説明

携帯機用ユニット及びそれを用いた携帯機

【課題】携帯機用ユニットの構成の簡略化を図る。
【解決手段】携帯機用ユニット110は、回路基板10と、回路基板10と重ねるように設けられ回路基板10側とは反対側にバッテリー収容部が形成された電池ホルダ20と、回路基板10及び電池ホルダ20の少なくとも周縁部を覆うと共に厚さ方向に外嵌めするように設けられた一体化部材40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯機用ユニット及びそれをケースに収容した携帯機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドアの施錠/解錠を切換制御するスイッチングシステムとして、パッシブキーレスエントリー(PKE:Passive Keyless Entry)システムが標準装備になりつつある。このパッシブキーレスエントリーシステムは、車両の所有者による携帯機(FOB)の操作が不要であり、携帯機の車両への遠離/近接を検知してドアの施錠/解錠を制御するものである。
【0003】
そして、特許文献1には、パッシブキーレスエントリーシステムの携帯機の内部をOリングにより防水することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3209415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、携帯機用ユニットの構成を簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯機用ユニットは、
回路基板と、
上記回路基板と重ねるように設けられ該回路基板側とは反対側にバッテリー収容部が形成された電池ホルダと、
上記回路基板及び上記電池ホルダの少なくとも周縁部を覆うと共に厚さ方向に外嵌めするように設けられた一体化部材と、
を備える。
【0007】
本発明の携帯機は、本発明の携帯機用ユニットをケースに収容したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、単に一体化部材によって回路基板及び電池ホルダの少なくとも周縁部が覆われると共に厚さ方向に外嵌めされたものであるので、携帯機用ユニットの構成が簡略化されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る携帯機を示す分解斜視図である。
【図2】携帯機用ユニットを示す平面図である。
【図3】回路基板における(a)配線面及び(b)素子実装面をそれぞれ示す平面図である。
【図4】電池ホルダにおける(a)底部側の平面図、(b)側面図、及び(c)開口側の平面図である。
【図5】回路基板及び電池ホルダの積層体における(a)ボタン電池を取り外した状態を示す平面図、(b)ボタン電池を取り付けた状態を示す平面図、及び(c)ボタン電池を取り付けた状態を示す断面図である。
【図6】図5(a)におけるVI−VI断面図である。
【図7】(a)〜(d)は一対のピン端子を結ぶ直線が電池ホルダの外形形状の重心を通る場合の電池ホルダの回路基板への実装状態を示す説明図である。
【図8】(a)及び(b)は実施形態の場合の電池ホルダの回路基板への実装状態を示す説明図である。
【図9】電池支持部の実装状態を示す説明図である。
【図10】一体化部材における(a)開口側の平面図、(b)側面図、及び(c)基板被覆側の平面図である。
【図11】携帯機用ユニットの第1ケース部材への実装状態を示す平面図である。
【図12】携帯機の断面図である。
【図13】変形例の一体化部材を使用した携帯機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は本実施形態に係る携帯機100を示す。
【0012】
本実施形態に係る携帯機100は、自動車のドアの施錠/解錠を切換制御するパッシブキーレスエントリー(PKE:Passive Keyless Entry)システムに用いられるものであり、携帯機用ユニット110がケース120に収容された構成を有する。本実施形態に係る携帯機100は、例えば、外径が40〜55mm(好ましくは46〜53mm)、及び厚さが10〜18mm(好ましくは14〜16mm)である。
