駅名の検索の結果、対応する駅名が複数あるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST38に移り、ノー(N)の場合はST39に移る。
ST38において、出発駅名検索結果を携帯電話1に送信する。そして、ST31に戻る。
ST39において、出発駅名検索結果で検索された駅を出発駅に設定、記憶する。そして、ST40に移る。
【0066】
ST40において、前記出発駅から残高以内である到達可能な到達圏駅を探索する到達圏駅探索処理(後述する図11のサブルーチン参照)を実行する。即ち、ST40では、片道運賃が残高以内である到達圏駅を探索する。そして、ST41に移る。
ST41において、残高を1/2に設定する。そして、ST42に移る。
ST42において、前記ST40と同様に、前記出発駅から残高以内である到達可能な到達圏駅を探索する到達圏駅探索処理(後述する図11のサブルーチン参照)を実行する。即ち、ST42では、片道運賃が残高の1/2以内である到達圏駅、即ち、往復運賃が残高以内の到達可能駅を探索する。そして、ST43に移る。
ST43において、到達圏探索結果を携帯電話1に送信し、ST31に戻る。
【0067】
(到達圏探索処理のフローチャートの説明)
図11は実施例1の到達圏探索処理のフローチャートであり、図10のST40、ST42のサブルーチンのフローチャートである。
図11のST51において、出発駅からの交通機関の運賃が残高以内で到達可能な到達圏駅を抽出する到達圏抽出処理(後述する図12のサブルーチン参照)を実行する。そして、ST52に移る。
ST52において、受信した到達圏探索データに含まれる定期券区間があるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST53に移り、ノー(N)の場合は図11のサブルーチンを終了して、図10の出発駅名及び到達圏探索処理に戻る。
【0068】
図12は実施例1の定期券区間と路線との関係を説明する説明図である。
ST53において、全駅記憶手段SC2のデータに基づいて、定期券区間の定期端点(定期区間の乗降駅)と、分岐点(定期区間内の乗換可能駅)とを抽出する。即ち、図12に示すように、ユーザが定期端点1と定期端点2との間の定期券を購入しており、定期券区間内に分岐点1及び分岐点2がある場合に、各定期端点および各分岐点を抽出(リストアップ)する。そして、ST54に移る。
ST54において、前記全駅記憶手段SC2のデータに基づいて、出発駅が定期券区間内のいずれかの駅であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST55に移り、イエス(Y)の場合はST58に移る。
【0069】
ST55において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST56に移る。
(1)出発駅と各定期端点との間の経路、及び、出発駅と各分岐点との経路を複数検索する。即ち、図12において、出発駅が定期券区間外である場合、出発駅から定期端点1,2及び分岐点1,2への経路を複数検索する。
(2)検索した各経路の運賃を計算する。
ST56において、計算した運賃の中の最小の運賃が残高以下であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST57に移り、ノー(N)の場合は、図11のサブルーチンを終了して、図10の出発駅名及び到達圏探索処理に戻る。
ST57において、残高から最小運賃を控除する。そして、ST59に移る。
【0070】
ST58において、定期端点1を仮出発駅に設定し、ST59に移る。
ST59において、定期端点1を仮出発駅とするST51と同様の到達圏抽出処理(後述する図12のサブルーチン参照)を実行し、ST60に移る。
ST60において、定期端点2を仮出発駅に設定し、ST61に移る。
ST61において、定期端点2を仮出発駅とするST51,ST59と同様の到達圏抽出処理(後述する図12のサブルーチン参照)を実行し、ST62に移る。
ST62において、抽出されている分岐点が有るか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST63に移り、ノー(N)の場合はST67に移る。
【0071】
ST63において、分岐点1を仮出発駅に設定し、ST64に移る。
ST64において、分岐点1を仮出発駅とするST51,ST59、ST61と同様の到達圏抽出処理(後述する図12のサブルーチン参照)を実行し、ST65に移る。
ST65において、全ての分岐点についての到達圏抽出処理が終了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST66に移り、イエス(Y)の場合はST67に移る。
ST66において、次の分岐点を仮出発駅に設定し、ST64に移る。
ST67において、各路線毎に、前記到達圏抽出処理(ST51,ST59、ST61、ST64)で抽出された到達圏駅の中で両ターミナル駅に最も近い駅を到達圏駅に設定する。そして、図11のサブルーチンを終了して、図10の出発駅名及び到達圏探索処理に戻る。
【0072】
(到達圏抽出処理のフローチャートの説明)
図13は実施例1の到達圏抽出処理のフローチャートであり、図11のST51、ST59、ST61,ST64のサブルーチンのフローチャートである。
図13のST71において、前記路線データ記憶手段SC2Aに記憶された(登録された)路線データの最初の路線を抽出対象路線に設定する。そして、ST72に移る。
ST72において、抽出対象路線の登録されている最初の駅を抽出対象駅に設定する。そして、ST73に移る。
ST73において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST74に移る。
(1)出発駅(ST59、ST61,ST64の場合は仮出発駅)と抽出対象駅との間の経路を複数検索する。
(2)検索された各経路の運賃を計算する。
【0073】
ST74において、計算された運賃が最小の経路(最小運賃経路)を選択し、ST75に移る。
ST75において、選択された最小運賃経路の運賃が残高以下であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST76に移り、ノー(N)の場合はST77に移る。
ST76において、抽出対象駅を到達可能駅として記憶する(登録する)。そして、ST77に移る。
ST77において、抽出対象路線上の全ての駅の抽出判別が終了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST78に移り、イエス(Y)の場合はST79に移る。
ST78において、抽出対象駅を抽出対象路線上の次の駅に設定する。そして、ST73に移る。
【0074】
ST79において、抽出対象路線のターミナル駅が到達可能駅であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST80に移り、ノー(N)の場合はST81に移る。
ST80において、該当するターミナル駅方向の到達圏駅を「全駅」に設定する。そして、ST82に移る。
ST81において、到達可能駅の中でターミナル駅に最も近い駅を到達圏駅に設定する。なお、一方のターミナル駅が到達可能駅で、他方のターミナル駅が到達可能駅でない場合、前記一方のターミナル駅方向の到達圏駅は「全駅」に設定し、前記他方のターミナル駅方向の到達圏駅はターミナル駅に最も近い駅を到達圏駅に設定する。そして、ST82に移る。
ST82において、全ての路線についての抽出判別が終了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST83に移り、対象路線を次の路線に設定してステップST72に戻る。イエス(Y)の場合は図13のサブルーチンを終了して、図11の到達圏探索処理に戻る。
【0075】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の携帯ナビゲーションシステムSでは、出発駅から非接触ICに記憶されている残高以内で到達可能な到達圏をユーザが知りたい場合、携帯電話1を操作して、出発駅名入力画像(図6参照)において出発駅名を入力、または検索した駅から選択して「OK」のアイコン43を入力する。「OK」が選択されると、出発駅や残金、定期券区間等の到達圏探索データが携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7に送信される。到達圏探索データを受信した携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7は、図11のST51において、出発駅からの到達圏(図12の到達圏56参照)を探索する。
