説明

携帯端末装置

本発明の課題は、音声通信時の操作性が良好な携帯端末装置を提供することである。 閉じた状態で第2筐体部材(101b)と対向する第1筐体部材(101a)の面(101g)に配設されたレシーバ(106)と、閉じた状態で第1筐体部材(101a)と対向する第2筐体部材(101b)の面(101i)に配設され、第1音声出力手段より出力レベルの大きいスピーカ(107)と、第2筐体部材(101b)に対する第1筐体部材(101a)の位置関係を判定し、該判定結果に応じて、音声通信開始時の音声の出力源をレシーバ(106)及びスピーカ(107)のどちらかに設定する制御部(120)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、携帯端末装置に関し、特に、開閉型の携帯端末装置に関する。
【背景技術】
近年、2つの筐体をヒンジ部を介して折り畳むことによりコンパクトになる折り畳み型の携帯端末装置が人気を集めている。こういった折り畳み型の携帯端末装置に対し、従来では、2つの筐体のうち、一方の筐体が他方の筐体に対して回転可能に構成された折り畳み型の携帯端末(携帯電話など)が提案されている。
図17は、従来の携帯端末の外観形状を示しており、図17(a)は、第1の閉状態、図17(b)は、第1の開状態、図17(c)は、第2の閉状態、図17(d)は、第2の開状態を示す図である。
図17(a)から図17(d)に示されるように、第1筐体201には、第1の面202に表示部203、レシーバ204、カメラ205が設けられ、第1の面202の反対面である第2の面206側にはスピーカ207が設けられている。第2筐体208には、操作部209、マイク210が設けられている。第1筐体201と第2筐体202とは、ヒンジ部211を介して図中矢印G方向に開閉可能に構成され、第1筐体201はヒンジ部211を介して第2筐体208に対して矢印H方向に回転可能に構成されている。
図17(a)の第1の閉状態のように、表示部203が露呈されるように携帯端末装置を折り畳むと、閉じた状態でも表示部203に表示される各種情報が確認できるなど、使用者にとっては非常に便利となっている。又、第2筐体208に対する第1筐体201の位置関係を変化させるだけで、携帯端末装置の各種機能を実行することができるようにも構成されている(特許文献1参照)。
(特許文献1) 特開2001−169166号公報
上記従来の携帯端末装置は、第2筐体に対する第1筐体の位置関係を変化させることで、携帯端末装置の各種機能を実行することができるが、ハンズフリー通話を行う場合等に、音声出力源であるレシーバ204からスピーカ207へ切替えるための具体的な手法は開示されていない。つまり、音声通信時における機能切替えについては開示されていない。
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、音声通信時の操作性が良好な携帯端末装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
本発明の携帯端末装置は、第1筐体と第2筐体とをヒンジ部により開閉可能に連結し、前記第2筐体に対し、前記第1筐体を前記ヒンジ部の開閉軸部材と直交する回転軸部材を中心に回転可能に構成した音声通信可能な携帯端末装置であって、閉じた状態で前記第2筐体と対向する前記第1筐体の面に配設された第1音声出力手段と、閉じた状態で前記第1筐体と対向する前記第2筐体の面に配設され、前記第1音声出力手段より出力レベルの大きい第2音声出力手段と、前記第2筐体に対する前記第1筐体の位置関係を判定する位置判定手段と、前記位置判定手段による判定結果に応じて、音声通信時の音声の出力源を前記第1音声出力手段及び前記第2音声出力手段のどちらかに設定する設定手段とを備える。
この構成により、第2筐体に対する第1筐体の位置関係に応じて音声の出力源を設定するため、使い勝手の良い携帯端末装置を提供できる。
又、本発明の携帯端末装置は、前記第2音声出力手段の配設面と同一面に配設された送話部を備え、前記設定手段は、前記第1筐体が前記第2筐体に対し、前記第1音声出力手段が露出しないように閉じられた状態から開かれた第1の位置関係にあると前記位置判定手段により判定された場合、前記第1音声出力手段を前記音声の出力源とし、前記第1筐体が前記第2筐体に対し、前記第1音声出力手段が露出するように閉じられた状態から開かれた第2の位置関係にあると前記位置判定手段により判定された場合、前記第2音声出力手段を前記音声の出力源とする。
この構成により、開いた状態で第1音声出力手段の音声出力方向と第2音声出力手段の音声出力方向とがほぼ同じとなる場合には、音声出力レベルの大きい第2音声出力手段を動作させないため、例えば、第1音声出力手段にユーザが耳をあてて通話する場合、耳の近くで出力レベルの大きい音声が出力されることがないため、安全性を確保できる。一方、開いた状態で第1音声出力手段の音声出力方向と第2音声出力手段の音声出力方向とが異なる場合には、音声出力レベルの大きい第2音声出力手段を動作させるため、例えば、ハンズフリー通話等を行うことができる。
又、本発明の携帯端末装置は、前記位置判定手段が、開いた状態から、前記第2筐体に対する前記第1筐体の回転角度が90度を超えた場合に、前記第1筐体が前記第1の位置関係又は前記第2の位置関係にあると判定する。
この構成により、開いた状態で携帯端末装置を使用中に、第1筐体の位置が多少ずれた場合でも、それに応じて音声の出力源が切替わることはないため、例えば、第1音声出力手段にユーザが耳をあてて通話している際に第1筐体が少し回転してしまい、その影響で第2音声出力手段から出力レベルの大きい音声が出力されてしまうといったことを防ぐことができ、安全性を確保できる。
