説明

携帯無線機

【課題】筐体構造として回転2軸構造を採るとともに、第1筐体と第2筐体を回動可能に接続するヒンジ部をアンテナとして使用しても高効率なアンテナ性能が得られる携帯無線機を提供する。
【解決手段】第2ヒンジ部21の保持部211Aのうち、第1ヒンジ部20のある側の第1保持部211Aaを第1ヒンジ部20のない側の第2保持部211Abより短くして第1ヒンジ部20との間のクリアランスを大きくとるようにした。これにより、第1ヒンジ部20からの放射電磁波が打ち消されることがほぼ無くなり、第1ヒンジ部20における放射効率が上がり高効率なアンテナ性能が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転2軸構造の携帯無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3つの筐体から成り、その第1筐体(下筐体)と第2筐体との間に第1ヒンジ部が設けられるとともに、第2筐体と第3筐体(上筐体)との間の第2ヒンジ部が設けられた回転2軸構造の携帯無線機が開発されている(例えば、特許文献1参照)。図7は、従来の一般的な回転2軸構造の携帯無線機の概観を示す斜視図であり、同図の(a)は開いた状態を示し、(b)は開いた状態で更に第3筐体103を略90度回転させた状態を示している。
【0003】
第1ヒンジ部110は、第1筐体101と第2筐体102を回動自在に連結して第2筐体102の前後方向の回動(図7の(a)参照)を可能にしている。第2ヒンジ部111は、第2筐体102と第3筐体103を回動自在に連結して第3筐体103の左右方向の回動(図7の(b)参照)を可能にしている。第2ヒンジ部111は、第2筐体102と第3筐体103との回転トルクに耐え得るように筐体幅方向に長くした構造となっている。第1ヒンジ部110及び第2ヒンジ部111には金属製のものが使用され、第1ヒンジ部110はアンテナとして用いられる。なお、ヒンジ部に金属製のものを使用してそれをアンテナとして構成するようにしたものとして、例えば特許文献2で開示された携帯無線機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−019808号公報
【特許文献2】特開2009−094860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の回転2軸構造の携帯無線機は、第2筐体と第3筐体との回転トルクに耐え得るように第2ヒンジ部の固定部を長く構成しているため、アンテナとして動作する第1ヒンジ部との間のクリアランスを大きくとることができず、アンテナ性能が劣化するという課題がある。この課題について以下に詳細に説明する。
【0006】
図8は、図7に示す携帯無線機100の第1筐体101と第2筐体102との接続部分を示す図であり、同図の(a)は図7に示すX,Y,Zの3軸方向のうち、Z軸方向(第1筐体101から第2筐体102に向かう方向)から見た図、(b)はX軸方向(第1筐体101と第2筐体102の裏面側から正面側に向かう方向)から見た図である。第2ヒンジ部111には、これを第2筐体102に固定するための保持部111Aと、第3筐体103に固定するための保持部111Bを有している。保持部111Aは、第1ヒンジ部110のある側の第1保持部111Aaと、第1ヒンジ部110のない側の第2保持部111Abとから構成され、保持部111Bは、第1ヒンジ部110のある側の第3保持部111Baと、第1ヒンジ部110のない側の第4保持部111Bbとから構成される。第2ヒンジ部111の円筒部111C内を接続ケーブル113が通過し、同ケーブル113の一端が第1筐体101内の回路基板(図示略)に接続され、他端が第3筐体103内の回路基板(図示略)に接続される。
【0007】
第2ヒンジ部111の第1保持部111Aaが第1ヒンジ部110に接近していることから、第1ヒンジ部110にアンテナ電流Iaが流れた場合に、その逆方向の電流Ibが接続ケーブル113を通って第2ヒンジ部111の第1保持部111Aaに流れる。これにより、第1ヒンジ部110から放射される電磁波と第2ヒンジ部111の第1保持部111Aa(接続ケーブル113も含む)から放射される電磁波とが打ち消し合い、第1ヒンジ部110からの電磁波の放射効率が劣化する。すなわち、アンテナ性能が劣化する。このように第2ヒンジ部111の第1保持部111Aaと第1ヒンジ部110との間のクリアランスを大きくとることができないため、高いアンテナ性能が得られない。
【0008】
