説明

携帯型光学情報読取装置

【課題】 読取方向が調整可能で、信頼性の高い携帯型光学情報読取装置を提供する。
【解決手段】 投光器34及び受光センサ38を収容する読取部30と、処理回路58と出力回路52と電源回路50とを収容する本体部20とを別体に構成し、該読取部30を、蛇腹部60によって光学情報へ向けられるように本体部20側から角度調整可能に保持させるため、読取方向が調整可能である。ここで、読取部30から本体部20へ信号は無線通信により送られ、本体部20から読取部30への電力はトランス70を介して供給され、信号線、電力線が無いので、断線による故障が生じず、高い信頼性を備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等に印刷又は貼り付けられているバーコード等の一次元光学情報、QRコード(登録商標)等の二次元光学情報を読み取る光学情報読取装置に関し、特に、携帯可能な携帯型光学情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、小売店等でPOSシステムを採用するため、商品情報をバーコード化して商品に付加することが行われている。ここで、バーコード等の一次元コーでは情報量に限界があるため、生産管理等の分野では、より多くの情報を担持し得るQRコード等の二次元情報コードが用いられている。
【0003】
ここで、バーコードは、一方光へ走査光を操作させることにより比較的簡単に読み取ることができる。一方、QRコード等の二次元情報コードは、例えば、斜め方向から読取を行うと、像が歪み、適正な読み取りが困難になる。このため、二次元情報コードに対して、受光センサが決められた位置へ向くように、光学情報読取装置の姿勢を保持しなけらばならない。
【0004】
読み取られる二次元情報コードは、製品の種々の位置に付されており、読み取り作業を行う際には、上述した読み取り条件に合うような姿勢に光学情報読取装置を保持せねばならない。従って、操作者の操作姿勢や、二次元情報コードの位置等によって、光学情報読取装置の操作が難くなることがあった。係る課題に対応するため特許文献1には、読み取り部を内蔵する読み取りヘッドを、本体に対して姿勢を変えられるようにしたデータシンボル読み取り装置が開示されている。
【特許文献1】特開平7−271891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、図5中に示されているように、読み取りヘッドと本体とを配線により接続しており、読み取りヘッドの姿勢調整を行う際に配線へ張力が加わり、断線の生じるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、読取方向が調整可能で、信頼性の高い携帯型光学情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、光学情報Qに光を照射する投光手段34と、該光学情報Qからの反射光を受光する受光センサ38と、該受光センサ38からの出力信号に基づき前記光学情報Qをデコードするデコード手段58と、デコード結果を外部ホスト器側へ出力する出力手段52と、電力を供給する電源部50と、操作者に把持される把持部24とを有する携帯型光学情報読取装置10であって、
前記投光手段34及び前記受光センサ38を収容する読取部30と、
前記デコード手段58と前記出力手段52と前記電源部50とを収容し、前記把持部24が形成された本体部20と、
前記読取部30を前記光学情報Qへ向けられるように前記本体部20側から角度調整可能に保持する屈曲部60と、を備え、
前記読取部30から前記本体部20へ信号は、無線通信により送られ、
前記本体部20から前記読取部30への電力は、一次側コイル71が前記本体部20に取り付けられ、二次側コイル72が前記読取部30へ接続され、該二次側コイル72が該一次側コイル71に対して動き得るように構成されたトランス70によって供給されることを技術的特徴とする。
【0008】
請求項1の携帯型光学情報読取装置10では、投光手段34及び受光センサ38を収容する読取部30と、デコード手段58と出力手段52と電源部50とを収容する本体部20とを別体に構成し、該読取部30を、屈曲部60によって光学情報Qへ向けられるように本体部20側から角度調整可能に保持させるため、読取方向が調整可能である。ここで、読取部30から本体部20へ信号は無線通信により送られ、本体部20から読取部30への電力はトランス70を介して供給され、信号線、電力線が無いので、該読取部30を屈曲部60によって本体部20側から角度調整可能に保持させても断線による故障が生じず、高い信頼性を備えることができる。ここで、一次側コイル71が本体部20に取り付けられ、二次側コイル72が読取部30へ接続され、該二次側コイル72が該一次側コイル71に対して動き得るように構成されたトランス70を用いるので、該読取部30を屈曲部60によって本体部20側から角度調整可能に保持させても、電力線を用いず本体部20から読取部30へ電力を供給することができる。