又、本発明の携帯端末装置は、前記ヒンジ部が、閉じた状態で前記第2筐体との間に空間を形成するように前記第2筐体に連結されたものであり、前記第2音声出力手段を前記ヒンジ部近傍に配設した。
この構成により、閉じた状態で第2筐体とヒンジ部との間に空間が形成されるため、閉じた状態でも第2音声出力手段から出力される音声を明瞭に聞くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置の第1の閉状態を示す外観図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置の第1の開状態を示す外観図であり、
図3は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置の第2の開状態を示す外観図であり、
図4は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置の第2の閉状態を示す外観図であり、
図5は、第1の閉状態にある携帯端末装置を別方向から見た時の外観図であり、
図6は、第1の開状態にある携帯端末装置の分解斜視図であり、
図7は、第2の開状態にある携帯端末装置のX−X断面図であり、
図8は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置の電気的構成を示すブロック図であり、
図9は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置のヒンジ部の分解斜視図であり、
図10は、図5に示した携帯端末装置のX’−X’断面図であり、
図11は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置のヒンジ部に装着されるカムの動作を示すカム線図であり、
図12は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置の動作モード別の機能を説明するための説明図であり、
図13は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置の受話動作を説明するためのフローチャートであり、
図14は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置のカメラ部によって使用者の前方の被写体を撮影しているときの状態を示す図であり、
図15は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置のカメラ部によって使用者自身を被写体として撮影しているときの状態を示す図であり、
図16は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置の動作状態をまとめた表を示す図であり、
図17は、従来の携帯端末の外観形状を示す図であり、(a)は、第1の閉状態、(b)は、第1の開状態、(c)は、第2の閉状態、(d)は、第2の開状態を示す図である。
なお、図中の符号、101は筐体、101aは第1筐体部材、101bは第2筐体部材、101c、101dはヒンジ装着部、101eはD穴、101fはヒンジ軸受部、101gは第1筐体部材の主面、101hは主面101gの反対面、101iは第2筐体部材101bの主面、101jは第2筐体部材の側面、101kは第2筐体部材101bの裏面、101mは第2筐体部材101bの上面、102はヒンジ部、103はアンテナ、104はバイブレータ部、105は操作部、105aは第1操作部、105bは第2操作部、106はレシーバ、107はスピーカ、108はマイクロフォン、109はカメラ部、109aはレンズ群、109bは光電変換素子、110は第1ホール素子、111は第2ホール素子、112は表示部、113は永久磁石、113aは第1永久磁石、113bは第2永久磁石、113cは第3永久磁石、114はプリント基板、115は送受信部、116はデータ変換部、117は音声処理部、118は画像処理部、119は情報記録部、120は制御部、121はクリアランス形成突起、122は第1のクリアランス、123は第2のクリアランス、124は電池である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置の第1の閉状態を示す外観図である。図2は、本携帯端末装置の第1の開状態を示す外観図である。図3は、本携帯端末装置の第2の開状態を示す外観図である。図4は、本携帯端末装置の第2の閉状態を示す外観図である。図5は、第1の閉状態にある携帯端末装置を別方向から見た時の外観図である。図6は、第1の開状態にある携帯端末装置の分解斜視図である。図7は、第2の開状態にある携帯端末装置のX−X断面図である。図8は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置の電気的構成を示すブロック図である。図9は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置のヒンジ部の分解斜視図である。図10は、図5に示した携帯端末装置のX’−X’断面図である。図11は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置のヒンジ部に装着されるカムの動作を示すカム線図である。
尚、本実施形態では、図1に示すように、表示部112を露呈させて閉じた状態を第1の閉状態と称し、図2に示すように、第1の閉状態から第1筐体部材101aを開いた状態を第1の開状態(請求の範囲の第1の位置関係に該当)と称し、図3に示すように、第1の開状態から第1筐体部材101aを180度回転させた状態を第2の開状態(請求の範囲の第2の位置関係に該当)と称し、図4に示すように第2の開状態から第1筐体部材101aを閉じた状態を第2の閉状態と称することにする。
