携帯電話およびその遠隔操作方法
【課題】携帯電話等の既存の操作ボタンを使用しつつも、高い操作性でPCを遠隔操作することができる携帯電話を提供する。
【解決手段】本発明に係る携帯電話は、情報機器を遠隔操作する携帯電話において、前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示する表示器と、各種データを入力する複数の操作ボタンと、前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルの境界を表すグリッド線およびカーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御部と、前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御部と、を備えたことを特徴とする。
【解決手段】本発明に係る携帯電話は、情報機器を遠隔操作する携帯電話において、前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示する表示器と、各種データを入力する複数の操作ボタンと、前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルの境界を表すグリッド線およびカーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御部と、前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話およびその遠隔操作方法に係り、特に、ネットワークを介してパーソナルコンピュータ等の情報機器を遠隔操作する携帯電話およびその遠隔操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット接続が可能な携帯電話や無線LAN(Local Area Network)内蔵のPDA(Personal Digital Assistant)等、ネットワーク接続が可能な情報機器が普及してきている。また、これらの情報機器の表示装置は解像度が高くなり、細かな画像の表示が可能となってきている。それに伴い、情報機器から遠隔地にあるパーソナルコンピュータ(以下、PCという。)等の他の情報機器にネットワークで接続し、操作を行うための製品の開発や研究が進められている。
【0003】
例えば、予めソフトウェアをインストールしたPCを、WEBブラウザが使用可能な携帯電話及びPDAからネットワーク経由で操作する技術がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、同様にソフトウェアをあらかじめインストールしたPCを特定の言語が使用できるWEBブラウザまたは専用のビューアで操作する技術がある(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
さらに、携帯電話とPCの間に中継サーバを設け、中継サーバと携帯電話を独自プロトコルで通信するという方法で携帯電話からPCを遠隔操作する遠隔操作システムが実現されている(例えば、非特許文献3参照)。
【非特許文献1】日本IBM ”携帯電話からPCの遠隔操作を実現するソフト”、[online],プレス・リリース、[平成17年6月28日検索]、インターネット<URL:http://www−6.ibm.com/jp/domino05/ewm/NewsDB.nsf/2002/05271>
【非特許文献2】ATT ”Virtual Network Cc”、[online],[平成17年6月28日検索]、インターネット<URL:http://www.uk.research.att.com/archive/vnc/>
【非特許文献3】中須正人 ” 携帯電話を用いたコンピュータ遠隔操作システムの研究”、[online],筑波大学大学院、[平成17年6月28日検索]、インターネット<URL:http://www.iplab.is.tsukuba.ac.jp/〜baru/research/keitai.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1ないし3が開示する技術は、PCの表示画像情報やPCのキーボード或いはマウスから入力された情報を、特定の通信プロトコルによって、PCと携帯電話との間で授受することによって、携帯電話からPCを遠隔操作する技術に関するものである。
【0007】
ところで、今日、PCに対してデータを入力しようとする場合は、キーボードの他、マウスやタッチパッド等のポインティングデバイスを用いる形態が一般的になっている。マウス等を用いることによって、PCの画面上の任意の位置に瞬時にマウスカーソルを移動させることが可能であり、移動後直ちにマウスボタンを押下することによって各種のメニュー選択やデータ入力を行うことができるため、高い操作性が実現されている。