【0009】
請求項2の発明は、光学情報Qに光を照射する投光手段34と、該光学情報Qからの反射光を受光する受光センサ38と、該受光センサ38からの出力信号に基づき前記光学情報Qをデコードするデコード手段58と、デコード結果を外部ホスト器側へ出力する出力手段52と、電力を供給する電源部50と、操作者に把持される把持部24とを有する携帯型光学情報読取装置10であって、
前記投光手段34と前記受光センサ38と前記デコード手段58とを収容する読取部30と、
前記出力手段52と前記電源部50とを収容し、前記把持部24が形成された本体部20と、
前記読取部30を前記光学情報Qへ向けられるように前記本体部20側から角度調整可能に保持する屈曲部60と、を備え、
前記読取部30から前記本体部20へ信号は、無線通信により送られ、
前記本体部20から前記読取部30への電力は、一次側コイル71が前記本体部20に取り付けられ、二次側コイル72が前記読取部30へ接続され、該二次側コイル72が該一次側コイル71に対して動き得るように構成されたトランス70によって供給されることを技術的特徴とする。
【0010】
請求項2の携帯型光学情報読取装置10では、投光手段34、受光センサ38、デコード手段58を収容する読取部30と、出力手段52と電源部50とを収容する本体部20とを別体に構成し、該読取部30を、屈曲部60によって光学情報Qへ向けられるように本体部20側から角度調整可能に保持させるため、読取方向が調整可能である。ここで、読取部30から本体部20へ信号は無線通信により送られ、本体部20から読取部30への電力はトランス70を介して供給され、信号線、電力線が無いので、該読取部30を屈曲部60によって本体部20側から角度調整可能に保持させても断線による故障が生じず、高い信頼性を備えることができる。また、読取部30側にデコード手段58を設け、デコードされた信号を本体部20へ送るため、情報量が少なく、簡単に無線により読取部30から本体部20へ送ることができる。ここで、一次側コイル71が本体部20に取り付けられ、二次側コイル72が読取部30へ接続され、該二次側コイル72が該一次側コイル71に対して動き得るように構成されたトランス70を用いるので、該読取部30を屈曲部60によって本体部20側から角度調整可能に保持させても、電力線を用いず本体部20から読取部30へ電力を供給することができる。
【0011】
請求項3の携帯型光学情報読取装置では、読取部30から本体部20へ信号を送る無線通信が電力供給用トランス70を介して行われるため、別途送受信用空中線を設ける必要がなく、廉価に構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報読取装置の第1実施形態について図を参照して説明する。まず、第1実施形態に係る情報コード読取装置10の構成概要を図1の説明図に基づいて説明する。
バーコード、QRコード等の情報コードQを読み取る情報コード読取装置10は、本体部20と、読取部30とを別体に備え、屈曲部60を構成する蛇腹部60により、該読取部30は本体部20に対して角度調整可能に保持されている。
【0013】
読取部30は、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂からなるケーシング32の一端に読取口32aを備える。読取口32aの近傍には、情報コードQ側へ光を照射する投光器34と、情報コードQで反射された光を結像する結像レンズ36と、この情報コードQの像を光電変換して読み取る受光センサ38とが設けられている。該読取部30には、更に、受光センサ38で光電変換された出力信号を増幅する増幅回路40と、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変化するA/D変換回路44と、A/D変換回路44からの信号を無線送信するための無線モジュル46とを備える。該無線モジュル46には、無線送信用のアンテナ66が接続されている。
【0014】
本体部20は、ABS樹脂等の合成樹脂からなる箱状ケーシング22の下面に、取っ手状の把持部24が一体に形成されてなる。把持部24には、情報コードの読み取りを開始させるためのトリガースイッチ26が取り付けられている。該ケーシング22内には、読取部30の無線モジュル46からの電波をアンテナ64を介して受信する無線モジュル49と、種々の制御を行うCPU56と、無線モジュル49を介して受信されたデータをデコード(解読)して、情報コードが表している情報を得る処理回路58と、デコードされたデータを一旦記憶するメモリ54と、メモリ54から読み出された情報を、所定タイミングでコンピュータ等の外部ホスト側へ出力する出力回路52と、電力を供給するための電源回路50とが設けられている。
