説明

携帯端末装置

【課題】携帯端末装置に関し、防水性能の信頼性を高めることを目的とする。
【解決手段】下部電極1が形成されるプリント基板2上にスペーサシート3、上部電極シート4およびドームシート5を積層したキー基板6と、キー基板6に積層されるキートップユニット7とを有するキーユニット8を備え、
フロントケース9表面に形成されたキーユニット収容凹部10内にキーユニット8を固定した携帯情報端末装置であって、
前記キー基板6とキートップユニット7の間には、四周裏面がキーユニット収容凹部10の底壁に接着されて該接着界面を防水シーリング面とする薄膜状の防水シート11が介装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キー入力部の防水性能を向上させた携帯端末装置としては、特許文献1記載のものが知られている。この従来例において、キートップユニットは、スペーサシートを挟んだ上下電極とドームシートとを有するキー基板上に防滴シートを積層して形成される。防滴シートの表面周縁にはリブが形成され、該リブとケース裏面とによりキートップユニットを挟み付けることにより防水のためのシーリングがなされる。
【特許文献1】実開平6-28952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来例におけるシーリングは、防滴シートのリブをパッキンとして機能させることにより達成されるものであるが、ケース、あるいはリブの製造誤差の集積によってリブの撓み代にはばらつきが発生することは避けられない。
【0004】
この結果、リブの撓み代が過小になって所望のシール性能が発揮されないことがあり、信頼性に欠けるという欠点がある。
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、防水性能の信頼性を高めた携帯端末装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
携帯情報端末装置のキー操作面は、フロントケース9に形成されたキーユニット収容凹部10内にキーユニット8を保持して形成される。キーユニット8は、キー基板6と、このキー基板6上に積層されるキートップユニット7とを有して構成され、キー基板6の電極等への浸水を防止するために、キー基板6とキートップユニット7との間に防水シート11が介装される。
【0006】
防水シート11は、キートップユニット7への操作力が効率よくキー基板6に伝達されるように、薄い膜状に形成され、裏面四周がキーユニット収容凹部10の底壁部に接合される。薄膜に形成される防水シート11を裏面においてフロントケース9に接着することにより、シーリング面を確実に確保することができ、シーリングの信頼性が向上する。
【0007】
防水シート11のフロントケース9への接合には、防水シート11の裏面に予め貼り付けておいた粘着テープを利用することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、防水性能の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1に携帯電話として構成された本発明の実施の形態を示す。携帯電話は、固定側本体17に対して可動側本体18を折り畳み可能に連結して形成される。可動側本体18には、アンテナ18aが装着され、図1に示す使用姿勢において、正面に現れる位置に液晶表示部18bおよびスピーカ18cが配置される。
【0010】
一方、使用姿勢において、表面に複数のキートップ19、19・・が並んだキー操作面が現れる固定側本体17は、図4に示すように、リアケース20とフロントケース9とを重ね合わせて形成されるケース本体内に制御基板21を収容して形成される。リアケース20とフロントケース9との連結界面には、ケース本体内への水等の侵入を防止するために適宜のパッキン(図示せず)が介装される。リアケース20の底壁には、制御基板21を固定するための取付ボス20aが立設される。
【0011】
上記キー操作面は、フロントケース9の表面にキーユニット8を配置して形成される。図3に示すように、キーユニット8は、キー基板6と、このキー基板6上に配置されるキートップユニット7とからなり、これらキー基板6とキートップユニット7との間に防水シート11が介装される。図3(b)に示すように、キー基板6は、フレキシブルプリント基板2上に形成される下部電極1と、上部電極シート4上の上部電極4aとをスペーサシート3により形成される間隙を隔てて対峙させ、さらに上部電極シート4上に操作時の節度感等を付与する目的でドームシート5を被せて形成される。また、フレキシブルプリント基板2上には、後述するキートップ19を照らす光源として使用されるLED(小型点灯デバイス12)が実装され、さらに、一端部には配線部(ケーブル14)が形成される。
【0012】
一方、キートップユニット7は、複数のキートップ19、19・・を同一のシート上に形成したもので、キートップ19には所定の数字等が表示される。このキートップユニット7は、キートップ19をキーカバー16の開口16aから外部に露出させた状態で配置され、所定のキートップ19を押圧操作すると、上下電極4a、1が接触してキー押圧が検知される。
【0013】
上記防水シート11は、透水しない柔軟な合成樹脂製のシートで、この実施の形態においては、板厚0.08(mm)程度のPET樹脂が使用される。また、この防水シート11は、フレキシブルプリント基板2上のLED12からの照射光をキートップに有効に伝達するために、透明に形成される。
【0014】
