説明

携帯通信端末

【課題】 メモリコストを抑制しつつ、高温異常時であっても画面表示を継続することができる携帯通信端末を提供することを目的とする。
【解決手段】 メインプロセッサ20及び表示コントローラ21を有する主制御チップ2上に、メインメモリ30を有するメモリチップ3をスタック配置し、メインメモリ30の一部を表示コントローラ21用のフレームメモリとして使用する。このため、メモリコストを抑制しつつ、表示装置10aの高精細化と、それに伴う表示コントローラの動作の高速化を実現することができる。また、サブメモリ41を有するモデムチップ4が、回路基板15上において、主制御チップ2から離間して配置され、高温異常時には、サブメモリ41をフレームメモリとして使用することにより、表示制御を継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末に係り、更に詳しくは、メモリコストを削減しつつ、高温時にも画像表示を継続することができる携帯通信端末の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置(LCD)を制御するLCDコントローラは、フレーム画像を記憶するためのフレームメモリを備えている。このフレームメモリは、液晶表示装置の高精細化にともなって、大容量化及び高速化が求められ、携帯通信端末の製造コストを増大させる要因になっている。このため、LCDコントローラ内にフレームメモリを設けることなく、アプリケーションプロセッサ用の高速メモリの一部をフレームメモリとして利用する構成が知られている。
【0003】
一方、2個以上の半導体パッケージを積み重ねて回路基板上に実装するPoP(Package on Package)実装や、2個以上の半導体ダイを積み重ねてパッケージ化するダイスタッキング技術が従来から知られている。このような技術を利用して、2個の半導体集積回路をスタック配置すれば、回路基板上の実装面積を抑制できるだけでなく、半導体集積回路間の配線長を短くし、当該半導体集積回路間の入出力動作を高速化することができる。例えば、プロセッサ上に高速メモリをスタック配置すれば、アプリケーションプログラムの実行速度を高速化することができる。
【0004】
これらの技術を利用して、プロセッサ及びLCDコントローラを含む半導体集集積回路上に高速メモリをスタック配置し、高速メモリの一部の記憶領域をLCDコントローラのフレームメモリとして利用すれば、プロセッサ及びLCDコントローラの動作をともに高速化しつつ、メモリコストを削減することができると考えられる。
【0005】
しかしながら、この様な構成を採用した場合、プロセッサが高温になれば、プロセッサの直近に配置されている高速メモリも高温になり、高速メモリ内のデータが破壊されるおそれがある。この場合、高速メモリをフレームメモリとして使用しているLCDコントローラは表示制御を行うことができなくなってしまうという問題があった。例えば、プロセッサが高温になり、クールダウン動作を開始すると、液晶表示装置の表示画面が真っ暗になり、温度異常によるクールダウン動作中であることをユーザに報知することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−34401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、メモリコストを抑制しつつ、高温時であっても画面表示を継続することができる携帯通信端末を提供することを目的とする。特に、表示装置の高精細化にともなうフレームメモリの大容量化及び高速化の要請に対応しつつ、メモリコストを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明による携帯通信端末は、メインプロセッサ及び表示コントローラを有し、回路基板上に配置された第1半導体集積回路と、揮発性のメインメモリを有し、第1半導体集積回路上にスタック配置された第2半導体集積回路と、書き換え可能なサブメモリを有し、上記回路基板上において第1半導体集積回路から離間して配置された第3半導体集積回路と、第2半導体集積回路又はその近傍の温度を計測する温度センサと、上記温度センサの計測結果に基づいて、動作モードを通常モードから高温異常モードへ切り替えるモード切替手段とを備え、上記メインメモリが、通常モード時に上記メインプロセッサが生成する第1フレーム画像を保持し、上記サブメモリが、高温異常モード時に第2フレーム画像を保持し、上記表示コントローラが、上記通常モードでは、上記メインメモリをフレームメモリとして使用し、第1フレーム画像に基づいて表示制御を行う一方、上記高温異常モードでは、上記サブメモリをフレームメモリとして使用し、第2フレーム画像に基づいて表示制御を行うように構成される。