【0013】
図2は携帯機用ユニット110を示す。
【0014】
携帯機用ユニット110は、回路基板10と重ねるように電池ホルダ20が設けられて積層体とされ、その積層体に一体化部材40が被せられた構成を有する。
【0015】
図3(a)及び(b)は回路基板10を示す。
【0016】
回路基板10は、外形が円形に形成されていると共に、その周方向に間隔をおいて半円形状の第1〜第3欠損部11a,11b,11cが形成されている。回路基板10の基板中心を基準とすると、第1欠損部11aから第2欠損部11bまでの角度間隔は90°、第2欠損部11bから第3欠損部11cまでの角度間隔は135°、及び第3欠損部11cから第1欠損部11aまでの角度間隔も135°である。回路基板10は、例えば、外径が20mm〜30mm(好ましくは24mm〜26mm)、及び厚さが0.5mm〜1.5mm(好ましくは0.8mm〜1.0mm)である。厚さが0.5mmより小さいと、反り易くなったり、不所望な破損が起こり易くなる傾向にあり、1.5mmを越えると、薄型化、小型化にそぐわない傾向にある。
【0017】
回路基板10は、一方側の面が配線面に構成されており、その配線面に配線が設けられていると共にその配線を覆うように絶縁膜が表面被覆している。回路基板10は、他方側の面が素子実装面に構成されており、その素子実装面に種々の電子素子12が実装されている。また、他方側の面の素子実装面には、適宜、配線が設けられていてもよく、そのような構成とすることにより回路基板10の小型化が可能となる。
【0018】
回路基板10には、配線面における第1欠損部11aからやや基板中心側に、第1アンテナ13a(X軸アンテナ)が第1欠損部11aと基板中心とを結ぶ方向に直交する方向に延びるように設けられており、また、第2欠損部11bからやや基板中心側に、第2アンテナ13b(Y軸アンテナ)が第2欠損部11bと基板中心とを結ぶ方向に直交する方向に延びるように設けられている。従って、X軸アンテナの第1アンテナ13aとY軸アンテナの第2アンテナ13bとは軸方向(図3に示した方向)が略直交するように設けられている。第1アンテナ13a及び第2アンテナ13bは、例えば、特定の軸に沿って銅線、銅合金線、アルミニウム線、アルミニウム合金線等のアンテナ線を巻回したもの、磁心(磁石)にアンテナ線を巻回したもの、或いは、これらの構造のものを樹脂やゴムの絶縁材料で封止したもの等で構成されている。
【0019】
回路基板10には、配線面における第3欠損部11cからやや基板中心側に負極端子14(電池用電極)が設けられていると共に、負極端子14と第2アンテナ13bとの間に正極端子15(電池用電極)が設けられている。負極端子14は、板バネ状の金属片で構成されており、ダンベル形状の基板接続端の中心から両側に板面が回路基板10に対して傾斜するように斜めに延び、正面視において、大きく開口したV字状に形成されている。正極端子15も、板バネ状の金属片で構成されており、第2アンテナ13bの第1アンテナ13a側とは反対側に基板接続端を有し、それに続いて板面が回路基板10に対して直交するように屈曲され、そして、平面視において、第2アンテナ13b側に向かって延びた後に屈曲して第1アンテナ13a側に向かって延びた「く」の字状に形成されている。
【0020】
回路基板10には、第1アンテナ13aの長さ方向の両側のそれぞれにピン端子挿通孔16が形成されている。また、回路基板10には、第1アンテナ13aの長さ方向の第2アンテナ13b側とは反対側のピン端子挿通孔16からやや基板中心側及び第2アンテナ13bの長さ方向の第1アンテナ13a側とは反対側のそれぞれに検査孔17が形成されている。
【0021】
図4(a)〜(c)は電池ホルダ20を示す。
【0022】
電池ホルダ20は、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル (Acrylonitrile)・ブタジエン (Butadiene)・スチレン (Styrene)共重合合成樹脂)、PBT樹脂(ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)樹脂)等の熱可塑性樹脂で形成されていることが好ましい。これらのうち耐熱性(後述する半田付け工程で劣化しない)に優れる点でPBT樹脂が好適である。