一方、上述した特許文献1で開示された携帯無線機は、筐体構造として回転2軸構造を採る以外に、平衡アンテナの2つのアンテナ素子を筐体厚み方向に段違いに配置してアンテナ性能の平準化を図った構造を採っており、アンテナ素子を専用部品として設けていることから、装置としての小型化が困難である。
【0009】
また、上述した特許文献2で開示された携帯無線機は、2つ筐体を回動自在に接続するヒンジに金属製のものを使用し、これをアンテナ素子として活用して小型化を図っているが、筐体構造として1軸折畳み構造を採るものであり、特に回転2軸型でのアンテナ性能改善については触れられていない。
【0010】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、筐体構造として回転2軸構造を採るとともに、第1筐体と第2筐体を回動可能に接続するヒンジ部をアンテナとして使用しても高効率なアンテナ性能が得られる携帯無線機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の携帯無線機は、第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを回動自在に連結する第1ヒンジ部と、第3筐体と、前記第2筐体と前記第3筐体とを回転自在に連結する第2ヒンジ部と、前記第2ヒンジ部を前記第2筐体に固定する保持部のうち、前記第1ヒンジ部のある側の第1保持部と、前記第2ヒンジ部を前記第2筐体に固定する保持部のうち、前記第1ヒンジ部のない側の第2保持部と、前記第1筐体に設けられた回路基板と、前記回路基板上に配置された無線部と、を備え、前記第1ヒンジ部は前記無線部と電気的に接続され、前記第1保持部は前記第2保持部より短いことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、第2ヒンジ部の保持部のうち、第1ヒンジ部のある側の第1保持部を第1ヒンジ部のない側の第2保持部より短くしたので、第1ヒンジ部との間のクリアランスを大きくとることができる。これにより、第1ヒンジ部から放射される電磁波が打ち消されることがほぼ無くなり、第1ヒンジ部における放射効率が上がる。すなわち、高効率なアンテナ性能が得られる。
【0013】
本発明の携帯無線機は、第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを回動自在に連結する第1ヒンジ部と、第3筐体と、前記第2筐体と前記第3筐体とを回転自在に連結する第2ヒンジ部と、前記第2ヒンジ部を前記第2筐体に固定する保持部のうち、前記第1ヒンジ部のある側の第1保持部と、前記第2ヒンジ部を前記第2筐体に固定する保持部のうち、前記第1ヒンジ部のない側の第2保持部と、前記第1筐体に設けられた回路基板と、前記回路基板上に配置された無線部と、を備え、前記第1ヒンジ部は前記無線部と電気的に接続され、前記第1保持部を前記第2筐体内で前記第1ヒンジ部から離隔するように無線機長手方向に移動して設けたことを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、第2ヒンジ部の保持部のうち、第1ヒンジ部のある側の第1保持部を第2筐体内で第1ヒンジ部から離隔するように無線機長手方向に移動して設けるようにしたので、第1ヒンジ部との間のクリアランスを大きくとることができる。これにより、第1ヒンジ部から放射される電磁波が打ち消されることがほぼ無くなり、第1ヒンジ部における放射効率が上がる。すなわち、高効率なアンテナ性能が得られる。
【0015】
本発明の携帯無線機は、第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを回動自在に連結する第1ヒンジ部と、第3筐体と、前記第2筐体と前記第3筐体とを回転自在に連結する第2ヒンジ部と、前記第2ヒンジ部を前記第2筐体に固定する保持部のうち、前記第1ヒンジ部のある側の第1保持部と、前記第2ヒンジ部を前記第2筐体に固定する保持部のうち、前記第1ヒンジ部のない側の第2保持部と、前記第1筐体に設けられた回路基板と、前記回路基板上に配置された無線部と、を備え、前記第1ヒンジ部は前記無線部と電気的に接続され、前記第1保持部を前記第2筐体内で前記第1ヒンジ部から離隔するように無線機厚み方向に移動して設けたことを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、第2ヒンジ部の保持部のうち、第1ヒンジ部のある側の第1保持部を第2筐体内で第1ヒンジ部から離隔するように無線機厚み方向に移動して設けるようにしたので、第1ヒンジ部との間のクリアランスを大きくとることができる。これにより、第1ヒンジ部から放射される電磁波が打ち消されることがほぼ無くなり、第1ヒンジ部における放射効率が上がる。すなわち、高効率なアンテナ性能が得られる。
