説明

携帯用電子機器

【課題】 デザインに影響を与えないように目立ち難い位置に光源が配置されていると共に、極力指先に遮られることなく光源から光を照射して表示パネルを照らすこと。
【解決手段】 回動自在に接続されて折り畳み式とされた第1のケース本体2及び第2のケース本体3と、第1のケース本体に設けられ、押下可能な複数のキー6が所定の配列で整列したキーパッド7と、第2のケース本体に設けられ、キーパッドで入力された情報を表示する反射型液晶からなる表示パネル5と、複数のキーのうち、表示パネルに近い側に配列されているキーの下方又は該キーを囲む隙間Sに配置された光源25と、を備えている携帯用電子機器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運び可能な小型の携帯用電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機、PDA等の携帯情報端末、電子辞書やノート型パソコン等、数多くの携帯用電子機器が提供されている。この種の携帯用電子機器には、一般的に文字や数字等を入力するための入力装置としてキーパッドが取り付けられていると共に、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)が設けられている。
このうち液晶ディスプレイは、バックライトを使用して表示を行う半透過型液晶と、バックライトを使用せず、太陽光や室内光等の外光の反射によって表示を行う反射型液晶という2つのタイプが提供されている。
【0003】
これら2つのタイプの液晶ディスプレイは、用途に応じて使い分けがされており、一般的には半透過型液晶が主流となりつつあるが、携帯用電子機器には消費電力の増大、部品点数の増加、容積や重量の増大を招き易いバックライトを使用しないタイプの反射型液晶が依然として好適に用いられている。この反射型液晶は、バックライトを使用する半透過型液晶に比べ消費電流が少なく、また、明るい屋外や屋内で見易いという利点を有しているが、その反面、彩度が低く、暗い所では見え難いという欠点も有している。
【0004】
そこで、暗い所でも使用できるように、液晶ディスプレイの周辺に光源を設け、該光源から光を照射して液晶ディスプレイを明るく照らす情報端末が知られている(特許文献1参照)。この情報端末は、表示パネル(液晶ディスプレイ)を照らす光源を、例えば、入力キー(キーパッド)や、表示パネルと入力キーとの間や、表示パネルから最も離間する入力キーの下側や、表示パネルに取り付けられた保護カバーに備えている。この光源から照射する光によって表示パネルを明るく照らし、暗い環境での視認性を確保している。
【特許文献1】特開平11−95868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のものでは、まだ以下の課題が残されていた。
即ち、従来の情報端末のうち、入力キーや入力キーの下側に光源を備えたものは、光源から照射された光が入力キーを打ち込む指先によって途中で遮られてしまう不都合があった。そのため、表示パネルに指先の影が映り込んでしまい、該表示パネルを均一に明るく照らすことが難しいものであった。
【0006】
また、表示パネルと入力キーとの間に光源を備えたものは、同様に指先によって光が遮られてしまうといった不都合は回避できるものの、光源が表立った所に設けられているので、光源が常に目だってしまい全体的なデザインの見栄えを悪くしてしまう。特に、光源は常時使用するものではなく、暗い環境の場合にだけ使用するものであるので、デザイン的に極力目立たないように配慮したいが、この点従来のものは困難である。また、光源を設置するために専用のスペースを確保する必要があるので、小型化を図ることが難しいものであった。
【0007】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、デザインに影響を与えないように目立ち難い位置に光源が配置されていると共に、極力指先に遮られることなく光源から光を照射して表示パネルを照らすことができる携帯用電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するたに以下の手段を提供する。
本発明に係る携帯用電子機器は、回動自在に接続されて折り畳み式とされた第1のケース本体及び第2のケース本体と、前記第1のケース本体に設けられ、押下可能な複数のキーが所定の配列で整列したキーパッドと、前記第2のケース本体に設けられ、前記キーパッドで入力された情報を表示する反射型液晶からなる表示パネルと、前記複数のキーのうち、前記表示パネルに近い側に配列されているキーの下方又は該キーを囲む隙間に配置された光源と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
