携帯端末、携帯端末の通信制御方法、およびプログラム
【課題】ユーザが移動中において周囲の音が大きい環境下であっても、通話時の受話音量が聞き取りやすくなるように利便性の向上が図られた携帯端末を提供する。
【解決手段】上記目的を達成する本発明の携帯端末は、ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、上記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段を備えた、ことを特徴とする。
【解決手段】上記目的を達成する本発明の携帯端末は、ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、上記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段を備えた、ことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信手段を備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯端末が普及するに伴い、自動車や電車などの乗り物での移動中に携帯電話を使用するケースが増えている。この場合、乗り物の走行に伴って発生する周囲の騒音が大きい条件下では、通話相手の声が聞こえづらくなる。なお、電車の移動時での使用は、例えば、電車内のデッキなどで携帯電話の通話が許可されているエリアでの使用を想定している。また、自動車の移動時での使用は、例えば、一例として、自家用車で助手席に乗っている者が携帯電話を使用する場合等を想定している。
【0003】
上述したようなケースにおいて、通話相手の声が聞こえづらい場合、ユーザが通話中に受話音量を大きくしようとすると、携帯電話の機種によっては、メニュー画面にしたがって、キー操作をするなどして受話音量を設定し直すなど、手間がかかるという問題がある。さらに、ユーザが、乗り物で移動中に受話音量を大きくする設定にした場合、次に屋内などの静かな場所で通話を行うと、必要以上の受話音量になり不都合も生じるという問題もある。
【0004】
そこで、携帯電話使用時における周囲の環境に応じて音量を自動的に制御する携帯電話が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
この特許文献1に開示された技術によれば、自動車の走行速度が大きくなるにつれて、自動車自体が発生する騒音も大きくなるとして、携帯電話の受話音量を大きくする。これにより、自動車の速度が所定値以上であれば、携帯電話内部の制御装置が、自動車の騒音が大きいと判断して受話音量を大きくする。すると、ユーザは、騒音下であっても相手の音声を聞くことができる。
【0006】
また、特許文献2に開示された技術によれば、携帯電話が、GPS機能搭載を備え、このGPS機能により携帯電話を現在所持しているユーザの位置を判断する。そして、公共の場であると判断された場合は、携帯電話の音量を自動的に制限する。
【0007】
【特許文献1】特開平03−123130号公報
【特許文献2】特開2006−254012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された携帯電話は、自動車に備え付けられた携帯電話であって、自動車の走行速度に基づいて、受話音量を制御している。そのため、自動車以外の移動については考慮されていない。
【0009】
また、特許文献2に開示された携帯電話では、上述した走行速度が大きい場合における受話音量の制御については特に記載されていない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、ユーザが移動中において周囲の音が大きい環境下であっても、通話時の受話音量が聞き取りやすくなるように利便性の向上が図られた携帯端末、その携帯端末の通信制御方法、およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明の携帯端末は、
無線通信手段を備えた携帯端末であって、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
上記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザが移動中において周囲の音が大きい環境下であっても、上記受話音量制御手段が、上記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて受話音量を適切な音量に制御する。したがって、通話時の受話音量が聞き取りやすくなるように利便性の向上が図られた携帯端末が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第1の形態である携帯端末は、上記移動速度検出手段が、ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する。さらに、上記受話音量制御手段が、上記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する。これによると、上述した通り、ユーザが移動中において周囲の音が大きい環境下であっても、上記受話音量制御手段が、上記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて受話音量を適切な音量に制御する。そのため、ユーザは、周囲が騒音下の環境であっても、受話音量のボリュームを大きくするためにキー操作をせずに済む。
【0014】
また、本発明の第1の形態である携帯端末は、上記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する通信状態監視手段を更に備え、上記受話音量制御手段は、上記移動速度検出手段にて検出した移動速度および上記通信状態監視手段にて検出した通信状態に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する、ことが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、上記移動速度検出手段に加えて、さらに、上記通信状態監視手段が、上記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する。そして、上記受話音量制御手段は、上記移動速度検出手段にて検出した移動速度および上記通信状態監視手段にて検出した通信状態に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する。
【0016】
これにより、上記通信状態監視手段が携帯端末の通信状態を監視した結果、通信状態が好ましくない場合には、上記受話音量制御手段は、さらに受話音量を自動的に大きくするができる。すると、ユーザは、通話相手の音声が聞き取りやすくなる。
【0017】
また、上記通信状態監視手段は、上記通信状態を表す通信相手からの送話音量を監視する、ことが好ましい。これにより、通話相手からの送話音量が小さい場合には、上記受話音量制御手段は、携帯端末の受話音量を大きくして対処することができる。
【0018】
また、上記通信状態監視手段は、上記通信状態を表す通信中における基地局との間の受信信号の通信品質を監視する、ことが好ましい。これにより、受信電波の感度が低く、通信中における基地局との間の受信信号の通信品質が悪い場合には、上記受話音量制御手段は、携帯端末の受話音量を大きくして対処することができる。
【0019】
また、上記受話音量制御手段は、上記移動速度検出手段にて検出された移動速度が大きくなるに従って、上記受話音量を大きくする、ことが好ましい。これにより、乗り物の走行に伴って発生する周囲の騒音が大きい条件下であっても、ユーザは、通話相手の声が聞こえやすくなる。
【0020】
また、上記受話音量制御手段は、通話相手からの上記送話音量の値が予め定めた設定値より低い場合には上記受話音量を大きくする、ことが好ましい。これにより、例えば、ユーザが上記設定値を予めキー操作などで設定すれば、個人差に応じて受話音量を大きくすることができる。
【0021】
また、上記受話音量制御手段は、通話相手からの上記送話音量の値が予め定めた設定値より大きい場合には上記受話音量を小さくする、ことが好ましい。これにより、例えば、ユーザが上記設定値を予めキー操作などで設定すれば、個人差に応じて受話音量を小さくすることができる。
【0022】
また、上記受話音量制御手段は、上記通信状態監視手段にて監視した上記受信信号の通信品質表す値が予め定めた設定値より低い場合には、設定値に応じて受話音量を大きくする、ことが好ましい。これにより、通信品質を表す値が低い値(例えば、受信電波の感度が低いことを表す)を予め設定値として設定しておけば、上記受話音量制御手段は、設定値より低い場合には、受話音量を大きくすることができる。そのため、ユーザは、受信電波の感度が低い場合であっても、キー操作することなく受話音量を大きくして通話相手の音声を聞くことができる。
【0023】
ここで、上記移動速度検出手段は、GPS(Global Positioning System)を備え、そのGPSにて上記携帯端末自体の位置情報を取得して上記移動速度を算出する、ことが好ましい。これにより、上記移動速度検出手段は、GPSにて上記移動速度を容易に算出することができる。
【0024】
ここで、上記目的を達成する本発明の第1の通信制御方法は、
無線通信手段を備えた携帯端末による通信制御方法であって、
上記携帯端末が、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出工程と、
上記移動速度検出工程にて検出した移動速度に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御工程と、を有することを特徴とする。
【0025】
本発明の第1の通信制御方法によれば、まず、上記移動速度検出工程にてユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する。続いて、上記受話音量制御工程にて、上記移動速度に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する。
【0026】