【0076】
次に、定期券区間がある場合、定期券区間は無料で移動可能であるので、定期券区間を考慮した到達圏の探索が行われる。出発駅が定期券区間外である場合、ST55〜ST56において、残高以内で定期券区間に到達できるか否かが判別される。定期券区間に到達できる場合には、ST57において定期券区間までの運賃が残高から控除され、残りの残高で定期端点や分岐点からの到達圏(図12の到達圏57、58、59、60参照)の探索が行われる(ST58〜ST67参照)。
出発駅が定期券区間内である場合、ST58〜ST67により、定期端点や分岐点からの到達圏(図12の到達圏57、58、59、60参照)の探索が行われる(ST58〜ST67参照)。
そして、定期端点や分岐点からの到達圏57〜60が有る場合、ST67において、出発点からの到達圏56と到達圏57〜60の論理和をとって、出発駅から最も遠い駅、即ち、ターミナル駅に最も近い駅を到達圏駅とする。このとき、ターミナル駅が到達圏駅である場合には、図8に示すように到達圏駅を「全駅」とする。
実施例1の到達圏検索では、前記到達圏駅の探索を片道の場合(ST40)と往復の場合(ST42)の両方で行っている。
【0077】
前記携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7での到達圏駅の探索が終了すると、到達圏探索結果が携帯電話1に送信され、受信した携帯電話1には、到達圏探索結果画像(図8参照)が表示される。したがって、実施例1の携帯電話1では、ユーザは、残高で片道または往復で到達可能な到達圏駅を容易に確認することができる。また、前記到達圏探索結果画像を参照することにより、ユーザは、自分が行きたい目的地が到達圏に入っていないことも確認できるので、残高不足を認識することができる。そして、メイン画像において、「チャージする」のアイコン33を選択することで、容易に残高のチャージをすることができる。したがって、目的地の駅の自動改札機10を通過する際に、残高不足により自動改札機10のゲートが閉じてしまうことを低減することができる。この結果、ゲートが閉じてしまい改札が混雑することも低減できる。また、非接触ICを利用した決済方法の利用促進にも貢献できる。
【実施例2】
【0078】
次に本発明の実施例2の携帯ナビゲーションシステムSの説明を行うが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
(携帯電話1の制御部の説明)
図14は実施例2の携帯電話1の制御部分が備えている各機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【0079】
(携帯電話のコントローラKCに接続された制御要素)
また、実施例2の携帯電話1のコントローラKCは、前記液晶駆動回路KD1やスピーカ駆動回路KD2、非接触ICに加え、GPS駆動回路KD3に接続されている。
前記GPS駆動回路KD3は、携帯電話1に内蔵され、携帯電話1の現在位置を三次元側位可能なGPS(Global Positioning System、全地球無線側位システム)装置を駆動する。前記GPS装置は、コントローラKCからの側位開始の入力信号に応じて、衛星から発射された時刻信号の電波の到達時間等から地球上の携帯電話1の位置を側位し、側位結果をコントローラKCに入力する。
【0080】
(携帯電話のコントローラKCの機能)
実施例2の携帯電話1のコントローラKCは、実施例1のコントローラKCと比較して、到達圏探索画像表示手段KC5、出発駅名検索データ送信手段KC6A、到達圏探索データ送信手段KC6B、出発駅名検索結果受信手段KC7A、到達圏探索結果受信手段KC7Bが省略されている。また、実施例2のコントローラKCは、下記の機能(制御手段)を有している。
KC21:GPS制御手段
GPS制御手段KC21は、前記GPS駆動回路KD3を介して、GPS装置の駆動を制御する。
また、実施例2のコントローラKCのナビゲーションプログラムAP2は、下記の機能(プログラムモジュール、制御手段)を有している。
KC22:探索条件入力手段
探索条件入力手段KC22は、探索条件入力画像表示手段KC22Aと、探索条件記憶手段KC22Bとを有し、ユーザが経路探索を実行するための経路探索条件を入力するための画像を表示し、入力された経路探索条件を記憶する。
【0081】
図15は、実施例2の探索条件入力画像の説明図である。
KC22A:探索条件入力画像表示手段
探索条件入力画像表示手段KC22Aは、液晶制御手段KC1に信号を出力して、ユーザが経路探索を実行するための探索条件入力画像(図15参照)を情報表示画面11に表示させる。図15において、実施例2の探索条件入力画像は、出発地入力欄、目的地入力欄、出発日時又は到着日時入力欄、探索数入力欄及び交通手段入力欄を有している。
KC22B:探索条件記憶手段
探索条件記憶手段KC22Bは、前記探索条件入力画像で入力された探索条件を記憶する。
【0082】
図16は、実施例2の経路探索結果を表示する画像の説明図であり、図16Aは経路候補一覧画像の説明図、図16Bは経路案内画像の説明図、図16Cは周辺地図の地図画像の説明図である。
KC23:探索結果表示手段(結果告知手段)
探索結果表示手段KC23は、経路候補一覧画像作成手段KC23Aと、経路候補一覧画像表示手段KC23Bとを有し、前記経路探索条件に応じた経路探索結果を示す経路候補一覧画像61(図16A参照)を作成し、表示する。
KC23A:経路候補一覧画像作成手段
経路候補一覧画像作成手段KC23Aは、経路探索結果を示す経路候補一覧画像を作成する。図16Aにおいて、経路候補一覧画像61には、残高不足を示す残高不足アイコン62a及び不足額を表示する不足額表示画像62bと、残高のチャージをするために運賃決済プログラムAP1を起動させるためのチャージ用ショートカットアイコン63と、経路案内を開始するための「ルート案内開始」アイコン64a及び案内用の地図を表示する「ルート地図確認」アイコン64bとを有する経路案内用アイコン群64とを有する。
【0083】
KC23B:経路候補一覧画像表示手段
経路候補一覧画像表示手段KC23Bは、前記経路候補一覧画像作成手段KC23Aで作成された経路候補一覧画像61を情報表示画面11に表示する。
KC24:経路案内手段
経路案内手段KC24は、案内地図画像作成手段KC24Aと、現在位置計測手段KC24Bと、ガイド情報告知手段KC24Cとを有し、経路探索条件に応じて探索された経路の案内(ナビゲーション)を行う。
KC24A:案内地図画像作成手段
案内地図画像作成手段KC24Aは、地図画像作成手段KC24A1と、経路画像作成手段KC24A2とを有し、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7から配信された地図データ及び経路データに基づいて、地図画像66aや経路画像66b、現在位置表示用アイコン66c等を組み合わせた経路案内用の案内地図画像66(図16B参照)を作成する。実施例2の案内地図画像作成手段KC24Aは、携帯電話1の現在位置(ユーザの現在位置)を中心とする案内地図画像66を作成する。
【0084】
KC24A1:地図画像作成手段
地図画像作成手段KC24A1は、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7から配信された地図データに基づいて、情報表示画面11に表示する地図画像66aを作成する。
KC24A2:経路画像作成手段
経路画像作成手段KC24A2は、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7から配信された経路データに基づいて、情報表示画面11に表示する経路画像66bや現在位置表示用アイコン66cを作成する。
KC24B:現在位置計測手段(現在位置検出手段)
現在位置計測手段KC24Bは、前記GPS装置から出力された測位信号に基づいて、携帯電話1の現在位置を測位する。
【0085】
KC24C:ガイド情報告知手段
ガイド情報告知手段KC24Cは、経路の曲がり角や目的地付近になったこと等を告知するガイド情報告知画像66dを表示したり、ガイド音声を流したりする。
KC6C:経路探索条件データ送信手段
実施例2の携帯側データ送信手段KC6は、経路探索条件データ送信手段KC6Cを有し、前記経路探索条件データ送信手段KC6Cは、前記探索条件記憶手段KC22Bに記憶された経路探索条件や残高のデータを携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7に送信する。
【0086】
KC7C:経路探索結果受信手段(比較結果受信手段)
