説明

携帯端末装置

【課題】決済機能を持つ携帯端末装置の紛失や盗難が生じた場合に容易に決済機能を無効化できる。
【解決手段】携帯電話機の制御部は、基地局との間の通信状態を示す通信ステータスを読み出し(S1)、基地局と通信が可能か否かを判断する(S2)。通信可であれば決済処理を実行し(S3)、通信不可であれば決済を禁止する。ユーザが通信事業者に連絡して通信機能の禁止措置をとった場合、決済機能の利用が禁止されていることを示すメッセージを表示し(S8)、メモリからの決済許諾情報の読み出しを禁止する(S9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICカードまたは2次元コードを用いて決済を行う決済機能と通信機能とを備えた携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話を利用した電子決済方法が種々提案されている。例えば、特許文献1には、電子商取引により商品を購入する際の代金支払い方法として、携帯電話の通話料請求時に購入商品の代金請求も同時に行い、携帯電話事業主経由で代金支払いを行う決済方法が開示されている。この決済方法によれば、商品購入者は、携帯電話番号の通知と購入商品明細の承認を行うだけで、電子商取引における代金支払の処理を行うことができる。
【0003】
また、携帯電話機の画面に2次元コードを表示させ、それを自動販売機の認証窓部に近付けることにより商品の購入が可能な電子決済システムや、ICカードが内蔵された携帯電話機を読取装置に近付けることにより商品の購入が可能な電子決済システムも実用に供されている。これらの電子決済システムによれば、利用者は現金を持参することなく商品を購入できる。
【特許文献1】特開2001−256280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した非接触ICカードまたは2次元コードを用いた決済機能を備えた携帯電話機を紛失したり盗まれたりした場合、その取得者はICカード等に蓄積されている電子マネーを使って商品を購入することができる。このため、紛失や盗難が生じた場合の損害の発生を阻止するとともに不正使用の未然防止が課題となっている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、紛失や盗難が生じた場合に容易に決済機能を無効化できる携帯端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した手段によれば、決済機能と通信機能とを備えた携帯端末装置を操作して決済の実行指示を与えると、携帯端末装置は、無線通信手段が基地局と通信することができる状態か否かを確認し、通信可能状態であれば記憶手段に記憶されている決済許諾情報を用いて決済機能を実行する。
【0007】
ユーザは、携帯端末装置を紛失したり盗まれたりした場合、取得者による通信の不正使用を未然に防止するため、通信事業者に連絡して通信機能の禁止措置をとる。通信機能の禁止措置がとられると、携帯端末装置に決済の実行指示を与えても、携帯端末装置は通信不可状態であるとして決済機能を実行しない(決済機能が無効化される)。従って、決済機能を備えた携帯端末装置を紛失しまたは盗まれた場合、ユーザは、これまでと同様に通信事業者に対し通信機能の禁止措置をとるだけで、非接触ICカードに蓄積されている電子マネーや2次元コードを使った不正決済を阻止することができ、従来よりも決済機能の安全性を高められる。
【0008】
請求項2に記載した手段によれば、携帯端末装置は、基地局と通信できない場合、無線通信手段から読み出した通信ステータス情報に基づいて、電波状態が悪くて通信できないのかまたは基地局側での通信禁止措置により通信できないのかを判定する。そして、決済機能を実行できないことを示す情報であって上記判定結果に応じた情報を報知手段に出力する。これにより、正規ユーザに対しては電波状態の改善を促す効果が得られ、不正取得者に対しては決済機能の実行を諦めさせる効果が得られる。
【0009】
請求項3に記載した手段によれば、携帯端末装置の記憶手段は、記憶している決済許諾情報の読み出しを許可または禁止する読出制御機能を備えている。携帯端末装置は、基地局側での通信禁止措置により通信することができない場合、上記読出制御機能により記憶手段からの決済許諾情報の読み出しを禁止する。これにより、携帯端末装置の決済アプリケーションプログラムの実行による決済許諾情報の不正な読み出しのみならず、パソコンなどの外部情報機器の接続による決済許諾情報の不正な読み出しも有効に禁止することができる。
【0010】