これにより、ユーザが移動中において周囲の音が大きい環境下であっても、通話時の受話音量が聞き取りやすくなるように利便性の向上が図られた携帯端末による通信制御方法が得られる。
【0027】
さらに、上記目的を達成する本発明の第2の通信制御方法は、
無線通信手段を備えた携帯端末による通信制御方法であって、
上記携帯端末が、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出工程と、
上記移動速度検出工程に前後して、上記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する通信状態監視工程と、
上記移動速度検出工程にて検出した移動速度および上記通信状態監視工程にて検出した通信状態に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御工程と、を有することを特徴とする。
【0028】
本発明の第2の通信制御方法によれば、上記移動速度検出工程にてユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する。さらに、上記移動速度検出工程に前後して、上記通信状態監視工程にて、上記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する。続いて、上記受話音量制御工程にて、上記移動速度検出工程にて検出した移動速度および上記通信状態監視工程にて検出した通信状態に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する。
【0029】
これにより、上記通信状態監視手段が携帯端末の通信状態を監視した結果、通信状態が好ましくない場合には、上記受話音量制御手段は、さらに、受話音量を自動的に大きくするができるため、ユーザが聞き取りにくくなることを防ぐことができる。したがって、ユーザが移動中において周囲の音が大きく、通信状態が好ましくない環境下であっても、通話時の受話音量が聞き取りやすくなるように利便性の向上が図られた携帯端末による通信制御方法が得られる。
【0030】
ここで、上記目的を達成する本発明の第1のプログラムは、
無線通信手段を備えた携帯端末に、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
上記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段と、を実現させる。
【0031】
さらに、上記目的を達成する本発明の第2のプログラムは、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
上記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する通信状態監視手段と、
上記移動速度検出手段にて検出した移動速度および上記通信状態監視手段にて検出した通信状態に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段と、を実現させる。
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ここでは、本発明のプログラムに基づいて動作する携帯端末、その携帯端末で実行される本発明の通信制御方法について説明する。
【0033】
なお、以下では、本発明の携帯端末として、携帯電話を例に挙げて説明する。但し、これは一例であって、携帯電話に限られず、上記特徴を有する他の携帯端末(例えば、PHS(Personal Handyphone System)など)であってもよい。
【実施例1】
【0034】
[構成]
図1は、本発明の一実施形態としての携帯電話の主なブロック構成図である。この携帯電話1は、制御部2を中心として、無線部3、音声処理部4、音声入出力制御部5、メモリ9、GPS制御部10、表示部11、及び操作部12を接続して構成する。さらに、音声入出力制御部5は、マイク6、スピーカ7、レーシバ8を接続している。
【0035】
制御部2は、中央処理装置(CPU:Central processing Unit)であって、この携帯電話1の動作を総合的に制御するものである。制御部2の詳細については後述する。
【0036】
無線部3には、電波を送受する送受信アンテナ31が接続されている。この送受信アンテナ31で受信された受信波は、無線部3で復調され、音声処理部4でデコードなどの処理がなされ、得られた受話音が音声の入出力を制御する音声入出力制御部5からスピーカ7やレシーバ8を介して出力されユーザに伝えられる。音声処理部4は、マイク6から音声入出力制御部5を介して入力された送信すべき音声のエンコード、変調等の処理を行う。
【0037】
また、GPS制御部10は、無線部3を介してGPS衛星(不図示)との通信により現在位置を調べる測位機能を有している。GPS制御部10は、定期的に測位を行うことにより、後述する制御部2の移動速度検出部21では、測位した位置と時刻から、ユーザの移動に伴う携帯電話の移動速度を算出する。これにより、移動速度が容易に算出することができる。
【0038】
また、表示部11は、液晶表示用の液晶LCD(LCD:Liquid CrystalDisplay)からなり、携帯電話1のメニュー等を表示するものである。操作部12は、1から0までのテンキー、*キー、および#キーなどの操作キー(不図示)が設けられている。この操作部12は、操作キーの操作を受け付けた後、制御部2に各操作キーの処理の命令を出すものである。メモリ9は、本発明の一実施形態であるプログラム等を保存するメモリである。本実施例においては、移動速度に応じた2つの受話音量パターンを設定するためのテーブルがメモリ9に記憶されている。
【0039】
図2は、移動速度と受話音量設定との対応付けを表すテーブルである。このテーブルは、メモリ9に記憶されている。また、図3は、移動速度と受話音量設定との対応付けの一例を説明するための図である。図2に示す「通常(低速移動時)用」とは、図3(a)のように室内にいる時や歩いている時など移動速度が遅い(周囲が比較的静かであることが想定される)場合用の受話音量設定を表している。
【0040】
他方、図2に示す「高速移動時用」とは、図3(b)のように自動車や電車など移動速度が速い(走行に伴うノイズ等により周辺騒音が大きいことが想定される)場合用の受話音量設定である。本実施例では「通常(低速移動時)用」の音量に“+α(正の値)”した音量を「高速移動時用」としている。また、移動速度の大きさに応じて受話音量がレベル分けされている。移動速度に応じた受話音量の設定は制御部2が行う。
【0041】
図4は、図1に示す制御部の内部構成を示す図である。この制御部2には、メモリ9に記憶されている本発明の一実施形態であるプログラムが組み込まれることによって、移動速度検出部21、移動速度判定部22、および受話音量制御報部23が構築される。
【0042】
この移動速度検出部21は、GPS制御部10が定期的に測位を行うことにより、測位した位置と時刻から、ユーザの移動に伴う携帯電話の移動速度を算出する(移動速度検出手段)。この算出結果はメモリ9に記録される。
【0043】
移動速度判定部22は、メモリ9に記録されている移動速度を参照し、予め定めた設定値よりも速いかあるいは遅いかの判定を行う。設定値よりも速い場合には、移動速度判定部22は、図2に示す受話音量設定を「高速移動用」に設定する。また、設定値よりも遅い場合には、移動速度判定部22は、図2に示す受話音量設定を「通常(低速移動時)用」に設定する。さらに、移動速度に応じて、受話音量のレベルについて、5段階のうちからいずれか1つのレベルを設定する。図2のテーブルでは、受話音量の大きさは、段階的にA<B<C<D<Eの順としており、Eのレベルが最も移動速度が大きい場合に相当する。
【0044】
受話音量制御報部23は、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、移動速度判定部22で設定された受話音量のレベルに応じてレシーバ8から受話音量を出力させる(受話音量制御手段)。なお、ユーザ設定によりスピーカ7から受話音量を出力させてもよい。
【0045】
[動作]
次に携帯電話1の動作について説明する。
【0046】
図5、図6は、本発明の一実施形態である携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。図5は、待ち受け中から通話が開始されるまでの処理を表しており、図6は、通話中から通話が終了するまでの処理を表している。
【0047】
まず、ユーザにより携帯電話1の電源ONがなされた後、待受状態に移行し、図5に示すフローチャートの処理ルーチンが開始する。次に、GPS制御部10は、複数回の測位を行う(ステップS11)。次に、図4に示す移動速度検出部21は、複数回の測位の結果から、移動速度を算出し、メモリ9に記録する(移動速度検出工程)。
【0048】
続いて、移動速度判定部22は、移動速度が設定値よりも速いか遅いかの判定を行う(ステップS12)。ここで、移動速度が設定値よりも速かった場合には(ステップS12:Yes)、移動速度判定部22は、受話音量を「高速移動時用」に設定する(ステップS13)。一方、移動速度が設定値よりも遅かった場合には(ステップS12:No)、移動速度判定部22は、受話音量を「通常(低速移動時)用」に設定する(ステップS14)。
【0049】
ここで、ユーザが通話を行わない場合は(ステップS15:No)、再びステップS11の処理に戻る。再度、GPS制御部10による測位(ステップS11)から受話音量設定(ステップS13、又はステップS14)までの処理を行い、通話に移行するまでこの処理が繰り返される。
【0050】
一方、ユーザが通話を行う場合は(ステップS15:Yes)、ユーザが他の携帯電話にダイヤルするなどして通話に移行する(ステップS16)。この場合、受信音量制御部23は、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、移動速度判定部22で設定された受話音量のレベルの音量でレシーバ8から通話相手の受話音量を出力させる(受話音量制御工程)。そして、この図5に示す処理ルーチンは終了し、引き続き、図6に示す処理ルーチンに移行する。
【0051】
まず、図6に示す処理ルーチンでは、通話中において、GPS制御部10は、複数回の測位を行い(ステップS21)、移動速度検出部21は、複数回の測位の結果から、移動速度を算出し、メモリ9に記録する(移動速度検出工程)。
