説明

携帯用品用の機械的衝撃保護手段が設けられた震動装置

【課題】機械的衝撃から保護する手段を含む震動装置を提供すること。
【解決手段】震動装置(1)が、特にサイレント・アラームとして働くように、腕時計などの携帯用品に取り付けられる。この装置は、バネ要素(4)を介して固定構造物(5)に連結され、部分的に磁性構造物によって形成される運動マス(3a、3b、6、15)と、運動マスと機械的接触をせずに固定構造物に連結されるコイル(2)とを含む。バネ要素の一部を形成する部分(4d)が固定構造物に取り付けられる。この一部には振動方向に細長い開口(14)を含み、これが、運動マスの突出要素(16)の案内手段となる。この細長い開口の寸法決めは、運動マスが、震動装置(1)の通常動作モードで、少なくとも所定の最高振幅値まで自由に振動できるようになされる。しかし、この開口部は、運動マスの運動振幅を、所定のやり方で全方向に制限して、震動装置を機械的衝撃から保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計などの携帯用品用の震動装置であって、機械的衝撃から保護する手段を含む装置に関する。この震動装置は、バネ要素によって固定構造物に連結された磁性構造物によって部分的に形成された運動マスと、その運動マスとは機械的接触のない固定構造物に連結されたコイルとを含む。このコイルは、移動マスと電磁的に結合されて、所定周波数の交流電気信号によって起動されると、少なくとも1つの振動方向に移動マスを振動させる。
【背景技術】
【0002】
携帯用品用のこの震動装置は、サイレント・アラームを生成するのに、または震動によって電話の呼び出しを示すのに使用することができる。これを行なうために、その用品を携行する人によって感じることができる低周波震動を作るために、コイルを電気的に作動させて運動マスを作動させなければならない。この震動は使用者に、特定の事象、例えば目覚まし時間、電話呼び出しなどを知らせるように、携帯用品の特定プログラミングに応じて制御することができる。
【0003】
この震動装置は、腕時計、携帯電話、従来型オーガナイザ、ポケットベル、または小型の他の用品などの携帯用品にはめ込むことができる。震動装置は、装置の総質量に対して比較的大きな運動マスを含むので、機械的衝撃から保護しなければならない。その結果、震動装置の運動マスは、取り付けた構造物に対して、衝撃によるあらゆる方向に過大振幅で動くことから保護されなければならない。このような機械的衝撃によって、固定した構造物に連結されたコイルに対して運動マスを保持するバネ要素が、震動装置を瞬時に損傷または破壊することになる座屈または相当な疲労にさらされる可能性がある。
【0004】
小型震動装置の例が、欧州特許第0 625 738号で開示されている。この文書では、震動装置は、強磁性構造の本体に取り付けられた円筒状コイルと、そのコイルの軸と並行の方向に偏極した永久磁石を含む運動マスと、運動マスを強磁性構造に連結する弾性要素とから形成される。この強磁性構造は、コイル軸に対して垂直に方向付けられた電磁励起部分含み、この励起部分は運動マスの両極部である。コイルが交流電気信号によって起動されると、永久磁石を備えたマスは準線形の振動運動を描く。
【0005】
欧州特許第0 625 738号で開示されるこのような装置の1つの欠点は、この装置が衝撃に敏感であるということであり、それは、例えば腕時計などにはめ込まれた震動装置が、その時計を装着する人によって感じることのできる震動を提供できるように、運動マスを大きくしなければならないからである。その結果、その弾性要素は、大きな機械的衝撃中に大きな変形を受け、または破損する可能性がある。
【特許文献1】欧州特許第0 625 738号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の主たる目的は、機械的衝撃から保護する手段を含む震動装置を提供することによって、上述の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、震動装置であって、震動装置の固定部分が、運動マスの一部と協働するように配置されて、運動マスが、少なくとも所定の最高振幅値まで、震動装置の通常の動作モードで自由に振動できるようにし、かつ運動マスの運動振幅を、所定のやり方で全方向に制限して、震動装置を機械的衝撃から保護することを特徴とする装置に関する。
