説明

携帯通信端末装置

【課題】 音声による着呼応答が不可な状況下において携帯通信端末に着信があった場合に、その携帯通信端末のユーザが、音声を発することなく発信者(通話相手)との間で、臨機応変かつ容易に着信に対する応答を行うことを可能とし、また、着信側のユーザが通話相手の音声を聞き取れない場合であっても、通話相手と会話ができるようにすること。
【解決手段】 携帯電話端末100内に、音声合成部106と音声認識部108の少なくとも一つを設け、キー操作部104を利用した文字入力によって作成された応答メッセージを、音声合成部106にて音声データに変換し、無線通信部110から送信することを可能とする。また、通話相手の音声信号を、音声認識部108にて文字情報に変換し、表示部102に表示することを可能とし、無音で会話を成立させることを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無音応答機能(または、音声無しの会話を実現する機能)をもつ携帯通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯通信端末(携帯電話端末等)に着信があったとき、そのユーザが、着呼応答できない状況下にあるために、すぐに応答できない場合がある(例えば、ユーザが電車に乗車中にである場合など)。
【0003】
この場合には、応答しない、電話を切る、あるいは、ユーザが応答可能な場所に移動する(例えば、次の駅で降りる)、のいずれかの方法が採られる。
【0004】
しかし、場所を変えられない場合は、電話に応答しないか、電話を切る以外に手はなく、発信者との通信はできない。この点にかんがみて、従来、携帯通信端末に、いわゆる無音応答機能を付加する提案がなされている(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載される無音応答機能は、「着信があったときに、発信者IDを基にして、その特定の発信者に関連付けられたメッセージのリストを自動的に携帯通信端末上に表示し、ユーザが、そのメッセージリストの中から1つを選択すると、その発信者に対してそのメッセージが自動的に流れ、これによって、無音で(つまり、ユーザが声を発することなく)発信者に応答することができる」というものである。
【特許文献1】特開2001−168977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来技術では、発信者への応答内容を事前に想定し、画面表示用メッセージの登録ならびに発信者への応答メッセージの録音を事前に行っておく必要がある。
【0007】
つまり、発信者に対して送信できるのは、定型のメッセージのみであり、想定外のやりとりが発生した場合には、臨機応変に応答を行うことができない。
【0008】
また、上記の従来技術で可能なのは、定型メッセージによる着信応答のみである。したがって、例えば、着信側の携帯通信端末のユーザが通話音声を聞き取れないような場合(周囲の騒音が大きい場合、あるいは、そのユーザが難聴者の場合等)には、何ら、有効な会話を成立させることができない。
【0009】
本発明は、このような考察に基づいてなされたものであり、音声による着呼応答が不可な状況下において携帯通信端末に着信があった場合に、その携帯通信端末のユーザが、音声を発することなく発信者(通話相手)との間で、臨機応変かつ容易に着信に対する応答を行うことを可能とし、また、着信側のユーザが通話相手の音声を聞き取れない場合であっても、通話相手と有効な会話ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯通信端末装置は、キー操作部から入力された送信メッセージとしての文字情報を音声情報に変換する音声合成部、または、通話相手先から送られてきた音声情報を文字情報に変換する音声認識部、の少なくとも一つと、前記音声合成部から出力される音声情報を前記通話相手先に無線送信すること、または、通話相手先から無線通信により送られてくる音声情報を受信して前記音声認識部に供給すること、の少なくとも一つを実施可能な無線通信部と、前記キー操作部から入力された送信メッセージとしての文字情報の表示、または、前記音声認識部によって前記通話相手方からの音声情報を変換して得られる文字情報の表示、の少なくとも一つが可能な表示部と、を有する。
【0011】
