説明

携帯型情報処理装置および携帯型情報処理装置の制御方法

【課題】 高い安全性を備えた低コストの携帯型情報処理装置および携帯型情報処理装置の制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 情報を操作入力する操作入力部11と、情報が記憶される記憶デバイス12とを備えた携帯型情報処理装置であって、例えば携帯電話と交信して該携帯電話との間の距離が閾値を越えて離れているか否かを検知する距離センサ13と、距離センサ13により上記閾値を越えて離れていることが検知されたことを受けて、操作入力部11からの操作入力を無効とするように操作入力部11を制御する制御部14とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノートPCやPDAなどの携帯型情報処理装置および携帯型情報処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、情報処理技術の進歩に伴い、パーソナルコンピュータ(以下、PCと略記する)が、オフィスのみでなく家庭内にも広く普及している。このPCの普及に伴い、PC内に記憶された情報のセキュリティが次第に大きな問題となりつつある。特に、オフィス内のデスクトップPCやサーバなどと連携して情報処理が行われるノートPCやPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯型情報処理装置のセキュリティを如何に確保するかが重要な課題となっている。
【0003】
これらの携帯型情報処理装置は、オフィス外に持ち出して使用される機会が多いため、外出先や交通機関などで紛失したり、盗難にあったりして内部に記憶された情報が漏洩する危険がある。そこで、紛失したり盗難にあった場合にも携帯型情報処理装置内に記憶された情報が簡単に読み出せないようにする技術が盛んに開発されている。
【0004】
一般に、PCの分野では、キーボードから予め認証済みのパスワードを入力しない限りはそのPCを起動できないようにする技術や、USB(Universal Serial Bus)メモリ内に認証済みのパスワードを記憶させておき、そのUSBメモリがPCのUSB端子に装着された時にのみそのPCを使用可能とする技術が実用化されている。
【0005】
しかし、これらの方法は比較的簡易に採用することができる反面、パスワードのみでは十分なセキュリティを保持することは難しいという問題がある。そこで、ノートPCの本体部上面に、人の手の指紋を検出する指紋センサを備え、この指紋センサにより指先の指紋パターンを読み取り、読み取った指紋パターンと予めノートPCに登録されている認証済みの指紋パターンとが一致したと判定された場合に、そのノートPCへのアクセスを許可するという方式が提案されている。例えば、静電容量型のセンサアレイを用いて指先の指紋パターンと指の動きとの双方を検出することにより、本人認証機能とポインティングデバイスの機能との双方を実現するようにした技術が提案されている(特許文献1参照)。また、指先の指紋パターンをスキャンするとともに、指の回転量および移動量を簡単な回路構成で検出できるようにした指紋認証技術が開示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−298689号公報
【特許文献2】特開2004−272458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の指紋認証による方式は、キーボードからパスワードを入力する煩わさがなく、またUSBメモリの紛失によるトラブルがないなどという利点はあるものの、ハード・ソフト両面でコストが嵩むという問題がある。また、この指紋認証による方式によってもノートPCが紛失や盗難などにあった場合の情報の漏洩を防止することはできない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、高い安全性を備えた低コストの携帯型情報処理装置および携帯型情報処理装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の携帯型情報処理装置は、
情報を操作入力する操作入力部と、情報が記憶される記憶デバイスとを備えた携帯型情報処理装置において、
所定の携帯通信端末と交信して該携帯通信端末との間の距離が閾値を越えて離れているか否かを検知する距離センサと、
上記距離センサにより上記閾値を越えて離れていることが検知されたことを受けて、上記操作入力部からの操作入力を無効とするように該操作入力部を制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の携帯型情報処理装置によれば、例えば、紛失や盗難などの理由で、この携帯型情報処理装置が、この携帯型情報処理装置の利用者が所有する携帯電話との距離が所定の閾値を越えた場合には、この携帯型情報処理装置の操作入力部からの操作入力が無効となるので利用者以外の者による情報の読出しを防止することができる。