以下、本実施形態の携帯端末装置が有する各構成要素について説明する。
まず、筐体101について説明する。
筐体101は、第1筐体部材101aおよび第2筐体部材101bから構成されており、2つの筐体部材はヒンジ部102を介して開閉軸Yを中心に矢印A方向に開閉可能である。更に、第1筐体部材101aは、第2筐体部材101bに対し、開閉軸Aに直交する回転軸Zを中心に矢印B方向に回転可能にヒンジ部102に連結されている。
第2筐体部材101bには、アンテナ103と、バイブレータ部104と、操作部105と、第2音声出力手段であるスピーカ107と、送話部(マイクロフォン)108と、カメラ部109と、第1ホール素子110と、プリント基板114とが収容されている。
バイブレータ部104は、着信時に起振することにより着信を振動で報知するものである。
操作部105は、第1操作部105a、第2操作部105bとを有している。第1操作部105aは、閉状態の際に第1の筐体部材101aと対向する第2の筐体部材101bの主面101iに設けられ、第2操作部105bは第2の筐体部材101bの主面101iに隣接した側面101jに設けられている。
使用者は、第1操作部105aを操作して、受話や終話の操作、レシーバ106やスピーカ107から出力される音量の調節、文字や記号、数字の入力を行うことができる。第2操作部105bを操作して、カメラ部109を操作したりマナーモードへの切替えができる。
スピーカ107はヒンジ部102の近傍に配設される。スピーカ107からの音声の出力方向を、図1、図3、図5中の矢印C、D、E、Fで示した。尚、スピーカ107から出力される音声を第2筐体部材101bの外に良好に導くために、第2筐体部材101bには導音孔107aが形成されている。この導音孔107aは、主面101i及びこれに隣接した面101mに渡って形成されている。
スピーカ107は、着信時に着信音を出力することによって、使用者に着信を報知したり、ハンズフリー通話時に、通信相手の音声を拡声して出力したりするものである。本実施の形態では、1KHzにおいて約20dB(A)の音圧レベル差を有する部品を選択している。
マイクロフォン108は、第2筐体部材101bの主面101iのヒンジ部102の反対側の端部近傍に設けられている。
カメラ部109は、第2筐体部材101bの主面101iの裏面(101k)に、電池124と併設して設けられており、第1操作部105aの後方方向の被写体が撮像可能になっている。
カメラ部109が捉えた被写体からの入射光は、レンズ群109aを通過してCCD(電荷結合素子)などの光電変換素子109bにて光信号から電気信号に変換され、画像情報が生成される。
この画像情報は、画像処理部118にて処理された後、表示部112に画像を生成する。
また、カメラ部109は、複数枚のレンズを使用することにより、収差が少ない良好な画像が得られるようになっている。
被写体を光電変換素子に結像させる縮小レンズ系は、単レンズに比べ複数枚の凹凸レンズをくみ合わせることにより歪曲収差(distortion)やコマ収差(coma)、非点収差(astigmatism)など、いろいろな収差を小さくできる。
また開口径が大きい(Fナンバーが小さい)ほど、或いは焦点距離fが小さいほど、レンズが作る像を明るくすることができる。反面、レンズ系全体の厚みが増し、カメラ部109の長厚化を招く。
なお、図7において、カメラ部109は2枚のレンズからなる光学系として図示してある。設計においては、結像される画素の大きさ、収差の除去程度などによって条件が決定され、何枚かの正、負レンズの組合せで光学系を決定するものであり、ここではカメラ部の概念図として示してある。特に、像面湾曲(curvature of field)を除去するには低屈折率の負レンズを用いたほうが良く、そのためにはレンズの複数枚化が必須である。
第1筐体部材101aにカメラ部109を収容しようとした場合、収容される第1筐体部材101aが厚く且つ重くなるため、開状態においては、第2筐体部材101bを手に持ったとき、手に持たない第1筐体部材101aが重くなるため、持つ手に疲労感が感じられるなど、携帯性に不適となる。そこで、手に持って使用しない第1筐体部材101aの厚型化を回避しながら高画質が得られるカメラ部109を第2筐体部材101bに配置している。
第1ホール素子110は、筐体101が第1の閉状態のときには第1筐体部材101a内の第1永久磁石113aに近接し、第2の閉状態のときには第1筐体部材101a内の第2永久磁石113bと近接するように、第2筐体部材101bに設けられている。又、第1ホール素子110は第1永久磁石113b又は第2永久磁石113aを検出したときに、検出信号を制御部120に与える。
例えば、筐体101が第1の閉状態では第1永久磁石113aが第1ホール素子110に近接し、第2の閉状態では第2永久磁石113bが近接するため、第1ホール素子110が何れかの永久磁石を検出して制御部120に検出信号を与える。
一方、筐体101が第1及び第2の開状態であれば、両方の永久磁石113a、113bが第1ホール素子110から離隔され、第1ホール素子110は何れの永久磁石113a、113bも検出できず、第1ホール素子110は検出信号を生成しない。
プリント基板114は、送受信部115と、データ変換部116と、音声処理部117と、画像処理部118と、情報記録部119と、制御部120とを有している。
図8に示すように、送受信部115は、アンテナ103に接続されており、このアンテナ103で受信したデータを処理してデータ変換部116に伝達するものである。
データ変換部116は、受信データを音声データに変換して音声処理部117に伝達するものである。
