説明

携帯用医療機器と携帯用医療機器を用いたデータ送信システム

【課題】使用機器が、血糖測定データを表示する或は保存してデータベースとする管理用コンピュータと通信可能範囲にあることを使用者に知らしめ、測定履歴データを確実に管理用コンピュータに送信することにより、確実に履歴データを取り込み利用することができる携帯用医療機器とそのデータ送信システムを提供すること。
【解決手段】持ち運び可能な程度に軽量小型の携帯用医療機器10であって、携帯用医療機器が管理用コンピュータ40により管理されており、前記管理用コンピュータの通信部41と無線通信可能な通信可能な通信部51を備えているとともに、前記携帯用医療機器には音による報知部32が内蔵されていて、前記管理用コンピュータと前記携帯用医療機器とが前記無線通信可能な範囲にある状態において、前記報知部32を鳴動させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として医療施設内等で患者の治療や検査に用いる携帯用医療機器と、その携帯用医療機器を用いたデータ送信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や自宅において、患者の体温や血圧や血糖値等の生体データを測定する携帯用医療機器が種々使用されている。
例えば、糖尿病患者においては、患者自らが血糖値を1日に数回測定して自己管理し、さらに、適切な治療を受けるために病院等に定期的に通院している。このように、糖尿病患者が自己血糖測定を行なうために、持ち運びに便利で、正確に血糖値を測ることができる装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−318928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この血糖値測定器では、発色試薬を担持した試験紙に検体成分を染み込ませて、パルス光の照射により測色して反射光の強度差から正確に成分を検出するようになされ、全体にコンパクトであって、持ち運ぶのに好適である。また、この血糖値測定器は過去に測定した血糖測定データを収納しており、この履歴データを用いて血糖値の推移をグラフ化することで医師が患者への指導に用いることができる。
【0005】
血糖測定データを利用するために、汎用端末(PC=パーソナルコンピュータ)に当該データを取り込む必要がある。この作業は従来、シリアルケーブルやUSBケーブルを用いて行っているが、省力化のために測定データを汎用端末に非接触ICカード通信等の近接無線通信で送信する試みがなされている。
【0006】
しかしながら、例えば、近接無線通信装置を搭載した血糖値測定器を汎用端末に設けたリーダ/ライタに近づけて通信する上で、通信中に誤ってあるいは不意に通信可能範囲から外れてしまうことが想定され、その場合、汎用端末へのデータの伝送が途中で切れてしまい、データ伝送が完結しないまま、操作者はデータ伝送が完結したと誤解してしまう事態も考えられる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、使用機器が、血糖測定データを表示する或は保存してデータベースとする管理用コンピュータと通信可能範囲にあることを使用者に知らしめ、測定履歴データを確実に管理用コンピュータに送信することにより、確実に履歴データを取り込み利用することができる携帯用医療機器とそのデータ送信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明にあっては、手持ち式の携帯用医療機器であって、該携帯用医療機器の検査・測定データを管理する管理用コンピュータの通信部と無線通信可能な通信部と、音による報知部とを有し、前記管理用コンピュータと前記携帯用医療機器とが無線通信可能な範囲にある状態において、前記報知部を鳴動させる構成とした携帯用医療機器により、達成される。
上記構成によれば、前記管理用コンピュータと前記携帯用医療機器とが無線通信可能な範囲にある状態では、ブザー等が鳴動しているので、その間は、携帯用医療機器にて測定されたデータは確実に管理用コンピュータに送信できる。このため、使用者は、管理用コンピュータのリーダライタ等の通信部から携帯用医療機器が位置ずれしてしまった場合等においては、すぐそのことに気付くので、管理用コンピュータに確実にデータを送ることができる。
【0009】
上記課題は、本発明にあっては、手持ち式の携帯用医療機器と、該携帯用医療機器の検査・測定データが入力されることによりデータ管理を行う管理用コンピュータとからなるデータ送信システムであって、前記携帯用医療機器と前記管理用コンピュータとは互いに無線通信可能な通信部をそれぞれ備えているとともに、前記携帯用医療機器には音による報知部が内蔵されていて、前記管理用コンピュータと前記携帯用医療機器とが前記無線通信可能な範囲にある状態において、前記報知部を鳴動させる構成とした携帯用医療機器のデータ送信システムにより、達成される。