【0008】
本発明による震動装置の1つの利点は、震動装置が、その通常動作中に、特に、運動マスのそれ自体の振動方向以外の方向で、運動マスの運動振幅を制限する保護手段を含むという事実に存在する。さらに、この保護手段は、運動マスの振動方向の運動振幅も、好ましくは、通常動作の運動マスの最高振動振幅値よりも僅かに高い振幅値に制限する。運動マスの運動振幅が限られているので、震動装置のバネ要素を、機械的衝撃による機械的応力(捻り、湾曲)から保護することができる。
【0009】
バネ要素は、固定構造物に固定された基部ストリップと、その基部ストリップと一体の2つのストリップバネとから作られることが好ましい。2つのストリップバネは、基部ストリップに実質的に垂直に、前記基部ストリップの両側に配置される。運動マスは、2つのストリップバネ同士の間で保持され、端部ストリップに固定され、それが両ストリップバネの端部を基部ストリップに連結する。
【0010】
バネ要素はさらに、基部ストリップとの一体部を含み、それは、運動マスの振動方向と並行に基部ストリップの一方側に配置される。それは平坦部であり、基部ストリップに垂直に配置され、基部ストリップが固定される固定構造物の面ととともに振動方向に細長い開口を含む。運動マスから突出する要素が、部分的にその細長い開口を通って配置され、それによって平坦部の細長い開口が、運動マスの突出要素を保護または案内する手段を形成するようになる。
【0011】
開口部の端部は、突出要素用の停止要素の役割を果たして、運動マスの運動を所定の運動振幅に制限し、それが震動装置の1つの利点を構成する。開口部の幅の選択は、開口部を通過する突出要素の一部の厚さよりも大きい寸法であるように、好ましくは、震動装置を保護するために、前記突出要素の一部の厚さの2倍よりは小さな寸法であるようになされる。しかし開口部の長さの選択は、運動マスが、震動装置の通常動作中に、所定の最大振幅までは自由に振動できるようになされる。
【0012】
案内手段が、バネ要素との一体部を形成する平坦部によって形成されるという事実による1つの利点は、装置を保護するためにそれに追加の要素を取り付ける必要がないということである。ストリップと部分が付いた幾つかのバネ要素は、薄板金を延ばして、曲げることによって簡単に作ることができる。このように、震動装置は、作り易く、取り付け易い、かつ運動マスを機械的衝撃から保護する構成要素から形成される。
【0013】
運動マスは、第1突出要素とは反対側の、運動マスの一方側に配置される第2の突出要素を含むことが好ましい。この第2の突出要素は、震動装置がプラットフォームに固定される時、携帯用品の内側プラットフォームの1つの壁に設けた、適切な寸法の案内ハウジング内に位置決めされる。震動装置の案内手段と携帯用品用の案内手段と協働するこれらの突出要素のこうした配置によって、機械的衝撃に対するより充分な保護が、全ての方向で保証される。
【0014】
本発明はまた、上述の震動装置を含み、その震動装置が携帯用品のプラットフォームに固定される腕時計などの携帯用品であって、そのプラットフォームが、震動装置の運動マスの突出要素が収容される案内ハウジングを備えた壁を含み、突出要素が固定構造物とは反対側の運動マスの一方側に配置され、運動マスが、震動装置の通常動作モードで、少なくとも所定の最高振幅値まで自由に振動できるように、かつ震動装置を機械的衝撃から保護するために、運動マスの運動振幅を所定の方法で全方向に制限するようにその案内ハウジングが適切な寸法であることを特徴とする携帯用品にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
携帯用品の震動装置の目的、利点、特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態についての以下の記述から、図面と併せてより明らかになるであろう。
【0016】
震動装置の好ましい実施形態の以下の記述では、この技術分野の当業者によく知られている、震動装置を形成する全ての要素を簡略化した形で説明する。震動装置と装置用駆動回路は、震動装置の運動マスの震動によってサイレント・アラームを提供するように、腕時計などの小型の携帯用品にはめ込まれることが好ましい。