音声処理部117は、音声データを復号化して音声信号を生成した後、レシーバ106やスピーカ107に伝達するものである。レシーバ106やスピーカ107では、音声処理部117から伝達された音声信号に対応する音声を出力するものである。
また、音声処理部117は、マイクロフォン108が受けた音声を符号化して音声データを生成した後、データ変換部116に伝達する。
データ変換部116は、伝達された音声データを通信データに変換した後、送受信部115に送出する。送受信部115は、受け取った通信データを処理し、アンテナ103から無線信号の電波として送信する。
カメラ部109と表示部112は画像処理部118に接続されている。
レシーバ106、スピーカ107およびマイクロフォン108は、音声処理部117に接続されており、音声処理部117はデータ変換部116に接続されている。
又、制御部120は、バイブレータ部104、操作部105、第1ホール素子110、第2ホール素子111、送受信部115、データ変換部116および情報記録部119に接続され、これらの構成要素の制御を行う。又、制御部120は電池124に接続され、電池124から電力が供給される。
又、制御部120は、第1ホール素子110及び後述する第2ホール素子111からの検出信号に基づいて、音声通信時における音声の出力源をレシーバ106及びスピーカ107のどちらかに設定する。尚、音声通信時とは、着信があって受話動作が行われてから終話されるまで及び発信操作を行ってから終話されるまでの間のことである。
カメラ部109が撮影した画像情報は、所定の操作をすると情報記録部119に記録される。
情報記録部119は、他にも、電話番号情報や音声情報、撮像した画像の画像情報以外の画像情報(受信した画像情報等)、作成中または送受信したメール等の文字情報を記録することができる。
以上、説明した構成において、使用者が前方の人を撮影したい時には第1の閉状態にし、カメラ部109を前方の人に向けるとよく、この場合、表示部112には撮影画像が生成されるようになっている。使用者は表示部112に表示される画像を確認しながら撮影できるようになっている。また、被写体を使用者自身とした場合、すなわち、自分撮りをしたい場合、第1の開状態にし、カメラ部109の前方に表示部112を向けると良く、使用者は、使用者自身の撮像画像が表示されている表示部112を確認しながら撮影できるようになっている。
閉状態では小さく折り畳まれ、投影面積が最小となるので、携帯性に好適となる。第1の閉状態では、表示部112が露呈されているので、例えば、胸ポケットに収納した状態から取り出すと、直ぐに時刻や着信があったかなど、表示部112に表示されている情報が確認できる。表示部112に表示されている情報が他人に見られたくない人は、第2の閉状態にすることにより表示部112を隠すことができる。
なお、第1の閉状態で、表示部112に表示される情報は、非表示に設定し、所定操作後に表示されるようにしてもよい。これにより、第1の閉状態であっても他人に勝手に見られることを防止しても良い。
第2筐体部材101bには、ヒンジ部102を保持するヒンジ装着部101c及び101dが形成されている。(図1乃至図4に図示)ヒンジ装着部101cにはヒンジ部102を保持するD穴101eが形成され、ヒンジ装着部101dにはヒンジ部102を支承するヒンジ軸受部101fが形成されている(図6に図示)。
第2筐体部材101bの主面101iには、第1及び第2の閉状態で第1筐体部材101aと当接する一対のクリアランス形成突起121が形成されており、第1及び第2の閉状態では、クリアランス形成突起121が第1筐体部材101aと当接して第1筐体部材101aと第2筐体部材101bの間に第1のクリアランス122(図7に図示)を形成する。
又、ヒンジ部102は、第2筐体部材101bとの間に空間を形成するように、ヒンジ装着部101c及び101dに装着される。これにより、第2筐体部材101bとヒンジ部102との間にも第2のクリアランス123(図5及び図7に図示)が形成される。
第1筐体部材101aには、第1音声出力手段である受話部(レシーバ)106と、表示部112と、2つの永久磁石(第1永久磁石113a、第2永久磁石113b)と、第2ホール素子111とが収容されている。
2つの永久磁石(第1永久磁石113a、第2永久磁石113b)は、ヒンジ部102が連結される端部の反対端の筐体内の任意の位置に、それぞれ離間して配置される。
レシーバ106は、第1筐体部材101aの主面101gに設けられ、この主面101gから音声が出力されるように配設している。レシーバ106は、携帯端末装置1を電話として使用する際に音声を出力する。
表示部112は、第1筐体部材101aの主面101gの反対面101hに設けられ、液晶表示器等により構成することが可能であり、文字や記号、数字、画像、地図等を表示するものである。
第2ホール素子111は、筐体101が第1の閉状態及び第1の開状態のときにヒンジ部102内の第3永久磁石113cと近接し、筐体101が第2の閉状態又は第2の開状態のときにヒンジ部102内の第3永久磁石113cと離隔するように、第1筐体部材101a内部に設けられている。又、第2ホール素子111は第3の永久磁石113cを検出したときに検出信号を制御部120に与える。
例えば、筐体101が第1の閉状態及び第1の開状態では、第3の永久磁石113cが第2ホール素子111に近接するため、第2ホール素子111が第3の永久磁石113cを検出して制御部120に検出信号を与える。一方、筐体101が第2の閉状態及び第2の開状態であれば、第3の永久磁石113cが第2ホール素子111から離れるため、第2ホール素子111は第3の永久磁石113cを検出できず、検出信号を生成しない。
次に、図を用いてヒンジ部について詳述する。