【0009】
メインプロセッサ及び表示コントローラを有する第1半導体集積回路上に、第2半導体集積回路をスタック配置することにより、メインプロセッサ及び表示コントローラによるメインメモリへのアクセスを高速化することができる。このため、通常モードでは、メインプロセッサ用のメインメモリの一部を表示コントローラ用のフレームメモリとして使用することができ、メモリコストを抑制しつつ、表示装置の高精細化と、それに伴うフレームメモリの大容量化及び高速化を実現することができる。しかも、高温異常モードでは、サブメモリをフレームメモリとして使用することにより、メインプロセッサの発熱によりメインメモリが使用できなくなった場合でも、表示コントローラは表示制御を継続することができる。
【0010】
第2の本発明による携帯通信端末は、上記構成に加えて、第3半導体集積回路が、無線通信用のベースバンド信号の変復調処理を行うサブプロセッサを有し、上記メインメモリが、上記通常モード時に上記サブプロセッサが実行する第1プログラムを記憶するように構成される。
【0011】
変復調処理を行うサブプロセッサ用の第1プログラムをメインメモリが保持しているため、第1及び第3半導体集積回路間に高速インターフェースを設けることにより、メモリコストを更に抑制することができる。また、高温異常モード時には、上記高速インターフェースを利用して、表示コントローラがサブメモリから第2フレーム画像を読み出すことができる。このため、高温異常モードにおける画像表示のために、高速インターフェースを別途設ける必要がなく、製造コストを抑制することができる。
【0012】
第3の本発明による携帯通信端末は、上記構成に加えて、上記モード切替手段が、一定時間継続して操作入力のない場合に、動作モードを上記通常モードから省電力モードへ切り替え、第1半導体集積回路が、上記省電力モード時に動作を停止し、上記サブメモリが、上記メインメモリよりも記憶容量が小さく、上記省電力モード時に上記サブプロセッサが実行する第2プログラムを保持し、上記高温異常モード時には、第2プログラムに上書きされた第2フレーム画像を保持するように構成される。
【0013】
サブメモリが省電力モード時にサブプロセッサが実行する第2プログラムを保持することにより、省電力モード時に第1半導体集積回路が動作を停止しても、サブプロセッサは、第2プログラムに基づいて動作することができる。また、サブメモリが、高温異常モード時には、第2プログラムに上書きされた第2フレーム画像を保持することにより、メモリコストを更に抑制することができる。
【0014】
第4の本発明による携帯通信端末は、上記構成に加えて、第2フレーム画像が、上記通常モード時に上記メインメモリによって保持され、省電力モードへの移行時に、上記メインメモリから上記サブメモリへ退避されるように構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、メモリコストを抑制しつつ、高温時であっても画面表示を継続することができる携帯通信端末を提供することができる。特に、表示装置の高精細化にともなうフレームメモリの大容量化及び高速化の要請に対応しつつ、メモリコストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1による携帯通信端末の一例を示した外観図である。
【図2】図1の携帯電話機100をA−A切断線により切断した場合の様子を示した断面図である。
【図3】図2の回路基板15の一部を拡大して示した拡大断面図である。
【図4】図1の携帯電話機100内部の回路構成の一例を示した図である。
【図5】携帯電話機100内におけるデータフローの一例を説明するための説明図であり、サブプロセッサ用のプログラムコードのフローが示されている。
【図6】通常モード時におけるフレーム画像のデータフローを示した説明図である。
【図7】高温異常が検出された場合におけるフレーム画像のデータフローを示した説明図である。
【図8】高温異常モード時におけるフレーム画像のデータフローを示した説明図である。
【図9】高温異常検出処理の一例を示したフローチャートである。
【図10】サブプロセッサ40の動作の一例を示したフローチャートである。
【図11】表示コントローラ21の動作の一例を示したフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2による携帯通信端末の要部について一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による携帯通信端末の一例を示した外観図であり、携帯電話機100の前面が示されている。また、図2は、図1の携帯電話機100をA−A切断線により切断した場合の様子を模式的に示した断面図である。