実施例2の携帯側データ受信手段KC7は、経路探索結果受信手段KC7C及び地図データ受信手段KC7Dを有し、前記経路探索結果受信手段KC7Cは、経路探索条件に対応する経路探索結果を受信し、記憶する。なお、実施例2の経路探索結果には、経路候補データや、残高不足の経路を示すデータ、経路のデータ等が含まれる。
KC7D:地図データ受信手段
地図データ受信手段KC7Dは、携帯電話1の現在位置に応じて、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7から送信される地図データを受信し、記憶する。
【0087】
(携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7の制御部の説明)
図17は実施例2の携帯ナビゲーションシステムのサーバの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
図17において、実施例2の携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7の携帯ナビゲーション用プログラムAP4は、実施例1と同様の機能である前記全駅記憶手段SC2、前記経路探索手段SC5A、運賃計算手段SC5Bとを有する。そして、実施例2の携帯ナビゲーション用プログラムAP4は、実施例1の携帯ナビゲーション用プログラムAP4とは異なる下記の機能を有している。
【0088】
SC1C:経路探索用データ受信手段(残高受信手段)
実施例2のサーバ側データ受信手段SC1は、経路探索用データ受信手段SC1Cを有し、経路探索用データ受信手段SC1Cは、携帯電話1から送信された経路探索用データ(経路探索条件や残高のデータ)を受信し、記憶する。
SC21:運賃不足経路判別手段(残高比較手段)
運賃不足経路判別手段SC21は、運賃不足額計算手段SC21Aを有し、経路探索手段KC5Aで探索された経路の交通機関の運賃が残高以内であるか否か、即ち、運賃が不足している運賃不足経路であるか否かを判別する。
【0089】
SC21A:運賃不足額計算手段
運賃不足額計算手段SC21Aは、前記運賃不足経路の運賃の不足額(=運賃−残高)を計算する。
SC22:地図データ記憶手段
地図データ記憶手段SC22は、経路案内で使用される地図データを記憶する。
SC6C:経路探索結果送信手段
実施例2のサーバ側データ送信手段SC6は、経路探索結果送信手段SC6Cと、地図データ送信手段SC6Dとを有し、前記経路探索結果送信手段(比較結果送信手段)SC6Cは、前記経路探索手段KC5Aで探索された経路のデータや、運賃不足経路判別手段SC21での判別結果を含む経路探索結果のデータを携帯電話1に送信する。
SC6D:地図データ送信手段
地図データ送信手段SC6Dは、携帯電話1の現在位置に応じて、携帯電話1に経路案内に使用される地図データを送信する。
【0090】
(実施例2のフローチャートの説明)
(携帯電話のフローチャートの説明)
図18は実施例2の携帯ナビゲーションシステムの携帯電話1が備えている経路案内メイン処理のフローチャートである。
図18のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記コントローラKCのROM等に記憶されたナビゲーションプログラム(運賃不足経路判別プログラム)AP2に従って行われる。また、この処理は携帯電話1の他の各種処理と並行して実行される。
図18に示すフローチャートは、ユーザの入力に応じたナビゲーションプログラムAP2の起動により開始される。
【0091】
図18のST91において、経路探索条件入力画像(図15参照)を情報表示画面11に表示し、ST92に移る。
ST92において、「探索開始」を選択する入力がされたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST93に移り、イエス(Y)の場合はST95に移る。
ST93において、その他の入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST94に移り、ノー(N)の場合はST92に戻る。
ST94において、ST93での入力に応じて、表示画像を更新し、ST92に戻る。
ST95において、経路探索条件データを携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7に送信する。そして、ST96に移る。
【0092】
ST96において、経路探索結果を受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST96を繰り返し、イエス(Y)の場合はST97に移る。
ST97において、受信した経路探索結果に応じた経路候補一覧画像61(図16A参照)を作成する。そして、ST98に移る。
ST98において、ST97で作成した経路候補一覧画像61を情報表示画面11に表示する。そして、ST99に移る。
ST99において、経路候補一覧画像61で、「ルート地図確認」アイコン64bを選択する入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST100に移り、ノー(N)の場合はST101に移る。
ST100において、経路案内の出発地を中心とした周辺の地図画像66a(図18C参照)を作成して、情報表示画面11に表示する。そして、ST99に戻る。
【0093】
ST101において、経路候補一覧画像61で、「ルート案内開始」アイコン64aを選択する入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST102に移り、ノー(N)の場合はST103に移る。
ST102において、ユーザの現在位置の移動に応じた経路案内画像66を表示して、ユーザに経路案内(ナビゲーション)をする経路案内処理を実行する。なお、前記経路案内処理は、種々の処理方法(例えば、特開2003−214860号公報や、本出願人の出願である特願2003−369314号等)を採用可能であるので、詳細な説明は省略する。そして、ST99に戻る。
ST103において、チャージ用ショートカットアイコン63の入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST104に移り、ノー(N)の場合はST105に移る。
ST104において、運賃決済プログラムAP1を起動して図18の経路案内処理を終了する。
ST105において、経路案内処理を終了する入力がされたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST99に戻り、イエス(Y)の場合は図18の経路案内処理を終了する。
【0094】
(サーバのフローチャートの説明)
図19は実施例2の携帯ナビゲーションシステムのサーバ7が備えている携帯ナビゲーション用プログラムの経路探索処理のメインフローチャートである。
図19のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、サーバ7のコントローラSCのROM等に記憶された携帯ナビゲーション用プログラムAP4に従って行われる。また、この処理はサーバ7の他の各種処理と並行して実行される。なお、前記携帯電話1の現在位置に対応して地図データを携帯電話1に送信する地図データ送信処理は、従来公知(例えば、特開2003−214860号公報等参照)であるので、詳細な説明は省略する。
【0095】
図19に示すフローチャートは携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7の電源オンにより開始される。
図19のST111において、経路探索条件データを受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST111を繰り返し、イエス(Y)の場合はST112に移る。
ST112において、経路探索条件データに応じた経路を探索する経路探索処理を実行する。前記経路探索処理は、種々の処理方法(例えば、特開2003−214860号公報や、本出願人の出願である特願2003−369314号等)を採用可能であるので、詳細な説明は省略する。そして、ST113に移る。
ST113において、経路探索処理で探索された経路の交通機関の運賃を計算する。そして、ST114に移る。
【0096】
ST114において、前記経路の運賃が残高以上であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST115に移り、ノー(N)の場合はST116に移る。
ST115において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST116に移る。