【0052】
続いて、移動速度判定部22は、上述した通り、移動速度が設定値よりも速いか遅いかの判定を行う(ステップS22)。ここで、移動速度が設定値よりも速かった場合には(ステップS22:Yes)、移動速度判定部22は、受話音量を「高速移動時用」に設定する(ステップS23)。一方、移動速度が設定値よりも遅かった場合には(ステップS22:No)、移動速度判定部22は、受話音量を「通常(低速移動時)用」に設定する(ステップS24)。
【0053】
次に、受信音量制御部23は、移動速度判定部22から設定内容の通知を受けた後、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、移動速度判定部22で設定された受話音量のレベルの音量でレシーバ8から受話音量を出力させる(受話音量制御工程、ステップS25)。
【0054】
ユーザが通話を終了しない場合には(ステップS26:No)、再度、GPS制御部10による測位(ステップS21)、受話音量設定(ステップS23、又はステップS24)、受話音量制御(ステップS25)の処理を行い、通話が終了するまでこの処理が繰り返される。
【0055】
一方、ユーザが通話を終了すると(ステップS26:Yes)、通話は終了し(ステップS27)、この処理ルーチンも終了する。そして、再び、図5に示す、待受け中のフローに移行する。
【0056】
以上より、ユーザが自動車や電車などの乗り物で移動中、移動速度が大きくなるにしたがって、例えば、乗り物が発する騒音が大きくなっても、移動速度に応じて、受話音量が大きく調節される。これにより、ユーザは、通話時の受話音量が聞き取りやすくなり、利便性が向上する。更に、ユーザが、徒歩などで移動中には、受話音量が大きく調節されることはないので、必要以上の受話音量となってしまうという不都合も生じずに済む。
【0057】
なお、受話音量の設定については、上述した設定基準に限られるものではなく、別途変更可能である。一例を以下に述べる。
【0058】
図7は、移動速度と受話音量設定との対応付けの一例を説明するための図である。例えば、図7に示すように、ユーザが車で時刻t0から時刻t1まで高速移動し、信号待ち等の理由で時刻t1から時刻t2までのごく短い時間(例えば30秒程度)停止し、またすぐに高速移動するというケースがある。
【0059】
このようなケースで通話を行っていた場合、第1の実施例では、受話音量が比較的短い時間で変化してしまうため、極めてまれではあるが、ユーザーが受話音量の変化に違和感を覚える可能性がある。そこで、移動速度検出部21が、高速移動中に低速移動を検出した場合、移動速度判定部22は、次の移動速度検出の結果が高速移動中であれば、受話音量を「高速移動時用」のままとする。一方、次の移動速度検出の結果が継続して低速移動であれば、移動速度判定部22は、受話音量を「通常時(低速移動時)用」に切り替えるという制御を行うことで、ごく自然な受話音量の切り替え制御を実現してもよい。
【実施例2】
【0060】
[構成]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。なお、本発明の第1の実施例と本発明の第2の実施例とでは、内部構成が一部異なるが、それ以外はほぼ同様の構成を有するため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、実施例1と異なる構成について詳細に説明する。
【0061】
本発明の第2の実施例では、通話時における携帯電話の通信状態を監視する通信状態監視部を更に備え、受話音量制御部は、上記移動速度検出部にて検出した移動速度および通信状態監視部にて検出した通信状態に基づいて、通話時の受話音量を制御する。これにより、通話相手の音声が小さい場合には、さらに受話音量を自動的に大きくすることができるため、ユーザが聞き取りにくくなることを防ぐことができる。
【0062】
図8は、第2の実施例における制御部の内部構成を示す図である。図4に示す第1の実施例における制御部の内部構成と比較して、新たに、通信状態監視部24、受話音量判定部25が設けられている。
【0063】
通信状態監視部24は、図1に示す無線部3で通信相手の電波を受信した後、通信相手からの送話音量を表す音声信号の出力を検出して、メモリ9に音声信号の出力の値を記録していく(通信状態監視手段)。また、受話音量判定部25は、メモリ9に記録された音声信号の出力の値が予め定めた設定値よりも大きいか、小さいかを判定する。
【0064】
図9は、予め定められた設定値に対する受話音量のレベルの対応付けを表すテーブルである。移動速度と受話音量設定との対応付けを表すテーブル(図2)と同様、図1に示すメモリ9に記憶されている。また、受話音量判定部25は、メモリ9に記録された音声信号の出力の値が予め定めた設定値(下限)より小さい場合には、音声信号の出力に応じてレベル1(A)、レベル2(B)、レベル3(C)の設定を受話音量制御部23に通知する。
【0065】
さらに、受話音量判定部25は、メモリ9に記録された音声信号の出力の値が予め定めた設定値(上限)より大きい場合には、音声信号の出力に応じてレベル1(―A)、レベル2(―B)、レベル3(―C)の設定を受話音量制御部23に通知する。例えば、Aは、受話音量のボリュームのレベルを1段階上げることを表しており、同様に、Bは2段階、Cは3段階上げることを表している。また、−Aは、受話音量のボリュームのレベルを1段階下げることを表しており、同様に、―Bは2段階、―Cは3段階下げることを表している。受話音量制御部23は、レベルに応じて、音声入出力制御部4に指示を出して、受話音量を調節する(受話音量制御手段)。
【0066】
次に、この第2の実施例における携帯電話の動作について説明する。
【0067】
[動作]
図10は、第2の実施例における携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。なお、待ち受け状態から通話に移行する処理ルーチンは、図5に示したフローチャートと同様であるので説明は省略する。
【0068】
この第2の実施例では、図5に示した処理ルーチンの終了を受けて、図9に示す処理ルーチンを開始する。まず、通話中において、通信状態監視部24は、通信相手からの送話音量を表す音声信号の出力を検出して、メモリ9に音声信号の出力の値を記録していく(通信状態監視工程、ステップS31)。続いて、GPS制御部10は、複数回の測位を行い(ステップS32)、移動速度検出部21は、複数回の測位の結果から、移動速度を算出し、メモリ9に記録する(移動速度検出工程)。
【0069】
続いて、移動速度判定部22は、上述した通り、移動速度が設定値よりも速いか遅いかの判定を行う(ステップS33)。ここで、移動速度が設定値よりも速かった場合には(ステップS33:Yes)、移動速度判定部22は、受話音量を「高速移動時用」に設定する(ステップS34)。
【0070】
一方、移動速度が設定値よりも遅かった場合には(ステップS33:No)、移動速度判定部22は、受話音量を「通常(低速移動時)用」に設定する(ステップS35)。受信音量制御部23では、移動速度判定部22から設定内容の通知を受けた後、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、移動速度判定部22で設定された受話音量のレベルの音量でレシーバ8から受話音量を出力させる(受話音量制御工程、ステップS36)。
【0071】
次に、受話音量判定部25は、メモリ9に記録された音声信号の出力の値が予め定めた設定値よりも大きいか、小さいかを判定する(ステップS37)。音声信号の出力値が予め定めた設定値(下限)よりも小さい場合には(ステップS37:Yes)、受話音量判定部25は、予め定められた設定値に対する受話音量のレベルの対応付けを表すテーブル(図9)を参照して、音声信号の出力の値に応じて、A、B、Cいずれかの値を受信音量制御部23に通知する。
【0072】
次に、受信音量制御部23では、移動速度判定部22から設定内容の通知を受けた後、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、受話音量判定部25で設定された受話音量のレベルに基づいて、受話音量のボリュームを大きくする(受信音量制御工程、ステップS38)。
【0073】
また、音声信号の出力値が予め定めた設定値(下限)よりも大きく(ステップS37:No)、かつ音声信号の出力値が予め定めた設定値(上限)よりも大きい場合には(ステップS39:Yes)、受話音量判定部25は、図9に示すテーブルを参照して、音声信号の出力の値に応じて、―A、―B、―Cいずれかの値を受信音量制御部23に通知する。この場合、受信音量制御部23では、移動速度判定部22から設定内容の通知を受けた後、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、受話音量判定部25で設定された受話音量のレベルに基づいて、受話音量のボリュームを小さくする(受信音量制御工程、ステップS40)。また、設定値(上限)よりも音声信号の出力値が小さい場合には(ステップS39:No)、受話音量の調節は行わない。
【0074】
続いて、ユーザが通話を終了しない場合には(ステップS41:No)、再度、通話状況監視(ステップS21)の処理に戻る。一方、ユーザが通話を終了すると(ステップS41:Yes)、通話は終了し(ステップS42)、この処理ルーチンも終了する。そして、再び、図4に示す、待受け中のフローに移行する。
【0075】
以上より、ユーザが自動車や電車などの乗り物で移動中、移動速度が大きくなるにしたがって、例えば、乗り物が発する騒音が大きくなっても、移動速度に応じて、受話音量が大きく調節される。
【0076】
本実施例では、さらに、通信状態監視部24が通話相手の音声信号を監視することにより、通話相手の音声が設定値よりも小さい場合には、受話音量のボリュームは自動的に大きく設定され、また、通話相手の音声が設定値よりも大きい場合には、受話音量ボリュームは自動的に小さく設定される。
【0077】
これにより、乗り物によっては、速度が大きくなっても騒音がそれほど大きくならない場合、通話相手の音声が小さくても、受話音量が大きく調節されるので、聞き取りにくくなる状況が回避される。また、通話相手の音声が大きすぎる場合には、受話音量が小さく調節されるので、適切な音量で通話することができる。