【0023】
電池ホルダ20は、回路基板10と同じ円形の外形を有し、一方側に開口した有底の円筒形に形成されており、そして、厚さ方向の両側が鍔状に形成されて外周縁にボビンを構成するように断面コの字状の溝21が構成されている。電池ホルダ20の本体部分の厚さ(図4(b)のH)は例えば5〜12mmである。なお、溝21の断面形状はU字状等であってもよい。
【0024】
電池ホルダ20には、開口側の端面部、つまり、外周部に、回路基板10の第1〜第3欠損部11a,11b,11cに対応するように、その周方向に間隔をおいて半円形状の第1〜第3位置決め突起22a,22b,22cが突設されている。
【0025】
電池ホルダ20には、開口側とは反対側の底部に、回路基板10の負極端子14及び正極端子15に対応するように、円形孔状のボタン電池B用の電池収容部23が形成されている。電池収容部23は、正極端子15に対応する部分以外に、内壁23aとそれに連続して内側に突出して円弧状に延びるように形成された電池支持部23bとが設けられている。電池支持部23bは、回路基板10側に開口した断面コの字状に形成されており、また、負極端子14に対応する部分に干渉防止欠損23cが形成されている。このように、電池収容部23の正極端子15に対応する部分に内壁23a及び電池支持部23bを有さず、また、電池支持部23bが断面コの字状に形成され、さらに、負極端子14に対応する部分に干渉防止欠損23cが形成されていることにより、不要な部分を省略して電池ホルダ20の軽量化が図られている。
【0026】
電池収容部23の開口端の周縁部には、電池収容部23の中心を基準として、周方向に120°の角度間隔をおいて第1〜第3係合突起24a,24b,24cが一体に突設されている。これらの第1〜第3係合突起24a,24b,24cのうち中央側の第1係合突起24aは、相対的に大型で、円盤状に形成されており、それが電池収容部23の開口端から内側に大きく張り出すように設けられており、一方、外周側の第2及び第3係合突起24b,24cのそれぞれは、相対的に小型で、先端が鉤形の係合爪を有する板状に形成されており、係合爪が電池収容部23の開口端に内側に小さく張り出すように立設されている。
【0027】
電池ホルダ20には、回路基板10の一対のピン端子挿通孔16のそれぞれに対応するように、内側に断面三角形状に張り出した部分を有し、その部分にピン端子挿通孔25が形成されている。電池ホルダ20には、底部の表面側に、一対のピン端子挿通孔25のそれぞれに対応して外向きに開口したU字状の彫り込み部26が形成され、また、一対のピン端子挿通孔25間の中央に、例えば、外向きの頂角を有する二等辺三角形状の突出部からなる位置合わせ標27が設けられている。さらに、電池ホルダ20には、回路基板10の一対の検査孔17のそれぞれに対応するように、底部に、検査ピンを挿入して携帯機用ユニット110(携帯機100)の回路が正常であるか否かを検査するための検査孔28が形成されている。
【0028】
図5(a)及び(b)並びに図6は回路基板10及び電池ホルダ20の積層体を示す。なお、図6に示すZ軸方向は上述したXY面(X軸方向、Y軸方向)に対して垂直な方向である。
【0029】
これらの回路基板10及び電池ホルダ20は、回路基板10の配線面側と電池ホルダ20の開口側とが対向するように重ね合わされると共に、回路基板10の第1〜第3欠損部11a,11b,11cに電池ホルダ20の第1〜第3位置決め突起22a,22b,22cがそれぞれ係合するように位置決めされて積層体を構成している。そして、これにより、回路基板10の第1及び第2アンテナ13a,13bが底部によりカバーされ、また、第1及び第2アンテナ13a,13bが収容された空間が内壁23aにより電池収容部23から区画され、さらに、負極端子14が電池収容部23の底から露出すると共に正極端子15が電池収容部23の内壁23aを有さない部分から露出し、そして、回路基板10及び電池ホルダ20のピン端子挿通孔16,25が連通すると共に、回路基板10及び電池ホルダ20の検査孔28が位置合わせされた構成となっている。
