説明

携帯端末装置およびプログラム

【課題】 一般的な携帯電話を幼児向けの玩具として機能させることが可能な携帯端末装置を提供する。
【解決手段】 通常の機能を実行する通常モードと、玩具としての機能を実行する玩具モードと、を有し、複数の操作手段と1対1に対応した複数のデータ(音声や画像)を記憶する記憶手段と、データを出力する出力手段と、通常の機能の実行を制御する制御手段と、を有し、玩具モードが選択された場合、制御手段は、操作手段の操作による通常の機能の実行を制限し、操作手段が操作された場合、出力手段は、操作手段に対応したデータ(音声や画像)を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー押下により幼児が楽しめる楽曲および画像を出力する幼児モードを搭載する携帯端末装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話の普及率は非常に高くなっており、もはや日常品と化している。そのため幼児が容易に携帯電話に触って遊ぶ光景が多く見られる。大半の幼児は、携帯電話を触ることが楽しいと感じている。
従来技術例として、携帯電話機としての機能に加え、動画を表示する画像表示部を備え、画像表示部に表示される動画を見ながら音声やメロディ音を聞くことができる「携帯電話機玩具」がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−187280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明は、携帯電話を模した玩具であり、携帯電話の一部の機能(例えば受信機能)を有するものの、一般的な携帯電話として完全に機能できるものではない。よって、従来、一般的な携帯電話を幼児の玩具として使用することができるものはなかった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、幼児向けの楽曲および画像を出力し、携帯電話を玩具として機能させる玩具モードを携帯電話に搭載することにより、既存の一般的な携帯電話を幼児向けの玩具として機能させることが可能な携帯端末装置、および、一般的な携帯電話を幼児向けの玩具として機能させるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、通常の機能を実行する通常モードと、玩具としての機能を実行する玩具モードと、を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、複数の操作手段と、各操作手段と1対1に対応した複数のデータを記憶する記憶手段と、データを出力する出力手段と、通常の機能の実行を制御する制御手段と、を有し、玩具モードが選択された場合、制御手段は、操作手段の操作による通常の機能の実行を制限し、操作手段が操作された場合、出力手段は、操作手段に対応したデータを出力することを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、玩具モードが選択された際に、出力手段により出力されるデータを予め選択可能な選択手段をさらに有することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の発明において、データは、音声データ及び画像データのうち少なくとも1つであることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項2から4のいずれか1項に記載の発明にておいて、データは、外部装置との通信によって取得されることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、通常の機能を実行する通常モードと、玩具としての機能を実行
する玩具モードと、を携帯端末装置に実行させる。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、玩具モードが選択された場合、操作手段の操作による通常の機能の実行を制限する処理と、操作手段が操作された場合、操作手段と1対1に対応したデータを出力する処理と、を携帯端末装置に実行させる。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項6又は7記載の発明において、玩具モードが選択された際に、出力するデータを予めユーザに選択させる処理を携帯端末装置に実行させる。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の発明において、データは、音声データ及び画像データのうち少なくとも1つであることを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項7から9のいずれか1項に記載の発明において、データを、外部装置との通信によって取得して保存する処理を携帯端末装置に実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、携帯端末装置を幼児向けの玩具として機能させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の携帯端末装置の一実施例として、携帯電話について説明する。図1は、本発明の実施例1である携帯電話1の外観を示す図である。携帯電話1は、カラー画像(静止画及び動画)の表示が可能な表示パネル15及びユーザが操作を行うための複数のキー19を有している。
【0018】