【0018】
携帯電話機100は、略矩形からなる薄型筐体からなり、その前面には、タッチパネル10、レシーバ11、マイクロホン12及び操作キー13が配置されている。また、上記薄型筐体内には、回路基板15及び二次電池16が内蔵されている。
【0019】
タッチパネル10は、表示装置及びタッチセンサからなり、表示装置を用いて画像表示を行う一方、表示装置の表示面に対するユーザ操作を検出する。例えば、液晶表示装置の表示面上に静電容量の変化を検出するための透明電極が形成されている。レシーバ11及びマイクロホン12は、通話用の入出力装置であり、タッチパネル10を挟んで反対側に配置されている。また、操作キー13は、ユーザが操作入力を行うためのハードキーである。回路基板15は、多数の半導体装置が配置された基板であり、例えば、フレキシブル基板が用いられる。二次電池16には、例えば、リチウムイオン電池が用いられる。
【0020】
図3は、図2の回路基板15の一部を拡大して示した拡大断面図であり、携帯電話機100の要部が模式的に示されている。回路基板15上には、主制御チップ2、メモリチップ3及びモデムチップ4が配置されている。
【0021】
主制御チップ2は、第1半導体集積回路2cがパッケージ内に封止された半導体装置であり、上記パッケージの上面及び下面には多数の電極端子がそれぞれ形成されている。第1半導体集積回路2cは、同一の半導体ダイ上にメインプロセッサ20及び表示コントローラ21が形成されている。また、パッケージ下面の電極端子は、半田ボールを介して、回路基板15上の電極端子に接続されている。
【0022】
メモリチップ3は、半導体ダイ上に揮発性のメインメモリ30が形成された第2半導体集積回路3cがパッケージ内に封止された半導体装置であり、主制御チップ2上に積み重ねるように配置されている。メモリチップ3のパッケージ下面には、主制御チップ2のパッケージ上面の電極端子と対向するように多数の電極端子が形成され、半田ボールを介して、これらの対向する電極端子が互いに接続される。この様にして、主制御チップ2上にメモリチップ3をPoP実装することにより、回路基板15上における実装面積を削減するとともに、チップ間の配線長を短縮することができる。このため、メインプロセッサ20及び表示コントローラ21のいずれについても、メインメモリ30へのアクセスを高速化することができる。
【0023】
モデムチップ4は、第3半導体集積回路4cがパッケージ内に封止された半導体装置であり、回路基板15上において主制御チップ2とは異なる位置に配置されている。第3半導体集積回路4cは、同一の半導体ダイ上にサブプロセッサ40と、書き換え可能なサブメモリ41とが形成されている。モデムチップ4のパッケージ下面の電極端子は、半田ボールを介して、回路基板15上の電極端子に接続され、主制御チップ2及びモデムチップ4は、回路基板15上の配線パターンを介して接続されている。
【0024】
図4は、図1の携帯電話機100内部の回路構成の一例を示した図である。この携帯電話機100は、3つの動作モード、すなわち、通常モード、スタンバイモード及び高温異常モードを有する。
【0025】
スタンバイモードは、主制御チップ2の動作を停止させることにより、通常モードに比べて消費電力を低減させる動作モードであり、一定時間継続して操作入力がなかった場合に、動作モードが通常モードからスタンバイモードへ切り替えられる。高温異常モードは、メモリチップ3を用いることなく表示制御を行う動作モードであり、メモリチップ3の温度が高温異常判定値を越えた場合に、動作モードが通常モードから高温異常モードへ切り替えられる。これらのモード切り替えは、メインプロセッサ20が行ってもよいし、その他の回路が行ってもよい。
【0026】
RFチップ50は、周波数変換を行う無線処理部であり、モデムチップ4から入力されるベースバンド信号をRF信号に変換し、アンテナから送出させる。また、アンテナが受信したRF信号をベースバンド信号へ周波数変換し、モデムチップ4へ出力する。
【0027】
フラッシュメモリ51は、アプリケーションプログラム31やモデムプログラム32などを保持する不揮発性メモリである。これらのプログラム31,32は、必要に応じて、フラッシュメモリ51からメインメモリ30へ転送される。
【0028】
音声入出力部52は、レシーバ11及びマイクロホン12を制御し、音声入出力を行っている。操作入力部53は、タッチパネル10を構成するタッチセンサ10bや操作キー13を監視し、ユーザ操作があれば、操作入力信号を主制御チップ2へ出力する。
【0029】