請求項4に記載した手段によれば、携帯端末装置は、予め設定された固有の認証情報を有しており、その設定された認証情報と一致する認証情報が入力されない限り記憶手段からの決済許諾情報の読み出しを禁止する。これにより、ユーザが携帯端末装置を紛失したり盗まれたりしたまま通信事業者に対し通信機能の禁止措置をとらない場合でも、認証情報を知らない取得者による不正な決済を阻止することができ、決済機能の安全性を一層高められる。
【0011】
請求項5に記載した手段によれば、決済許諾情報は2次元コード画像の形態で記憶手段に記憶されており、決済機能を実行するとその2次元コード画像が表示手段に表示される。ユーザは、画面に表示された2次元コード画像を店舗端末などに接続された読取装置に読み取らせることにより容易に決済することができる。
【0012】
請求項6に記載した手段によれば、携帯端末装置は非接触ICカードとしての近接無線通信手段を備えており、決済機能を実行するとき、外部装置からの要求に応じて近接無線通信手段を介して決済許諾情報を送信する。ユーザは、外部装置に携帯端末装置を近づけるだけで容易に決済することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図5を参照しながら説明する。
図1は、携帯電話機を用いた決済システムの概略的なシステム構成を示している。この決済システムは、ユーザが所持する決済機能付きの携帯電話機1(携帯端末装置に相当)、サービス提供事業者により設置されたサービス提供装置2、店舗などに設置された店舗端末3および金融機関(決済機関)に設置された決済装置4を備えている。
【0014】
このうちサービス提供装置2と店舗端末3は、通信網5(公衆通信網またはインターネット)に常時接続されている。サービス提供装置2は、通信販売やコンテンツ提供サービスなどのビジネスを行う企業体(サービス提供会社)に設置されたサーバであって、決済システムを構築するための決済アプリケーションプログラムの提供を行うものである。このサービス提供会社は、決済システムにおける決済を金融機関に委託している。
【0015】
店舗端末3は、2次元コード例えばQRコード(登録商標)の読取装置6が接続されたPOS対応レジスタ(POSターミナル)であって、図示しない店舗ホストコンピュータを経由して通信網5および決済装置4に接続されている。
【0016】
携帯電話機1は、通信事業者が設置した基地局7を介して通信網5と接続されるようになっている。図2は、携帯電話機1の電気的構成を示す機能ブロック図である。携帯電話機1の制御部8(確認手段、決済制御手段、読出制御手段に相当)はマイクロコンピュータを主体として構成されており、その制御部8には、メモリ9、無線通信部10、液晶表示器11、音声入出力部12、操作キー13および有線通信部14が接続されている。このうち無線通信部10(無線通信手段に相当)にはアンテナ15が接続されており、音声入出力部12には送話音声を入力するマイク16および受話音声を出力するレシーバ17が接続されている。
【0017】
メモリ9(記憶手段に相当)は、メモリダイヤル情報の他、決済許諾情報である2次元コード例えばQRコードの画像データを記憶するようになっている。液晶表示器11(報知手段、表示手段に相当)は、電話番号やメモリダイヤル情報などの他、上述のQRコードを表示可能となっている。操作キー13(入力手段に相当)は、通話を開始するための「通話開始」キー、通話を終了するための「通話終了」キー、数字「0」〜「9」を入力するためのキー、メニューキーなど複数のキーが配設されて構成されている。
【0018】
有線通信部14は、コネクタ18を介して外部機器との間でメモリダイヤル情報などのデータを入出力するためのインターフェースである。また、携帯電話機1は電源制御部19と電池20を備えており、その電源制御部19は、電池20から生成した電源またはコネクタ21を介して与えられる電源を各部に供給している。
【0019】
次に、本実施形態の作用について図3ないし図5を参照しながら説明する。
携帯電話機1が有する決済機能を利用するユーザは、はじめに操作キー13を操作してサービス提供会社が設置したサービス提供サイトのアドレス(URL)を入力する。そして、携帯電話機1がインターネットを介してサービス提供装置2に接続されると、液晶表示器11に表示されるアプリケーションプログラムリストの中から利用したい決済アプリケーションプログラムを選択してダウンロードする。
【0020】
続いてユーザが決済アプリケーションプログラムを起動し、携帯電話機1がサービス提供サイトのサービス提供装置2に接続されると、ユーザは、液晶表示器11の表示に従って操作キー13を操作して決済許諾申し込みデータを入力する。携帯電話機1は、この決済許諾申し込みデータをサービス提供装置2に送信する。
【0021】
