説明

携帯電子機器及び不具合対処方法

【課題】仮に一部に不具合が生じた場合であっても、残された機能をユーザーに提供すること。
【解決手段】第1筐体側電子装置を格納する第1筐体と、第1筐体に対して移動できるように第1筐体に連結されるとともに、第2筐体側電子装置と電池とを格納する第2筐体と、を備える携帯電子機器で、第1筐体側電子装置に生じる不具合に対処するために、携帯電子機器の制御装置は、ステップST101及びステップST102で第1筐体側電子装置に不具合が生じたか否かを判定し、第1筐体側電子装置に不具合が生じたと判定された場合に、ステップST103で電池から第1筐体側電子装置への電力の供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体が複数に分割された携帯電子機器及び不具合対処方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子機器は、不具合が生じないように設計及び製造される。しかしながら、携帯電子機器は、ユーザーに携帯されて使用されるものであるため、据え置き型の電子機器よりも、想定外の振動や衝撃によって不具合が生じるおそれがある。そこで、携帯電子機器を設計及び製造する場合、携帯電子機器に不具合が生じないように設計及び製造することに加えて、仮に携帯電子機器に不具合が生じた場合のことを想定しておく必要がある。例えば、特許文献1には、電池パックが取り外されたり、本体が損傷したりした場合でも警報音を発生しつづける電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−254112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の携帯電話機(携帯電子機器)は、2つの筐体に分割されて構成される、いわゆる折り畳み式の携帯電話機が主流となっている。このような折り畳み式の携帯電話機では、2つの筐体内にそれぞれ設けられる電子装置同士が、2つの筐体を連結するヒンジ部の内部に設けられる配線によって接続される。ここで、ヒンジ部は、2つの筐体を互いに対して回動できるように連結する部品であり、不具合が発生しやすい部品である。ヒンジ部の内部に設けられる配線に不具合が生じると、例えば、ディスプレイに表示される画像が正しく表示されなくなったり、前記画像が表示されなくなったりするおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、仮に携帯電子機器の一部に不具合が生じた場合であっても、残された機能をユーザーに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る携帯電子機器は、第1電子装置を格納する第1筐体と、当該第1筐体に対して移動できるように当該第1筐体に連結されるとともに、第2電子装置と電池とを格納する第2筐体と、前記第1筐体に格納される前記第1電子装置の不具合の有無を判定する不具合判定手段と、前記第1筐体に設けられて、前記不具合が生じたと前記不具合判定手段が判定した場合に、前記電池から前記第1電子装置への電力の供給を停止する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の好ましい態様としては、前記制御手段は、前記不具合が検出されない場合に、前記第1電子装置の動作と前記第2電子装置の動作とを制御し、前記不具合が検出された場合に、前記第2電子装置の動作のみを制御することが望ましい。
【0008】
本発明の好ましい態様としては、前記第1電子装置は、画像を表示する第1表示部を含み、前記第2電子装置は、画像を表示する第2表示部を含み、前記制御手段は、前記不具合が検出された場合に、前記第2表示部に前記第2電子装置が動作中であるという画像を表示させることが望ましい。
【0009】
本発明の好ましい態様としては、前記第2電子装置は、他の機器へ送信情報を送信するとともに、当該他の機器から受信情報を受信する通信処理部を含み、前記制御手段は、前記不具合が検出された場合に、前記通信処理部の動作を維持するとともに、前記送信情報を表す画像と前記受信情報を表す画像との少なくとも一方の一部又は全部を前記第2表示部に表示させることが望ましい。
【0010】
本発明の好ましい態様としては、前記第2電子装置は、前記他の機器から受信した受信音声を出力する音声出力部を含み、前記制御手段は、前記不具合が検出された場合に、前記受信音声を前記音声出力部から出力させることが望ましい。
【0011】
本発明の好ましい態様としては、前記不具合判定手段は、前記第1電子装置に供給される電流の大きさに基づいて不具合の有無を判定することが望ましい。
【0012】
本発明の好ましい態様としては、前記不具合判定手段は、前記電池と前記第1電子装置との間に設けられる抵抗器の温度に基づいて不具合の有無を判定することが望ましい。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る不具合対処方法は、第1電子装置を格納する第1筐体と、当該第1筐体に対して移動できるように当該第1筐体に連結されるとともに、第2電子装置と電池とを格納する第2筐体と、を備える携帯電子機器で、前記第1電子装置に生じる不具合に対処するための不具合対処方法であって、前記第1電子装置に前記不具合が生じたか否かを判定する手順と、前記第1電子装置に前記不具合が生じたと判定された場合に、前記電池から前記第1電子装置への電力の供給を停止する手順と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、仮に一部に不具合が生じた場合であっても、残された機能をユーザーに提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施形態1に係る携帯電子機器の第1筐体が第2筐体に対して開かれた状態を示す正面図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る携帯電子機器の第1筐体が第2筐体に対して閉じられた状態を示す側面図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る携帯電子機器の背面図である。