ヒンジ部102の中には第3永久磁石113cが収容されている。第3永久磁石113cは、第1筐体部材101aに近い位置(例えば図10に示すように、第1の開又は閉状態でホール素子111に近接する位置)に配設する。
図9乃至図11に示すように、携帯端末装置1のヒンジ部102は、開閉軸部材125、開閉軸部材125に直交する回転軸部材126、支承板127、案内軸128、第1コイルばね129、第1クリック凸板130、第1クリック凹板131、カム132、第2クリック凸板133、第2コイルばね134、ブラケット135、Eリング136および開閉軸軸受137を有するヒンジユニット138と、可撓性基板139と、ケーブル140と、フロントカバー141と、リアカバー142と、締結ネジ143とから構成されている。
中空状の開閉軸部材125は、中央部に切欠き部125a、回転軸部材126を支承する支承部125b、仕切り部125c、スリット125d、ネジ穴125e、第3永久磁石113cを保持する保持部125fを有する。なお、切欠き部125aには支承板127が設置される。支承板127には、凹部127aと、回転軸部材126を支承する支承孔127bとが形成されている。開閉軸部材125の内部には、図9中の左側から、案内軸128、第1コイルばね129、第1クリック凸板130および第1クリック凹板131が装着される。
案内軸128は、太径部128aと小径部128bを有する。太径部128aには平行溝128cが形成されており、小径部128bの先端にはDカット部128dが形成されている。第1クリック凸板130は案内軸128に回動不能であり、小径部128bのスラスト方向のみに移動可能に設けられる。また、第1クリック凹板131は、小径部128bが回動可能に挿通されると共に、開閉軸部材125の端部側に固定される。
第1コイルばね129は、第1クリック凸板130を第1クリック凹板131側へ付勢する。筐体101が閉状態および第1の開状態において、第1クリック凸板130の凸部130aは、第1クリック凹板131の凹部131aに係合する。なお、筐体101を第1の開状態から閉状態にする場合は凸部130aと凹部131aとの係合が解除され、一方、閉状態から第1の開状態にすると凸部130aと凹部131aとが係合する。即ち、これにより、凸部130aと凹部131aとの係合、または係合の解除の際に、ユーザにクリック感が得られる。
回転軸部材126には、図9の中段上側から、カム132、支承板127、第2クリック凸板133、第2コイルばね134およびブラケット135が装着される。回転軸部材126は、開閉軸部材125の切欠き部125aに取り付けられる支承板127と、開閉軸部材125の支承部125bに支承される。回転軸部材126の先端にはEリング136が設けられ、開閉軸部材125に回転可能に保持される。第2クリック凸板133は、回転軸部材126のスラスト方向のみに移動可能に設けられる。また、第2コイルばね134は、第2クリック凸板133を支承板127側へ付勢する。
筐体101が閉状態から開状態となるまで、継続して第2クリック凸板133の凸部133aは支承板127の凹部127aに係合する。第1の開状態から第2の開状態に移行するときは、第2クリック凸板133の凸部133aと支承板127の凹部127aとの係合が解除され、第2の開状態で再び係合する。第2の開状態から第1の開状態へ移行する時も同様である。即ち、前述した第1クリック凸板130の凸部130aと第1クリック凹板131の凹部131aと同様の構成によって、ユーザにクリック感を与えるように構成されている。
ブラケット135には、第1筐体部材101aにネジ(図示せず)によって共締め固定される孔135aが形成されている。
カム132は、回転軸部材126に固定され、開閉軸部材125の仕切り部125cと案内軸128の太径部128aとの間に挟まれるようにして、開閉軸部材125の中に収容されている。カム132と案内軸128の平行溝128cとは、第1、第2筐体部材101a、101bが第1、第2閉状態及び第1、第2開状態のときのみ平行になるように構成されており、このとき、回転軸部材126の回転と共に回転するカム132は平行溝128cの中に案内可能となり、第1筐体部材101aをB方向へ回転させることができる。ここで、上記の動きを、図11に示すカム線図を用いて説明する。
図11に示すカム線図において、右側の斜線部は仕切り部125cを示す。また、左側の斜線部は案内軸128の太径部128aを示し、円弧部は平行溝128cを示す。ここで、筐体101が閉状態から第1又は第2開状態の間にあるときのカム132の位置を位置aで示す。また、筐体101が第1、第2の開状態のときの、カム132の位置を位置bで示す。
位置aでは、カム132の左右端面はそれぞれ仕切り部125cと案内軸128の太径部128aとに囲まれているため、カム132は回転できないようになっている。位置bでは、カム132の右端面側に仕切り部125cがあるため、B方向とは反対側に回転できないようになっている。カム132の左端面側には平行溝128cがあるため、B方向へ180度回転できる。B方向へ180度未満の回転の状態ではカム132の一部が平行溝128cの中にあり、この状態では、カム132の板厚方向が平行溝128cに囲まれるため、筐体101が矢印A方向(または反対方向)へ変化しようとしても抑制される。
閉状態においては、カム132と平行溝128cとは平行であるが、第1筐体部材101aと第2筐体部材101bとが対面しているため、回転軸部材126は回転できない。
したがって、筐体101が第1及び第2の開状態以外の状態においては、第1筐体部材101aは回転軸部材126を軸とした矢印B方向(または反対方向)への回転を行うことができない。さらに、回転軸部材126が回転している状態においては、開閉軸部材125は回転できないため、筐体101の矢印A方向(または反対方向)への開閉ができない。