【0017】
上記構成において、前記第1ヒンジ部は押下されるボタン部を搭載し、前記ボタン部の押下により回動動作を行う機構を備えたことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、第1ヒンジ部にあるボタン部を押下することで、自動的に第1筐体と第2筐体を含む第3筐体を開くことができる。
【0019】
上記構成において、前記第2ヒンジ部は前記第3筐体に設けられた第2回路基板とリアクタンス素子を介して接続されたことを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、インピーダンスの低い経路を構築することで第1ヒンジ部側への電流分散を低減でき、アンテナ性能を改善できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、筐体構造として回転2軸構造を採るとともに、第1筐体と第2筐体を回動可能に接続するヒンジ部をアンテナとして使用しても高効率なアンテナ性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係る携帯無線機の概観を示す斜視図
【図2】図1の携帯無線機の第1筐体と第2筐体との接続部分の構成を示す図
【図3】本発明の実施の形態2に係る携帯無線機の第1筐体と第2筐体との接続部分の概略構成を示す図
【図4】本発明の実施の形態3に係る携帯無線機の第1筐体と第2筐体との接続部分の概略構成を示す図
【図5】本発明の実施の形態4に係る携帯無線機の第1筐体と第2筐体との接続部分の概略構成を示す図
【図6】本発明の実施の形態5に係る携帯無線機の第1筐体と第2筐体との接続部分の概略構成を示す図
【図7】従来の回転2軸構造の携帯無線機の概観を示す斜視図
【図8】図7の従来の携帯無線機の第1筐体と第2筐体との接続部分の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯無線機の概観を示す斜視図であり、第3筐体を略90度回転させた状態を示している。同図に示すように、本実施の形態の携帯無線機1は、下筐体である第1筐体10と、第2筐体11と、上筐体である第3筐体12とを備える。第1筐体10と第2筐体11との間にはこれらの筐体10,11を回動自在に連結する第1ヒンジ部20が配置されており、第2筐体11の前後方向の回動を可能にしている。また、第2筐体11と第3筐体12との間にはこれらの筐体11,12を回動自在に連結する第2ヒンジ部21が配置されており、第3筐体12の左右方向の回動を可能にしている。第1ヒンジ部20と第2ヒンジ部21には金属製のものが使用され、特に第1ヒンジ部20はアンテナとして用いられる。
【0025】
図2は、図1に示す携帯無線機1の第1筐体10と第2筐体11との接続部分の構成を示す図であり、(a)は図1に示すX,Y,Zの3軸方向のうち、Z軸方向(第1筐体10から第2筐体11に向かう方向)から見た図、(b)はX軸方向(第1筐体10と第2筐体11の裏面側から正面側に向かう方向)から見た図である。
【0026】
第1筐体10には回路基板30が設けられており、回路基板30上に無線部31が配置されている。第1ヒンジ部20は無線部31に電気的に接続されており、アンテナとして動作する。第2筐体11と第3筐体12を回動自在に連結する第2ヒンジ部21は、第2筐体11に固定するための保持部211Aと、第3筐体12に固定するための保持部211Bと、両端の一方に保持部211Aが接続され、他方に保持部211Bが接続される円筒部211Cとを有している。
【0027】
第2ヒンジ部21の保持部211Aは、第1ヒンジ部20のある側の第1保持部211Aaと、第1ヒンジ部20のない側の第2保持部211Abとから構成される。第2ヒンジ部21の保持部211Bは、第1ヒンジ部20のある側の第3保持部211Baと、第1ヒンジ部20のない側の第4保持部211Bbとから構成される。第2ヒンジ部21の円筒部211Cには、第1筐体10に設けられた回路基板30と第3筐体12に設けられた回路基板40を電気的に接続するための接続ケーブル213が通される。
【0028】