【0030】
ここで、第1〜第3欠損部11a,11b,11c及び第1〜第3位置決め突起22a,22b,22cは半円形状に形成されているので、回路基板10及び電池ホルダ20の部品実装領域を広く確保することができる。
【0031】
また、回路基板10の基板中心或いは電池ホルダ20のホルダ中心を基準として、第1欠損部11a及び第1位置決め突起22aの第1係合位置から第2欠損部11b及び第2位置決め突起22bの第2係合位置までの角度間隔が90°であるので、第1及び第2係合位置の視認性が良好となり、回路基板10に電池ホルダ20を実装する際の作業性が優れることとなる。しかも、第2欠損部11b及び第2位置決め突起22bの第2係合位置から第3欠損部11c及び第3位置決め突起22cの第3係合位置までの角度間隔が135°、同様に第3欠損部11c及び第3位置決め突起22cの第3係合位置から第1欠損部11a及び第1位置決め突起22aの第1係合位置までの角度間隔も135°であるので、欠損部と位置決め突起との誤った組合せでは3組の係合構造は構成されないため、この点からも回路基板10に電池ホルダ20を実装する際の作業性が優れることとなる。そして、回路基板10に電池ホルダ20を重ね合わせた実装状態としては、安定性が高く、外観や電気的特性等をも含めて全体的にバラツキの少ない構造が構成されている。なお、回路基板10の素子実装面側が電池ホルダ20に対向するように実装しようとした場合、或いは、電池ホルダ20の底部側が回路基板10に対向するように実装しようとした場合では、素子等の干渉により回路基板10及び電池ホルダ20の積層体の構成は不可能である。
【0032】
回路基板10及び電池ホルダ20の積層体において、電池ホルダ20の外周縁の溝21にはアンテナ線が巻回されてコイルアンテナ(Z軸アンテナ)からなる第3アンテナ29が構成されている。従って、電池ホルダ20は、第3アンテナ29(Z軸アンテナ)のアンテナ線を巻回する部材をも兼用しており、これにより携帯機用ユニット100の部品点数の低減及び小型化が図られている。
【0033】
回路基板10及び電池ホルダ20の積層体において、回路基板10及び電池ホルダ20の連通した一対のピン端子挿通孔16,25のそれぞれには給電ピン端子30(連結ピン)が挿通されている。そして、電池ホルダ20側に突出した一方の給電ピン端子30の先端には第3アンテナ29の一端が半田付けされ、同様に、他方の給電ピン端子30の先端には第3アンテナ29の他端が半田付けされている。また、回路基板10側に突出した給電ピン端子30の先端は回路基板10の端子に半田付けされている。これにより、回路基板10及び電池ホルダ20の積層体では、一対の給電ピン端子30が回路基板10から電池ホルダ20を厚さ方向に貫いてそれらを連結した構造が構成されている。なお、回路基板10側については、ピン用コネクタが設けられ、それによって半田付けの作業工数が低減された構成であってもよい。
【0034】
ここで、電池ホルダ20にはピン端子挿通孔25に対応して彫り込み部26が形成されているので、半田ごての先端を彫り込み部26に沿って差し入れることにより、第3アンテナ29の先端を給電ピン端子30の先端に半田付けする際の作業性が優れることとなる。
【0035】
回路基板10及び電池ホルダ20の積層体において、それらを連結する一対の給電ピン端子30は、電池ホルダ20の平面視において、それらを結ぶ直線(図5(a)及び(b)の破線)が電池ホルダ20の外形形状の重心G、つまり、ホルダ中心から外れた位置を通るように配設されている。そして、電池収容部23は、一対の給電ピン端子30を結ぶ直線よりも電池ホルダ20の外形形状の重心G側に設けられている。
【0036】
