説明

携帯通信端末及びその制御方法

【課題】音楽データや画像データ等の多数の出力データを有効活用することができる携帯通信端末を提供する。
【解決手段】出力データ記憶手段に記憶される複数の出力データのうち、複数をそれぞれ特定する1又は複数の出力データリストの各内容をユーザが設定するリスト設定ステップと、前記1又は複数の出力データリストのうち任意の1つをユーザが所定の通信イベントに関連づける関連設定ステップと、前記所定の通信イベントが発生した場合に、前記関連設定ステップにより該所定の通信イベントに関連づけられた出力データリストにより特定される複数の出力データのうちいずれかを選択するデータ選択ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯通信端末及びその制御方法に関し、特に、着信等の所定の通信イベントの発生に応じて、音楽データ、画像データ、発光素子の明滅パターンデータ等の出力データに従って出力を行う携帯通信端末及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、着信時等に発音される音情報をグループ分けし、グループごとに異なるLCDのバックライトのイルミネーションを対応づけることができる報知装置が開示されている。また、この報知装置では、報知音を設定する際、ユーザはグループの選択を行った後、そのグループに属する曲データの選択を行う。
【特許文献1】特開2004−214972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、携帯電話等の携帯通信端末のメモリの大容量化に伴い、携帯通信端末内に多くの音楽データや画像データを保存することが可能となっている。しかしながら、上記従来技術をこうした携帯通信端末に適用しても、報知音に対して1つの曲データしか関連づけることしかできないため、携帯通信端末内に保存されている大部分のデータは活用されないという問題がある。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、音楽データや画像データ等の多数の出力データを有効活用することができる携帯通信端末及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯通信端末は、複数の出力データを記憶する出力データ記憶手段と、前記出力データ記憶手段に記憶される出力データのうち複数をそれぞれ特定する1又は複数の出力データリストを記憶する出力データリスト記憶手段と、前記各出力データリストの内容をユーザが設定するリスト設定手段と、前記出力データリスト記憶手段に記憶される出力データリストのうち任意の1つをユーザが所定の通信イベントに関連づける関連設定手段と、前記所定の通信イベントが発生した場合に、前記関連設定手段により該所定の通信イベントに関連づけられた出力データリストにより特定される複数の出力データのうちいずれかを選択するデータ選択手段と、前記データ選択手段により選択される出力データを前記出力データ記憶手段から読み出し、該出力データに従って出力を行う出力手段と、を含むことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、複数の出力データを特定する出力データリストに、携帯通信端末における着信等の所定の通信イベントが関連づけられる。そして、所定の通信イベントの発生に応じて、該イベントに関連づけられた出力データリストにより特定される複数の出力データのうちいずれかが選択され、その選択された出力データに従って、音声や画像等の出力が実施される。本発明によれば、複数の出力データの中から1つが選択的に出力されるようになるため、それら複数の出力データが有効活用されるようになる。
【0007】
また、本発明の一態様では、前記データ選択手段は、前記所定の通信イベントが発生した場合に、前記関連設定手段により該所定の通信イベントに関連づけられた出力データリストにより特定される前記複数の識別データのうち1つを該出力データリストに設定された順序に従って選択する。こうすれば、出力データに従った出力を所期の順序で行うことができる。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記データ選択手段は、前記所定の通信イベントが発生した場合に、前記関連設定手段により該所定の通信イベントに関連づけられた出力データリストにより特定される前記複数の出力データのいずれかを乱数に従って選択する。こうすれば、出力データに従った出力を意外性のある順序で行うことができる。
【0009】
この態様では、前記データ選択手段は、選択済みの出力データを記録する手段を含み、所定期間、前記選択済みの出力データの再選択を制限してもよい。こうすれば、乱数を用いて出力データの選択を行っても、一部の出力データが繰り返して再生されるなどの不都合を防止でき、出力データリストにより特定される複数の出力データが満遍なく選択されるようにできる。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記各出力データは、音楽を再生出力するための音楽データ、静止画像若しくは動画像を表示出力するための画像データのいずれかである。こうすれば、音楽の再生出力、静止画像の表示出力、動画像の表示出力に本発明を適用することができる。
