説明

携帯端末

【課題】ユーザが誤ってデータを記録している側のメモリカードを本体から取り出してしまうのを防止することで、信頼性の向上を図った携帯端末を提供する。
【解決手段】ワンセグ放送受信機1は、2つのメモリカード10をセットすることができる。ワンセグ放送受信機1は、データを記録しているメモリカード10が収納されているカード収納部13のカードドア11を閉状態で維持する。このため、ユーザが、誤ってデータを記録している側のメモリカード10を本体から取り出すのを、防止することができる。その結果、取り出したメモリカード10内に記録されているデータの破壊や、装置本体のハードウェアの故障等が防止でき、信頼性の向上が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、本体の媒体収納部に収納されている記録媒体に対してデータを記録する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが持ち歩いて使用する携帯端末として、ワンセグ放送受信機、撮像装置、音楽プレイヤ等が実用化されている。この種の携帯端末は、本体に取り込んだデータを、本体にセットされているメモリカードに記録することができる。携帯端末は、ユーザの使い勝手を考慮し、メモリカードを本体に対して着脱自在に構成している。すなわち、ユーザが使用用途等に応じて、データを記録するメモリカードを自由に交換できる。
【0003】
また、メモリカードは、記録できるデータの容量が限られていることから、メモリカードにデータを記録しているときに、メモリカードの空き容量がなくなると、データの記録が継続できない状態になる。そこで、2つのメモリカードを本体にセットすることができる装置が提案されている(特許文献1参照)。この装置は、データの記録を一方のメモリカードに対して行っているときに、このメモリカードの空き容量がなくなると、データを記録するメモリカードを他方のメモリカードに切り換え、データの記録を継続する構成である。また、この特許文献1では、空き容量がなくなったメモリカードを、本体から排出することにより、メモリカードの交換にかかるユーザの手間を削減し、使い勝手を向上させることも提案している。
【特許文献1】特開2005−229428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、2つのメモリカードを本体にセットすることができる従来の携帯端末では、ユーザが一方のメモリカードを交換するときに、誤ってデータを記録している側のメモリカードを本体から取り出すことがあった。この場合、データの記録が中断されるだけでなく、取り出したメモリカード内に記録されているデータの破壊や、装置本体のハードウェアの故障等をともなうこともある。
【0005】
なお、特許文献1も、データを記録しているメモリカードが本体から取り出されるのを防止するものではない。
【0006】
この発明の目的は、ユーザが誤ってデータを記録している側のメモリカードを本体から取り出してしまうのを防止することで、信頼性の向上を図った携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の携帯端末は、上述の課題を解決し、その目的を達成するために、以下のように構成している。
【0008】
この携帯端末は、2つの媒体収納部を有しており、選択されている媒体収納部に収納されている記録媒体に対してデータの記録を行う媒体処理部を備えている。媒体ドアが、前記媒体収納部毎に設けられている。各媒体ドアは、ロック機構部により閉状態でロックされる。ロック解除機構部は、前記ロック機構部によるロック状態を前記媒体ドア毎に解除する。すなわち、媒体ドア毎に、ロック機構部によるロック状態を解除することができる。そして、ロック解除制限部が前記媒体処理部がデータの記録を行っている記録媒体が収納されている前記媒体収納部に対して、前記ロック解除機構部による前記媒体ドアのロック状態の解除を禁止する。すなわち、記媒体処理部がデータの記録を行っている記録媒体が収納されている前記媒体収納部の媒体ドアは、閉状態で維持される。したがって、ユーザが、誤ってデータを記録している側のメモリカードを本体から取り出してしまうのを防止することができる。その結果、取り出したメモリカード内に記録されているデータの破壊や、装置本体のハードウェアの故障等が防止でき、信頼性の向上が図れる。
【0009】
また、前記媒体処理部が選択されている媒体収納部に収納されている記録媒体に対してデータの記録を行っているときに、当該記録媒体の空き容量不足により、新たなデータの記録が行えない状態になると、この時点で選択されていない側の媒体収納部に収納されている記録媒体を選択し、データの記録を継続するように構成してもよい。
【0010】
