携帯可能電子装置
【課題】低コストで製造することができるとともに信頼性が向上したディスプレイ付きの携帯可能電子装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、携帯可能電子装置は、カード基材12と、カード基材上に設けられたディスプレイ14と、カード基材に埋め込まれたICモジュール16と、を備えている。ICモジュールは、基板30と、この基板の上面上に形成された接触通信用の外部端子と、基板の裏面に実装され、外部端子に接続されたカード制御用IC32と、基板の裏面に設けられたディスプレイ接続用端子36と、基板の裏面に実装され、ディスプレイ接続用端子に電気的に接続されたディスプレイ制御用ICと、を備え、外部端子がカード基材の表面に露出し、ディスプレイ接続用端子がディスプレイに電気的に接続されている。
【解決手段】実施形態によれば、携帯可能電子装置は、カード基材12と、カード基材上に設けられたディスプレイ14と、カード基材に埋め込まれたICモジュール16と、を備えている。ICモジュールは、基板30と、この基板の上面上に形成された接触通信用の外部端子と、基板の裏面に実装され、外部端子に接続されたカード制御用IC32と、基板の裏面に設けられたディスプレイ接続用端子36と、基板の裏面に実装され、ディスプレイ接続用端子に電気的に接続されたディスプレイ制御用ICと、を備え、外部端子がカード基材の表面に露出し、ディスプレイ接続用端子がディスプレイに電気的に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ディスプレイを備えたICカード等の携帯可能電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯可能電子装置として、例えば、ICカードと呼ばれるものには、ISO7816に規定される接触式ICカード、ISO14443に規定される非接触カード(無線カード)、およびその双方の機能を有するデュアルインターフェイスカードがある。デュアルインターフェイスカードは、接触通信、無線通信の機能を1つのICでまかなうコンビカードと、それぞれの機能を個々のICでまかなうハイブリッドカードとに分類される。
【0003】
例えば、接触式ICカードは一般的に、内部にICを有するICモジュールをポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、紙などのカード基材内に埋め込むことで形成される。ICモジュールは6つないしは8つの外部と通信するための端子を備え、接触端子裏側に配置したICと各端子が、金線などにより電気的に接続され、更に、ICと金線は熱硬化樹脂などで封止されている。それぞれの端子の機能はISO7816にて規定されている。ICモジュールのカードへの埋め込みは、一般的に、接着テープを貼り付けられたICモジュールを、カード基材の定められた位置に設けられたザグリ穴に設置し、加熱圧着することでICモジュールとカード基材との接着が行われる。
【0004】
また、液晶などのディスプレイを搭載したICカードが提案されている。しかし、ディスプレイ付きICカードは、製造コストや曲げなどに対する耐久性、電源の必要性などの問題から現在まで普及には至っていない。近年、電子ペーパーに代表されるようなフレキシブルで低消費電力にて駆動可能なディスプレイが開発され、これまでの問題点を解決し得るため、ディスプレイ付きカードが普及する実現性が急速に高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−108387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、ディスプレイ付き接触式ICカードを製造する場合、ディスプレイとディスプレイ制御用ICを内蔵したカードを作成した後に、接触式ICモジュールを設置する必要がある。ICカードに関連する表示をディスプレイに表示させる場合、ICモジュール内のICとカード内部のディスプレイ制御用ICとを何らかの手段で電気的に接続する必要があるが、その方法および構成はまだ確立されていない。また、ICモジュールとディスプレイ制御用ICとの間、ディスプレイ制御用ICとディスプレイとの間、の2つの電気的接続をカード内部で行う必要があるため、製造コストが高くなる。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、その目的は、低コストで製造することができるとともに信頼性が向上したディスプレイ付きの携帯可能電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、携帯可能電子装置は、カード基材と、前記カード基材上に設けられたディスプレイと、前記カード基材に埋め込まれたICモジュールと、を備え、前記ICモジュールは、基板と、この基板の上面上に形成された接触通信用の外部端子と、前記基板の裏面に実装され、前記外部端子に接続されたカード制御用ICと、前記基板の裏面に設けられたディスプレイ接続用端子と、前記基板の裏面に実装され、前記ディスプレイ接続用端子に電気的に接続されたディスプレイ制御用ICと、を備え、前記外部端子が前記カード基材の表面に露出し、前記ディスプレイ接続用端子が前記ディスプレイに電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るICカードを示す平面図。
【図2】図2は、図1の線A−Aに沿ったICカードの断面図。
【図3】図3は、前記ICカードのICモジュールを示す平面図。
【図4】図4は、前記ICモジュールの裏面側を示す平面図。
【図5】図5は、前記ICカードのICモジュールとカード基材を分解して示す平面図。
【図6】図6は、前記ICカードのICモジュールとカード基材を分解して示す断面図。
【図7】図7は、第2の実施形態に係るICカードを示す平面図。
【図8】図8は、前記ICカードのICモジュールとカード基材を分解して示す平面図。
【図9】図9は、前記ICカードのICモジュールを示す平面図。
【図10】図10は、前記ICモジュールの裏面側を示す平面図。
【図11】図11は、第3の実施形態に係るICカードを示す平面図。
【図12】図12は、図11の線B−Bに沿ったICカードの断面図。
【図13】図13は、前記ICカードのICモジュールを示す平面図。
【図14】図14は、前記ICモジュールの裏面側を示す平面図。
【図15】図15は、第4の実施形態に係るICカードのICモジュールを示す平面図。
【図16】図16は、第5の実施形態に係るICカードのICモジュールを示す平面図。
【図17】図17は、第6の実施形態に係るICカードを示す平面図。
【図18】図18は、前記ICカードのICモジュールとカード基材を分解して示す平面図。
【図19】図19は、前記ICモジュールの裏面側を示す平面図。
【図20】図20は、第7の実施形態に係るICカードを示す平面図。
【図21】図21は、図20の線C−Cに沿ったICカードの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、この発明の種々の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1ないし図6は、第1の実施形態に係る接触式のICカードを示している。携帯可能電子装置としてのICカード10は、矩形板状のカード基材12と、カード基材12上に設けられたディスプレイ14と、カード基材12に埋め込まれたICモジュール16と、を備えている。
【0011】
図1、図2、図5、図6に示すように、カード基材12は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)などの材料からなる薄厚のプラスチックシートを複数積層し、熱プレスで接着してISO/IEC7810に規定される厚さ(0.76±0.08mm)のシートを形成した後、このシートを所定サイズのカード形状に打ち抜くことにより、形成される。その他、カード基材12は、カード形状の金型を用いて、合成樹脂により射出成形してもよい。
【0012】
カード基材12には、ディスプレイ14が搭載される第1凹所18、およびICモジュール16が装着される段付きの第2凹所20が形成され、それぞれカード基材12の表面に開口している。カード基材12内にディスプレイ接続用の複数本の配線22が埋め込まれ、これらの配線22は、第1凹所18から第2凹所20まで延びている。各配線22の一端は第1凹所18内に露出し、他端は第2凹所20内に露出している。
【0013】