(1)(運賃−残高)を不足額に設定する。
(2)前記経路を運賃不足経路に設定する。
ST116において、全ての経路の判別が終了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST113に戻り、イエス(Y)の場合はST117に移る。
ST117において、前記探索経路のデータや運賃不足経路の判別結果、不足額等を含む経路探索結果を携帯電話(携帯端末)1に送信する。そして、ST111に戻る。
【0097】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の携帯ナビゲーションシステムSでは、ユーザが入力した経路探索条件に応じた経路の探索が行われ、各経路の交通機関の運賃が非接触ICの残高以内であるか否かの判別が行われる(ST114)。そして、残高が不足している場合、残高不足アイコン62a及び不足額表示画像62bが経路候補一覧画像61に表示される。したがって、ユーザが、残高が不足していることを容易に認識できる。そして、経路候補一覧画像61にチャージ用ショートカットアイコン63が表示されているため、ユーザがチャージ用ショートカットアイコン63を選択することにより、残高のチャージを容易に行うことができる。
したがって、実施例2の携帯ナビゲーションシステムSでは、ユーザが交通機関の運賃が不足することを容易に確認、認識することができる。また、残高不足を認識した時に、連動して残高のチャージを行うことができるので、目的地の駅の自動改札機10を通過する際に、残高不足により自動改札機10のゲートが閉じてしまうことを低減することができる。この結果、ゲートが閉じてしまい改札が混雑することも低減できる。また、非接触ICを利用した決済方法の利用促進にも貢献できる。
【実施例3】
【0098】
次に本発明の実施例3の携帯ナビゲーションシステムSの説明を行うが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
(携帯電話1の制御部の説明)
図20は実施例3の携帯電話1の制御部分が備えている各機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【0099】
(携帯電話のコントローラKCに接続された信号入力要素)
実施例3の携帯電話1のコントローラKCは、前記入力キー12の他に、3次元地磁気センサSN1、傾斜センサSN2、加速度センサSN3等の信号入力要素からの信号が入力されている。
前記3次元地磁気センサ(磁気センサ)SN1は、磁方位を検出する。実施例3の3次元地磁気センサSN1は、高感度、高精度の地磁気センサを直交する3軸(X,Y,Z軸)方向に配置したセンサである。このような地磁気センサは従来公知であり(例えば、特開2002-090432号公報、特開平8−278137号公報等参照)、種々のセンサを使用可能であるので、詳細な説明は省略する。
【0100】
前記傾斜センサSN2は、携帯電話1の水平面に対する傾斜量を検出する。実施例3の傾斜センサSN2は、従来公知(例えば、特開平8−278137号公報等参照)であり、種々の傾斜センサを使用可能なので、詳細な説明は省略する。
前記加速度センサSN3は、携帯電話1の移動時の加速度を検出する。実施例3の加速度センサSN3は、直交する3軸(X,Y,Z軸)方向の加速度を検出可能な従来公知の加速度センサ(例えば、特許第3359781号明細書等参照)を使用しており、従来公知の種々のセンサを使用できるので、詳細な説明は省略する。
【0101】
(携帯電話のコントローラKCの機能)
実施例3の携帯電話1のコントローラKCのナビゲーションプログラムAP2では、実施例1の場合と比較して、到達圏探索画像表示手段KC5、出発駅名検索データ送信手段KC6A、到達圏探索データ送信手段KC6B、出発駅名検索結果受信手段KC7A及び到達圏探索結果受信手段KC7Bが省略され、下記の機能(制御手段)を有している。
KC31:傾斜角検出手段
傾斜角検出手段KC31は、前記傾斜センサSN2から出力された傾斜データに基づいて、携帯電話1の傾斜角を演算し、記憶する。なお、前記傾斜角の演算方法は、従来公知なので(例えば、特開平8−278137号公報等参照)、詳細な説明は省略する。
KC32:方位検出手段
方位検出手段KC12は、前記3次元地磁気センサSN1から出力された地磁気データ等に基づいて、方位を検出し、記憶する。
【0102】
KC33:加速度検出手段
加速度検出手段KC33は、加速度センサSN3から出力される加速度データを読取り、携帯電話1の移動時の加速度を検出する。
KC34:発車検出手段
発車検出手段KC34は、加速度センサSN3で検出された加速度が、予め設定された加速度範囲に連続して所定の時間以上含まれている場合に、交通機関が発車(移動開始)したと判別すると共に、加速度センサSN3で検出された加速度から求まる移動速度の値に基づいて、次の駅に到着したことも判別する。
KC35:進行方向検出手段
進行方向検出手段KC35は、前記加速度センサSN3で検出された加速度から移動速度を演算(積分)することにより、前記移動速度の方向である進行方向を検出する。
なお、前記傾斜角や方位、加速度、発車、進行方向等を検出する技術は、例えば、本出願人の出願である特願2004−136957号の明細書等に詳細に記載されているので、詳細な説明は省略する。
【0103】
KC36:路線情報記憶手段
路線情報記憶手段KC36は、ユーザが交通機関に乗車した出発駅と、進行方向とに応じて、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7から送信された路線及び路線上の駅の情報を記憶する。
KC37:移動経路判別手段(現在位置検出手段)
移動経路判別手段KC37は、移動経路記憶手段KC37Aを有し、前記発車検出手段KC34での発車や駅の到着、路線情報記憶手段KC36に記憶された路線情報等に基づいて、前記ユーザの現在位置と、出発駅から現在位置まで交通機関を利用して移動した経路を判別する。
KC37A:移動経路記憶手段(経路記憶手段)
移動経路記憶手段KC37Aは、前記移動経路判別手段KC37により判別されたユーザの移動経路を記憶する。
KC38:運賃計算手段
運賃計算手段KC38は、交通機関の運賃のデータを記憶する運賃データ記憶手段KC38Aを有し、前記移動経路記憶手段KC37Aに記憶された移動経路の交通機関の運賃を計算する。
【0104】
KC39:残高不足判別手段(残高比較手段)
残高不足判別手段KC39は、前記運賃計算手段KC38で計算された運賃が残高記憶手段KC11に記憶された残高以内であるか否かを判別する。
KC40:駅案内手段(結果告知手段)
駅案内手段KC40は、通常案内画像表示手段KC40Aと、残高不足用案内画像表示手段KC40Bとを有し、前記路線情報記憶手段KC36に記憶された路線情報と、発車検出手段KC34により検出された発車、到着の判別結果とに基づいて、次の駅の案内(ナビゲーション)を行う。
KC40A:通常案内画像表示手段
通常案内画像表示手段KC40Aは、移動経路の運賃が残高以内である場合に表示される通常案内画像(後述する図24A参照)を作成し、表示する。
【0105】
KC40B:残高不足用案内画像表示手段
残高不足用案内画像表示手段KC40Bは、移動経路の運賃が残高を越えた場合に表示される残高不足用案内画像(後述する図24B参照)を作成し、表示する。
KC6D:出発駅及び進行方向送信手段
出発駅及び進行方向送信手段KC6Dは、改札情報記憶手段KC13に記憶された出発駅のデータ及び進行方向検出手段で検出された進行方向のデータを携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7に送信する。
KC7E:路線情報受信手段(経路探索結果受信手段)
路線情報受信手段KC7Eは、前記出発駅のデータ及び進行方向のデータに応じて、ユーザが乗車した路線(移動予定の経路)の探索結果である路線情報を受信する。
【0106】
(携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7の制御部の説明)
図21は実施例3の携帯ナビゲーションシステムのサーバ7の機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
図21において、実施例3の携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7の携帯ナビゲーション用プログラムAP4は、実施例1と同様の機能である前記全駅記憶手段SC2を有する。そして、実施例3の携帯ナビゲーション用プログラムAP4は、実施例1の携帯ナビゲーション用プログラムAP4とは異なる下記の機能を有している。