【図4】図4は、実施形態1に係る携帯電子機器の機能を説明するためのブロック図である。
【図5】図5は、実施形態1に係る不具合対処方法の手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、不具合発生時に電話番号を表す画像が表示された第2ディスプレイを示す概略図である。
【図7】図7は、不具合発生時にメールを受信した際の第2ディスプレイに表示される画像の一例を示す概略図である。
【図8】図8は、実施形態2に係る不具合対処方法の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施形態3に係る不具合対処方法の手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、実施形態4に係る不具合対処方法の手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、不具合発生時に第2ディスプレイに表示される画像であって、ユーザーに第2筐体側電子装置が動作中であることを伝える画像の一例を示す概略図である。
【図12】図12は、実施形態5に係る携帯電子機器の第1筐体が第2筐体に対して開かれた状態を示す正面図である。
【図13】図13は、実施形態5に係る不具合対処方法の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、実施形態5に係る他の不具合対処方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、携帯電子機器の一例として携帯電話機を説明するが、本発明の適用対象は携帯電話機に限定されない。第1筐体と、電源としての電池を格納する第2筐体とが別々に構成される携帯電子機器であれば、例えば、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Data Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン、携帯ゲーム機にも本発明を適用できる。
【0017】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る携帯電子機器の第1筐体が第2筐体に対して開かれた状態を示す正面図である。携帯電子機器1は、図1に示すように、第1筐体10と、第2筐体20と、連結部30とを含んで構成される。携帯電子機器1は、連結部30によって、第2筐体20と第1筐体10とが連結される。第1筐体10は、表示面11を有する。表示面11は、第1表示部としての第1ディスプレイ12と、レシーバー13が配置されて構成される。第1ディスプレイ12は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やEL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。第1ディスプレイ12は、待ち受け画像を表示したり、携帯電子機器1の操作を補助するためのメニュー画像を表示したりする。レシーバー13は、音声を出力する。第2筐体20は、操作面21を有する。操作面21は、複数の操作キー22が配置される。また、第2筐体20は、マイク23を有する。マイク23は、音声を取得する。
【0018】
図2は、実施形態1に係る携帯電子機器の第1筐体が第2筐体に対して閉じられた状態を示す側面図である。図2に示すように、連結部30は、第1筐体10が第2筐体20に対して、例えば回動軸CLを軸に回動できるように、第1筐体10と第2筐体20とを連結する。回動軸CLは、表示面11及び操作面21に平行な軸である。これにより、携帯電子機器1は、表示面11が操作面21と対向する状態と、表示面11と操作面21とが同一方向に向く状態とで使い分けられる。なお、表示面11が操作面21と対向する状態を第1筐体10が第2筐体20に対して閉じられた状態といい、表示面11と操作面21とが同一方向に向く状態を第1筐体10が第2筐体20に対して開かれた状態という。
【0019】
ここで、携帯電子機器1は、第1筐体10と第2筐体20とが互いに移動できるように第1筐体10と第2筐体20とが連結される構造であれば、上記の構造に限定されない。例えば、携帯電子機器1は、第1筐体10と第2筐体20とが重ね合わされた状態から、第1筐体10と第2筐体20とが互いにスライドできるように構成されるものでもよい。また、携帯電子機器1は、第1筐体10と第2筐体20とが重ね合わされた状態で、操作面21及び表示面11と交差する回転軸を中心に、第1筐体10と第2筐体20とが互いに回転できるように構成されるものでもよい。
【0020】
図3は、実施形態1に係る携帯電子機器の背面図である。図3に示す背面25は、図2に示す第2筐体20の操作面21とは反対側の面である。背面25は、音声出力部としてのスピーカー26と、第2表示部としての第2ディスプレイ27とが設けられる。スピーカー26は、図1に示すレシーバー13よりも大きい音量で音声を出力する。第2ディスプレイ27は、例えば、LCDやELディスプレイである。第2ディスプレイ27は、例えば、後述する電池28の残量を表す画像や、現在の時間を表わす画像等を表示する。
【0021】