第1凹所18は、例えば、ディスプレイサイズに対応した細長い矩形状に形成されている。ディスプレイ14は第1凹所18に装着され、カード基材12に固定されているとともに、第1凹所18内に露出する配線22に電気的に接続されている。製造においては、ディスプレイサイズに対応した孔をプラスチックシートに開けて、プラスチックシート間にディスプレイ14をセットした状態で熱プレスを行い、カードサイズに打ち抜いて形成する。カード基材12の最も外側の面に透明のオーバーコート層をさらに積層してもよい。
【0014】
ディスプレイ14としては、フレキシブルかつ低消費電力のものが望ましい。例えば、ディスプレイ14は、白黒の顔料粒子を収めたマイクロカプセルが並べられて電界により粒子を移動させて白黒表示を行う電気泳動方式の電子ペーパーを用いる。あるいは、薄型の液晶パネルや有機ELを用いてもよい。
【0015】
ICモジュールを埋設する第2凹所20は、矩形状の大径凹所20aと、大径凹所の中心部に、この大径凹所20aよりも深く形成された矩形状の小径凹所20bとを有し、矩形状の2段凹所に形成されている。第2凹所20は、積層時にプラスチックシートに孔を開けて、ディスプレイ14からの配線22を露出した状態で予め設けてもよく、あるいは、ICモジュールの接着前に、板状に形成されたカード基材を切削加工することにより第2凹所を形成し、配線22を露出させてもよい。
【0016】
図1ないし図4に示すように、ICモジュール16は、絶縁材料で形成された矩形状の基板30と、この基板30の上面上に形成されISO/IEC7816にて規定される接触通信用の外部端子C1〜C8と、基板30の裏面に実装されたカード制御用IC32およびディスプレイ制御用IC34と、を備えている。カード制御用IC32は、接触通信インターフェースを有し、IC32のパッドは、金線のワイヤボンディング37等により外部端子C1〜C8に電気的に接続されている。
【0017】
ディスプレイ制御用IC34は、カード制御用IC32と同一平面上に設けられている。すなわち、ディスプレイ制御用IC34は、基板30の裏面上に実装され、カード制御用IC32と並んで位置している。また、基板30の裏面上に、ディスプレイ接続用の複数の接続端子36が形成されている。これらの接続端子36は、それぞれ細長い帯状に形成され、基板30の長手方向に沿って、基板の一側縁から中心部側に延びている。また、複数の接続端子36は、互いに僅かな隙間を置いて、並んでいる。
【0018】
ディスプレイ制御用IC34のパッドは、ワイヤボンディング38等により接続端子36の一端に電気的に接続されている。ディスプレイ14にICカード機能に関連した表示を行う場合は、カード制御用IC32とディスプレイ制御用IC34とを同様にワイヤボンディング40などにより接続する。
【0019】
基板30の裏面上に実装されたカード制御用IC32、ディスプレイ制御用IC34、ワイヤボンディング37、38、40、および、接続端子36の中央側の端部は、熱硬化樹脂、モールド樹脂等の封止材42によって封止されている。接続端子36の外側の端部は、封止材42で覆われることなく、基板30の裏面側に露出している。これにより、カード制御用ICとディスプレイ制御用ICとを搭載したICモジュール16が形成される。
【0020】
ディスプレイ14の表示や書換えに必要な電力は、例えば、ICモジュール16の電源から供給される。ディスプレイ制御用IC34は、ディスプレイ14を制御し、ディスプレイ14に任意の情報、例えば、時間、駅名、カード番号、カード残高等を表示する。
【0021】
上記のように構成されたICモジュール16は、図2、図5、図6に示すように、カード基材12の第2凹所20に埋め込まれ、接着材44によりカード基材12に加熱圧着される。第2凹所20の大径凹所20aは、基板30に対応した大きさおよび形状に形成され、ICモジュール16の基板30および外部端子が、大径凹所20a内に収容されている。基板30は、裏面の周縁部が接着材44により大径凹所20aの底に接着される。ICモジュール16の外部端子C1〜C8は、カード基材12の表面とほぼ面一に配置され、外部に露出している。小径凹所20bは、ICモジュール16の封止部分に対応した大きさおよび深さに形成され、この小径凹所20bに封止部分が収容されている。
【0022】
2段の第2凹所20のうち、浅い大径凹所20aを切削加工することにより、ディスプレイ14からの配線22が大径凹所20aの底に露出している。ICモジュール16の基板裏面に設けられた接続端子36は、導電性接着剤46などにより配線22に物理的に接着され、かつ電気的に接続されている。これにより、ディスプレイ制御用IC34が、接続端子36および配線を介してディスプレイ14に電気的に接続される。
【0023】
同一面上に複数の配線22が露出している場合、隣り合う配線同士が短絡しないように、導電性接着剤46として、厚さ方向のみに通電する異方性導電性接着剤を用いることが望ましい。この場合、大径凹所20aの配線22が露出していない面であっても、共通の異方性導電性接着剤を用いて電気的接続を行うことができる。なお、個々の配線22毎に小さな凹部を設け、この凹所内部を導電性接着剤で満たすことにより配線22と接続端子36とを接続する場合は、通電するための距離が長いため、等方性導電性接着剤を用いることが望ましい。
以上により、接触式のICカード10が形成される。
【0024】
上記のように構成されたICカード10によれば、ICモジュール16にカード制御用IC32とディスプレイ制御用IC34とを設け、モジュール内部にてこれらのICを電気的接続することができる。これにより、低コストでディスプレイ付き接触式ICカードの製造を行うことが可能となる。また、ICモジュール16をカード基材12に装着することで、ICモジュール16とディスプレイ14とを接続することができる。これにより、従来のコンビカードの製造方法を流用して、ICモジュール16の接着およびICモジュール16とディスプレイ14とを接続を行うことができ、製造設備の投資コストを抑えることができるとともに、信頼性の高いICカードを得ることができる。以上のことから、低コストで製造することができるとともにカードとしての信頼性が向上したディスプレイ付きのICカードが得られる。
【0025】
上述した第1の実施形態において、ICモジュールの2つのICは、ワイヤボンディングにより直接、接続する構成としたが、これに限らず、基板上に配線を形成し、2つのICをそれぞれワイヤボンディングにより同じ配線に接続することにより、2つのICを電気的に接続するようにしてもよい。
【0026】
上述した第1の実施形態において、カード制御用ICおよびディスプレイ制御用ICは、基板の同一平面上に設けられているが、これに限らず、一方のICの上に、他方のICを重ねて搭載するスタック構造としてもよい。
【0027】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るICカードについて説明する。図7ないし図10は、第2の実施形態に係る接触式のICカード10を示している。ICカード10は、矩形板状のカード基材12と、カード基材12上に設けられたディスプレイ14と、カード基材12に埋め込まれたICモジュール16と、を備えている。
【0028】
第2の実施形態によれば、ICモジュール16において、基板30の裏面にディスプレイ制御用IC34が実装され、このディスプレイ制御用IC34上に重ねて、カード制御用IC32が実装されている。
【0029】
基板30の上面上には、ISO/IEC7816にて規定される接触通信用の外部端子C1〜C8が形成されている。カード制御用IC32は、接触通信インターフェースを有し、IC32のパッドは、金線のワイヤボンディング37等により外部端子C1〜C8に電気的に接続されている。基板30の裏面上に、ディスプレイ接続用の複数の接続端子36が形成されている。ディスプレイ制御用IC34のパッドは、ワイヤボンディング38等により接続端子36の一端に電気的に接続されている。ディスプレイ14にICカード機能に関連した表示を行う場合は、カード制御用IC32とディスプレイ制御用IC34とを同様にワイヤボンディング40などにより接続する。
【0030】
基板30の裏面上に実装されたカード制御用IC32、ディスプレイ制御用IC34、ワイヤボンディング37、38、40、および、接続端子36の中央側の端部は、熱硬化樹脂、モールド樹脂等の封止材42によって封止されている。接続端子36の外側の端部は、封止材42で覆われることなく、基板30の裏面側に露出している。これにより、カード制御用ICとディスプレイ制御用ICとを搭載したICモジュール16が形成される。
【0031】
ICモジュール16は、図7および図8に示すように、カード基材12の第2凹所20に埋め込まれ、接着材44によりカード基材12に加熱圧着される。接続端子36は、例えば、異方性導電接着剤46により配線22に物理的かつ電気的に接続されている。
ICカード10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0032】