【実施例3】
【0078】
[構成]
次に、本発明の第3の実施例について説明する。なお、本発明の第2の実施例と本発明の第3の実施例とでは、内部構成が一部異なるが、それ以外はほぼ同様の構成を有するため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、実施例2と異なる構成について詳細に説明する。
【0079】
本発明の第3の実施例では、通信状態監視部が通信中における基地局との間の受信信号の通信品質を監視する。これにより、受信電波の感度が低く、通信中における基地局との間の受信信号の通信品質が悪い場合には、受話音量制御部は、携帯電話の受話音量を大きくして対処することができる。これにより、ユーザは、通話相手の音声が聞きとりやすくなる。
【0080】
[動作]
次に携帯電話1の動作について説明する。
【0081】
図11は、第3の実施例における携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。なお、待ち受け状態から通話に移行する処理ルーチンは、図5に示したフローチャートと同様であるので説明を省略する。
【0082】
第3の実施例では、図5に示した処理ルーチンの終了を受けて、図11に示す処理ルーチンが開始される。図8に示す通信状態監視部24は、通信中における基地局との間の受信信号の通信品質を監視し、その通信品質を表す値をメモリ9に記録する(ステップS51)。続いて、図10に示した処理ルーチン同様、GPSによる測位(ステップS52)、移動速度の判定(ステップS53)、受話音量の設定(ステップS54、又はステップS55)、受話音量制御部23により受話音量が調節される(ステップS56)。
【0083】
次に、受話音量判定部25は、メモリ9を参照して現在の通信品質を表す値から受信信号の通信品質の良否を判定する。そして、通信品質が不良の場合には(ステップS57:Yes)、その旨を図7に示す受話音量制御部23に通知し、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、受話音量のボリュームを大きくする(受信音量制御工程、ステップS58)。通信品質が良好の場合には(ステップS57:No)、受話音量制御部23は、受話音量の調節は行わない。続いて、ユーザが通話を終了しない場合には(ステップS59:No)、再度、通話状況監視(ステップS51)の処理に戻る。
【0084】
一方、ユーザが通話を終了すると(ステップS59:Yes)、通話は終了し(ステップS60)、この処理ルーチンも終了する。そして、再び、図5に示す、待受け中のフローに移行する。
【0085】
以上より、ユーザが自動車や電車などの乗り物で移動中、移動速度が大きくなるにしたがって、例えば、乗り物が発する騒音が大きくなっても、移動速度に応じて、受話音量が大きく調節される。
【0086】
本実施例では、さらに、通信状態監視部24が通信中における基地局との間の受信信号の通信品質を監視する。これにより、通信状態における受信信号の通信品質が不良の場合には、受話音量のボリュームは自動的に大きく設定されるので、通話相手の音声が聞き取りやすくなる。
【0087】
なお、上記実施例に加えて、同様の問題の解決に対して、メモリ9に地図情報を持つことで実現してもよい。この場合、GPS制御部10の測位から得た位置情報取得を、メモリ9にある地図情報と照合することで、ユーザーが自動車に乗っていることや電車に乗っていること、あるいは家にいることなどがある程度判別できる。従って、位置情報に従って受話音量を設定することができるため、例えば電車に乗っているときには常時「高速移動時用」の受話音量に設定されるので、ユーザは、移動速度による受話音量変化は発生せずに通話をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、携帯端末に利用することができ、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態としての携帯電話の主なブロック構成図である。
【図2】移動速度と受話音量設定との対応付けを表すテーブルである。
【図3】移動速度と受話音量設定との対応付けの一例を説明するための図である。
【図4】図1に示す制御部の内部構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態である携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態である携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。
【図7】移動速度と受話音量設定との対応付けの一例を説明するための図である。
【図8】第2の実施例における制御部の内部構成を示す図である。
【図9】予め定められた設定値に対する受話音量のレベルの対応付けを表すテーブルである。
【図10】第2の実施例における携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。
【図11】第3の実施例における携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1 携帯電話
2 制御部
3 無線部
4 音声処理部
5 音声入出力制御部
6 マイク
7 スピーカ
8 レシーバ
9 メモリ
10 GPS制御部
11 表示部
12 操作部
21 移動速度検出部
22 移動速度判定部
23 受話音量制御報部
24 通信状態監視部
25 受話音量判定部
31 送受信アンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信手段を備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯端末が普及するに伴い、自動車や電車などの乗り物での移動中に携帯電話を使用するケースが増えている。この場合、乗り物の走行に伴って発生する周囲の騒音が大きい条件下では、通話相手の声が聞こえづらくなる。なお、電車の移動時での使用は、例えば、電車内のデッキなどで携帯電話の通話が許可されているエリアでの使用を想定している。また、自動車の移動時での使用は、例えば、一例として、自家用車で助手席に乗っている者が携帯電話を使用する場合等を想定している。
【0003】
上述したようなケースにおいて、通話相手の声が聞こえづらい場合、ユーザが通話中に受話音量を大きくしようとすると、携帯電話の機種によっては、メニュー画面にしたがって、キー操作をするなどして受話音量を設定し直すなど、手間がかかるという問題がある。さらに、ユーザが、乗り物で移動中に受話音量を大きくする設定にした場合、次に屋内などの静かな場所で通話を行うと、必要以上の受話音量になり不都合も生じるという問題もある。
【0004】
そこで、携帯電話使用時における周囲の環境に応じて音量を自動的に制御する携帯電話が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
この特許文献1に開示された技術によれば、自動車の走行速度が大きくなるにつれて、自動車自体が発生する騒音も大きくなるとして、携帯電話の受話音量を大きくする。これにより、自動車の速度が所定値以上であれば、携帯電話内部の制御装置が、自動車の騒音が大きいと判断して受話音量を大きくする。すると、ユーザは、騒音下であっても相手の音声を聞くことができる。
【0006】
また、特許文献2に開示された技術によれば、携帯電話が、GPS機能搭載を備え、このGPS機能により携帯電話を現在所持しているユーザの位置を判断する。そして、公共の場であると判断された場合は、携帯電話の音量を自動的に制限する。
【0007】
【特許文献1】特開平03−123130号公報
【特許文献2】特開2006−254012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された携帯電話は、自動車に備え付けられた携帯電話であって、自動車の走行速度に基づいて、受話音量を制御している。そのため、自動車以外の移動については考慮されていない。
【0009】
また、特許文献2に開示された携帯電話では、上述した走行速度が大きい場合における受話音量の制御については特に記載されていない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、ユーザが移動中において周囲の音が大きい環境下であっても、通話時の受話音量が聞き取りやすくなるように利便性の向上が図られた携帯端末、その携帯端末の通信制御方法、およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明の携帯端末は、
無線通信手段を備えた携帯端末であって、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
上記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザが移動中において周囲の音が大きい環境下であっても、上記受話音量制御手段が、上記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて受話音量を適切な音量に制御する。したがって、通話時の受話音量が聞き取りやすくなるように利便性の向上が図られた携帯端末が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第1の形態である携帯端末は、上記移動速度検出手段が、ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する。さらに、上記受話音量制御手段が、上記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する。これによると、上述した通り、ユーザが移動中において周囲の音が大きい環境下であっても、上記受話音量制御手段が、上記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて受話音量を適切な音量に制御する。そのため、ユーザは、周囲が騒音下の環境であっても、受話音量のボリュームを大きくするためにキー操作をせずに済む。
【0014】
