説明

携帯通信装置、放送信号切換方法および放送信号切換プログラム

【課題】 複数の放送信号のうちから1つを選択する操作を容易にすること。
【解決手段】 携帯通信装置は、第1筐体と、第1筐体と相対的に移動可能に連結された第2筐体と、第1筐体が第2筐体に相対する相対位置と、複数の放送信号の識別情報とをそれぞれ対応付ける対応付テーブルと、第1筐体の第2筐体に相対する相対位置を検出する位置検出部(S05)と、所定の操作を検出する操作検出部(S07、S08)と、複数の放送信号のうちから所定の操作が検出されたときに位置検出部により検出された相対位置に対応付けられた放送信号を選択する選択部(S09)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯通信装置、放送信号切換方法および放送信号切換プログラムに関し、特に、複数の放送信号のいずれかを選択して受信する携帯通信装置、その携帯通信装置により実行される放送信号切換方法および放送信号切換プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、テレビジョン受信機能を有するものがある。テレビジョンの放送信号は複数あり、複数の放送信号のうちからいずれかを選択すれば、選択された放送信号が受信され、映像が表示される。放送信号を選択する場合、携帯電話機に備え付けられたボタンあるいはスイッチを操作する必要がある。
【0003】
たとえば、特開2005−328234号公報には、複数の機能を備えた携帯端末装置において、アンテナ軸の少なくとも一部に突起部を設けたアンテナ部と、該アンテナ部を回転可能に収納するアンテナ収納部と、前記突起部の位置情報から前記アンテナ部の前記アンテナ収納部に対する回転方向を検出する回転検出手段とを備え、該検出した回転方向に予め関連付けられた機能を実行できるようにしたことを特徴とする携帯端末装置が記載されている。
【0004】
しかしながら、従来の携帯端末装置は、複数の放送信号のうちから1つを選択するために、アンテナを回転させる特別な操作をしなければ所望の放送信号を選択することができないといった問題がある。
【特許文献1】特開2005−328234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、複数の放送信号のうちから1つを選択する操作を容易にした携帯通信装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、複数の放送信号のうちから1つを選択する操作を容易にした放送信号切換方法を提供することである。
【0007】
この発明のさらに他の目的は、複数の放送信号のうちから1つを選択する操作を容易にした放送信号切換プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、この発明のある局面によれば、携帯通信装置は、第1筐体と、第1筐体と相対的に移動可能に連結された第2筐体と、第1筐体が第2筐体に相対する相対位置と複数の放送信号とをそれぞれ対応付ける対応付手段と、第1筐体の第2筐体に相対する相対位置を検出する位置検出手段と、所定の操作を検出する操作検出手段と、操作検出手段により所定の操作が検出されたときに複数の放送信号のうちから位置検出手段により検出された相対位置に対応付けられた放送信号を選択する選択手段と、を備える。
【0009】
この局面に従えば、第1筐体と第2筐体との相対位置が検出され、複数の放送信号のうちから所定の操作が検出されたときにおける第1筐体と第2筐体との相対位置に対応付けられた放送信号が選択される。このため、第1筐体を第2筐体に相対的に移動させる操作によって、複数の放送信号のうちから1つを選択することができる。その結果、複数の放送信号のうちから1つを選択する操作を容易にした携帯通信装置を提供することができる。
【0010】
好ましくは、位置検出手段は、第1筐体が第2筐体に相対して移動可能な第1の相対位置と第2の相対位置との間における第1筐体が第2筐体に相対する相対位置を検出する。
【0011】
この局面に従えば、放送信号の映像を表示するのに適した位置に第1筐体を移動させる操作に放送信号を選択する操作を含ませることができる。このため、放送信号を選択する操作を簡略にすることができる。
【0012】
好ましくは、選択手段は、第1筐体が第1の相対位置から第2の相対位置に移動する間に操作検出手段により複数の所定の操作が検出された場合、操作検出手段により複数の所定の操作が検出されたときに位置検出手段によりそれぞれ検出された複数の相対位置にそれぞれ対応付けられた複数の放送信号を候補信号として選択する候補選択手段と、複数の候補信号が選択された後、第1筐体が第2の筐体に対して第2の相対位置から第1の相対位置の方向に移動した後、複数の候補信号のうちから位置検出手段により所定のタイミングで検出された相対位置に対応付けられた候補信号を選択する放送信号に決定する決定手段とを含む。
【0013】
この局面に従えば、候補となる放送信号が複数の場合、複数の候補となる放送信号のうちから1つを選択する操作を容易にすることができる。
【0014】
好ましくは、第1筐体に設けられ、受信された放送信号の映像を表示する表示手段をさらに備え、表示手段は、第2の相対位置において映像を表示する場合に、第1の相対位置において映像を表示するサイズ以上のサイズで映像を表示する。
【0015】
この局面に従えば、ユーザは、第1の相対位置において映像を表示するサイズ以上のサイズで映像が表示される第2の相対位置に第1筐体を移動させる間に放送信号を選択することができる。このため、操作を簡略化することができる。
【0016】
好ましくは、第2筐体に設けられ、受信された放送信号の映像を表示可能な別の表示手段をさらに備え、別の表示手段は、第1筐体が第1の相対位置から第2の相対位置の間に位置するとき、受信された放送信号の映像を表示する。
【0017】
この局面に従えば、第1筐体が第1の相対位置から第2の相対位置の間に位置するとき、第2筐体に設けられた別の表示手段に放送信号の映像が表示されるので、ユーザに対して第1筐体を移動させながらユーザに対して移動しない第2筐体に放送信号の映像を表示することができる。このため、放送信号を選択する操作をする際に、表示される映像を見やすく表示することができる。
【0018】
好ましくは、操作検出手段は、位置検出手段により検出される相対位置が予め定められた範囲内となる時間を計時する計時手段を含み、計時手段により所定時間が計時されると所定の操作を検出する。
【0019】
