説明

携帯端末装置

【課題】携帯電話機などの携帯端末装置において、音声信号の出力先を内蔵スピーカから外部音声出力機器に切り替える際に、ユーザに音量が大き過ぎると感じさせてしまうことがあるという課題を解決する。
【解決手段】切り替え部8は、外部I/F部9とイヤホン等の外部音声出力機器との接続状態に応じて、装置本体に内蔵されたスピーカ10と外部I/F部9との内の一方に音声信号を出力する。制御部2は、切り替え部8によって音声信号の出力先がスピーカ10から外部I/F部9に切り替えられたとき、音声信号のレベルを低下させ、その後、ボタン入力部1を構成する複数のボタンの内の、任意のボタンが押下される毎に、音声信号のレベルを所定量ずつ増加させるボリューム増加処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PHS端末装置(Personal Handyphone System)、PAD(Personal Data Assistance, Personal Digital Assistants)などの携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの携帯端末装置は、多機能化が進んでおり、ワンセグ放送を視聴したり、ダウンロードした音楽を聴くことができるものがある。このような携帯端末装置は、一般に、本体に内蔵された内蔵スピーカと、イヤホンやヘッドホンなどの外部音声出力機器を接続する外部I/F部(外部インタフェース部)とを備えており、使用環境に応じて音声信号の出力先を内蔵スピーカと外部音声出力機器とに切り替えることができるようになっている。この切り替えは、外部音声出力機器のプラグを携帯端末装置のジャック(外部I/F部)に抜き差しすることにより行われる。
【0003】
ところで、音声信号の出力先を内部スピーカからイヤホン等の外部音声出力機器に切り替える際には、ユーザの耳を傷めないようにするため、外部音声出力機器用にゲインを下げるようにしている。しかし、音声信号のレベルは、切り替え時に設定されていたボリューム値に対応したものとなるため、切り替え時に設定されていたボリューム値が大きいと、外部音声出力機器から出力される音量が大きくなり、ユーザを驚かせてしまう場合がある。
【0004】
このような問題点を解決するための技術として、次のような技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載されている技術は、音声信号の出力先を内蔵スピーカから外部音声出力機器に切り替える際、一旦、外部音声出力機器から出力される音量が弱音量となるように音声信号を減衰させ、その後、外部音声出力機器から出力される音量が、切り替え時に設定されていたボリューム値に対応する音量になるまで、音声信号のレベルを徐々に増加させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−134831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に記載されている技術によれば、内部スピーカから外部音声出力機器への切り替え時、外部音声出力機器から出力される音声の音量が弱音量となるように音声信号を減衰するようにしているので、切り替え時に設定されていたボリューム値が大きい場合であっても、外部音声出力機器から大音量が出力され、ユーザが驚くということはなくなる。
【0008】
しかしながら、引用文献1に記載されている技術では、外部音声出力機器から出力される音量が、切り替え時に設定されていたボリューム値に対応した音量となるまで、音声信号のレベルを自動的に増加させているので、設定されているボリューム値が大きい場合、ユーザに音量が大き過ぎると感じさせてしまうことがあるという問題がある。
【0009】
[本発明の目的]
そこで、本発明の目的は、音声信号の出力先を内蔵スピーカから外部音声出力機器に切り替える際に、ユーザに音量が大き過ぎると感じさせてしまうことがあるという課題を解決した携帯端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる第1の携帯端末装置は、
外部インタフェース部と外部音声出力機器との接続状態に応じて、装置本体に内蔵された内蔵音声出力機器と前記外部インタフェース部との内の一方に音声信号を出力する切り替え部と、
該切り替え部によって音声信号の出力先が前記内蔵音声出力機器から前記外部インタフェース部に切り替えられたとき、前記音声信号のレベルを低下させ、その後、ボタン入力部を構成する複数のボタンの内の、任意のボタンのボタン操作に従って、前記音声信号のレベルを所定量ずつ増加させるボリューム増加処理を実行する制御部とを備える。
【0011】