ここで、一対の給電ピン端子30が、それらを結ぶ直線が電池ホルダ20の外形形状の重心Gを通るように対称に配設されていたとすると、図7(a)に示すように、電池ホルダ20が回路基板10に理想的に重ね合わされてバランスよく実装されることが期待されるものの、実際には、図7(b)に示すように電池ホルダ20が回路基板10から離間して浮いて実装されたり、或いは、図7(c)及び(d)に示すように電池ホルダ20が回路基板10に対して傾斜して片側が浮いて実装されるといった実装バラツキが大きいものとなる。しかしながら、上記の構成によれば、電池ホルダ20の平面視において、一対の給電ピン端子30が、それらを結ぶ直線が電池ホルダ20の外形形状の重心Gから外れた位置を通るように配設されているため、図8(a)に示すように、電池ホルダ20には、その外形形状の重心G側とは反対側の部分に、回路基板10側に傾斜しようとする力が作用するものの、電池収容部23が、一対の連結ピンを結ぶ直線よりも電池ホルダ20の外形形状の重心G側に設けられているので、電池収容部23にボタン電池Bが収容されると、図8(b)に示すように、ボタン電池Bの重量によって電池ホルダ20には、その外形形状の重心G側の部分に、回路基板10側に傾斜しようとする力が作用し、それらの力が相殺されることとなるので、その結果、電池ホルダ20の回路基板10への安定した実装構造を得ることができる。
【0037】
また、電池収容部23にボタン電池Bが収容されると、電池ホルダ20の平面視において、正極端子15は、ボタン電池Bを、一対の給電ピン端子30を結ぶ直線に対して角度をなす方向で且つ電池ホルダ20の外形形状の重心G側の向き(図5(a)の矢印の向き)に側方から付勢する付勢部材に構成される。そして、この付勢力のうちボタン電池Bを回路基板10側に押し付けようとする成分は、電池ホルダ20の重心G側の部分に作用する回路基板10側に傾斜させようとする力に荷担することとなり、電池ホルダ20の回路基板10への安定した実装構造を得るための補助となる。しかも、正極端子15によるボタン電池Bの付勢方向を調節することにより、電池ホルダ20の外形形状の重心G側の部分及びその反対側の部分に作用する力のバランスを制御することができる。
【0038】
回路基板10及び電池ホルダ20の積層体において、電池ホルダ20の電池収容部23にボタン電池Bを取り付ける際には、ボタン電池Bを斜めにして正極端子15の付勢に抗して第1係合突起24aの下側に潜り込ませるように挿入し、ボタン電池Bを第1係合突起24aに係合させ、続いて、ボタン電池Bを負極端子14の弾性に抗して回路基板10側に押し込み、そして、ボタン電池Bに作用させていた力を解除させればよい。このとき、ボタン電池Bに作用させていた力を解除すると、正極端子15がボタン電池Bを第2及び第3係合突起24b,24c側に側方から電池収容部23の内壁23aに押し付けるように付勢し、また、負極端子14がボタン電池Bを電池収容部23の開口側に付勢するため、第1〜第3係合突起24a,24b,24cがボタン電池Bに係合した状態でボタン電池Bを電池収容部23に収容保持する。なお、正極端子15によってボタン電池Bが電池収容部23の第2及び第3係合突起24b,24c側の内壁23aに押し付けられると、正極端子15側においてはボタン電池Bと電池収容部23との間に隙間が形成される。
【0039】
一方、電池ホルダ20の電池収容部23からボタン電池Bを取り外す際には、ボタン電池Bと電池ホルダ20との隙間に爪や細い突起物を差し入れて正極端子15の付勢に抗する向き、つまり、ボタン電池Bと電池収容部23との間に隙間を無くす向きに側方から力を加えればよい。このとき、第2及び第3係合突起24b,24cのボタン電池Bへの係合が解除されると共に負極端子14の付勢によりボタン電池Bが電池収容部23から持ち上げられて外れる。
【0040】
ここで、第1係合突起24aが第2及び第3係合突起24b,24cと比較して相対的に大型に形成されているので、ボタン電池Bを取り付ける際に、ボタン電池Bを第1係合突起24aの下側に潜り込ませるように挿入することによりそれらを容易に係合させることができる。また、大型の第1係合突起24aがボタン電池Bの挿入方向を示す目印としても機能させることができる。さらに、ボタン電池Bの取付後には、大型の第1係合突起24aによりボタン電池Bの脱落防止を図ることができる。なお、第1係合突起24aが矩形状に形成されていたのでは、角部によりボタン電池Bの嵌りが強くなるが、上記のように円盤状に形成されていると、ボタン電池Bの適度な嵌り具合を得ることができ、ボタン電池Bの取り付けを容易に行うことができる。