開閉軸部材125の内部には、図9の中段右側から、中空状の開閉軸軸受137が装着される。この開閉軸軸受137の溝137aはスリット125dと同方向に向けられて取り付けられている。
ヒンジユニット138には、可撓性基板139とケーブル140とが組み付けられる。コーナー部139aを有する可撓性基板139は、第1筐体部材101aと第2筐体部材101bとを電気的に接続する。コーナー部139aの片端側は開閉軸軸受137の廻りに巻回されて第1巻回部139bを形成し、コーナー部139aは溝137aから開閉軸軸受137の中に通される。コーナー部139aの他端側はスリット125dを通過して開閉軸部材125の外へ脱出し、開閉軸部材125廻りを約半周巻回され、さらに、回転軸部材126廻りに巻回されて第2巻回部139cを形成し、第1筐体部材101aに接続される。
第1筐体部材101aに設けられた金属部品と第2筐体部材101bに設けられた金属部品とを電気的に接続するケーブル140は、開閉軸軸受137の端部より開閉軸軸受137の中に通され、スリット125dから出て第1の筐体部材101a側へと延設され、第2巻回部139cの内側を通って接続される。ケーブル140を設けた目的は、夫々筐体部材101a、101bのグランド強化にあり、静電気が付与されたときでも表示部112等の破損を回避するためである。なお、ケーブル140は、第1筐体部材101aにアンテナ103設けた時、アンテナ103と第2筐体部材101bに設けた送受信部115との間での利得低下を極力回避するために用いても良い。
ヒンジユニット138に可撓性基板139とケーブル140とが組付けられた後、外装用のフロントカバー141およびリアカバー142が締結ネジ143によって固定される。フロントカバー141およびリアカバー142には、それぞれ係合爪141a、142aとネジ挿通穴141b、142bが設けられている。ネジ挿通穴141b、142bは回転軸部材126に設けたブラケット135側を向くように設けられている。また、フロントカバー141とリアカバー142は、ヒンジユニット138を囲むように挟んで係合爪141a、142aを係合させ、締結ネジ143がネジ挿通穴141b、142bを通して開閉軸部材125のネジ穴125eに螺着されて、この構成によりヒンジ部102が完成する。
小径部128bの先端に形成されたDカット部128dは、第2筐体部材101bのヒンジ装着部101cに設けられたD穴101eに支承され、また、開閉軸軸受137の外周は、第2の筐体部材101bのヒンジ軸受部101fに支承されて、ヒンジ部102は第2筐体部材101bに装着される。また、ブラケット135には第1筐体部材101aが装着される。
なお、回転軸部材126は、第1、第2筐体部材101a、101bとが第1、第2の開状態のときのみ回転可能に設けたが、筐体101が他の態様(例えば、筐体101が閉状態から開状態になるまでの間の状態)であっても回転可能にしてもよい。本実施形態では、例えば、回転軸部材126が約90度回転された状態で開閉軸部材125が回転すると、第1筐体部材101aの隅部が第2筐体部材101bの主面101iと当接して打痕が生じるのを防止するために、回転軸部材126が回転終了までは開閉軸部材125が回転できないようにしてある。打痕が生じない材料で筐体を構成した場合などでは、必ずしもこの限りではない。
次に、図12乃至図15を参照して、本実施形態の携帯端末装置の動作について説明する。
図12は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置の動作モード別の機能を説明するための説明図である。図13は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置の受話動作を説明するためのフローチャートである。図14は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置のカメラ部によって使用者の前方の被写体を撮影しているときの状態を示す図である。図15は、本発明の実施形態に係る携帯端末装置のカメラ部によって使用者自身を被写体として撮影しているときの状態を示す図である。
図12に示したように、携帯端末装置1に電源が投入された状態では、音声通信モード501、非音声通信モード502、及びカメラモード503が、操作部105を操作することで設定可能である
音声通信モード501では、音声通信等の受信待受動作を開始し、着信動作や発信動作等を行うことで使用者が通信相手と通話をすることができる。
図13を用いて、受話動作を説明する。
待受状態(ST1)において、制御部120により、筐体101が第1の閉状態又は第2の開状態にあると判定されると、表示部112には時刻、電池残容量や電界強度を表すマーク等が表示される。
着信があった場合(ST2:Y)、制御部120により携帯端末装置1がマナーモードに設定されているか否かを判断し、マナーモードに設定されていない場合(ST3:N)、スピーカ107から着信音が出力される(ST4)。このとき、携帯端末装置1が閉状態であっても、着信音は第2のクリアランス123から外部に導出される。一方、マナーモードに設定されていた場合(ST3:Y)、バイブレータ部105により着信の報知が行われる(ST5)。