図1に示すように、携帯電子機器1は、第1電子装置としての第1筐体側電子装置14と、第2電子装置としての第2筐体側電子装置24と、電池28と、制御手段としての制御装置40と、接続ケーブル31とを含んで構成される。第1筐体側電子装置14及び第2筐体側電子装置24は、数々の電子部品が電子回路上に配置されて構成されるものであって、携帯電子機器1の主要部である。第1筐体側電子装置14は、第1筐体10に格納される。第1筐体側電子装置14には、例えば、第1ディスプレイ12と、第1ディスプレイ12を動作させるためのドライバーと、レシーバー13とが含まれる。なお、第1ディスプレイ12及びレシーバー13は、第1筐体10の表示面11に形成された開口部に第1筐体10内から取り付けられることで、一部が表示面11に露出する。
【0022】
第2筐体側電子装置24は、第2筐体20に格納される。第2筐体側電子装置24には、例えば、操作キー22のためのスイッチと、マイク23と、図3に示す、スピーカー26と、第2ディスプレイ27と、第2ディスプレイ27を動作させるためのドライバーとが含まれる。操作キー22及びマイク23は、第2筐体20の操作面21に形成された開口部に第2筐体20内から取り付けられることで、一部が操作面21に露出する。また、図3に示すスピーカー26及び第2ディスプレイ27は、第2筐体20の背面25に形成された開口部に第2筐体20内から取り付けられることで、一部が背面25に露出する。
【0023】
図1に示すように、電池28及び制御装置40は、第2筐体20に格納される。電池28は、携帯電子機器1の電源装置である。制御装置40は、第1筐体側電子装置14及び第2筐体側電子装置24の各部から情報を取得したり、第1筐体側電子装置14及び第2筐体側電子装置24の各部を動作させたりする。具体的には、制御装置40は、電力を必要とする部品への電力の供給の開始や、前記部品への電力の供給の停止等を制御する。
【0024】
接続ケーブル31は、筒状に形成される連結部30の内部を介して第1筐体10内及び第2筐体20内に渡って設けられる。接続ケーブル31は、第1筐体側電子装置14と、制御装置40とを電気的に接続する。なお、実際は、制御装置40は、第2筐体側電子装置24を構成する数々の電子部品とともに、例えば、1つの基板に実装される。したがって、接続ケーブル31は、第1筐体側電子装置14が実装される第1基板と、第2筐体側電子装置24及び制御装置40が実装される第2基板とを電気的に接続することになる。
【0025】
ここで、連結部30は、第1筐体10側の部材と、第2筐体20側の部材との2つが組み合わされて構成されており、携帯電子機器1の筐体全体の中では比較的強度が低い部分である。したがって、携帯電子機器1の筐体全体の中では、連結部30は比較的不具合を生じやすい。さらに、近年は携帯電子機器1の小型化が進められており、それにともなって接続ケーブル31にはFPC(Flexible Printed Circuits)ケーブルが使用される傾向がある。FPCケーブルは、配線材よりも強度が低いため、FPCケーブルが接続ケーブル31に用いられる携帯電子機器1では、接続ケーブル31に不具合が生じた場合を想定しておく要求が高い。
【0026】
そこで、携帯電子機器1は、図1に示すように、第2筐体20内に抵抗器29と、電流計測器29aとを備える。抵抗器29は、電池28と第1筐体側電子装置14との間に配置される。電流計測器29aは、抵抗器29を通過し、接続ケーブル31を介して第1筐体側電子装置14に供給される電流の大きさを計測する。電流計測器29aは、例えば第2基板に実装されて制御装置40と電気的に接続される。
【0027】
図4は、実施形態1に係る携帯電子機器の機能を説明するためのブロック図である。以下に制御装置40の構成を説明する。制御装置40は、主処理部41と、記憶部42と、画像処理部43と、音声処理部44と、通信処理部45と、不具合判定手段としての不具合有無判定部46と、第2ディスプレイ制御部47と、第1筐体側電子装置制御部48とを有する。
【0028】
主処理部41は、記憶部42と、画像処理部43と、音声処理部44と、通信処理部45と、不具合有無判定部46と、第2ディスプレイ制御部47と、第1筐体側電子装置制御部48と、操作キー22とが接続される。主処理部41は、携帯電子機器1の全体的な動作を統括的に制御する。すなわち、主処理部41は、ユーザーによる操作キー22の操作に応じて、あるいは、記憶部42に保存されるソフトウェアに応じて携帯電子機器1の各種の処理が適切な手順で実行されるように、画像処理部43や音声処理部44や通信処理部45や不具合有無判定部46や第2ディスプレイ制御部47や第1筐体側電子装置制御部48等の動作を制御する。
【0029】
携帯電子機器1の各種の処理には、例えば、回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成及び送受信等が含まれる。また、通信処理部45や音声処理部44等の動作には、例えば、通信処理部45での信号の送受信、音声処理部44での音声の制御や入出力が等含まれる。また、携帯電子機器1がカメラモジュールを備える場合は、前記カメラモジュールに含まれるカメラが撮像した画像の画像処理部43による処理も通信処理部45や音声処理部44等の動作に含まれる。
【0030】
主処理部41は、記憶部42に保存されているプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。主処理部41は、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processor Unit)で構成され、前記ソフトウェアで指示された手順に従って上述した携帯電子機器1の各種の処理を実行する。すなわち、主処理部41は、記憶部42に保存されるオペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラム等から命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0031】