本発明にかかる音量制御方法は、
切り替え部が、外部インタフェース部と外部音声出力機器との接続状態に応じて、装置本体に内蔵された内蔵音声出力機器と前記外部インタフェース部との内の一方に音声信号を出力し、
制御部が、前記切り替え部によって音声信号の出力先が前記内蔵音声出力機器から前記外部インタフェース部に切り替えられたとき、前記音声信号のレベルを低下させ、その後、ボタン入力部を構成する複数のボタンの内の、任意のボタンのボタン操作に従って、前記音声信号のレベルを所定量ずつ増加させるボリューム増加処理を実行する。
【0012】
本発明にかかるプログラムは、
外部インタフェース部と外部音声出力機器との接続状態に応じて、装置本体に内蔵された内蔵音声出力機器と前記外部インタフェース部との内の一方に音声信号を出力する切り替え部を備えたコンピュータを、
前記切り替え部によって音声信号の出力先が前記内蔵音声出力機器から前記外部インタフェース部に切り替えられたとき、前記音声信号のレベルを低下させ、その後、ボタン入力部を構成する複数のボタンの内の、任意のボタンのボタン操作に従って、前記音声信号のレベルを所定量ずつ増加させるボリューム増加処理を実行する制御部として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、音声信号の出力先を内蔵スピーカから外部音声出力機器に切り替える際、外部音声出力機器から出力される音声の音量を、操作性良く、ユーザが望む音量にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる携帯電話機の構成例を示すブロック図である。
【図2】外部音声出力機器を外部インタフェース部9に接続したときの制御手段22の処理例を示すフローチャートである。
【図3】ボリューム増加処理を説明するための図である。
【図4】外部音声出力機器を外部インタフェース部9から取り外したときの制御手段22の処理例を示すフローチャートである。
【図5】設定音量記憶部の内容例を示す図である。
【図6】制御手段22が第2の実施の形態で行う処理の内、第1の実施の形態で行う処理とは異なる部分を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[本発明の第1の実施の形態]
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態にかかる携帯電話機は、ボタン入力部1と、制御部2と、送受信部3と、アンテナ4と、データ記憶部5と、信号処理部6と、増幅部7と、切り替え部8と、イヤホン、ヘッドホン等の外部音声出力機器が接続されるプラグ等の外部インタフェース部(外部I/F部)9と、携帯電話機に内蔵されているスピーカ10と、LCDなどの表示部11とを備えている。
【0017】
ボタン入力部1には、オンフック(終了)ボタン、オフフック(開始)ボタン、ダイヤル番号等の入力用ボタン、選択ボタン、ボリューム調整用ボタンなど、複数のボタンが設けられている。
【0018】
制御部2は、携帯電話機の各部を制御するものであり、送受信部3、データ記憶部5、信号処理部6、増幅部7、切り替え部8、外部インタフェース部9、及び、表示部11が接続されている。また、その内部には、押下ボタン判断手段21、制御手段22、検出手段23、及び、通信制御手段24が設けられている。
【0019】
制御部2内の押下ボタン判断手段21は、ボタン入力部1に設けられているボタンがユーザによって押下されたことを検出し、押下されたボタンを示す押下ボタン情報を制御手段22に渡す機能を有する。
【0020】
検出手段23は、外部インタフェース部9にイヤホン、ヘッドホンなどの外部音声出力機器が接続されたことを検出する機能を有する。
【0021】
通信制御手段24は、発信制御、着信制御など、基地局との間の通信にかかわる各種制御を行う。
【0022】
制御手段22は、検出手段23によって外部インタフェース部9に外部音声出力機器が接続されたことが検出されたとき、切り替え部8に対して音声信号の出力先をスピーカ10から外部インタフェース部9に切り替えることを指示する機能や、増幅部7に対して外部音声出力機器接続時用の初期ボリューム値と出力先が外部インタフェース部9であることを示す出力先情報とを出力する機能を有する。なお、上記初期ボリューム値は、外部音声出力機器から出力される音声の音量を、ユーザの耳を傷めたり、ユーザを驚かせたりしない程度の音量とすることができる値であれば良い。更に、制御手段22は、押下ボタン判断手段21から押下ボタン情報が入力される毎に、前回指示したボリューム値よりも1段階上のボリューム値を増幅部7に対して指示するというボリューム増加処理を行う機能を有する。但し、予め定められている時間、押下ボタン判断手段21から押下ボタン情報が入力されなかった場合は、ボリューム増加処理を終了する。更に、制御手段22は、信号処理部6に音声信号を入力したり、表示部11にデータを表示する機能等を有している。