続いて、ユーザは、操作キー13を操作し、決済許諾情報の読み出し禁止を解除するために用いるパスワードを入力する。携帯電話機1は、このパスワードをサービス提供装置2に送信し、サービス提供装置2は、受信したパスワードを設定可能な決済許諾情報を携帯電話機1に送信する。決済許諾情報は2次元コードにコード化されており、その2次元コードの画像が携帯電話機1に送信される。
【0022】
図3は、携帯電話機1の制御部8が実行する基地局7との通信処理のフローチャートを示しており、図4は、携帯電話機1の制御部8が実行する決済アプリケーションプログラムのフローチャートを示している。一方、店舗端末3にも予め別の決済アプリケーションプログラムが組み込まれており、図5は、この店舗端末3が実行する決済アプリケーションプログラムのフローチャートを示している。店舗端末3は、サービス提供装置2から通信網5を介して決済アプリケーションプログラムをダウンロードすることもできる。以下、これらのフローチャートに示される処理を順に説明する。
【0023】
図3において、携帯電話機1の電源がオンされると、制御部8は、ステップT1で内部に設けられたタイマをリセットして計時動作を開始する。携帯電話機1は、位置登録のために基地局7との間で定期的に通信しており、上記タイマは、基地局7との間で通信が途絶えたことを検出するために用いられる。制御部8は、ステップT2においてタイマが設定時間に達したか否か(タイムアップしたか否か)を判断し、タイムアップしていない(NO)と判断するとステップT3に移行して所定時間だけ基地局7からの呼掛信号の受信待ちを行う。その後、制御部8は、ステップT4において呼掛信号を受信したか否かを判断し、まだ受信していない(NO)と判断するとステップT2に戻る。
【0024】
一方、ステップT4において呼掛信号を受信した(YES)と判断すると、制御部8はステップT5に移行して基地局7に応答信号を送信し、さらにステップT6に移行して基地局7から通信ステータス信号を受信する。携帯電話機1を紛失したり盗まれたりしたユーザが通信事業者に連絡して通信機能の禁止措置をとると、通信ステータス信号は「禁止措置による通信不可」を示すようになる。
【0025】
制御部8は、ステップT7において、無線通信部10から出力された通信ステータス信号に基づいて通信ステータス(「通信可」、「禁止措置による通信不可」の何れか)を設定する。また、通信ステータスが「禁止措置による通信不可」の場合、液晶表示器11に通信不可を示す所定のメッセージや図形等を表示する。これに対し、上記ステップT2においてタイムアップした(YES)と判断すると、ステップT8に移行して通信ステータスを「通信圏外(による通信不可)」に設定する。これは、電波状態が悪くて基地局7と正常な通信ができないことを示している。この場合にも、液晶表示器11に通信不可を示す所定のメッセージや図形等を表示する。
【0026】
ステップT7またはT8の処理が終了すると、ステップT9に移行して電源のオフ操作がされたか否かを判断し、オフ操作された(YES)と判断すると処理を終了し、オフ操作されていない(NO)と判断するとステップT1に戻る。従って、制御部8は、電源がオフされない限り、通信ステータス信号を「通信可」、「禁止措置による通信不可」、「通信圏外」の何れかに更新し続ける。
【0027】
さて、ユーザが、店舗において購入対価を支払うために携帯電話機1の操作キー13を操作して所定の決済開始操作を行うと、携帯電話機1の制御部8は、図4に示す決済制御処理を開始する。この決済制御処理では、決済許諾情報にパスワードを設定していない。はじめに通信ステータスを読み出し(ステップS1)、その通信ステータスに基づいて基地局7との間で通信が可能か否かを判断する。通信ステータス信号が「通信可」の場合には通信可能(YES)と判断し、ステップS3に移行して決済処理を実行する。
【0028】
すなわち、制御部8は、メモリ9から決済許諾情報であるQRコードの画像データを読み出し、それを液晶表示器11に表示する。ユーザは、QRコードが表示された携帯電話機1の液晶表示器11を、店舗端末3に接続されたQRコードの読取装置6に読み取らせる。その後、制御部8は、操作キー13の操作により所定の決済終了操作が行われるまで判断処理ステップS4を繰り返し実行する。そして、決済終了操作が行われるとステップS5に移行し、決済処理の終了処理を実行する。
【0029】
通信ステータス信号が「禁止措置による通信不可」または「通信圏外」の場合には、ステップS2で通信不可(NO)と判断してステップS6に移行する。そして、ステップS6で電波状態が悪いか否か(通信ステータス信号が「通信圏外」であるか否か)を判断する。電波状態が悪い(YES)と判断するとステップS7に移行し、電波状態の良い場所での実行を促すメッセージを液晶表示器11に表示する。これにより、ユーザは電波状態が悪いために決済機能を使用できないことを認識できる。表示処理が終了するとステップS5に移行する。
【0030】