記憶部42は、主処理部41での処理に用いられるソフトウェアやデータを保存する。例えば、記憶部42は、ダウンロードされた画像データや音声データ、あるいは主処理部41が記憶部42に対する制御に用いるソフトウェア、通信相手の電話番号やメールアドレス等を保存し管理するアドレス帳、発信音や着信音等の音声ファイル、ソフトウェアの処理過程で用いられる一時的なデータ等を保存する。
【0032】
画像処理部43は、例えばカメラモジュールが接続される。画像処理部43は、カメラモジュールから送られる被写体の画像信号を取得する。そして、画像処理部43は、取得した画像信号に対して各種の処理を施して画像情報を生成し、主処理部41へ出力する。各種の処理には、例えば、AD変換(Analog Digital変換)処理や、さらに符号化等の処理が含まれる。
【0033】
音声処理部44は、マイク(MIC)23、レシーバー(RCV)13、スピーカー26が接続される。音声処理部44は、レシーバー13から出力される音声やマイク23に入力される音声の信号処理を実行する。通信処理部45は、アンテナATが接続される。アンテナATは、第2筐体20に設けられる。アンテナATは、例えば、第2筐体20内に格納されて設けられる。なお、アンテナATは、第2筐体20に形成される孔から突出して設けられて伸縮する構成でもよい。
【0034】
通信処理部45は、基地局のいずれかによって割り当てられるチャンネルを介して、前記基地局との間で無線通信を行う。この無線通信で、通信処理部45は、前記基地局を介して取得した通信対象の携帯電子機器の音声データを主処理部41へ出力する。また、前記無線通信で、通信処理部45は、携帯電子機器1のマイク23が取得し、音声処理部44によって信号処理された音声データを、前記基地局を介して通信対象の携帯電子機器へ出力する。
【0035】
不具合有無判定部46と、第2ディスプレイ制御部47と、第1筐体側電子装置制御部48とは、それぞれ専用のICで構成されてもよいし、主処理部41を構成するマイクロプロセッサユニットに含まれて構成されてもよい。不具合有無判定部46は、図1に示す電流計測器29aが接続される。これにより、不具合有無判定部46は、第1筐体側電子装置14に供給されている電流の大きさを電流計測器29aから取得する。
【0036】
第2ディスプレイ制御部47は、第2ディスプレイ27が接続される。第2ディスプレイ制御部47は、第2ディスプレイ27の動作を制御する。具体的には、第2ディスプレイ制御部47は、第2ディスプレイ27への電力の供給の開始と、電力の供給の停止を制御する。また、第2ディスプレイ制御部47は、第2ディスプレイ27へ信号を送信して、第2ディスプレイ27に画像を表示させる。
【0037】
第1筐体側電子装置制御部48は、例えば、接続ケーブル31を介して第1筐体側電子装置14と接続される。本実施形態では、第1筐体側電子装置制御部48は、主に、第1ディスプレイ12の動作を制御する。具体的には、第1筐体側電子装置制御部48は、第1ディスプレイ12への電力の供給の開始と、電力の供給の停止を制御する。また、第1筐体側電子装置制御部48は、第1ディスプレイ12へ信号を送信して、第1ディスプレイ12に画像を表示させる。
【0038】
第1筐体側電子装置制御部48は、第1ディスプレイ12の他にも、第1筐体側電子装置14に含まれる各部を制御する。例えば、第1筐体側電子装置14に着信用や、充電中を知らせるためのLED(Light Emitting Diode)15が含まれる場合、第1筐体側電子装置制御部48は、LED15の動作を制御する。具体的には、第1筐体側電子装置制御部48はLED15への電力の供給の開始と、電力の供給の停止を制御する。また、第1筐体側電子装置制御部48は、LED15のドライバーへ信号を送信して、LED15の発光色を変化させる。次に、第1筐体側電子装置14に発生する不具合に対処するために制御装置40が実行する不具合対処方法の手順を説明する。
【0039】
図5は、実施形態1に係る不具合対処方法の手順を示すフローチャートである。図5に示すように、制御装置40の不具合有無判定部46は、ステップST101で第1筐体側電子装置14に供給されている電流の大きさである電流値Iを電流計測器29aから取得する。次に、ステップST102に進み、不具合有無判定部46は、電流値Iが所定値α1以上所定値α2以下であるか否かを判定する。ここで、第1筐体側電子装置14に不具合が生じていなければ、電流値Iは基本的には変化しない。ただし、第1筐体側電子装置14に不具合が生じていなくても、電池の残量の変化や、経年変化によって電流値Iがわずかに変化することがある。
【0040】
一方、例えば、接続ケーブル31が断線して第1筐体側電子装置14に不具合が生じた場合、電流値Iは0となる。また、例えば、接続ケーブル31の電力ラインが他の信号ラインやグランドラインとショートした場合、電力ラインの抵抗値が変化するため電流値Iも変化する。所定値α1及び所定値α2は、第1筐体側電子装置14に不具合が生じているか否かを判定するために用いる閾値である。所定値α1及び所定値α2は、例えば、接続ケーブル31を断線させたり、接続ケーブル31の電源ラインを他のラインにショートさせたりする実験やシミュレーションによって求められる。
【0041】
電流値Iが所定値α1以上所定値α2以下である場合(ステップST102、Yes)、不具合有無判定部46は、第1筐体側電子装置14に不具合が生じていないと判定し、ステップST101とステップST102とを繰り返す。電流値Iが所定値α1よりも大きく所定値α2よりも小さい場合(ステップST102、No)、第1筐体側電子装置制御部48は、ステップST103で第1筐体側電子装置14への電力の供給を停止する。具体的には、第1筐体側電子装置制御部48は、第1ディスプレイ12やLED15への電力の供給を停止する。
【0042】
これにより、携帯電子機器1は、不具合が生じている第1筐体側電子装置14に電力が供給されない。これによって、仮に接続ケーブル31の電力ラインが他のラインにショートしていたとしても、第1筐体側電子装置14に過剰な電流が流れたり、第1筐体側電子装置14や連結部30が過剰に発熱したりしない。その結果、携帯電子機器1は、すでに生じている不具合に起因する新たな不具合の発生を抑制できる。
