説明

携帯端末の制御方法及びプログラム

【課題】2回目以降の災害発生時に、より確実に緊急災害速報を受信する携帯端末の制御方法が、望まれる。
【解決手段】携帯端末の制御方法は、第1の緊急災害速報を受信する第1の工程と、第1の緊急災害速報の後に、携帯端末の動作モードをFM放送の受信が可能な状態に遷移させる第2の工程と、FM放送によって送信される第2の緊急災害速報を受信した後に、携帯端末の動作モードを警告システムモードに遷移させ、ユーザに災害発生の可能性を警告する第3の工程と、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末の制御方法及びプログラムに関する。特に、緊急災害速報の受信が可能な携帯端末の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模地震等の災害が発生した際に、通信・放送インフラを利用した緊急災害速報通知システムが存在する。図2は、緊急地震速報通知システムの概略の一例を示す図である。
【0003】
大規模な地震が発生すると、震源地に近い観測点10及び11の地震計で捉えた地震波のデータが解析され、震源の位置やマグニチュードに関する情報が気象庁20に通知される。気象庁20が、入手したデータから地震の発生を予見した場合には、緊急地震速報として、テレビ局30、ラジオ局31及び携帯電話の通信事業者等に通知する。緊急地震速報を受けたテレビ局30等は、地震発生の可能性を、放送波等により視聴者に通知する。
【0004】
ここで、携帯電話等の携帯端末の利用者が緊急地震速報により地震発生の可能性を確認するための手段を検討する。
【0005】
第1の手段は、通信事業者が、基地局40及びモバイルネットワーク41を通じて、通信エリア42内に存在する携帯端末50に配信するメールを受信する方法である。
【0006】
第2の手段は、テレビ局30等が送信するワンセグ放送から緊急地震速報を受信する方法である。この場合には、携帯端末51は、ワンセグ放送を受信するチューナを備えていなければならない。
【0007】
ここで、特許文献1において、緊急地震速報等の緊急情報を逃すことなく車両の搭乗者に通知し、搭乗者の安全性を向上させる緊急情報受信システムが開示されている。
【0008】
さらに、特許文献2において、緊急警報情報を受信した場合に、直ちに放送受信することなく、所定の起動遅延時間の経過後に放送受信を起動して放送表示することで、災害直後のユーザの緊急避難行動を妨げることなく、かつ緊急避難後には放送により災害情報を確実に確認できるようにした放送受信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−130836号公報
【特許文献2】特開2010−062886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。
【0011】
上述のように、携帯端末では2つの手段により大規模地震等が発生した際の緊急災害速報の確認が可能である。しかし、第1及び第2の手段共に、2回目以降の緊急災害速報の確認には問題がある。
【0012】
第1の手段には、以下の問題点がある。最初の大規模地震等の発生時には、災害発生の直前に通信事業者が一斉送信する緊急災害速報によって、大規模地震等の災害発生の可能性を予見できる。しかし、2回目以降の災害発生の際には、最初の災害の影響により各拠点の機能が失われている場合が考えられる。つまり、最初の災害により基地局自体が機能停止に陥る可能性がある。
【0013】
さらに、ネットワークの輻輳(通信の集中)も考えられる。大規模地震等の災害が発生すると、メールや通話等による安否確認を目的とした通信が瞬間的に増大するためである。このことは、震源地の近辺だけに起こる現象ではなく、震源地から遠く離れたエリアであっても、2回目以降の緊急災害速報が受信できない、又は、大幅に遅延して受信するなどの問題を引き起こす。また、通信事業者が送信する緊急災害速報はメールによって送信されるため、携帯端末の通信エリア内でなければ、第1の手段による確認はできない。
【0014】
第2の手段には、以下の問題点がある。第2の手段は、ワンセグ放送によって緊急災害速報を確認する方法である。しかし、携帯端末の利用者が常にワンセグ放送を受信できるエリアに滞在しているとは限らない。より具体的には、山岳地帯や地下だけではなく、室内でもワンセグ放送の受信が困難な場合がある。
【0015】
さらに、携帯端末はバッテリー駆動であり、大規模地震発生時等の非常事態では、バッテリーの充電も困難になることも想定され、より低消費電力で緊急災害速報を受信できる必要がある。
【0016】