一方、通信ステータス信号が「禁止措置による通信不可」の場合、ステップS6で「NO」と判断してステップS8に移行し、決済機能の利用が禁止されていることを示すメッセージを液晶表示器11に表示する。これにより、決済機能を実行しようとする者(例えば携帯電話機1を拾得した者)に決済機能の実行を断念させる心理的効果が得られる。
【0031】
制御部8は、続くステップS9において、メモリ9からのQRコードの画像データの読み出しを禁止する。メモリ9からの読み出し自体が禁止されるので、液晶表示器11にQRコードの画像データが表示されることはなく、携帯電話機1を用いた決済はできない。また、コネクタ18にパソコンなどの情報機器を接続し、決済アプリケーションプログラムを介さずにメモリ9から直接QRコードの画像データを読み出すこともできない。読み出し禁止の設定が終了するとステップS5に移行する。
【0032】
上記ステップS3の決済処理の実行に対応して、店舗に設置された店舗端末3は図5に示す決済処理を実行する。店舗端末3は、ステップR1で読取装置6からQRコードの入力処理を行い、ステップR2でQRコードの入力があったか否かを判断する。入力がない場合には「NO」と判断してステップR1に戻り、以降QRコードを入力するまでステップR1とR2の処理を繰り返す。
【0033】
QRコードを入力するとスッテプR2で「YES」と判断し、ステップR3に移行してQRコードに含まれる決済許諾情報を(店舗ホストコンピュータを介して)サービス提供装置2に送信する。サービス提供装置2では、受信した決済許諾情報の正当性を判定し、その判定結果を店舗端末3に送信する。店舗端末3は、ステップR4において判定結果を受信し、それに基づいてステップR5において正当と判定されたか否かを判断する。
【0034】
ここで、正当と判定された(YES)と判断すると、ステップR6に移行して金融機関に設置された決済装置4に決済許諾情報を送信する。決済装置4は、この決済許諾情報に基づいて決済処理を実行する。店舗端末3は、ステップR7において決済装置4から決済終了情報を受信し、ステップR8において領収書をプリントし発行する。一方、ステップR5において決済許諾情報が正当でない(NO)と判断すると、店舗端末3に設けられた表示器に決済処理ができない旨のメッセージを表示する。その後、ステップR9において終了操作が行われたか否かを判断し、終了操作が行われた場合には「YES」と判断して決済処理を終了し、終了操作が行われていない場合には「NO」と判断してステップR1に戻る。
【0035】
以上説明したように、携帯電話機1の制御部8は、サービス提供装置2から決済アプリケーションプログラムをダウンロードするとともに決済許諾情報を得てメモリ9に格納することにより決済機能を実行可能となる。制御部8は、決済アプリケーションプログラムが起動されて決済の実行指示が与えられると、基地局7との間で通信可能か否かを確認し、通信可能である場合に限りメモリ9に記憶されている決済許諾情報を用いて決済機能を実行する。
【0036】
従って、ユーザは、携帯電話機1を紛失したり盗まれたりした場合、通信事業者に連絡して通信機能の禁止措置をとれば、制御部8は通信不可状態であるため決済機能を実行することができず、携帯電話機1の取得者による通信の不正使用のみならず電子マネーを使った不正決済を未然に防止することができる。また、2次元コードについて決済機関が有するチェック機能も働くので安全性が向上する。
【0037】
制御部8は、無線通信部10から出力される通信ステータスに基づいて通信可否状態を確認する。通信ステータスは、通信事業者側の通信禁止措置による通信不可状態と電波状態が悪いことによる通信不可状態とを区別しており、制御部8は、その通信ステータスに基づいて液晶表示器11に決済不可の理由を含むメッセージを表示する。従って、正規のユーザに対しては電波状態の改善を促す効果が得られ、不正取得者に対しては決済機能の実行を諦めさせる効果が得られる。なお、決済不可の理由を区別して表示せず、何れの場合にも単に「圏外」とだけ表示してもよい。
【0038】
通信事業者側の通信禁止措置による通信不可状態により決済ができない場合、制御部8は、メモリ9からの決済許諾情報(QRコードの画像データ)の読み出し自体を禁止するので、パソコンなどの情報機器を用いてメモリ9から直接的に決済許諾情報を読み出すことも禁止される。これにより、携帯電話機1から決済許諾情報が流出する(読み取られる)のを防止でき、より確実に不正決済を防止できるようになる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図6を参照しながら説明する。