【0008】
他方、携帯電話には、電話番号をダイアルするための数字ボタン、メニュー選択のための上下左右方向の矢印ボタンおよび確定ボタン、およびその他の特別な操作のための数個のボタンがついているだけである。
【0009】
このため、携帯電話を用いてPCを遠隔操作しようとする場合、マウス等のようにPCの画面上の任意の位置にカーソルを瞬時に移動させることができず、例えば、上下左右方向の矢印ボタンを何回も押下することによってカーソルを少しずつ移動させる以外適切な手段が無いというのが実情である。
【0010】
もちろん、マウスを携帯電話に接続して使用する形態も技術的には可能であるが、携帯電話の可搬容易性を低下させるだけでなく、外出先や電車等での移動中の操作を考えるとあまり現実的な解決方法とは言えない。
【0011】
このように、携帯電話を用いてPCを遠隔操作する場合の操作性は、PC単独をマウス等で操作する場合に比べてかなり低いと言わざるを得ない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、携帯電話等の既存の操作ボタンを使用しつつも、高い操作性でPCを遠隔操作することができる携帯電話およびその遠隔操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る携帯電話は、上記課題を解決するため、請求項1に記載したように、情報機器を遠隔操作する機能を有する携帯電話において、前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示する表示器と、各種データを入力する複数の操作ボタンと、前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルを識別可能に表示すると共に、カーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御部と、前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る携帯電話は、上記課題を解決するため、請求項2に記載したように、情報機器を遠隔操作する携帯電話において、前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示する表示器と、各種データを入力する複数の操作ボタンと、前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルの境界を表すグリッド線およびカーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御部と、前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る携帯電話の遠隔操作方法は、上記課題を解決するため、請求項10に記載したように、情報機器を遠隔操作する携帯電話の遠隔操作方法において、前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示器に表示する表示ステップと、複数の操作ボタンを用いて各種データを入力する入力ステップと、前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルの境界を表すグリッド線およびカーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御ステップと、前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御ステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る携帯電話およびその遠隔操作方法によれば、携帯電話等の既存の操作ボタンを使用しつつも、高い操作性でPCを遠隔操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る携帯電話およびその遠隔操作方法の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0018】
(1)第1の実施形態
図1は、情報機器遠隔操作システム1のシステム構成例を示す図である。
【0019】
本発明の実施形態に係る携帯電話2は、基地局5および電気通信回線4を介して情報機器3と連接される。情報機器3は、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0020】