【0017】
図1、2は、腕時計などの携帯用品のケースに取り付けられる震動装置1の好ましい実施形態を示す。この震動装置1は、半分のボイス・コイル震動装置として定義される。これは、震動することによってサイレント・アラームを生成し、または電話呼び出しを指示するのに使用することが好ましい。
【0018】
震動装置1は、環状平坦コイル2を含み、これが、非磁性の固定構造物5の縁部に固定される。コイル2は、1つまたは幾つかの実質的に同軸で隣接している巻きを含む。コイル2の2つの電気的接続端子7が図1で、非磁性構造物5の下側に示されている。一旦震動装置が、携帯用品のプリント回路基板に固定されると、接続端子を対応する金属パッドに溶接することができ、それによって端子を、震動装置1のここに示さない電子駆動回路に接続することができる。
【0019】
震動装置1は、部分的に磁性構造物から成る運動マス3a、3b、6、15をさらに含む。この運動マスは、バネ要素4を使用して、コイルと機械的に接触せずに非磁性構造物5に接続することができ、非磁性構造物5は、以下に説明する、固定部分となる平坦部4dを含み、これが、装置を機械的衝撃から保護するための、運動マス用の案内手段として働く。
【0020】
運動マスの磁性構造は強磁性プレート6を含み、これに2つの隣接し合う永久磁石3a、3bが、磁化の方向を逆向きに、コイルの2つの直径方向両側に向くように固定されている。これらの磁石は、強磁性プレート6内に通じる磁場Bを、コイル平面に垂直のY軸に沿った方向で生成する。
【0021】
コイル2が、例えば連続的な方形電圧パルスである交流電気信号によって起動されると、コイル部分を通過する電流は、Z軸方向に、磁場Bに実質的に垂直となる。その結果、X軸に沿った方向のラプラス力が得られて、運動マスを、コイル2の軸に実質的に垂直な平面で、所定の振動方向に振動させることができる。運動マスの運動は、運動マス中心静止位置に対して、O+とO−で表す両方向に、実質的に正弦波である。運動マスの共振周波数は、例えば135Hz程度である。
【0022】
より大きなマスを得るために、補足的なマス・プレート15を強磁性プレート6に配置している。この補足プレート15は、タングステンまたは真鍮などの材料で作ることができる。
【0023】
運動マスを保持するバネ要素4は、2つのネジ9によって、非磁性プレート5’を介して、固定非磁性構造物5に固定的に取り付けられた基部プレート4cと、その基部ストリップと一体であ、基部ストリップの両側に配置された2つのストリップバネ4a、4bとを含む。これらのストリップバネ4a、4bは、横断面がU形状を形成するように、基部ストリップ4cに対して垂直に配置される。端部ストリップ4eが基部ストリップの両側のストリップバネ4aと4bの端部を連結する。この端部ストリップには、強磁性プレート6の一部分が、例えば溶接または結合によって固定されるが、基部ストリップと実質的に平行な平面にある。
【0024】
強磁性プレート6と補足プレート15は、ストリップバネ4aと4bの間に、各ストリップバネそれぞれと直接接触せずに配置される。好ましくは、強磁性プレート6と補足プレート15の高さは、ストリップバネ4aと4bの高さよりも低い。各ストリップバネはそれぞれ、2つの長さ方向の横スロット8を含み、それらは、震動装置の理論的共振周波数を調整するように寸法決めされる。
【0025】
例えば腕時計にはめ込むために、図1、2の震動装置の寸法は、400までの隣接し合う実質的に同軸の巻きを含むことができるコイルを備えて、長さ10mm、幅4mm、高さ2mmである。
【0026】
震動装置1に所望される小型寸法のために、比較的大型の運動マスを保持するバネ要素4は、機械的衝撃によって生じる機械的応力から保護しなければならない。これを行なうために、バネ要素4は基部ストリップ4cと一体の平坦部4dを含み、その平坦部4dは運動マスに向き合うように実質的に垂直に、運動マスの振動方向と並行に配置される。
【0027】
平坦部4dは、基部ストリップ4cが固定される固定構造物5の面とともに形成された、実質的に長方形状の細長い開口14を振動方向に含んでいる。運動マスの強磁性プレート6が突出要素16を含む。これは、突出要素の一部が幾分かの遊びを備えて開口部14に配置されるように、細長い開口を通り抜けている。この細長い開口は、運動マス用の案内手段となっている。しかし開口部の縁部は、機械的停止部材ともなり、所定の形で、少なくともX軸とY軸に沿った方向における運動マスの運動振幅を制限する。