【0015】
ABS樹脂等の硬質樹脂又は金属板により形成された蛇腹62からなる蛇腹部60には、本体部20の電源回路50から供給される電力を読取部30側へ伝達するトランス70を備える。蛇腹62は、屈曲調整可能であると共に、屈曲された状態を維持し得るように構成されている。トランス70の一次側コイル71は、本体部20に取り付けられ、二次側コイル72が読取部30へ接続され、該二次側コイル72が該一次側コイル71に対して動き得るように構成されている。
【0016】
該トランス70の構成について図6を参照して説明する。
図6(A)は、情報コード読取装置10のトランスの平面図であり、図6(B)は、該トランスのB矢視図である。一次側コイル71と、二次側コイル72とは、櫛歯状に形成された先端部71a、72aに巻線が収容され、該先端部71a、72aが噛合し、鉄心73により枢支され、図6(B)に示すように二次側コイル72が一次側コイル71に対して鉛直方向へ回動可能に支持されている。一方、一次側コイル71には、通孔74aを有する突片74が形成されており、該通孔74aに、本体部20側から延在するL字状支持桿75が挿通されることで、図6(A)に示すように、水平方向への回動が可能なように支持されている。一次側コイル71には、電源回路50からの交流電力が給電線81を介して給電され、二次側コイル72には、給電線82が接続されている。ここでは、一次側コイル71側を本体部20へ取り付けたが、二次側コイル72側を読取部30に取り付け、一次側コイル71と本体部20とを配線により接続することも、また、一次側コイル71を本体部20へ、二次側コイル72を読取部30へ取り付けることも可能である。
【0017】
第1実施形態の情報コード読取装置10では、投光器34及び受光センサ38を収容する読取部30と、処理回路58と出力回路52と電源回路50とを収容する本体部20とを別体に構成し、該読取部30を、蛇腹部60によって情報コードへ向けられるように本体部20側から角度調整可能に保持させるため、読取方向が調整可能である。ここで、読取部30から本体部20へ信号は無線通信により送られ、本体部20から読取部30への電力はトランス70を介して供給され、信号線、電力線が無いので、該読取部30を蛇腹部60によって本体部20側から角度調整可能に保持させても断線による故障が生じず、高い信頼性を備えることができる。ここで、一次側コイル71が本体部20に取り付けられ、二次側コイル72が読取部30へ接続され、該二次側コイル72が該一次側コイル71に対して動き得るように構成されたトランス70を用いるので、該読取部30を蛇腹部60によって本体部20側から角度調整可能に保持させても、電力線を用いず本体部20から読取部30へ電力を供給することができる。
【0018】
[第2実施形態]
引き続き、本発明の第2実施形態に係る情報コード読取装置10について図2を参照して説明する。
図1を参照して上述した第1実施形態では、無線モジュル46と無線モジュル49とで、アンテナ66、64を介して読取部30側から本体部20へ信号を送った。これに対して、第2実施形態では、読取部30側の増幅回路40で増幅された信号が、FM変調回路47でFM信号に変調され、トランス70を介して本体部20側のFM復調回路48へ送られ、該FM復調回路48で復調されてからA/D変換回路44でデジタル信号に変換される。
【0019】
第2実施形態の情報コード読取装置10では、読取部30から本体部20へ信号を送る無線通信が電力供給用のトランス70を介して行われるため、別途送受信用アンテナを設ける必要がなく、廉価に構成できる利点がある。
【0020】
図3は、第2実施形態の改変例に係る情報コード読取装置10を示している。当該改変例では、読取部30に受光センサ38と共に、FR(Radio Frequency)IDリーダ59が搭載され、FRIDタグも併せて読み取れるようになっている。
【0021】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る情報コード読取装置10について図4を参照して説明する。図1を参照して上述した第1実施形態では、読取部30側から画像信号が本体部20へ送られ、本体部20でデコード処理がなされた。これに対して、第3実施形態の情報コード読取装置10では、読取部30側で、画像信号からデコードがなされ、2値化データにしてから本体部20へ送信される。
【0022】
読取部30は、増幅回路40及びA/D変換回路44と共に、種々の制御を行うCPU56と、撮像されたデータをデコード(解読)して、情報コードが表している情報を得る処理回路58と、デコードされたデータを一旦記憶するメモリ54と、デコードされたデータをFM信号に変調するFM変調回路47とを備える。