以上のとおり、緊急災害速報の受信が可能な携帯端末には、解決すべき問題点が存在する。そのため、2回目以降の災害発生時に、より確実に緊急災害速報を受信する携帯端末の制御方法及びプログラムが、望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の視点によれば、FM放送の受信が可能な携帯端末の制御方法であって、第1の緊急災害速報を受信する第1の工程と、前記第1の緊急災害速報の後に、前記携帯端末の動作モードをFM放送の受信が可能な状態に遷移させる第2の工程と、FM放送によって送信される第2の緊急災害速報を受信した後に、前記携帯端末の動作モードを警告システムモードに遷移させ、ユーザに災害発生の可能性を警告する第3の工程と、を含む携帯端末の制御方法が提供される。
【0018】
本発明の第2の視点によれば、FM放送の受信が可能な携帯端末を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、第1の緊急災害速報を受信する第1の処理と、前記第1の緊急災害速報の後に、前記携帯端末の動作モードをFM放送の受信可能な状態に遷移させる第2の処理と、FM放送によって送信される第2の緊急災害速報を受信した後に、前記携帯端末の動作モードを警告システムモードに遷移させ、ユーザに災害発生の可能性を警告する第3の処理と、を実行するプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の各視点によれば、2回目以降の災害発生時に、より確実に緊急災害速報を受信する携帯端末の制御方法及びプログラムが、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の概要を説明するための図である。
【図2】緊急地震速報通知システムの概略の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末1の内部構成の一例を示す図である。
【図4】2011年3月時点におけるNHKのFM局が送信するチャイム音を示す図である。
【図5】図3に示す周波数変換部107における時間軸波形から周波数軸波形への変換の一例を示す図である。
【図6】携帯端末1の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】携帯端末1を含む緊急地震速報通知システムの概略の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
初めに、図1を用いて一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0022】
上述のように、最初の大規模地震等の災害発生の直前に送信される緊急災害速報については、通信事業者が送信する一斉メール等で確認することが可能である。しかし、2回目以降の災害発生の直前に送信される緊急災害速報については、インフラの機能停止やネットワークの輻輳により、適切なタイミングで受信できるとは限らない。また、山岳地帯など電波の届かない地域では、緊急災害速報をワンセグ放送では受信することができないという問題がある。さらに、大規模地震発生時等のような非常事態では、携帯端末のバッテリーを充電することが困難になる状況も想定され、より低消費電力で緊急災害速報を受信できる必要がある。そのため、2回目以降の災害発生時に、より確実に緊急災害速報を受信する携帯端末の制御方法及びプログラムが、望まれる。
【0023】
そこで、一例として図1に示す携帯端末の制御方法を提供する。図1に示す携帯端末の制御方法は、第1の緊急災害速報を受信する第1の工程と、第1の緊急災害速報の後に、携帯端末の動作モードをFM放送の受信が可能な状態に遷移させる第2の工程と、FM放送によって送信される第2の緊急災害速報を受信した後に、携帯端末の動作モードを警告システムモードに遷移させ、ユーザに災害発生の可能性を警告する第3の工程と、を含んでいる。
【0024】
即ち、最初の緊急災害速報は、一斉メールやワンセグ放送等によって受信する。この最初の緊急災害速報を受信するまでは、FM放送の受信を行わない(FM放送を受信する機能を有効にしない)。従って、常にFM放送を受信する必要はなく、FM放送受信のための電力は必要としない。
【0025】
最初の大規模地震等の災害発生以前は、基地局等のインフラが機能停止しているわけではなく、最初に送信される緊急災害速報は、携帯端末で受信できる可能性が高い。しかし、最初の大規模地震等の災害により、メール送信に使用される基地局等の機能停止やネットワークの輻輳が発生し、2回目以降の緊急災害速報が、適切なタイミングで受信できない場合がある。
【0026】
そこで、携帯端末の動作モードをFM放送の受信可能な状態に遷移させた後、FM放送から第2の緊急災害速報を受信した場合に、ユーザに災害発生の可能性を通知する。FM放送であれば、ネットワークの輻輳といった問題はなく、携帯端末が受信できるエリアもワンセグ放送よりも広い。そのため、2回目以降の緊急災害速報が受信できる可能性を高めることが可能になる。
【0027】
本発明において下記の形態が可能である。
【0028】