主制御チップ2は、モデムチップ4、タッチパネル10、音声入出力部52、操作入力部53などを制御する主制御装置であり、内部バス2bを介して互いに接続されたメインプロセッサ20、表示コントローラ21、メモリコントローラ22、温度センサ23及び通信部24を備えている。
【0030】
メインプロセッサ20は、種々のアプリケーションプログラムを実行するプロセッサである。例えば、通話時には、音声入出力部52を制御し、マイクロホン12から入力された送話音信号をモデムチップ4へ出力するとともに、モデムチップ4から受信した受話音信号を音声入出力部52へ出力する。また、データ通信時には、操作入力部53からの操作入力信号に基づいて送信信号を生成する。さらに、操作入力部53からの操作入力信号やモデムチップ4からの受信信号に基づいてフレーム画像を生成し、メインメモリ30内のフレームメモリ領域に書き込む。ただし、高温異常モード時には、メインプロセッサ20の動作速度を低下させて、メインプロセッサ20からの発熱を抑制し、主制御チップ2をクールダウンさせる。
【0031】
なお、ここでは、主制御チップ2が1個のメインプロセッサ20を内蔵する場合について説明するが、主制御チップ2が2以上のメインプロセッサ20を内蔵するマルチプロセッサ構成であってもよい。
【0032】
表示コントローラ21は、表示装置10aの表示制御を行っている。ここでは、表示装置10aが、タッチパネル10を構成する液晶表示装置(LCD)であり、表示コントローラ21はLCDコントローラであるものとする。主制御チップ2内にはフレームメモリを備えておらず、表示コントローラ21は、メインメモリ30の一部の記憶領域をフレームメモリとして使用する。つまり、表示コントローラ21は、メモリチップ3内に保持されているフレーム画像に基づいて表示制御を行っている。
【0033】
メモリコントローラ22は、メモリチップ3に対するデータ入出力を制御する。メモリチップ3は主制御チップ2上にスタック配置されているため、これらのチップ間の配線長が短く、メモリコントローラ22は高速でデータ入出力を行うことができる。メインプロセッサ20及び表示コントローラ21は、このメモリコントローラ22を介して、メモリチップ3にアクセスする。
【0034】
温度センサ23は、メモリチップ3の温度を計測するための温度計測手段であり、例えば、熱電対を用いることができる。温度センサ23の計測温度は、メインプロセッサ20へ出力され、予め定められた高温異常判定値と比較される。この比較結果に基づいて、通常モードから高温異常モードへの切り替えが行われる。ここでは、温度センサ23を主制御チップ2内に配置する場合について説明するが、主制御チップ2近傍の回路基板15上に配置する構成であってもよい。さらに、メモリチップ3の温度を間接的に計測するのではなく、温度センサ23をメモリチップ3内に配置し、メモリチップ3の温度を直接的に計測する構成であってもよい。
【0035】
高温異常モードに切り替わると、メインプロセッサ20がクールダウン動作を行うとともに、モデムチップ4内のサブメモリ41が、表示コントローラ21のフレームメモリとして使用される。メモリチップ3は、主制御チップ2にスタック配置されているため、メインプロセッサ20が発熱し、主制御チップ2が高温になれば、メモリチップ3も高温になり、メインメモリ30内のデータが破壊される。しかも、メインメモリ30の限界温度は、メインプロセッサ20や表示コントローラ21よりも低く、温度が上昇した場合、主制御チップ2が正常に動作できなくなるよりも前に、メインメモリ30内のデータの破壊が始まる。このため、通常モード時には、メインメモリ30がフレームメモリとして用いられる一方、高温異常モード時には、モデムチップ4内のサブメモリ41がフレームメモリとして用いられる。
【0036】
メモリチップ3は、メインメモリ30を内蔵している。メインメモリ30は、データ入出力を高速に行うことができる書き換え可能なメモリであり、例えば、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が用いられる。メインメモリ30内には、アプリケーションプログラム31、モデムプログラム32及びフレーム画像33が格納されている。
【0037】
アプリケーションプログラム31は、メインプロセッサ20が実行するプログラムである。モデムプログラム32は、通常モード時にモデムチップ4内のサブプロセッサ40が実行するプログラムである。フレーム画像33は、メインプロセッサ20によって生成された画像データである。
【0038】
メインプロセッサ20及び表示コントローラ21は、内部バス2b及びメモリコントローラ22を介して、メモリチップ3にアクセスする。また、モデムチップ4内のサブプロセッサ40は、主制御チップ2にアクセスし、主制御チップ2内の内部バス2b及びメモリコントローラ22を介して、メモリチップ3にアクセスする。