【0028】
開口部14の幅の寸法は、開口部の突出要素の部分の厚さよりも僅かに大きいが、突出要素のこの部分の厚さの2倍よりは小さい。当然ながら、突出要素の厚さは、Z軸方向では非均一であってもよい。それはフックの形状を取ることができ、Z軸方向の衝撃に対してもより充分な保護を保証するために、開口部の外側の突出要素の部分の厚さは、開口部の幅よりも大きい。
【0029】
平坦部4dに開口部を作るのではなく、基部ストリップ4cが固定される固定構造物5の面とともにハウジングを形成するように、平坦部をL字型に成形することも構想することができる。しかし、その実施形態は、平坦部4dに2つの湾曲部を作り、その部分の長さ方向両端部に停止部材を形成して、運動マスの運動振幅を、X軸に沿った振動方向に制限することを必要とする。
【0030】
本震動装置の固定部分は、バネ要素4の一部を形成する平坦部4dを介して機械的衝撃保護手段を含むので、したがって震動装置を保護するための追加要素は必要ない。その結果、震動装置は、簡単に作ることができると同時に機械的衝撃から保護される。
【0031】
全方向での機械的衝撃に対するより充分な保護を保証するために、震動装置1は、第2の突出要素26も含む。これは、以下に図3、4a、4bを参照して説明するように、プラットフォームの一方壁ハウジングと協働する。この第2の突出要素26は、第1突出要素16とは反対側である、運動マスの一方側に配置される。この第2突出要素は、第1突出要素と同様に、強磁性プレートと一体である。これら2つの突出要素は、前記マスの振動方向と垂直の運動マスの中心線上に配置されることが好ましい。
【0032】
突出要素16、26は、以上に述べた強磁性プレート6と一体でよいことに留意されたい。しかし、それらは、強磁性プレート6ではなく補足プレート15に設けることもできる。これらの突出要素は、任意の手段によって、これらの2つのプレートのいずれかのプレート、または交差部に固定することもできる。それらは単数または複数のプレートにネジ止めし、溶接し、または結合することができる。
【0033】
図3、4a、4bは、好ましくは腕時計である携帯用品のプラットフォーム10に取り付けられた震動装置1を示す。図面に描き込み過ぎることを避けるために、プラットフォーム10しか示さないが、これは、ここに示さない腕時計のケースに収容されている。このプラットフォームは腕時計のプレートである。ここに示さないプリント回路を、腕時計の様々な電気構成要素の電気接続をするように、プラットフォーム10の一部に設けることができる。
【0034】
図3で分かるように、震動装置は、コイルの接続端子7が、プラットフォーム10の金属路17と接触するように、プラットフォーム10に固定される。これらの金属路17は特に、ここに示さない震動装置用の駆動回路に接続される。
【0035】
震動装置1がプラットフォーム10に固定されると、突出要素26は、震動装置1を部分的に取り囲む堅固な壁20で作られた案内ハウジング21に位置決めされる。運動マスが静止位置にある時、突出要素26は、案内ハウジング21の中心に位置決めされる。
【0036】
ハウジング21は、図4bで示すように、実質的に長方形状の断面を有し、その幅は、突出要素26の厚さよりも僅かに大きいが、この突出要素の厚さの2倍よりも小さい。X軸に沿った振動方向のハウジング21の長さの寸法決めは、運動マスが、少なくとも所定の最高振幅値まで、振動方向で自由に振動できるようにされる。このハウジングの縁部は、突出要素26が運動振幅を全方向で制限するための停止部材として働く。
【0037】
壁20の案内ハウジング21の所定の深さと、突出要素16の案内開口部が設けられた平坦部4dとの組み合わせによって、震動装置は全方向の機械的衝撃から適切に保護される。
【0038】
震動装置を前記壁で取り囲む必要はない。その結果、前記壁に案内ハウジングを設けるのではなく、震動装置の第2突出要素を受けるために、細長い開口またはU形状部を有するプレートを、プラットフォームに取り付けることもできる。
【0039】