この局面に従えば、第1筐体を第2筐体に相対して移動させる操作を所定時間停止させるだけで、放送信号が選択される。このため、ユーザは、第1筐体を第2筐体に移動させる間に、放送信号を選択することができる。また、第1筐体を第2筐体に相対して移動させる操作を所定時間停止している間、同じ放送信号が選択されるので、ユーザは映像を見ながら放送信号を選択することができる。
【0020】
好ましくは、操作検出手段は、予め定められたボタンを指示する操作を検出する。
【0021】
この発明の他の局面によれば、放送信号切換方法は、携帯通信装置で実行される放送信号切換方法であって、携帯通信装置は、第1筐体と、第1筐体と相対的に移動可能に連結された第2筐体と、を備え、第1筐体が第2筐体に相対する相対位置と複数の放送信号とをそれぞれ対応付けるステップと、第1筐体の第2筐体に相対する相対位置を検出するステップと、複数の放送信号のうちから検出された相対位置に対応付けられた放送信号を選択するステップと、を含む。
【0022】
この局面に従えば、複数の放送信号のうちから1つを選択する操作を容易にした放送信号切換方法を提供することができる。
【0023】
この発明のさらに他の局面によれば、放送信号切換プログラムは、携帯通信装置で実行される放送信号切換プログラムであって、携帯通信装置は、第1筐体と、第1筐体と相対的に移動可能に連結された第2筐体と、を備え、第1筐体が第2筐体に相対する相対位置と、複数の放送信号とをそれぞれ対応付けるステップと、第1筐体の第2筐体に相対する相対位置を検出するステップと、複数の放送信号のうちから検出された相対位置に対応付けられた放送信号を選択するステップと、を携帯通信装置を制御するためのコンピュータに実行させる。
【0024】
この局面に従えば、複数の放送信号のうちから1つを選択する操作を容易にした放送信号切換プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける携帯電話機の第1の斜視図である。図1は、オープンスタイルにおける携帯電話機1を示している。図2は、携帯電話機の第2の斜視図である。図2は、中間スタイルにおける携帯電話機1を示している。図3は、携帯電話機の第3の斜視図である。図3は、視聴スタイルにおける携帯電話機1を示している。 図1〜図3を参照して、携帯電話機1は、第1筐体2と、第2筐体3と、ヒンジ部4と、支持板70とを含む。第2筐体3の上端部にヒンジ部4と支持板70とを介して第1筐体2の下端部が連結されている。第1筐体2と第2筐体3とはヒンジ部4の動作により、ヒンジ部4が有する回転軸(第1の回転軸)を中心に回転可能に連結され、互いに開閉可能となる。ヒンジ部4の動作により、携帯電話機1を折りたたんで、第1筐体2と第2筐体3とが閉状態にあるときの携帯電話機1の状態がクローズスタイルであり、携帯電話機1を開いて、第1筐体2と第2筐体3が開状態にあるときの携帯電話機1の状態がオープンスタイルである。
【0027】
ヒンジ部4の一方の回動端には第2筐体3が連結され、他方の回動端には第1筐体2の表面と平行な表面及び背面を具えた支持板70が突設されている。支持板70の表面と背面とには、同軸上に一対の突起部7が弾性支持されて支持板の表面及び背面から出没可能に取り付けられている。
【0028】
第1筐体2は指示板70を収納するための溝を有し、その溝の両側面には、支持板70の表面と背面とに同軸上に設けられた一対の突起部7と結合される枢支部5およびスライド部6がそれぞれ設けられている。第1筐体2は、指示板70の突起部7と、枢支部5またはスライド部6を介して結合される。枢支部5は、突起部7と結合する場合、突起部7を回転可能に支持する。このため、枢支部5が突起部7と結合した状態では、第1筐体2は第2筐体3に対して枢支部5を中心軸として回転可能である。このように、第1筐体2と第2筐体3とは、枢支部5と突起部7とが結合することにより、枢支部5と突起部7とで構成される回転軸(第2の回転軸)を中心に回転可能に連結される。枢支部5と突起部7とで構成される回転軸(第2の回転軸)は、ヒンジ部4が有する回転軸(第1の回転軸)と交わる。ここでは、枢支部5と突起部7とで構成される回転軸(第2の回転軸)は、ヒンジ部4が有する回転軸(第1の回転軸)と垂直に交わる。
【0029】
携帯電話機1は、オープンスタイルと中間スタイルとにおいて、枢支部5が突起部7と結合し、第1筐体2が第2筐体3に対して回転可能である。したがって、携帯電話機1は、オープンスタイルから中間スタイルに形態を変化させる場合、または、中間スタイルからオープンスタイルに形態を変化させる場合、第1筐体2が第2筐体3に対して枢支部5と突起部7とで構成される回転軸を中心に回転する。
【0030】
図1に示すオープンスタイルの携帯電話機1の第1筐体2を図中の矢印の方向に側方から押圧すると、第1筐体2が第2筐体3に対して回転し、図2に示す中間スタイルになる。ここでは、オープンスタイルにおける携帯電話機1の第1筐体2と第2筐体3との相対的な位置を第1相対位置といい、中間スタイルにおける携帯電話機1の第1筐体2と第2筐体3との相対的な位置を第2相対位置という。
【0031】
図2に示す中間スタイルの携帯電話機1において第1筐体2を図中の矢印の方向に側方から押圧すると、突起部7は枢支部5との連結が外れ、スライド部6と結合する。突起部7はスライド部6と結合する場合、スライド部6に摺動可能に支持される。携帯電話機1は、中間スタイルと視聴スタイルとにおいて、スライド部6が突起部7を摺動可能に支持する。したがって、携帯電話機1は、中間スタイルから視聴スタイルに、または視聴スタイルから中間スタイルに形態を変化させることができる。
【0032】
第1筐体2の内側面には、第1スピーカ11と、液晶表示装置(LCD)16とが配置される。第2筐体3の内側面には、マイクロフォン13と、テンキーおよび通話キー等の操作キー15とが配置される。
【0033】
放送信号の映像をLCD16に表示したとき、放送信号の映像の形状は横長の長方形の輪郭を有するので、オープンスタイルのときのLCD16には、放送信号の映像がその上下が横向きに表示されてしまうが、携帯電話機1が視聴スタイルのときは、放送信号の映像をLCD16に適正な方向で無駄なく表示することができる。従って、図3に示す視聴スタイルの携帯電話機1は、放送信号の映像を視聴するのに適した形態である。
【0034】