【0041】
また、第2及び第3係合突起24b,24cが第1係合突起24aと比較して相対的に小型に形成されているので、ボタン電池Bの取り外しを容易に行うことができる。
【0042】
さらに、第1〜第3係合突起24a,24b,24c相互の角度間隔が120°であるので、ボタン電池Bを三点支持により電池収容部23に安定して収容保持することができる。
【0043】
なお、回路基板10及び電池ホルダ20の積層体の厚さは給電ピン端子30の突出長さによって規定され、電池ホルダ20が第1〜第3係合突起24a,24b,24cをホルダ本体に含んだ厚さを有する場合、回路基板10及び電池ホルダ20の積層体の厚さは、回路基板10の厚さと電池ホルダ20の厚さと給電ピン端子30の突出長さとの和となる。しかしながら、電池ホルダ20がホルダ本体に第1〜第3係合突起24a,24b,24cが一体に突設された構成の場合、電池ホルダ20の厚さが同じであったとしても、例えば、ホルダ本体に設けられた給電ピン端子30の突出長さが第1〜第3係合突起24a,24b,24cの突出長さよりも短ければ、回路基板10及び電池ホルダ20の積層体の厚さは、回路基板10の厚さと電池ホルダ20の厚さとの和となり、これにより積層体の薄型化を図ることができる。
【0044】
回路基板10及び電池ホルダ20の積層体において、電池ホルダ20の電池収容部23にボタン電池Bが取り付けられた状態では、電池支持部23bは、ボタン電池Bを、その底面外周部に接触して支持するので、ボタン電池Bが回路基板10に全面接触してショートするのを防止することができる。また、電池支持部23bは、回路基板10にも接触するものの、図9に示すように、回路基板10側に開口した断面コの字状に形成されて回路基板10との接触面積が小さいので、電池ホルダ20の回路基板10への実装バラツキを低減することができる。さらに、負極端子14はボタン電池Bの底面中央部に接触するが、電池支持部23bに干渉防止欠損23cが設けられているので、負極端子14が電池支持部23bとボタン電池Bとの間に挟まってボタン電池Bが斜めに傾いて電池収容部23に取り付けられるのを防止することができる。また、負極端子14と干渉防止欠損23cとの位置関係を目視することにより、回路基板10への電池ホルダ20の実装状態を検査することができる。なお、負極端子14の回路基板10上の配線へのショートは配線を被覆するように設けられた絶縁膜によって防止することができる。
【0045】
回路基板10及び電池ホルダ20の積層体において、位置合わせされた一対の検査孔17,28には検査用ピンが同時に挿入されて量産検査が行われるが、この一対の検査孔17,28が検査用ピンを案内するので、検査用ピンの回路基板10への接触バラツキを低減することができ、また、一対の検査孔17,28に同時に検査用ピンが挿入されるので、二点支持により安定した検査を行うことができる。
【0046】
図10(a)〜(c)は一体化部材40を示す。
【0047】
一体化部材は40は、例えば、ゴム材料のような弾性を有する材料、好ましくは、アンテナ性能を低下させない点で低誘電率のゴム材料で形成されていることが好ましい。具体的には、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、フッ素ゴム、HNBR(水素化ニトリルゴム)、シリコンゴム等が挙げられる。これらのうち、後述する透明性の点で、シリコンゴムが好適である。
【0048】
一体化部材40は、偏平な浅底皿状に形成され、回路基板10及び電池ホルダ20の積層体に対して、開口に電池ホルダ20が露出するように被せられ、周縁部を覆うと共に厚さ方向に外嵌めするように設けられている。弾性を有する材料で形成された一体化部材40の場合、一体化部材40に回路基板10及び電池ホルダ20の積層体に嵌め込む際、一体化部材40の開口部を弾性変形させて拡口させ、外嵌め後、一体化部材40の弾性復元力によって、回路基板10及び電池ホルダ20の積層体の積層構造を安定に保持することができる。
【0049】