携帯通信端末には、文字を入力する機能や、文字を表示できるディスプレイ(表示部)をもつものが多い。この点に着目し、携帯通信端末がもつ文字入力ならびに文字表示機能を発展させ、通話相手への着信応答メッセージを文字入力し、その文字による応答メッセージを音声に変換して相手方に送信したり(音声合成機能)、あるいは、通話相手からの受話音声を文字に変換してディスプレイ(表示部)上に表示することを可能とし(音声認識機能)、着信側の携帯通信端末のユーザが、音声を発することなく、自由かつ即座に、通話相手に応答をすることができるようにしたものである。すなわち、着信側のユーザが発信者への応答を行う際に、その場で応答したい内容を文字入力する機能、入力した内容を表示部にて確認しつつ音声形式にエンコードする機能(音声合成機能)、およびエンコードしたデータを発信者への応答メッセージとして即時送信する無線通信機能を実現することによって、音声による応答が困難な状況下において着信があった場合でも、状況に応じて臨機応変に(つまり、事前に想定される応答メッセージに限定されることなく)発信者との無音でのやりとりを行うことが可能となる。
【0012】
また、逆の状況として、着信側のユーザは発声が可能であるが、発信者の音声を聞き取ることができない場合も想定される。この状況に対応するために、発信者からの音声信号を受信する無線通信機能、受信した音声を認識して文字に変換する音声認識機能、認識した音声を画面上に文字で表示する機能を実現する。これによって、「発信者の音声が聞き取ることができない場合」でも、画面上に表示される文言を確認することにより、音声を聞き取ることなく発信者の発声内容を確認することが可能となる。この機能によれば、難聴者が、携帯通信端末を使用して相手と自由に通話をすることも可能となる。
【0013】
また、自分の音声発生も不可であり、発信者の音声を聞き取ることもできない場合も想定される。この場合には、上記機能を組み合わせて使用し、文字による会話を成立させて、発信者と臨機応変かつ円滑に情報のやりとりを行うことが可能となる。また、本発明に必要な上記機能は全て、着信側の携帯通信端末のユーザが自機を操作することによって自由に利用することができるものであるため、発信者(通話相手)の通信機器を何ら制限することがなく、通話相手に負担を強いることもない。
【0014】
また、本発明の携帯通信端末装置の一態様は、前記音声合成部を有する携帯通信端末装置であって、前記通話相手先からの着信に応答して、前記キー操作部から送信メッセージとしての文字情報を入力しているときに前記通話相手先が終話した場合、その入力された文字情報を、前記通話相手先に、電子メールとして送信することが可能である。
【0015】
着信があった場合に、文字による応答メッセージを作成中に、発信者(通話相手)が終話する場合があり得る。このままでは、発信者(通話相手)は、着信側の機器のユーザの状況を何ら理解することなく終話したことになり、コミュニケーションが全くとれないことになり、また、せっかく作成した文字による応答メッセージも無駄となってしまう。そこで、別途電子メールの作成処理を行うことなく、その作成された応答メッセージを、そのまま電子メールとして送信できる機能を設けたものである。これにより、終話した通話相手に、着信側のユーザからの情報を、迅速かつ効率的に伝えることができる。
【0016】
また、本発明の携帯通信端末装置の他の態様は、前記音声合成部を有する携帯通信端末装置であって、前記通話相手先からの着信に応答して、前記キー操作部から送信メッセージとしての文字情報を入力している最中に、応答メッセージの作成中であることを示す情報を、前記通話相手先に送信する。
【0017】
応答メッセージ準備中(文字の入力中ならびに音声形式へのエンコード中等)には、発信者を待たせることになるため、この間、予め携帯電話端末内に記憶している合成メッセージや応答保留メロディ等を発信者に送出し、着信側のユーザが、現在、応答メッセージを作成中であることを発信者に伝えることを可能とするものである。これにより、発信者(通話相手)は、着信者側の状況を理解でき、応答メッセージが送られてくるのを安心して待つことができる。
【0018】
また、本発明の携帯通信端末装置の他の態様は、その携帯通信端末装置のユーザが、前記音声合成部の使用/不使用または前記音声認識部の使用/不使用を、選択的に切り替えることが可能である。
【0019】
着信時には、音声による応答が困難な状況であったが、その後、状況が変化して、音声による応答が可能となる場合もあり得る。そこで、上記の無音応答機能(音声無しの会話実現機能)を使用して会話するか、通常どおり、音声によって会話するか、をユーザ自ら、選択して切り替えることを可能としたものである。着信応答メッセージを文字入力して発信者(通話相手)に送信したが、その後に、音声による応答(会話)が可能となった場合等には、すぐに通常の音声会話に切り替えることにより、臨機応変の対応ができ、携帯通信端末の利便性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、携帯通信端末において、利便性の高い無音応答機能(文字入力による応答メッセージの送信)、文字通話機能(相手音声の文字による表示)、これらの双方を使用することによる音声無しの会話機能(着信側の機器で、文字のみで会話を成立させる機能)を実現することができる。