本実施の形態の携帯無線機1では、第2ヒンジ部21を第2筐体11に固定する保持部211Aのうち、第1ヒンジ部20のある側の第1保持部211Aaの長さを第1ヒンジ部20のない側の第2保持部211Abより短くして、保持部211Aと第1ヒンジ部20との間のクリアランスを大きくとるようにしている。このように構成することで、第1ヒンジ部20にアンテナ電流を流しても、接続ケーブ213及び第2ヒンジ部21の第1保持部211Aa上にはアンテナ電流が殆ど流れないため、第1ヒンジ部20から放射される電磁波と第2ヒンジ部21の第1保持部211Aa(接続ケーブル213も含む)から放射される電磁波とが打ち消し合うことがなくなり、第1ヒンジ部20からの電磁波の放射効率が劣化せず、高効率なアンテナ性能が得られる。
【0029】
このように実施の形態1の携帯無線機1によれば、第2ヒンジ部21の保持部211Aのうち、第1ヒンジ部20のある側の第1保持部211Aaを第1ヒンジ部20のない側の第2保持部211Abより短くして第1ヒンジ部20との間のクリアランスを大きくとるようにしたので、第1ヒンジ部20からの放射電磁波が打ち消されることがほぼ無くなり、第1ヒンジ部20における放射効率が上がり高効率なアンテナ性能が得られる。
【0030】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係る携帯無線機の第1筐体と第2筐体との接続部分の概略構成を示す図である。なお、同図において前述した図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0031】
図3の(a)は図1に示すX,Y,Zの3軸方向のうち、Z軸方向(第1筐体10から第2筐体11に向かう方向)から見た図、(b)はX軸方向(第1筐体10と第2筐体11の裏面側から正面側に向かう方向)から見た図である。
【0032】
前述した実施の形態1の携帯無線機1は、第2ヒンジ部21の保持部211Aのうち、第1ヒンジ部20のある側の第1保持部211Aaを第1ヒンジ部20のない側の第2保持部211Abより短くして第1ヒンジ部20との間のクリアランスを大きくとるようにしたが、本実施の形態の携帯無線機2は、第2ヒンジ部21の第1保持部211Daを、第2筐体11内で第1ヒンジ部20から離隔するように無線機長手方向(−Z軸方向)に移動して設けて第1ヒンジ部20との間のクリアランスを大きくとるようにしている。このように構成することで、第1ヒンジ部20にアンテナ電流を流しても、接続ケーブル213及び第2ヒンジ部21の第1保持部211Da上にはアンテナ電流が殆ど流れないため、第1ヒンジ部20から放射される電磁波と第2ヒンジ部21の第1保持部211Da(接続ケーブル213も含む)から放射される電磁波とが打ち消し合うことがなくなり、第1ヒンジ部20からの電磁波の放射効率が劣化せず、高効率なアンテナ性能が得られる。
【0033】
このように実施の形態2の携帯無線機2によれば、第2ヒンジ部21の保持部211Dのうち、第1ヒンジ部20のある側の第1保持部211Daを第2筐体11内で第1ヒンジ部20から離隔するように無線機長手方向に移動して設けて第1ヒンジ部20との間のクリアランスを大きくとるようにしたので、第1ヒンジ部20からの放射電磁波が打ち消されることがほぼ無くなり、第1ヒンジ部20における放射効率が上がり高効率なアンテナ性能が得られる。
【0034】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3に係る携帯無線機の第1筐体と第2筐体との接続部分の概略構成を示す図である。なお、同図において前述した図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0035】
図4の(a)は図1に示すX,Y,Zの3軸方向のうち、Z軸方向(第1筐体10から第2筐体11に向かう方向)から見た図、(b)はX軸方向(第1筐体10と第2筐体11の裏面側から正面側に向かう方向)から見た図である。
【0036】
前述した実施の形態1の携帯無線機1は、第2ヒンジ部21の保持部211Aのうち、第1ヒンジ部20のある側の第1保持部211Aaを第1ヒンジ部20のない側の第2保持部211Abより短くして第1ヒンジ部20との間のクリアランスを大きくとるようにしたが、本実施の形態の携帯無線機3は、第2ヒンジ部21の第1保持部211Eaを、第2筐体11内で第1ヒンジ部20から離隔するように無線機厚み方向(X軸方向)に移動して設けて第1ヒンジ部20との間のクリアランスを大きくとるようにしている。このように構成することで、第1ヒンジ部20にアンテナ電流を流しても、接続ケーブ213及び第2ヒンジ部21の第1保持部211E上にはアンテナ電流が殆ど流れないため、第1ヒンジ部20から放射される電磁波と第2ヒンジ部21の第1保持部211Ea(接続ケーブル213も含む)から放射される電磁波とが打ち消し合うことがなくなり、第1ヒンジ部20からの電磁波の放射効率が劣化せず、高効率なアンテナ性能が得られる。