図4は、第1携帯電話機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図4を参照して、第1携帯電話機1は、第1携帯電話機1の全体を制御するためのCPU21と、アンテナ22Aと接続された無線回路22と、音声データを処理するためのコーデック部28と、それぞれがコーデック部28に接続されたマイクロフォン13および第1スピーカ11と、アンテナ23Aに接続されたチューナ23と、ユーザの操作の入力を受付ける操作部25と、AVデコーダ29と、第2スピーカ12と、第1LCD16の表示を制御するための表示制御部30と、CPU21の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)31と、CPU21で実行するためのプログラム等を記憶するためのEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)32と、カードインターフェース(I/F)27と、を含む。
【0035】
無線回路22は、アンテナ22Aにより受信された無線信号が入力され、無線信号を復調した音声信号をコーデック部28に出力する。また、無線回路22は、コーデック部28から音声信号が入力され、音声信号を変調した無線信号をアンテナ22Aに出力する。コーデック部28は、無線回路22から入力される音声信号を復号し、復号したデジタルの音声信号をアナログに変換し、増幅し、そして第1スピーカ11に出力する。また、コーデック部28は、マイクロフォン13からアナログの音声信号が入力され、音声信号をデジタルに変換し、符号化し、そして符号化した音声信号を無線回路22に出力する。
【0036】
チューナ23は、アンテナ23Aに接続されており、アンテナ23Aにより受信された複数の放送信号が入力される。チューナ23は、アンテナ23Aから入力される複数の放送信号からCPU21の指示に応じて特定の周波数の放送信号を取り出す。放送信号は、デジタル放送信号を含み、映像データおよび音声データを含む高周波デジタル変調信号である。また、チューナ23は、逆インターリーブ回路、誤り訂正回路を備えており、取り出した特定の周波数の放送信号(高周波デジタル変調信号)を復調し、復調して得られる符号データをAVデコーダ29に出力する。なお、ここでは、地上デジタル放送の放送信号を受信して再生する例を示すが、アナログテレビジョン放送の放送信号を受信して再生するようにしてもよい。また、テレビジョン放送に代えて、または、テレビジョン放送に加えて、ラジオ放送の放送電波を受信して再生するようにしてもよい。
【0037】
AVデコーダ29は、ビデオデコーダおよびオーディオデコーダを備えており、チューナ23から入力された符号データを復号して映像信号および音声信号を生成し、映像信号をD/A(デジタル/アナログ)変換して表示制御部30に出力し、音声信号をD/A変換して第2スピーカ12に与える。
【0038】
表示制御部30は、CPU21により制御され、CPU21から入力される指示に従ってLCD16を制御して、LCD16に画像を表示させる。
【0039】
操作部25は、操作キー15を含む。操作キー15は、ユーザによる操作の入力を受け付け、受け付けた操作をCPU21に出力する。操作部25は、透明な部材からなり、LCD16に重畳して設けられたタッチパネル18を含む。タッチパネル18は、CPU21により制御されて、ユーザが指等によりタッチパネル18に触れると、指等が触れた位置を検出する。タッチパネル18は、検出した位置をCPU21に出力する。
【0040】
カードI/F27には、着脱可能なメモリカード27Aが装着される。メモリカード27Aは、例えば、CompactFlash、SmartMedia(登録商標)、SD(Secure Digital)メモリカード、メモリースティック、MMC(MultiMedia Card)、xDピクチャーカードなどである。
【0041】
なお、ここではCPU21で実行するためのEEPROM32に記憶しておく例を説明するが、プログラムをメモリカード27Aに記憶しておき、メモリカード27Aからプログラムを読み出して、CPU21で実行するようにしてもよい。プログラムを記憶する記録媒体としては、メモリカード27Aに限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc
−ROM)/MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、光カード、マスクROM、EPROMなどの半導体メモリ等でもよい。また、第1携帯電話機1をインターネットに無線回路22を介して接続し、インターネットに接続されたコンピュータからプログラムをダウンロードして、CPU21で実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU21により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0042】
図5は、携帯電話機が備えるCPUが有する機能の一例を示す機能ブロック図である。図5を参照して、CPU21は、相対位置を検出する位置検出部41と、放送信号を選択する選択部42と、操作を検出する操作検出部43とを含む。
【0043】
位置検出部41は、第1筐体2の第2筐体3に相対する相対位置を検出する。第1筐体2と第2筐体3との相対位置が、第1相対位置と第2相対位置との間にある相対位置を検出する。第1相対位置と第2相対位置との間において、第1筐体2は、第2筐体3に対して枢支部5を中心軸として回転するので、第1筐体と第2筐体3とがなす角度を相対位置として検出する。ここでは、第1筐体が第2筐体3とが第1相対位置にあるときの第1筐体2と第2筐体3とのなす角度を基準「0度」とし、第1筐体2が第2筐体3に対して第1相対位置から回転する角度を相対位置として検出する。ここでは、第1筐体と第2筐体3とが第2相対位置のときの角度は「90度」である。位置検出部41は、検出した角度を、操作検出部43と、選択部42とに出力する。
【0044】
操作検出部43は、ユーザの操作を検出し、所定の操作を検出すると、所定の操作が検出されたことを示す検出信号を選択部42に出力する。所定の操作は、ユーザが操作キー15のうち予め定められた決定キーまたはタッチパネル19を指示する操作と、第1筐体2を第2筐体3に対して回転させている途中で所定時間回転を停止させる操作と、を含む。
【0045】
操作検出部43は、予め定められた決定キーまたはタッチパネル19がユーザにより指示されたことを検出すると、検出信号を選択部42に出力する。また、操作検出部43は、時間を計時する計時部46を含む。計時部46は、位置検出部41から入力される角度が変化するとリセットされ、位置検出部41から入力される角度が変化しない時間を計時する。操作検出部43は、計時部46により計時される時間が所定時間以上になると検出信号を選択部42に出力する。換言すれば、ユーザが第1筐体2を第2筐体3に対して回転させている途中で所定時間回転を停止させる操作をすると、計時部46により計時される時間が所定時間となるので、操作検出部43は所定の操作を検出し、検出信号を選択部42に出力する。なお、後述する対応付テーブル32Aにより放送信号と対応付けられる角度Rには幅があるので、計時部46が対応付テーブル32Aを参照するようにして、位置検出部41から入力される角度が、対応付テーブル32Aにより1つの放送信号と対応付けられた角度の範囲に含まれる時間を計時するようにしてもよい。