【0023】
また、制御手段22は、検出手段23によって外部インタフェース部9から外部音声出力機器が取り外されたことが検出されたとき、切り替え部8に対して音声信号の出力先を外部インタフェース部9からスピーカ10に切り替えることを指示する機能や、増幅部7に対して、スピーカ10から外部音声出力機器への切り替え時に設定されていたボリューム値と出力先がスピーカ10であることを示す出力先情報とを出力する機能を有する。
【0024】
信号処理部6は、制御部2から入力されるデジタル音声信号をアナログの音声信号に変換して増幅部7に出力する機能などを有する。
【0025】
増幅部7は、信号処理部6から入力された音声信号を、制御部2から入力されたボリューム値と出力先情報とに応じたゲインで増幅して切り替え部8に出力する機能を有する。
【0026】
切り替え部8は、制御部2の指示に従って、増幅部7から供給された音声信号を外部インタフェース部9とスピーカ10との内の一方に出力する機能を有する。
【0027】
送受信部3は、無線基地局との間での電波の送受信を制御する機能を有する。アンテナ4は、実際に電波を送受信する機能を有する。
【0028】
なお、制御部2はCPU(中央処理装置)によって実現可能であり、CPUによって実現する場合は、例えば、次のようにする。CPUを制御部2として機能させるためのプログラムを記録したディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体を用意し、CPUに上記プログラムを読み取らせる。CPUは、読み取ったプログラムに従って自身の動作を制御することにより、自CPU上に押下ボタン判断手段21、制御手段22、検出手段23、および、通信制御手段24を実現する。
【0029】
次に、本実施の形態の動作について、詳細に説明する。
【0030】
先ず、外部インタフェース部9に、イヤホン、ヘッドホン等の外部音声出力機器が接続された場合の動作について説明する。
【0031】
ユーザは、イヤホン等の外部音声出力機器を利用して音楽などを聴く場合には、先ず、外部インタフェース部9に外部音声出力機器を接続する。その後、外部音声機器から出力される音声の音量を大きくする場合には、ボタン入力部1に設けられている任意のボタンを押下する。後述するように、外部音声出力機器から出力される音声の音量は、ユーザがボタンを押下する毎に、所定量ずつ大きくなっていく。
【0032】
検出手段23は、外部インタフェース部9に外部音声出力機器が接続されたことを検出すると、制御手段22に対してその旨を通知する。
【0033】
これにより、制御手段22は、図2のフローチャートに示すように、増幅部7に対して外部音声出力機器接続時の初期ボリューム値と、音声信号の出力先が外部音声出力機器であることを示す出力先情報とを出力する(ステップS21)。これにより、増幅部7は、外部音声出力機器から出力される音声の音量が上記初期ボリューム値によって示される音量となるように、音声信号のレベルを変更する。
【0034】
次に、制御手段22は、切り替え部8に対して、音声信号の出力先をスピーカ10から外部インタフェース部9に切り替えることを指示する(ステップS22)。これにより、切り替え部8は、増幅部7から供給される音声信号を、外部インタフェース部9へ出力する。
【0035】
その後、制御手段22は、ボリューム増加処理終了用タイマ(VOLタイマ)を起動する(ステップS23)。このVOLタイマは、ボリューム増加処理を終了させるか否かを判定するために利用される。また、VOLタイマのタイムアウト時間は、ここでは特に指定しないが、ユーザがストレスを感じない程度の時間とすることが望ましい。タイムアウト時間が短過ぎる場合は、ボタンの押下間隔がタイムアウト時間よりも長くなると、ボリューム増加処理が終了するので、外部音声出力機器から出力される音声の音量がユーザの希望する音量に達する前にボリューム増加処理が終了してしまう危険性が高くなる。また、これとは反対に、タイムアウト時間が長過ぎる場合は、最後にボタンを押下してからタイムアウト時間が経過するまでは、ボタン入力部1に設けられている全てのボタンはボリューム増加処理のためだけに利用されるので、ユーザがボリューム増加処理以外の処理(例えば、受信チャネルの変更処理など)を携帯電話機に行わせようとしても、なかなかその処理が行われない危険性が高くなる。ストレスの感じ方には個人差があるため、タイムアウト時間は、ユーザによって設定可能にしておくことが望ましい。
【0036】