【0011】
また、本発明に係る携帯通信端末の制御方法は、出力データ記憶手段に記憶される複数の出力データのうち、複数をそれぞれ特定する1又は複数の出力データリストの各内容をユーザが設定するリスト設定ステップと、前記1又は複数の出力データリストのうち任意の1つをユーザが所定の通信イベントに関連づける関連設定ステップと、前記所定の通信イベントが発生した場合に、前記関連設定ステップにより該所定の通信イベントに関連づけられた出力データリストにより特定される複数の出力データのうちいずれかを選択するデータ選択ステップと、前記データ選択ステップにより選択される出力データを前記出力データ記憶手段から読み出し、該出力データに従って出力を行う出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯通信端末の構成図である。同図に示す携帯通信端末は、いわゆる携帯電話機であって、CPU等によって実現された制御部14を中心に構成されている。制御部14には、操作部12、表示部18、スピーカ部20、メモリ部16及び通信部22が接続されている。操作部12は、ダイヤルボタンや電源スイッチ等の各種操作部材を備えるものであり、ユーザはこの操作部12を用いて、携帯通信端末における音声着信やメール受信等の通信イベントが発生したときに再生出力される音楽データや、表示出力される画像データに関する各種の設定を行うことができる。表示部18は、LCD等によって構成されるものであり、制御部14から供給される表示用のデータに従って画像を出力する。ここでは、音声着信やメール受信等の通信イベントが発生したとき、ユーザによる事前の設定に従って選択された画像データが表示部18により表示出力される。スピーカ部20は、スピーカ及び音声IC等によって構成されるものであり、制御部14から供給される音声出力用のデータに従って音声を出力する。ここでは、音声着信やメール受信等の通信イベントが発生したとき、ユーザによる事前の設定に従って選択された音楽データがスピーカ部20により再生出力される。
【0014】
メモリ部16は、RAMやROMを含んで構成されており、制御部14が実行するプログラムを記憶するのに用いられたり、制御部14の作業用メモリとして用いられたり、各種のユーザ設定データを記憶するのに用いられたりする。ここでは、ユーザにより設定される、後述する音楽リスト及び画像リストを記憶するのにも用いられる。また、メモリ部16は、多数の音楽データや画像データを記憶するのにも用いられる。
【0015】
通信部22は、アンテナを備えた無線通信装置であり、音声通信をしたり、電子メールの送受信をしたりするものである。通信部22により音声が着信した旨が検知されると、その旨は制御部14に通知される。また、通信部22が電子メールを受信した場合にも、その旨は制御部14に通知される。
【0016】
本実施形態によると、まずユーザは表示部18に表示される案内に従って、音楽リスト・画像リストの設定を操作部12により行うことができる。図2は、音楽リストの設定処理を示すフロー図である。音楽リストを設定する場合には、まずユーザが操作部12により音楽リストを新規に作成する旨を指示する(S101)。次に、メモリ部16に記憶された音楽データのリストが表示部18に表示され、その中から1つをユーザが操作部12により選択する(S102)。次に、選択された音楽データをS101で新規作成した音楽リストに登録する(S103)。登録処理は、例えば、選択された音楽データに、S101で新規作成された音楽リストの識別情報を関連づける処理であってもよいし、音楽リストのデータに、選択された音楽データの識別情報を含める処理であってもよい。その後、ユーザが操作部12により登録完了の操作を行うまで、S102及びS103の処理を繰り返す(S104)。
【0017】
図3は、以上の処理により生成される音楽リストの一例を示している。同図に示すように、音楽リストは、複数設定することができ、それぞれユーザが選択した1以上の音楽データを特定するようになっている。なお、複数の音楽リストの間で、共通の音楽データが重複して登録されてもよい。図4は、同様の構造を有する、画像リストの一例を示している。同図に示す画像リストは、図2と同様の処理により生成されるものであり、各画像リストは、ユーザが選択した1以上の音楽データを特定するようになっている。
【0018】
このようにして登録された音楽リスト・画像リストは、任意に、例えば音声着信や電子メール受信等の所定の通信イベントに関連づけられる。図5は、音楽リストを音声着信又はメール受信に関連付ける処理を示すフロー図である。
【0019】