情報機器遠隔操作システム1は、オフィス等に設置されている情報機器3を、携帯電話2によって出張先や外出先等から遠隔操作することを可能とするシステムである。
【0021】
情報機器3に表示される表示器3aの表示画面情報を、電気通信回線4を介して受信し、携帯電話2の表示器2aに表示させる。通常、携帯電話2の表示器2aは情報機器3の表示器3aより小さいため、表示器3aの一部が表示器2aに表示されることになる。
【0022】
他方、携帯電話2から情報機器3に対して操作をする場合やデータを入力する場合には、携帯電話2に設けられている操作ボタン等を用いることになる。
【0023】
情報機器3を直接操作する場合であれば、マウスやタッチパッド等のポインティングデバイスを用いることにより、マウスカーソル(以下、単にカーソルという)を表示器3a上の任意の位置に瞬時に移動させることができる。
【0024】
これに対して、携帯電話2では、携帯容易性が重視されるため、通常マウスやタッチパッド等のポインティングデバイスは備えておらず、このため従来カーソルの移動操作は効率の悪いものとなっていた。本発明は、カーソルの移動操作を効率良く行う技術を提供するものであり、これによって携帯電話2による遠隔操作の操作性を向上させることができる。
【0025】
図2は、携帯電話2の構成例を示すブロック図である。
【0026】
携帯電話2は、通信部20、表示制御部21、表示器2a、操作制御部22、および操作部23を備えている。
【0027】
通信部20は、電気通信回線4を介して情報機器3とのデータ通信を行っている。表示制御部21は、情報機器3から送信されてくる表示画面情報を、携帯電話2の表示器2aに表示させるための処理を行っている。また、表示制御部21は、カーソルやグリッド線(後述)を表示器2aに表示させる処理も行っている。
【0028】
表示器2aは、例えば液晶表示器等で構成されるものである。
【0029】
操作制御部22は、操作部23の各種操作ボタン24等から入力されるデータに基づいて各種のデータ変換等を行う。本実施形態では、押下される操作ボタン24に応じて、例えばカーソルの位置への変換やカーソルの移動量への変換を行っている。
【0030】
図3(a)は、携帯電話2の表示器2aに表示される表示画面の一例を示す図である。図3(b)は、遠隔操作の対象である情報機器3の表示器3aに表示される表示画面を示している。
【0031】
パーソナルコンピュータ等に代表される情報機器3の表示器3aは、比較的大きな画面を構成することが可能であり、例えば1024×768ドット(XGA規格)の画素数で構成される。一方、携帯電話2の表示器2aは、高解像度化が進んできているものの情報機器3に比べると小さな画面となり、例えば240×320ドット(QVGA規格)である。
【0032】
従って、情報機器3の表示画面を携帯電話2の表示器2aに表示させる場合には、図3に例示したように、情報機器3の表示画面の一部が切り取られて表示されることになる。
【0033】
図4は、携帯電話2の操作部23の構成例を示す外観図である。操作部23は複数の操作ボタン24を備えて構成されている。
【0034】
操作部23の上部領域には、4つの上下左右矢印ボタン、即ち、「上」矢印ボタン、「下」矢印ボタン、「左」矢印ボタン、および「右」矢印ボタンが配置されている。また、4つの上下左右矢印ボタンで囲まれた中央部には「確定」ボタンが配置されている。
【0035】
操作部23の下部領域には、ダイヤルボタンが配置されている。ダイヤルボタンは、3行3列に配置された「1」ボタンないし「9」ボタンの他、「0」ボタン、「*」ボタン、「#」ボタン等を備えて構成されている。この他、携帯電話2は「通話」ボタンを備えている。
【0036】
図5は、これらの操作ボタン24を用いてカーソルを移動させる従来の方法について説明する図である。
【0037】
図5中、十字を○で囲んだシンボルが、カーソルを表している。従来、カーソルを移動させようとした場合、上下左右矢印ボタンを用いて移動させる形態が多い。即ち、上下左右矢印ボタンを押下する毎に矢印の方向にカーソルが移動距離dだけ移動する形態である。図5の例示では、「右」矢印ボタンを1回押下してカーソルを右に移動させ、その後、「下」矢印ボタンを1回押下してカーソルを下に移動させている。
【0038】
カーソルを所望の位置に移動させて時点で、例えば「確定」ボタンを押下することによって、情報機器3のマウスのボタンをクリックしたのと等価な操作としている。
【0039】
移動距離dが固定だとすると、移動距離dの中間位置にカーソルをポインティングすることができない。このため、移動距離dは設定により変更可能となっている。
【0040】