また、本発明の第1の形態である携帯端末は、上記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する通信状態監視手段を更に備え、上記受話音量制御手段は、上記移動速度検出手段にて検出した移動速度および上記通信状態監視手段にて検出した通信状態に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する、ことが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、上記移動速度検出手段に加えて、さらに、上記通信状態監視手段が、上記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する。そして、上記受話音量制御手段は、上記移動速度検出手段にて検出した移動速度および上記通信状態監視手段にて検出した通信状態に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する。
【0016】
これにより、上記通信状態監視手段が携帯端末の通信状態を監視した結果、通信状態が好ましくない場合には、上記受話音量制御手段は、さらに受話音量を自動的に大きくするができる。すると、ユーザは、通話相手の音声が聞き取りやすくなる。
【0017】
また、上記通信状態監視手段は、上記通信状態を表す通信相手からの送話音量を監視する、ことが好ましい。これにより、通話相手からの送話音量が小さい場合には、上記受話音量制御手段は、携帯端末の受話音量を大きくして対処することができる。
【0018】
また、上記通信状態監視手段は、上記通信状態を表す通信中における基地局との間の受信信号の通信品質を監視する、ことが好ましい。これにより、受信電波の感度が低く、通信中における基地局との間の受信信号の通信品質が悪い場合には、上記受話音量制御手段は、携帯端末の受話音量を大きくして対処することができる。
【0019】
また、上記受話音量制御手段は、上記移動速度検出手段にて検出された移動速度が大きくなるに従って、上記受話音量を大きくする、ことが好ましい。これにより、乗り物の走行に伴って発生する周囲の騒音が大きい条件下であっても、ユーザは、通話相手の声が聞こえやすくなる。
【0020】
また、上記受話音量制御手段は、通話相手からの上記送話音量の値が予め定めた設定値より低い場合には上記受話音量を大きくする、ことが好ましい。これにより、例えば、ユーザが上記設定値を予めキー操作などで設定すれば、個人差に応じて受話音量を大きくすることができる。
【0021】
また、上記受話音量制御手段は、通話相手からの上記送話音量の値が予め定めた設定値より大きい場合には上記受話音量を小さくする、ことが好ましい。これにより、例えば、ユーザが上記設定値を予めキー操作などで設定すれば、個人差に応じて受話音量を小さくすることができる。
【0022】
また、上記受話音量制御手段は、上記通信状態監視手段にて監視した上記受信信号の通信品質表す値が予め定めた設定値より低い場合には、設定値に応じて受話音量を大きくする、ことが好ましい。これにより、通信品質を表す値が低い値(例えば、受信電波の感度が低いことを表す)を予め設定値として設定しておけば、上記受話音量制御手段は、設定値より低い場合には、受話音量を大きくすることができる。そのため、ユーザは、受信電波の感度が低い場合であっても、キー操作することなく受話音量を大きくして通話相手の音声を聞くことができる。
【0023】
ここで、上記移動速度検出手段は、GPS(Global Positioning System)を備え、そのGPSにて上記携帯端末自体の位置情報を取得して上記移動速度を算出する、ことが好ましい。これにより、上記移動速度検出手段は、GPSにて上記移動速度を容易に算出することができる。
【0024】
ここで、上記目的を達成する本発明の第1の通信制御方法は、
無線通信手段を備えた携帯端末による通信制御方法であって、
上記携帯端末が、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出工程と、
上記移動速度検出工程にて検出した移動速度に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御工程と、を有することを特徴とする。
【0025】
本発明の第1の通信制御方法によれば、まず、上記移動速度検出工程にてユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する。続いて、上記受話音量制御工程にて、上記移動速度に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する。
【0026】
これにより、ユーザが移動中において周囲の音が大きい環境下であっても、通話時の受話音量が聞き取りやすくなるように利便性の向上が図られた携帯端末による通信制御方法が得られる。
【0027】
さらに、上記目的を達成する本発明の第2の通信制御方法は、
無線通信手段を備えた携帯端末による通信制御方法であって、
上記携帯端末が、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出工程と、
上記移動速度検出工程に前後して、上記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する通信状態監視工程と、
上記移動速度検出工程にて検出した移動速度および上記通信状態監視工程にて検出した通信状態に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御工程と、を有することを特徴とする。
【0028】
本発明の第2の通信制御方法によれば、上記移動速度検出工程にてユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する。さらに、上記移動速度検出工程に前後して、上記通信状態監視工程にて、上記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する。続いて、上記受話音量制御工程にて、上記移動速度検出工程にて検出した移動速度および上記通信状態監視工程にて検出した通信状態に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する。
【0029】
これにより、上記通信状態監視手段が携帯端末の通信状態を監視した結果、通信状態が好ましくない場合には、上記受話音量制御手段は、さらに、受話音量を自動的に大きくするができるため、ユーザが聞き取りにくくなることを防ぐことができる。したがって、ユーザが移動中において周囲の音が大きく、通信状態が好ましくない環境下であっても、通話時の受話音量が聞き取りやすくなるように利便性の向上が図られた携帯端末による通信制御方法が得られる。
【0030】
ここで、上記目的を達成する本発明の第1のプログラムは、
無線通信手段を備えた携帯端末に、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
上記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段と、を実現させる。
【0031】
さらに、上記目的を達成する本発明の第2のプログラムは、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
上記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する通信状態監視手段と、
上記移動速度検出手段にて検出した移動速度および上記通信状態監視手段にて検出した通信状態に基づいて、上記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段と、を実現させる。
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ここでは、本発明のプログラムに基づいて動作する携帯端末、その携帯端末で実行される本発明の通信制御方法について説明する。
【0033】
なお、以下では、本発明の携帯端末として、携帯電話を例に挙げて説明する。但し、これは一例であって、携帯電話に限られず、上記特徴を有する他の携帯端末(例えば、PHS(Personal Handyphone System)など)であってもよい。
【実施例1】
【0034】
[構成]
図1は、本発明の一実施形態としての携帯電話の主なブロック構成図である。この携帯電話1は、制御部2を中心として、無線部3、音声処理部4、音声入出力制御部5、メモリ9、GPS制御部10、表示部11、及び操作部12を接続して構成する。さらに、音声入出力制御部5は、マイク6、スピーカ7、レーシバ8を接続している。
【0035】
制御部2は、中央処理装置(CPU:Central processing Unit)であって、この携帯電話1の動作を総合的に制御するものである。制御部2の詳細については後述する。
【0036】
無線部3には、電波を送受する送受信アンテナ31が接続されている。この送受信アンテナ31で受信された受信波は、無線部3で復調され、音声処理部4でデコードなどの処理がなされ、得られた受話音が音声の入出力を制御する音声入出力制御部5からスピーカ7やレシーバ8を介して出力されユーザに伝えられる。音声処理部4は、マイク6から音声入出力制御部5を介して入力された送信すべき音声のエンコード、変調等の処理を行う。
【0037】
また、GPS制御部10は、無線部3を介してGPS衛星(不図示)との通信により現在位置を調べる測位機能を有している。GPS制御部10は、定期的に測位を行うことにより、後述する制御部2の移動速度検出部21では、測位した位置と時刻から、ユーザの移動に伴う携帯電話の移動速度を算出する。これにより、移動速度が容易に算出することができる。
【0038】
また、表示部11は、液晶表示用の液晶LCD(LCD:Liquid CrystalDisplay)からなり、携帯電話1のメニュー等を表示するものである。操作部12は、1から0までのテンキー、*キー、および#キーなどの操作キー(不図示)が設けられている。この操作部12は、操作キーの操作を受け付けた後、制御部2に各操作キーの処理の命令を出すものである。メモリ9は、本発明の一実施形態であるプログラム等を保存するメモリである。本実施例においては、移動速度に応じた2つの受話音量パターンを設定するためのテーブルがメモリ9に記憶されている。