この発明に係る携帯用電子機器においては、反射型液晶からなる表示パネルを有しているので、明るい屋外や屋内で非常に見易く、キーパッドで入力された各種の情報を明瞭に視認することができる。
ここで、周囲が暗い状況で使用する場合には、光源を作動させて表示パネルに光を照射する。これにより、周囲が暗い状況であっても反射型液晶の表示パネルを視認することができる。特に、光源は、第1のケース本体に所定の配列で整列している複数のキーのうち、表示パネルに近い側に配列されているキーの下方又は該キーの周囲を囲む隙間に配置されている。そのため、光源が発する光は、キーパッドを押下する指先に遮られる可能性が低く、ダイレクトに第2のケース本体に設けられた表示パネルに照射される。その結果、指先の影が表示パネルに映りこんでしまうことを極力防止することができ、指先に影響されずに表示パネルを均一に明るく照らすことができる。
【0010】
また、光源は、上述したようにキーの下方又はキーを囲む隙間に配置されているので、表立った位置に配置されていた従来のものとは異なり、目立ち難い。従って、常時使用するものではない光源を隠すことができ、デザインに悪影響を与えてしまうことを防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る携帯用電子機器は、上記本発明の携帯用電子機器において、前記光源が、前記キーを囲む隙間に配置され、該隙間を通して前記表示パネルに向けて光を照射することを特徴とするものである。
【0012】
この発明に係る携帯用電子機器においては、光源がキーの周囲を囲む隙間に配置されているので、この隙間を通して表示パネルに向けて直接光を照射することができる。このように、光源が発する光を物理的に一度も遮ることなく表示パネルに照射させることができるので、光量を落とさずに表示パネルをより明るく照射することができる。その結果、視認性を向上することができる。
【0013】
また、本発明に係る携帯用電子機器は、上記本発明の携帯用電子機器において、前記光源が、前記キーの下方に配置され、該キーの一部を透過させた状態で前記表示パネルに向けて光を照射することを特徴とするものである。
【0014】
この発明に係る携帯用電子機器においては、キーの一部を透過させた状態で、表示パネルに向けて光を照射することができる。そのため、キーの下方に光源が配置されていたとしても、確実に光を表示パネルに向けて照射することができる。特に、光源はキーの下方に隠された状態となっているので、目立つことがなく、デザインに何ら影響を与えることがない。しかも、その上で必要時には表示パネルを明るく照らすことができる。
【0015】
また、本発明に係る携帯用電子機器は、上記本発明の携帯用電子機器において、前記キーには、透過する前記光を拡散させるレンズ部が形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
この発明に係る携帯用電子機器においては、光源から発せられた光がキーを透過する際に、レンズ部によって拡散させられるので、表示パネルをより広範囲に照らすことができる。また、光の照射効率を高めることができ、表示パネルをさらに明るく照らして視認性を向上することができる。
【0017】
また、本発明に係る携帯用電子機器は、上記本発明の携帯用電子機器において、前記光源が、前記キーの下方に配置され、前記光源が発する光を前記キーの上面まで導光すると共に、導光した光を前記表示パネルに向けて照射させる導光部を備えていることを特徴とするものである。
【0018】
この発明に係る携帯用電子機器においては、光源がキーの下方に配置されている。そして、導光部は、光源が発する光をキーの上面まで導光した後に、表示パネルに向けて照射する。このように、導光部により光を導くので、キーの下方に光源が配置されていたとしても、光量を極力落とさずに効率良く表示パネルを明るく照らすことができる。その結果、視認性を向上することができる。
しかも、光源はキーの下方に隠された状態となっているので、目立つことがなく、デザインに何ら影響を与えない。その上で、必要時には、表示パネルを明るく照らすことができる。
【0019】
また、本発明に係る携帯用電子機器は、上記本発明の携帯用電子機器において、前記光源が発する光の光量を調整する調整手段を備えていることを特徴とするものである。
【0020】