例えば、1回の移動距離dが8ドットに設定されている状態で、カーソルの位置を+x方向(右方向)に36ドット、+y方向(下方向)に40ドット移動させる場合を考えてみる。「右」矢印ボタンを4回押下し、「下」矢印ボタンを5回押下すると、目的位置の左横4ドットの位置に移動できる。そこで、カーソルの移動距離dを4ドットに設定しなおし、1回「右」矢印ボタンを押下することによって目的位置に到達することができる。この場合、移動距離dの設定操作を除いたとしても合計10回の操作ボタン24の押下が必要となる。
【0041】
携帯電話2の画面サイズをa×bドットとし、移動距離をdドットとした場合、移動に必要となる上下左右矢印ボタンの平均の押下回数は、カーソルの現在位置を(x,y)とすると、(1)式で近似することができる。
【数1】
【0042】
(1)式は離散式なので、計算を簡略化するために、以下の連続式で近似する。
【数2】
【0043】
(2)式を計算すると、以下の式が得られる。
[数3]
((x2−a・x+a2/2)/(a・d))+((y2−b・x+b2/2)/(b・d))
すなわち、携帯電話2の画面サイズをa×bドットとし、移動距離をdドットとした場合、移動に必要となる上下左右矢印ボタンの平均の押下回数は、カーソルの現在位置を(x,y)とすると、(3)式で近似することができる。
【0044】
[数4]
((x2−a・x+a2/2)/(a・d))+((y2−b・x+b2/2)/(b・d))……(3)
0≦x≦a、0≦y≦b
なお、(3)式は、カーソルの目的位置が、画面サイズa×bドットの範囲に一様に分布しているという仮定での平均押下回数を示すものである。
【0045】
今日、携帯電話2の代表としての携帯電話の画面サイズで一般的になりつつあるQVGA規格の画面サイズは、240×320ドットである。そこで、a=240、b=320を(3)式に代入し、さらに、移動距離dを8ドットとして、d=8を(3)式に代入すると、(4)式が得られる。
[数5]
((x2−240・x+28800)/1920)+((y2−320・x+51200)/2560) ……(4)
0≦x≦240、0≦y≦320
上記(4)式で表される関数は、表示器2aの表示画面の中央位置、(x,y)=(120,160)で最小値17.5をとり、画面の隅、例えば(x,y)=(0,0)で最大値35をとる。平均値は約23.333回である。
【0046】
ボタンの押下回数を低減させるためには、1回のボタン押下での移動距離dを長くすることが考えられるが、その場合、中途半端な位置をポインティングする確率が高くなるため、移動距離dの設定変更をする頻度が増し、実際の操作としてはかえって効率の悪いものとなる。
【0047】
携帯電話2におけるボタン操作では、しばらく押しっぱなしにする操作(長押し)があり、通常のボタン操作(短押し)とは区別されている。そこで、ボタンを長押しした場合と、短押しした場合で移動距離dを変えるという改良案がある。また、長押しをしてさらに引き続きそのボタンを押し続けていると、リピートと言う状態になり、長押しが繰り返される。このリピートの回数により移動距離dを変えるという改良案もある。
【0048】
しかしながら、長押しはそれ自体で短押しよりも押下に時間を要するため、カーソルの移動時間を短縮するための決定的な解決策とはなり得ない。
【0049】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る携帯電話2におけるカーソルの移動方法を説明する図である。
【0050】
第1の実施形態に係る携帯電話2では、特定のボタン、例えば「通話」ボタンを押下することによって、カーソルを現在位置から表示画面の中央に強制的に移動させるものとしている。この動作は、携帯電話2の操作制御部22において、「通話」ボタンの押下を認識したときには、カーソルの位置データを強制的に画面中央の座標、(x,y)=(0,0)に設定することで実現できる。
【0051】
移動先がカーソルの現在位置に近い場合には必ずしも画面中央を経由する必要はないが、仮に、必ず「通話」ボタンを押下して画面中央に移動させた後に目的位置に移動させるとすると、(4)式から、現在のカーソル位置に関わらず、目的位置までカーソルを移動させるために必要となるボタンの平均押下回数は、17.5回となる。「通話」ボタンの押下も考慮すると、平均押下回数は、18.5回となる。
【0052】
前述したように、現在のカーソルの位置が任意の位置にある場合(従来の方式)の平均押下回数は、23.333回である。従って、第1の実施形態に係る携帯電話2では、約5回程度平均押下回数が低減されることになり、カーソルを目的位置まで移動させる時間が短縮され、操作性が向上する。