【0043】
ここで、主処理部41は、接続ケーブル31を介した第1筐体側電子装置14への電力の供給を停止させる。このとき、主処理部41は、第2筐体側電子装置24へは電力を供給するとともに、第2筐体側電子装置24の動作も制御する。これにより、携帯電子機器1は、第1筐体側電子装置14に不具合が生じても通話の発着信の機能及びメールの送受信の機能を実行できる。次に、第1筐体側電子装置14に不具合が生じた場合における通話の手順及びメールを送受信する手順を説明する。
【0044】
ここで、以下に説明する第1筐体側電子装置14に不具合が生じた場合における通話の手順及びメールを送受信する手順は、ステップST111からステップST116までの手順から成るルーチンと、ステップST121からステップST123までの手順から成るルーチンと、ステップST131からステップST138までの手順から成るルーチンとの3つのルーチンを含んで構成される。これらの3つのルーチンは、一般的には順番に実行される。ただし、複数のマイクロプロセッサを含んで構成される携帯電話機の場合、制御装置40は、これらのルーチンを同時に実行することもできる。本実施形態では、一例として、制御装置40がこれらの3つのルーチンを同時に実行するものとして説明する。
【0045】
主処理部41は、ステップST111で、通話の着信があるか否かを判定する。通話の着信がない場合(ステップST111、No)、主処理部41は、ステップST141で操作キー22の電源ボタンが押されたか否かを判定する。電源ボタンが押された場合(ステップST141、Yes)、ステップST142で主処理部41は、第1筐体側電子装置14及び第2筐体側電子装置24及び制御装置40への電力の供給を停止し、本実施形態に係る不具合対処方法を終了する。電源ボタンが押されていない場合(ステップST141、No)、制御装置40は、ステップST103の直後に戻る。
【0046】
図6は、不具合発生時に電話番号を表す画像が表示された第2ディスプレイを示す概略図である。通話の着信がある場合(ステップST111、Yes)、ステップST112に進む。ステップST112において、第2ディスプレイ制御部47は、図6に示すように、発信元の情報である受信情報の画像を第2ディスプレイ27に表示させる。受信情報は、例えば発信元の電話番号である。次に、ステップST113で主処理部41は、操作キー22の通話開始ボタンが押されたか否かを判定する。
【0047】
通話開始ボタンが押されない場合(ステップST113、No)、主処理部41は通話開始ボタンが押されるまで待機する。なお、主処理部41は、例えば、待機中に操作キー22のキャンセルボタンが押された場合や、所定時間が経過した場合には、待機を終了してステップST103の直後に戻る。通話開始ボタンが押された場合(ステップST113、Yes)、ステップST114に進み、通信処理部45は、通話を開始する。次に、ステップST115に進み、主処理部41は、操作キー22の通話終了ボタンが押されたか否かを判定する。通話終了ボタンが押されない場合(ステップST115、No)、通信処理部45は、通話終了ボタンが押されるまで通話状態を維持する。通話終了ボタンが押された場合(ステップST115、Yes)、ステップST116で通信処理部45は、通話を終了する。制御装置40は、ステップST116で通話が終了すると、主処理部41は、ステップST141を実行する。
【0048】
これにより、携帯電子機器1は、第1筐体側電子装置14に不具合が生じた場合でも、通話の着信及び通話の機能を実現できる。これにより、ユーザーは、携帯電子機器1の修理を依頼するまでの間、携帯電子機器1に着信があった場合に発信元と通話できる。ここで、主処理部41は、ステップST111と同時にステップST121で、メールの受信があるか否かを判定する。メールの受信がない場合(ステップST121、No)、主処理部41は、ステップST141の手順を実行する。
【0049】
図7は、不具合発生時にメールを受信した際の第2ディスプレイに表示される画像の一例を示す概略図である。メールの受信がある場合(ステップST121、Yes)、ステップST122に進む。ステップST122で第2ディスプレイ制御部47は、図7に示すように、メールを受信した旨の受信通知及び受信情報であるメールの内容の画像を、第2ディスプレイ27に表示させる。メールの内容には、例えば、メールの送信元のメールアドレスや、メールの件名、メール本文が含まれる。
【0050】
例えば、第2ディスプレイ27内にメールの本文をすべて表示できない場合、第2ディスプレイ制御部47は、例えば、メールの文章を自動でスクロールさせて第2ディスプレイ27に順次メールの内容を表示させる。又は、第2ディスプレイ制御部47は、文章の一部のみに対応した画像を第2ディスプレイ27に表示させる。次に、ステップST123に進み、主処理部41は、操作キー22のメール内容確認終了ボタンが押されたか否かを判定する。メール内容確認終了ボタンが押されない場合(ステップST123、No)、主処理部41は、メール内容確認終了ボタンが押されるまで待機する。この時、主処理部41は、例えば、所定時間が経過した場合には、待機を終了してステップST103の直後に戻る。メール内容確認終了ボタンが押された場合(ステップST123、Yes)、主処理部41は、例えば第2ディスプレイ27への電力の供給を停止してステップST141以降の手順を実行する。
【0051】