[形態1]上記第1の視点に係る携帯端末の制御方法のとおりである。
【0029】
[形態2]前記携帯端末の制御方法は、さらに、前記携帯端末は、他の携帯端末と通信が可能であり、前記警告システムモードに遷移後、他の携帯端末に対し、災害発生の可能性を通知する第4の工程を含むことが好ましい。
【0030】
[形態3]前記携帯端末の制御方法は、さらに、ユーザの視覚に対し、災害発生の可能性を警告する第5の工程を含むことが好ましい。
【0031】
[形態4]前記携帯端末の制御方法は、さらに、ユーザからの操作を受け付けるまで、前記第3及び第5の工程におけるユーザに対する警告を継続する第6の工程を含むことが好ましい。
【0032】
[形態5]前記3の工程は、前記第2の緊急災害速報の前に送信されるチャイム音に基づき、受信したFM放送を前記第2の緊急災害速報と判定することが好ましい。
【0033】
[形態6]他の携帯端末との通信は、携帯端末同士が無線により実現されることが好ましい。
【0034】
[形態7]前記第3の工程は、警告音の出力及び前記携帯端末の振動によって、ユーザに災害発生の可能性を通知することが好ましい。
【0035】
[形態8]前記携帯端末の制御方法は、前記第1の緊急災害速報を、通信事業者が送信するメール、又は、ワンセグ放送波によって受信することが好ましい。
【0036】
[形態9]前記携帯端末の制御方法は、FM放送によって送信される第2の緊急災害速報に代えて、他の携帯端末との通信により、災害発生の可能性を入手する工程を含むことが好ましい。
【0037】
[形態10]上記第2の視点に係るプログラムのとおりである。
【0038】
[形態11]前記プログラムは、さらに、前記携帯端末は、他の携帯端末と通信が可能であり、前記警告システムモードに遷移後、他の携帯端末に対し、災害発生の可能性を通知する第4の処理を実行することが好ましい。
【0039】
[形態12]前記プログラムは、さらに、ユーザの視覚に対し、災害発生の可能性を警告する第5の処理を実行することが好ましい。
【0040】
[形態13]前記プログラムは、さらに、ユーザからの操作を受け付けるまで、前記第3及び第5の処理におけるユーザに対する警告を継続する第6の処理を実行することが好ましい。
【0041】
[形態14]前記3の処理は、前記第2の緊急災害速報の前に送信されるチャイム音に基づき、受信したFM放送を前記第2の緊急災害速報と判定することが好ましい。
【0042】
[形態15]他の携帯端末との通信は、携帯端末同士が無線により実現されることが好ましい。
【0043】
[形態16]前記第3の処理は、警告音の出力及び前記携帯端末の振動によって、ユーザに災害発生の可能性を通知することが好ましい。
【0044】
[形態17]前記プログラムは、前記第1の緊急災害速報を、通信事業者が送信するメール、又は、ワンセグ放送波によって受信することが好ましい。
【0045】
[形態18]前記プログラムは、FM放送によって送信される第2の緊急災害速報に代えて、他の携帯端末との通信により、災害発生の可能性を入手する処理を実行することが好ましい。
【0046】
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0047】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。本実施形態においては、大規模な地震が発生し、緊急地震速報が通知される場合について説明する。
【0048】
図3は、本実施形態に係る携帯端末1の内部構成の一例を示す図である。
【0049】
携帯端末1は、制御部101と、表示部102と、音声部103と、振動部104と、操作部105と、FM受信部106と、周波数変換部107と、チャイム音判定部108と近距離通信部109から構成されている。
【0050】
制御部101は、携帯端末1の全体を制御する。図3においては、制御部101が、表示部102、音声部103、振動部104、操作部105、チャイム音判定部108、近距離通信部109の各部を制御する。
【0051】
表示部102は、ディスプレイに文字や画像等を出力する。
【0052】
音声部103は、通話音声や着信音などの出力を行う。
【0053】
振動部104は、マナーモード等において、内部モータを使用して振動を発生させる。
【0054】
操作部105は、ユーザが行う携帯端末1に対する操作を受け付ける。
【0055】
さらに、FM受信部106、周波数変換部107及びチャイム音判定部108により緊急地震速報判定部を構成する。
【0056】
FM受信部106は、FM放送を受信する。FM受信部106が受信するFM放送には、大規模地震の発生直前に特定のラジオ局が放送するチャイム音が含まれる。
【0057】
図4は、2011年3月時点におけるNHKのFM局が送信するチャイム音を示す図である。図4に示すチャイム音は、5音と半音ずらした5音により構成されている。図4に示すチャイム音が2回送信された後に、緊急地震速報のアナウンスが放送される。