半分のボイス・コイル型震動装置用の保護手段を以上に述べたが、これらの保護手段は、欧州特許第0 625 738号で開示されているものなどの、均等の原理によって動作する他の任意の震動装置にも使用することができることに留意されたい。
【0040】
以上に掲げた記述から、当業者は、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱せずに、この震動装置の変化形態を多数考案することができる。幾つかの突出要素を、それらが携帯用品の一部の開口部またはプラットフォーム壁ハウジングと協働するように、運動マスの各側それぞれに設けることができる。固定構造物またはバネ要素の一部も、震動装置を機械的衝撃から保護するように、構造物に面する運動マスの1つの部分に作られた縦溝に案内される突出部を含むことができる。震動装置の追加の固定部分を、バネ要素の固定基部ストリップの反対側に配置することもできる。この追加の固定部分は、震動装置の第2突出要素用の案内ハウジングを含み、そのようにして運動マスの両側に配置された、案内手段と協働する突出要素によって震動装置を保護する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による、機械的衝撃から保護する手段がはめ込まれた震動装置の立体図である。
【図2】機械的衝撃保護手段の構成を示す、本発明による震動装置の上面図である。
【図3】本発明による機械的衝撃保護手段がはめ込まれた震動装置を含む携帯用品の一部の部分的立体図である。
【図4a】本発明による震動装置を含む携帯用品の、図3の線A〜Aによる断面図である。
【図4b】本発明による震動装置を含む携帯用品の、図4aの線B〜Bによる断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 震動装置、2 環状平坦コイル、3a、3b、6、15 運動マス、3a、3b 永久磁石、4a、4b バネ要素(ストリップバネ)、4c 基部プレート(基部ストリップ)、4d 平坦部、4e 端部ストリップ、5 取り付けられた非磁性構造物、5’ 非磁性プレート、6 強磁性プレート、7 接続端子、8 横スロット、9 ネジ、10 プラットフォーム、14 細長い開口、15 補足的マス・プレート、16、26 突出要素、17 金属路、20 壁、21 案内ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計などの携帯用品用の震動装置(1)において、固定構造物(5)にバネ要素(4)を介して連結された磁性構造物から部分的に形成された運動マス(3a、3b、6、15)と、前記運動マスと機械的接触をせずに前記固定構造物に連結され、かつ前記運動マスと電磁的に結合されて、所定周波数で交流電気信号によって起動される時、前記マスを、振動の少なくとも1方向(X)に振動させるコイル(2)とを含む装置であって、前記震動装置の1つの固定部分(4d)が、前記運動マスの一部(16)と協働するように配置されて、前記運動マスが、前記震動装置の通常動作モードで、少なくとも所定の最高振幅値まで自由に振動することができ、かつ前記運動マスの運動振幅を所定のやり方で全方向に制限して、前記震動装置を機械的衝撃から保護することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記バネ要素(4)が前記固定構造物(5)に固定された前記基部ストリップ(4c)と、前記基部ストリップと一体である、前記基部ストリップに実質的に垂直に前記基部ストリップの両側に配置された2つのストリップバネ(4a、4b)とを含み、前記運動マスが、前記2つのストリップバネ同士の間で保持され、前記震動装置の前記固定部分が、前記運動マスの振動方向と並行に、前記基部ストリップの一方側に配置された、前記基部ストリップと一体の一部(4d)を含み、前記運動マス(3a、3b、6、15)が、前記一部または、その一部と前記固定構造物(5)とによって形成される案内手段(14)に位置決めされた前記基部ストリップの側に突出要素を含み、前記運動マスが、通常動作中、所定の振動方向で自由に振動することができ、前記運動マスの運動振幅を所定のやり方で、静止中の前記運動マスの前記突出要素の中心位置に対する各方向で制限することとを特徴とする、請求項1に記載の震動装置(1)。