また、弾性を有する材料で形成された一体化部材40の場合、回路基板10及び電池ホルダ20の積層体の周縁部が覆われると共に厚さ方向に外嵌めされたものであるので、携帯機用ユニット110の構成が簡略化され、また、部品交換にともなう一体化部材40の着脱が容易に行うことができる。一体化部材40は、例えば、高さ(H1)が7mm〜9mm、厚さ(t1)が0.4mm〜1.2mmで、好ましくは0.6〜0.8mmである。t1の厚さが0.4mmより小さいと、拡口した際に不所望に破損する恐れがあり、1.2mmを越えると、拡口し難くなり、外嵌め工程が煩雑になる恐れがある。
【0050】
一体化部材40には、電池ホルダ20に形成された彫り込み部26に対応するように内側に嵌合突起41が設けられていると共に、電池ホルダ20に設けられた位置合わせ標27に対応するように開口端に内向きの頂角を有する例えば二等辺三角形状の位置合わせ突起42が設けられている。この嵌合突起41による電池ホルダ20の彫り込み部26への嵌合及び位置合わせ突起42による電池ホルダ20の位置合わせ標27への位置合わせにより、一体化部材40の回路基板10及び電池ホルダ20の積層体への実装バラツキを低減することができる。
【0051】
一体化部材40には、外周部における位置合わせ突起42に対応する位置に、回路基板10の被覆側に開口した有底筒状で且つ外側端の平面視形状が半円形である第1ケース取付部43aが側方に張り出して設けられている。また、一体化部材40には、第1ケース取付部43aから周方向に130°の角度間隔をおいて回路基板10の被覆側に開口した有底筒状で且つ外側端の平面視形状が方形である第2ケース取付部43bが側方に張り出して設けられている。
【0052】
一体化部材40は、少なくとも回路基板10の基板表面を覆う部分が透明であることが好ましい。一体化部材40の回路基板10の基板表面を覆う部分が透明であると、一体化部材40を取り付けた状態で目視検査を行うことができ、また、例えばショート等の不具合が発生した場合には、その部分が変色するため、不具合箇所の特定を容易に行うことができる。ここでいう「透明」とは、一体化部材40を介して、目視により、部品の有無、回路基板10の変色が確認できる程度の透明度以上のものをいう。
【0053】
以上の構成の携帯機用ユニット110を収容するケース120は、各々、例えばABS樹脂等により浅底皿状に形成された第1及び第2ケース部材121,122とその側面に取付ピンPによって取り付けられた例えばABS樹脂等により形成されたストラップホルダ123とにより構成されている。ケース120は、回路基板10側が第1ケース部材121及び電池ホルダ20側が第2ケース部材122となり且つそれぞれ凹側が対向するように配置され、そして、第1及び第2ケース部材121,122により携帯機用ユニット110を厚さ方向に挟むように収納している。従って、ケース120の側面に第1及び第2ケース部材121,122の合わせ部が現れる。
【0054】
第1ケース部材121には、内部に一体化部材40の第1及び第2ケース取付部43a,43bに対応するように第1及び第2ユニット取付突起121a,121bが設けられており、図11に示すように、第1ユニット取付突起121aに第1ケース取付部43aが、また、第2ユニット取付突起121bに第2ケース取付部43bがそれぞれ外嵌めされ、それによって携帯機用ユニット110が取付固定されている。従って、携帯機用ユニット110を用いれば、内部に所定の第1及び第2ユニット取付突起121a,121bさえ設けられていれば、ケース120の形状によらずに携帯機100を構成することができる。また、第1及び第2ケース取付部43a,43bは、相互に形状が異なるので、第1ケース部材121に携帯機用ユニット110を実装する際の作業性が優れることとなる。
【0055】
ケース120内においては、一体化部材40は、図12に示すように、回路基板10の表面の外周部を覆う部分が第1ケース部材121の内側に当接してシールしていると共に、電池ホルダ20の表面の外周部を覆う部分が第2ケース部材122の内側に当接してシールしている。従って、ケース120内において一体化部材40の内側部分が外側部分から隔絶されているので、仮に第1及び第2ケース部材121,122の合わせ部から水や埃が進入しても、それらを一体化部材40の外側部分で止めることができ、回路基板10及び電池ホルダ20が収容された一体化部材40の内側部分に水や埃が到達するのを防止することができる。つまり、一体化部材40により防水・防塵パッキンが構成されている。これにより単一の一体化部材40によって回路基板10及び電池ホルダ20の積層体の一体化とそれらの防水・防塵という2つの機能が果たされることとなる。