【0058】
周波数変換部107は、FM受信部106で受信したFM放送の時間軸波形を周波数軸波形に変換する。
【0059】
図5は、周波数変換部107における時間軸波形から周波数軸波形への変換の一例を示す図である。図5の上段の点線で囲む部分を周波数軸波形へ変換したものが図5の下段である。
【0060】
チャイム音判定部108は、図5に示す周波数軸波形から、FM受信部106で受信したFM放送が緊急地震速報のチャイム音か否かを判定する。図4に示すように、緊急地震速報の直前に放送されるチャイム音は固有の周波数(音程)から構成されている。従って、図5の上段に示す波形の点線で囲まれた部分にチャイム音が含まれていれば、図5の下段に示すように固有の周波数にピークが現れる。この波形パターンを予め記憶しておき、FM受信部106で受信したFM放送の周波数変換の結果とマッチングを行い、チャイム音か否かを判定する。
【0061】
制御部101は、緊急地震速報判定部において、FM放送により緊急地震速報が通知されると判定した際には、携帯端末1の動作モードを警告システムモードに遷移させる。
【0062】
近距離通信部109は、WiFi(登録商標;Wireless Fidelity)やZigBee(登録商標)等の近距離通信を可能とする。なお、メールの送受信やワンセグ放送受信のための機能モジュールの説明については省略する。
【0063】
次に、携帯端末1の動作について説明する。
【0064】
図6は、携帯端末1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0065】
ステップS01では、制御部101において、最初の緊急地震速報を受信したか否かを確認する。最初の緊急地震速報を受信している場合には、ステップS02に遷移する。最初の緊急地震速報を受信していない場合には、ステップS01の確認を継続する。なお、最初の緊急地震速報を受信する以前には、緊急地震速報判定部(FM受信部106、周波数変換部107及びチャイム音判定部108)の機能はオフとする。
【0066】
緊急地震速報判定部の初期設定をオフにする理由は、最初の大規模地震が発生するまでは、基地局等は正常であり、最初の緊急地震速報を受信できる可能性が極めて高いためである。そこで、最初の緊急地震速報を受信する前は、緊急地震速報判定部の機能をオフし、携帯端末1の消費電力を抑制する。
【0067】
ステップS02では、制御部101において、FM放送及び近距離通信の状態を監視する周期(ポーリング時間)の設定を行う。ここで、大規模地震の発生時には、携帯端末1のバッテリーを充電することが困難な状況が想定される。そのため、ポーリング時間は任意に設定可能とすることが好ましい。バッテリー消費を抑えるため、ポーリング時間の初期設定は、例えば、1秒とする。ポーリング時間に相当する期間は、図6のフローチャートに示す処理を中断する。処理の中断期間はFM放送の受信を行わない。
【0068】
ステップS03では、緊急地震速報判定部のFM受信部106でFM放送の受信を行う。さらに、チャイム音判定部108において、受信したFM放送が緊急地震速報のチャイム音か否かの確認を行う。FM放送がチャイム音であれば、ステップS04に遷移する。FM放送がチャイム音でなければ、ステップS06に遷移する。
【0069】
ステップS04では、ステップS03と同様に、受信したFM放送が緊急地震速報のチャイム音か否かの確認を行う。FM放送がチャイム音であれば、ステップS05に遷移する。FM放送がチャイム音でなければ、ステップS06に遷移する。なお、本ステップでのチャイム音の確認対象は、ステップS03の確認対象とは異なることがある。より具体的には、図4に示すように、最初のチャイム音と、次のチャイム音の周波数(音程)が一致しているとは限らないためである。図4に示すチャイム音では、最初のチャイム音と次のチャイム音では、半音ずれている。
【0070】
ステップS05においても、ステップS03とステップS04と同様に、受信したFM放送が緊急地震速報のチャイム音か否かの確認を行う。FM放送がチャイム音であれば、ステップS07に遷移する。FM放送がチャイム音でなければ、ステップS06に遷移する。
【0071】
ここで、ステップS03に加え、ステップS04及びS05でもチャイム音を再度確認する理由は、チャイム音と類似する音声をチャイム音と誤判定することを防止するためである。そのため、ステップS04及びS05は、チャイム音の誤判定防止のための保護処理といえる。
【0072】
上述のように、ラジオ局から放送されるチャイム音は、最初のチャイム音が5音、次のチャイム音が半音ずれた5音、さらに、最初のチャイム音と同様の5音、最後に、2回目のチャイム音と同様の半音ずれた5音で構成されることがある。チャイム音が上記のように、構成されている場合には、ステップS05において、再度のチャイム音を確認することによって、チャイム音の判定をより確実なものとする。従って、3回連続でチャイム音の判定に成功した場合に、ラジオ局の放送するチャイム音を受信できたとしてステップS07に遷移する。