これにより、携帯電子機器1は、第1筐体側電子装置14に不具合が生じた場合でも、メールの受信及びメール内容の確認の機能を実現できる。その結果、ユーザーは、携帯電子機器1の修理を依頼するまでの間、携帯電子機器1にメールの受信があった場合に、第2ディスプレイ27を見てメールの内容を確認できる。ここで、主処理部41は、ステップST111及びステップST121と同時にステップST131で、ユーザーによる操作キー22の操作があるか否かを判定する。ユーザーによる操作キー22の操作がない場合(ステップST131、No)、主処理部41は、ステップST141以降の手順を実行する。ステップST131でユーザーによる操作キー22の操作がある場合(ステップST131、Yes)、ステップST132で第2ディスプレイ制御部47は、ユーザーによる操作キー22の操作に対応する画像を第2ディスプレイ27に表示させる。
【0052】
例えば、主処理部41は、ユーザーが操作キー22によって電話番号を入力した場合は、入力された送信情報としての電話番号の画像を、図6に示すように第2ディスプレイ27に表示させる。また、主処理部41は、ユーザーが操作キー22によってメールアドレスやメール文章を入力した場合は、入力されたメールアドレスやメール文章の画像を、図7に示すように送信情報として第2ディスプレイ27に表示させる。
【0053】
次に、ステップST133で、主処理部41は、操作キー22のメール送信ボタンが押されたか否かを判定する。メール送信ボタンが押されない場合(ステップST133、No)、主処理部41は、メール送信ボタンが押されるまで待機する。この時、主処理部41は、例えば、待機中に操作キー22のキャンセルボタンが押された場合や、所定時間が経過した場合には、待機を終了してステップST103の直後に戻る。メール送信ボタンが押された場合(ステップST133、Yes)、ステップST134で通信処理部45は、メールを送信する。次に主処理部41は、例えば第2ディスプレイ27への電力の供給を停止してステップST141以降の手順を実行する。
【0054】
これにより、携帯電子機器1は、第1筐体側電子装置14に不具合が生じた場合でも、メールの作成及びメールの送信の機能を実現できる。その結果、ユーザーは、携帯電子機器1の修理を依頼するまでの間、第2ディスプレイ27を見てメールを作成できるとともに、メールを送信できる。また、ステップST133と同時に、主処理部41は、ステップST135からステップST138までの手順を実行する。ここで、ステップST135からステップST138までの手順の内容は、ステップST113からステップST116までの手順の内容と同じである。これによって、携帯電子機器1は、第1筐体側電子装置14に不具合が生じた場合でも、通話の発信及び通話の機能を実現できる。その結果、ユーザーは、携帯電子機器1の修理を依頼するまでの間、携帯電子機器1を用いて通話を発信できるとともに、発信元と通話できる。
【0055】
制御装置40は、以上の手順を、操作キー22の電源ボタンが押されるまで繰り返し実行する。つまり、制御装置40は、電源ボタンが押されていない場合(ステップST141、No)、ステップST111以降の手順と、ステップST121以降の手順と、ステップST131以降の手順とを実行する。
【0056】
ここで、本実施形態では、制御装置40は、ステップST111以降の手順と、ステップST121以降の手順と、ステップST131以降の手順とを同時に実行すると説明したが、制御装置40は、ステップST111以降の手順と、ステップST121以降の手順と、ステップST131以降の手順とを同時に実行しなくてもよい。制御装置40は、ステップST111からステップST116までの一連の手順と、ステップST121からステップST123までの一連の手順と、ステップST131からステップST134までの一連の手順とを、順に実行してもよい。
【0057】
本実施形態では、制御装置40が上記手順を実行することにより、携帯電子機器1は、すでに生じた不具合に起因する新たな不具合の発生を抑制できる。また、携帯電子機器1は、第1筐体側電子装置14に不具合が生じた場合でも、通話の発信及び通話の着信、通信相手との通話、メールの受信、受信したメール内容の確認、メールの作成、メールの送信の機能を実現できる。
【0058】
(実施形態2)
図8は、実施形態2に係る不具合対処方法の手順を示すフローチャートである。図8に示す不具合対処方法は、図5に示す実施形態1に係るステップST103の直後に新たにステップST104が追加されている点に特徴がある。ステップST104で、第1筐体側電子装置制御部48は、第1筐体側電子装置14への電力の供給のみではなく、第1筐体側電子装置14の動作の制御を停止する。すなわち、主処理部41は、第1筐体側電子装置14を制御するための信号の生成、及び前記信号の第1筐体側電子装置14への送信を停止する。
【0059】
具体的には、主処理部41は、第1ディスプレイ12を制御するための信号の生成、及び前記信号の第1ディスプレイ12への送信を停止する。また、主処理部41は、LED15を制御するための信号の生成、及び前記信号のLEDドライバーへの送信を停止する。ここで、レシーバー13は、電力を必要としない装置であり、音声信号が入力されれば音声を出力できる。したがって、主処理部41は、音声処理部44によるレシーバー13に送信する音声信号の作成、及び前記音声信号のレシーバー13への送信は、例外として停止しない。
【0060】
これにより、レシーバー13と制御装置40とを接続するケーブルが断線していなければ、携帯電子機器1は、レシーバー13から音声を出力できる。よって、ユーザーは、携帯電子機器1を用いて、第1筐体側電子装置14に不具合が生じていない場合と同様に、通信相手と通話できる。これによって、制御装置40は、第1筐体側電子装置14を制御するための信号を生成しない分、また、前記信号を第1筐体側電子装置14へ送信しない分、携帯電子機器1の各部を統括して制御するために実行する手順を低減できる。これにより、制御装置40は、マイクロプロセッサユニットの負荷を低減できる。
【0061】
(実施形態3)