【0010】
ここで、上記操作入力部はキーボードであってもよいが、キーボード以外に、例えば、タッチスクリーンなど、操作入力機能を有するものであればどのようなものであってもよい。
【0011】
また、この携帯型情報処理装置が、自らの位置情報を取得する位置情報取得部と、通信回線を介して接続されたサーバとの間で情報の送受信を行う送受信部とを備え、
上記制御部は、上記距離センサにより検知された距離が所定の閾値を越えたときには、自らの位置情報を上記送受信部を介して上記サーバに送信させるよう制御するものであってもよい。
【0012】
また、上記位置情報取得部は、GPS衛星からの電波を受信して自らの位置情報を取得するものであってもよい。
【0013】
また、この携帯型情報処理装置の使用もしくは分解を検知する検知センサを備え、
上記制御部は、上記距離センサにより検知された距離が所定の閾値を越え、かつ上記検知センサにより上記使用もしくは分解が検知されたときには、上記記憶デバイスをフォーマットするよう制御するものであってもよい。
【0014】
ここで、上記検知センサは、例えば、ノートPCのディスプレイ部分(蓋を兼ねているもの)の開閉を検知する蓋開閉検知センサ、ノートPC本体内部のハードディスク装置を格納容器に固定する止めビスに連動するセンサ、あるいは格納容器の蓋に仕掛けたセンサなど、PC各部の開閉を感知するセンサ一切を含むものである。
【0015】
このように構成した場合は、この携帯型情報処理装置とこの携帯型情報処理装置の利用者が所有する携帯電話との間の距離が所定の閾値を越え、かつ上記検知センサが作動したときには、ハードディスク装置などの記憶デバイスはフォーマットされるので、仮に、その記憶デバイスが本体部から取り出されたとしても、その記憶デバイスに記憶された情報の内容は削除されているので、情報漏洩は防止される。
【0016】
また、この携帯型情報処理装置の使用もしくは分解を検知する検知センサと、上記記憶デバイスの記憶媒体を物理的に破壊することにより該記憶デバイスに記憶された情報を消去する情報消去装置とを備え、上記制御部は、上記距離センサにより検知された距離が所定の閾値を越え、かつ上記検知センサにより上記使用もしくは分解が検知されたときには、上記情報消去装置により上記記憶デバイスに記憶された情報を消去するよう制御するものであってもよい。
【0017】
ここで、上記情報消去装置とは、例えば、ハードディスク装置の記憶媒体であるプラッタに酸又はアルカリ溶液を塗布することによりプラッタに記憶された情報を物理的に消去する装置などをいう。
【0018】
このように構成した場合は、この携帯型情報処理装置とこの携帯型情報処理装置の利用者が所有する携帯電話との間の距離が所定の閾値を越え、かつ上記検知センサが作動したときには、記憶デバイスに記憶された情報は上記情報消去装置により物理的に消去されるので、仮に、そのハードディスク装置などが本体部から取り出されたとしても、記憶デバイスに記憶された情報は物理的に削除されているので、情報漏洩は防止される。
【0019】
また、上記情報消去装置は、上記記憶媒体に酸又はアルカリ溶液を塗布することで、情報を消去するものであってもよい。
【0020】
また、上記制御部は、上記距離センサにより検知された距離が所定の閾値を越えたときには、上記携帯型情報処理装置と通信回線を介して接続されたサーバに対して、上記記憶デバイスに記憶されている情報を送信するものであってもよい。
【0021】
このように構成した場合は、この携帯型情報処理装置とこの携帯型情報処理装置の利用者が所有する携帯電話との間の距離が所定の閾値を越えたときには、この携帯型情報処理装置の記憶デバイスに記憶されている最新の情報がサーバに送信されサーバ内の情報は更新されるので、最新の情報が失われることがなくなる。
【0022】
また、上記目的を達成する本発明の携帯型情報処理装置の制御方法は、
情報を操作入力する操作入力部と、情報が記憶される記憶デバイスとを備えた携帯型情報処理装置の制御方法であって、
所定の携帯通信端末と交信して該携帯通信端末との間の距離が閾値を越えて離れているか否かを検知する距離検知ステップと、
上記距離検知ステップにより、上記閾値を越えて離れていることが検知されたことを受けて、上記操作入力部からの操作入力を無効とするように該操作入力部を制御する制御ステップとを実行することを特徴とする。
【0023】
本発明の携帯型情報処理装置の制御方法によれば、例えば、紛失や盗難などの理由で、この携帯型情報処理装置とこの携帯型情報処理装置の利用者が所有する携帯電話との距離が所定の閾値を越えた場合には、操作入力部からの操作入力が無効となるので利用者以外の者による情報の読出しを防止することができる。
【0024】