第2の実施形態によれば、ICモジュール16の2つのICをスタック構造とすることにより、2つのIC厚さを薄くする必要やICの大きさ、パッド位置により構造に制限があるが、ICモジュール16のサイズを小さくすることが可能となる。その他、第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るICカードについて説明する。図11ないし図14は、第3の実施形態に係るICカード10を示している。ICカード10は、非接触式、接触式の両方を兼ね備えたコンビカードとして構成されている。ICカード10は、矩形板状のカード基材12と、カード基材12上に設けられたディスプレイ14と、カード基材12に埋め込まれたICモジュール16と、を備えている。カード基材12に無線通信用のアンテナ50が埋め込まれている。
【0034】
アンテナ50は、絶縁被膜処理された銅線を巻いたものやプラスチック製のフィルム上に銅やアルミニウムをエッチング処理して成形したものが用いられる。アンテナ50は、カード基材12の外周部に沿ってほぼ矩形状に捲回され、その入力端および出力端は、カード基材12の第2凹所20の近傍に引き出されている。
【0035】
ICモジュール16は、絶縁材料で形成された矩形状の基板30と、この基板30の上面上に形成されISO/IEC7816にて規定される接触通信用の外部端子C1〜C8と、基板30の裏面に実装されたカード制御用IC32およびディスプレイ制御用IC34と、を備えている。基板30の裏面上に、ディスプレイ接続用の複数の接続端子36が形成されている。また、基板30の裏面上に、一対の無線通信用の接続端子52が形成されている。
【0036】
カード制御用IC32の接触通信用のパッドは、金線のワイヤボンディング37等により外部端子C1〜C8に電気的に接続されている。カード制御用IC32の無線通信用のパッドは、同様に、金線のワイヤボンディング35などにより接続端子52に電気的に接続される。
【0037】
ディスプレイ制御用IC34は、基板30の裏面上に実装され、カード制御用IC32と並んで位置している。ディスプレイ制御用IC34のパッドは、ワイヤボンディング38等により接続端子36の一端に電気的に接続されている。ディスプレイ14にICカード機能に関連した表示を行う場合は、カード制御用IC32とディスプレイ制御用IC34とを同様にワイヤボンディング40などにより接続する。
【0038】
基板30の裏面上に実装されたカード制御用IC32、ディスプレイ制御用IC34、ワイヤボンディング35、37、38、40、および、接続端子36の中央側の端部は、熱硬化樹脂、モールド樹脂等の封止材42によって封止されている。接続端子36の外側の端部、および接続端子52の大部分は、封止材42で覆われることなく、基板30の裏面側に露出している。これにより、カード制御用ICとディスプレイ制御用ICとを搭載したICモジュール16が形成される。
【0039】
図11および図12に示すように、ICモジュール16は、図7および図8に示すように、カード基材12の第2凹所20に埋め込まれ、接着材44によりカード基材12に加熱圧着される。接着剤44は、基板30の裏面において、封止材42、接続端子36、52を除く部分に設けられる。ディスプレイ用の接続端子36は、例えば、異方性導電接着剤46により配線22に物理的かつ電気的に接続されている。また、無線通信用の接続端子52は、導電性接着剤56等により、アンテナ50の入力端および出力端に物理的かつ電気的に接続される。このように、ICモジュール16をカード基材12に接着固定することにより、同時に、ICモジュール16はディスプレイ14およびアンテナ50に電気的に接続される。また、ICモジュール16の外部端子C1〜C8は、カード基材12の表面とほぼ面一に配置され、外部に露出している。
ICカード10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0040】
第2の実施形態によれば、アンテナを備えることにより、無線通信が可能なコンビカードが得られる。また、第1の実施形態と同様に、低コストでディスプレイ付きICカードの製造を行うことが可能となる。ICモジュール16をカード基材12に装着することで、ICモジュール16とディスプレイ14との接続、および、ICモジュールとアンテナとの接続を行うことができる。これにより、低コストで製造することができるとともにカードとしての信頼性が向上したディスプレイ付きのICカードが得られる。
【0041】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るICカードについて説明する。図15は、第4の実施形態に係るICカードのICモジュール16を示している。第4の実施形態では、ICモジュール16において、ディスプレイ制御用ICへの電力供給構造が第1の実施形態と相違している。
【0042】
図15に示すように、ICモジュール16の基板30の裏面上に、カード制御用IC32およびディスプレイ制御用IC34が実装されている。カード制御用IC32の各パッドは、ワイヤボンディング37により、対応する接触通信用の外部端子C1〜C8に接続されている。また、基板30の裏面上に配線54が形成されている。配線54の一端は、ワイヤボンディング55により、外部端子C1〜C8の電源端子(C1端子)に接続され、他端は、ワイヤボンディング58によりディスプレイ制御用IC34のパッドに接続されている。更に、ディスプレイ制御用IC34は、ワイヤボンディング57により、外部端子C1〜C8のグランド端子(C5端子)に接続されているとともに、ワイヤボンディング38により接続端子36に接続されている。
【0043】
ICモジュール16およびICカードの他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記のように構成された第4の実施形態に係るICカードによれば、接触式のICカードと同様に、機器端末に差し込むことにより、外部端子C1〜C8、配線54を介してディスプレイ制御用IC34に電力を供給し、ディスプレイ14の表示を切り換えることができる。その他、第4の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係るICカードについて説明する。図16は、第5の実施形態に係るICカードのICモジュール16を示している。第5の実施形態では、ICモジュール16において、ディスプレイ制御用ICへの電力供給構造が第1の実施形態と相違している。
【0045】
図16に示すように、ICモジュール16の基板30の裏面上に、カード制御用IC32およびディスプレイ制御用IC34が実装されている。カード制御用IC32の各パッドは、ワイヤボンディング37により、対応する接触通信用の外部端子C1〜C8に接続されている。また、基板30の裏面上に一対のアンテナ接続端子60が形成されている。各アンテナ接続端子60は、ワイヤボンディング62により、ディスプレイ制御用IC34のパッドに接続されている。更に、ディスプレイ制御用IC34は、ワイヤボンディング40により、カード制御用IC32に接続されているとともに、ワイヤボンディング38により接続端子36に接続されている。
【0046】
一方、カード基材にはアンテナが埋め込まれ、このアンテナの入出力端は、ICモジュール16のアンテナ接続端子60にそれぞれ接続される。ICモジュール16およびICカードの他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記のように構成された第5の実施形態に係るICカードによれば、非接触式のICカードと同様に、アンテナにより電磁波を受信することにより、アンテナ接続端子60を介してディスプレイ制御用IC34に電力を供給し、ディスプレイ14の表示を切り換えることができる。その他、第5の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係るICカードについて説明する。図17、図18、図19は、第6の実施形態に係るICカードを示している。第6の実施形態では、ICモジュール16におけるディスプレイ制御用ICへの電力供給構造が第1の実施形態と相違している。
【0048】
図17および図18に示すように、ICカード10は、矩形板状のカード基材12と、カード基材12上に設けられたディスプレイ14と、カード基材12に埋め込まれたICモジュール16と、を備えている。カード基材12の裏面側に、薄型の電池70が内蔵されている。電池70は、ICモジュール16が装着される第2凹所20に対向して配置されている。
【0049】