この発明に係る携帯用電子機器においては、調整手段により周囲の暗さに応じて光量を調整できるので、表示パネルを最適な光量で照らすことができ、視認性をさらに高めることができる。
【0021】
また、本発明に係る携帯用電子機器は、上記本発明の携帯用電子機器において、前記光源が、複数の色の光を発する光源とされ、前記光源が発する光の色を所望する色となるように切り替える切替手段を備えていることを特徴とするものである。
【0022】
この発明に係る携帯用電子機器においては、切替手段により光の色を所望する色に自由に切り替えることができる。そのため、表示パネルを単に照らすだけでなく、照射する光を利用して多様な使い方をすることができ、利便性を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る携帯用電子機器によれば、極力指先に遮られることなく光を照射して表示パネルを均一に明るく照らすことができ、周囲が暗い状況であっても明瞭に表示パネルを視認することができる。また、目立ち難い位置に光源が配置されているので、デザインに悪影響を与えてしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る携帯用電子機器の第1実施形態を、図1から図6を参照して説明する。なお、本実施形態では、携帯用電子機器の一例として、電子辞書を例に挙げて説明する。
本実施形態の電子辞書1は、図1に示すように、本体部(第1のケース本体)2と、カバー部(第2のケース本体)3とが、ヒンジ部4を介して回動自在に接続された折り畳み式のもので、持ち運び可能な小型の携帯用電子機器である。つまり、不使用時にはカバー部3を閉じて折り畳むことができ、薄型でコンパクトなサイズにして、例えばバックや衣類のポケット等に容易に収納することができるようになっている。また、使用時には、本体部2に対してカバー部3を回動させることで、使用者の目線に合うようにカバー部3の角度を調整でき、使い易い設計となっている。
【0025】
本体部2及びカバー部3の一部は、共にプラスチックや、アルミ、ステンレス等の金属材料により薄型の箱状に形成されている。このうち、カバー部3には、略全面に亘って後述するキーパッド7で入力された各種の情報等を表示する反射型液晶からなる表示パネル5が設けられている。また、本体部2には、指先で押下可能な複数のキー6が所定の鍵盤配列(キーボード配列)で整列されたキーパッド7と、やはり指先で押下可能な複数のファンクションキー8及び各種の機能ボタン9と、が設けられている。
【0026】
また、本体部2内には、図2に示すように制御部10、メモリ11、充電池12やスピーカ13等が実装された回路基板14が内蔵されている。制御部10は、CPU等の演算処理部、電子辞書1としての各種のプログラム等が記憶されているROM、一時記憶媒体であるRAM、表示パネル5の制御を行う表示制御部等を有している。そして制御部10は、キーパッド7の複数のキー6やファンクションキー8や機能ボタン9が押下されたときに回路基板14を介して送られてくる信号に基づいて、各構成品を総合的に制御して電子辞書1として各種機能を作動させるようになっている。
【0027】
また、制御部10は、メモリ11に記憶されている音声情報をスピーカ13から音声出力させる機能を有している。なお、スピーカ13から出力された音声は、図1に示すように、本体部2の表面に設けられた複数の音孔2aから外部に出力されるようになっている。これにより、例えば、検索した外国語を正しい音声(ネイティブ音声)で聞いて学習することも可能とされている。この際、制御部10は、音声出力の情報を表示パネル5にも表示している。そのため、使用者は、目と耳とで検索内容を確認することができるようになっている。なお制御部10は、音声出力の情報だけなく、指先で押下したキー6を表示したり、その他各種情報(例えば、辞書の内容、単語の検索内容、充電池12の残量、時刻や日付等)を表示したりすることが可能とされている。
【0028】
本実施形態のキーパッド7は、複数のキー6が図1に示す矢印X1方向に沿って4列に並ぶように配列されていると共に、各列の一部が隣接する列に並ぶキー6に対して矢印X2方向にずれるように配列されている。つまり、複数のキー6は千鳥状に配列されている。また、各キー6の周囲には、所定の隙間Sが空いた状態となっている。
複数のキー6は、図3に示すように、樹脂材料によりそれぞれキートップ6aとボス6bとを有するように一体成形されたものである。ボス6bは、筒状に形成されていると共に、キートップ6aの下面から回路基板14に向けて真っ直ぐ延びるように形成されている。
【0029】