【0037】
このように実施の形態3の携帯無線機3によれば、第2ヒンジ部21の保持部211Eのうち、第1ヒンジ部20のある側の第1保持部211Eaを第2筐体11内で第1ヒンジ部20から離隔するように無線機厚み方向に移動して設けて第1ヒンジ部20との間のクリアランスを大きくとるようにしたので、第1ヒンジ部20からの放射電磁波が打ち消されることがほぼ無くなり、第1ヒンジ部20における放射効率が上がり高効率なアンテナ性能が得られる。
【0038】
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4に係る携帯無線機の第1筐体と第2筐体との接続部分の概略構成を示す図である。なお、同図において前述した図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0039】
図5の(a)は図1に示すX,Y,Zの3軸方向のうち、Z軸方向(第1筐体10から第2筐体11に向かう方向)から見た図、(b)はX軸方向(第1筐体10と第2筐体11の裏面側から正面側に向かう方向)から見た図である。
【0040】
本実施の形態の携帯無線機4は、前述した実施の形態1の携帯無線機1と同様に、第2ヒンジ部21の保持部211Aのうち、第1ヒンジ部20のある側の第1保持部211Aaを第1ヒンジ部20のない側の第2保持部211Abより短くしている。それに加えて、ボタン部20A1の押下により回動動作を行う機構を備えた第1ヒンジ部20Aを有するとともに、第3筐体12内の液晶表示器41の下端と第1ヒンジ部20Aとの間の距離dを少なくとも使用周波数(例えば800MHz)の1/20波長以上にしている。第1ヒンジ部20Aの具体的な構造は省略するが、回動動作を行う機構を備えることで、第1ヒンジ部20Aの形状が前述した第1ヒンジ部20より大きくなっている。形状が大きくなることでアンテナ性能の向上が図れる。また、第3筐体12内の液晶表示器41の下端と第1ヒンジ部20Aとの間の距離dを少なくとも使用周波数の1/20波長以上にすることで、液晶表示器41による影響を少なくでき、このことからもアンテナ性能の向上が図れる。
【0041】
このように実施の形態4の携帯無線機4によれば、ボタン部20A1の押下により回動動作を行う機構を備えた第1ヒンジ部20Aを有するとともに、第3筐体12内の液晶表示器41の下端と第1ヒンジ部20Aとの間の距離dを少なくとも使用周波数(例えば800MHz)の1/20波長以上にしたので、第1ヒンジ部20のある側の第1保持部211Aaと第1ヒンジ部20との間のクリアランスを大きくとること以上にアンテナ性能の向上が図れる。
【0042】
なお、本実施の形態では、実施の形態1と組み合わせたものであるが、実施の形態2及び実施の形態3のいずれか1つと組み合わせることも勿論可能である。
【0043】
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5に係る携帯無線機の第1筐体と第2筐体との接続部分の概略構成を示す図である。なお、同図において前述した図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0044】
図6の(a)は図1に示すX,Y,Zの3軸方向のうち、Z軸方向(第1筐体10から第2筐体11に向かう方向)から見た図、(b)はX軸方向(第1筐体10と第2筐体11の裏面側から正面側に向かう方向)から見た図である。
【0045】
本実施の形態の携帯無線機5は、前述した実施の形態1の携帯無線機1と同様に、第2ヒンジ部21の保持部211Aのうち、第1ヒンジ部20のある側の第1保持部211Aaを第1ヒンジ部20のない側の第2保持部211Abより短くしている。それに加えて、コイルやコンデンサ等のリアクタンス素子50を用いて、第2ヒンジ部21を第3筐体12内の回路基板40のグランドパターンに接続するようにしている。回路基板40への接続位置は、第1ヒンジ部20側以外であればどの位置でもよい。このように、インピーダンスが低い経路を構築することで、第1ヒンジ部20側の電流分散を低減でき、アンテナ性能を改善できる。
【0046】
このように実施の形態5の携帯無線機5によれば、リアクタンス素子50を用いて、第2ヒンジ部21と第3筐体12内の回路基板40のグランドパターンを接続するようにしたので、第1ヒンジ部20のある側の第1保持部211Aaと第1ヒンジ部20との間のクリアランスを大きくとること以上にアンテナ性能の向上が図れる。
【0047】