ここで、上記制御ステップは、上記携帯型情報処理装置と通信回線を介して接続されたサーバに対して、上記記憶デバイスに記憶されている情報を送信するものであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の携帯型情報処理装置および携帯型情報処理装置の制御方法によれば、高い安全性を備えた低コストの携帯型情報処理装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1は、本発明の携帯型情報処理装置の機能ブロック図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の携帯型情報処理装置10は、情報を操作入力する操作入力部11と、情報が記憶される記憶デバイス12とを備えた携帯型情報処理装置であって、所定の携帯通信端末と交信して該携帯通信端末との間の距離が閾値を越えて離れているか否かを検知する距離センサ13と、距離センサ13により上記閾値を越えて離れていることが検知されたことを受けて、操作入力部11からの操作入力を無効とするように操作入力部11を制御する制御部14とを備えている。
【0029】
また、この携帯型情報処理装置10は、GPS衛星からの電波を受信して自らの位置情報を取得する位置情報取得部15と、通信回線を介して接続されたサーバとの間で情報の送受信を行う送受信部16とを備えた構成であってもよい。
【0030】
また、制御部14は、距離センサ13により検知された距離が所定の閾値を越えたときには、自らの位置情報を上記送受信部16を介して上記サーバに送信させるよう制御するものとして構成してもよい。
【0031】
また、この携帯型情報処理装置10の使用もしくは分解を検知する検知センサ17を備え、上記制御部14は、上記距離センサ13により検知された距離が所定の閾値を越え、かつ上記検知センサ17により上記使用もしくは分解が検知されたときには、記憶デバイス12をフォーマットするよう制御するものとして構成してもよい。
【0032】
また、この携帯型情報処理装置の使用もしくは分解を検知する検知センサ17と、記憶デバイス12の記憶媒体を物理的に破壊することにより記憶デバイス12に記憶された情報を消去する情報消去装置18とを備え、上記制御部14は、上記距離センサ13により検知された距離が所定の閾値を越え、かつ上記検知センサ17により上記使用もしくは分解が検知されたときには、上記情報消去装置18により記憶デバイス12に記憶された情報を消去するよう制御するものとして構成してもよい。
【0033】
さらに、上記制御部14は、上記距離センサ13により検知された距離が所定の閾値を越えたときには、上記情報消去装置18の動作前に、上記送受信部16に、記憶デバイス12に記憶されている情報のサーバへの送信を指示するものとして構成してもよい。
【0034】
図2は、本発明の携帯型情報処理装置の一実施形態であるノートPCの外観斜視図である。
【0035】
このノートPC10は、スタンドアローンのコンピュータシステムとして運用することもできるし、また、通信回線60を介してサーバ61と接続することによりクライアントサーバシステムとして運用することもできる。通信回線60としては、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN,あるいは公衆無線LANなどいずれの通信回線を用いてもよい。
【0036】
このノートPC10は、本体ユニット20と表示ユニット30とからなる2つのユニットからなっており、表示ユニット30は、本体ユニット20に対してヒンジ部40により開閉自在に支持されている。
【0037】
本体ユニット20の上面には、ユーザにより情報が操作入力されるキーボード21が備えられている。また、この本体ユニット20には、上面に、指の接触および接触した指の動きを検出するグライドポイント22、マウスの左釦、右釦と同様の役割を担う左クリック釦23、および右クリック釦24が備えられている。
【0038】
さらに、本体ユニット20の前面には、フレキシブルディスクが取出し自在に装填され、装填されたフレキシブルディスクを回転させて回転中のフレキシブルディスクをアクセスするするフレキシブルディスクドライブ(図示せず)の装填口26aが設けられている。
【0039】
また、本体ユニット20の右前部には、通信回線60を介してサーバ61との間で情報の送受信を行う送受信部32が内蔵されている。
【0040】
さらに、本体ユニット20の右側面には、CDあるいはDVDが取出し自在に装填され、装填されたCDあるいはDVDを回転させて回転中のCDあるいはDVDをアクセスするCD/DVDドライブの装填口27a(図示せず)が設けられている。本体ユニット20の右側面には、さらに、一部がCD/DVDドライブと上下に重なる位置に、各種の記憶メディア(スマートメディア(登録商標)、SDカード(登録商標)など)が取出し自在に挿入され挿入されている記憶メディアをアクセスするメディアスロットの挿入口28a(図示せず)が設けられている。
【0041】