図18および図19に示すように、ICモジュール16の基板30の裏面上に、カード制御用IC32およびディスプレイ制御用IC34が実装されている。カード制御用IC32の各パッドは、ワイヤボンディング37により、対応する接触通信用の外部端子C1〜C8に接続されている。また、基板30の裏面上に一対の電池接続端子64が形成されている。各電池接続端子64は、ワイヤボンディング68により、ディスプレイ制御用IC34のパッドに接続されている。更に、ディスプレイ制御用IC34は、ワイヤボンディング40により、カード制御用IC32に接続されているとともに、ワイヤボンディング38により接続端子36に接続されている。
【0050】
基板30の裏面上に実装されたカード制御用IC32、ディスプレイ制御用IC34、ワイヤボンディング37、38、40、68、および、接続端子36の中央側の端部は、熱硬化樹脂、モールド樹脂等の封止材42によって封止されている。接続端子36の外側の端部、および電池接続端子64の大部分は、封止材42で覆われることなく、基板30の裏面側に露出している。
【0051】
ICモジュール16は、カード基材12の第2凹所20に埋め込まれ、接着材44によりカード基材12に加熱圧着される。接着剤44は、基板30の裏面において、封止材42、接続端子36、64を除く部分に設けられる。ディスプレイ用の接続端子36は、例えば、異方性導電接着剤46により配線22に物理的かつ電気的に接続されている。また、電池接続端子64は、導電性接着剤66等により、電池70の出力端子に物理的かつ電気的に接続される。このように、ICモジュール16をカード基材12に接着固定することにより、同時に、ICモジュール16はディスプレイ14および電池70に電気的に接続される。また、ICモジュール16の外部端子C1〜C8は、カード基材12の表面とほぼ面一に配置され、外部に露出している。
ICカード10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記のように構成された第6の実施形態に係るICカードによれば、電池70から電池接続端子64を介してディスプレイ制御用IC34に電力を供給し、ディスプレイ14の表示を切り換えることができる。その他、第6の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態に係るICカードについて説明する。図20および図21は、第7の実施形態に係る非接触式のICカードを示している。図17および図18に示すように、ICカード10は、矩形板状のカード基材12と、カード基材12上に設けられたディスプレイ14と、カード基材12に埋め込まれたICモジュール16と、を備えている。カード基材12に無線通信用のアンテナ50が埋め込まれている。
【0053】
ICモジュール16は、絶縁材料で形成された矩形状の基板30と、この裏面に実装されたカード制御用IC32およびディスプレイ制御用IC34と、を備えている。基板30の裏面上に、ディスプレイ接続用の複数の接続端子36が形成されている。また、基板30の裏面上に、一対の無線通信用の接続端子52が形成されている。
【0054】
カード制御用IC32の無線通信用のパッドは、ワイヤボンディング35などにより接続端子52に電気的に接続される。ディスプレイ制御用IC34のパッドは、ワイヤボンディング38等により接続端子36の一端に電気的に接続されている。ディスプレイ14にICカード機能に関連した表示を行う場合は、カード制御用IC32とディスプレイ制御用IC34とを同様にワイヤボンディング40などにより接続する。
【0055】
基板30の裏面上に実装されたカード制御用IC32、ディスプレイ制御用IC34、ワイヤボンディング35、38、40、および、接続端子36の中央側の端部は、封止材42によって封止されている。
【0056】
ICモジュール16は、カード基材12の第2凹所20に埋め込まれ、接着材44によりカード基材12に加熱圧着される。接着剤44は、基板30の裏面において、封止材42、接続端子36、52を除く部分に設けられる。ディスプレイ用の接続端子36は、例えば、異方性導電接着剤46により配線22に物理的かつ電気的に接続されている。また、無線通信用の接続端子52は、導電性接着剤56等により、アンテナ50の入力端および出力端に物理的かつ電気的に接続される。カード基材12の上面側およびICモジュール16の基板30の上面側は、オーバーコート層12bにより覆われている。
【0057】
ICカード10の他の構成は、前述した第3の実施形態と同一であり、同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記のように構成された非接触式のICカードにおいても、前述した第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
この発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、前述した実施形態において、ICモジュールのカード制御用ICおよびディスプレイ制御用ICは、独立した2つのICとしたが、これに限らず、単一のICで形成してもよい。また、ICモジュールに搭載されるICは2つに限らず、カード機能用ICとディスプレイ制御用ICとの間の通信を制御する3つ目のICを備えていてもよい。あるいは、別機能のICがICモジュールに搭載されていてもよい。また、携帯可能電子装置は、ICカードに限定されることなく、他の形態の携帯可能電子装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…ICカード、12…カード基材、14…ディスプレイ、16…ICモジュール、
18…第1凹所、20…第2凹所、22…配線、32…カード制御用IC、
34…ディスプレイ制御用IC、36…接続端子、50…アンテナ、
52…アンテナ接続端子、70…電池
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ディスプレイを備えたICカード等の携帯可能電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯可能電子装置として、例えば、ICカードと呼ばれるものには、ISO7816に規定される接触式ICカード、ISO14443に規定される非接触カード(無線カード)、およびその双方の機能を有するデュアルインターフェイスカードがある。デュアルインターフェイスカードは、接触通信、無線通信の機能を1つのICでまかなうコンビカードと、それぞれの機能を個々のICでまかなうハイブリッドカードとに分類される。
【0003】
例えば、接触式ICカードは一般的に、内部にICを有するICモジュールをポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、紙などのカード基材内に埋め込むことで形成される。ICモジュールは6つないしは8つの外部と通信するための端子を備え、接触端子裏側に配置したICと各端子が、金線などにより電気的に接続され、更に、ICと金線は熱硬化樹脂などで封止されている。それぞれの端子の機能はISO7816にて規定されている。ICモジュールのカードへの埋め込みは、一般的に、接着テープを貼り付けられたICモジュールを、カード基材の定められた位置に設けられたザグリ穴に設置し、加熱圧着することでICモジュールとカード基材との接着が行われる。
【0004】
また、液晶などのディスプレイを搭載したICカードが提案されている。しかし、ディスプレイ付きICカードは、製造コストや曲げなどに対する耐久性、電源の必要性などの問題から現在まで普及には至っていない。近年、電子ペーパーに代表されるようなフレキシブルで低消費電力にて駆動可能なディスプレイが開発され、これまでの問題点を解決し得るため、ディスプレイ付きカードが普及する実現性が急速に高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−108387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、ディスプレイ付き接触式ICカードを製造する場合、ディスプレイとディスプレイ制御用ICを内蔵したカードを作成した後に、接触式ICモジュールを設置する必要がある。ICカードに関連する表示をディスプレイに表示させる場合、ICモジュール内のICとカード内部のディスプレイ制御用ICとを何らかの手段で電気的に接続する必要があるが、その方法および構成はまだ確立されていない。また、ICモジュールとディスプレイ制御用ICとの間、ディスプレイ制御用ICとディスプレイとの間、の2つの電気的接続をカード内部で行う必要があるため、製造コストが高くなる。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、その目的は、低コストで製造することができるとともに信頼性が向上したディスプレイ付きの携帯可能電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、携帯可能電子装置は、カード基材と、前記カード基材上に設けられたディスプレイと、前記カード基材に埋め込まれたICモジュールと、を備え、前記ICモジュールは、基板と、この基板の上面上に形成された接触通信用の外部端子と、前記基板の裏面に実装され、前記外部端子に接続されたカード制御用ICと、前記基板の裏面に設けられたディスプレイ接続用端子と、前記基板の裏面に実装され、前記ディスプレイ接続用端子に電気的に接続されたディスプレイ制御用ICと、を備え、前記外部端子が前記カード基材の表面に露出し、前記ディスプレイ接続用端子が前記ディスプレイに電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るICカードを示す平面図。