【0039】
図2は、移動速度と受話音量設定との対応付けを表すテーブルである。このテーブルは、メモリ9に記憶されている。また、図3は、移動速度と受話音量設定との対応付けの一例を説明するための図である。図2に示す「通常(低速移動時)用」とは、図3(a)のように室内にいる時や歩いている時など移動速度が遅い(周囲が比較的静かであることが想定される)場合用の受話音量設定を表している。
【0040】
他方、図2に示す「高速移動時用」とは、図3(b)のように自動車や電車など移動速度が速い(走行に伴うノイズ等により周辺騒音が大きいことが想定される)場合用の受話音量設定である。本実施例では「通常(低速移動時)用」の音量に“+α(正の値)”した音量を「高速移動時用」としている。また、移動速度の大きさに応じて受話音量がレベル分けされている。移動速度に応じた受話音量の設定は制御部2が行う。
【0041】
図4は、図1に示す制御部の内部構成を示す図である。この制御部2には、メモリ9に記憶されている本発明の一実施形態であるプログラムが組み込まれることによって、移動速度検出部21、移動速度判定部22、および受話音量制御報部23が構築される。
【0042】
この移動速度検出部21は、GPS制御部10が定期的に測位を行うことにより、測位した位置と時刻から、ユーザの移動に伴う携帯電話の移動速度を算出する(移動速度検出手段)。この算出結果はメモリ9に記録される。
【0043】
移動速度判定部22は、メモリ9に記録されている移動速度を参照し、予め定めた設定値よりも速いかあるいは遅いかの判定を行う。設定値よりも速い場合には、移動速度判定部22は、図2に示す受話音量設定を「高速移動用」に設定する。また、設定値よりも遅い場合には、移動速度判定部22は、図2に示す受話音量設定を「通常(低速移動時)用」に設定する。さらに、移動速度に応じて、受話音量のレベルについて、5段階のうちからいずれか1つのレベルを設定する。図2のテーブルでは、受話音量の大きさは、段階的にA<B<C<D<Eの順としており、Eのレベルが最も移動速度が大きい場合に相当する。
【0044】
受話音量制御報部23は、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、移動速度判定部22で設定された受話音量のレベルに応じてレシーバ8から受話音量を出力させる(受話音量制御手段)。なお、ユーザ設定によりスピーカ7から受話音量を出力させてもよい。
【0045】
[動作]
次に携帯電話1の動作について説明する。
【0046】
図5、図6は、本発明の一実施形態である携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。図5は、待ち受け中から通話が開始されるまでの処理を表しており、図6は、通話中から通話が終了するまでの処理を表している。
【0047】
まず、ユーザにより携帯電話1の電源ONがなされた後、待受状態に移行し、図5に示すフローチャートの処理ルーチンが開始する。次に、GPS制御部10は、複数回の測位を行う(ステップS11)。次に、図4に示す移動速度検出部21は、複数回の測位の結果から、移動速度を算出し、メモリ9に記録する(移動速度検出工程)。
【0048】
続いて、移動速度判定部22は、移動速度が設定値よりも速いか遅いかの判定を行う(ステップS12)。ここで、移動速度が設定値よりも速かった場合には(ステップS12:Yes)、移動速度判定部22は、受話音量を「高速移動時用」に設定する(ステップS13)。一方、移動速度が設定値よりも遅かった場合には(ステップS12:No)、移動速度判定部22は、受話音量を「通常(低速移動時)用」に設定する(ステップS14)。
【0049】
ここで、ユーザが通話を行わない場合は(ステップS15:No)、再びステップS11の処理に戻る。再度、GPS制御部10による測位(ステップS11)から受話音量設定(ステップS13、又はステップS14)までの処理を行い、通話に移行するまでこの処理が繰り返される。
【0050】
一方、ユーザが通話を行う場合は(ステップS15:Yes)、ユーザが他の携帯電話にダイヤルするなどして通話に移行する(ステップS16)。この場合、受信音量制御部23は、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、移動速度判定部22で設定された受話音量のレベルの音量でレシーバ8から通話相手の受話音量を出力させる(受話音量制御工程)。そして、この図5に示す処理ルーチンは終了し、引き続き、図6に示す処理ルーチンに移行する。
【0051】
まず、図6に示す処理ルーチンでは、通話中において、GPS制御部10は、複数回の測位を行い(ステップS21)、移動速度検出部21は、複数回の測位の結果から、移動速度を算出し、メモリ9に記録する(移動速度検出工程)。
【0052】
続いて、移動速度判定部22は、上述した通り、移動速度が設定値よりも速いか遅いかの判定を行う(ステップS22)。ここで、移動速度が設定値よりも速かった場合には(ステップS22:Yes)、移動速度判定部22は、受話音量を「高速移動時用」に設定する(ステップS23)。一方、移動速度が設定値よりも遅かった場合には(ステップS22:No)、移動速度判定部22は、受話音量を「通常(低速移動時)用」に設定する(ステップS24)。
【0053】
次に、受信音量制御部23は、移動速度判定部22から設定内容の通知を受けた後、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、移動速度判定部22で設定された受話音量のレベルの音量でレシーバ8から受話音量を出力させる(受話音量制御工程、ステップS25)。
【0054】
ユーザが通話を終了しない場合には(ステップS26:No)、再度、GPS制御部10による測位(ステップS21)、受話音量設定(ステップS23、又はステップS24)、受話音量制御(ステップS25)の処理を行い、通話が終了するまでこの処理が繰り返される。
【0055】
一方、ユーザが通話を終了すると(ステップS26:Yes)、通話は終了し(ステップS27)、この処理ルーチンも終了する。そして、再び、図5に示す、待受け中のフローに移行する。
【0056】
以上より、ユーザが自動車や電車などの乗り物で移動中、移動速度が大きくなるにしたがって、例えば、乗り物が発する騒音が大きくなっても、移動速度に応じて、受話音量が大きく調節される。これにより、ユーザは、通話時の受話音量が聞き取りやすくなり、利便性が向上する。更に、ユーザが、徒歩などで移動中には、受話音量が大きく調節されることはないので、必要以上の受話音量となってしまうという不都合も生じずに済む。
【0057】
なお、受話音量の設定については、上述した設定基準に限られるものではなく、別途変更可能である。一例を以下に述べる。
【0058】
図7は、移動速度と受話音量設定との対応付けの一例を説明するための図である。例えば、図7に示すように、ユーザが車で時刻t0から時刻t1まで高速移動し、信号待ち等の理由で時刻t1から時刻t2までのごく短い時間(例えば30秒程度)停止し、またすぐに高速移動するというケースがある。
【0059】
このようなケースで通話を行っていた場合、第1の実施例では、受話音量が比較的短い時間で変化してしまうため、極めてまれではあるが、ユーザーが受話音量の変化に違和感を覚える可能性がある。そこで、移動速度検出部21が、高速移動中に低速移動を検出した場合、移動速度判定部22は、次の移動速度検出の結果が高速移動中であれば、受話音量を「高速移動時用」のままとする。一方、次の移動速度検出の結果が継続して低速移動であれば、移動速度判定部22は、受話音量を「通常時(低速移動時)用」に切り替えるという制御を行うことで、ごく自然な受話音量の切り替え制御を実現してもよい。
【実施例2】
【0060】
[構成]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。なお、本発明の第1の実施例と本発明の第2の実施例とでは、内部構成が一部異なるが、それ以外はほぼ同様の構成を有するため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、実施例1と異なる構成について詳細に説明する。
【0061】
本発明の第2の実施例では、通話時における携帯電話の通信状態を監視する通信状態監視部を更に備え、受話音量制御部は、上記移動速度検出部にて検出した移動速度および通信状態監視部にて検出した通信状態に基づいて、通話時の受話音量を制御する。これにより、通話相手の音声が小さい場合には、さらに受話音量を自動的に大きくすることができるため、ユーザが聞き取りにくくなることを防ぐことができる。
【0062】
図8は、第2の実施例における制御部の内部構成を示す図である。図4に示す第1の実施例における制御部の内部構成と比較して、新たに、通信状態監視部24、受話音量判定部25が設けられている。
【0063】
通信状態監視部24は、図1に示す無線部3で通信相手の電波を受信した後、通信相手からの送話音量を表す音声信号の出力を検出して、メモリ9に音声信号の出力の値を記録していく(通信状態監視手段)。また、受話音量判定部25は、メモリ9に記録された音声信号の出力の値が予め定めた設定値よりも大きいか、小さいかを判定する。
【0064】
図9は、予め定められた設定値に対する受話音量のレベルの対応付けを表すテーブルである。移動速度と受話音量設定との対応付けを表すテーブル(図2)と同様、図1に示すメモリ9に記憶されている。また、受話音量判定部25は、メモリ9に記録された音声信号の出力の値が予め定めた設定値(下限)より小さい場合には、音声信号の出力に応じてレベル1(A)、レベル2(B)、レベル3(C)の設定を受話音量制御部23に通知する。
【0065】
さらに、受話音量判定部25は、メモリ9に記録された音声信号の出力の値が予め定めた設定値(上限)より大きい場合には、音声信号の出力に応じてレベル1(―A)、レベル2(―B)、レベル3(―C)の設定を受話音量制御部23に通知する。例えば、Aは、受話音量のボリュームのレベルを1段階上げることを表しており、同様に、Bは2段階、Cは3段階上げることを表している。また、−Aは、受話音量のボリュームのレベルを1段階下げることを表しており、同様に、―Bは2段階、―Cは3段階下げることを表している。受話音量制御部23は、レベルに応じて、音声入出力制御部4に指示を出して、受話音量を調節する(受話音量制御手段)。