さらに、画像データ取込手段で取り込んだ画像データを、選択されている媒体収納部に収納されている記録媒体に記録するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、ユーザが誤ってデータを記録している側のメモリカードを本体から取り出してしまうのを防止できるので、信頼性の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、この発明の実施形態であるワンセグ放送受信機の主要部の構成を示すブロック図である。また、図2は、このワンセグ放送受信機の概略の外観図である。このワンセグ放送受信機1は、制御部2と、受信部3と、記録部4と、操作部5と、出力部6と、開閉部7と、を備えている。このワンセグ放送受信機1は、ワンセグ放送で放送されている番組等を受信し、その番組を視聴することができる携帯端末である。受信部3は、ワンセグ放送にかかる放送信号を受信するチューナである。この受信部3が、この発明で言う画像データ取込手段に相当する。記録部4は、受信部3で受信しているワンセグ放送を本体にセットされているメモリカード10に記録する。この記録部4が、この発明で言う媒体処理部に相当する。記録部4には、2つのメモリカード10a、10bがセットできる。記録部4は、受信部3で受信しているワンセグ放送を、その時点で選択されている側のメモリカード10a(または10b)に記録する。また、記録部4は、選択されている側のメモリカード10a(または10b)に記録されているデータを読み出し、再生することもできる。操作部5は、本体に対するユーザの入力操作を受け付ける。ユーザが操作する操作キー5aは、図2に示すように、本体表面に配置している。また、出力部6は、受信部3で受信しているワンセグ放送にかかる映像を、本体表面に配置した表示器6aに表示するとともに、図示していないスピーカから音声を放出する。開閉部7は、本体側面に設けられた2つのカードドア11(11a、11b)の開閉を行う。図2に示すように、カードドア11a、11b毎に、開ボタン12a、12bが設けられている。通常時、開ボタン12aが押下されると、開閉部7によりカードドア11aが開され、開ボタン12bが押下されるとカードドア11bが開される。制御部2は、開閉部7がカードドア11a、11bを開するのを禁止する機能を有している。この機能の詳細については後述するが、この機能が本願発明で言うロック解除制限部にかかる機能である。また、開閉部7が、この発明で言うロック解除手段に相当する。
【0014】
ここで、図3を参照しながらカードドア11周辺の構造について説明する。図3は、カードドア周辺部の拡大図である。図3(A)は、カードドアが閉している状態を示しており、図3(B)は、カードドアのロックが解除された直後の状態を示しており。さらに図3(C)は、カードドアが開している状態を示している。図3では、一方のカードドア11aについて図示しているが、他方のカードドア11bについても同じ構成である。カードドア11aの内側には、カード収納部13が形成されている。カードドア11aを開することにより、カード収納部13へのメモリカード10aの挿入や、カード収納部13からのメモリカード10aの取出が行える。言い換えれば、カードドア11aが閉しているときには、カード収納部13へのメモリカード10aの挿入や、カード収納部13からのメモリカード10aの取出が行えない。カードドア11aは、本体に対して回動自在に取り付けられている。カードドア11aが回動する回動軸には、ねじりバネ(不図示)が取り付けられている。カードドア11aは、このねじりバネにより開する方向に付勢されている。
【0015】
また、カードドア11aには、L字形状のロック部材14の先端が嵌挿される嵌挿穴15が形成されている。ロック部材14は、カードドア11aが閉位置にあるときに、その先端が嵌挿穴15に嵌挿されるように、本体に取り付けている(図3(A)参照)。このロック部材14が、この発明で言うロック機構部に相当する。ロック部材14は、弾力性を有する樹脂で構成している。開閉部7は、モータやソレノイド等を用いて、このロック部材14を弾性変形させ(図3において、紙面に垂直な方向に引き上げることで弾性変形させる。)、このロック部材14の先端をカードドア11aの嵌挿穴15から抜き取る(図3(B)参照)。これにより、カードドア11aのロック状態が解除され(ロック解除状態になり)、当該カードドア11aがねじりバネの付勢力により回動し、開状態になる(図3(C)参照)。開閉部7は、カードドア11aを開するときに、一時的にロック部材14をモータやソレノイド等を用いて弾性変形させるだけで、すぐに元の状態(図3において、紙面に垂直な方向に引き上げていない状態)に戻す。
【0016】
なお、カードドア11aを閉するときには、ユーザがカードドア11aを閉位置へ押圧するので、このカードドア11aに押圧されてロック部材14が弾性変形する。ユーザが押圧しているカードドア11aの嵌挿穴15が、ロック部材14の先端位置に達すると、ロック部材の先端が嵌挿穴15に入り込み、カードドア11aが閉状態でロックされる。
【0017】