なお、リアクタンス素子50を用いることなく、第2ヒンジ部21と第3筐体12内の回路基板40のグランドパターンを直接接続するようにしてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、実施の形態1と組み合わせたものであるが、実施の形態2〜実施の形態4のいずれか1つと組み合わせることも勿論可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、筐体構造として回転2軸構造を採るとともに、第1筐体と第2筐体を回動可能に接続するヒンジ部をアンテナとして使用しても高効率なアンテナ性能が得られるといった効果を有し、携帯電話やPHS(Personal Handy-Phone System)等の携帯無線機への適用が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1、2、3、4、5 携帯無線機
10 第1筐体
11 第2筐体
12 第3筐体
20、20A 第1ヒンジ部
20A1 ボタン部
21 第2ヒンジ部
30、40 回路基板
31 無線部
41 液晶表示器
50 リアクタンス素子
211A、211B、211D、211E 保持部
211Aa、211Da、211Ea 第1保持部
211Ab、211Db、211Eb 第2保持部
211Ba 第3保持部
211Bb 第4保持部
211C 円筒部
213 接続ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを回動自在に連結する第1ヒンジ部と、
第3筐体と、
前記第2筐体と前記第3筐体とを回転自在に連結する第2ヒンジ部と、
前記第2ヒンジ部を前記第2筐体に固定する保持部のうち、前記第1ヒンジ部のある側の第1保持部と、
前記第2ヒンジ部を前記第2筐体に固定する保持部のうち、前記第1ヒンジ部のない側の第2保持部と、
前記第1筐体に設けられた回路基板と、
前記回路基板上に配置された無線部と、を備え、
前記第1ヒンジ部は前記無線部と電気的に接続され、
前記第1保持部は前記第2保持部より短いことを特徴とする携帯無線機。
【請求項2】
第1筐体と、
第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを回動自在に連結する第1ヒンジ部と、
第3筐体と、
前記第2筐体と前記第3筐体とを回転自在に連結する第2ヒンジ部と、
前記第2ヒンジ部を前記第2筐体に固定する保持部のうち、前記第1ヒンジ部のある側の第1保持部と、
前記第2ヒンジ部を前記第2筐体に固定する保持部のうち、前記第1ヒンジ部のない側の第2保持部と、
前記第1筐体に設けられた回路基板と、
前記回路基板上に配置された無線部と、を備え、
前記第1ヒンジ部は前記無線部と電気的に接続され、
前記第1保持部を前記第2筐体内で前記第1ヒンジ部から離隔するように無線機長手方向に移動して設けたことを特徴とする携帯無線機。
【請求項3】
第1筐体と、
第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを回動自在に連結する第1ヒンジ部と、
第3筐体と、
前記第2筐体と前記第3筐体とを回転自在に連結する第2ヒンジ部と、
前記第2ヒンジ部を前記第2筐体に固定する保持部のうち、前記第1ヒンジ部のある側の第1保持部と、
前記第2ヒンジ部を前記第2筐体に固定する保持部のうち、前記第1ヒンジ部のない側の第2保持部と、
前記第1筐体に設けられた回路基板と、
前記回路基板上に配置された無線部と、を備え、
前記第1ヒンジ部は前記無線部と電気的に接続され、
前記第1保持部を前記第2筐体内で前記第1ヒンジ部から離隔するように無線機厚み方向に移動して設けたことを特徴とする携帯無線機。
【請求項4】
前記第1ヒンジ部は押下されるボタン部を搭載し、前記ボタン部の押下により回動動作を行う機構を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の携帯無線機。
【請求項5】
前記第2ヒンジ部は前記第3筐体に設けられた第2回路基板とリアクタンス素子を介して接続されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の携帯無線機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−244146(P2011−244146A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113356(P2010−113356)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】