また、本体ユニット20の筐体内部には、各部の動作を制御する制御部14(図1参照)としての機能を始め各種の処理機能を有するCPU41(図3参照)やメインメモリ42などが搭載されたマザーボード、情報を記憶するハードディスク装置43などの記憶デバイスその他の各種デバイスが内蔵されている。
【0042】
一方、表示ユニット30上には、画像を表示する表示画面31が組み込まれており、さらに、表示ユニット30の内部には、携帯電話34やPHSなどと交信してその携帯電話34との間の距離が閾値を越えて離れているか否かを検知する距離センサ33、およびGPS衛星35からの電波を受信して自らの位置情報を取得する位置情報取得部36などが内蔵されている。
【0043】
この表示ユニット30は、上記本体ユニット20を覆う蓋としての機能をも有するものであり、本体ユニット20の左前部には、蓋、すなわち表示ユニット30が本体ユニット20に対して開閉いずれの状態にあるかを検知する蓋開閉検知センサ25が内蔵されている。
【0044】
この蓋開閉検知センサ25のセンサ機能は、利用者の操作に応じてオン/オフ切替自在となっており、センサ機能をオンにした場合には、蓋開閉検知センサ25が表示ユニット30の開状態を検知したときに、キーボード21、グラインドポイント22、左クリック釦23、右クリック釦24等の入力デバイスはロックされ使用不可能な状態となるように制御部14(図1参照)により制御される。
【0045】
以上、本実施形態の携帯型情報処理装置としてノートPCについて説明したが、本発明にいう携帯型情報処理装置は、ノートPCのみに限定されるものではなく、例えばノートPC、タブレットPC、PDAなど、操作入力部と記憶デバイスとを備えた携帯型の情報処理装置をすべて含む。
【0046】
また、本実施形態では、操作入力部の一例として、キーボード21について説明したが、本発明にいう操作入力部は、キーボードのみに限定されるものではなく、例えばタブレットPCなどに備えられるタッチスクリーンなどをも含む。
【0047】
また、本実施形態では、携帯通信端末の一例として、携帯電話34について説明したが、本発明にいう携帯通信端末は、携帯電話のみに限定されるものではなく、例えばPHS(Personal Handyphone System)やPDAなどの携帯型の通信端末をも含む。
【0048】
また、検知センサの一例として蓋開閉検知センサ25(図2参照)を挙げたが、本発明にいう検知センサは、この蓋開閉検知センサ25以外に、ハードディスク装置を格納容器に固定する止めビスに連動するセンサ、あるいは格納容器の蓋に仕掛けたセンサなど、ノートPC各部のカバーの開閉を感知するセンサ一切(以下、単にPC開閉感知センサという)を含んでいる。
【0049】
図3は、図2に示すノートPCのハードウエア構成を示す図である。
【0050】
図3に示すノートPC10には、各種プログラムの実行をはじめ各部の動作を制御する制御部14(図1参照)としての機能を有するCPU41、ハードディスク装置43(図1に示す記憶デバイス12の一例)に格納されたプログラムが読み出され、CPU41での実行のために展開されるメインメモリ42、各種プログラムや文書データ、画像データなどが保存されるハードディスク装置43、フレキシブルディスク44_1が装填され、その装填されたフレキシブルディスク44_1をアクセスするフレキシブルディスクドライブ44、CD/DVD45_1をアクセスするCD/DVDドライブ45、通信回線60(図2参照)を介してサーバ61との間で情報の送受信を行う送受信部32、表示画面31、キーボード21(図1に示す操作入力部11の一例)、左・右クリック釦23,24、グライドポイント22、蓋開閉検知センサ25(図1に示す検知センサ13の一例)、距離センサ33、位置情報取得部36、および情報消去装置39が備えられており、これらはバス48を介して相互に接続されている。
【0051】
次に、本実施形態のノートPCの動作について説明する。
【0052】
図4は、本実施形態のノートPCのオフィス内使用時の動作を示すフローチャートである。
【0053】
図4には、ノートPC10が、例えばオフィス内の一定の境界内で使用されている状態におけるノートPC10が示されている。この状態では、オフィス内のセキュリティ管理体制が強固なものであれば、上記PC開閉感知センサのセンサ機能をオンにしておく必要はないが、第3者がオフィス内に自由に出入り可能な環境の場合には、ノートPCが盗難にあう危険性があるので、その場合には、PC開閉感知センサのセンサ機能をオンにしておき、PC開閉感知センサが開を検知したときの制御部14(図1参照)によるキーボード21のロック機能を有効にしておく。
【0054】
図4に示すように、このノートPC10の利用者が境界内にいるか否かに応じて上記PC開閉感知センサのセンサ機能をオン・オフいずれかに設定する(ステップS01)。利用者が境界内にいる場合にはセンサ機能はオフに設定する(ステップS02)。センサ機能がオフに設定された場合にははそのまま稼働を続けることができる。