【0039】
メインメモリ30内には、フレーム画像33を格納するための記憶領域が予め確保されており、この記憶領域が、表示コントローラ21のフレームメモリとして使用される。つまり、メインプロセッサ20用のメインメモリ30の一部を表示コントローラ21用のフレームメモリとして使用することにより、表示装置10aの高精細化にともなうフレームメモリの大容量化及び高速化の要請に対応しつつ、メモリコストを削減することができる。
【0040】
モデムチップ4は、ベースバンド信号の変調及び復調を行う変復調装置であり、内部バス4bを介して互いに接続されたサブプロセッサ40、サブメモリ41及び通信部42により構成される。
【0041】
サブプロセッサ40は、主制御チップ2から入力される送信信号を変調してRFチップ50へ出力する。また、RFチップ50から入力される受信信号を復調して主制御チップ2へ出力する。このサブプロセッサ40は、主制御チップ2を介して、メインメモリ30内に保持されているモデムプログラム32を読み出し実行しているため、メモリコストを削減することができる。
【0042】
サブメモリ41は、データ入出力を高速に行うことができる高速メモリであり、書き換え可能なメモリであれば、揮発性メモリであってもよいし、不揮発性メモリであってもよい。例えば、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory:磁気抵抗メモリ)やReRAM(Resistance Random Access Memory:抵抗変化型メモリ)やPCM(Phase Change Memory:相変化メモリ)を用いることができる。このサブメモリ41は、スタンバイモード時にはスタンバイ用プログラムを保持し、高温異常モード時にはフレーム画像33'を保持している。
【0043】
スタンバイ用プログラム32'は、スタンバイモード時にサブプロセッサ40が実行するプログラムである。サブプロセッサ40は、スタンバイモード時であっても動作を継続する必要があるが、スタンバイモード時には主制御チップ2が停止するため、メインメモリ30内のモデムプログラム32を読み出すことができない。このため、モデムプログラム32よりもコンパクトなスタンバイ用プログラム32'をサブメモリ41内に保持しておくことにより、スタンバイモード時であっても、サブプロセッサ40は最小限の動作を行うことができる。
【0044】
また、サブメモリ41に保持されるフレーム画像33'は、高温異常であることをユーザに報知するための画像データである。高温異常モード時には、メインメモリ30内のデータが破壊されるおそれがあるため、サブメモリ41にフレーム画像33'を格納し、このフレーム画像33'に基づいて、表示コントローラ21が表示制御を行っている。フレーム画像33'は、高温異常であることを報知することができればよく、データサイズの小さな画像データであってもよい。
【0045】
この様にして、モデムチップ4がサブメモリ41を備え、スタンバイ時にはスタンバイ用プログラム32'を保持する一方、高温異常モード時には、異常報知のためのフレーム画像33'を格納することにより、サブメモリ41の記憶容量を抑制することできるので、メモリコストを削減することができる。特に、通常モードから高温異常モードへ切り替る際、スタンバイ用プログラム32'の一部又は全部に対し、フレーム画像33'を上書きする構成にすれば、サブメモリ41の記憶容量を更に小さくし、メモリコストを更に削減することができる。
【0046】
通信部42は、主制御チップ2の通信部24との間でデータ入出力を行う入出力インターフェースであり、例えば、C2C(Chip to Chip Link)が用いられる。C2Cは、往復で100ns以下のレイテンシーを実現することができるチップ間の高速データ入出力方式である。主制御チップ2及びモデムチップ4間のデータ入出力を高速化すれば、サブプロセッサ40が実行するモデムプログラム32をメインメモリ30に格納することが可能になる。また、主制御チップ2及びモデムチップ4間における通信データの転送速度も向上するため、数十Mbps以上の高速無線通信にも対応することが可能になる。つまり、主制御チップ2及びモデムチップ4間のデータ入出力を高速化することにより、メモリコスト抑制しつつ、高速無線通信を実現することができる。
【0047】
図5は、図4のブロック図におけるデータフローの一例を説明するための説明図であり、サブプロセッサ40がプログラムコードをフェッチする場合のデータフローが示されている。
【0048】