【0046】
選択部42は、位置検出部41から入力される角度に基づいて、複数の放送信号のうちから受信する放送信号を選択する。具体的には、選択部42は、EEPROM32に記憶されている対応付テーブル32Aを参照し、位置検出部41から入力される角度に関連付けられている放送信号の識別情報を、複数の識別情報のうちから抽出し、抽出した識別情報で特定される放送信号を受信する指示を、チューナ23に出力する。これにより、チューナ23は、指示された放送信号を受信し、符号データをAVデコーダ29に出力する。さらに、AVデコーダ29は、映像信号を表示制御部30に出力し、音声信号を第2スピーカ12に与えるので、選択部42により選択された放送信号の映像がLCD16に表示され、第2スピーカ12から音声が出力される。
【0047】
図6は、対応付テーブルの一例を示す図である。対応付テーブル32Aは、受信可能な複数の放送信号の識別情報それぞれと角度とを関連付ける複数の対応レコードを含む。ここでは、アンテナ23Aにより6つの放送信号が受信される場合における対応付テーブル32Aを示しており、対応付テーブル32Aは、6つの対応レコードを含む。第1放送信号の識別情報「第1チャンネル」に対して、角度Rが0≦R≦15が対応付けられ、第2放送信号の識別情報「第2チャンネル」に対して、角度Rが15<R≦30が対応付けられ、第3放送信号の識別情報「第3チャンネル」に対して、角度Rが30<R≦45が対応付けられ、第4放送信号の識別情報「第4チャンネル」に対して、角度Rが45<R≦60が対応付けられ、第5放送信号の識別情報「第5チャンネル」に対して、角度Rが60<R≦75が対応付けられ、第6放送信号の識別情報「第6チャンネル」に対して、角度Rが75<R<90が対応付けられる。
【0048】
この対応付テーブル32Aは、予めEEPROM32に記憶されてもよいし、チューナ23が放送信号をスキャンした時点で、生成するようにしてもよいし、ユーザが登録するようにしてもよい。
【0049】
図5に戻って、選択部42は、第1筐体2が第2筐体3に対して第1相対位置(角度0度)から第2相対位置(角度90度)になるまで移動すると、位置検出部41から角度0度〜90度が順に入力されるので、第1〜第6チャンネルの識別情報を順に選択する。このため、ユーザが第1筐体2を第2筐体3に対して第1相対位置(角度0度)から第2相対位置(角度90度)になるまで回転させる操作をするだけで、受信可能なすべての放送信号の映像および音声を視聴することができる。また、第1筐体2が第2筐体3に対して第2相対位置にあるときは、携帯電話機1は、テレビジョン放送の視聴に適した形態なので、ユーザが携帯電話機を視聴に適した形態に形態を変動させる操作をする間に、受信可能なすべての放送信号の映像および音声を視聴することができる。
【0050】
選択部42は、複数の放送信号のうちから少なくとも1つを候補信号として選択する候補選択部44と、選択された候補信号のうちから受信する放送信号を決定する決定部45とを含む。候補選択部44は、位置検出部41から角度が入力され、操作受付部43から検出信号が入力される。候補選択部44は、位置検出部41から入力される角度Rが、0<R<90の場合、操作受付部43から検出信号が入力されるときに位置検出部41から入力される角度と、EEPROM32に記憶された対応付テーブル32Aにより関連付けられている放送信号の識別情報を複数の放送信号の識別情報のうちから抽出し、抽出した放送信号の識別情報を候補識別情報としてRAM31に一時記憶する。候補選択部44は、位置検出部41から入力される角度が、90度になるまでに複数の検出信号が入力されると、複数の候補識別情報をRAM31に一時記憶する。なお、候補選択部44は、候補識別情報を重複して一時記憶しない。
【0051】
さらに、選択部42は、位置検出部41から第2相対位置を示す角度90度が入力されると、最後に一時記憶した候補識別情報を読み出し、読み出された識別情報で特定される放送信号を受信する指示を、チューナ23に出力する。これにより、ユーザが最後に選択した放送信号の映像がLCD16に表示され、第2スピーカ12から音声が出力される。候補識別情報が1つの場合、ユーザはそのまま視聴することができる。
【0052】
また、選択部42は、位置検出部41から第2相対位置を示す角度90度が入力されると、一時記憶された候補識別情報に基づいて候補テーブルを生成し、RAM31に一時記憶する。候補テーブルは、RAM31に一時記憶された候補識別情報ごとに、第1筐体2と第2筐体3との相対位置を関連付ける。
【0053】
図7は、候補テーブルの一例を示す図である。候補テーブル31Aは、一時記憶された候補識別情報ごとに、第1筐体2と第2筐体3との相対位置を関連付ける候補対応レコードを含む。ここでは、候補選択部44によって、放送信号の識別情報「第1チャンネル」、「第3チャンネル」および「第5チャンネル」が抽出された場合に生成される候補テーブルを示している。候補テーブル31Aは、放送信号の識別情報「第1チャンネル」に対して角度Rが0<R≦30を対応付ける候補対応レコードと、「第3チャンネル」に対して角度Rが30<R≦60を対応付ける候補対応レコードと、「第5チャンネル」に対してに対して角度Rが60<R≦90を対応付ける候補対応レコードと、を含む。
【0054】
図5に戻って、決定部45は、位置検出部41から角度が入力され、操作受付部43から検出信号が入力される。まず、決定部45は、候補選択部44により候補テーブル31Aが生成された後、位置検出部41から入力される角度Rが、0<R<90になると、RAM31に記憶されている候補テーブル31Aを参照し、位置検出部41から入力される角度に関連付けられている候補識別情報を抽出し、抽出した候補識別情報で特定される放送信号を受信する指示を、チューナ23に出力する。これにより、チューナ23は、指示された放送信号を受信し、符号データをAVデコーダ29に出力する。さらに、AVデコーダ29は、映像信号を表示制御部30に出力し、音声信号を第2スピーカ12に与えるので、決定部45により選択された放送信号の映像がLCD16に表示され、第2スピーカ12から音声が出力される。
【0055】
次に決定部45は、操作受付部43から検出信号が入力されるときに、位置検出部41から入力される角度とRAM31に一時記憶された候補テーブル31Aにより関連付けられている放送信号の候補識別情報を受信用の放送信号の識別情報として決定する。