次に、このワンセグ放送受信機1の動作について説明する。このワンセグ放送受信機1は、ワンセグ放送にかかる放送信号を受信部3で受信する。ユーザは、受信部3で受信するチャンネルを、操作部5で選局する。出力部6は、受信部3で受信されている放送信号にかかる映像を表示器6aに表示するとともに、図示していないスピーカから音声を放出する。ワンセグ放送受信機1におけるワンセグ放送の受信については公知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。また、このワンセグ放送受信機1は、メモリカード10に記録されているデータを読み出し、当該データに基づくる映像を表示器6aに表示するとともに、図示していないスピーカから音声を放出する再生機能も有している。
【0018】
また、ワンセグ放送受信機1は、受信部3で受信している放送信号にかかる映像および音声を、本体に挿入されているメモリカード10に記録することができる。図4は、ワンセグ放送受信機における記録処理を示すフローチャートである。ワンセグ放送受信機1は、操作部5においてワンセグ放送の記録にかかる入力操作が行われると、図4に示す記録処理を開始する。まず、一方のカード収納部13にメモリカード10が挿入されているかどうかを判定する(s1)。ここで一方のカード収納部13にメモリカード10が挿入されていなければ他方のカード収納部13にメモリカード10が挿入されているかどうかを判定する(s2)。s2で他方のカード収納部13にもメモリカード10が挿入されていなければ、今回の記録処理を中止し、本処理を終了する。このとき、メモリカード10が挿入されていないことを通知するメッセージを、表示器6aに表示してもよい。
【0019】
ワンセグ放送受信機1は、s1で一方のカード収納部13にメモリカード10が挿入されていると判定すると、このメモリカード10の空き容量を確認し、受信しているワンセグ放送の記録が行えるかどうかを判定する(s3)。s3で、空き容量がなく、受信しているワンセグ放送の記録が行えないと判定すると、s2にジャンプする。また、ワンセグ放送受信機1は、s2で一方のカード収納部13にメモリカード10が挿入されていると判定すると、このメモリカード10の空き容量を確認し、受信しているワンセグ放送の記録が行えるかどうかを判定する(s4)。s4は、s3と同様の処理である。s4で、空き容量がなく、受信しているワンセグ放送の記録が行えないと判定すると、今回の記録処理を中止し、本処理を終了する。このとき、メモリカード10の空き容量がなく記録できない旨を通知するメッセージを、表示器6aに表示してもよい。
【0020】
ワンセグ放送受信機1は、s3、またはs4で受信しているワンセグ放送の記録が行えると判定すると、受信部3で受信している放送信号にかかる映像および音声を、本体に挿入されているメモリカード10に記録する処理を開始する(s5)。s5では、s3またはs4で空き容量があると判定したメモリカード10に対して、受信部3で受信している放送信号にかかる映像および音声を記録する。
【0021】
ワンセグ放送受信機1は、メモリカード10に対する記録終了タイミングになるか(s6)、映像および音声を記録しているメモリカード10の空き容量がなくなるか(s7)、開ボタン12aまたは12bが押下されるのを待つ(s8)。ワンセグ放送受信機1は、メモリカード10に対する記録終了タイミングになると、s5で開始したメモリカード10に対する記録を停止し(s9)、本処理を終了する。
【0022】
また、ワンセグ受信機1は、映像および音声を記録しているメモリカード10の空き容量がなくなると、反対側のカード収納部13にメモリカード10が挿入されているかどうかを判定する(s10)。ワンセグ受信機1は、メモリカード10が挿入されていれば、このメモリカード10の空き容量を確認し、受信しているワンセグ放送の記録が行えるかどうかを判定する(s11)。s10でメモリカードが挿入されていない、またはs11で空き容量がなく、受信しているワンセグ放送の記録が行えないと判定すると、s9でメモリカード10に対する記録を停止し、本処理を終了する。このとき、ワンセグ放送の記録が継続できないことを、OSDで表示器6aに表示してもよい。
【0023】
ワンセグ放送受信機1は、s11で受信しているワンセグ放送の記録が行えると判定すると、記録するメモリカード10を切り換え(s12)、受信しているワンセグ放送の記録を継続する。このように、受信しているワンセグ放送の記録途中に一方のメモリカード10の空き容量がなくなっても、受信しているワンセグ放送を、本体に挿入されている他方のメモリカード10に記録することができる。ワンセグ放送受信機1は、s12で記録するメモリカード10を切り換えると、これまで記録していたメモリカード10(空き容量がなくなったメモリカード10)が挿入されている側のカードドア11a(または11b)を開し(s13)、s6に戻る。s13では、制御部2が開閉部7に対して、該当する側にカードドア11a(または11b)の開を指示する。開閉部7は、この指示にしたがって、該当する側のロック部材14を駆動し、該当する側のカードドア11a(または11b)をロック解除状態にする。これにより、ユーザは、空き容量がなくなったメモリカード10の交換が簡単に行える。また、このとき、メモリカード10の空き容量がなくなった旨のメッセージを、表示器6aにOSDで表示し、このことをユーザに認識させてもよい。