図中の(a)には、通常モード時におけるデータフローが示されている。モデムプログラム32は、メモリチップ3内に保持されているため、サブプロセッサ40は、主制御チップ2を介して、メモリチップ3内のプログラムコードをフェッチする。主制御チップ2は、メモリチップ3及びモデムチップ4のそれぞれに対し、データ入出力を高速に行うことができる。このため、モデムプログラム32がメモリチップ3内に保持されていても、サブプロセッサ40は高速に動作することができる。
【0049】
図中の(b)は、スタンバイモード時におけるデータフローが示されている。スタンバイ用プログラム32'は、モデムチップ4のサブメモリ41内に保持されているため、サブプロセッサ40は、主制御チップ2を介することなく、プログラムコードをフェッチすることができる。なお、スタンバイモード時にサブプロセッサ40が行っているのは着信検出などの基本的な動作のみであり、例えば、スタンバイモード中に着信があれば、動作モードがスタンバイモードから通常モードに切り替えられる。
【0050】
図6〜図8は、図4のブロック図におけるデータフローの一例を説明するための説明図であり、フレーム画像のデータフローが示されている。
【0051】
図6は、通常モード時におけるフレーム画像のデータフローを示した説明図である。メインプロセッサ20は、アプリケーションプログラム31を実行し、フレーム画像33を生成する。生成されたフレーム画像33は、内部バス2b及びメモリコントローラ22を介して、メモリチップ3内の所定の領域に書き込まれる。表示コントローラ21は、このフレーム画像33に基づいて、表示装置10aの表示制御を行う。すなわち、内部バス2b及びメモリコントローラ22を介して、メモリチップ3からフレーム画像33を読み出し、表示装置10aへ表示制御信号を出力する。例えば、フレームレートが60Hzであれば、メインプロセッサ20が、メモリチップ3内のフレーム画像33を1/60秒ごとに更新し、表示コントローラ21は、当該フレーム画像33に基づく表示制御を1/60秒ごとに繰り返す。
【0052】
図7は、高温異常が検出された場合におけるフレーム画像のデータフローを示した説明図である。温度センサ23の計測温度が高温異常判定値を越えると、動作モードが、通常モードから高温異常モードへ切り替えられる。このモード切り替え前に、メインプロセッサ20は、高温異常を報知するためのフレーム画像33をサブメモリ41に待避させる。サブメモリ41へのフレーム画像の書き込みには、主制御チップ2内の内部バス2b及び通信部24と、モデムチップ4内の通信部42及び内部バス4bとを介して行われる。
【0053】
モデムチップ4は、主制御チップ2から離間して配置されており、主制御チップ2やメモリチップ3に比べて、メインプロセッサ20による発熱の影響を受けにくい。このため、高温異常モードへ移行する際、高温異常モード時に使用するフレーム画像33'をモデムチップ4内のサブメモリ41に格納する。フレーム画像の待避は、メモリチップ3からサブメモリ41へフレーム画像を転送することにより行ってもよいし、メインプロセッサ20が新たなフレーム画像を生成し、サブメモリ41に書き込んでもよい。
【0054】
図8は、高温異常モード時におけるフレーム画像のデータフローを示した説明図である。高温異常モード時には、表示コントローラ21が、サブメモリ41内のフレーム画像33'に基づいて表示装置10aを制御する。すなわち、内部バス2b及び通信部24と、モデムチップ4内の通信部42及び内部バス4bとを介して、サブメモリ41からフレーム画像33'を読み出し、表示制御信号を生成し、表示装置10aへ出力する。例えば、フレームレートが60Hzであれば、表示コントローラ21は、サブメモリ41内のフレーム画像33'に基づく表示制御を1/60秒ごとに繰り返す。なお、高温異常用のフレーム画像33'は、高温異常であることを報知するための画像データであり、簡単な静止画像であってもよい。
【0055】
図9のステップS101〜105は、高温異常検出処理の一例を示したフローチャートであり、通常モード時のメインプロセッサ20によって実行される。まず、温度センサ23の計測温度を取得し、高温異常判定値と比較する(ステップS101,S102)。その結果、計測温度が高温異常判定値以下であれば、高温異常ではないと判断し、当該処理を終了する(ステップS103)。一方、計測温度が高温異常判定値を越えていれば、フレーム画像をモデムチップ4内のサブメモリ41に待避させる(ステップS104)。このとき、サブメモリ41に保持されているスタンバイ用プログラム32'に上書きするように、フレーム画像33'がサブメモリ41に格納される。その後、動作モードを高温異常モードに切り替えて当該処理を終了する(ステップS105)。動作モードが高温異常モードに切り替えられた後、メインプロセッサ20は、動作速度を低下させ、或いは、動作を停止する。