上記構成によれば、例えば、使用者である患者が、携帯用医療機器に測定データを保存した状態で診療所を訪れることにより、診察時に当該携帯用医療機器を診療所の管理用コンピュータと、持参した携帯用医療機器とで無線通信することにより、保存されている測定データを管理用コンピュータに送ることができる。
この場合、前記管理用コンピュータと前記携帯用医療機器とが前記無線通信可能な範囲にある状態では、ブザー等が鳴動しているので、その間は、携帯用医療機器にて測定されたデータは確実に管理用コンピュータに送信できる。このため、医療従事者等の使用者は、管理用コンピュータのリーダライタ等の通信部から当該携帯用医療機器が位置ずれしてしまった場合等においては、すぐそのことに気付くので、管理用コンピュータに確実にデータを送ることができる。
【0010】
好ましくは、前記各通信部による無線通信が近接無線通信であることを特徴とする。
上記構成によれば、携帯用医療機器を管理用コンピュータに近づけるだけでデータを送信することができる。
【0011】
好ましくは、前記管理用コンピュータは、測定データを全て受領した場合に前記携帯用医療機器にその旨連絡し、当該連絡を受けて携帯用医療機器は前記報知部の鳴動を終了する構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、携帯用医療機器では、データ送信が終了すると通信部を切ることができ、無用なバッテリ消費を有効に防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、使用機器が、血糖測定データを表示する或は保存してデータベースとする管理用コンピュータと通信可能範囲にあることを使用者に知らしめ、測定履歴データを確実に管理用コンピュータに送信することにより、確実に履歴データを取り込み利用することができる携帯用医療機器とそのデータ送信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態にかかるデータ送信システムのイメージ構成図を示す。
【図2】図1のデータ送信システムに使用する携帯用医療機器としての携帯用血糖値測定器のブロック構成図を示す。
【図3】図1のデータ送信システムのブロック構成図を示す。
【図4】図1のデータ送信システムにおけるデータ送信の一例を示すタイムチャートを示す。
【図5】図1のデータ送信システムで使用する携帯用医療機器の動作例を説明するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態にかかる携帯用医療機器のデータ送信システムのイメージ構成図である。
図において、データ送信システムは、持ち運び可能な程度に軽量小型の携帯用医療機器としての例えば携帯用血糖値測定器10と、該携帯用血糖値測定器10の検査・測定データが入力されることによりデータ管理を行う管理用コンピュータ40とを備えており、携帯用血糖値測定器10には、後述する通信部が内蔵されている。
管理用コンピュータ40は、例えば診療所等に置かれている汎用の情報処理端末であり例えば、診療所で使用されるパーソナルコンピュータである。管理用コンピュータ40には、近接通信用の通信部41として例えばリーダ/ライタが設けられていて、図示するように携帯用血糖値測定器10を近づけると、携帯用血糖値測定器10に保持された測定データ等を近接無線通信で受け取ることができる。
【0016】
図1の携帯用血糖値測定器10は、一方向にやや長い形態の本体11を有しており、その上面の中央付近には、後述する表示部29である液晶画面が配置されており、該表示部29に隣接して、後述する操作部20を構成する各操作ボタンが配置されている。
この携帯用血糖測定器10の先端には、光学測定部14が設けられている。この光学測定部14には、図示しない測定チップがイジェクトレバー13を操作することにより着脱されるようになっている。該測定チップには、ポリエーテルサルホン等の多孔膜等でできた試験紙が内蔵されている。
【0017】
ここで、例えば、測定対象者の指先を図示しない穿刺具等で刺して、血をしみ出させ、上記した測定チップに吸収させる。この血液は試験紙に担持された試薬と反応して発色する。光学測定部14に内蔵した発光素子(後述)が予めパルス駆動されており、試験紙からの反射光を内蔵の受光素子に導き、そのアナログの受光信号をディジタル変換し、所定時間後の信号を血糖値に変換して表示部29に表示させるようにしている。
本体11の他端にはバーコードリーダ18が設けられている。
【0018】
操作部20の操作ボタンは、複数形成されており、電源ボタン17aと、上スクロールボタン16a、確定ボタン16b、下スクロールボタン16c、次画面ボタン15b、画面戻りボタン15aをそなえている。
【0019】
図2を参照して携帯用血糖値測定器の内部構成についてさらに説明する。
バスラインB1に対して、接続されて、以下のような各電気的構成が形成されている。