以上のように構成されるキーユニット8を収容するフロントケース9には、防水シート11から上方の構成要素を嵌合、収容するキーユニット収容凹部10と、キーユニット収容凹部10の中央部をさらに窪ませて形成され、上記キーユニット8および防水シート11より小さなキー基板6を収容するキー基板収容凹部13とが形成される。キー基板収容凹部13は、上記キー基板6の高さにほぼ等しい深さ寸法を有し、所定箇所にキー基板6の配線部14を挿通させるための挿通孔15が開設される。
【0015】
これらの組立に際し、まず、キー基板6をキー基板収容凹部13に嵌合させ、固定する。キー基板6の固定は、配線部14を挿通孔15に挿通させて制御基板21上のコネクタ21aに接続した後、フレキシブルプリント基板2の背面をキー基板収容凹部13の底壁に接着して行われる。接着剤を使用したキー基板6の接着により、挿通孔15およびキー基板6とフロントケース9との接触界面は完全にシーリングされるために、以後、キー基板6近傍からのケース内への水の侵入は完全に防止される。
【0016】
次いで、上記キー基板6の上に防水シート11が固定される。防水シート11の固定は、接着剤によることも可能であるが、接着剤の流れ出しによるキー基板6の可動部への影響を避け、さらに、防水シート11の接着剤による接着可能性等を考慮して、粘着剤によるのが望ましい。粘着剤による固定は、防水シート11、あるいはフロントケース9側に予め粘着シートを貼り付けて行われる。
【0017】
防水シート11の固定は、上記キー基板収容凹部13を囲むようにして配置されるキーユニット収容凹部10の底壁に対して行われ、四周裏面が固定された防水シート11は、固定時のみ、あるいはそれ自体の柔軟性等によってキートップへの操作性に悪影響を与えることがない。
【0018】
以上のようにして防水シート11を固定すると、キー基板6に対する防水シーリングが確保され、上下電極4a、1間の短絡等が防止される。また、防水シート11は、広げられた状態で四周裏面が粘着されるために、薄膜状であるにもかかわらず、シーリングの信頼性も高い。
【0019】
キートップユニット7は、上記防水シート11上に載置され、キーカバー16により固定される。上述したようにキーカバー16には、キートップが挿通する開口16aが各キートップ19に対応して複数設けられる。また、図2に示すように、キーカバー16は側縁から垂下する垂下壁16dを備えており、この垂下壁16dの下端でキートップユニット7の周縁を押さえ付け、キートップユニット7のめくれ上がりを規制する。
【0020】
さらに、上記垂下壁16dには、係止脚16bが形成される。係止脚16bには係止部16cが突設され、キーカバー16は、この係止部16cをキーユニット収容凹部10の側壁に形成された被係止部10aに係止して着脱可能に装着される。キーカバー16を係止状態で装着し、フロントケース9に対して着脱可能とすることにより、砂等が紛れ込んだ際には、ユーザがキーカバー16を取り外して砂等を取り除くことが可能になり、しかも、内部の気密は防水シート11およびキー基板6により保障されるために、機能障害の原因となることもない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明が適用された携帯電話を示す斜視図である。
【図2】本発明の要部を示す分解斜視図である。
【図3】キー基板を示す図で、(a)は分解断面図、(b)は組立状態の断面図である。
【図4】固定側本体の断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 下部電極
2 プリント基板
3 スペーサシート
4 上部電極シート
5 ドームシート
6 キー基板
7 キートップユニット
8 キーユニット
9 フロントケース
10 キーユニット収容凹部
11 防水シート
12 小型点灯デバイス
13 キー基板収容凹部
14 ケーブル
15 挿通孔
16 キーカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部電極が形成されるプリント基板上にスペーサシート、上部電極シートおよびドームシートを積層したキー基板と、キー基板に積層されるキートップユニットとを有するキーユニットを備え、
フロントケース表面に形成されたキーユニット収容凹部内にキーユニットを固定した携帯情報端末装置であって、
前記キー基板とキートップユニットの間には、四周裏面がキーユニット収容凹部の底壁に接着されて該接着界面を防水シーリング面とする薄膜状の防水シートが介装される携帯情報端末装置。
【請求項2】
前記プリント基板上には、小型点灯デバイスが実装されるとともに、
防水シートは透光性を有する材料により形成される請求項1記載の携帯情報端末装置。
【請求項3】
前記キー基板は、キーユニット収容凹部の中央部に形成されたキー基板収容凹部内に収容される請求項1または2記載の携帯情報端末装置。
【請求項4】
前記キー基板は、裏面四周が防水シーリングを兼ねる接着層によりキー基板収容凹部の底壁面に固定され、
かつ、キー基板収容凹部には、キー基板からケース内部空間内に導入されるケーブルの挿通孔が開設される請求項3記載の携帯情報端末装置。
【請求項5】
前記キートップユニットは、キーユニット収容凹部に対して着脱可能なキーカバーにより押さえられてフロントケースからの脱落が防止される請求項1から4のいずれかに記載の携帯情報端末装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−33203(P2006−33203A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206563(P2004−206563)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】