【0053】
(2)第2の実施形態
図7は、第2の実施形態に係る携帯電話2の動作例を示すフローチャートである。また、図8および図9は、第2の実施形態に係る携帯電話2の動作例を説明する図である。
【0054】
第2の実施形態に係る携帯電話2では、カーソルを効率的に移動させるために、「1」ボタンないし「9」ボタンのダイヤルボタン(第1のボタン)と特定の1つのボタン、例えば「通話」ボタン(第2のボタン)を用いる。
【0055】
ユーザがカーソルを現在位置から移動させようとする場合、ユーザはまず「通話」ボタンを押下する(ステップST1)。
【0056】
「通話」ボタンの押下により、携帯電話2は通常のオペレーションモードから高速でカーソルを移動させるモードへ移行する。また、この「通話」ボタンの押下により、携帯電話2の表示制御部21は、図8に示すように、表示器2a上に3行3列の大きなグリッド線(第1のグリッド線)を表示し、このグリッド線によって9つの大きな升目(第1のセル)を形成する(ステップST2)。
【0057】
図8の例では、第1のセルを表示するためにグリッド線を用いているが、セルを識別可能な表示であればよく、グリッド線に限定するものではない。例えばセルの格子点のみを表示する形態であってもよい。また、セル毎に背景色を異なる色にしてセルを識別可能とする形態であってもよい。なお、以下の説明においてはセルの識別表示として総てグリッド線を用いた形態として説明しているが、これらについても同様である。
【0058】
ここで、再度「通話」ボタンが押下された場合(ステップST3のyes)には、直前の操作がキャンセルされたと判断して、グリッド線を消去してステップST1の前に戻る。「通話」ボタンが押下されない場合にはそのままステップST4へ進む。
【0059】
ステップST4では、ユーザが「1」ボタンないし「9」ボタンの9つのボタンのうち、何れかのダイヤルボタンを押下する。「1」ボタンないし「9」ボタンは、その配列が3行3列に構成されているものであり、図8に示したように、大きなグリッド線が形成する升目(セル)の位置に対応している。従って、ユーザは、表示器2aに表示された升目からカーソルの目的位置に対応するダイヤルボタンを容易に選択することができる。
【0060】
図9は、動作の流れに沿った表示画面の表示例を示したものであるが、図9(a)は、ステップST2で「通話」ボタンを押下して大きなグリッド線が表示された直後を示したものである。図9(a)におけるカーソルの位置(左上)は、カーソルの現在位置(移動前)を示している。
【0061】
図9(b)は、ステップST4で、「4」ボタンを押下した直後の表示例である。「4」ボタンが押下されると、カーソルは「4」ボタンの位置に対応する升目(左側中段)の中央に移動する。併せて、そのセルの内部にさらに3行3列の小さなグリッド線(第2のグリッド線)を表示し、このグリッド線によって9つの小さな升目(第2のセル)を形成する(ステップST5)。
【0062】
ここで、再度「通話」ボタンが押下された場合(ステップST6のyes)には、直前の操作がキャンセルされたと判断して、小さなグリッド線を消去してステップST3の前に戻る。「通話」ボタンが押下されない場合にはそのままステップST7へ進む。
【0063】
ステップST7で、ユーザは目的位置に対応する「1」ボタンないし「9」ボタンを選択して押下する。図9(c)の例では「9」ボタンを選択して押下している。「9」ボタンの押下によってカーソルは小さな升目の「9」ボタンに対応する位置に移動する。併せて、総てのグリッド線を消去して図9(d)の状態(通常のオペレーションモード)に戻る。図9(d)の通常のオペレーションモードでは、上下左右矢印ボタンを用いて例えば移動距離d(d=8ドット)の単位でカーソルを移動させ、最終的に目的位置まで移動させる。
【0064】
小さな升目の画像サイズは、表示器2a全体の画像サイズに比べると縦横それぞれが1/9となるため、表示器2aの画像サイズが240ドット×320ドットの場合、約27×36ドットとなる。従って、図9(d)の状態からカーソルを目的位置まで移動させるための平均押下回数は、(3)式にa=27、b=36、d=8を代入した(5)式から得ることができる。
【0065】
[数6]
((x2−27・x+364.5)/216)+((y2−36・x+648)/288)+3 ……(5)
0≦x≦27、0≦y≦36
(5)式の最後の項の「3」は、「通話」ボタンの押下1回(ステップST1)、ダイヤルボタンの押下2回(ステップST4およびステップST7)に対応するものである。 (5)式の最小値は、4.969であり、最大値は6.939となる。また、平均値は約5・625である。
【0066】