【0056】
候補選択部44により候補テーブル31Aが生成されるのは、位置検出部41から第2相対位置を示す角度90度が入力されるときである。候補テーブル31Aが生成された後、位置検出部41から入力される角度Rが、0<R<90になるのは、ユーザが第1筐体2を第2筐体3に対して、第2相対位置から第1相対位置の方向に移動させる操作をする場合である。したがって、第1筐体2を第2筐体3に対して回転させる簡単な操作で、複数の候補として選択された複数の放送信号のうちから1つを受信する放送信号に選択することができる。
【0057】
また、決定部45は、操作受付部43から検出信号が入力される前に、第1筐体2を第2筐体3に対して回転させる方向が変化することを検出すると、回転方向が変化したときに位置検出部41から入力される角度とRAM31に一時記憶された候補テーブル31Aにより関連付けられている放送信号の候補識別情報を受信用の放送信号の識別情報として決定する。したがって、第1筐体2を第2筐体3に対して第2相対位置から第1相対位置の方向に回転させた後、再度第2相対位置に戻す簡単な操作で、複数の候補として選択された複数の放送信号のうちから1つを受信する放送信号に選択することができる。
【0058】
図8および図9は、放送信号切換処理の流れの一例を示すフローチャートである。放送信号切換処理は、テレビジョン放送を受信するためのアプリケーションプログラムが起動されることにより、CPU21により実行される処理である。図8を参照して、CPU21は、EEPROM32に記憶されている対応付テーブル32Aを読み出す。そして、第1筐体2の第2筐体3に対する第1相対位置を検出したか否かを判断する(ステップS02)。第1相対位置が検出されるまで待機し(ステップS02でNO)、第1相対位置が検出されると(ステップS02でYES)、処理をステップS03に進める。
【0059】
ステップS03においては、検出された第1相対位置とEEPROM32に記憶されている対応付テーブル32Aにより関連付けられている識別情報の放送信号をチューナ23に受信させる。
【0060】
次のステップS04においては、第1筐体2が第2筐体3に対して移動したか否かを判断する。換言すれば、ユーザが携帯電話機1をオープンスタイルから視聴スタイルに形態を変化させるために、第1筐体2を第2筐体3に対して回転させる操作をしたか否かを判断する。第1筐体2の第2筐体3に対する移動を検出すると、処理をステップS05に進め、検出しなければ処理をステップS07に進める。
【0061】
ステップS05においては、第1筐体2の第2筐体3に対する相対位置を検出する。そして、検出された相対位置とEEPROM32に記憶されている対応付テーブル32Aにより関連付けられている識別情報の放送信号をチューナ23に受信させる(ステップS06)。第1筐体2の第2筐体3に対する相対位置と対応付テーブル32Aにより関連付けられている識別情報の放送信号の映像がLCD16に表示されるので、ユーザが第1筐体2を第2筐体3に対して第1相対位置(角度0度)から第2相対位置(角度90度)になるまで回転させる操作をするだけで、受信可能なすべての放送信号の映像がLCD16に順に表示される。
【0062】
ステップS07においては、決定キーまたはタッチパネル18が指示されたか否かを判断する。決定キーまたはタッチパネル18が指示されたならば、処理をステップS09に進め、そうでなければ処理をステップS08に進める。ステップS08においては、同一放送信号の受信が所定時間経過したか否かを判断する。具体的には、第1筐体2と第2筐体3との相対位置が、同一の放送信号の識別情報に対応付テーブル32Aにより関連付けられた相対位置となる時間が所定時間を越えたか否かを判断する。所定時間を経過したならば処理をステップS09に進め、そうでなければ処理をステップS10に進める。
【0063】
ステップS09においては、受信中の放送信号を候補に選択する。具体的には、ステップS03またはステップS6においてチューナ23に受信させた放送信号の識別情報を候補識別情報としてRAM31に一時記憶する。このため、ユーザは、第1筐体2を第2筐体3に対して相対的に回転させながら、決定キーまたはタッチパネル18を指示する操作、または、回転を所定時間停止させる操作をすることによって、所望の放送信号を候補として選択することができる。
【0064】
ステップS10においては、第1筐体2の第2筐体3に対する第2相対位置を検出したか否かを判断する。第2相対位置が検出された場合は、処理をステップS11に進め、そうでなければ処理をステップS04に戻す。換言すれば、携帯電話機1の形態が視聴スタイルになると、処理をステップS11に進める。
【0065】
ステップS11においては、ステップS09において候補に選択された放送信号が複数か否かを判断する。具体的には、ステップS09においてRAM31に一時記憶された候補識別情報の数で判断する。RAM31に記憶されている候補識別情報が複数ならば、処理をステップS12に進め、そうでなければ処理をステップS21に進める。
【0066】
ステップS12においては、候補の放送信号と相対位置とを関連付ける。具体的には、ステップS09においてRAM31に一時記憶された候補識別情報が複数なので、第1筐体2と第2筐体3との相対位置として取り得る範囲0度〜90度を、複数の候補識別情報で等分し、それぞれを複数の候補識別情報に割り当てる。そして、候補テーブルを生成し、RAM31に一時記憶する。第1、第3および第5チャンネルが候補識別情報として選択された場合、図7に示した候補テーブル31AがRAM31に記憶される。
【0067】
ステップS13においては、第1筐体2と第2筐体3との相対位置が変化したか否かを判断する。第1筐体2と第2筐体3との相対位置が変化したならば処理をステップS14に進め、相対位置が変化しなければ処理をステップS16に進める。処理がステップS13に進む場合、第1筐体2と第2筐体3とは第2相対位置にある。ユーザが第1筐体2を第2筐体3に対して第1相対位置の方に向かって回転させる操作をすると、相対位置が変化する。
【0068】
ステップS14においては第1筐体2と第2筐体3との相対位置を検出する。そして、検出された相対位置とRAM31に記憶されている候補テーブル31Aにより関連付けられている候補識別情報の放送信号をチューナ23に受信させる(ステップS15)。第1筐体2の第2筐体3に対する相対位置と候補テーブル31Aにより関連付けられている候補識別情報の放送信号の映像がLCD16に表示されるので、ユーザが第1筐体2を第2筐体3に対して第2相対位置(角度90度)から第1相対位置(角度0度)になるまで回転させる操作をするだけで、ユーザが候補に選択したすべての放送信号の映像がLCD16に順に表示される。