SC1D:出発駅及び進行方向受信手段
実施例3のサーバ側データ受信手段SC1は、出発駅及び進行方向受信手段SC1Dを有し、前記出発駅及び進行方向受信手段SC1Dは、携帯電話1から送信された出発駅のデータ及び進行方向のデータを受信する。
【0107】
SC31:路線検出手段
路線検出手段SC31は、受信した出発駅のデータ及び進行方向のデータとに基づいて、ユーザが乗車している路線及び路線の進行方向にあるターミナル駅までの駅を検出する。
SC6E:路線情報送信手段
実施例3のサーバ側データ送信手段SC6は路線情報送信手段SC6Eを有し、路線情報送信手段SC6Eは、前記路線検出手段SC31で検出された路線及び駅のデータを携帯電話1に送信する。
【0108】
(実施例3のフローチャートの説明)
(サーバのフローチャートの説明)
図22は実施例3の携帯ナビゲーションシステムのサーバ7が備えている携帯ナビゲーション用プログラムの路線検出処理のメインフローチャートである。
図22のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、サーバ7のコントローラSCのROM等に記憶された携帯ナビゲーション用プログラムAP4に従って行われる。また、この処理はサーバ7の他の各種処理と並行して実行される。
【0109】
図22に示すフローチャートは携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7の電源オンにより開始される。
図22のST121において、携帯電話1から送信された出発駅及び進行方向のデータを受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST121を繰り返し、イエス(Y)の場合はST122に移る。
ST122において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST121に戻る。
(1)出発駅と進行方向のデータとに基づいて、路線及び路線上の駅を検出する。
(2)検出した路線及び駅のデータを携帯電話(携帯端末)1に送信する。
【0110】
(携帯電話のフローチャートの説明)
図23は実施例3の携帯ナビゲーションシステムの携帯電話1が備えている駅案内表示処理のフローチャートである。
図23のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記コントローラKCのROM等に記憶されたナビゲーションプログラム(リアルタイム残高不足検出プログラム)AP2に従って行われる。また、この処理は携帯電話1の他の各種処理と並行して実行される。
図23に示すフローチャートは、ユーザの入力に応じたナビゲーションプログラムAP2の起動により開始される。
【0111】
図23のST131において、改札情報を照会し、出発駅のデータが有るか否かを判別する。なお、実施例3のナビゲーションプログラムAP2では、出発駅のデータがない場合には、処理が進行しないが、改札を通過するように促す画像表示を行うことも可能である。ノー(N)の場合はST131を繰り返し、イエス(Y)の場合はST132に移る。
ST132において、ユーザが乗車した交通機関が発車したか否かを判別する。なお、前記発車の検出(判別)方法は、種々の方法を採用可能であり、例えば、本出願人の出願である特願2004−136957号の明細書に記載された方法を採用することが可能であるので詳細な説明は省略する。ノー(N)の場合はST132を繰り返し、イエス(Y)の場合はST133に移る。
ST133において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST134に移る。
(1)加速度から演算した速度のデータに基づいて、進行方向を検出する。
(2)出発駅及び進行方向のデータを携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7に送信する。
【0112】
ST134において、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7から送信された路線情報を受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST134に移り、イエス(Y)の場合はST135に移る。
ST135において、受信した路線情報に基づいて、駅の案内を行う対象の駅である案内対象駅を進行方向の次の駅に設定する。そして、ST136に移る。
ST136において、出発駅から案内対象駅までの経路の交通機関の運賃を計算する。そして、ST137に移る。
ST137において、案内対象駅までの運賃が残高以上であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST138に移り、イエス(Y)の場合はST139に移る。
【0113】
図24は駅案内画像の説明図であり、図24Aは通常案内画像の説明図、図24Bは残高不足用案内画像の説明図である。
ST138において、通常案内画像71(図24A参照)を情報表示画面11に表示し、ST140に移る。図24Aにおいて、実施例3の通常案内画像71には、駅名が表示され、路線が実線で表示されると共に、現在位置を示す現在位置アイコン71aが表示されている。なお、図24Aには、中野駅までの運賃が残高以内である場合の通常案内画像72が例示されている。
ST139において、残高不足用案内画像72(図24B参照)を情報表示画面11に表示し、ST140に移る。図24Bにおいて、実施例3の残高不足用案内画像72では、残高不足と判別されると、路線の表示が実線から点線に変更され、現在位置アイコン71aが残高不足表示アイコン73に変更されると共に、残高のチャージをするために運賃決済プログラムAP1を起動させるためのチャージ用ショートカットアイコン74が表示される。なお、図24Bには、高円寺駅までの運賃が残高以内であり、高円寺以降の運賃が残高以上になる場合の残高不足用案内画像72が例示されている。
【0114】
ST140において、現在位置に応じて画像を更新する。即ち、交通機関が駅に停車している状態、または、駅間を移動中の状態、あるいは案内対象駅に到着した状態に応じて、現在位置アイコン71aや残高不足表示アイコン73の位置や駅名等の画像を更新する。そして、ST141に移る。
ST141において、案内対象駅に到着したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST142に移り、ノー(N)の場合はST143に移る。
ST142において、案内対象駅を移動経路に記憶する。そして、ST135に戻る。
ST143において、駅案内表示処理を終了する入力がされたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST140に戻り、イエス(Y)の場合は図23の駅案内表示処理を終了する。
【0115】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の携帯ナビゲーションシステムSでは、ユーザが交通機関を利用して移動した経路に応じてリアルタイムで運賃が計算され、残高が不足している場合には、残高が不足していることが表示される。したがって、ユーザが交通機関から降車する前に、残高が不足しているか否かを容易に確認できる。また、実施例3の残高不足用案内画像72には、チャージ用ショートカットアイコン74が表示され、残高が不足した場合にアイコン74を選択することで、ユーザが容易に残高のチャージを行うことができる。この結果、ユーザが降車した目的地の駅の自動改札機10を通過する際に、残高不足により自動改札機10のゲートが閉じてしまうことを低減することができる。この結果、ゲートが閉じてしまい改札が混雑することも低減できる。また、非接触ICを利用した決済方法の利用促進にも貢献できる。
【実施例4】
【0116】
次に本発明の実施例4の携帯ナビゲーションシステムSの説明を行うが、この実施例4の説明において、前記実施例1、2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例4は、下記の点で前記実施例1、2と相違しているが、他の点では前記実施例1、2と同様に構成されている。
(携帯電話1の制御部の説明)
図25は実施例4の携帯電話1の制御部分が備えている各機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【0117】
(携帯電話のコントローラKCに接続された信号入力要素及び制御要素)
実施例4の携帯電話1のコントローラKCは、実施例2の場合と同様に、前記入力キー12及びGPS装置、その他の信号入力要素からの信号が入力されている。