即ち、第2の実施形態に係る携帯電話2では、カーソルを現在位置から目的位置まで移動させるために必要となるボタンの平均押下回数は、約6回となる。従来の方法では、約23回であったから、およそ1/4となる。
【0067】
このように、第2の実施形態に係る携帯電話2によれば、カーソル移動に要する操作ボタンの押下回数が大幅に削減されるため、短時間でカーソルを目的位置まで移動させることが可能となり、操作性が向上する。
【0068】
(3)第3の実施形態
図10は、第3の実施形態に係る携帯電話2の動作例を示すフローチャートである。また、図11は、第3の実施形態に係る携帯電話2の動作の流れに沿った表示器2aの表示例を示す図である。
【0069】
第2の実施形態ではカーソルの移動を「1」ボタンないし「9」ボタンのダイヤルボタンで行っている。これに対して、第3の実施形態では、カーソルの移動を、上下左右矢印ボタンを用いて行う形態としている。
【0070】
ダイヤルボタンによる操作は簡潔ではあるものの、ユーザによってはボタンの位置を確認しながら操作する場合もある。これに対して、上下左右矢印ボタンはボタンを見なくても操作するブラインドタッチがより行いやすい形態である。
【0071】
上下左右矢印ボタンを用いてカーソルを移動させる場合、カーソルの画面上の位置よりも移動する方向が重視される。そこで、カーソルをセルの中央に表示させる第2の実施形態とは異なり、カーソルをグリッド線の格子点に表示させる形態としている。この表示形態であれば、カーソルの動きはグリッド線上を動くことになるため、グリッド線がカーソルの軌跡を表し、上下左右矢印ボタンとの相性が良い。従って、素早い操作が可能となる。
【0072】
ステップST10で、ユーザが特定のボタン、例えば「通話」ボタン(第1のボタン)を押下することで、携帯電話2は、通常のオペレーションモードからカーソルを高速で移動させるモードに移行する。
【0073】
また、「通話」ボタンの押下により、カーソルの現在位置を格子点の1つとする大きなグリッド線(第1のグリッド線)を表示器2aに表示する(ステップST11)。図11(a)は、この状態を示している。
【0074】
第2の実施形態では、ダイヤルボタンの配置とグリッド線が形成するセルの配置を一致させるために、3行3列のセルに分割するグリッド線としていたが、第3の実施形態ではこのような制約がない。従って、グリッド線の本数や間隔は視認性を重視して選定することが可能であり、図11のように縦横の間隔を等間隔とすることができる。例えば、本実施形態では、縦横のグリッド線の間隔をいずれも80ドット間隔としている。
【0075】
ユーザは、表示画面を見ながらブラインドタッチで上下左右矢印ボタンを押下しながら、カーソルを現在位置から目的位置に近づけていく。カーソルの移動は、上下左右矢印ボタンの一回の押下でグリッド線が形成するセル単位で格子点上を移動する。
【0076】
図11(b)に示した例では、「下」矢印ボタンの1回の押下と、「右」矢印ボタンの1回の押下によってカーソルを現在位置から目的位置の近傍まで移動させている。
【0077】
カーソルを目的位置の近傍まで移動させた後、ユーザは特定のボタン、例えば「確定」ボタン(第2のボタン)を押下する(ステップST16)。
【0078】
「確定」ボタンの押下によって、カーソルが位置する格子点に接する例えば4つのセル(第1のセル)をさらに分割する小さなグリッド線(第2のグリッド線)を表示する。小さなグリッド線によって、大きなセルは小さなセル(第2のセル)に分割される。図11(c)は、この状態を示している。本実施形態では、大きなセルを縦横それぞれ3分割しており、小さなグリッド線の間隔を縦横とも27ドット間隔としている。
【0079】
ステップST18で、ユーザは上下左右矢印ボタンを押下してカーソルをさらに目的位置の近傍まで近づける。この時のカーソルの移動単位は、小さなセル単位となるため、より細かな移動が可能となる。図11(d)に示した例では、「下」矢印ボタンの1回の押下と、「右」矢印ボタンの1回の押下によってカーソルを目的位置の近傍までさらに移動させている。
【0080】
カーソルを目的位置のほぼ近傍まで移動させたのち、ユーザは「確定」ボタンを押下する(ステップST22)。「確定」ボタンの押下によって、カーソル位置を確定し、高速でカーソルを移動させるモードから通常のオペレーションモードに戻る。また、総てのグリッド線を消去する(ステップST23)。図11(e)は、この状態を示している。
【0081】
通常のオペレーションモードでさらにカーソル位置を微調整する場合には、上下左右矢印ボタンを用いて、予め設定されている移動距離d、例えば8ドット単位でカーソルを移動させればよい。
【0082】