【0069】
ステップS16においては、第1筐体2が第2筐体3に対して移動する方向が反転したか否かを判断する。具体的には、ステップS14で検出される相対位置、ここでは角度が90度から減少していたものが、増加したか否かを判断する。ステップS14で検出された相対位置が、先にステップS14が実行されたときに検出された相対位置よりも大きければ、回転方向が反転したと判断する。移動方向が反転したならば、処理をステップS19に進め、そうでなければ処理をステップS17に進める。
【0070】
ステップS17においては、決定キーまたはタッチパネル18が指示されたか否かを判断する。決定キーまたはタッチパネル18が指示されたならば、処理をステップS19に進め、そうでなければ処理をステップS18に進める。ステップS18においては、同一放送信号の受信が所定時間経過したか否かを判断する。具体的には、第1筐体2と第2筐体3との相対位置が、同一の放送信号の識別情報に候補テーブル31Aにより関連付けられた相対位置となる時間が所定時間を越えたか否かを判断する。所定時間を経過したならば処理をステップS19に進め、そうでなければ処理をステップS13に戻す。
【0071】
ステップS19においては、受信中の放送信号を視聴のために受信するための放送信号に決定し、処理をステップS20に進める。
【0072】
一方、ステップS21においては、候補の放送信号を受信する放送信号に決定する。ステップS09において記憶された候補識別情報が1つなので、その候補識別情報の放送信号を受信のための放送信号に決定する。
【0073】
ステップS20においては、ステップS19またはステップS21において、受信のための放送信号として決定された放送信号をチューナ23に受信させ、処理を終了する。これにより、ユーザが所望の放送信号の映像がLCD16に表示される。このため、ユーザは、第1筐体2を第2筐体3に対して回転させた後、回転させる方向を逆にする操作、決定キーまたはタッチパネル18を指示する操作、または、回転を所定時間停止させる操作をすることによって、視聴するための放送信号を選択することができる。
【0074】
<変形例>
次に携帯電話機1の変形例について説明する。変形例における携帯電話機1Aは、上述した携帯電話機1の第2筐体3に備えられていた操作キー15に代えて、別のLCD17およびタッチパネル17Aを設けたものである。タッチパネル17Aは、透明な部材からなり、別のLCD17に重畳して設けられる。その他の構成は上述した携帯電話機1と同じなので、ここでは主に異なる点を説明する。
【0075】
図10は、変形例における携帯電話機の斜視図である。図10は、オープンスタイルにおける携帯電話機1Aを示している。図10を参照して、携帯電話機1Aが備える第2筐体3の内側面には、別のLCD17とタッチパネル17Aが配置される。別のLCD17に操作キー等を表示し、タッチパネル17Aでその操作キーの位置が押下されたことを検出するので、種々の操作を入力することができる。
【0076】
なお、ここでは携帯電話機1Aが別のLCD17を備える例を示すが、別のLCD17に代えて、有機ELディスプレイを用いてもよい。
【0077】
変形例における携帯電話機1Aにおいて、オープンスタイルから中間スタイルに形態を変化させる途中においては、第2筐体3に対して第1筐体2が回転するので、第1筐体2に設けられたLCD16の表示面を見る角度が変化する。LCD16に表示された放送信号の映像を見る角度が変化するので、映像を見づらくなってしまう。変形例における携帯電話機1Aは、オープンスタイルから中間スタイルに形態を変化させる途中においては、別のLCD17に放送信号の映像を表示するようにしたものである。オープンスタイルから中間スタイルに形態を変化させる途中において、第1筐体2を見る角度が変わるように第2筐体3に相対して回転させる操作すれば、第2筐体3の角度は変化しない。このため、第2筐体3に設けられた別のLCD17に放送信号の映像を表示すれば、ユーザが映像を見る角度が変化しないようにすることができる。したがって、放送信号を選択する操作をする際に、表示される映像を見やすく表示することができる。
【0078】
図11および図12は、変形例における放送信号切換処理の流れの一例を示すフローチャートである。図11および図12を参照して、図8および図9に示した放送信号切換処理と異なる点は、ステップS02A、ステップS04A、ステップS10A、ステップS13A、ステップS20AおよびステップS20Bが追加された点である。その他の処理は図8に示した処理と同じなのでここでは説明を繰り返さない。
【0079】
ステップS02において、第1筐体2の第2筐体3に対する第1相対位置が検出されると、ステップS02において、放送信号の映像の表示を第1筐体2側に切り換える。次のステップS03において、検出された第1相対位置とEEPROM32に記憶されている対応付テーブル32Aにより関連付けられている識別情報の放送信号がチューナ23により受信されると、チューナ23により受信される放送信号の映像は、第1筐体2が備えるLCD16に表示される。
【0080】
ステップS04において、第1筐体2が第2筐体3に対して移動したことが検出されると、ステップS04Aにおいて放送信号の映像の表示を第2筐体3側に切り換える。これにより、それまで第1筐体2のLCD16に表示されていた映像が、第2筐体3が備える別のLCD17に表示される。第1筐体2を第2筐体3に対して相対的に移動させると、第1筐体2に設けられたLCD16の表示面を見る角度が変化するが、第2筐体3の角度は変化しないので、第2筐体3に設けられた別のLCD17に表示される放送信号の映像は見る角度が変化しない。このため、チャンネルを選択する操作をする際に、表示される映像を見やすくなる。第1筐体2と第2筐体3との相対位置が第2相対位置になるまで(ステップS10でYES)、放送信号の映像が第2筐体3が備える別のLCD17に表示される。
【0081】
ステップS10において。第1筐体2の第2筐体3に対する第2相対位置が検出されると、ステップS10Aにおいて、放送信号の映像の表示を第1筐体2側に切り換える。このため、最後に候補に選択された放送信号の映像が、第1筐体2が備えるLCD16に表示される。第1筐体2が備えるLCD16は、第2相対位置において、第2筐体3が備える別のLCD17に表示される映像よりも大きな映像を表示することができるので、映像を見やすく表示することができる。
【0082】