【0024】
また、ワンセグ放送受信機1は、開ボタン12aまたは12bが押下されると、押下された開ボタン12a(または12b)に対応するカードドア11a(または11b)が、受信しているワンセグ放送を記録しているメモリカード10側であるかどうかを判定する(s14)。ワンセグ放送受信機1は、s14でワンセグ放送を記録しているメモリカード10側であると判定すると、今回の開ボタン12a(または12b)の押下を無視、s6に戻る。すなわち、ワンセグ放送を記録しているメモリカード10側のカードドア11a(または11b)は、開ボタン12a(または12b)が押下されても開しない。この機能が本願発明で言うロック解除制限部にかかる機能である。これにより、ユーザが誤ってデータを記録している側のメモリカード10を本体から取り出すのを防止でき、信頼性の向上が図れる。また、このとき、ワンセグ放送を記録しているメモリカード10側である旨のメッセージを、表示器6aにOSDで表示し、このことをユーザに認識させてもよい。
【0025】
また、ワンセグ放送受信機1は、s14でワンセグ放送を記録しているメモリカード10側でないと判定すると、押下された開ボタン12a(または12b)に対応する側のカードドア11a(または11b)を開し(s15)、s6に戻る。s15は、上述したs13と同じである。
【0026】
以上のように、このワンセグ放送受信機1では、ユーザが誤ってデータを記録している側のメモリカード10を本体から取り出すのを防止でき、信頼性の向上が図れる。
【0027】
また、ワンセグ放送の記録途中に、一方のメモリカード10の空き容量がなくなった場合であっても、他方のメモリカード10に継続して記録するので、ユーザの使い勝手も向上できる。
【0028】
なお、本願発明は、上述したワンセグ放送受信機1だけでなく、撮像装置、音楽プレイヤ等の他の種類の携帯端末にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の実施形態であるワンセグ放送受信機の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】このワンセグ放送受信機の概略の外観図である。
【図3】カードドア周辺部の拡大図である。
【図4】ワンセグ放送受信機における記録動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
1−ワンセグ放送受信機
2−制御部
3−受信部
4−記録部
5−操作部
6−表示部
7−開閉部
10−メモリーカード
11(11a、11b)−カードドア
12(12a、12b)−開ボタン
13−カード収納部
14−ロック部材
15−嵌挿穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの媒体収納部を有し、選択されている媒体収納部に収納されている記録媒体に対してデータの記録を行う媒体処理部を備えた携帯端末において、
前記媒体収納部毎に設けられた媒体ドアを、個別に閉状態でロックするロック機構部と、
前記媒体ドア毎に、前記ロック機構部によるロック状態を解除するロック解除機構部と、
前記媒体処理部がデータの記録を行っている記録媒体が収納されている前記媒体収納部に対して、前記ロック解除機構部による前記媒体ドアのロック状態の解除を禁止するロック解除制限部と、を備えた携帯端末。
【請求項2】
前記媒体処理部が選択されている媒体収納部に収納されている記録媒体に対してデータの記録を行っているときに、当該記録媒体の空き容量不足により、新たなデータの記録が行えない状態になると、この時点で選択されていない側の媒体収納部に収納されている記録媒体を選択し、データの記録を継続する選択切換手段を備えた請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
画像データを取り込む画像データ取込手段を備え、
前記媒体処理部は、前記画像データ取込手段が取り込んだ画像データを、選択されている媒体収納部に収納されている記録媒体に記録する手段である、請求項1または2に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−263428(P2008−263428A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104929(P2007−104929)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】