また、キー6と回路基板14との間には、ガイド板20が配置されている。このガイド板20には、キー6に対向する位置に上記ボス6bをガイドする筒状のガイドリブ20aが形成されている。このガイドリブ20aは、ボス6bの周囲を囲むように形成されており、ボス6bを摺動可能に支持している。これにより、キートップ6aを指先で押下したときに、ボス6bがガイドリブ20aにガイドされながら押し込まれるようになっている。
【0030】
また、回路基板14上には、ラバーシート21が重ね合わされた状態で取り付けられている。このラバーシート21には、スカート部21aを介して突起部21bが形成されており、該突起部21bがガイドリブ20a内に入り込むように配置されている。そして、ガイドリブ20a内に入り込んだ突起部21bにキー6のボス6bが当接している。この際キー6は、スカート部21aの弾性力によって押し上げられた状態となっている。なお、スカート部21aは、キー6が押下されたとき際に変形するようになっていると共に、指先がキートップ6aから離れた際に弾性力により元の状態に復元して、再度キー6を押し上げるようになっている。その結果、キー6を押下操作することが可能とされている。また、突起部21bの下面には導電材料からなる接点22が設けられており、キー6が押下されたときに接点22が回路基板14の図示しない接点に接触して導通し、信号が入力されるようになっている。
【0031】
また、本実施形態の電子辞書1は、図1に示すように、表示パネル5を照らすための光Lを発する光源25を有している。この光源25は、例えば指向性を有する白色の高輝度LEDであり、キーパッド7の複数のキー6のうち、表示パネル5に最も近い側の列に配置されているキー6を囲む隙間Sに入り込んだ状態で配置されている。具体的に説明すると、図4及び図5に示すように、光源25は、表示パネル5に近い側の列に配置されているキー6のうち、略中央に位置するキー6の隙間Sに入り込んだ状態で回路基板14上に取り付けられている。この際、隙間Sから光Lが抜けて、該光Lが所定の照射角度θ1で表示パネル5に照射されるように、光源25の向きや角度等が調整されている。
【0032】
また、光源25は、図2に示すように、回路基板14を介して制御部10を構成する発光制御部10aに電気的に接続されており、該発光制御部10aからの信号に基づいて点灯或いは消灯が制御されている。また、図1に示すように、複数の機能ボタン9のうちの1つは、光源25を作動させるライトボタン9aとなっており、発光制御部10aに信号を出力している。そして、発光制御部10aは、ライトボタン9aが押下されて信号が入力される毎に、光源25の点灯と消灯とを繰り返すように制御している。
【0033】
更に、複数の機能ボタン9のうちの1つは、光源25が発する光Lの光量を増大させるボタン9bとされ、該ボタン9bに隣接するボタンが光量を低下させるボタン9cとされている。これら両ボタン9b、9cは、押下されると発光制御部10aに信号を出力している。すると、発光制御部10aは、この信号を受けて光源25の光量を調整するようになっている。つまり、両ボタン9b、9c及び発光制御部10aは、光源25が発する光Lの光量を調整する調整手段26として機能する。
【0034】
次に、このように構成された電子辞書1を使用する場合について、以下に説明する。
まず、この電子辞書1を明るい屋外や屋内で使用する場合には、反射型液晶からなる表示パネル5を有しているので、キーパッド7で入力された情報等を明瞭に視認することができる。従って、非常に見易い状態で電子辞書1を使用することができる。
一方、この電子辞書1を周囲が暗い状況で使用する場合には、まず使用者はライトボタン9aを押下して、発光制御部10aに信号を出力する。すると、発光制御部10aは、この信号を受けて光源25を点灯させる。この際、光源25は、向きや角度が調整されているので、発した光Lを図1に示すように、所定の照射角度θ1をもって表示パネル5に照射することができる。
【0035】
これにより、使用者は周囲が暗い状況であっても、反射型液晶の表示パネル5を視認することができ、電子辞書1を使用することができる。特に、光源25は、表示パネル5に近い側に配列されているキー6の周囲を囲む隙間Sに配置されている。そのため、光源25から発せられた光Lは、キーパッド7を押下する指先に遮られる可能性が低く、ダイレクトに表示パネル5に照射される。その結果、指先の影が表示パネル5に映りこんでしまうことを防止することができ、指先に影響されずに表示パネル5を均一に明るく照らすことができる。
しかも、光源25が隙間Sに配置されているので、指先だけでなく、キー6等に物理的に一度も遮られることなく光Lを照射させることができる。従って、光量を落とさずに光Lを照射することができ、この点においても表示パネル5を明るく照らすことができる。