その後、制御手段22は、増幅部7に対して出力したボリューム値が最大値であるか否かを判定する(ステップS24)。
【0037】
そして、最大値であると判定した場合(ステップS24がYES)は、制御手段22は、VOLタイマを停止させた後(ステップS29)、ボリューム増加処理を終了する。なお、ボリューム増加処理終了後に、外部音声出力機器から出力される音量を調整する場合には、携帯電話機に設けられている音量調整ボタンを操作すれば良い。
【0038】
これに対して、最大値に達していないと判定した場合(ステップS24がNO)は、VOLタイマがタイムアウトしているか否かを判定する(ステップS25)。
【0039】
そして、タイムアウトしていると判定した場合(ステップS25がYES)は、前述したステップS29の処理を行った後、ボリューム増加処理を終了する。これに対して、タイムアウトしていないと判定した場合(ステップS25がNO)は、ユーザがボタン入力部1に設けられている何れかのボタンを押下したか否かを判定する(ステップS26)。この判定は、押下ボタン判断手段21から入力される押下ボタン情報に基づいて行う。
【0040】
そして、ステップS26でボタンが押下されていないと判定した場合(ステップS26がNO)は、制御手段22は、ステップS24の処理に戻る。
【0041】
これに対して、ボタンが押下されていると判定した場合(ステップS26がYES)は、前回増幅部7に対して出力したボリューム値よりも1段階アップしたボリューム値を増幅部7に対して出力する(ステップS27)。例えば、前回、増幅部7に対して出力したボリューム値が「レベル2」であるならば、ボリューム値「レベル3」を増幅部7に対して出力する。これにより、増幅部7は、外部音声出力機器から出力される音声の音量がボリューム値「レベル3」に対応するものとなるように、音声信号のレベルを上げる。その後、制御手段22は、VOLタイマを再起動し(ステップS28)、ステップS24の処理に戻る。このように、本実施の形態では、ユーザがボタン入力部1に設けられている任意のボタンを押下するだけで、外部音声出力機器から出力される音量を所定量増加させることができるので、携帯電話機に設けられているボリューム調整用ボタンでしか音量調整を行えない場合に比較して、操作良く、外部音声出力機器から出力される音声の音量をユーザが望むものにすることができる。
【0042】
次に、具体例を挙げて本実施の形態の動作について説明する。今、ボリューム値がレベル0〜レベル10の11段階ある携帯電話機でワンセグ放送をボリューム値「レベル8」で視聴中に、イヤホンを外部インタフェース部9に接続したとする。
【0043】
図3に示すように、時刻t1において、ユーザがイヤホンを外部インタフェース部9に接続すると、前述したステップS21、S22の処理が行われ、音声出力の出力先がイヤホンに切り替えられると共に、イヤホンから出力される音声の音量が初期ボリューム値(図3では、「レベル2」)に応じたものとなる。
【0044】
その後、ユーザが時刻t2,t3,t4,t5において、ボタン入力部1に設けられている任意のボタンを押下すると、イヤホンから出力される音声の音量が、「レベル3」、「レベル4」、「レベル5」、「レベル6」と徐々に増加していく(ステップS26がYES、S27)。
【0045】
ユーザは、時刻t5で出力された音声の音量が適切であると判断すると、ボタン操作を中止する。ボタン操作を中止してからVOLタイマのタイムアウト時間が経過すると(ステップS25がYESとなると)、制御手段22は、ボリューム増加処理を終了するので、それ以降(時刻t6以降)は、ボタン入力部1に設けられている各ボタンを、ボリューム増加処理以外の処理に利用することが可能になる。
【0046】
次に、外部音声出力機器を外部インタフェース部9から取り外した場合の動作について説明する。
【0047】
制御部2内の検出手段23は、外部音声出力機器が外部インタフェース部9から取り外されたことを検出すると、そのことを制御手段22に通知する。これにより、制御手段22は、増幅部7に対して、スピーカ10を出力先としていたときのボリューム値を出力すると共に、出力先がスピーカ10であることを示す出力先情報を出力する(図4のステップS41)。これにより、増幅部7は、スピーカ10から出力される音声の音量が上記ボリューム値によって示される音量となるように、音声信号のレベルを変更する。なお、スピーカ10を出力先としていたときのボリューム値は、例えば、スピーカ10から外部音声出力機器への切り替え時に、データ記憶部5に記録しておけばよい。
【0048】
その後、制御手段22は、切り替え部8に対して、音声信号の出力先を外部インタフェース部9からスピーカ10に切り替えることを指示する(ステップS42)。これにより、切り替え部8は、増幅部7から供給される音声信号を、スピーカ10へ供給する。