【図2】図2は、図1の線A−Aに沿ったICカードの断面図。
【図3】図3は、前記ICカードのICモジュールを示す平面図。
【図4】図4は、前記ICモジュールの裏面側を示す平面図。
【図5】図5は、前記ICカードのICモジュールとカード基材を分解して示す平面図。
【図6】図6は、前記ICカードのICモジュールとカード基材を分解して示す断面図。
【図7】図7は、第2の実施形態に係るICカードを示す平面図。
【図8】図8は、前記ICカードのICモジュールとカード基材を分解して示す平面図。
【図9】図9は、前記ICカードのICモジュールを示す平面図。
【図10】図10は、前記ICモジュールの裏面側を示す平面図。
【図11】図11は、第3の実施形態に係るICカードを示す平面図。
【図12】図12は、図11の線B−Bに沿ったICカードの断面図。
【図13】図13は、前記ICカードのICモジュールを示す平面図。
【図14】図14は、前記ICモジュールの裏面側を示す平面図。
【図15】図15は、第4の実施形態に係るICカードのICモジュールを示す平面図。
【図16】図16は、第5の実施形態に係るICカードのICモジュールを示す平面図。
【図17】図17は、第6の実施形態に係るICカードを示す平面図。
【図18】図18は、前記ICカードのICモジュールとカード基材を分解して示す平面図。
【図19】図19は、前記ICモジュールの裏面側を示す平面図。
【図20】図20は、第7の実施形態に係るICカードを示す平面図。
【図21】図21は、図20の線C−Cに沿ったICカードの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、この発明の種々の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1ないし図6は、第1の実施形態に係る接触式のICカードを示している。携帯可能電子装置としてのICカード10は、矩形板状のカード基材12と、カード基材12上に設けられたディスプレイ14と、カード基材12に埋め込まれたICモジュール16と、を備えている。
【0011】
図1、図2、図5、図6に示すように、カード基材12は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)などの材料からなる薄厚のプラスチックシートを複数積層し、熱プレスで接着してISO/IEC7810に規定される厚さ(0.76±0.08mm)のシートを形成した後、このシートを所定サイズのカード形状に打ち抜くことにより、形成される。その他、カード基材12は、カード形状の金型を用いて、合成樹脂により射出成形してもよい。
【0012】
カード基材12には、ディスプレイ14が搭載される第1凹所18、およびICモジュール16が装着される段付きの第2凹所20が形成され、それぞれカード基材12の表面に開口している。カード基材12内にディスプレイ接続用の複数本の配線22が埋め込まれ、これらの配線22は、第1凹所18から第2凹所20まで延びている。各配線22の一端は第1凹所18内に露出し、他端は第2凹所20内に露出している。
【0013】
第1凹所18は、例えば、ディスプレイサイズに対応した細長い矩形状に形成されている。ディスプレイ14は第1凹所18に装着され、カード基材12に固定されているとともに、第1凹所18内に露出する配線22に電気的に接続されている。製造においては、ディスプレイサイズに対応した孔をプラスチックシートに開けて、プラスチックシート間にディスプレイ14をセットした状態で熱プレスを行い、カードサイズに打ち抜いて形成する。カード基材12の最も外側の面に透明のオーバーコート層をさらに積層してもよい。
【0014】
ディスプレイ14としては、フレキシブルかつ低消費電力のものが望ましい。例えば、ディスプレイ14は、白黒の顔料粒子を収めたマイクロカプセルが並べられて電界により粒子を移動させて白黒表示を行う電気泳動方式の電子ペーパーを用いる。あるいは、薄型の液晶パネルや有機ELを用いてもよい。
【0015】
ICモジュールを埋設する第2凹所20は、矩形状の大径凹所20aと、大径凹所の中心部に、この大径凹所20aよりも深く形成された矩形状の小径凹所20bとを有し、矩形状の2段凹所に形成されている。第2凹所20は、積層時にプラスチックシートに孔を開けて、ディスプレイ14からの配線22を露出した状態で予め設けてもよく、あるいは、ICモジュールの接着前に、板状に形成されたカード基材を切削加工することにより第2凹所を形成し、配線22を露出させてもよい。
【0016】
図1ないし図4に示すように、ICモジュール16は、絶縁材料で形成された矩形状の基板30と、この基板30の上面上に形成されISO/IEC7816にて規定される接触通信用の外部端子C1〜C8と、基板30の裏面に実装されたカード制御用IC32およびディスプレイ制御用IC34と、を備えている。カード制御用IC32は、接触通信インターフェースを有し、IC32のパッドは、金線のワイヤボンディング37等により外部端子C1〜C8に電気的に接続されている。
【0017】
ディスプレイ制御用IC34は、カード制御用IC32と同一平面上に設けられている。すなわち、ディスプレイ制御用IC34は、基板30の裏面上に実装され、カード制御用IC32と並んで位置している。また、基板30の裏面上に、ディスプレイ接続用の複数の接続端子36が形成されている。これらの接続端子36は、それぞれ細長い帯状に形成され、基板30の長手方向に沿って、基板の一側縁から中心部側に延びている。また、複数の接続端子36は、互いに僅かな隙間を置いて、並んでいる。
【0018】
ディスプレイ制御用IC34のパッドは、ワイヤボンディング38等により接続端子36の一端に電気的に接続されている。ディスプレイ14にICカード機能に関連した表示を行う場合は、カード制御用IC32とディスプレイ制御用IC34とを同様にワイヤボンディング40などにより接続する。
【0019】
基板30の裏面上に実装されたカード制御用IC32、ディスプレイ制御用IC34、ワイヤボンディング37、38、40、および、接続端子36の中央側の端部は、熱硬化樹脂、モールド樹脂等の封止材42によって封止されている。接続端子36の外側の端部は、封止材42で覆われることなく、基板30の裏面側に露出している。これにより、カード制御用ICとディスプレイ制御用ICとを搭載したICモジュール16が形成される。
【0020】
ディスプレイ14の表示や書換えに必要な電力は、例えば、ICモジュール16の電源から供給される。ディスプレイ制御用IC34は、ディスプレイ14を制御し、ディスプレイ14に任意の情報、例えば、時間、駅名、カード番号、カード残高等を表示する。
【0021】
上記のように構成されたICモジュール16は、図2、図5、図6に示すように、カード基材12の第2凹所20に埋め込まれ、接着材44によりカード基材12に加熱圧着される。第2凹所20の大径凹所20aは、基板30に対応した大きさおよび形状に形成され、ICモジュール16の基板30および外部端子が、大径凹所20a内に収容されている。基板30は、裏面の周縁部が接着材44により大径凹所20aの底に接着される。ICモジュール16の外部端子C1〜C8は、カード基材12の表面とほぼ面一に配置され、外部に露出している。小径凹所20bは、ICモジュール16の封止部分に対応した大きさおよび深さに形成され、この小径凹所20bに封止部分が収容されている。
【0022】
2段の第2凹所20のうち、浅い大径凹所20aを切削加工することにより、ディスプレイ14からの配線22が大径凹所20aの底に露出している。ICモジュール16の基板裏面に設けられた接続端子36は、導電性接着剤46などにより配線22に物理的に接着され、かつ電気的に接続されている。これにより、ディスプレイ制御用IC34が、接続端子36および配線を介してディスプレイ14に電気的に接続される。
【0023】