また、実施例4の携帯電話1のコントローラKCは、実施例2の場合と同様に、GPS装置を駆動、制御するGPS駆動回路KD3に接続されている。
【0118】
(携帯電話のコントローラKCの機能)
実施例4の携帯電話1のコントローラKCのナビゲーションプログラムAP2では、実施例2の場合と同様に、GPS制御手段KC21と現在位置計測手段KC24Bとを有する。また、実施例1の場合と比較して、到達圏探索画像表示手段KC5、出発駅名検索データ送信手段KC6A、到達圏探索データ送信手段KC6B、出発駅名検索結果受信手段KC7A及び到達圏探索結果受信手段KC7Bが省略され、下記の機能(制御手段)を有している。
KC51:目的地入力手段
目的地入力手段KC51は、目的地入力画像表示手段KC51Aと、目的地記憶手段KC51Bとを有し、逆到達圏の探索を行う場合の基準となる目的地の入力、記憶を行う。
【0119】
KC51A:目的地入力画像表示手段
目的地入力画像表示手段KC51Aは、逆到達圏の探索を行う場合の基準となる目的地を入力するための目的地入力画像(後述する図28A参照)を情報表示画面11に表示する。
KC51B:目的地記憶手段
目的地記憶手段KC51Bは、前記目的地入力画像で入力された目的地を記憶する。
KC52:残高比較手段
残高比較手段KC52は、前記目的地までの経路の交通機関の運賃が残高以内であるか否かの比較を行う。即ち、現在位置が、目的地から残高以内で到達可能な到達圏(逆到達圏)に入っているか否かの判別を行う。
【0120】
KC53:比較結果表示手段(結果告知手段)
比較結果表示手段KC53は、到達可能画像表示手段KC53Aと、残高不足告知画像表示手段KC53Bとを有し、前記残高比較手段KC52の比較結果を情報表示画面11に表示する。
KC53A:到達可能画像表示手段
到達可能画像表示手段KC53Aは、残高比較手段KC52での比較の結果、運賃が残高以内である場合に、目的地まで到達できることを告知する到達可能画像(後述する図28B参照)を情報表示画面11に表示する。
KC53B:残高不足告知画像表示手段
残高不足告知画像表示手段KC53Bは、残高比較手段KC52での比較の結果、運賃が残高を越えた場合に、目的地まで到達できないことを告知すると共に、残高の不足分を告知する残高不足告知画像(後述する図28C参照)を情報表示画面11に表示する。
【0121】
KC6E:目的地及び現在位置データ送信手段
実施例4の携帯側データ送信手段KC6は、目的地及び現在位置データ送信手段KC6Eを有し、目的地及び現在位置データ送信手段KC6Eは、前記目的地入力手段KC51で入力された目的地のデータ及び現在位置計測手段KC24Bで計測された現在位置のデータを携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7に送信する。
KC7F:最小運賃経路受信手段(探索結果記憶手段、運賃情報受信手段)
実施例4の携帯側データ受信手段KC7は、最小運賃経路受信手段KC7Fを有し、前記目的地及び現在地のデータに対応する経路のデータを受信し、記憶する。
【0122】
(携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7の制御部の説明)
図26は実施例4の携帯ナビゲーションシステムのサーバの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
図26において、実施例4の携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7の携帯ナビゲーション用プログラムAP4は、実施例1と同様の機能である前記全駅記憶手段SC2を有する。そして、実施例4の携帯ナビゲーション用プログラムAP4は、実施例1の携帯ナビゲーション用プログラムAP4とは異なる下記の機能を有している。
SC1E:目的地及び現在位置データ受信手段
実施例4のサーバ側データ受信手段SC1は、目的地及び現在位置データ受信手段SC1Eを有し、前記目的地及び現在位置データ受信手段SC1Eは、携帯電話1から送信された目的地のデータ及び現在位置のデータを受信し、記憶する。
【0123】
SC51:逆到達圏探索手段
逆到達圏探索手段SC51は、前記実施例1の到達圏探索手段SC5の場合と同様の経路探索手段SC5A及び運賃計算手段SC5Bと、最小運賃経路判別手段SC51Aとを有し、現在位置から目的地までの経路を複数探索し、その経路の中で最小の運賃の経路を探索する。
SC51A:最小運賃経路判別手段
最小運賃経路判別手段SC51Aは、経路探索手段SC5Aで探索された経路の中で、どの経路が交通機関の運賃が最小となる最小運賃経路であるのかを判別する。
SC6F:路線情報送信手段
実施例4のサーバ側データ送信手段SC6は、路線情報送信手段SC6Fを有し、路線情報送信手段SC6Fは、最小運賃経路の運賃のデータを携帯電話1に送信する。
【0124】
(実施例4のフローチャートの説明)
(携帯電話のフローチャートの説明)
図27は実施例4の携帯ナビゲーションシステムの携帯電話が備えている逆到達圏探索処理のフローチャートである。
図27のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記コントローラKCのROM等に記憶されたナビゲーションプログラムAP2に従って行われる。また、この処理は携帯電話1の他の各種処理と並行して実行される。
図27に示すフローチャートは、ユーザの入力に応じたナビゲーションプログラム(逆到達圏探索プログラム)AP2の起動により開始される。
【0125】
図28は実施例4の携帯電話の情報表示画面に表示される画像の説明図であり、図28Aは目的地入力画像の説明図、図28Bは到達可能画像の説明図、図28Cは残高不足告知画像の説明図である。
図27のST151において、目的地入力画像81(図28A参照)を情報表示画面11に表示し、ST152に移る。図28Aにおいて、目的地入力画像81は、目的地入力欄82と「OK」アイコン83とを有しており、ユーザの入力キー12の入力に応じて、目的地の入力や逆到達圏の探索が実行される。
ST152において、目的地入力画像81で目的地入力欄82に目的地が入力されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST153に移り、ノー(N)の場合はST154に移る。
ST153において、入力に応じて、目的地入力画像81を更新する。そして、ST152に戻る。
【0126】
ST154において、「OK」アイコン83を選択する入力がされたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST152に戻り、イエス(Y)の場合はST155に移る。
ST155において、GPS装置から取得した現在位置データと、目的地入力画像81で入力された目的地のデータとを携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7に送信する。そして、ST156に移る。
ST156において、携帯電話1から送信した現在位置データと目的地データとに対応する最小運賃経路のデータを受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST156を繰り返し、イエス(Y)の場合はST157に移る。
ST157において、受信した最小運賃経路の交通機関の運賃が、残高記憶手段KC11に記憶された残高以内であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST158に移り、イエス(Y)の場合はST159に移る。
【0127】
ST158において、到達可能画像84(図28B参照)を情報表示画面11に表示して、ST160に移る。
ST159において、不足額(=運賃−残高)に応じて、残高不足告知画像86(図28C参照)を表示して、ST160に移る。図28Cにおいて、前記残高不足告知画像86は、目的地までの不足額を表示する不足額表示画像87と、残高のチャージをするために運賃決済プログラムAP1を起動させるためのチャージ用ショートカットアイコン88とを有している。
ST160において、逆到達圏探索を終了する入力がされたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST155に戻り、イエス(Y)の場合は図27の逆到達圏探索処理を終了する。
【0128】
(サーバのフローチャートの説明)
図29は実施例4の携帯ナビゲーションシステムのサーバ7が備えている携帯ナビゲーション用プログラムの最小運賃経路探索処理のメインフローチャートである。