【0073】
一方、ステップS03〜S05のいずれかで、チャイム音の判定に失敗した場合には、ステップS06に遷移することになる。
【0074】
ステップS06では、他の携帯端末から警告通知を受信しているか否かの確認を行う。他の携帯端末から警告通知を受信している場合には、ステップS07に遷移する。他の携帯端末から警告通知を受信していない場合には、緊急地震速報が放送されてないものと判断し、ステップS02に戻り、処理を継続する。
【0075】
上述のように、チャイム音は5音と半音ずれた5音を2回繰り返す場合がある。そのような場合に、ポーリングを開始するタイミングによっては、3回のチャイム音の判定に成功しない場合が考えられる(例えば、3回目のチャイム音から判定を始めた場合など)。そのような、誤判定を考慮し、互いに近接する携帯端末で緊急地震速報を共有する。即ち、何らかの影響で緊急地震速報を受信することができない携帯端末に対して、近距離通信部109を利用して、警告通知の相互通信を行う。
【0076】
ステップS07では、制御部101において、携帯端末1の動作モードを警告システムモードに設定する。
【0077】
ステップS08では、制御部101において、携帯端末1のユーザに対して、音声部103及び振動部104を用いて、緊急地震速報を受信したことを通知する。その際、携帯端末1がマナーモード(音声及び振動の出力を禁止)であったとしても、強制的に音声及び振動を出力することが好ましい。大規模地震が発生するという状況の重大さに加え、携帯端末1のユーザの周囲に居る人間に対し、大規模地震発生の可能性を周知するためである。従って、音声部103から出力する警告音の音量は最大音量であることが好ましい。
【0078】
ステップS09では、携帯端末1に近距離通信部109が実装されているか否かを確認する。近距離通信部109が実装されていれば、ステップS10に遷移する。近距離通信部109が実装されていなければ、ステップS11に遷移する。本ステップが必要な理由は、携帯端末1の展開機種が数種類開発され、それらの中には近距離通信部109が実装されていない機種が存在する可能性もあるためである。
【0079】
ステップS10では、近距離通信部109を使って、近接する携帯端末に対して警告通知の送信を行う。本ステップは、ステップS06と対になる処理である。
【0080】
ステップS11では、表示部102を用いて警告表示を行う。本ステップにおける警告表示を、ステップS08の警告音及び振動出力の後に行う理由は、ユーザの携帯端末1の使用態様から導くことができる。
【0081】
即ち、ユーザは携帯端末1を常時、携帯はしているが、常時、使用(手に持って)しているわけではなく、携帯端末1はポケットや鞄等に格納されている場合の状況の方が多い。従って、最初の警告は、直感的な判断が可能な聴覚及び触覚に訴えることにより実現し、ユーザ及びその周辺の人間に、大規模地震発生の可能性を周知する。その後、視覚によって、詳細情報を確認するというプロセスを採用する。
【0082】
ステップS12では、携帯端末1のユーザの意思により、携帯端末1の警告出力を停止するか否かを決定する。ユーザが停止を選択した場合には、処理を終了する。ユーザが停止を選択しない場合には、ステップS12の処理を継続する。即ち、本ステップで、警告出力の停止が選択されない状況には、ユーザ自身が大規模地震の被災者となっている可能性があり、警告出力を継続することはユーザの安否を外部に通知する手段になり得るからである。
【0083】
なお、FM受信部106で受信するFM局は特定のFM局に限定することが好ましい。複数のFM局を選局の対象にすると、選局するための電力が必要であるためである。また、FM局の放送周波数は、地域によって異なり、携帯端末が使用されている地域のFM局に合わせて周波数をチューニングする必要がある。そこで、携帯端末が使用されている地域の特定が必要になるが、その際に通信事業者が提供するエリア通知機能といったサービスや、GPSを搭載する携帯端末であれば、GPS情報により携帯端末が使用されている地域を特定することができる。
【0084】
図7は、携帯端末1を含む緊急地震速報通知システムの概略の一例を示す図である。図7において、図2と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
図7に示すように、携帯端末1bがワンセグ放送の受信ができない場合であっても、携帯端末1aがFM放送により、緊急地震速報を受信できれば、その情報は携帯端末1bと共有される。同様に、携帯端末1c及び1dが、モバイルネットワーク41を経由して緊急地震速報の確認が行えない場合であっても、緊急地震速報を携帯端末1b経由で入手できる。
【0086】