バスラインB1に接続された制御部としてのCPU(Central Processing Unit)が設けられており、所定のプログラムの処理を行う他、バスラインB1に接続されたRAM(Random Access Memory)123、ROM(Read Only Memory)22、EPROM124もしくはハードディスク等の記憶装置を制御できるようにされている。ROM22は、各種プログラムや各種情報等を格納している。RAMは、メモリ内に使用プログラムを展開し、処理中のメモリの内容を対比したり、プログラムを実行するためのエリアとしての機能を有する。EPROM124は、消去、書込み可能なROM(不揮発性ストレージ)であり、使用者テーブル、チップロットテーブル、処方情報テーブル、測定処方テーブル、測定処方結果テーブル等が格納されている。EPROM124は、フラッシュメモリ等の他の記憶手段を用いることができることは勿論である。これらのデータは図3で説明するようにして、管理用コンピュータ40と通信することにより更新することができる。
【0020】
携帯用血糖値測定器10では、上述したようにして測定チップ(図示せず)から入力されるデータについては、温度データを得るサーミスタ36と光学測定部14を構成する例えば、発光ダイオード34とその駆動回路33と、この駆動回路に接続されるディジタル―アナログ変換器31と、受光部としての受光素子35と、この受光素子に接続されたアナログ―ディジタル変換器132とを用いて取得するようになっている。
【0021】
さらに、バスラインB1には、バーコードリーダ18と、リアルタイムクロック127と、液晶表示装置などでなる表示部29と、音による報知部として、例えばブザー32が接続されるとともに、電源17と、管理用コンピュータ40との通信部(外部通信部)51とが接続されている。
図3は、データ送信システム全体のブロック構成図である。
図3において、データ送信システム50は、上記した携帯用血糖値測定器である携帯用医療機器10と、この携帯用医療機器10から処置・検査データの送信を受ける管理用コンピュータ40とを含んでいる。
ここで、管理用コンピュータ40は、上記したように医院や診療所に配置されているパーソナルコンピュータなどで構成されている。
管理用コンピュータ40は、CPUを中心としたコンピュータ本体である制御部44を備え、ROMとRAM47、ハードディスク等のデータ蓄積用記憶装置46および図示しないキーボードや入力パッドなどの入力手段と、出力手段としての液晶画面などでなる表示部49、二次電池等でなる駆動電源48等を有している。
記憶部46には、後述する携帯用医療機器10から送られてくる検査・測定の結果による測定データを収集・加工するための専用プログラムが格納されている。
さらに、通信回路でなる外部通信部43を介して、制御部44に接続された通信部41を備えている。
【0022】
通信部41は、近距離無線通信、好ましくは、ISO15693やFeliCa(登録商標)による磁気結合通信等、あるいは、赤外線通信のうちIrDA(Infrared Data Association)(通信距離0.3ないし1m)を利用したものが適している。これらは、消費電力が少なく、対象とする携帯用医療機器に近づけることで、通信可能範囲に入ると、容易に通信可能とすることができるからである。この実施形態では磁気結合通信による場合を説明する。
通信部41は、所謂リーダライタであり、携帯用医療機器10側の通信部である内蔵された非接触ICタグとの間で磁界による近距離通信を行い、情報の読み出しと書込みをすることができる。
【0023】
通信部41は、例えば、ループアンテナ71と、該ループアンテ71が受信する信号を復調する復調部72と、復調したデータをインターフェイス43を介して、制御部44に送る構成となっている。
さらに、通信部41は、発振器74により生成された搬送波を変調部73に与え、変調部73は、変調後の信号をループアンテナ71から輻射する。ループアンテナ73は所定の電磁波を輻射し、それに対する負荷の変化に基づいて、非接触ICタグでなる通信部51(携帯用医療機器10)が通信可能範囲に入ったことを検出するようになっている。管理用コンピュータ40の第1の通信部41に対するデータ転送に使用される周波数帯域の中心周波数は、13.56メガヘルツ、通信距離は半径10センチ程度である。
【0024】
図3を参照しながら、携帯用医療機器10の通信部を中心とした機能ブロックの構成を説明する。
図示されている構成を備えることにより、図1、図2で説明した携帯用血糖値測定器だけでなく、血圧計や体温計等の携帯用医療機器に本発明を適用することができることが理解される。携帯用医療機器10は、図2で説明したCPU21を中心としたコンピュータである制御部24を備えている。