【0036】
また、光源25を使用している際、使用者は、2つのボタン9b、9cを適宜押下することで、周囲の暗さに応じて光量を調整することができる。従って、表示パネル5を最適な光量で照らすことができ、視認性をさらに高めることができる。
また、光源25が隙間Sに配置されていることで、表立った位置に配置されていた従来のものとは異なり、光源25が目立ち難い。従って、常時使用するものではない光源25を隠すことができ、デザインに悪影響を与えてしまうことを防止することができる。
【0037】
なお、この第1実施形態では、光源25を1つだけ配置したが、1つに限定されず複数個配置しても構わない。例えば、表示パネル5に近い側に配列されている全てのキー6の隙間Sに入り込むように光源25を配置しても構わない。このように構成することで、表示パネル5をさらに明るく照らすことができる。
また、光源25を回路基板14上に配置したが、図6に示すように、台座等を介してキートップ6aの上面付近まで光源25の位置を上げても構わない。この際、キー6を押下したときに、指先が光源25に触れないように光源25の位置を調整すれば良い。
【0038】
また、上記第1実施形態では、光源25を白色の高輝度LEDとしたが、これに限定されるものではない。但し、小型で一般的に使用されるLEDが好ましい。なお、白色ではなく、赤色や青色のLEDを利用して光Lの色を変えても構わない。
【0039】
更には、光源25として、白色のLED、赤色のLED、青色のLEDを3つ同時に配置しても構わない。この場合には、図1に示すように、機能ボタン9の1つを光Lの色を切り替える切替ボタン9dとし、該切替ボタン9dが押下される毎に発光制御部10aが3色のLEDをそれぞれ点灯するように設定しても構わない。つまり、切替ボタン9d及び発光制御部10aは、光Lの色を所望する色となるように切り替える切替手段27として機能する。
こうすることで、使用者は切替ボタン9dの押下により、光Lの色を3色の中から自由に選択できるので、表示パネル5を単に照らすだけでなく、照射する光Lを利用して多様な使い方をすることができ、利便性を高めることができる。
なお、切替ボタン9dを押下する毎に任意の色の光Lを照射することができるように、3色のLEDの光量バランスを複数のパターン分だけ予め調整しておいても構わない。こうすることで、所望する色の光Lを照射することができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る携帯用電子機器の第2実施形態について、図7から図9を参照して説明する。なお、第2実施形態において第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、キー6を囲む隙間Sに光源25を配置したが、第2実施形態では、光源25をキー6の下方に配置する点である。
【0041】
即ち、本実施形態の電子辞書30は、図7及び図8に示すように、表示パネル5に近い側に配列されたキー6のうち、略中央に位置するキー6の下方に光源25が配置されている。この際、光源25は、表示パネル5に向けて光Lを照射することができるように、向きや角度等が調整された状態で回路基板14上に直接固定されている。
また、複数のキー6のうち、少なくとも光源25が下方に配置されているキー6は、透明な樹脂により形成されていると共に、図8及び図9に示すように、表示パネル5側に向いているキートップ6aの斜面の一部を除く領域には遮光膜31が塗装やメッキ等により成膜されている。つまり、遮光膜31が成膜されていない部分は、光源25からの光Lを透過させる透過領域となっている。
【0042】
このように構成された電子辞書30によれば、光源25が発した光Lをキー6の一部、即ち透過領域を透過させた状態で表示パネル5に向けて照射できるので、第1実施形態と同様に、周囲が暗い状況であっても表示パネル5を明るく照らすことができる。
特に、本実施形態の光源25は、キー6の下方に隠された状態となっているので、図7に示すように、光源25が表に目立つことなくデザインに何ら影響を与えない。その上で、必要時には表示パネル5を明るく照らすことができる。
【0043】
なお、この第2実施形態においても光源25を1つだけ配置したが、1つに限定されず複数個配置しても構わない。例えば、表示パネル5に近い側に配列されている全てのキー6の下方に光源25を配置しても構わない。この場合には、表示パネル5に近い側に配列されている全てのキー6を透明な樹脂で形成すると共に、遮光膜31を部分的に成膜すれば良い。