【0066】
次に、この第2の実施例における携帯電話の動作について説明する。
【0067】
[動作]
図10は、第2の実施例における携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。なお、待ち受け状態から通話に移行する処理ルーチンは、図5に示したフローチャートと同様であるので説明は省略する。
【0068】
この第2の実施例では、図5に示した処理ルーチンの終了を受けて、図9に示す処理ルーチンを開始する。まず、通話中において、通信状態監視部24は、通信相手からの送話音量を表す音声信号の出力を検出して、メモリ9に音声信号の出力の値を記録していく(通信状態監視工程、ステップS31)。続いて、GPS制御部10は、複数回の測位を行い(ステップS32)、移動速度検出部21は、複数回の測位の結果から、移動速度を算出し、メモリ9に記録する(移動速度検出工程)。
【0069】
続いて、移動速度判定部22は、上述した通り、移動速度が設定値よりも速いか遅いかの判定を行う(ステップS33)。ここで、移動速度が設定値よりも速かった場合には(ステップS33:Yes)、移動速度判定部22は、受話音量を「高速移動時用」に設定する(ステップS34)。
【0070】
一方、移動速度が設定値よりも遅かった場合には(ステップS33:No)、移動速度判定部22は、受話音量を「通常(低速移動時)用」に設定する(ステップS35)。受信音量制御部23では、移動速度判定部22から設定内容の通知を受けた後、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、移動速度判定部22で設定された受話音量のレベルの音量でレシーバ8から受話音量を出力させる(受話音量制御工程、ステップS36)。
【0071】
次に、受話音量判定部25は、メモリ9に記録された音声信号の出力の値が予め定めた設定値よりも大きいか、小さいかを判定する(ステップS37)。音声信号の出力値が予め定めた設定値(下限)よりも小さい場合には(ステップS37:Yes)、受話音量判定部25は、予め定められた設定値に対する受話音量のレベルの対応付けを表すテーブル(図9)を参照して、音声信号の出力の値に応じて、A、B、Cいずれかの値を受信音量制御部23に通知する。
【0072】
次に、受信音量制御部23では、移動速度判定部22から設定内容の通知を受けた後、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、受話音量判定部25で設定された受話音量のレベルに基づいて、受話音量のボリュームを大きくする(受信音量制御工程、ステップS38)。
【0073】
また、音声信号の出力値が予め定めた設定値(下限)よりも大きく(ステップS37:No)、かつ音声信号の出力値が予め定めた設定値(上限)よりも大きい場合には(ステップS39:Yes)、受話音量判定部25は、図9に示すテーブルを参照して、音声信号の出力の値に応じて、―A、―B、―Cいずれかの値を受信音量制御部23に通知する。この場合、受信音量制御部23では、移動速度判定部22から設定内容の通知を受けた後、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、受話音量判定部25で設定された受話音量のレベルに基づいて、受話音量のボリュームを小さくする(受信音量制御工程、ステップS40)。また、設定値(上限)よりも音声信号の出力値が小さい場合には(ステップS39:No)、受話音量の調節は行わない。
【0074】
続いて、ユーザが通話を終了しない場合には(ステップS41:No)、再度、通話状況監視(ステップS21)の処理に戻る。一方、ユーザが通話を終了すると(ステップS41:Yes)、通話は終了し(ステップS42)、この処理ルーチンも終了する。そして、再び、図4に示す、待受け中のフローに移行する。
【0075】
以上より、ユーザが自動車や電車などの乗り物で移動中、移動速度が大きくなるにしたがって、例えば、乗り物が発する騒音が大きくなっても、移動速度に応じて、受話音量が大きく調節される。
【0076】
本実施例では、さらに、通信状態監視部24が通話相手の音声信号を監視することにより、通話相手の音声が設定値よりも小さい場合には、受話音量のボリュームは自動的に大きく設定され、また、通話相手の音声が設定値よりも大きい場合には、受話音量ボリュームは自動的に小さく設定される。
【0077】
これにより、乗り物によっては、速度が大きくなっても騒音がそれほど大きくならない場合、通話相手の音声が小さくても、受話音量が大きく調節されるので、聞き取りにくくなる状況が回避される。また、通話相手の音声が大きすぎる場合には、受話音量が小さく調節されるので、適切な音量で通話することができる。
【実施例3】
【0078】
[構成]
次に、本発明の第3の実施例について説明する。なお、本発明の第2の実施例と本発明の第3の実施例とでは、内部構成が一部異なるが、それ以外はほぼ同様の構成を有するため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、実施例2と異なる構成について詳細に説明する。
【0079】
本発明の第3の実施例では、通信状態監視部が通信中における基地局との間の受信信号の通信品質を監視する。これにより、受信電波の感度が低く、通信中における基地局との間の受信信号の通信品質が悪い場合には、受話音量制御部は、携帯電話の受話音量を大きくして対処することができる。これにより、ユーザは、通話相手の音声が聞きとりやすくなる。
【0080】
[動作]
次に携帯電話1の動作について説明する。
【0081】
図11は、第3の実施例における携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。なお、待ち受け状態から通話に移行する処理ルーチンは、図5に示したフローチャートと同様であるので説明を省略する。
【0082】
第3の実施例では、図5に示した処理ルーチンの終了を受けて、図11に示す処理ルーチンが開始される。図8に示す通信状態監視部24は、通信中における基地局との間の受信信号の通信品質を監視し、その通信品質を表す値をメモリ9に記録する(ステップS51)。続いて、図10に示した処理ルーチン同様、GPSによる測位(ステップS52)、移動速度の判定(ステップS53)、受話音量の設定(ステップS54、又はステップS55)、受話音量制御部23により受話音量が調節される(ステップS56)。
【0083】
次に、受話音量判定部25は、メモリ9を参照して現在の通信品質を表す値から受信信号の通信品質の良否を判定する。そして、通信品質が不良の場合には(ステップS57:Yes)、その旨を図7に示す受話音量制御部23に通知し、図1に示す音声入出力制御部5に指示を出し、受話音量のボリュームを大きくする(受信音量制御工程、ステップS58)。通信品質が良好の場合には(ステップS57:No)、受話音量制御部23は、受話音量の調節は行わない。続いて、ユーザが通話を終了しない場合には(ステップS59:No)、再度、通話状況監視(ステップS51)の処理に戻る。
【0084】
一方、ユーザが通話を終了すると(ステップS59:Yes)、通話は終了し(ステップS60)、この処理ルーチンも終了する。そして、再び、図5に示す、待受け中のフローに移行する。
【0085】
以上より、ユーザが自動車や電車などの乗り物で移動中、移動速度が大きくなるにしたがって、例えば、乗り物が発する騒音が大きくなっても、移動速度に応じて、受話音量が大きく調節される。
【0086】
本実施例では、さらに、通信状態監視部24が通信中における基地局との間の受信信号の通信品質を監視する。これにより、通信状態における受信信号の通信品質が不良の場合には、受話音量のボリュームは自動的に大きく設定されるので、通話相手の音声が聞き取りやすくなる。
【0087】
なお、上記実施例に加えて、同様の問題の解決に対して、メモリ9に地図情報を持つことで実現してもよい。この場合、GPS制御部10の測位から得た位置情報取得を、メモリ9にある地図情報と照合することで、ユーザーが自動車に乗っていることや電車に乗っていること、あるいは家にいることなどがある程度判別できる。従って、位置情報に従って受話音量を設定することができるため、例えば電車に乗っているときには常時「高速移動時用」の受話音量に設定されるので、ユーザは、移動速度による受話音量変化は発生せずに通話をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、携帯端末に利用することができ、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態としての携帯電話の主なブロック構成図である。
【図2】移動速度と受話音量設定との対応付けを表すテーブルである。
【図3】移動速度と受話音量設定との対応付けの一例を説明するための図である。
【図4】図1に示す制御部の内部構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態である携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態である携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。
【図7】移動速度と受話音量設定との対応付けの一例を説明するための図である。
【図8】第2の実施例における制御部の内部構成を示す図である。
【図9】予め定められた設定値に対する受話音量のレベルの対応付けを表すテーブルである。
【図10】第2の実施例における携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。
【図11】第3の実施例における携帯電話の動作の一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1 携帯電話
2 制御部
3 無線部
4 音声処理部
5 音声入出力制御部
6 マイク
7 スピーカ
8 レシーバ
9 メモリ
10 GPS制御部
11 表示部
12 操作部
21 移動速度検出部
22 移動速度判定部
23 受話音量制御報部
24 通信状態監視部
25 受話音量判定部