制御部24には、該制御部の一部として、あるいは制御部24の指示により駆動される機構部や記憶装置の一部として、当該携帯用医療機器10を使用した処置や検査に当たり、医療従事者などから与えられる処方データを保持する処方記録部25と、各携帯用医療機器の種類毎に独自に備える治療や検査機能を実現するための処置・検査実行部27と、個別の携帯用医療機器を識別するためのID28と、測定結果等を一時格納保持しておく記憶部の一部としての処置・検査記録部26、表示パネル等の表示部29、駆動電力を供給するための二次電池等でなる電源部17、音による報知部の一例としてのブザー32等を備えている。
ブザー32は、機器のエラーを知らせる警報として利用してもよいが、本実施形態では、むしろ、管理用コンピュータ40との測定データの通信範囲に当該携帯用医療機器10が存在している場合に、制御部24の指示により鳴動されて、そのことを使用者に報知するようになっている。
【0025】
さらに、制御部24は、外部とデータのやり取りをするための通信回路を有する外部接続部23を有し、この外部接続部23には内蔵ICタグなどでなる通信部51が接続されている。
通信部51は、管理用コンピュータ40の上記した通信部41との間に信号S1のやり取りをするためのものであり、好ましくは、ISO15693やFeliCa(登録商標)による磁気結合通信等を用いた近距離通信(NFC)さらには、赤外線通信のうちIrDA等を利用するもので、当然管理用コンピュータ40の通信部41と同じ通信方式のものが選択される。
【0026】
具体的には、通信部51は、例えば、外部接続部23と接続されたインターフェイス部83と、該インターフェイス部83と接続されたループアンテナ81とを備えており、インターフェイス部21とループアンテナ81との間にはコンデンサ82が設けられている。ループアンテナ81とコンデンサ80とによりLC回路(共振回路)が形成され、特定周波数の信号を生成し、抽出する。
インターフェイス部21には、ループアンテナ81を介して受信した信号を復調する復調部と、復調した信号を安定化させる電圧レギュレータと、さらに前記復調信号は外部接続部23に伝えられる。電圧レギュレータによる直流電流は各部に与えられる。また、インターフェイス部21には発振器および該発振器による搬送波を利用してループアンテナ81に変調した信号を送出する変調部を内蔵している。
【0027】
かくして、携帯用医療機器10が、管理用コンピュータ40に近接され、管理用コンピュータ40の通信部41が輻射する電磁波が、携帯用医療機器10の通信部51に受信された時、該携帯用医療機器10から、ID28に基づく識別情報が管理用コンピュータ40の通信部41に送られる。
以上より、携帯用医療機器10の通信部51は、管理用コンピュータ40のリーダライタである通信部41に接近し、そこから輻射される13.56メガヘルツの磁界を検知した時に起動される。これにより、後述するようにしてデータ送信が行われる。
【0028】
次に、図4を参照しながら、本実施形態におけるデータ送信システムの動作の一例を説明する。
診療所等の医療機関では、診療時に管理用コンピュータ40を起動して、管理システムであるデータ送信システムを起動する(ST1)。
同時に、コンピュータに外付けするリーダ/ライタ等でなる通信部41(図1参照)をセットし、通信可能な状態とする(ST2)。
【0029】
上記したように管理用コンピュータ40では、通信部41が、図3で説明した、発振器74により生成された搬送波を変調部73に与え、変調部73は、変調後の信号をループアンテナ71から輻射して、所定の磁界を形成し、携帯用血糖値測定器10からの信号を待つ(ST3)。すなわち、上記磁界を形成して信号を出し(T1)、近接した機器が存在しない場合は、応答は無い(T2)。
【0030】
ここで、携帯用医療機器として、例えば携帯用血糖値測定器10を持参した患者が、診察のために来訪し、診察室に入室して、携帯用血糖値測定器10を医療従事者に渡すと、これを管理用コンピュータ40のリーダ/ライタ等でなる通信部41に載せたり、あるいは手に持ってかざしたりして、近接させる(図1参照)(ST11)。
この状態では、管理用コンピュータ40の通信部41からの信号T3は、携帯用血糖値測定器10に内蔵された通信部51のループアンテナ81を介して受信されるので、該通信部51は、応答信号を発し(T4)、通信が開始される(ST11)。すなわち、携帯用血糖値測定器10では、患者が自宅等で血糖値測定した測定データ等を保存しており、それらを管理用コンピュータ40に送信するための送信が開始される(ST13)。このタイミングで、図3の制御部24は、ブザー32を鳴動させる。
ブザー音は、診療室の環境に悪影響を与えないで、かつ医療従事者には、確実に聞こえる音であれば特に制限を受けない。また、ブザー音は、連続音でもよく、あるいは間欠的な音でもよいし、音楽的なメロディー音等聴覚刺激を行う報知であればなんでもよい。
【0031】
ブザー鳴動中は、携帯用血糖値測定器10と管理用コンピュータ40とはデータ通信を行い、携帯用血糖値測定器10に保存された測定履歴データを管理用コンピュータ40に送信する(T6,T7,ST4,ST14)。