図29のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、サーバ7のコントローラSCのROM等に記憶された携帯ナビゲーション用プログラムAP4に従って行われる。また、この処理はサーバ7の他の各種処理と並行して実行される。
【0129】
図29に示すフローチャートは携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7の電源オンにより開始される。
図29のST161において、携帯電話1から送信された逆到達圏探索用データ(現在位置のデータ及び目的地のデータ)を受信したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST161を繰り返し、イエス(Y)の場合はST162に移る。
ST162において、現在位置と目的地とを結ぶ経路を複数探索し、ST163に移る。なお、このときの経路の探索方法及び探索数は、実施例2のST112と同様である。
ST163において、探索した各経路毎に交通機関の運賃を計算し、ST164に移る。
ST164において、探索した複数の経路の中で、運賃が最小の経路を判別し、その経路を最小運賃経路に設定する。そして、ST165に移る。
ST165において、最小運賃経路のデータを携帯電話1に送信する。そして、ST161に戻る。
【0130】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の携帯ナビゲーションシステムSでは、ユーザが入力した目的地までの最小運賃経路が探索され、最小運賃経路の交通機関の運賃が携帯電話1に送信される。最小運賃経路のデータを受信した携帯電話1は、最小運賃経路の交通機関の運賃が残高以内であるか否かを判別し、残高以内である場合、到達可能画像84を表示する。前記現在位置及び目的地のデータは随時携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7に送信され、ユーザが移動して、現在位置から目的地までの最小運賃が残高以上になると、残高不足告知画像86が表示される。したがって、現在位置が、残高以内で目的地(例えば、自宅)まで到達可能な位置であるのか否かをユーザが容易に確認できる。
また、実施例4の残高不足告知画像86には、チャージ用ショートカットアイコン88が設けられており、残高が不足すると運賃決済プログラムAP1を起動させて、容易に残高をチャージすることができる。この結果、現在位置から目的地に移動する際に、目的地の交通機関の駅で残高不足によりゲートが閉じてしまうことを低減することができる。この結果、ゲートが閉じてしまい改札が混雑することも低減できる。また、非接触ICを利用した決済方法の利用促進にも貢献できる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、前記各実施例において、比較結果をユーザに告知する際に画像を表示して告知したが、これに限定されず、ガイド音声や照明の点滅等、あるいはこれらの組み合わせによりユーザに告知するように構成することも可能である。
【0132】
また、本発明は、携帯電話1に限定されず、PDA等の携帯端末に適用可能である。
さらに、前記各実施例では、全駅記憶手段は携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7に設けられていたが、携帯電話1のデータ容量が大きく、全駅のデータを記憶できる場合には、携帯電話1で全駅のデータを記憶することも可能である。
【0133】
また、前記実施例1において、到達圏探索結果画像(図8参照)において、駅名で表示したが、表示方向はこの画像に限定されず、例えば、路線図を表示し、到達可能な駅と到達不可能な駅とを色分けして表示することにより、ユーザに到達圏を告知することも可能である。
さらに、前記実施例において、非接触ICの残高等のデータを公開領域に指定したが、これに限定されず、例えば、非接触ICの記憶領域は運賃決済プログラムAP1のみがアクセス可能とし、運賃決済プログラムAP1が非接触IC以外の記憶領域以外の記憶領域に、非接触ICに記憶された残高等のデータと同じデータを書き込むように構成し、他のアプリケーションから残金等のデータを読取り可能とすることも可能である。また、非接触ICに残金等のデータを記憶したが、これに限定されず、非接触ICには、ID(識別情報)のみを記憶し、図示しない運賃決済用サーバで残金等を管理するように構成し、ナビゲーションプログラムAP2は、前記運賃決済サーバと交信して残高等のデータを入手するように構成することも可能である。
【0134】
また、前記実施例1において、定期券区間を考慮して到達圏の探索を行ったが、定期券を使用する場合、目的地での精算が面倒であるので、定期券区間を考慮せずに到達圏の探索を行うように構成したり、定期券区間の考慮/非考慮をユーザが選択できるように構成することも可能である。逆に、前記実施例2〜4において、定期券区間を考慮せずに運賃と残高との比較を行ったが、定期券区間を考慮して経路探索や比較等を実行するように構成することも可能である。
さらに、実施例1において、出発駅確定フラグFL0を使用したが、これを省略し、到達圏検索データを受信した場合に、出発駅の検索を常時行うように構成することも可能である。
【0135】
また、前記実施例3において、運賃の計算及び残高との比較を携帯電話1で行ったが、携帯電話の現在位置を随時サーバに送信し、サーバ側で運賃計算及び残高比較行い、比較結果を受信するように構成することも可能である。
さらに、実施例3において、案内対象駅までの運賃の計算を随時行ったが、これに限定されず、案内対象駅のさらに次の駅も利用すると推定して運賃の計算を行い、残高を比較することも可能であるし、実施例1の到達圏の探索結果を利用して、現在位置と到達圏駅とのデータに基づいて、運賃が残高以内であるか否かの表示を行うことも可能である。
また、実施例3において、加速度センサ等を使用して発車の検出を行い、経路を記憶していったが、実施例2,4記載のGPS装置を内蔵し、リアルタイムで現在位置を検出して経路を記憶するように構成することも可能である。
【0136】
さらに、前記実施例4において、運賃と残高との比較を携帯電話1で行ったが、携帯ナビゲーション用データ配信サーバ7で比較を行って、比較結果を携帯電話1に送信するように構成することも可能である。
また、前記各実施例において、残高記憶手段KC11は、非接触IC内に設けたが、非接触ICにはIDのみを記憶しておき、サーバで残高を管理するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の携帯ナビゲーションシステムの実施例1の説明図である。
【図2】前記図1に示す携帯ナビゲーションシステムの携帯端末の機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図である。
【図3】実施例1の携帯ナビゲーションシステムのサーバの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図である。
【図4】実施例1の携帯ナビゲーションシステムの携帯電話が備えている到達圏探索処理のフローチャートである。
【図5】実施例1のメイン画像の説明図である。
【図6】実施例1の運賃のプロパティ画像の説明図である。
【図7】実施例1の出発駅名入力画像の説明図である。
【図8】実施例1の出発駅名検索結果画像の説明図であり、「神田」で出発駅名の検索を実行した場合の出発駅名検索結果画像の説明図である。
【図9】実施例1の到達圏探索結果画像の説明図であり、「神田」から「川崎」の定期券区間を考慮して「神田」から260円で到達可能な到達圏駅の検索結果を示す到達圏探索結果画像の説明図である。
【図10】実施例1の携帯ナビゲーションシステムのサーバが備えている携帯ナビゲーション用プログラムの出発駅名及び到達圏探索処理のメインフローチャートである。
【図11】実施例1の到達圏探索処理のフローチャートであり、図10のST40、ST42のサブルーチンのフローチャートである。
【図12】実施例1の定期券区間と路線との関係を説明する説明図である。
【図13】実施例1の到達圏探索処理のフローチャートであり、図11のST51、ST59、ST61,ST64のサブルーチンのフローチャートである。
【図14】実施例2の携帯電話1の制御部分が備えている各機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【図15】実施例2の探索条件入力画像の説明図である。
【図16】実施例2の経路探索結果を表示する画像の説明図であり、図16Aは経路候補一覧画像の説明図、図16Bは経路案内画像の説明図、図16Cは周辺地図の地図画像の説明図である。