【0055】
一方、利用者が境界内にいない場合には、PC開閉感知センサのセンサ機能はオンに設定され、それに応じて制御部14(図1参照)によるキーボード21のロック機能が自動的に作動状態となる。なお、このロック機能は、電気的なロックであり、秘密コマンドにより解除可能である。こうしてキーボード21がロックされることにより、ノートPC10の記憶デバイスに記憶された情報が、例えばコピーコマンドなどで外部に複写されるのを防止することができる。
【0056】
ステップS01で境界内に利用者がおらず、キーボードロック機能が自動的に作動状態となった場合には、ノートPC10の利用者の所有する携帯電話34(図2参照)に警報が送られ、利用者の判断が求められる(ステップS03)。利用者はそれに応じてノートPC10がオフィス内にあるか否かを確認する(ステップS04)。この確認は、例えば、利用者自らが行ってもよいが、オフィス内に、例えばオフィス内の各ノートPCの所在位置をモニタするPC位置情報サービスシステムなどのようなシステムが整備されている場合にはそのシステムを利用して確認することができる。
【0057】
ステップS04における確認の結果、ノートPC10がオフィス内にあることが確認された場合にはその所在位置を確認した後、そのままノートPC10の稼働を続けることができる(ステップS05)。
【0058】
一方、ステップS04における確認の結果、ノートPC10がオフィス内にないことが確認された場合には後述する図6に示すフローに移行する。
【0059】
図5は、本実施形態のノートPCのオフィス外使用時の状態を示す図であり、図6は、本実施形態のノートPCのオフィス外使用時の動作を示すフローチャートである。
【0060】
図5には、ノートPC10に備えられた距離センサ33により、ノートPC10とこのノートPC10の利用者の所持している携帯電話34との間の距離が所定の閾値、例えば20メートルを越えて離れていることが検知された場合、すなわちこのノートPC10の利用者が、携帯電話34とノートPC10とが上記20メートルに相当する境界49よりも内側の位置Aから、境界49外の位置Bに移動した状態が示されている。なお、利用者自身が移動する代わりにノートPC10自体が移動した場合も同様である。
【0061】
このように、距離センサ33によりノートPC10と携帯電話34との間の距離が20メートルを越えて離れていることが検知されると、本実施形態のノートPC10の制御部14(図1参照)は、操作入力部11(図1参照)、すなわちキーボード21(図2参照)からの操作入力を無効とするように該操作入力部11を制御する。こうすることにより、このノートPC10が利用者による管理が不可能な状態となった場合には、利用権を有しない者による操作入力が禁止されるので、情報漏洩を防止することができる。
【0062】
また、図5に示すように、このノートPC10は、GPS衛星35からの電波を受信して自らの位置情報を取得する位置情報取得部36と、通信回線60を介して接続されたサーバ61との間で情報の送受信を行う送受信部32とを備えている。例えば、距離センサ33によりノートPC10と携帯電話34との間の距離が20メートルを越えて離れていることが検知されると、このノートPC10の制御部14(図1参照)は、自らの位置情報を送受信部32を介してサーバ61に送信させるよう制御する。
【0063】
このように構成することにより、このノートPC10が利用者による管理が不可能な状態となった場合に、利用者は、サーバ61を介してノートPC10の位置情報を知ることができるので、その位置情報に基づきノートPC10を探すなどの適切な対応策を講ずることができる。
【0064】
この実施形態では、このノートPC10の利用者により、PC開閉感知センサのセンサ機能はオン、制御部14(図1参照)によるキーボード21のロック機能および情報消去装置18(図1参照)は連動して動作する状態にセットされ、利用者とともにノートPC10の移動が行われている状態を想定している。
【0065】
また、ノートPC10の記憶デバイスに記憶された情報を保全するために、記憶デバイスの情報はサーバ61と同期がとれるように直近に更新した情報差分を素早く取り出せるようになっている。
【0066】
なお、オフィス外では、ノートPC10の置き忘れや盗難などが考えられるが、置き忘れなどの場合には、拾得した善意の第三者から返還されることがあるので、記憶デバイスの情報の消去までは行わないが、返還される可能性が低いと判断されたような場合には、記憶デバイスの情報を消去する制御が行われる。
【0067】
すなわち、図6に示すように、先ず、ノートPC10が境界49(図5参照)外に移動し、かつPC開閉感知センサが作動しているか否かの判定が行われる(ステップS11)。
【0068】