【0021】
これによって、着信側のユーザは、音声を発することなく文字によって情報を送信することができ、また、発信者から送信されてきた音声情報を文字情報として読み取ることができる。
【0022】
したがって、着信側の携帯通信端末のユーザは、まったく音声を発することなく(かつ、音声を耳で聞くことなく)、文字のみで、即座に、自由に通話相手と会話することが可能となり、また、発信者と臨機応変かつ円滑に情報の交換を行うことが可能となる。
【0023】
また、上記の無音応答機能(ならびに、音声無しの会話機能)は、着信側の携帯通信端末のユーザが自機を操作することによって自由に利用することができるものであり、したがって、発信者(通話相手)の通信機器を何ら制限することがなく、通話相手に負担を強いることがない。
【0024】
また、文字による応答メッセージの作成中に終話が生じた場合でも、その応答メッセージを、別途の電子メールの作成処理を行うことなく、そのまま電子メールとして送信できる機能を設けることにより、終話した通話相手に、着信側のユーザからの情報を、迅速かつ効率的に伝えることが可能となる。
【0025】
また、応答メッセージ準備中の期間において、予め記憶されている合成メッセージや応答保留メロディ等を、着信側の携帯通信端末から発信者側の機器に向けて送出することによって、発信者(通話相手)は、着信者側の状況を理解でき、応答メッセージが送られてくるのを安心して待つことができる。
【0026】
上記の無音応答機能(音声無しの会話実現機能)を使用して会話するか、通常どおり、音声によって会話するか等、をユーザ自らが、選択して切り替えるようにすることによって、臨機応変の対応ができ、携帯通信端末の使い勝手が向上する。
【0027】
本発明によって、音声による着呼応答が不可な状況下において携帯通信端末に着信があった場合に、その携帯通信端末のユーザが、音声を発することなく発信者(通話相手)との間で、臨機応変かつ容易に着信に対する応答を行うことが可能となり、また、着信側のユーザが通話相手の音声を聞き取れない場合であっても、通話相手と有効な会話ができるようになる。
【0028】
本発明によって、携帯通信端末装置(携帯電話端末、通信機能をもつPDA、無線通信機能をもつ携帯可能なパーソナルコンピュータ等)の高機能化を図り、付加価値を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
【0030】
図1は、本発明の携帯通信端末装置(ここでは、携帯電話端末とする)の基本的構成を説明するためのブロック図である。
【0031】
図示されるように、携帯電話端末100のユーザは、無線基地局200を介して通話相手先の通信機器300のユーザと会話する。
【0032】
この携帯電話端末100は、表示部(液晶ディスプレイ)102と、キー操作部(文字入力が可能なキーボード)104と、音声合成部(文字音声変換部)106と、音声認識部(音声文字変換部)108と、無線通信部110と、アンテナ112と、を有し、この構成によって、着信時の無音応答、ならびに、音声無しの通話相手との会話を実現する
【0033】
音声合成部106と音声認識部108に関しては、必ずしも、双方ともが備わっている必要はなく、少なくともいずれか一方が備わっていればよい。
【0034】
相手先の通信機器300から携帯電話端末100に着信があった場合、携帯電話端末100のユーザが音声を発することができない状況下の場合には、そのユーザは、文字入力を用いた無音応答動作を選択することができる。
【0035】
すなわち、そのユーザは、キー操作部(キーボード)104を介して、応答メッセージを自由に作成する。作成された応答メッセージは、表示部(液晶ディスプレイ)102に表示され、ユーザが、その表示により作成した応答メッセージを確認する。
【0036】
そして、その応答メッセージの送信が選択されると、応答メッセージの文字情報(文字データ)が音声合成部(文字音声変換部106)に入力され、文字情報を音声形式のデータ(音声データ)にエンコードする。
【0037】
その音声データは、無線通信部110を介して、相手先の通信機器300に対して送信される。
【0038】
また、携帯電話端末100のユーザが、通話相手(相手先の通信機器300のユーザ)からの通話音声を聞き取れない状況下にある(あるいは難聴者である)場合には、そのユーザは、通話音声を文字で表示するモードを選択することができる。
【0039】