【図17】実施例2の携帯ナビゲーションシステムのサーバの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
【図18】実施例2の携帯ナビゲーションシステムの携帯電話が備えている経路案内メイン処理のフローチャートである。
【図19】実施例2の携帯ナビゲーションシステムのサーバが備えている携帯ナビゲーション用プログラムの経路探索処理のメインフローチャートである。
【図20】実施例3の携帯電話1の制御部分が備えている各機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【図21】実施例3の携帯ナビゲーションシステムのサーバの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
【図22】実施例3の携帯ナビゲーションシステムのサーバが備えている携帯ナビゲーション用プログラムの路線検出処理のメインフローチャートである。
【図23】実施例3の携帯ナビゲーションシステムの携帯電話が備えている駅案内表示処理のフローチャートである。
【図24】実施例3の駅案内画像の説明図であり、図24Aは通常案内画像の説明図、図24Bは残高不足用案内画像の説明図である。
【図25】実施例4の携帯電話1の制御部分が備えている各機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【図26】実施例4の携帯ナビゲーションシステムのサーバの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図3に対応する図である。
【図27】実施例4の携帯ナビゲーションシステムの携帯電話が備えている逆到達圏探索処理のフローチャートである。
【図28】実施例4の携帯電話の情報表示画面に表示される画像の説明図であり、図28Aは目的地入力画像の説明図、図28Bは到達可能画像の説明図、図28Cは残高不足告知画像の説明図である。
【図29】実施例4の携帯ナビゲーションシステムのサーバが備えている携帯ナビゲーション用プログラムの最小運賃経路探索処理のメインフローチャートである。
【符号の説明】
【0138】
1…携帯ナビゲーション装置、
7…サーバ、
11…表示器(情報表示画面)、
KC11…残高記憶手段、
KC5E,KC23,KC40,KC53…結果告知手段、
KC7B,KC7C…比較結果受信手段、
KC7E…経路探索結果受信手段(路線情報受信手段)、
KC7F…探索結果記憶手段,運賃情報受信手段、
KC13…出発駅記憶手段(改札情報記憶手段)、
KC24B…現在位置検出手段、
KC37…移動経路判別手段、
KC37A…移動経路記憶手段、
KC51B…目的地記憶手段、
S…携帯ナビゲーションシステム、
SC1B,SC1C…残高受信手段、
SC2…全駅記憶手段、
SC5,SC21,KC39,KC52…残高比較手段、
SC5A…経路探索手段、
SC5B,KC38…運賃計算手段、
SC6B,SC6C…比較結果送信手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する残高記憶手段と、
異なる2つの位置を結ぶ前記交通機関を利用した経路の前記交通機関の運賃を計算する運賃計算手段と、
前記運賃計算手段が計算した運賃と前記残高とを比較する残高比較手段と、
前記残高比較手段による比較結果をユーザに告知する結果告知手段と、
を備えたことを特徴とする携帯ナビゲーションシステム。
【請求項2】
交通機関の全駅を記憶する全駅記憶手段と、
ユーザが乗車した交通機関の出発駅を記憶する出発駅記憶手段と、
前記異なる2つの位置のうちの一方の位置である前記出発駅と他方の位置である前記全駅記憶手段に記憶された各駅の間を結ぶ前記交通機関を利用した経路を探索する経路探索手段と、
探索された前記経路の前記交通機関の運賃を計算する前記運賃計算手段と、
前記運賃と前記残高とを比較して、前記残高以下の運賃で到達可能な到達圏駅を検出する前記残高比較手段と、
前記到達圏駅を前記比較結果として表示器に表示する前記結果告知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の携帯ナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記異なる2つの位置としての出発地及び目的地を結ぶ交通機関を利用した経路を探索する経路探索手段と、
探索された前記経路の前記交通機関の運賃を計算する前記運賃計算手段と、
前記運賃と前記残高とを比較して、前記経路の運賃が残高以上であるか否かを判別する前記残高比較手段と、
前記経路の運賃が残高以上の場合に、前記残高が不足していることを前記比較結果として表示器に表示する前記結果告知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の携帯ナビゲーションシステム。
【請求項4】
ユーザの現在位置を検出する現在位置検出手段と、
ユーザが交通機関に乗車した出発駅を記憶する出発駅記憶手段と、
前記乗車駅から前記現在位置に移動するまでに利用した前記交通機関の経路を記憶する経路記憶手段と、
前記経路の前記交通機関の運賃を計算する前記運賃計算手段と、
前記経路の運賃と前記残高とを比較して、前記経路の運賃が残高以上であるか否かを判別する前記残高比較手段と、
前記経路の運賃が残高以上の場合に、前記残高が不足していることを前記比較結果として表示器に表示する前記結果告知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の携帯ナビゲーションシステム。
【請求項5】
ユーザの現在位置を検出する現在位置検出手段と、
目的地を記憶する目的地記憶手段と、
前記現在位置と前記目的地とを結ぶ前記交通機関を利用した経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段で探索された経路探索結果を記憶する探索結果記憶手段と、
前記経路の運賃と前記残高とを比較して、前記経路の運賃が残高以上であるか否かを判別する前記残高比較手段と、
前記経路の運賃が残高以上の場合に、前記残高が不足していることを前記比較結果として表示器に表示する前記結果告知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の携帯ナビゲーションシステム。
【請求項6】
交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する残高記憶手段と、
異なる2つの位置を結ぶ前記交通機関を利用した経路の前記交通機関の運賃の情報をサーバから受信する運賃情報受信手段と、
受信した前記経路の運賃と前記残高とを比較する残高比較手段と、
前記残高比較手段による比較結果を表示器に表示する結果表示手段と、
を備えたことを特徴とする携帯ナビゲーション装置。
【請求項7】
交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する残高記憶手段と、
異なる2つの位置を結ぶ前記交通機関を利用した経路の前記交通機関の運賃と、前記残高とを比較した比較結果をサーバから受信する比較結果受信手段と、
受信した前記比較結果をユーザに告知する結果告知手段と、
を備えたことを特徴とする携帯ナビゲーション装置。
【請求項8】
交通機関の運賃の決済に使用可能な残高を記憶する残高記憶手段と、
前記交通機関を利用した経路の探索結果をサーバから受信する経路探索結果受信手段と、
受信した前記経路の前記交通機関の運賃を計算する運賃計算手段と、
受信した前記経路の運賃と前記残高とを比較する残高比較手段と、
前記残高比較手段による比較結果をユーザに告知する結果告知手段と、
を備えたことを特徴とする携帯ナビゲーション装置。
【請求項9】
交通機関の運賃の決済に利用可能な残高の情報を携帯ナビゲーション装置から受信する残高受信手段と、
異なる2つの位置を結ぶ交通機関を利用した経路を探索する経路探索手段と、
探索された前記経路の前記交通機関の運賃を計算する運賃計算手段と、
計算した前記経路の運賃と前記残高とを比較する残高比較手段と、
前記残高比較手段による比較結果を前記携帯ナビゲーション装置に送信する比較結果送信手段と、
を備えたことを特徴とするサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2006−119690(P2006−119690A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303744(P2004−303744)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】