【0049】
尚、上述した実施の形態では、ボタンが押下される毎に、ボリューム値を1段階ずつアップするようにしたが、ボタンの連続押下時間が一定時間となる毎にボリューム値を1段階ずつアップするようにしても良い。また、上述した実施の形態では、ボリューム増加処理中に、ボリューム値が最大値になった場合、ボリューム増加処理を終了するようにしたが、スピーカ10を出力先にしていたときのボリューム値(図3の例では、ボリューム値「レベル8」)に達した場合、ボリューム増加処理を終了するようにしてもよい。また、上述した実施の形態では、説明しなかったが、ボリューム増加処理中に終了ボタン(オンフックボタン)が操作された場合は、ボリューム増加処理を終了するようにしてもよい。
【0050】
[第1の実施の形態の効果]
本実施の形態によれば、音声信号の出力先をスピーカ10から外部音声出力機器に切り替える際、外部音声出力機器から出力される音声の音量を、操作性良く、ユーザが望む音量にすることができる。その理由は、ユーザがボタン入力部1に設けられている任意のボタンを押下する毎に、外部音声出力機器から出力される音声の音量を所定量ずつ増加させる制御手段22を備えているからである。
【0051】
また、本実施の形態によれば、外部音声出力機器から出力される音声の音量が、ユーザの希望する音量になった場合は、ユーザが特に特別な操作を行わなくとも、ボリューム増加処理を終了させ、ボタン入力部1に設けられている各ボタンを、ボリューム増加処理以外の処理で利用することが可能になる。その理由は、ボタン操作が所定時間(VOLタイマのタイムアウト時間)、行われなかった場合は、ボリューム増加処理を終了させるようにしているからである。
【0052】
[本発明の第2の実施の形態]
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。ここでは、第1の実施の形態との相違点について説明する。
【0053】
本実施の形態のデータ記憶部5には、設定音量記憶部が設けられている。設定音量記憶部には、携帯電話機が備えている機能であって、出力する音声の音量をユーザが設定可能な機能それぞれについて、その機能に対してユーザが設定した音量を示すボリューム値が記録されている。図5に設定音量記憶部の内容例を示す。この例は、ワンセグ機能、アラーム機能、着信報知機能を利用する際のボリューム値がそれぞれ「8」「2」「4」であることを示している。
【0054】
また、本実施の形態では、図2のステップS21の処理を行う代わりに、図6のフローチャートのステップS61〜S63に示す処理を行っている。
【0055】
ステップS61では、制御手段22は、設定音量記憶部に記録されているボリューム値の内、最も小さいものを選択する。設定音量記憶部の内容が図5に示すものであるとすると、制御手段22は、アラーム機能に対して設定されているボリューム値「2」を選択することになる。
【0056】
次のステップS62では、制御手段22は、ステップS61で選択したボリューム値「2」と、音声信号の出力先が外部インタフェース部9であることを示す出力先情報とを増幅部7に対して出力する。
【0057】
その次のステップS63では、制御手段22は、表示部11に、音量の増加方法を示す説明文「ボタン入力部1に設けられているボタンを押下する毎に音量を1段階ずつ増加させることができます」や、現在のボリューム値(この例では、「2」)を表示する。
【0058】
ステップS63の処理が終了すると、制御手段22は、前述したステップS22以降の処理を行う。
【0059】
[第2の実施の形態の効果]
本実施の形態によれば、音声信号の出力先をスピーカ10から外部音声出力機器に切り替える際に、最初に外部音声出力機器から出力する音声の音量をユーザに合ったものにすることができる。その理由は、音声信号の出力先が外部音声出力機器に切り替えられたとき、音声信号のレベルを、ユーザが音声を出力可能な各機能に対して設定したボリューム値の内の、最も小さいボリューム値に対応したものにする制御手段22を備えているからである。スピーカ10から外部音声出力機器への切り替え時に最初に出力する音声の音量を固定的に定めた場合には、耳の良く聞こえないユーザが、音声を聞き取れない場合がある。これに対して、ユーザが設定しているボリューム値は、ユーザが聴きとることができる音量を示していると考えられるので、本実施の形態のように、切り替え時に出力する音声の音量を、設定されているボリューム値の内の最も小さなボリューム値に対応する音量とすることにより、上記した問題はなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、携帯電話機、PHS、PDA等の外部へ音を出力可能な携帯機器に適用すると好適である。