以上のように、本実施形態に係る携帯端末1は、一斉メールやワンセグ放送等から緊急地震速報を入手することに加え、FM放送及び他の携帯端末からも緊急地震速報の入手が可能である。即ち、大規模地震の発生によって、一部のインフラが機能停止となった場合でも、別のインフラによって、大規模地震発生の可能性といった重大な情報を入手することができる。
【0087】
さらに、携帯端末1のユーザだけではなく、その周辺の人間にも大規模地震発生の可能性を周知させることができる。従って、携帯端末1は、公共の利益に貢献する。
【0088】
また、近年では、ワンセグ放送やインターネットの普及もあって、ラジオチューナを常備していないユーザが大半である。近年のラジオチューナは、小型化が進み、容易に持ち運びが可能なものであるが、大半の人間がラジオチューナを携帯し、緊急地震速報の受信に備えているという状況ではない。図7に示す状況では、ラジオチューナによるFM放送が、緊急地震速報を入手する唯一の手段であるが、ラジオチューナを常備する人間はごく少数であり、ラジオチューナによる緊急地震速報の恩恵を受ける者は非常に少ない。しかし、携帯端末1を利用することよって、大規模地震によってインフラが破壊され、ラジオチューナが緊急地震速報を得る唯一の手段となった場合でも、その恩恵を受けることができる。
【0089】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
1、1a〜1d 携帯端末
10〜12 観測点
20 気象庁
30 テレビ局
31 ラジオ局
40 基地局
41 モバイルネットワーク
42 通信エリア
50〜52 携帯端末
60 テレビ
70 ラジオチューナ
101 制御部
102 表示部
103 音声部
104 振動部
105 操作部
106 FM受信部
107 周波数変換部
108 チャイム音判定部
109 近距離通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FM放送の受信が可能な携帯端末の制御方法であって、
第1の緊急災害速報を受信する第1の工程と、
前記第1の緊急災害速報の後に、前記携帯端末の動作モードをFM放送の受信が可能な状態に遷移させる第2の工程と、
FM放送によって送信される第2の緊急災害速報を受信した後に、前記携帯端末の動作モードを警告システムモードに遷移させ、ユーザに災害発生の可能性を警告する第3の工程と、
を含むことを特徴とする携帯端末の制御方法。
【請求項2】
さらに、前記携帯端末は、他の携帯端末と通信が可能であり、前記警告システムモードに遷移後、他の携帯端末に対し、災害発生の可能性を通知する第4の工程を含む請求項1の携帯端末の制御方法。
【請求項3】
さらに、ユーザの視覚に対し、災害発生の可能性を警告する第5の工程を含む請求項1又は2の携帯端末の制御方法。
【請求項4】
さらに、ユーザからの操作を受け付けるまで、前記第3及び第5の工程におけるユーザに対する警告を継続する第6の工程を含む請求項3の携帯端末の制御方法。
【請求項5】
前記3の工程は、前記第2の緊急災害速報の前に送信されるチャイム音に基づき、受信したFM放送を前記第2の緊急災害速報と判定する請求項1乃至4のいずれか一に記載の携帯端末の制御方法。
【請求項6】
他の携帯端末との通信は、携帯端末同士が無線により実現される請求項2乃至5のいずれか一に記載の携帯端末の制御方法。
【請求項7】
前記第3の工程は、警告音の出力及び前記携帯端末の振動によって、ユーザに災害発生の可能性を通知する請求項1乃至6のいずれか一に記載の携帯端末の制御方法。
【請求項8】
前記第1の緊急災害速報を、通信事業者が送信するメール、又は、ワンセグ放送波によって受信する請求項1乃至7のいずれか一に記載の携帯端末の制御方法。
【請求項9】
FM放送によって送信される第2の緊急災害速報に代えて、他の携帯端末との通信により、災害発生の可能性を入手する工程を含む請求項1乃至8のいずれか一に記載の携帯端末の制御方法。
【請求項10】
FM放送の受信が可能な携帯端末を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、
第1の緊急災害速報を受信する第1の処理と、
前記第1の緊急災害速報の後に、前記携帯端末の動作モードをFM放送の受信可能な状態に遷移させる第2の処理と、
FM放送によって送信される第2の緊急災害速報を受信した後に、前記携帯端末の動作モードを警告システムモードに遷移させ、ユーザに災害発生の可能性を警告する第3の処理と、
を実行するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−46309(P2013−46309A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184021(P2011−184021)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】