同一面上に複数の配線22が露出している場合、隣り合う配線同士が短絡しないように、導電性接着剤46として、厚さ方向のみに通電する異方性導電性接着剤を用いることが望ましい。この場合、大径凹所20aの配線22が露出していない面であっても、共通の異方性導電性接着剤を用いて電気的接続を行うことができる。なお、個々の配線22毎に小さな凹部を設け、この凹所内部を導電性接着剤で満たすことにより配線22と接続端子36とを接続する場合は、通電するための距離が長いため、等方性導電性接着剤を用いることが望ましい。
以上により、接触式のICカード10が形成される。
【0024】
上記のように構成されたICカード10によれば、ICモジュール16にカード制御用IC32とディスプレイ制御用IC34とを設け、モジュール内部にてこれらのICを電気的接続することができる。これにより、低コストでディスプレイ付き接触式ICカードの製造を行うことが可能となる。また、ICモジュール16をカード基材12に装着することで、ICモジュール16とディスプレイ14とを接続することができる。これにより、従来のコンビカードの製造方法を流用して、ICモジュール16の接着およびICモジュール16とディスプレイ14とを接続を行うことができ、製造設備の投資コストを抑えることができるとともに、信頼性の高いICカードを得ることができる。以上のことから、低コストで製造することができるとともにカードとしての信頼性が向上したディスプレイ付きのICカードが得られる。
【0025】
上述した第1の実施形態において、ICモジュールの2つのICは、ワイヤボンディングにより直接、接続する構成としたが、これに限らず、基板上に配線を形成し、2つのICをそれぞれワイヤボンディングにより同じ配線に接続することにより、2つのICを電気的に接続するようにしてもよい。
【0026】
上述した第1の実施形態において、カード制御用ICおよびディスプレイ制御用ICは、基板の同一平面上に設けられているが、これに限らず、一方のICの上に、他方のICを重ねて搭載するスタック構造としてもよい。
【0027】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るICカードについて説明する。図7ないし図10は、第2の実施形態に係る接触式のICカード10を示している。ICカード10は、矩形板状のカード基材12と、カード基材12上に設けられたディスプレイ14と、カード基材12に埋め込まれたICモジュール16と、を備えている。
【0028】
第2の実施形態によれば、ICモジュール16において、基板30の裏面にディスプレイ制御用IC34が実装され、このディスプレイ制御用IC34上に重ねて、カード制御用IC32が実装されている。
【0029】
基板30の上面上には、ISO/IEC7816にて規定される接触通信用の外部端子C1〜C8が形成されている。カード制御用IC32は、接触通信インターフェースを有し、IC32のパッドは、金線のワイヤボンディング37等により外部端子C1〜C8に電気的に接続されている。基板30の裏面上に、ディスプレイ接続用の複数の接続端子36が形成されている。ディスプレイ制御用IC34のパッドは、ワイヤボンディング38等により接続端子36の一端に電気的に接続されている。ディスプレイ14にICカード機能に関連した表示を行う場合は、カード制御用IC32とディスプレイ制御用IC34とを同様にワイヤボンディング40などにより接続する。
【0030】
基板30の裏面上に実装されたカード制御用IC32、ディスプレイ制御用IC34、ワイヤボンディング37、38、40、および、接続端子36の中央側の端部は、熱硬化樹脂、モールド樹脂等の封止材42によって封止されている。接続端子36の外側の端部は、封止材42で覆われることなく、基板30の裏面側に露出している。これにより、カード制御用ICとディスプレイ制御用ICとを搭載したICモジュール16が形成される。
【0031】
ICモジュール16は、図7および図8に示すように、カード基材12の第2凹所20に埋め込まれ、接着材44によりカード基材12に加熱圧着される。接続端子36は、例えば、異方性導電接着剤46により配線22に物理的かつ電気的に接続されている。
ICカード10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0032】
第2の実施形態によれば、ICモジュール16の2つのICをスタック構造とすることにより、2つのIC厚さを薄くする必要やICの大きさ、パッド位置により構造に制限があるが、ICモジュール16のサイズを小さくすることが可能となる。その他、第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るICカードについて説明する。図11ないし図14は、第3の実施形態に係るICカード10を示している。ICカード10は、非接触式、接触式の両方を兼ね備えたコンビカードとして構成されている。ICカード10は、矩形板状のカード基材12と、カード基材12上に設けられたディスプレイ14と、カード基材12に埋め込まれたICモジュール16と、を備えている。カード基材12に無線通信用のアンテナ50が埋め込まれている。
【0034】
アンテナ50は、絶縁被膜処理された銅線を巻いたものやプラスチック製のフィルム上に銅やアルミニウムをエッチング処理して成形したものが用いられる。アンテナ50は、カード基材12の外周部に沿ってほぼ矩形状に捲回され、その入力端および出力端は、カード基材12の第2凹所20の近傍に引き出されている。
【0035】
ICモジュール16は、絶縁材料で形成された矩形状の基板30と、この基板30の上面上に形成されISO/IEC7816にて規定される接触通信用の外部端子C1〜C8と、基板30の裏面に実装されたカード制御用IC32およびディスプレイ制御用IC34と、を備えている。基板30の裏面上に、ディスプレイ接続用の複数の接続端子36が形成されている。また、基板30の裏面上に、一対の無線通信用の接続端子52が形成されている。
【0036】
カード制御用IC32の接触通信用のパッドは、金線のワイヤボンディング37等により外部端子C1〜C8に電気的に接続されている。カード制御用IC32の無線通信用のパッドは、同様に、金線のワイヤボンディング35などにより接続端子52に電気的に接続される。
【0037】
ディスプレイ制御用IC34は、基板30の裏面上に実装され、カード制御用IC32と並んで位置している。ディスプレイ制御用IC34のパッドは、ワイヤボンディング38等により接続端子36の一端に電気的に接続されている。ディスプレイ14にICカード機能に関連した表示を行う場合は、カード制御用IC32とディスプレイ制御用IC34とを同様にワイヤボンディング40などにより接続する。
【0038】
基板30の裏面上に実装されたカード制御用IC32、ディスプレイ制御用IC34、ワイヤボンディング35、37、38、40、および、接続端子36の中央側の端部は、熱硬化樹脂、モールド樹脂等の封止材42によって封止されている。接続端子36の外側の端部、および接続端子52の大部分は、封止材42で覆われることなく、基板30の裏面側に露出している。これにより、カード制御用ICとディスプレイ制御用ICとを搭載したICモジュール16が形成される。
【0039】
図11および図12に示すように、ICモジュール16は、図7および図8に示すように、カード基材12の第2凹所20に埋め込まれ、接着材44によりカード基材12に加熱圧着される。接着剤44は、基板30の裏面において、封止材42、接続端子36、52を除く部分に設けられる。ディスプレイ用の接続端子36は、例えば、異方性導電接着剤46により配線22に物理的かつ電気的に接続されている。また、無線通信用の接続端子52は、導電性接着剤56等により、アンテナ50の入力端および出力端に物理的かつ電気的に接続される。このように、ICモジュール16をカード基材12に接着固定することにより、同時に、ICモジュール16はディスプレイ14およびアンテナ50に電気的に接続される。また、ICモジュール16の外部端子C1〜C8は、カード基材12の表面とほぼ面一に配置され、外部に露出している。
ICカード10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0040】
第2の実施形態によれば、アンテナを備えることにより、無線通信が可能なコンビカードが得られる。また、第1の実施形態と同様に、低コストでディスプレイ付きICカードの製造を行うことが可能となる。ICモジュール16をカード基材12に装着することで、ICモジュール16とディスプレイ14との接続、および、ICモジュールとアンテナとの接続を行うことができる。これにより、低コストで製造することができるとともにカードとしての信頼性が向上したディスプレイ付きのICカードが得られる。