ステップS13において、第1筐体2が第2筐体3に対して移動したことが検出されると、ステップS13Aにおいて、放送信号の映像の表示を第2筐体3側に切り換える。これにより、それまで第1筐体2のLCD16に表示されていた映像が、第2筐体3が備える別のLCD17に表示される。第1筐体2を第2筐体3に対して相対的に移動させると、第1筐体2に設けられたLCD16の表示面を見る角度が変化するが、第2筐体3の角度は変化しないので、第2筐体3に設けられた別のLCD17に表示される放送信号の映像を見る角度が変化しない。このため、候補として選択された複数の放送信号のうちから受信のための放送信号を選択する操作をする際に、表示される映像を見やすくなる。
【0083】
ステップS19において、第1筐体2と第2筐体3との相対位置が第2相対位置になるまで(ステップS10でYES)、放送信号の映像が第2筐体3が備える別のLCD17に表示される。
【0084】
ステップS20において、ステップS19またはステップS21において、受信のための放送信号として決定された後、ステップS20Aにおいて、第1筐体2の第2筐体3に対する第2相対位置を検出したか否かを判断する。第2相対位置を検出するまで待機状態となり(ステップS20AでNO)、第2相対位置を検出すると(ステップS20AでYES)、処理をステップS20Bに進める。ステップS20Bにおいては、放送信号の映像の表示を第1筐体2側に切り換える。ステップS20において、ステップS19またはステップS21において受信のための放送信号として決定された放送信号をチューナ23に受信させているので、ユーザが候補として選択された放送信号のうちから選択した所望の放送信号の映像が第1筐体2の備えるLCD16に表示される。携帯電話機1が視聴スタイルのときは、第1筐体2が備えるLCD16は、映像を大きく表示することができるので、映像を見やすく表示することができる。
【0085】
以上説明したように本実施の形態における携帯電話機1は、対応付テーブル32Aによって、第1筐体が第2筐体に相対する相対位置と、複数の放送信号とがそれぞれ対応付けられる。第1筐体の第2筐体に相対する相対位置が検出され、決定キーまたはタッチパネル19を指示する操作と、第1筐体2を第2筐体3に対して回転させている途中で所定時間回転を停止させる操作のいずれかが検出されるときに、検出された相対位置に対応付けられた放送信号が複数の放送信号のうちから選択される。このため、第1筐体を第2筐体に相対的に移動させる簡単な操作によって、複数の放送信号のうちから1つを選択することができる。
【0086】
また、第1筐体が前記第2筐体に相対して移動可能な第1の相対位置と第2の相対位置との間における第1筐体が第2筐体に相対する相対位置が検出されるので、オープンスタイルから放送信号の映像を表示するのに適した視聴スタイルに第1筐体を移動させる操作に放送信号を選択する操作を含ませることができる。このため、放送信号を選択する操作を簡略にすることができる。
【0087】
さらに、第1筐体が第1の相対位置から第2の相対位置に移動する間に、決定キーまたはタッチパネル19を指示する操作と、第1筐体2を第2筐体3に対して回転させている途中で所定時間回転を停止させる操作が複数検出された場合、検出された複数の操作それぞれが検出されたときに検出された複数の相対位置にそれぞれ対応付けられた複数の放送信号が候補信号として選択され、その後、第1筐体2が第2筐体3に対して第2の相対位置から第1の相対位置の方向に移動した後、複数の候補信号のうちから所定のタイミングで検出された相対位置に対応付けられた候補信号が受信のための放送信号に選択される。このため、候補となる放送信号が複数の場合、視聴スタイルからオープンスタイルに戻す操作の間で、候補となる複数の放送信号のうちから受信のための放送信号を選択することができる。したがって、候補として選択された複数の放送信号のうちから1つの放送信号を選択する操作を容易にすることができる。
【0088】
さらに、第1筐体に設けられたLCD16は、第1筐体2が第2筐体3に対して第2の相対位置にある視聴スタイルにおいて最大のサイズで映像を表示するので、ユーザは、映像が最大サイズで表示される視聴スタイルに携帯電話機1の形態を変化させる間に放送信号を選択することができる。
【0089】
さらに、オープンスタイルから視聴スタイルに携帯電話機1の形態が変化する間は、第2筐体3に設けられた別のLCD17に、受信された放送信号の映像が表示されるので、ユーザに対して移動する第1筐体に対して、ユーザに対して移動しない第2筐体に放送信号の映像を表示することができる。このため、放送信号を選択する操作をする際に、表示される映像を見やすく表示することができる。
【0090】
さらに、第1筐体を第2筐体に相対して移動させる操作を所定時間停止させるだけで、放送信号が選択されるので、ユーザは、第1筐体を第2筐体に移動させる操作をする間に、放送信号を選択することができる。また、第1筐体を第2筐体に相対して移動させる操作を所定時間停止している間、同じ放送信号の映像が表示されるので、ユーザは放送信号の映像を見ながら放送信号を選択することができる。
【0091】
なお、上述した実施の形態においては、携帯電話機1について説明したが、図8および図9、または図11および図12に示した処理を実行するための放送信号切換方法、またはその放送信号切換方法をコンピュータに実行させるための放送信号切換プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0093】
<付記>
(1) 前記選択手段は、前記第1筐体が前記第2筐体に相対して移動可能な第1の相対位置と第2の相対位置との間の場合、前記複数の放送信号のうちから前記位置検出手段により検出される相対位置に対応付けられた放送信号を選択し、
前記携帯通信装置は、さらに、前記操作検出手段により前記所定の操作が検出されたときに前記選択されている放送信号を識別するための識別情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記第2の相対位置の場合、前記複数の放送信号のうち前記記憶手段に記憶された前記識別情報で識別される放送信号を選択する、請求項1に記載の携帯通信装置。
(2) 前記第1筐体と第2筐体とを第1の回転軸および前記第1の回転軸と交わる第2の回転軸を中心に回転可能に連けるする連結手段をさらに備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とは、前記第2の回転軸を中心に回転することにより、前記第1の相対位置から前記第2の相対位置に相対位置を変化させる、請求項2に記載の携帯通信装置。
(3) 前記所定のタイミングは、前記第1筐体が前記第2筐体に対して移動する方向が変化したときである、請求項3に記載の携帯通信装置。