31 送受信アンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信手段を備えた携帯端末であって、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
前記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて、前記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段と、を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する通信状態監視手段を更に備え、
前記受話音量制御手段は、
前記移動速度検出手段にて検出した移動速度および前記通信状態監視手段にて検出した通信状態に基づいて、前記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する、ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記通信状態監視手段は、前記通信状態を表す通信相手からの送話音量を監視する、ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記通信状態監視手段は、前記通信状態を表す通信中における基地局との間の受信信号の通信品質を監視する、ことを特徴とする請求項2又は3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記受話音量制御手段は、前記移動速度検出手段にて検出された移動速度が大きくなるに従って、前記受話音量を大きくする、ことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の携帯端末。
【請求項6】
前記受話音量制御手段は、通話相手からの前記送話音量の値が予め定めた設定値より低い場合には前記受話音量を大きくする、ことを特徴とする請求項3記載の携帯端末。
【請求項7】
前記受話音量制御手段は、通話相手からの前記送話音量の値が予め定めた設定値より大きい場合には前記受話音量を小さくする、ことを特徴とする請求項3記載の携帯端末。
【請求項8】
前記受話音量制御手段は、前記通信状態監視手段にて監視した前記受信信号の通信品質表す値が予め定めた設定値より低い場合には、設定値に応じて受話音量を大きくする、ことを特徴とする請求項4項記載の携帯端末。
【請求項9】
前記移動速度検出手段は、GPS(Global Positioning System)を備え、該GPSにて前記携帯端末自体の位置情報を取得して前記移動速度を算出する、ことを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1記載の携帯端末。
【請求項10】
無線通信手段を備えた携帯端末による通信制御方法であって、
前記携帯端末が、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出工程と、
前記移動速度検出工程にて検出した移動速度に基づいて、前記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御工程と、を有することを特徴とする通信制御方法。
【請求項11】
無線通信手段を備えた携帯端末による通信制御方法であって、
前記携帯端末が、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出工程と、
前記移動速度検出工程に前後して、前記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する通信状態監視工程と、
前記移動速度検出工程にて検出した移動速度および前記通信状態監視工程にて検出した通信状態に基づいて、前記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御工程と、を有することを特徴とする通信制御方法。
【請求項12】
無線通信手段を備えた携帯端末に、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
前記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて、前記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段と、を実現させるためのプログラム。
【請求項13】
無線通信手段を備えた携帯端末に、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
前記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する通信状態監視手段と、
前記移動速度検出手段にて検出した移動速度および前記通信状態監視手段にて検出した通信状態に基づいて、前記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段と、を実現させるためのプログラム。
【請求項1】
無線通信手段を備えた携帯端末であって、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
前記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて、前記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段と、を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する通信状態監視手段を更に備え、
前記受話音量制御手段は、
前記移動速度検出手段にて検出した移動速度および前記通信状態監視手段にて検出した通信状態に基づいて、前記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する、ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記通信状態監視手段は、前記通信状態を表す通信相手からの送話音量を監視する、ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記通信状態監視手段は、前記通信状態を表す通信中における基地局との間の受信信号の通信品質を監視する、ことを特徴とする請求項2又は3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記受話音量制御手段は、前記移動速度検出手段にて検出された移動速度が大きくなるに従って、前記受話音量を大きくする、ことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の携帯端末。
【請求項6】
前記受話音量制御手段は、通話相手からの前記送話音量の値が予め定めた設定値より低い場合には前記受話音量を大きくする、ことを特徴とする請求項3記載の携帯端末。
【請求項7】
前記受話音量制御手段は、通話相手からの前記送話音量の値が予め定めた設定値より大きい場合には前記受話音量を小さくする、ことを特徴とする請求項3記載の携帯端末。
【請求項8】
前記受話音量制御手段は、前記通信状態監視手段にて監視した前記受信信号の通信品質表す値が予め定めた設定値より低い場合には、設定値に応じて受話音量を大きくする、ことを特徴とする請求項4項記載の携帯端末。
【請求項9】
前記移動速度検出手段は、GPS(Global Positioning System)を備え、該GPSにて前記携帯端末自体の位置情報を取得して前記移動速度を算出する、ことを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1記載の携帯端末。
【請求項10】
無線通信手段を備えた携帯端末による通信制御方法であって、
前記携帯端末が、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出工程と、
前記移動速度検出工程にて検出した移動速度に基づいて、前記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御工程と、を有することを特徴とする通信制御方法。
【請求項11】
無線通信手段を備えた携帯端末による通信制御方法であって、
前記携帯端末が、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出工程と、
前記移動速度検出工程に前後して、前記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する通信状態監視工程と、
前記移動速度検出工程にて検出した移動速度および前記通信状態監視工程にて検出した通信状態に基づいて、前記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御工程と、を有することを特徴とする通信制御方法。
【請求項12】
無線通信手段を備えた携帯端末に、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
前記移動速度検出手段にて検出した移動速度に基づいて、前記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段と、を実現させるためのプログラム。
【請求項13】
無線通信手段を備えた携帯端末に、
ユーザの移動に伴う携帯端末自体の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
前記無線通信手段による通話時における携帯端末の通信状態を監視する通信状態監視手段と、
前記移動速度検出手段にて検出した移動速度および前記通信状態監視手段にて検出した通信状態に基づいて、前記無線通信手段による通話時の受話音量を制御する受話音量制御手段と、を実現させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−306242(P2008−306242A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148853(P2007−148853)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]