本実施形態の決済システムは図1と同様の構成を備えており、そこで用いられる携帯電話機1は図2と同様の電気的構成を備えている。本実施形態の携帯電話機1は、決済アプリケーションプログラムの決済処理の実行に先立ってパスワードの入力が必要となる点において第1の実施形態のものと異なっている。ユーザは、操作キー13を用いた所定の手順により、決済許諾申し込み時に得た決済許諾情報に対するパスワード(認証情報)を有効化しておく。
【0040】
図6は、決済アプリケーションプログラムのうち上記異なる部分の処理を示している。他の省略されている処理ステップについては図4と同様である。制御部8は、ステップS2で通信可能(YES)と判断すると、ステップS10に移行して入力回数Nを1に設定する。この入力回数Nとは、パスワードの入力を求める回数である。制御部8は、ステップS11において液晶表示器11にパスワードの入力を求めるメッセージを表示し、ステップS12において入力されたパスワードを記憶する。そして、続くステップS13で、入力されたパスワードが決済許諾情報に対するパスワードと一致するか否かを判断し、一致する(YES)と判断するとステップS3に移行して決済処理を実行する。一方、一致していない(NO)と判断するとステップS11の処理に戻る。
【0041】
本実施形態によれば、ユーザが携帯電話機1を紛失したり盗まれたりしたまま通信事業者に対し通信機能の禁止措置をとらない場合でも、パスワードを知らない取得者による不正な決済を防止することができ、決済機能の安全性が一層高まる。
【0042】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図7を参照しながら説明する。
本実施形態の決済システムは、店舗端末3に非接触ICカード(以下単にICカードという)のリーダライタ(図示せず)が接続されている点を除いて図1と同様の構成を備えている。本決済システムで用いられる携帯電話機22は図7に示す電気的構成を備えている。携帯電話機22が用いる決済アプリケーションプログラムは、第1の実施形態または第2の実施形態で説明したものと同様である。
【0043】
携帯電話機22は、ICカード部23(非接触ICカードに相当)を備えている。このICカード部23は、RFID制御部24、メモリ25、RFID通信部26(近接無線通信手段に相当)およびアンテナ27から構成されている。図示しないが、RFID通信部26は、搬送波データを検波して復調する復調回路と、搬送波をRFID制御部24から与えられる情報で変調してアンテナ27から送信する変調回路とを備えている。メモリ25には、制御用ファームウエアの他、ICカード部23に入金処理された電子マネーの金額データが記憶されている。
【0044】
携帯電話機22の制御部28は、決済許諾申し込みに応じてサービス提供装置2から送られてきた決済許諾情報をメモリ9に格納する。ユーザは、携帯電話機22を用いて決済を行う場合、携帯電話機22をリーダライタに近づける。このとき、制御部28は、通信ステータス信号に基づいて基地局7との通信が可能か否かを判断し、通信可能と判断すると(必要に応じてさらにパスワードの入力を求めた後)、メモリ9から決済許諾情報を読み出してそれをRFID制御部24に与える。RFID制御部24は、リーダライタからの要求に応じて決済許諾情報を送信する。決済処理においては、メモリ25に記憶された電子マネーデータの更新を行う。一方、制御部28は、通信不可と判断するとRFID制御部24に決済許諾情報を与えない。この場合、店舗端末3に決済許諾情報が送信されないので、決済処理は実行されない。
【0045】
本実施形態によれば、ユーザは携帯電話機22をリーダライタに近づけるだけで決済処理を行うことができる。また、ICカードの決済機関の有するチェック機能も働くので安全性が向上する。その他、第1または第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0046】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
上記各実施形態では、ユーザは、携帯電話機1を紛失したり盗まれたりした場合、通信事業者に連絡して通信機能の禁止措置をとったが、携帯電話の契約を解除してもよい。この場合も携帯電話機1は通信不可状態となるので、不正決済の実行を未然に防止することができる。
【0047】
携帯電話機1に赤外線を用いた通信機能を付加し、その赤外線通信により決済許諾情報の送受信を行ってもよい。
報知手段は、液晶表示器11に限らず、音声入出力部12とレシーバ17であってもよい。
携帯電話機1にタッチパネルを設け、タッチパネルへのタッチ操作により決済指示を与えるように構成してもよい。また、音声入出力部12とマイク16を用いて音声入力により決済指示を与えるように構成してもよい。
【0048】
決済許諾情報としての2次元コードはQRコードに限られない。
携帯端末装置は、携帯電話機に限らずPHS、PHSカードが差し込まれたPDAなどであってもよい。