このモードが選択された場合には、無線通信部110を介して受信された通話音声は、音声認識部(音声文字変換部)において、文字情報(文字データ)にエンコードされ、その文字情報が、表示部(液晶ディスプレイ)102上に表示される。よって、携帯電話端末100のユーザは、その文字により、通話相手からの送信メッセージを認識することができる。
【0040】
上記の2つの機能(文字による無音応答機能、ならびに、受信音声の文字による表示機能)の双方を使用することによって、携帯電話端末100のユーザは、音声を全く発することなく、相手先と会話することができる。
【0041】
このように、本発明によれば、利便性の高い無音応答機能、ならびに、音声無しの会話機能を実現することができる。
【0042】
これによって、着信側のユーザは、音声を発することなく文字によって情報を送信することができ、また、発信者から送信されてきた音声情報を文字情報として読み取ることができる。したがって、着信側の携帯通信端末のユーザは、まったく音声を発することなく(かつ、音声を耳で聞くことなく)、文字のみで、即座に、自由に通話相手と会話することが可能となり、また、発信者と臨機応変かつ円滑に情報の交換を行うことが可能となる。
【0043】
また、上記の無音応答機能(ならびに、音声無しの会話機能)は、着信側の携帯通信端末のユーザが自機を操作することによって自由に利用することができるものであり、したがって、発信者(通話相手)の通信機器を何ら制限することがなく、通話相手に負担を強いることがない。
(第2の実施形態)
【0044】
図2は、音声合成部のみをもつ携帯電話端末の具体的構成を示すブロック図である。図2において、図1と共通する部分には、同じ参照符号を付してある。
【0045】
図示されるように、携帯電話端末100は、キーボード104と、音声合成部106と、アンテナ112と、無線通信部120と、音声コーデック122と、携帯電話端末100の全体の動作を統括的に制御する制御部126と、応答メッセージ作成中に、相手方に、現在応答メッセージ作成中であることを知らせるための合成メッセージあるいは合成メロディを送信する合成メッセージ・メロディ制御部128と、キーボード104から入力された文字情報(文字データ)を制御部126に供給する入力部130と、を有する。
【0046】
図3は、携帯電話端末のユーザの機器操作と、携帯電話端末の動作と、無線通信の状態と、の相互関係の一例を時系列的に示す図である。
【0047】
図3において、S401〜S404は、携帯電話端末100の主要な表示画面の形成処理を示す。また、A〜Fは、時点(時間軸上におけるタイミング)を示す。このA〜Fは、図4に示される各表示画面の表示時点(表示タイミング)に対応している。
【0048】
図示されるように、時点Aでは、携帯電話端末100は、待ち受け状態にある。そして、音声着信があると、携帯電話端末100は、表示部(図2では不図示、図1の参照符号102)に着信表示をして、着信をユーザに通知する(S400)。
【0049】
ユーザが、その着信に応答すると、携帯電話端末100は、通話中である旨を示す通話中表示を行う(S401:時点B)。
【0050】
そして、文字入力モード(無音応答モード)が選択され、応答文言が入力されると、携帯電話端末100は、応答文言表示を行う(S402:時点C)。
【0051】
そして、送信が選択されると、応答メッセージの音声形式のデータへのエンコード(音声合成)が行われる(S403:時点D)。
【0052】
続いて、その音声形式のデータ(音声データ)の無線通信網(エアー)への送信処理がなされ(時点E)、無線通信部120と、アンテナ112を経由して、相手先に送信される。
【0053】
そして、携帯電話端末の表示部(図1の参照符号102)における表示は、通話中表示に切り替わる(S404)。
【0054】
図4は、図3中の各時点(各タイミング)に対応した、携帯電話端末における表示画面の例を示す図である。図4中の、A〜Fは各々、図3に示される各手順の実行時点(実行タイミング)に対応している。
【0055】
図示されるように、時点Aでは待ち受け画面となっており、時点Bにおける通話中画面では、通話相手の名前(発呼者である山田太郎)が表示される。時点Cの応答文言表示画面では、「会議中なので、後で、折り返し電話します」という応答メッセージが表示される。
【0056】
応答メッセージの作成期間中は、相手を待たせることになるため、相手先に、合成メッセージや保留メロディ等を送出して、現在、応答メッセージ作成中であることを通知する。これにより、その通話相手は、応答メッセージの着信を安心して(つまり、応答がないのを不安に思うことなく)待つことが可能である。
【0057】
時点Dの音声合成画面では、「変換中です。しばらくお待ち下さい。」という表示がなされる。この間、相手先への、合成メッセージや保留メロディ等の送出が継続される。この最中に、音声合成の中止が選択されると、通話中画面(時点Bの画面)に戻る。