【0056】
図10のステップS201〜S205は、サブプロセッサ40の動作の一例を示したフローチャートである。動作モードが高温異常モードである場合、サブプロセッサ40は動作しない。このため、何も行わずに当該処理を終了する(ステップS201)。一方、動作モードがスタンバイモードであった場合、サブプロセッサ40は、サブメモリ41に格納されているスタンバイ用プログラム32'を読み出す(ステップS202,S203)。一方、ステップS201及びS203において、動作モードが高温異常モードでもスタンバイモードでもない場合、つまり、通常モードであった場合には、メモリチップ3内のモデムプログラム32を読み出す(ステップS204)。そして、ステップS203又はS204において読み出されたプログラムコードを実行する(ステップS205)。つまり、サブプロセッサ40は、動作モードが高温異常モードであれば動作せず、スタンバイモードであればサブメモリ41内のスタンバイ用プログラム32'を実行し、通常モードであれば、メモリチップ内のモデムプログラム32を実行する。
【0057】
図11のステップS301〜S305は、表示コントローラ21の動作の一例を示したフローチャートであり、フレーム周期ごとに実行される。動作モードがスタンバイモードである場合、表示装置10aによる表示は行われないため、表示コントローラ21は、何も行わずに当該処理を終了する(ステップS301)。一方、動作モードがスタンバイモードでない場合に、高温異常モード又は通常モードのいずれであるのかにより処理が異なる(ステップS302)。高温異常モードであれば、モデムチップ4内のサブメモリ41が保持しているフレーム画像33'を読み出す(ステップS303)。一方、通常モードであれば、メモリチップ3が保持しているフレーム画像33を読み出す(ステップS304)。そして、ステップS303又はS304において読み出したフレーム画像に基づいて表示制御信号を生成し、表示装置10aへ出力する(ステップS305)。
【0058】
本実施の形態による携帯電話機100は、主制御チップ2上にメモリチップ3がスタック配置されている。つまり、メインプロセッサ20及び表示コントローラ21が形成された第1半導体集積回路2c上に、揮発性のメインメモリ30が形成された第2半導体集積回路3cがスタック配置されている。この様な構成を採用することにより、主制御チップ2及びメモリチップ3間の配線長を短くし、メインプロセッサ20及び表示コントローラ21によるメインメモリ30へのアクセスを高速化することができる。従って、メインプロセッサ20用のメインメモリ30の一部を表示コントローラ21用のフレームメモリとして使用し、メモリコストを抑制しつつ、表示装置10aの高精細化にともなうフレームメモリの大容量化及び高速化の要請に対応することができる。
【0059】
また、回路基板15上において、モデムチップ4が主制御チップ2から離間して配置されている。つまり、サブプロセッサ40及びサブメモリ41が形成された第3半導体集積回路4cが、メインプロセッサ20及び表示コントローラ21が形成された第1半導体集積回路2cから離間して配置されている。このため、メインプロセッサ20の発熱によってメインメモリ30が高温になり、メインメモリ30内のデータが破壊される可能性がある高温異常モードにおいても、サブメモリ41をフレームメモリとして使用することにより、表示コントローラ21は表示制御を継続することができる。
【0060】
特に、高速無線通信を行うための携帯電話機100では、モデムチップ4及び主制御チップ2間のデータ入出力に高速インターフェースが用いられる。このため、このようなモデムチップ4内にサブメモリ41を内蔵させることにより、高温異常モード時においても、表示コントローラ21は、フレームメモリに高速アクセスすることができる。
【0061】
また、本実施の形態による携帯電話機100は、通常モード時にサブプロセッサ40が実行するモデムプログラム32をメインメモリ30内に保持している。このため、さらにメモリコストを削減することができる。
【0062】
また、本実施の形態による携帯電話機100は、一定時間継続して操作入力がない場合、動作モードがスタンバイモードに切り替わり、主制御チップ2が動作を停止する省電力状態になる。このため、スタンバイモード時にサブプロセッサ40が実行するスタンバイ用プログラムをサブメモリ41内に保持している。一方、高温異常モードへの移行時にフレーム画像をサブメモリ41に退避させる際、フレーム画像33'がスタンバイ用プログラム32'に上書きされる。このため、メモリコストを削減することができる。
【0063】
実施の形態2.