第2の実施形態において、パスワードによる決済許諾情報の読み出し禁止に替えて、暗号キーによる決済許諾情報の暗号化を用いてもよい。
決済の具体的な方法としては、クレジットカード、プリペイドカード、ストアドフェアカードなどを適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態であって、携帯電話機を用いた決済システムの概略的なシステム構成を示す図
【図2】携帯電話機の電気的構成を示す機能ブロック図
【図3】携帯電話機の制御部が実行する基地局との通信処理を示すフローチャート
【図4】携帯電話機の制御部が実行する決済アプリケーションプログラムのフローチャート
【図5】店舗端末が実行する決済アプリケーションプログラムのフローチャート
【図6】本発明の第2の実施形態であって、携帯電話機の制御部が実行する決済アプリケーションプログラムのうち図4と異なる処理部分を示すフローチャート
【図7】本発明の第3の実施形態における図2相当図
【符号の説明】
【0050】
図面中、1は携帯電話機(携帯端末装置)、7は基地局、8は制御部(確認手段、決済制御手段、読出制御手段)、9はメモリ(記憶手段)、10は無線通信部(無線通信手段)、11は液晶表示器(報知手段、表示手段)、13は操作キー(入力手段)、23はICカード部(非接触ICカード)、26はRFID通信部(近接無線通信手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触ICカードまたは2次元コードを用いて決済を行う決済機能と通信機能とを備えた携帯端末装置であって、
基地局と電波による通信を行いその通信状態に応じた通信ステータス情報を出力する無線通信手段と、
決済の実行を可能にする決済許諾情報を記憶する記憶手段と、
決済の実行指示を入力する入力手段と、
この入力手段により決済の実行指示が入力されたときに前記無線通信手段が前記基地局と通信することができる状態か否かを確認する確認手段と、
この確認手段により前記基地局と通信することができる状態であることが確認された場合に、前記決済許諾情報を用いて前記決済機能を実行するように制御する決済制御手段とを備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
入力した情報を出力する報知手段を備え、
前記無線通信手段が前記基地局と通信することができない状態である場合、
前記確認手段は、前記無線通信手段から出力された通信ステータス情報に基づいて、電波状態により通信することができない状態であるかまたは前記基地局側での通信禁止措置により通信することができない状態であるかを判定し、
前記決済制御手段は、前記決済機能を実行できないことを示す情報であって前記確認手段による判定結果に応じた情報を前記報知手段に出力することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、記憶している前記決済許諾情報の読み出しを許可または禁止する読出制御手段を備え、
前記確認手段は、前記基地局側での通信禁止措置により通信することができない状態であると判定した場合、前記読出制御手段に前記決済許諾情報の読み出しを禁止させることを特徴とする請求項2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記読出制御手段は、予め設定された固有の認証情報を有しており、その設定された認証情報と一致する認証情報が入力されない限り前記決済許諾情報の読み出しを禁止することを特徴とする請求項3記載の携帯端末装置。
【請求項5】
2次元コード画像を表示可能な表示手段を備え、
前記記憶手段は、前記決済許諾情報を2次元コード画像の形態で記憶し、
前記決済制御手段は、前記決済機能を実行するとき、前記記憶手段から読み出した前記2次元コード画像を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
非接触ICカードとしての近接無線通信手段を備え、
前記決済制御手段は、前記決済機能を実行するとき、前記記憶手段に記憶した決済許諾情報を外部からの要求に応じて前記近接無線通信手段により送信することを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の携帯端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−122457(P2007−122457A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314436(P2005−314436)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】