図2は、本実施例の携帯電話1の構成例を示すブロック図である。携帯電話1は、携帯電話1の動力となる電源12、携帯電話1と基地局とのやり取りを制御する無線部13、プログラム自体のデータやプログラムが処理するデータ、携帯電話1の設定内容を保持する記憶部14、文字や静止画および動画をカラー表示する表示パネル15、記憶部14に格納された音楽データを鳴らすスピーカ16、通話時にユーザが相手の声を聴くためのレシーバ17、通話時にユーザの声を取り込むためのマイク18、電話番号や文字の入力などの携帯電話1の操作をするためのキー19、電源12,記憶部14,無線部13,表示パネル15,スピーカ16,レシーバ17,マイク18,キー19をそれぞれ制御する制御部11、を有して構成される。
【0019】
以上のように構成された携帯電話1において、記憶部14に格納されたプログラムや設定内容、及び、キー19による操作によって、制御部11は、レシーバ17、マイク18、無線部13をそれぞれ制御して通話を可能にする。無線部13が音声以外のデータを受信した場合、制御部11は一旦記憶部14にデータを格納し、所定のデータ形式に変換してから、音楽データならスピーカ16に、文字や画像のデータなら表示パネル15に出力させる。記憶部14に格納されたプログラムにより、キー19からの入力内容を記憶部14に格納し、制御部11による処理結果を表示パネル15に出力する。
【0020】
本実施例の携帯電話は、制御部14の制御により、通常モード(キー操作により、一般的な携帯電話の各機能を実行可能な状態)と幼児モード(=玩具モード:キー操作により、楽曲や画像を出力する状態)とのON/OFF切り替えを可能とする。
【0021】
次に、図3を参照して、本実施例の動作について説明する。
図3は、本実施例の携帯電話1に搭載される幼児モードの動作を示すフローチャートである。この幼児モードの動作を携帯電話1に実行させるプログラムは、記憶部14に格納されている。携帯電話1のユーザ(以下、甲)によるキー19の操作によって幼児モードを選択されると、制御部11は、記憶部14に格納された幼児モードプログラムを読み出し、通常モードから幼児モードに切り替える。この時、幼児モードに切り替わったことを表示パネル15に表示するようにしてもよい。また、幼児モード時には、制御部11がプログラムに従って各部を制御し、通常の携帯電話の機能を不可とする(又は、例えば、電話やメールの受信機能及び着信報知機能のみ可能にするというように、部分的に各機能を制限する)。特に、キー19の通常の機能を制限する。具体的には、各キーを幼児が押下しても通常時の発信操作等が行われないように制御する。
【0022】
幼児モードに切り替わると、キー19の押下待ちの判断処理に移る(C100)。押下されたキー19が0〜9の数字キー、*キー、及び#キー以外であった場合(C100/NO)、判断処理C101に移る。そして電源キーの長押しであった場合は(C101/YES)、電源OFFとなる(C102)。判断処理C101で電源キーの長押し以外のキー操作が行われた場合は(C101/NO)、判断処理C100のキー19の押下待ちに戻る。
【0023】
キー19の押下待ちの判断処理C100で押下されたキーが数字キー、*キー、#キーのいずれかの場合(C101/YES)、例えば0キーが押されたならば、制御部11は記憶部14に格納されたプログラムに従って、記憶部14に格納された、楽曲データ及び画像データを指定する。本実施例では、例えば、0キーに1対1に対応した楽曲データである楽曲a0と、0キーに1対1に対応した画像データである画像a0とを指定する。ここで、画像データは静止画でも動画でも構わない。前述の処理ルート(0キー押下から楽曲データ楽曲a0および画像データ画像a0を指定するまでの一連の処理)をRa0とすると、その他の数字キー、*キー、#キーが押された場合は以下の表1のようになる。表1に示す楽曲データおよび画像データはそれぞれ、各キーと1対1に対応して記憶部14に格納されている。
【0024】
【表1】

【0025】
そして、いずれか1つの処理ルート(Ra0〜Ra#)を経由した後、制御部11は、指定
の楽曲データをスピーカ16から出力するように制御する(C103)。次に、制御部11は、指定の画像データを表示パネル15に出力するように制御する(C104)。
【0026】
楽曲データおよび画像データを出力している間、キー押下待ちの判断処理C105に移る。所定のキーが押下されなければ(C105/NO)、出力中の楽曲データおよび画像データの出力を終了し(C106)、判断処理C100に戻る。所定のキーが押下された場合は(C105/YES)、その時点で楽曲データおよび画像データの出力を終了し、判断処理C100に移る。
【0027】
本実施例では、スピーカから出力する音声データとして楽曲データを出力するものとしたが、人の声、動物の鳴き声、物音等、音に関するデータなら本実施例に限定されない。
【0028】
以上、本実施例によれば、一般の携帯電話を利用して、幼児が聴いて喜ぶ楽曲や画像を出力することが可能になる。その理由は、携帯電話はキー19と記憶部14とスピーカ16とを有し、既存の携帯電話の機能で実施できるためである。
【実施例2】
【0029】
次に、本発明の実施例2について、図3、図4を参照して説明する。
本実施例の携帯電話1は、甲がキー19の操作により幼児モードに切り替える際、図4に示すように、表示パネル15に「日本語の曲」、「英語の曲」という選択項目を表示し、キー19の操作で選択できるようにする。
このように日本語の曲と英語の曲とを選択できる場合、図3における処理ルートRx(xは変数)は以下の表2のようになる。
【0030】
【表2】

【0031】