この処理では、まず、誰から音声着信や電子メール受信があった場合に、音楽リストに従った音楽再生を行うかをユーザが操作部12を用いて指定する(S201)。具体的には、誰からであっても音声着信や電子メール受信があれば音楽再生を行う場合には、「一般」を選択する。また、特定の人を指定してその人からの音声着信や電子メール受信があれば音楽再生を行う場合には、「個人アドレス」を選択するとともに、具体的にその人の電話番号や電子メールアドレスを入力又は指定する。さらに、あるグループに属する人からの音声着信や電子メール受信があれば音楽再生を行う場合には、「グループ」を選択するとともに、そのグループをリスト(不図示)から選択する。
【0020】
次に、音声着信又は電子メール受信に関連づける音楽リストを選択する(S202)。例えば、表示部18によりすでにユーザが設定した音楽リストの名称を表示し、そこからユーザが操作部12を用いて1つを選択するようにすればよい。そして、S202で選択された音楽リストと、S201で指定された範囲の人と、音声着信又はメール受信の一方又は双方を識別する情報と、関連づけてなる登録情報を生成し、これをメモリ部16に記憶させる(S203)。以上の処理は、画像リストについても同様に行われる。すなわち、画像リストについても任意に通信イベントとの関連付けがなされる。
【0021】
こうして登録情報がメモリ部16に記憶されると、その内容に従って音声着信又はメール受信等の所定の通信イベントが発生した場合に、その登録情報の内容に従って音楽・画像の出力が行われる。具体的には、音声着信やメール受信等のあらかじめ定めた通信イベントの発生が通信部22から通知されると、制御部14は、その通信イベントに関連づけられた音楽リスト又は画像リストが存在するかを、メモリ部16に記憶された登録情報の内容に従って判断する。そして、そのような音楽リスト又は画像リストがあれば、それらに関連付けられた人又は人の範囲を、メモリ部16に記憶された登録情報の内容に従って判断する。そして、通信部22において検知された通信イベントに関連する人、例えば音声通信の発呼者や電子メールの送信者を通信部22から取得して、その人が上記判断された人又は人の範囲に合致するかを判定する。そして、合致すれば、発生した通信イベントに関連づけられた音楽リスト又は画像リストに従って、音楽又は画像の出力を行う。
【0022】
この場合、音楽リスト又は画像リストにより特定される音楽データ又は画像データの中から1つが所定の選択基準に従って選択される。具体的には、ユーザは次の3つの選択基準の中から任意の1つを操作部12により指定できる。まず、1つ目は、「通常選択」である。この選択基準は、音楽リスト又は画像リストにより特定される音楽データ又は画像データを、該リストに設定された順序情報に従って、所定方向、例えば順方向に音楽データ又は画像データを選択していく、という基準である。
【0023】
また、2つ目は、「ランダム選択」である。これは、所定の通信イベントが発生し、音楽リスト又は画像リストに含まれる音楽データ又は画像データの出力タイミングが到来するたびに、制御部14に含まれるCPUにより乱数を発生させ、該乱数に従って、それら音楽データ又は画像データの中から1つを選択するものである。
【0024】
さらに3つ目は、「シャッフル選択」である。これは、所定の通信イベントが発生し、音楽リスト又は画像リストに含まれる音楽データ又は画像データの出力タイミングが到来するたびに、制御部14に含まれるCPUにより乱数を発生させ、該乱数に従って、それら音楽データ又は画像データのうち未選択のものから1つを選択するものである。この選択基準では、すべての音楽データ又は画像データが選択されると、再び全データが未選択の状態に戻される。これによると、リストにより特定されるすべてのデータが満遍なく選択されるようにできる。
【0025】
図6は、シャッフル選択の処理を示すフロー図である。同図に示す処理は、ユーザが事前に上記「シャッフル選択」を指定すると実行されるものである。この処理では、まず“リスト内の選択可能なデータ群”を示す未選択データリストが初期化される(S301)。すなわち、音楽リスト又は画像リストにより特定される音楽データ又は画像データのうち、未選択のものを特定する未選択データリストは、リストにより特定されるすべてのデータを特定するよう初期化される。
【0026】
次に、音声着信又はメール受信を待機する(S302)。そして、このような通信イベントが発生すると、未選択データリストにより特定されるデータの中から1つを乱数に従って選択する(S303)。そして、選択されたデータに従って音楽又は画像の出力を行う(S304)。さらに、未選択データリストを更新して、S303で選択されたデータを、未選択データリストにより特定されるデータから外すようにする(S305)。
【0027】
その後、「シャッフル選択」の指定が解除されず(S306)、未選択データリストにより特定されるデータが無くならない限り(S307)、S302〜S305の処理を繰り返す。また、未選択データリストにより特定されるデータが無くなれば、S301の処理を再度実行する。