管理用コンピュータ40が携帯用血糖値測定器10に保存されていた測定履歴データを全て受領すると、データ通信を終了させるために、データ通信の終了を報知する(T8)。携帯用血糖値測定器10では、当該データ通信の終了の知らせ(T8)を受けると、データ通信を終了し(ST15)、当該通信終了処理(通信部51をオフ)し、ブザー32の鳴動を終了する(ST16)。同時に管理用コンピュータ40においても通信を終了する(ST5)。
【0032】
このように、本実施形態のデータ送信システムでは、携帯用血糖値測定器10から測定履歴データを送信中はブザー音が出されるので、図1において、携帯用血糖値測定器10が通信部(リーダライタ)41に対して位置ずれしたりして、通信範囲を逸脱すると、直ぐに知ることができる。したがって、データ送信の確実性をブザー音で確認できる。
【0033】
図5は、携帯用医療機器10側の動作例を示すフローチャートである。
図において、携帯用医療機器10は、図4で説明したタイミングで、起動され(ST21)(図2(b)参照)、通信開始処理がなされる(ST22)。これは図4のST12と同じ段階である。
ST23における「データ通信開始」「データ通信」「データ通信終了」は、図4におけるST4、あるいはST13、ST14、ST15の説明と同じである。
このような通信処理の終了(ST24、ST25)となるまでの間、すなわち、携帯用医療機器の測定履歴データを送信している間は、ブザーの鳴動により使用者に報知することにより、使用者は、その間、視覚により他の行為、すなわち、患者の「様子を「観察したり、カルテの確認をしたりするという診察に必要な行為自体を邪魔されることなく、携帯用医療機器10が送信可能範囲にあることを聴覚により安心して確認しながら作業することができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、使用機器が、血糖測定データを表示する或は当該データを保存してデータベースとする管理用コンピュータと通信可能範囲にあることを使用者に知らしめ、測定履歴データを確実に管理用コンピュータに送信することにより、確実に履歴データを取り込み利用することができる携帯用医療機器とそのデータ送信システムを提供することができる。
【0035】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。
上述の実施形態では、血糖値測定装置に発明を適用できる点を説明したが、上記各説明から明らかなように、近接通信手段を組み込むことができる携帯用の携帯用医療機器ならば、例えば、血圧計や体温計等あらゆる携帯用の医療機器を本発明の対象とすることができる。
上記実施形態に記載された事項は、その一部を省略してもよいし、上記で説明しない他の構成と組み合わせることによっても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【符号の説明】
【0036】
10・・・携帯用医療機器、32・・・ブザー、40・・・管理用コンピュータ、41・・・通信部、44・・・制御部、51・・・通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式の携帯用医療機器であって、
該携帯用医療機器の検査・測定データを管理する管理用コンピュータの通信部と無線通信可能な通信部と、
音による報知部とを有し、
前記管理用コンピュータと前記携帯用医療機器とが無線通信可能な範囲にある状態において、前記報知部を鳴動させる構成とした
ことを特徴とする携帯用医療機器。
【請求項2】
手持ち式の携帯用医療機器と、
該携帯用医療機器の検査・測定データが入力されることによりデータ管理を行う管理用コンピュータと
からなるデータ送信システムであって、
前記携帯用医療機器と前記管理用コンピュータとは互いに無線通信可能な通信部をそれぞれ備えているとともに、
前記携帯用医療機器には音による報知部が内蔵されていて、
前記管理用コンピュータと前記携帯用医療機器とが前記無線通信可能な範囲にある状態において、前記報知部を鳴動させる構成とした
ことを特徴とする携帯用医療機器のデータ送信システム。
【請求項3】
前記各通信部による無線通信が近接無線通信であることを特徴とする請求項2に記載のデータ送信システム。
【請求項4】
前記管理用コンピュータは、測定データを全て受領した場合に前記携帯用医療機器にその旨連絡し、当該連絡を受けて携帯用医療機器は前記報知部の鳴動を終了する構成としたことを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載のデータ送信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−62471(P2011−62471A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218144(P2009−218144)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】