【請求項3】
前記平坦部(4d)が、前記基部ストリップに対して垂直に配置され、前記平坦部が、前記基部ストリップが固定された前記固定構造物の面とともに、振動方向に細長い開口(14)を含み、その開口が前記案内手段となり、前記運動マスの前記突出要素(16)が、部分的に前記細長い開口を通って配置され、前記開口部(14)の幅の寸法が、前記開口部を通過する前記突出要素の一部の厚さよりも大きく、前記突出要素の前記一部の前記厚さの2倍よりも小さいこととを特徴とする、請求項2に記載の震動装置(1)。
【請求項4】
装置が、1つまたは幾つかの実質的に同軸の巻きを備えた1つの巻き線から形成され、前記非磁性の固定構造物に固定された平坦環状コイル(2)と、コイルの一部分、永久磁石が固定される強磁性プレート(6)及び前記強磁性プレート(6)に固定される補足プレート(15)に面して位置決めされる少なくとも1つの前記永久磁石(3a、3b)を含む運動マスとを含み、前記運動マスが、前記コイルの軸に垂直な平面で振動する装置であって、前記バネ要素が、前記基部ストリップの両側の前記ストリップバネ(4a、4b)の端部同士を連結する端部ストリップ(4e)を含み、前記端部ストリップが、前記基部ストリップ(4c)と並行であり、かつ前記運動マスの前記強磁性プレート(6)が前記端部ストリップに固定されることとを特徴とする、請求項2および3のいずれかに記載の震動装置(1)。
【請求項5】
前記強磁性プレート(6)が、前記震動装置の前記案内手段に位置決めされた前記突出要素(16)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の震動装置(1)。
【請求項6】
前記運動マスが、前記第1突出要素(16)とは反対側の、前記運動マスの一方側に配置された前記第2突出要素(26)を含み、かつ前記震動装置がプラットフォームに固定される時、前記第2突出要素が、携帯用品の内側プラットフォーム(10)の1つの壁(20)に作られた、適切な寸法の案内ハウジング(21)に位置決めされることとを特徴とする、請求項2から5のいずれかに記載の震動装置(1)。
【請求項7】
前記運動マスの前記第1突出要素と前記第2突出要素(16、26)が、前記運動マスの振動方向に実質的に垂直な線上に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の震動装置(1)。
【請求項8】
前記固定構造物(5)が、前記固定部分として、前記運動マスに面する1つの壁にハウジングを含み、かつ前記運動マスが、前記運動マスの所定運動振幅を各方向それぞれで制限するように、前記固定構造物の前記ハウジングに位置決めされる突出要素(16)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の震動装置(1)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の震動装置を含み、前記震動装置が、前記携帯用品のプラットフォーム(10)に固定される腕時計などの携帯用品であって、前記プラットフォームが、前記震動装置の前記運動マスの突出要素(26)が位置決めされる案内ハウジング(21)を備えた壁(20)を含み、前記突出要素が、前記固定構造物(5)の反対側の、前記運動マスの一方側に配置され、前記運動マスが、前記震動装置の通常動作モードで、少なくとも所定の最高振幅値まで自由に振動することができ、かつ前記運動マスの運動振幅を、所定のやり方で全方向に制限して、前記震動装置を機械的衝撃から保護するように、前記案内ハウジングが適切な寸法であることを特徴とする携帯用品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【公開番号】特開2006−175433(P2006−175433A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364542(P2005−364542)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(591048416)ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス (63)
【Fターム(参考)】