着信を認識した使用者が携帯端末装置1を開き受話操作を行うと(ST6)、制御部120が、第2ホール素子111からの検出信号により、携帯端末装置1の開状態を判定する(ST7)。判定の結果、携帯端末装置1が第1の開状態であった場合(ST7:Y)、制御部120はレシーバ106から通信相手の音声を出力するよう制御する(ST8)。一方、携帯端末装置1が第2の開状態であった場合(ST7:N)、制御部120はスピーカ107から通信相手の音声を出力するよう制御する(ST9)。その後、終話操作が行われると、通話が終了され、待受状態に戻る(ST10)。尚、通話中に携帯端末装置1が、第1の開状態から第2の開状態へ、或いは第2の開状態から第1の開状態に切替わった場合、制御部120は、受話音声の出力源を、音声が出力されていなかった他方の音声出力源へと切替える。
ST2において着信情報として、相手の発信情報が名前と共に予め電話帳に登録されているならば、相手の名前や相手の顔画像などの電話帳情報が表示される。
非音声通信モード502では、受信待受状態を維持しながら、着信した非音声通信(メールなどの文字情報)を表示させたり、第1操作部105aより入力した文字情報を表示部112に表示させ、かつ、送信機能を用いて相手に文字情報や情報記録部121に保存された音声、非音声(画像等)情報を送信することができる。
メールなどの非音声情報を着信した時には、筐体101が第1の閉状態及び第2の開状態において表示部112に着信を報知するメッセージが表示される。筐体101が第2の閉状態及び第1の開状態のときには、表示部112には表示されないが、第1の閉状態や第2の開状態に切替えると、表示部112に着信を報知するメッセージが表示される。
第2の開状態において、所定の操作によって、着信した文字情報や画像情報などの非音声情報を表示部112に表示することができる(例えば、メールを開くなど)。第1の閉状態でも非音声情報が表示部112に表示されるようにしても良い。この場合、第1の閉状態で操作ができる第3の操作部を表示部112に隣接する位置に設けたり、第2操作部105bにその機能を付与したりしても良い。
音声又は非音声通信を行うときには、送信相手を確定するために電話帳機能を利用することができる。すなわち、筐体101を第2の開状態にし、第1操作部105aを操作し電話帳機能を用いて相手名を表示部112に表示させ、選択して確定することができる。
次に、カメラ部の動作を説明する。カメラモード503においては、第1の閉状態および第1の開状態でカメラ部109による撮影が行える。
撮影した撮像画像は静止画または動画として情報記録部119に記録できる。情報記録部119に記録された動画や静止画像は、第2の開状態にし、所定の操作を行って、撮影した撮像画像を表示部112に再生表示させて見ることができる。ここで、第1の開状態で撮影した撮像画像は、表示部112に表示された表示画像の反鏡像が表示される。即ち、第1の開状態で撮影した時には、表示部112に鏡像が表示されていても、録画された画像を読み出したときには反鏡像が表示される。第1の閉状態で撮影した撮像画像は、表示部112に表示された表示画像と同じ画像が表示される。撮像画像とともに録音された音声は、撮像画像の再生とともにスピーカ107から出力される。
これら撮影した撮像画像は、電話番号情報に関連付けて電話帳に記憶することができる。画像情報と関連付けられた電話番号から着信があった場合、表示部112に画像情報が表示される。また、カメラ部109が撮像した撮像画像を通信相手に送信もできる。
第1の撮影状態について、図14を用いて説明する。第1の閉状態においては、表示部112を使用者151自身に向けカメラ部109を使用者の前方にいる被写体152に向けて撮影する。使用者は、反鏡像が表示される表示部112を見ることで、撮影状態が確認できる。第2操作部105bを操作して、動画、静止画の撮影の開始、終了ができる。
第2の撮影状態について、図15を用いて説明する。第1の開状態においては、カメラ部109を使用者151自身に向けて撮影すると、使用者151自身が表示部112に表示される撮像画像を確認できる。表示部112には鏡像が表示される。被写体自身がどのように写っているかを表示する表示部112に鏡像を表示すると、被写体自身は鏡を見ている状態と同じくなり、例えば、首が傾いていると気付いた場合には、どちらに傾いているか容易に分かる。第2操作部105bを操作して、動画、静止画の撮影の開始、終了ができる。第2操作部105bは撮影中に使用するため、装置の態様が撮影できる状態で、筐体101外表面に露呈した位置に設けてある。
すなわち、第1の閉状態では、相手撮りに好適であり、第1の開状態では、自分撮りに好適となる。
なお、開状態においては、第1の開状態でのみカメラ部109による撮影ができるようにしたが、第1の筐体を反転させた第2の開状態でも撮影ができるようにしてもよい。すなわち、表示部112は撮影者(使用者)に向けられカメラ部109が被写体に向けられた態様となるので、相手撮りができる。この場合、装置を同じ向きに持ち、第1筐体部材101aを回転させるだけで相手撮り、自分撮りの切替えが可能なので、第2操作部105bを操作する手は常に同じとなり、操作性が良好となる。第2の開状態における撮影時には、表示部109には反鏡像を表示するとよい。
第1の開状態で撮影しているとき(即ち、表示部112とカメラ部109とが同方向に向けられているとき)のみ、表示部112に表示される撮影画像を鏡像にし、この態様以外で撮影や再生表示する場合には反鏡像を表示させるだけなので、制御方法が簡素化できる(画像表示処理の負担が軽減される)。
以上、説明した本実施形態における、筐体101の態様とレシーバ106やスピーカ107、カメラ部109の動作についての関係を図16にまとめた。
以上のように本実施形態によれば、携帯端末装置1の第2筐体部材101bに対する第1筐体部材101aの位置関係を判定し、判定した位置関係によって、音声通信時における音声の出力源を切替えることができる。使用者は、携帯端末装置1を第1の開状態や第2の開状態に切替えるだけで、ハンズフリー通話や通常の通話に切替えることができるため、使い勝手が良い。