【0044】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る携帯用電子機器の第3実施形態について、図10から図12を参照して説明する。なお、第3実施形態において第2実施形態と同一の構成については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第3実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、単にキー6の一部を透過させた状態で光Lを表示パネル5に照射したが、第3実施形態では、それに加え、光Lをさらに拡散させた状態で表示パネル5に照射する点である。
【0045】
即ち、本実施形態の電子辞書40は、図11(a)、(b)及び図12に示すように、遮光膜31が形成されていない部分のキートップ6aが光Lを拡散させるレンズ状に形成されており、レンズ部41とされている。なお、図11(a)、(b)では、凸状に形成されたレンズ部41を例に挙げて図示しているが、凸状に限定されるものではない。そのため、光源25から発せられた光Lがキー6を透過する際に、このレンズ部41によって拡散させられる。従って、図10に示すように、照射角度をθ1からθ2に拡げることができ、表示パネル5をより広範囲に照らすことができる。また、光Lの照射効率を高めることができ、表示パネル5をさらに明るく照らして視認性を向上することができる。
【0046】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る携帯用電子機器の第4実施形態について、図13から図15を参照して説明する。なお、第4実施形態において第2実施形態と同一の構成については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第4実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、光源25が発した光Lを、キー6の一部を透過させた状態で照射したが、第4実施形態では、光源25が発した光Lをキー6の上面まで導光させた後、導光した光Lを表示パネル5に向けて照射する点である。
【0047】
即ち、本実施形態の電子辞書50は、図13から図15に示すように、光源25が発した光Lをキー6の上面まで導光させる導光部51を備えている。この導光部51は、キー6を囲む隙間Sを利用して回路基板14上に配置されており、基端側から先端側に向かう途中で若干湾曲して、先端側が表示パネル5側に向くように角度調整がなされている。導光部51の基端側には、凹部51aが形成されている。そして、導光部51は、光源25をこの凹部51a内に収納するように光源25に被さった状態で回路基板14上に取り付けられている。これにより、光源25から発せられた光Lは、導光部51内を先端側に向かって導光されるようになっている。
【0048】
なお、導光部51は、透明樹脂系材料により形成され、先端のみが鏡面加工されていると共に、それ以外の部分が塗装やメッキ処理等によって施された遮光膜と、シボ加工(艶消し加工)との組み合わせによって遮光されたものである。これにより、光Lを途中で無駄に損失させることなく導いて、先端から照射することが可能とされている。また、本実施形態の光源25は、指向性を有するものではなくても構わない。
【0049】
また、本実施形態のキートップ6aには、導光部51との干渉を防止するための切欠部52が形成されている。なお、この切欠部52は必須なものではなく設けなくても構わないが、切欠部52を形成することで導光部51との干渉を確実に防止できるので、好ましい。
【0050】
このように構成された電子辞書50によれば、光源25が発した光Lを導光部51によりキー6の上面まで導くことができるので、キー6の下方に光源25が配置されていたとしても、光量を極力落とさずに効率良く表示パネル5を明るく照らすことができる。その結果、視認性を向上することができる。また、指向性を有しない光源25を利用することができるので、光源25の選択性を増すことができ、設計の自由度を向上することができる。
【0051】
なお、この第4実施形態においても光源25を1つだけ配置したが、1つに限定されず複数個配置しても構わない。例えば、表示パネル5に近い側に配列されている全てのキー6の下方に光源25を配置しても構わない。この場合には、光源25の数に合わせて導光部51を配置すれば良い。