図9は、実施形態3に係る不具合対処方法の手順を示すフローチャートである。図9に示す不具合対処方法は、図8に示す実施形態2に係るステップST104の直後に新たにステップST105が追加されている点に特徴がある。ステップST105で、第1筐体側電子装置制御部48は、レシーバー13の制御を停止する。すなわち、第1筐体側電子装置制御部48は、レシーバー13への音声信号の送信を停止する。
【0062】
また、主処理部41は、音声の出力先をレシーバー13からスピーカー26に切り替える。すなわち、主処理部41は、音声処理部44が生成した音声信号を、レシーバー13には送信せずに、スピーカー26に送信する。これにより、携帯電子機器1は、通話時の音声をレシーバー13からではなく、第2筐体20に設けられるスピーカー26から出力する。その結果、仮にレシーバー13と制御装置40とを接続するケーブルが断線していたとしても、携帯電子機器1は、スピーカー26から音声を出力できる。これにより、ユーザーは、スピーカー26から出力される音声を聞いて、通信相手と通話できる。
【0063】
(実施形態4)
図10は、実施形態4に係る不具合対処方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態に係る不具合対処方法は、図9に示す実施形態3に係るステップST105の直後に新たにステップST106が追加されている点に特徴がある。ステップST106で、主処理部41は、ユーザーへ第1筐体側電子装置14に不具合が生じたことと、第2筐体側電子装置24側の機能で通話の発着信及びメールの送受信ができることとを通知する。
【0064】
図11は、不具合発生時に第2ディスプレイに表示される画像であって、ユーザーに第2筐体側電子装置が動作中であることを伝える画像の一例を示す概略図である。例えば、第2ディスプレイ制御部47は、図11に示すように、第2ディスプレイ27にユーザーへ第1筐体側電子装置14に不具合が生じたことと、第2筐体側電子装置24は動作中であって通話の発着信及びメールの送受信ができることを通知する画像を表示させる。
【0065】
第2ディスプレイ27内に通知内容をすべて表示できない場合、第2ディスプレイ制御部47は、例えば、文章を自動でスクロールさせて第2ディスプレイ27に画像を表示させる。又は、第2ディスプレイ制御部47は、例えば、前記文章に代わる記号を第2ディスプレイ27に表示させる。
【0066】
このとき、音声処理部44は、第1筐体側電子装置14に不具合が生じたことと、第2筐体側電子装置24は動作中であって通話の発着信及びメールの送受信ができることを通知する音声を、スピーカー26から出力してもよい。なお、前記音声は、記憶部42にあらかじめ記憶されている。また、携帯電子機器1がバイブレーターを備える場合、主処理部41は、前記バイブレーターを振動させてユーザーの注意を喚起してもよい。
【0067】
これにより、携帯電子機器1は、第1筐体側電子装置14に不具合が生じたことと、第2筐体側電子装置24は動作中であって通話の発着信及びメールの送受信ができることをユーザーに通知できる。特に、第2筐体側電子装置24は動作中であって通話の発着信及びメールの送受信ができることを通知できる効果は大きい。一般的に、ユーザーは、第1ディスプレイ12に表示されている画像が正常でなくなったり、第1ディスプレイ12に画像が表示されなくなったりすると、すべての機能が停止したと考えて携帯電子機器1の使用を中止する傾向がある。
【0068】
しかしながら、本実施形態では、携帯電子機器1は、第2筐体側電子装置24は動作中であって通話の発着信及びメールの送受信ができることをユーザーに通知できる。これによって、ユーザーは、第1筐体側電子装置14に不具合が生じたとしても、携帯電子機器1の修理を依頼するまでの間、携帯電子機器1を用いて、通話及びメールを送受信できる。
【0069】
(実施形態5)
図12は、実施形態5に係る携帯電子機器の第1筐体が第2筐体に対して開かれた状態を示す正面図である。図13は、実施形態5に係る不具合対処方法の手順を示すフローチャートである。図13に示す不具合対処方法は、図10に示す実施形態4に係るステップST101に代えてステップST101Aを有し、図10に示す実施形態4に係るステップST102に代えてステップST102Aを有する点に特徴がある。
【0070】
図12に示すように、携帯電子機器2は、抵抗器29に抵抗器29の温度を計測する温度センサー29bが設けられる。温度センサー29bは、制御装置40の不具合有無判定部46に接続される。不具合有無判定部46は、図13に示すステップST101Aで、抵抗器29の抵抗器温度Tを温度センサー29bから取得する。次に、ステップST102Aで不具合有無判定部46は、抵抗器の温度(以下、抵抗器温度という)Tが所定値β1以上所定値β2以下であるか否かを判定する。ここで、第1筐体側電子装置14に不具合が生じていなければ、抵抗器温度Tは基本的には変化しない。ただし、第1筐体側電子装置14に不具合が生じていなくても、抵抗器29を電流が通過した時間や、携帯電子機器2の周囲の気温等によって抵抗器温度Tがわずかに変化することがある。
【0071】
一方、例えば、接続ケーブル31が断線して第1筐体側電子装置14に不具合が生じた場合、抵抗器温度Tは低下して携帯電子機器2の周囲の気温と略同一となる。また、例えば、接続ケーブル31の電力ラインが他の信号ラインやグランドラインとショートした場合、電力ラインの抵抗値が変化するため抵抗器温度Tも急激に変化する。所定値β1及び所定値β2は、第1筐体側電子装置14に不具合が生じているか否かを判定するための閾値である。本実施形態においては、抵抗器温度Tが所定値β1以上所定値β2以下である場合に、第1筐体側電子装置14に不具合が生じていないと判定する。所定値β1及び所定値β2は、例えば、接続ケーブル31を断線させたり、接続ケーブル31の電源ラインを他のラインにショートさせたりする試験によって求められる。
【0072】