又、本実施形態によれば、スピーカ107から出力される音声が、第2クリアランス123から導出されるようになっているため、携帯端末装置1を閉じた状態でも、着信音等を明瞭に聞くことができる。
又、本実施形態によれば、手に持つ筐体(第2の筐体部材101b)に1つのカメラ部109を埋め込む構成とすることで、手に持たない筐体(第1の筐体部材101a)の薄型化、軽量化が達成できるとともに、厚いレンズ(光学系)も無理なく使用することができる。すなわち、筐体を手に持った時、手に持たない筐体が重ければ、手先が下がってしまい、手に疲労が生じ易くなってしまう。このため、手に持たない他方の筐体(第1筐体部材101a)の薄型化、軽量化により、使用時でも軽く感じられるようになっている。しかも、一つのカメラ部で自分撮り、相手撮りの両方をする場合、どちらの場合でも表示部に撮像画像を表示させて、撮影画像が撮影中に確認できるので、高画質の撮影及び撮影シーンの多様化が可能である。
カメラ部109と表示部112の上下方向が一致しないと、画像を表示する際に、画像を表示するために画像メモリから画像データを読み出す際のアドレス制御が複雑になって、このことがコスト高の要因となり、あるいはLSIのサイズの増加を招くおそれがある。しかしながら、カメラ部109に対し表示部112は、上下方向が常に一致している構成であるため、基本的には、撮像した画像をそのまま表示すればよく、必要に応じて、左右を逆転させて鏡像表示をなせばよい。したがって、画像処理が簡単化される。
尚、本実施形態では、第2ホール素子111が第3永久磁石113cを検出した際に、携帯端末装置1が第1の開状態になったと判定し、音声の出力源をレシーバ106に設定しているが、第2ホール素子111による第3永久磁石113cの検出範囲は、第3永久磁石113cの非検出範囲よりも広くなるように、第3永久磁石を選定している。
つまり、第1筐体部材101aの第1の開状態からの回転角度が90度を越えた時点で、第2ホール素子111が第3永久磁石113cを非検出とするようにしている。これにより、第1筐体部材101aの第1の開状態からの回転角度が90度を越えるまでは、音声の出力源がスピーカ107に切替わることはないため、使用者がレシーバ106に耳をあてている状態で、突然スピーカ107から大音量の音声が出力されてしまい、使用者の鼓膜に影響を与えてしまうといった事故を防ぐことができ、安全性が確保できる。
又、これは第2の開状態のときも同様に、第1筐体部材101aの回転角度が90度を越えるまでは、第2ホール素子111が第3永久磁石113cを検出しないため、スピーカ107からレシーバ106に音声出力源が切替わることはなくなり、ハンズフリー通話中に第1筐体部材101aが多少回転してしまっても、そのままハンズフリー通話を継続することができる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2003年2月12日出願の日本特許出願No.2003−033813に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、音声通信時の操作性が良好な携帯端末装置を提供することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と第2筐体とをヒンジ部により開閉可能に連結し、前記第2筐体に対し、前記第1筐体を前記ヒンジ部の開閉軸部材と直交する回転軸部材を中心に回転可能に構成した音声通信可能な携帯端末装置であって、
閉じた状態で前記第2筐体と対向する前記第1筐体の面に配設された第1音声出力手段と、
閉じた状態で前記第1筐体と対向する前記第2筐体の面に配設され、前記第1音声出力手段より出力レベルの大きい第2音声出力手段と、
前記第2筐体に対する前記第1筐体の位置関係を判定する位置判定手段と、
前記位置判定手段による判定結果に応じて、音声通信時の音声の出力源を前記第1音声出力手段及び前記第2音声出力手段のどちらかに設定する設定手段とを備える携帯端末装置。
【請求項2】
請求の範囲第1項記載の携帯端末装置であって、
前記第2音声出力手段の配設面と同一面に配設された送話部を備え、
前記設定手段は、前記第1筐体が前記第2筐体に対し、前記第1音声出力手段が露出しないように閉じられた状態から開かれた第1の位置関係にあると前記位置判定手段により判定された場合、前記第1音声出力手段を前記音声の出力源とし、
前記第1筐体が前記第2筐体に対し、前記第1音声出力手段が露出するように閉じられた状態から開かれた第2の位置関係にあると前記位置判定手段により判定された場合、前記第2音声出力手段を前記音声の出力源とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求の範囲第2項記載の携帯端末装置であって、
前記位置判定手段は、開いた状態から、前記第2筐体に対する前記第1筐体の回転角度が90度を超えた場合に、前記第1筐体が前記第1の位置関係又は前記第2の位置関係にあると判定する携帯端末装置。
【請求項4】
請求の範囲第2項又は第3記載の携帯端末装置であって、
前記ヒンジ部は、閉じた状態で前記第2筐体との間に空間を形成するように前記第2筐体に連結されたものであり、
前記第2音声出力手段を前記ヒンジ部近傍に配設した携帯端末装置。

【国際公開番号】WO2004/073287
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504941(P2005−504941)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000933
【国際出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】