【0058】
音声合成が完了すると、時点Eの送信画面となる。この送信画面では、「送信中です。しばらくお待ち下さい。」と表示される。
【0059】
送信が完了すると、時点Fの通話中画面となる。この状態では、再度、無音応答を行うことができ、また、通常の音声応答を行うこともできる。
【0060】
このように、本実施形態では、携帯電話端末に着信があった場合に、その携帯電話端末のユーザは、音声を発することなく、自由な文字入力による臨機応変な応答(自由度の高い無音応答)を行うことができ、これにより、携帯電話端末の利便性が向上する。
(第3の実施形態)
【0061】
本実施形態では、携帯電話端末上で作成した応答メールを、そのまま電子メールとして送信する機能を、さらに設ける。
【0062】
すなわち、着信があり、着信側のユーザが、文字による応答メッセージを作成している最中に、発信者(通話相手)が終話する場合があり得る。このままでは、発信者(通話相手)は、着信側のユーザの状況を何ら理解することなく終話したことになり、コミュニケーションが全くとれないことになる。また、せっかく作成した文字による応答メッセージも無駄となってしまう。
【0063】
そこで、別途電子メールの作成処理を行うことなく、その作成された応答メッセージを、そのまま電子メールとして送信できる機能を設けたものである。これにより、終話した通話相手に、着信側のユーザからの情報を、迅速かつ効率的に伝えることができる。
【0064】
図5は、携帯電話端末のユーザの機器操作と、携帯電話端末の動作と、無線通信の状態と、の相互関係の他の例を時系列的に示す図である。
【0065】
図5において、時点Cに至るまでの手順(動作)は、図3に示す手順(動作)と同じであり、図5の場合、それ以降の手順(動作)が異なる。
【0066】
すなわち、図5において、時点Cの直後に、相手が終話(回線の切断)を行う。すると、携帯電話端末100の表示部(液晶ディスプレイ)102には、応答メッセージの作成を継続するか否かの確認画面が表示される(S405:時点D)。
【0067】
ユーザが、応答メッセージの作成の継続(YES(はい))を選択すると、自動的に電子メール作成画面に移行する(S406:時点E)。
【0068】
図6は、図5中の各時点(各タイミング)に対応した、携帯電話端末における表示画面の例を示す図である。図6中の、A〜Eは各々、図5に示される各手順の実行時点(実行タイミング)に対応している。
【0069】
時点Aの待ち受け画面、時点Bの通話中画面、時点Cの応答文言表示画は、図4と同じである。
【0070】
図示されるように、時点Dの確認画面では、「切断されました。メールを作成しますか?」という問いかけの文言が表示される。ここで、ユーザが「NO(いいえ)」を選択すると、待ち受け画面に戻り、「YES(はい)」を選択すると、時点Eのメール作成画面に移行する。
【0071】
時点Eのメール作成画面では、通話相手(終話した相手)のメールアドレスが、自動的に宛先に設定され、かつ、作成中であった応答メッセージの内容が、自動的に本文に設定される。それ以降は、通常のメール作成と同様に、本文編集等を行うことが可能となる。そして、メール本文の完成後、ユーザが送信を選択すると、電子メールが相手先に送信される。
(第4実施形態)
【0072】
本実施形態では、携帯電話端末が、音声認識部のみを有している場合について説明する。本実施形態の携帯電話端末では、通話相手からの音声を文字に変換して表示部(液晶ディスプレイ)上に表示する。したがって、ユーザは、文字によって、相手の音声を読み取ることができる。
【0073】
図7は、音声認識部のみをもつ携帯電話端末の具体的構成を示すブロック図である。図7において、図2と共通する部分には、同じ参照符号を付してある。
【0074】
図7の基本的な構成は、図2と同じであるが、図7では、音声合成部(106)の代わりに音声認識部108が設けられ、入力部(130)の代わりに出力部132が設けられ、また、合成メッセージ・メロディ制御部128が削除されている点で異なる。
【0075】
図8は、携帯電話端末のユーザの機器操作と、携帯電話端末の動作と、無線通信の状態と、の相互関係のさらに他の例を時系列的に示す図である。
【0076】
図8において、時点Bに至るまでの手順(動作)は、図3に示す手順(動作)と同じであり、図8の場合、それ以降の手順(動作)が異なる。
【0077】
すなわち、図8において、時点Bの直後に、ユーザが、通話相手からの音声の文字表示を選択する(つまり、モードの切替選択を行う)。すると、無線通信部110により受信された通話相手の音声信号は、音声認識部108に供給され、音声認識による文字情報への変換がなされる(S407)。
【0078】