【0023】
第3実施形態の情報コード読取装置10では、読取部30側にデコードを行う処理回路58を設け、デコードされた2値化信号を本体部20へ送るため、情報量が少なく、簡単に無線により読取部から本体部へ送ることができる。
【0024】
[第4実施形態]
引き続き、本発明の第4実施形態に係る情報コード読取装置10について図5を参照して説明する。
上述した第1実施形態〜第3実施形態では、本体部20に把持部24が設けられていた。また、読取部30の受光センサ38は、イメージセンサから構成されていた。これに対して、第4実施形態では、本体部20が筒型に形成され、操作者により直接把持させるペンシル型の光学情報読取装置として構成されている。また、受光センサ38は、操作者の手動によって走査される手動走査型が用いられている。第4実施形態では、本体部20を把持するペンシル型光学情報読取装置においても、手首の角度等を調整する必要がないので、無理無く情報コードQを読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る情報コード読取装置の説明図である。
【図2】第2実施形態に係る情報コード読取装置の説明図である。
【図3】第2実施形態の改変例に係る情報コード読取装置の説明図である。
【図4】第3実施形態に係る情報コード読取装置の説明図である。
【図5】第4実施形態に係る情報コード読取装置の説明図である。
【図6】図6(A)は、第1実施形態の情報コード読取装置のトランスの平面図であり、図6(B)は、該トランスのB矢視図である。
【符号の説明】
【0026】
10 情報コード読取装置(携帯型光学情報読取装置)
20 本体部
24 把持部
30 読取部
34 投光器(投光手段)
38 受光センサ
44 FM変調器
46 無線モジュル
48 FM復調器
49 無線モジュル
50 電源回路(電源部)
52 出力回路(出力手段)
58 処理回路(デコード手段)
60 蛇腹部(屈曲部)
70 トランス
71 一次側コイル
72 二次側コイル
Q 情報コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学情報に光を照射する投光手段と、該光学情報からの反射光を受光する受光センサと、該受光センサからの出力信号に基づき前記光学情報をデコードするデコード手段と、デコード結果を外部ホスト器側へ出力する出力手段と、電力を供給する電源部と、操作者に把持される把持部とを有する携帯型光学情報読取装置であって、
前記投光手段及び前記受光センサを収容する読取部と、
前記デコード手段と前記出力手段と前記電源部とを収容し、前記把持部が形成された本体部と、
前記読取部を前記光学情報へ向けられるように前記本体部側から角度調整可能に保持する屈曲部と、を備え、
前記読取部から前記本体部へ信号は、無線通信により送られ、
前記本体部から前記読取部への電力は、一次側コイルが前記本体部に取り付けられ、二次側コイルが前記読取部へ接続され、該二次側コイルが該一次側コイルに対して動き得るように構成されたトランスによって供給されることを特徴とする携帯型光学情報読取装置。
【請求項2】
光学情報に光を照射する投光手段と、該光学情報からの反射光を受光する受光センサと、該受光センサからの出力信号に基づき前記光学情報をデコードするデコード手段と、デコード結果を外部ホスト器側へ出力する出力手段と、電力を供給する電源部と、操作者に把持される把持部とを有する携帯型光学情報読取装置であって、
前記投光手段と前記受光センサと前記デコード手段とを収容する読取部と、
前記出力手段と前記電源部とを収容し、前記把持部が形成された本体部と、
前記読取部を前記光学情報へ向けられるように前記本体部側から角度調整可能に保持する屈曲部と、を備え、
前記読取部から前記本体部へ信号は、無線通信により送られ、
前記本体部から前記読取部への電力は、一次側コイルが前記本体部に取り付けられ、二次側コイルが前記読取部へ接続され、該二次側コイルが該一次側コイルに対して動き得るように構成されたトランスによって供給されることを特徴とする携帯型光学情報読取装置。
【請求項3】
前記読取部から前記本体部へ信号を送る無線通信は、前記トランスを介して行われることを特徴とする請求項1又は請求項2の携帯型光学情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−219900(P2007−219900A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40503(P2006−40503)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】