ステップS11における判定の結果、PC開閉感知センサが作動していない場合には、位置情報取得部36(図5参照)により取得されたGPS位置情報に基づきノートPC10の現在位置を確認する(ステップS12)。この位置情報に基づき自ら回収に向かってもよいし、このノートPCの所在を知っている第三者の存在が明らかな場合には、その第三者からの返還を待つこととしてもよい。
【0069】
一方、ステップS11における判定の結果、PC開閉感知センサが作動している場合には、キーボード21のロック機能はPC開閉感知センサと連動しているので第三者によるキーボード操作は不可能な状態となっている(ステップS13)。
【0070】
次に、ノートPC10の送受信部32(図3参照)は、記憶デバイスの直近の更新情報をサーバ61に送信する(ステップS14)。これによりノートPC10の最新の情報はサーバ61にバックアップされ、情報は保全される。尚、直近の更新情報だけでなく、記憶データ全てを送信するようにしてもよい。
【0071】
次に、ノートPC10の制御部14(図1参照)は、ハードディスク装置43(図3参照)をフォーマットする。これにより、記憶デバイスに記憶された情報は論理的に消去される(ステップS15)。
【0072】
さらに、ノートPC10の制御部14(図1参照)は、情報消去装置39を起動して、ハードディスク装置43の記憶媒体の表面に酸又はアルカリ溶液を塗布することにより記憶媒体を物理的に破壊する(ステップS16)。こうすることにより、ノートPC10が盗難にあった場合でも情報漏洩を完全に防止することができる。
【0073】
以上に説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0074】
(付記1) 情報を操作入力する操作入力部と、情報が記憶される記憶デバイスとを備えた携帯型情報処理装置において、
所定の携帯通信端末と交信して該携帯通信端末との間の距離が閾値を越えて離れているか否かを検知する距離センサと、
前記距離センサにより前記閾値を越えて離れていることが検知されたことを受けて、前記操作入力部からの操作入力を無効とするように該操作入力部を制御する制御部とを備えたことを特徴とする携帯型情報処理装置。
【0075】
(付記2) 前記操作入力部がキーボードであることを特徴とする付記1記載の携帯型情報処理装置。
【0076】
(付記3) この携帯型情報処理装置が、自らの位置情報を取得する位置情報取得部と、通信回線を介して接続されたサーバとの間で情報の送受信を行う送受信部とを備え、
前記制御部は、前記距離センサにより検知された距離が所定の閾値を越えたときには、自らの位置情報を前記送受信部を介して前記サーバに送信させるよう制御するものであることを特徴とする付記1又は2記載の携帯型情報処理装置。
【0077】
(付記4) 前記位置情報取得部は、GPS衛星からの電波を受信して自らの位置情報を取得することを特徴とする付記3記載の携帯型情報処理装置。
【0078】
(付記5) この携帯型情報処理装置の使用もしくは分解を検知する検知センサを備え、
前記制御部は、前記距離センサにより検知された距離が所定の閾値を越え、かつ前記検知センサにより前記使用もしくは分解が検知されたときには、前記記憶デバイスをフォーマットするよう制御するものであることを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の携帯型情報処理装置。
【0079】
(付記6) この携帯型情報処理装置の使用もしくは分解を検知する検知センサと、前記記憶デバイスの記憶媒体を物理的に破壊することにより該記憶デバイスに記憶された情報を消去する情報消去装置とを備え、
前記制御部は、前記距離センサにより検知された距離が所定の閾値を越え、かつ前記検知センサにより前記前記使用もしくは分解が検知されたときには、前記情報消去装置により前記記憶デバイスに記憶された情報を消去するよう制御するものであることを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の携帯型情報処理装置。
【0080】
(付記7) 前記情報消去装置は、前記記憶媒体に酸又はアルカリ溶液を塗布することで、情報を消去することを特徴とする付記6記載の携帯情報処理装置。
【0081】
(付記8) 前記制御部は、前記距離センサにより検知された距離が所定の閾値を越えたときには、前記携帯型情報処理装置と通信回線を介して接続されたサーバに対して、前記記憶デバイスに記憶されている情報を送信するものであることを特徴とする付記1乃至7のいずれかに記載の携帯型情報処理装置。
【0082】
(付記9) 情報を操作入力する操作入力部と、情報が記憶される記憶デバイスとを備えた携帯型情報処理装置の制御方法であって、
所定の携帯通信端末と交信して該携帯通信端末との間の距離が閾値を越えて離れているか否かを検知する距離検知ステップと、
前記距離検知ステップにより、前記閾値を越えて離れていることが検知されたことを受けて、前記操作入力部からの操作入力を無効とするように該操作入力部を制御する制御ステップとを実行することを特徴とする携帯型情報処理装置の制御方法。