以上、本実施例によれば、図4に示すように選択項目(日本語、英語)を2つ設け、それに応じて楽曲データおよび画像データを記憶部14に格納しておくことにより、24種類の楽曲および画像を出力することが可能になり、より多くの楽曲や画像を出力することができるとともに、ユーザが好みの楽曲や画像を指定できる。更に、図4において選択項目を3つ以上設けて、それに比例して楽曲データおよび画像データを記憶部14に格納しておき、出力される楽曲および画像のバリエーションを増やしてもよい。なお、選択項目の種類については、本実施例に限定されない。
【実施例3】
【0032】
次に、本発明の実施例3について、図3、図5を参照して説明する。
本実施例では、図5に示すように、幼児モードで使用する楽曲データおよび画像データを提供するサービス事業者(以下、乙)が存在し、甲が乙と利用契約をしている場合、甲はキー19による所定の操作を行って、無線部13を介して携帯電話公衆回線を経由して楽曲データおよび画像データのダウンロードの要求を乙(乙の管理する端末装置20)に
対して行う。乙は甲からの要求に対して幼児モードの楽曲データおよび画像データを、端末装置20から携帯電話公衆回線を介して甲の携帯電話1へ送信する。甲は乙が送信した楽曲データおよび画像データを、無線部13を介して受信し、記憶部14に格納する。同時に図3の処理ルートRxが、受信した楽曲データおよび画像データに応じて生成される。
【0033】
以上、本実施例によれば、乙のようなサービス事業者から、幼児モードで出力される楽曲および画像のデータをダウンロードして保存することができるので、徐々に希望の楽曲や画像を増やしていくことが可能になる。
【0034】
以上、本発明の各実施例について説明したが、上記実施例の記載に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、表示手段、放音手段、複数の操作手段を有する装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の携帯電話の外観を示す図である。
【図2】本発明の携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の携帯電話の表示画面の一例を示す正面図である。
【図5】本発明の携帯電話の利用形態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 携帯電話(携帯端末装置の一例)
11 制御部(制御手段の一例)
12 電源
13 無線部
14 記憶部(記憶手段の一例)
15 表示パネル(出力手段の一例)
16 スピーカ(出力手段の一例)
17 レシーバ
18 マイク
19 キー(操作手段の一例)
20 サービス事業者の端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常の機能を実行する通常モードと、玩具としての機能を実行する玩具モードと、を有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
複数の操作手段と、
前記各操作手段と1対1に対応した複数のデータを記憶する記憶手段と、
前記データを出力する出力手段と、
前記通常の機能の実行を制御する制御手段と、を有し、
前記玩具モードが選択された場合、前記制御手段は、前記操作手段の操作による通常の機能の実行を制限し、前記操作手段が操作された場合、前記出力手段は、該操作手段に対応したデータを出力することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記玩具モードが選択された際に、前記出力手段により出力される前記データを予め選択可能な選択手段をさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記データは、音声データ及び画像データのうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項2又は3記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記データは、外部装置との通信によって取得されることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
通常の機能を実行する通常モードと、玩具としての機能を実行する玩具モードと、を携帯端末装置に実行させるプログラム。
【請求項7】
前記玩具モードが選択された場合、操作手段の操作による通常の機能の実行を制限する処理と、
前記操作手段が操作された場合、該操作手段と1対1に対応したデータを出力する処理と、
を携帯端末装置に実行させる請求項6記載のプログラム。
【請求項8】
前記玩具モードが選択された際に、出力するデータを予めユーザに選択させる処理を携帯端末装置に実行させる請求項6又は7記載のプログラム。
【請求項9】
前記データは、音声データ及び画像データのうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項7又は8記載のプログラム。
【請求項10】
前記データを、外部装置との通信によって取得して保存する処理を携帯端末装置に実行させる請求項7から9のいずれか1項に記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−49618(P2007−49618A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234503(P2005−234503)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】