そして、相手音声の文字による表示画面が、表示部(液晶ディスプレイ)102上に表示される(S408:時点C)。
【0079】
図9は、図8中の各時点(各タイミング)に対応した、携帯電話端末における表示画面の例を示す図である。図9中の、A〜Cは各々、図8に示される各手順の実行時点(実行タイミング)に対応している。
【0080】
図9において、着信があると、待ち受け画面(時点A)から通話中画面(時点B)に移行する。この時点Bでは、相手音声ならびに自分音声は、共に、音声信号として送受信される。
【0081】
また、ユーザが、通話相手からの音声の文字表示を選択する(つまり、モードの切替選択を行う)と、相手音声表示画面(時点C)に移行する。相手音声表示画面では、「明日の会議の予定ですが、時間を変更させて下さい。」という表示がなされる。
【0082】
この画面の状態では、相手音声ならびに自分音声は共に、音声信号として送受信されるのであるが、受信された相手音声は、スピーカから出力されるのではなく、文字にて画面に表示される。
【0083】
これにより、例えば、音声を聞きづらい状況下であっても、携帯電話端末100のユーザは、通話相手からのメッセージを知ることができる。携帯電話端末100のユーザが難聴者である場合も同様である。
(第5の実施形態)
【0084】
図10は、音声合成部および音声認識部の双方を有する携帯電話端末の具体的な構成を示すブロック図である。図10に示される携帯電話端末の構成は、図2と図7に示される各構成を合わせたものである。図10において、図2および図7と共通する部分には、同じ参照符号を付してある。
【0085】
図示されるように、図10の携帯電話端末100は、音声合成部106および音声認識部108の双方を備えており、いずれか一方を選択的に使用して、「無音応答」や「文字による相手からのメッセージの文字による確認」を実現し、あるいは、それらの双方を使用して「音声無しの会話」を実現することができる。
【0086】
図10の携帯電話端末100によれば、音声による応答が困難な状況下において着信があった場合でも、状況に応じて臨機応変に発信者との無音でのやりとりを行うことが可能となる。
【0087】
また、逆の状況として、着信側(携帯電話端末100)のユーザは発声が可能であるが、発信者の音声を聞き取ることができない場合も想定され、この場合には、相手からの音声メッセージを画面上に表示させて視覚によって確認する。この機能を用いると、難聴者が、携帯通信端末を使用して相手と自由に通話をすることも可能となる。
【0088】
また、自分の音声発生も不可であり、発信者の音声を聞き取ることもできない場合も想定される。この場合には、上記の諸機能を組み合わせて使用することによって、発信者と臨機応変かつ円滑にやりとりを行うことが可能となる。
【0089】
また、本発明に必要な上記機能は全て、着信側の携帯通信端末のユーザが自機を操作することによって自由に利用することができるものであるため、発信者(通話相手)の通信機器を何ら制限することがなく、通話相手に負担を強いることもないという利点がある。
【0090】
図11は、携帯電話端末のユーザの機器操作と、携帯電話端末の動作と、無線通信の状態と、の相互関係のさらに他の例を時系列的に示す図である。
【0091】
この図11においては、「無音応答」や「文字による相手からのメッセージの文字による確認」の双方を使用して、「音声無しの会話」を実現する例が示されている。
【0092】
図示されるように、時点Aでは、携帯電話端末100は、待ち受け画面になっている。この状態にて音声着信があると、着信表示がなされ(S400)、携帯電話端末100のユーザが着信応答動作を行うと、通話中表示に切り替わる(S401:時点B)。
【0093】
ここで、携帯電話端末100のユーザが、相手音声の文字表示モードを選択すると(すなわち、モードの切り替えを選択すると)、通話相手の音声は、音声認識部108によって認識されて文字情報に変換される(S407)。そして、文字通話画面となる(S409:時点C)。
【0094】
次に、携帯電話端末100のユーザが、文字入力モード(すなわち、無音応答モード)を選択して、応答メッセージを入力すると、応答文言の文字による表示がなされる(S410:時点D)。
【0095】
続いて、携帯電話端末のユーザによって、応答メッセージの送信が選択されると、音声合成部106によって、応答メッセージの音声形式のデータへの合成が実施される(S410:時点E)。
【0096】
そして、音声信号がエアーに送信され(時点F)、再び、文字通話画面となる(時点G)。
【0097】
図12は、図11中の各時点(各タイミング)に対応した、携帯電話端末における表示画面の例を示す図である。図12中の、A〜Gは各々、図11に示される各手順の実行時点(実行タイミング)に対応している。