【0056】
なお、携帯機用ユニット110を構成する回路基板10、電池ホルダ20、及び一体化部材40の形状や各部分の構成、並びにケース120の構成は、特に本実施形態に限定されるものではなく、その他の構成であってもよい。例えば、一体化部材40は、図13に示すように、回路基板10の基板表面を覆う部分を有さず、回路基板10及び電池ホルダ20の積層体の周縁部を覆うと共に厚さ方向に外嵌めする内側に開口した環状の構成を有するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は携帯機用ユニット及びそれをケースに収容した携帯機について有用である。
【符号の説明】
【0058】
100 携帯機
110 携帯機用ユニット
10 回路基板
11a 第1欠損部
11b 第2欠損部
11c 第3欠損部
12 電子素子
13a 第1アンテナ
13b 第2アンテナ
14 負極端子
15 正極端子
16,25 ピン端子挿通孔
17,28 検査孔
20 電池ホルダ
21 溝
22a 第1位置決め突起
22b 第2位置決め突起
22c 第3位置決め突起
23 電池収容部
23a 内壁
23b 電池支持部
23c 干渉防止欠損
24a 第1係合突起
24b 第2係合突起
24c 第3係合突起
26 彫り込み部
27 位置合わせ標
29 第3アンテナ
30 ピン端子
40 一体化部材
41 嵌合突起
42 位置合わせ突起
43a 第1ケース取付部
43b 第2ケース取付部
120 ケース
121 第1ケース部材
121a 第1ユニット取付突起
121b 第2ユニット取付突起
122 第2ケース部材
123 ストラップホルダ
B ボタン電池
G 重心
P 取付ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
上記回路基板と重ねるように設けられ該回路基板側とは反対側にバッテリー収容部が形成された電池ホルダと、
上記回路基板及び上記電池ホルダの少なくとも周縁部を覆うと共に厚さ方向に外嵌めするように設けられた一体化部材と、
を備えた携帯機用ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載された携帯機用ユニットにおいて、
上記一体化部材は、上記回路基板の基板表面を覆うように形成されている携帯機用ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載された携帯機用ユニットにおいて、
上記一体化部材における少なくとも上記回路基板の基板表面を覆う部分が透明である携帯機用ユニット。
【請求項4】
上記一体化部材が弾性を有する材料で形成されたパッキンに構成されている携帯機用ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載された携帯機用ユニットをケースに収容した携帯機。
【請求項6】
請求項5に記載された携帯機において、
上記ケースは、上記携帯機用ユニットを厚さ方向に挟むように設けられた上記回路基板側の第1ケース部材及び上記電池ホルダ側の第2ケース部材で構成されており、
上記パッキンを構成する一体化部材は、上記回路基板の表面の外周部を覆う部分が上記第1ケース部材の内側に当接していると共に上記電池ホルダの表面の外周部を覆う部分が上記第2ケース部材の内側に当接している携帯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−106232(P2011−106232A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265425(P2009−265425)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】