(4) 前記所定のタイミングは、前記所定の操作が検出されたときである、請求項3に記載の携帯通信装置。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおける携帯電話機の第1の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の1つにおける携帯電話機の第2の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態の1つにおける携帯電話機の第3の斜視図である。
【図4】第1携帯電話機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】携帯電話機が備えるCPUが有する機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】対応付テーブルの一例を示す図である。
【図7】候補テーブルの一例を示す図である。
【図8】放送信号切換処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。
【図9】放送信号切換処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。
【図10】変形例における携帯電話機の斜視図である。
【図11】変形例における放送信号切換処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。
【図12】変形例における放送信号切換処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 携帯電話機、2 第1筐体、3 第2筐体、5 ヒンジ部、11 第1スピーカ、12 第2スピーカ、13 マイクロフォン、15 操作キー、16 LCD、17 別のLCD、17A,18 タッチパネル、21 CPU、22 無線回路、22A アンテナ、23 チューナ、23A アンテナ、25 操作部、27 カードI/F、27A メモリカード、28 コーデック部、29 AVデコーダ、30 表示制御部、31 RAM、32 EEPROM、41 位置検出部、42 選択部、43 操作検出部、44 候補選択部、45 決定部、46 計時部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
前記第1筐体と相対的に移動可能に連結された第2筐体と、
前記第1筐体が前記第2筐体に相対する相対位置と複数の放送信号とをそれぞれ対応付ける対応付手段と、
前記第1筐体の前記第2筐体に相対する相対位置を検出する位置検出手段と、
所定の操作を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段により前記所定の操作が検出されたときに前記複数の放送信号のうちから前記位置検出手段により検出された相対位置に対応付けられた放送信号を選択する選択手段と、を備えた携帯通信装置。
【請求項2】
前記位置検出手段は、前記第1筐体が前記第2筐体に相対して移動可能な第1の相対位置と第2の相対位置との間における前記第1筐体が前記第2筐体に相対する相対位置を検出する、請求項1に記載の携帯通信装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記第1筐体が前記第1の相対位置から前記第2の相対位置に移動する間に前記操作検出手段により複数の前記所定の操作が検出された場合、前記操作検出手段により前記複数の所定の操作が検出されたときに前記位置検出手段によりそれぞれ検出された複数の相対位置にそれぞれ対応付けられた複数の放送信号を候補信号として選択する候補選択手段と、
前記複数の候補信号が選択された後、前記第1筐体が前記第2の筐体に対して前記第2の相対位置から前記第1の相対位置の方向に移動した後、前記複数の候補信号のうちから前記位置検出手段により所定のタイミングで検出された相対位置に対応付けられた候補信号を選択する放送信号に決定する決定手段とを含む、請求項2に記載の携帯通信装置。
【請求項4】
前記第1筐体に設けられ、前記受信された放送信号の映像を表示する表示手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記第2の相対位置において前記映像を表示する場合に、前記第1の相対位置において前記映像を表示するサイズ以上のサイズで前記映像を表示する、請求項1〜3のいずれかに記載の携帯通信装置。
【請求項5】
前記第2筐体に設けられ、前記受信された放送信号の映像を表示可能な別の表示手段をさらに備え、
前記別の表示手段は、前記第1筐体が前記第1の相対位置から前記第2の相対位置の間に位置するとき、前記受信された放送信号の映像を表示する、請求項1〜4のいずれかに記載の携帯通信装置。
【請求項6】
前記操作検出手段は、前記位置検出手段により検出される相対位置が予め定められた範囲内となる時間を計時する計時手段を含み、前記計時手段により所定時間が計時されると前記所定の操作を検出する、請求項1に記載の携帯通信装置。
【請求項7】
前記操作検出手段は、予め定められたボタンを指示する操作を検出する、請求項1に記載の携帯通信装置。
【請求項8】
携帯通信装置で実行される放送信号切換方法であって、
前記携帯通信装置は、
第1筐体と、
前記第1筐体と相対的に移動可能に連結された第2筐体と、を備え、
前記第1筐体が前記第2筐体に相対する相対位置と複数の放送信号とをそれぞれ対応付けるステップと、
前記第1筐体の前記第2筐体に相対する相対位置を検出するステップと、
前記複数の放送信号のうちから前記検出された相対位置に対応付けられた放送信号を選択するステップと、を含む放送信号切換方法。
【請求項9】
携帯通信装置で実行される放送信号切換プログラムであって、
前記携帯通信装置は、
第1筐体と、
前記第1筐体と相対的に移動可能に連結された第2筐体と、を備え、
前記第1筐体が前記第2筐体に相対する相対位置と複数の放送信号とをそれぞれ対応付けるステップと、
前記第1筐体の前記第2筐体に相対する相対位置を検出するステップと、
前記複数の放送信号のうちから前記検出された相対位置に対応付けられた放送信号を選択するステップと、を前記携帯通信装置を制御するためのコンピュータに実行させる放送信号切換プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−218747(P2009−218747A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58758(P2008−58758)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】