【0041】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るICカードについて説明する。図15は、第4の実施形態に係るICカードのICモジュール16を示している。第4の実施形態では、ICモジュール16において、ディスプレイ制御用ICへの電力供給構造が第1の実施形態と相違している。
【0042】
図15に示すように、ICモジュール16の基板30の裏面上に、カード制御用IC32およびディスプレイ制御用IC34が実装されている。カード制御用IC32の各パッドは、ワイヤボンディング37により、対応する接触通信用の外部端子C1〜C8に接続されている。また、基板30の裏面上に配線54が形成されている。配線54の一端は、ワイヤボンディング55により、外部端子C1〜C8の電源端子(C1端子)に接続され、他端は、ワイヤボンディング58によりディスプレイ制御用IC34のパッドに接続されている。更に、ディスプレイ制御用IC34は、ワイヤボンディング57により、外部端子C1〜C8のグランド端子(C5端子)に接続されているとともに、ワイヤボンディング38により接続端子36に接続されている。
【0043】
ICモジュール16およびICカードの他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記のように構成された第4の実施形態に係るICカードによれば、接触式のICカードと同様に、機器端末に差し込むことにより、外部端子C1〜C8、配線54を介してディスプレイ制御用IC34に電力を供給し、ディスプレイ14の表示を切り換えることができる。その他、第4の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係るICカードについて説明する。図16は、第5の実施形態に係るICカードのICモジュール16を示している。第5の実施形態では、ICモジュール16において、ディスプレイ制御用ICへの電力供給構造が第1の実施形態と相違している。
【0045】
図16に示すように、ICモジュール16の基板30の裏面上に、カード制御用IC32およびディスプレイ制御用IC34が実装されている。カード制御用IC32の各パッドは、ワイヤボンディング37により、対応する接触通信用の外部端子C1〜C8に接続されている。また、基板30の裏面上に一対のアンテナ接続端子60が形成されている。各アンテナ接続端子60は、ワイヤボンディング62により、ディスプレイ制御用IC34のパッドに接続されている。更に、ディスプレイ制御用IC34は、ワイヤボンディング40により、カード制御用IC32に接続されているとともに、ワイヤボンディング38により接続端子36に接続されている。
【0046】
一方、カード基材にはアンテナが埋め込まれ、このアンテナの入出力端は、ICモジュール16のアンテナ接続端子60にそれぞれ接続される。ICモジュール16およびICカードの他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記のように構成された第5の実施形態に係るICカードによれば、非接触式のICカードと同様に、アンテナにより電磁波を受信することにより、アンテナ接続端子60を介してディスプレイ制御用IC34に電力を供給し、ディスプレイ14の表示を切り換えることができる。その他、第5の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係るICカードについて説明する。図17、図18、図19は、第6の実施形態に係るICカードを示している。第6の実施形態では、ICモジュール16におけるディスプレイ制御用ICへの電力供給構造が第1の実施形態と相違している。
【0048】
図17および図18に示すように、ICカード10は、矩形板状のカード基材12と、カード基材12上に設けられたディスプレイ14と、カード基材12に埋め込まれたICモジュール16と、を備えている。カード基材12の裏面側に、薄型の電池70が内蔵されている。電池70は、ICモジュール16が装着される第2凹所20に対向して配置されている。
【0049】
図18および図19に示すように、ICモジュール16の基板30の裏面上に、カード制御用IC32およびディスプレイ制御用IC34が実装されている。カード制御用IC32の各パッドは、ワイヤボンディング37により、対応する接触通信用の外部端子C1〜C8に接続されている。また、基板30の裏面上に一対の電池接続端子64が形成されている。各電池接続端子64は、ワイヤボンディング68により、ディスプレイ制御用IC34のパッドに接続されている。更に、ディスプレイ制御用IC34は、ワイヤボンディング40により、カード制御用IC32に接続されているとともに、ワイヤボンディング38により接続端子36に接続されている。
【0050】
基板30の裏面上に実装されたカード制御用IC32、ディスプレイ制御用IC34、ワイヤボンディング37、38、40、68、および、接続端子36の中央側の端部は、熱硬化樹脂、モールド樹脂等の封止材42によって封止されている。接続端子36の外側の端部、および電池接続端子64の大部分は、封止材42で覆われることなく、基板30の裏面側に露出している。
【0051】
ICモジュール16は、カード基材12の第2凹所20に埋め込まれ、接着材44によりカード基材12に加熱圧着される。接着剤44は、基板30の裏面において、封止材42、接続端子36、64を除く部分に設けられる。ディスプレイ用の接続端子36は、例えば、異方性導電接着剤46により配線22に物理的かつ電気的に接続されている。また、電池接続端子64は、導電性接着剤66等により、電池70の出力端子に物理的かつ電気的に接続される。このように、ICモジュール16をカード基材12に接着固定することにより、同時に、ICモジュール16はディスプレイ14および電池70に電気的に接続される。また、ICモジュール16の外部端子C1〜C8は、カード基材12の表面とほぼ面一に配置され、外部に露出している。
ICカード10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記のように構成された第6の実施形態に係るICカードによれば、電池70から電池接続端子64を介してディスプレイ制御用IC34に電力を供給し、ディスプレイ14の表示を切り換えることができる。その他、第6の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態に係るICカードについて説明する。図20および図21は、第7の実施形態に係る非接触式のICカードを示している。図17および図18に示すように、ICカード10は、矩形板状のカード基材12と、カード基材12上に設けられたディスプレイ14と、カード基材12に埋め込まれたICモジュール16と、を備えている。カード基材12に無線通信用のアンテナ50が埋め込まれている。
【0053】
ICモジュール16は、絶縁材料で形成された矩形状の基板30と、この裏面に実装されたカード制御用IC32およびディスプレイ制御用IC34と、を備えている。基板30の裏面上に、ディスプレイ接続用の複数の接続端子36が形成されている。また、基板30の裏面上に、一対の無線通信用の接続端子52が形成されている。
【0054】
カード制御用IC32の無線通信用のパッドは、ワイヤボンディング35などにより接続端子52に電気的に接続される。ディスプレイ制御用IC34のパッドは、ワイヤボンディング38等により接続端子36の一端に電気的に接続されている。ディスプレイ14にICカード機能に関連した表示を行う場合は、カード制御用IC32とディスプレイ制御用IC34とを同様にワイヤボンディング40などにより接続する。
【0055】
基板30の裏面上に実装されたカード制御用IC32、ディスプレイ制御用IC34、ワイヤボンディング35、38、40、および、接続端子36の中央側の端部は、封止材42によって封止されている。
【0056】
ICモジュール16は、カード基材12の第2凹所20に埋め込まれ、接着材44によりカード基材12に加熱圧着される。接着剤44は、基板30の裏面において、封止材42、接続端子36、52を除く部分に設けられる。ディスプレイ用の接続端子36は、例えば、異方性導電接着剤46により配線22に物理的かつ電気的に接続されている。また、無線通信用の接続端子52は、導電性接着剤56等により、アンテナ50の入力端および出力端に物理的かつ電気的に接続される。カード基材12の上面側およびICモジュール16の基板30の上面側は、オーバーコート層12bにより覆われている。
【0057】
ICカード10の他の構成は、前述した第3の実施形態と同一であり、同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記のように構成された非接触式のICカードにおいても、前述した第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