実施の形態1では、PoP実装技術を用いて、メインプロセッサ20及び表示コントローラ21を含む主制御チップ2上に、メインメモリ30を含むメモリチップ3をスタック配置する場合の例について説明した。これに対し、実施の形態2では、ダイスタッキング技術を用いて、メインプロセッサ20及び表示コントローラ21を含む半導体集積回路2c上に、メインメモリ30を含む半導体集積回路3cをスタック配置する場合の例について説明する。
【0064】
図12は、本発明の実施の形態2による携帯通信端末の要部について一例を示した図であり、図3と同様にして、図2の回路基板15の一部を拡大して示した拡大断面図である。図3と比較すれば、パッケージ封止前の第1半導体集積回路2c上に、パッケージ封止前の第2半導体集積回路3cがスタック配置され、スタック配置された半導体集積回路2c,3cが同一のパッケージ内に封止されている。このため、第1半導体集積回路2c及び第2半導体集積回路3cは、パッケージ内において接続されている。
【0065】
この様な構成を採用した場合であっても、実施の形態1の場合と同一の作用効果を得ることができる。つまり、第1半導体集積回路2c及び第2半導体集積回路3c間の配線長を短くし、メインプロセッサ20及び表示コントローラ21によるメインメモリ30へのアクセスを高速化することができる。また、メインプロセッサ20の発熱による高温異常モードにおいて、サブメモリ41をフレームメモリとして使用することにより、表示コントローラ21が表示制御を継続することができる。
【0066】
なお、上記実施の形態では、アプリケーションプログラム31を実行するメインプロセッサ20が、フレーム画像33を生成する場合について説明したが、本発明は、この様な場合のみに限定されない。例えば、第1半導体集積回路2c内にグラフィックアクセラレータ(不図示)が形成され、当該グラフィックアクセラレータが、フレーム画像33を生成するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0067】
100 携帯電話機
10 タッチパネル
10a 表示装置
10b タッチセンサ
11 レシーバ
12 マイクロホン
13 操作キー
15 回路基板
16 二次電池
2 主制御チップ
2b 内部バス
2c 第1半導体集積回路
20 メインプロセッサ
21 表示コントローラ
22 メモリコントローラ
23 温度センサ
24 通信部
3 メモリチップ
3c 第2半導体集積回路
30 メインメモリ
31 アプリケーションプログラム
32 モデムプログラム
33,33' フレーム画像
4 モデムチップ
4b 内部バス
4c 第3半導体集積回路
40 サブプロセッサ
41 サブメモリ
42 通信部
50 RFチップ
51 フラッシュメモリ
52 音声入出力部
53 操作入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインプロセッサ及び表示コントローラを有し、回路基板上に配置された第1半導体集積回路と、
揮発性のメインメモリを有し、第1半導体集積回路上にスタック配置された第2半導体集積回路と、
書き換え可能なサブメモリを有し、上記回路基板上において第1半導体集積回路から離間して配置された第3半導体集積回路と、
第2半導体集積回路又はその近傍の温度を計測する温度センサと、
上記温度センサの計測結果に基づいて、動作モードを通常モードから高温異常モードへ切り替えるモード切替手段とを備え、
上記メインメモリは、通常モード時に上記メインプロセッサが生成する第1フレーム画像を保持し、
上記サブメモリは、高温異常モード時に第2フレーム画像を保持し、
上記表示コントローラは、上記通常モードでは、上記メインメモリをフレームメモリとして使用し、第1フレーム画像に基づいて表示制御を行う一方、上記高温異常モードでは、上記サブメモリをフレームメモリとして使用し、第2フレーム画像に基づいて表示制御を行うことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
第3半導体集積回路は、無線通信用のベースバンド信号の変復調処理を行うサブプロセッサを有し、
上記メインメモリは、上記通常モード時に上記サブプロセッサが実行する第1プログラムを記憶することを特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末。
【請求項3】
上記モード切替手段は、一定時間継続して操作入力がない場合に、動作モードを上記通常モードから省電力モードへ切り替え、
第1半導体集積回路は、上記省電力モード時に動作を停止し、
上記サブメモリは、上記メインメモリよりも記憶容量が小さく、上記省電力モード時に上記サブプロセッサが実行する第2プログラムを保持し、上記高温異常モード時には、第2プログラムに上書きされた第2フレーム画像を保持することを特徴とする請求項2に記載の携帯通信端末。
【請求項4】
第2フレーム画像は、上記通常モード時に上記メインメモリによって保持され、省電力モードへの移行時に、上記メインメモリから上記サブメモリへ退避されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−97224(P2013−97224A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240850(P2011−240850)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】