【0083】
(付記10) 前記制御ステップは、前記携帯型情報処理装置と通信回線を介して接続されたサーバに対して、前記記憶デバイスに記憶されている情報を送信することを特徴とする付記9記載の携帯型情報処理装置の制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の携帯型情報処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の携帯型情報処理装置の一実施形態であるノートPCの外観斜視図である。
【図3】図2に示すノートPCのハードウエア構成を示す図である。
【図4】本実施形態のノートPCのオフィス内使用時の動作を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態のノートPCのオフィス外使用時の状態を示す図である。
【図6】本実施形態のノートPCのオフィス外使用時の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
10 携帯型情報処理装置
11 操作入力部
12 記憶デバイス
13 距離センサ
14 制御部
15 位置情報取得部
16 送受信部
17 検知センサ
18 情報消去装置
20 本体ユニット
21 キーボード
22 グライドポイント
23 左クリック釦
24 右クリック釦
25 蓋開閉検知センサ
26a 装填口
27a 装填口
28a 挿入口
30 表示ユニット
31 表示画面
33 距離センサ
34 携帯電話
35 GPS衛星
36 位置情報取得部
39 情報消去装置
40 ヒンジ部
41 CPU
42 メインメモリ
43 ハードディスク装置
44 フレキシブルディスクドライブ
44_1 フレキシブルディスク
45 CD/DVDドライブ
45_1 CD/DVD
48 バス
60 通信回線
61 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を操作入力する操作入力部と、情報が記憶される記憶デバイスとを備えた携帯型情報処理装置において、
所定の携帯通信端末と交信して該携帯通信端末との間の距離が閾値を越えて離れているか否かを検知する距離センサと、
前記距離センサにより前記閾値を越えて離れていることが検知されたことを受けて、前記操作入力部からの操作入力を無効とするように該操作入力部を制御する制御部とを備えたことを特徴とする携帯型情報処理装置。
【請求項2】
この携帯型情報処理装置の使用もしくは分解を検知する検知センサを備え、
前記制御部は、前記距離センサにより検知された距離が所定の閾値を越え、かつ前記検知センサにより前記使用もしくは分解が検知されたときには、前記記憶デバイスをフォーマットするよう制御するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の携帯型情報処理装置。
【請求項3】
この携帯型情報処理装置の使用もしくは分解を検知する検知センサと、前記記憶デバイスの記憶媒体を物理的に破壊することにより該記憶デバイスに記憶された情報を消去する情報消去装置とを備え、
前記制御部は、前記距離センサにより検知された距離が所定の閾値を越え、かつ前記検知センサにより前記前記使用もしくは分解が検知されたときには、前記情報消去装置により前記記憶デバイスに記憶された情報を消去するよう制御するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の携帯型情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記距離センサにより検知された距離が所定の閾値を越えたときには、前記携帯型情報処理装置と通信回線を介して接続されたサーバに対して、前記記憶デバイスに記憶されている情報を送信するものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の携帯型情報処理装置。
【請求項5】
情報を操作入力する操作入力部と、情報が記憶される記憶デバイスとを備えた携帯型情報処理装置の制御方法であって、
所定の携帯通信端末と交信して該携帯通信端末との間の距離が閾値を越えて離れているか否かを検知する距離検知ステップと、
前記距離検知ステップにより、前記閾値を越えて離れていることが検知されたことを受けて、前記操作入力部からの操作入力を無効とするように該操作入力部を制御する制御ステップとを実行することを特徴とする携帯型情報処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−272349(P2007−272349A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94506(P2006−94506)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】