【0098】
時点Aでは、携帯電話端末100の表示部(液晶ディスプレイ)102は、待ち受け画面になっており、時点Bでは、通話中画面となっている。この状態で、相手音声を文字により表示するモードが選択されると(つまり、モードの切り替えが選択されると)、文字通話画面となる(時点C)。
【0099】
文字通話画面では、「明日の会議の予定ですが、時間を変更させて下さい」という通話相手のメッセージが表示される。この状態で、再び、モードの切り替えを行うと、時点Bの通話中画面に戻る。
【0100】
また、時点Cの文字通話画面の状態で、携帯電話端末100のユーザが、文字入力モード(無音応答モード)を選択し、応答メッセージをキー操作部(キーボード)104から入力すると、応答文言表示画面(時点D)に移行する。この状態では、通話相手に、合成メッセージや保留メロディーを送出し、応答メッセージを作成中であることを通知する。
【0101】
図12の文字通話画面(時点D)では、「今会議中なので、後で折り返し電話します」という応答メッセージが表示されている。
【0102】
この状態で、携帯電話端末100のユーザが尾送信選択を行うと、音声合成画面(時点E)に移行する。この音声合成画面(時点E)の状態では、音声合成部106による音声合成処理がなされており、この間、表示部102の下側には、「変換中です。しばらくお待ち下さい。」という、携帯電話端末100のユーザに対するメッセージが表示される。
【0103】
この状態において、携帯電話端末100のユーザが中止を選択すると、時点Cの文字通話画面に戻り、中止が選択されなければ、送信画面(時点E)に移行する。
【0104】
この送信画面(時点E)では、表示部102の下側に、「送信中です。しばらくお待ち下さい。」というメッセージが表示される。
【0105】
そして、送信が完了すると、文字通話画面に戻る(時点G)。
【0106】
このように、携帯電話端末100のユーザは、音声を全く発することなく、また、相手の音声を聞き取ることなく、文字のみによって、臨機応変に相手と会話をすることができる。したがって、応答困難な状況下で着信があっても、適切な対応を迅速にとり、必要な情報の交換(意思の疎通の確保)を行うことができる。
【0107】
また、この機能を使用すれば、難聴者でも、他人の力を頼ることなく、自身のキー操作のみで、通話相手と文字によって会話することができる。この際、通話相手には、音声情報を送信されるため、通話相手は、健常者と通話するのと同様の感覚で、難聴者と会話をすることができる。
【0108】
以上説明したように、本発明によれば、携帯通信端末において、利便性の高い無音応答機能(ならびに、音声無しの会話機能)を実現することができる。これによって、着信側のユーザは、音声を発することなく文字によって情報を送信することができ、また、発信者から送信されてきた音声情報を文字情報として読み取ることができる。したがって、着信側の携帯通信端末のユーザは、まったく音声を発することなく(かつ、音声を耳で聞くことなく)、文字のみで、即座に、自由に通話相手と会話することが可能となり、また、発信者と臨機応変かつ円滑に情報の交換を行うことが可能となる。
【0109】
また、上記の無音応答機能(ならびに、音声無しの会話機能)は、着信側の携帯通信端末のユーザが自機を操作することによって自由に利用することができるものであり、したがって、発信者(通話相手)の通信機器を何ら制限することがなく、通話相手に負担を強いることがない。
【0110】
また、文字による応答メッセージの作成中に終話が生じた場合でも、その応答メッセージを、別途の電子メールの作成処理を行うことなく、そのまま電子メールとして送信できる機能を設けることにより、終話した通話相手に、着信側のユーザからの情報を、迅速かつ効率的に伝えることが可能となる。
【0111】
また、応答メッセージ準備中の期間において、予め記憶されている合成メッセージや応答保留メロディ等を、着信側の携帯通信端末から発信者側の機器に向けて送出することによって、発信者(通話相手)は、着信者側の状況を理解でき、応答メッセージが送られてくるのを安心して待つことができる。
【0112】
上記の無音応答機能(音声無しの会話実現機能)を使用して会話するか、通常どおり、音声によって会話するか、をユーザ自らが選択して切り替えることを可能とすることにより、通話相手に負担をかけることなく、臨機応変の対応ができ、携帯通信端末の使い勝手が向上する。
【0113】
本発明によって、音声による着呼応答が不可な状況下において携帯通信端末に着信があった場合に、その携帯通信端末のユーザが、音声を発することなく発信者(通話相手)との間で、臨機応変かつ容易に着信に対する応答を行うことが可能となり、また、着信側のユーザが通話相手の音声を聞き取れない場合であっても、通話相手と有効な会話ができるようになる。