また、光源25を複数配置した際に、導光部51を同様に複数配置するのではなく、図16及び図17に示すように、本体部2の幅方向に延びた幅広の導光部55としても構わない。この場合には、表示パネル5に近い側に配列されている全てのキー6の隙間Sを利用して導光部55を配置すれば良い。このように構成することで、複数の光源25がそれぞれ発した光Lを集光しながらキー6の上面に導光した後に、線状の光Lとして照射できるので、表示パネル5をより広範囲に明るく照らすことができる。
【0052】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0053】
例えば、上記各実施形態においては、携帯用電子機器を電子辞書として説明したが、電子辞書に限られるものではなく、例えば、折り畳み式の携帯電話機や、折り畳み式のPDA等の携帯情報端末や、ノート型パソコン等でも構わない。また、上記各実施形態では、キー6が千鳥状に配列されたキーパッド7を例に挙げて説明したが、配列は自由に設定して構わない。例えば、キー6が縦横に格子状に配列されたキーパッドでも構わない。
【0054】
また、上記各実施形態では、キー6の構成の一例として、ガイドリブ20aにボス6bが摺動可能に支持されるタイプを例に挙げて説明したが、このタイプに限定されるものではない。例えば、図18に示すように、キートップ6aが2つの連結部材60を介して回路基板14にリンク接続されたパンタグラフタイプ(パソコンタイプ)であっても構わない。2つの連結部材60は、例えば、キートップ6aと回路基板14との間に交差するように配置されており、一端が回転自在にキートップ6aに連結されていると共に他端が回路基板14に回転及び移動自在に連結されている。これにより、キートップ6aを略垂直に押下することができるようになっている。なお、図18においては、突起部21b及びスカート部21aを有するラバーシート21の図示を省略している。
【0055】
また、図19に示すように、突起部21bにプラスチックカバー61が被さったプラスチックキータイプであっても構わないし、図20に示すように、突起部21bそのものを押下するラバーキータイプであっても構わないし、図21に示すように、突起部21bの上半分がプラスチック成形により樹脂部63とされたダブルインジェクションタイプであっても構わない。
【0056】
但し、上述した第2実施形態及び第3実施形態の場合には、キー6の一部を透過させる必要があるので、パンタグラフタイプ或いはプラスチックキータイプに限られる。
ここで、プラスチックキータイプに適用する場合の一例を図22及び図23を参照にして簡単に説明する。図22に示すように、この場合のキー6は、透明樹脂により、キャップ状のキートップ6aとフランジ部6cとが一体的に形成されており、ラバーシート21の突起部21bに被さった状態となっている。そして、キートップ6a及びフランジ部6cの表面には、一部の領域を除き遮光膜31が成膜されている。遮光膜31が形成されていない領域が、光Lを透過する透過領域となる。
【0057】
また、ガイド板20には、貫通孔20bが形成されており、キートップ6aの周囲をガイドしている。この貫通孔20bには、フランジ部6cが当接する段部20cが形成されている。これにより、キートップ6aは一定量だけ押し上げられた状態で表面に露出するようになっている。また、ラバーシート21のスカート部21a及び突起部21bは、図22及び図23に示すように、光源25との干渉を防ぐため一部が切り欠かれた状態となっている。
【0058】
このように構成されたプラスチックタイプのキー6であっても、光源25から発せられた光Lは、ラバーシート21の切り欠かれた部分からキー6に入射すると共に、該キー6を透過した状態で表示パネル5に向けて照射される。このように、プラスチックタイプのキー6であっても、第2実施形態と同様に、表示パネル5を明るく照らすことができ、同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る携帯用電子機器の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す携帯用電子機器の機能ブロック図である。
【図3】図1に示す携帯用電子機器を構成するキーの構成断面図である。
【図4】図1に示す携帯用電子機器を構成するキーパッドを上方から見た図であって、キーと光源との位置関係を示す図である。
【図5】図4に示す光源を側方から見た図である。
【図6】図4に示す光源をキーパッドの上面付近に配置した変形例を示す図である。
【図7】本発明に係る携帯用電子機器の第2実施形態を示す斜視図である。
【図8】図7に示す携帯用電子機器の一部断面図であって、キーと光源との位置関係を示す図である。
【図9】図8に示すキーを斜め上方から見た斜視図である。