この発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、前述した実施形態において、ICモジュールのカード制御用ICおよびディスプレイ制御用ICは、独立した2つのICとしたが、これに限らず、単一のICで形成してもよい。また、ICモジュールに搭載されるICは2つに限らず、カード機能用ICとディスプレイ制御用ICとの間の通信を制御する3つ目のICを備えていてもよい。あるいは、別機能のICがICモジュールに搭載されていてもよい。また、携帯可能電子装置は、ICカードに限定されることなく、他の形態の携帯可能電子装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…ICカード、12…カード基材、14…ディスプレイ、16…ICモジュール、
18…第1凹所、20…第2凹所、22…配線、32…カード制御用IC、
34…ディスプレイ制御用IC、36…接続端子、50…アンテナ、
52…アンテナ接続端子、70…電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード基材と、
前記カード基材上に設けられたディスプレイと、
前記カード基材に埋め込まれたICモジュールと、を備え、
前記ICモジュールは、基板と、この基板の上面上に形成された接触通信用の外部端子と、前記基板の裏面に実装され、前記外部端子に接続されたカード制御用ICと、前記基板の裏面に設けられたディスプレイ接続用端子と、前記基板の裏面に実装され、前記ディスプレイ接続用端子に電気的に接続されたディスプレイ制御用ICと、を備え、前記外部端子が前記カード基材の表面に露出し、前記ディスプレイ接続用端子が前記ディスプレイに電気的に接続されている携帯可能電子装置。
【請求項2】
前記カード制御用ICおよびディスプレイ制御用ICは、前記基板の裏面上に並んで実装されている請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項3】
前記カード制御用ICおよびディスプレイ制御用ICは、互いに重ねて前記基板の裏面上に実装されている請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項4】
前記ディスプレイ制御用ICは、直接、あるいは、前記基板上の配線を介して、前記カード制御用ICに電気的に接続されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の携帯可能電子装置。
【請求項5】
前記カード基材に埋め込まれたアンテナと、前記ICモジュールの基板の裏面に設けられ前記アンテナに接続されたアンテナ接続用端子と、を備え、前記アンテナ接続用端子は、前記カード制御用ICに接続されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の携帯可能電子装置。
【請求項6】
前記アンテナ接続用端子は、前記カード制御用ICおよび前記ディスプレイ制御用ICに電気的に接続されている請求項5に記載の携帯可能電子装置。
【請求項7】
前記カード基材内に設けられた電池と、前記ICモジュールの基板の裏面に設けられ前記電池に接続される電池接続用端子と、を備え、前記電池接続用端子は、前記ディスプレイ制御用ICに接続されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の携帯可能電子装置。
【請求項8】
カード基材と、
前記カード基材上に設けられたディスプレイと、
前記カード基材に埋め込まれたICモジュールと、を備え、
前記ICモジュールは、基板と、この基板の上面上に形成された接触通信用の外部端子と、ICカード制御機能およびディスプレイ制御機能を有し、前記基板の裏面に実装され、前記外部端子に接続された単一の制御用ICと、前記基板の裏面に設けられ前記カード制御用ICに電気的に接続されたディスプレイ接続用端子と、を備え、前記外部端子が前記カード基材の表面に露出し、前記ディスプレイ接続用端子が前記ディスプレイに電気的に接続されている携帯可能電子装置。
【請求項9】
カード基材と、
前記カード基材上に設けられたディスプレイと、
前記カード基材に埋め込まれたアンテナと、
前記カード基材に埋め込まれたICモジュールと、を備え、
前記ICモジュールは、基板と、この基板の裏面に実装され、前記アンテナに接続されたカード制御用ICと、前記基板の裏面に設けられ前記前記ディスプレイに電気的に接続されるディスプレイ接続用端子と、前記基板の裏面に実装され、前記ディスプレイ接続用端子に電気的に接続されたディスプレイ制御用ICと、を備えている携帯可能電子装置。
【請求項1】
カード基材と、
前記カード基材上に設けられたディスプレイと、
前記カード基材に埋め込まれたICモジュールと、を備え、
前記ICモジュールは、基板と、この基板の上面上に形成された接触通信用の外部端子と、前記基板の裏面に実装され、前記外部端子に接続されたカード制御用ICと、前記基板の裏面に設けられたディスプレイ接続用端子と、前記基板の裏面に実装され、前記ディスプレイ接続用端子に電気的に接続されたディスプレイ制御用ICと、を備え、前記外部端子が前記カード基材の表面に露出し、前記ディスプレイ接続用端子が前記ディスプレイに電気的に接続されている携帯可能電子装置。
【請求項2】
前記カード制御用ICおよびディスプレイ制御用ICは、前記基板の裏面上に並んで実装されている請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項3】
前記カード制御用ICおよびディスプレイ制御用ICは、互いに重ねて前記基板の裏面上に実装されている請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項4】
前記ディスプレイ制御用ICは、直接、あるいは、前記基板上の配線を介して、前記カード制御用ICに電気的に接続されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の携帯可能電子装置。
【請求項5】
前記カード基材に埋め込まれたアンテナと、前記ICモジュールの基板の裏面に設けられ前記アンテナに接続されたアンテナ接続用端子と、を備え、前記アンテナ接続用端子は、前記カード制御用ICに接続されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の携帯可能電子装置。
【請求項6】
前記アンテナ接続用端子は、前記カード制御用ICおよび前記ディスプレイ制御用ICに電気的に接続されている請求項5に記載の携帯可能電子装置。
【請求項7】
前記カード基材内に設けられた電池と、前記ICモジュールの基板の裏面に設けられ前記電池に接続される電池接続用端子と、を備え、前記電池接続用端子は、前記ディスプレイ制御用ICに接続されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の携帯可能電子装置。
【請求項8】
カード基材と、
前記カード基材上に設けられたディスプレイと、
前記カード基材に埋め込まれたICモジュールと、を備え、
前記ICモジュールは、基板と、この基板の上面上に形成された接触通信用の外部端子と、ICカード制御機能およびディスプレイ制御機能を有し、前記基板の裏面に実装され、前記外部端子に接続された単一の制御用ICと、前記基板の裏面に設けられ前記カード制御用ICに電気的に接続されたディスプレイ接続用端子と、を備え、前記外部端子が前記カード基材の表面に露出し、前記ディスプレイ接続用端子が前記ディスプレイに電気的に接続されている携帯可能電子装置。
【請求項9】
カード基材と、
前記カード基材上に設けられたディスプレイと、
前記カード基材に埋め込まれたアンテナと、
前記カード基材に埋め込まれたICモジュールと、を備え、
前記ICモジュールは、基板と、この基板の裏面に実装され、前記アンテナに接続されたカード制御用ICと、前記基板の裏面に設けられ前記前記ディスプレイに電気的に接続されるディスプレイ接続用端子と、前記基板の裏面に実装され、前記ディスプレイ接続用端子に電気的に接続されたディスプレイ制御用ICと、を備えている携帯可能電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−64049(P2012−64049A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208543(P2010−208543)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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