【0114】
本発明によれば、携帯通信端末装置(携帯電話端末、通信機能をもつPDA、無線通信機能をもつ携帯可能なパーソナルコンピュータ等)の高機能化を図り、付加価値を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、無音応答、ならびに、音声無しの通話相手との会話を実現するという効果を奏し、したがって、携帯電話端末や通信機能をもつPDA(パーソナルデジタルアシスタンス)等の携帯通信端末装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の携帯通信端末装置(携帯電話端末)の基本的構成を説明するためのブロック図
【図2】音声合成部のみをもつ携帯電話端末の具体的構成を示すブロック図
【図3】携帯電話端末のユーザの機器操作と、携帯電話端末の動作と、無線通信の状態と、の相互関係の一例を時系列的に示す図
【図4】図3中の各時点(各タイミング)に対応した、携帯電話端末における表示画面の例を示す図
【図5】携帯電話端末のユーザの機器操作と、携帯電話端末の動作と、無線通信の状態と、の相互関係の他の例を時系列的に示す図
【図6】図5中の各時点(各タイミング)に対応した、携帯電話端末における表示画面の例を示す図
【図7】音声認識部のみをもつ携帯電話端末の具体的構成を示すブロック図
【図8】携帯電話端末のユーザの機器操作と、携帯電話端末の動作と、無線通信の状態と、の相互関係のさらに他の例を時系列的に示す図
【図9】図8中の各時点(各タイミング)に対応した、携帯電話端末における表示画面の例を示す図
【図10】音声合成部および音声認識部の双方を有する携帯電話端末の具体的な構成を示すブロック図
【図11】携帯電話端末のユーザの機器操作と、携帯電話端末の動作と、無線通信の状態と、の相互関係のさらに他の例を時系列的に示す図
【図12】図11中の各時点(各タイミング)に対応した、携帯電話端末における表示画面の例を示す図
【符号の説明】
【0117】
100 携帯電話端末
102 表示部(液晶ディスプレイ)
104 キー操作部(キーボード)
106 音声合成部(文字音声変換部)
108 音声認識部(音声文字変換部)
110 無線通信部
112 アンテナ
120 無線通信部
122 コーデック(音声コーデック)
124 スピーカ
126 制御部
128 合成メッセージ・メロディ制御部
130 入力部
132 出力部
200 無線基地局
300 通話相手の通信機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー操作部から入力された送信メッセージとしての文字情報を音声情報に変換する音声合成部、または、通話相手先から送られてきた音声情報を文字情報に変換する音声認識部、の少なくとも一つと、
前記音声合成部から出力される音声情報を前記通話相手先に無線送信すること、または、通話相手先から無線通信により送られてくる音声情報を受信して前記音声認識部に供給すること、の少なくとも一つを実施可能な無線通信部と、
前記キー操作部から入力された送信メッセージとしての文字情報の表示、または、前記音声認識部によって前記通話相手方からの音声情報を変換して得られる文字情報の表示、
の少なくとも一つが可能な表示部と、
を有することを特徴とする携帯通信端末装置。
【請求項2】
請求項1記載の、前記音声合成部を有する携帯通信端末装置であって、
前記通話相手先からの着信に応答して、前記キー操作部から送信メッセージとしての文字情報を入力しているときに前記通話相手先が終話した場合、その入力された文字情報を、前記通話相手先に、電子メールとして送信することが可能であることを特徴とする携帯通信端末装置。
【請求項3】
請求項1記載の、前記音声合成部を有する携帯通信端末装置であって、
前記通話相手先からの着信に応答して、前記キー操作部から送信メッセージとしての文字情報を入力している最中に、応答メッセージの作成中であることを示す情報を、前記通話相手先に送信することを特徴とする携帯通信端末装置。
【請求項4】
請求項1記載の携帯通信端末装置であって、
その携帯通信端末装置のユーザが、前記音声合成部の使用/不使用または前記音声認識部の使用/不使用を、選択的に切り替えることが可能であることを特徴とする携帯通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−295468(P2006−295468A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112247(P2005−112247)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】