【符号の説明】
【0061】
1 ボタン入力部
2 制御部
3 送受信部
4 アンテナ
5 データ記憶部
6 信号処理部
7 増幅部
9 外部インタフェース部
10 スピーカ
11 表示部
21 押下ボタン判断手段
22 制御手段
23 検出手段
24 通信制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部インタフェース部と外部音声出力機器との接続状態に応じて、装置本体に内蔵された内蔵音声出力機器と前記外部インタフェース部との内の一方に音声信号を出力する切り替え部と、
該切り替え部によって音声信号の出力先が前記内蔵音声出力機器から前記外部インタフェース部に切り替えられたとき、前記音声信号のレベルを低下させ、その後、ボタン入力部を構成する複数のボタンの内の、任意のボタンのボタン操作に従って、前記音声信号のレベルを所定量ずつ増加させるボリューム増加処理を実行する制御部とを備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1記載の携帯端末装置において、
前記音声信号のレベルを低下させる処理は、前記音声信号のレベルを示すボリューム値を予め定められている初期ボリューム値に変更することにより行い、
前記音声信号のレベルを所定量ずつ増加させる処理は、前記ボリューム値を所定量ずつ増加させることにより行うことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の携帯端末装置において、
前記制御部は、ボタン操作が一定時間行われなかった場合、前記ボリューム増加処理を終了することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の携帯端末装置において、
前記制御部は、前記音声信号のレベルが所定レベルに達した場合、前記ボリューム増加処理を終了することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の携帯端末装置において、
自装置が備えている機能であって、出力する音声の音量をユーザが設定可能な機能それぞれについて、その機能に対してユーザが設定した音量を示すボリューム値が記録された記憶部を備え、且つ、
前記制御手段は、前記切り替え部によって前記音声信号の出力先が前記内蔵音声出力機器から前記外部インタフェース部に切り替えられたとき、前記音声信号のレベルを、前記記憶部に記録されているボリューム値の内の最も小さいボリューム値に対応したものにすることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の携帯端末装置において、
表示部を備え、且つ、
前記制御手段は、前記切り替え部によって音声信号の出力先が前記内蔵音声出力機器から前記外部インタフェース部に切り替えられたとき、前記表示部に音量の増加方法を表示することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
切り替え部が、外部インタフェース部と外部音声出力機器との接続状態に応じて、装置本体に内蔵された内蔵音声出力機器と前記外部インタフェース部との内の一方に音声信号を出力し、
制御部が、前記切り替え部によって音声信号の出力先が前記内蔵音声出力機器から前記外部インタフェース部に切り替えられたとき、前記音声信号のレベルを低下させ、その後、ボタン入力部を構成する複数のボタンの内の、任意のボタンのボタン操作に従って、前記音声信号のレベルを所定量ずつ増加させるボリューム増加処理を実行することを特徴とする音量制御方法。
【請求項8】
外部インタフェース部と外部音声出力機器との接続状態に応じて、装置本体に内蔵された内蔵音声出力機器と前記外部インタフェース部との内の一方に音声信号を出力する切り替え部を備えたコンピュータを、
前記切り替え部によって音声信号の出力先が前記内蔵音声出力機器から前記外部インタフェース部に切り替えられたとき、前記音声信号のレベルを低下させ、その後、ボタン入力部を構成する複数のボタンの内の、任意のボタンのボタン操作に従って、前記音声信号のレベルを所定量ずつ増加させるボリューム増加処理を実行する制御部として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−9119(P2013−9119A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139990(P2011−139990)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】