【0028】
以上説明した実施形態によると、音楽リスト又は画像リストに、携帯通信端末10における着信等の所定の通信イベントが関連づけられる。そして、所定の通信イベントの発生に応じて、該イベントに関連づけられたリストにより特定される音楽データ又は画像データのうちいずれかが選択され、その選択されたデータに従って、音声や画像等の出力が実施される。本実施形態によれば、複数の音楽データ又は画像データの中から1つが選択的に出力されるようにできるため、それらのデータが有効活用されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯通信端末の構成図である。
【図2】音楽リストの内容設定処理を示すフロー図である。
【図3】音楽リストの一例を示す図である。
【図4】画像リストの一例を示す図である。
【図5】通信イベントに音楽リスト・画像リストを関連づける処理を示すフロー図である。
【図6】音楽リスト・画像リストから音楽データ・画像データを選択する処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0030】
10 携帯通信端末、12 操作部、14 制御部、16 メモリ部、18 表示部、20 スピーカ部、22 通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の出力データを記憶する出力データ記憶手段と、
前記出力データ記憶手段に記憶される出力データのうち複数をそれぞれ特定する1又は複数の出力データリストを記憶する出力データリスト記憶手段と、
前記各出力データリストの内容をユーザが設定するリスト設定手段と、
前記出力データリスト記憶手段に記憶される出力データリストのうち任意の1つをユーザが所定の通信イベントに関連づける関連設定手段と、
前記所定の通信イベントが発生した場合に、前記関連設定手段により該所定の通信イベントに関連づけられた出力データリストにより特定される複数の出力データのうちいずれかを選択するデータ選択手段と、
前記データ選択手段により選択される出力データを前記出力データ記憶手段から読み出し、該出力データに従って出力を行う出力手段と、
を含むことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯通信端末において、
前記データ選択手段は、前記所定の通信イベントが発生した場合に、前記関連設定手段により該所定の通信イベントに関連づけられた出力データリストにより特定される前記複数の識別データのうち1つを該出力データリストに設定された順序に従って選択する、
ことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯通信端末において、
前記データ選択手段は、前記所定の通信イベントが発生した場合に、前記関連設定手段により該所定の通信イベントに関連づけられた出力データリストにより特定される前記複数の出力データのいずれかを乱数に従って選択する、
ことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯通信端末において、
前記データ選択手段は、選択済みの出力データを記録する手段を含み、所定期間、前記選択済みの出力データの再選択を制限する、
ことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の携帯通信端末において、
前記各出力データは、音楽を再生出力するための音楽データ、静止画像若しくは動画像を表示出力するための画像データのいずれかである、
ことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項6】
出力データ記憶手段に記憶される複数の出力データのうち、複数をそれぞれ特定する1又は複数の出力データリストの各内容をユーザが設定するリスト設定ステップと、
前記1又は複数の出力データリストのうち任意の1つをユーザが所定の通信イベントに関連づける関連設定ステップと、
前記所定の通信イベントが発生した場合に、前記関連設定ステップにより該所定の通信イベントに関連づけられた出力データリストにより特定される複数の出力データのうちいずれかを選択するデータ選択ステップと、
前記データ選択ステップにより選択される出力データを前記出力データ記憶手段から読み出し、該出力データに従って出力を行う出力ステップと、
を含むことを特徴とする携帯通信端末の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−318667(P2007−318667A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148700(P2006−148700)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】