【図10】本発明に係る携帯用電子機器の第3実施形態を示す斜視図である。
【図11】図10に示す携帯用電子機器の一部断面図であって、(a)はキーと光源との位置関係を示す図であり、(b)は(a)の状態からキーを押下した状態を示す図である。
【図12】図11に示すキーを上方から見た図である。
【図13】本発明に係る携帯用電子機器の第4実施形態を示す斜視図である。
【図14】図13に示す携帯用電子機器の一部断面図であって、キーと光源との位置関係を示す図である。
【図15】図14に示すキーを上方から見た図である。
【図16】図13に示す携帯用電子機器の変形例を示す斜視図である。
【図17】図16に示す携帯用電子機器を構成する導光部の斜視図である。
【図18】本発明に係る携帯用電子機器を構成するキーの変形例を示す図であって、パンタグラフタイプの断面構成図である。
【図19】本発明に係る携帯用電子機器を構成するキーの変形例を示す図であって、プラスチックキータイプの断面構成図である。
【図20】本発明に係る携帯用電子機器を構成するキーの変形例を示す図であって、ラバーキータイプの断面構成図である。
【図21】本発明に係る携帯用電子機器を構成するキーの変形例を示す図であって、ダブルインジェクションタイプの断面構成図である。
【図22】本発明に係る変形例を示す図であって、プラスチックキータイプのキーの下方に光源を配置した携帯用電子機器の一部断面図である。
【図23】図22に示す断面矢視A−A図である。
【符号の説明】
【0060】
L 光
S キーを囲む隙間
1、30、40、50 電子辞書(携帯用電子機器)
2 本体部(第1のケース本体)
3 カバー部(第2のケース本体)
5 表示パネル
6 キー
7 キーパッド
25 光源
26 調整手段
27 切替手段
41 レンズ部
51、55 導光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動自在に接続されて折り畳み式とされた第1のケース本体及び第2のケース本体と、
前記第1のケース本体に設けられ、押下可能な複数のキーが所定の配列で整列したキーパッドと、
前記第2のケース本体に設けられ、前記キーパッドで入力された情報を表示する反射型液晶からなる表示パネルと、
前記複数のキーのうち、前記表示パネルに近い側に配列されているキーの下方又は該キーを囲む隙間に配置された光源と、を備えていることを特徴とする携帯用電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯用電子機器において、
前記光源は、前記キーを囲む隙間に配置され、該隙間を通して前記表示パネルに向けて光を照射することを特徴とする携帯用電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯用電子機器において、
前記光源は、前記キーの下方に配置され、該キーの一部を透過させた状態で前記表示パネルに向けて光を照射することを特徴とする携帯用電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯用電子機器において、
前記キーには、透過する前記光を拡散させるレンズ部が形成されていることを特徴とする携帯用電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の携帯用電子機器において、
前記光源は、前記キーの下方に配置され、
前記光源が発する光を前記キーの上面まで導光すると共に、導光した光を前記表示パネルに向けて照射させる導光部を備えていることを特徴とする携帯用電子機器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯用電子機器において、
前記光源が発する光の光量を調整する調整手段を備えていることを特徴とする携帯用電子機器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の携帯用電子機器において、
前記光源は、複数の色の光を発する光源とされ、
前記光源が発する光の色を所望する色となるように切り替える切替手段を備えていることを特徴とする携帯用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−59052(P2009−59052A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224118(P2007−224118)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】