なお、ステップST102Aで不具合有無判定部46は、単位時間における抵抗器温度Tの変化量に基づいて第1筐体側電子装置14に不具合が生じているか否かを判定してもよい。具体的には、不具合有無判定部46は、前記変化量が所定値以上であった場合に、第1筐体側電子装置14に不具合が生じていると判定する。上記の手順を実行しても、不具合有無判定部46は、第1筐体側電子装置14に不具合が生じているか否かを判定できる。ここで、より好ましい不具合対処方法を説明する。
【0073】
図14は、実施形態5に係る他の不具合対処方法の手順を示すフローチャートである。図14に示す不具合対処方法は、図10に示す実施形態4に係るステップST101及びステップST102と、図12に示す実施形態5に係るステップST101A及びステップST102Aとの両方を含む点に特徴がある。例えば、不具合有無判定部46は、ステップST101A及びステップST102Aを実行した後に、ステップST101及びステップST102を実行する。
【0074】
これにより、不具合有無判定部46は、抵抗器29の温度と、第1筐体側電子装置14に供給される電流の量と、抵抗器29の温度との両方に基づいて第1筐体側電子装置14に不具合が生じているか否かを判定する。したがって、不具合有無判定部46は、より正確に第1筐体側電子装置14に不具合が生じているか否かを判定できる。また、不具合有無判定部46は、仮に電流計測器29a又は温度センサー29bのどちらかに不具合が生じた場合でも、第1筐体側電子装置14に不具合が生じているか否かを判定できる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明に係る携帯電子機器及び不具合対処方法は、例えば携帯電話機に有用であり、特に、仮に一部に不具合が生じた場合であっても、残された機能をユーザーに提供することに適している。
【符号の説明】
【0076】
1 携帯電子機器
10 第1筐体
11 表示面
12 第1ディスプレイ
13 レシーバー
14 第1筐体側電子装置
15 LED
20 第2筐体
21 操作面
22 操作キー
23 マイク
24 第2筐体側電子装置
25 背面
26 スピーカー
27 第2ディスプレイ
28 電池
29 抵抗器
29a 電流計測器
29b 温度センサー
30 連結部
31 接続ケーブル
40 制御装置
41 主処理部
42 記憶部
43 画像処理部
44 音声処理部
45 通信処理部
46 不具合有無判定部
47 第2ディスプレイ制御部
48 第1筐体側電子装置制御部
AT アンテナ
CL 回動軸
I 電流値
T 抵抗器温度
α1、α2、β1、β2 所定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電子装置を格納する第1筐体と、
当該第1筐体に対して移動できるように当該第1筐体に連結されるとともに、第2電子装置と電池とを格納する第2筐体と、
前記第1筐体に格納される前記第1電子装置の不具合の有無を判定する不具合判定手段と、
前記第1筐体に設けられて、前記不具合が生じたと前記不具合判定手段が判定した場合に、前記電池から前記第1電子装置への電力の供給を停止する制御手段と、
を備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記不具合が検出されない場合に、前記第1電子装置の動作と前記第2電子装置の動作とを制御し、
前記不具合が検出された場合に、前記第2電子装置の動作のみを制御することを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記第1電子装置は、画像を表示する第1表示部を含み、
前記第2電子装置は、画像を表示する第2表示部を含み、
前記制御手段は、前記不具合が検出された場合に、前記第2表示部に前記第2電子装置が動作中であるという画像を表示させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記第2電子装置は、他の機器へ送信情報を送信するとともに、当該他の機器から受信情報を受信する通信処理部を含み、
前記制御手段は、前記不具合が検出された場合に、前記通信処理部の動作を維持するとともに、前記送信情報を表す画像と前記受信情報を表す画像との少なくとも一方の一部又は全部を前記第2表示部に表示させることを特徴とする請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記第2電子装置は、前記他の機器から受信した受信音声を出力する音声出力部を含み、
前記制御手段は、前記不具合が検出された場合に、前記受信音声を前記音声出力部から出力させることを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記不具合判定手段は、
前記第1電子装置に供給される電流の大きさに基づいて不具合の有無を判定することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記不具合判定手段は、
前記電池と前記第1電子装置との間に設けられる抵抗器の温度に基づいて不具合の有無を判定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
第1電子装置を格納する第1筐体と、
当該第1筐体に対して移動できるように当該第1筐体に連結されるとともに、第2電子装置と電池とを格納する第2筐体と、
を備える携帯電子機器で、前記第1電子装置に生じる不具合に対処するための不具合対処方法であって、
前記第1電子装置に前記不具合が生じたか否かを判定する手順と、
前記第1電子装置に前記不具合が生じたと判定された場合に、前記電池から前記第1電子装置への電力の供給を停止する手順と、
を含むことを特徴とする不具合対処方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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