大きなグリッド線の格子点をカーソルが移動するときは、1回の上下左右矢印ボタンの押下によって80ドット移動する。前述したように、従来の方法(通常のオペレーションモード)では、1回の上下左右矢印ボタンの押下による移動距離は8ドットであるから、ボタンの平均押下回数は、(4)式の1/10となる。即ち、約2.333回である。
【0083】
小さなグリッド線の格子点をカーソルが移動するときは、大きなセルを分割した3×3の領域の移動を行うことになるので、大きなグリッド線の格子点を移動するときよりも平均押下回数は少なくなる。即ち、小さなグリッド線の格子点をカーソルが移動するときの平均押下回数は、約2.333回よりも少ない。
【0084】
小さなセルの大きさは27×27ドットである。従って通常のオペレーションモードに戻って8ドット単位でカーソル位置の微調整を行うときの平均押下回数は、(5)式とほぼ同じとなり、約2.333回となる。
【0085】
この他、1回の「通話」ボタンの押下、および2回の「確定」ボタンの押下を考慮すると、結局、第3の実施形態に係る携帯電話2の平均押下回数は、
[数7]
2.333+2.333+2.333+10=約10(回) ……(6)
となる。第2の実施形態に係る携帯電話2の平均押下回数の約6回に比べると若干多くなっているが、従来の方法による平均押下回数約23回に比べれば、半分以下の回数となっている。
【0086】
このように、第3の実施形態に係る携帯電話2によれば、第2の実施形態と同様に、カーソル移動に要する操作ボタンの押下回数が大幅に削減されるため、短時間でカーソルを目的位置まで移動させることが可能となり、操作性が向上する。
【0087】
ところで、上下左右矢印ボタンを用いる場合に、カーソルの移動先が表示器2aの表示範囲外となる方向に移動させようとするときがあり得る。このような場合、本実施形態では、カーソルの移動先が表示範囲外であるか否かを判断し(図10のステップST13)、表示範囲外である場合には、表示器2aに表示されている情報機器3の表示画面情報の一部を、カーソルを移動させようとしている方向と逆方向に移動させ、移動した新たな表示画面に対してカーソルの位置設定ができるようにしている。
【0088】
具体例を図12に示している。図12(a)は、情報機器3の表示器3aの表示画面の一例を示したものである。この表示画面の一部(左端の矩形で囲んだ領域)が切り出されて携帯電話2の表示画面(図12(b))に表示されている。
【0089】
図12(b)の状態からカーソルの位置をさらに右に移動させようとした場合、このままではカーソル目的位置が表示器2aに表示されていないため、目的位置に移動させることができない。そこで、本実施形態では、例えば「右」矢印ボタンを押下した場合には、ビュー(表示器3aの一部を切り取った表示領域)を左方向へ、グリッド線の間隔だけ移動させる形態としている。この結果、今まで見えていなかった右隣の表示画像が表示器2a上に現れてカーソルを所望の目的位置に移動させることが可能となる。
【0090】
この動作によって、「右」矢印ボタンを1回押下するだけで、カーソルの移動とビューの移動を同時に行うことができるため、効率の高い操作を実現できる。
【0091】
また、図13(a)に示したように、小さなグリッド線が表示されている場合に、小さなグリッド線の表示範囲外にカーソルを移動させようとする場合もあり得る。
【0092】
本実施形態では、このような場合には図13(b)に示したように、小さなグリッド線の表示領域をカーソルの移動方向に自動的にシフトさせる形態としている。この結果、小さなグリッド線を用いたカーソルの移動を継続的に行うことが可能となり、操作性が向上する。
【0093】
また、図14(a)に示したように、小さなグリッド線が表示されている場合に、小さなグリッド線の表示範囲外であり、かつ表示器2aの表示範囲外の領域にカーソルを移動させようとする場合もあり得る。
【0094】
本実施形態では、このような場合には、図14(b)に示したように、小さなグリッド線の表示領域と表示器2aのビューを、大きなグリッド線の間隔だけ、カーソルの移動方向と逆方向に移動させる形態としている(図10のステップST20)。この結果、今まで見えていなかった右隣の表示画像が表示器2a上に現れ、かつ小さなグリッド線を用いたカーソルの移動可能となり、操作上便利である。
【0095】
第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、「通話」ボタンを用いたキャンセル動作が可能としている。
【0096】
図10のステップST15において、「通話」ボタンが押下されると、大きなグリッド線の表示を消去して、通常のオペレーションモード(ステップST10の直前)に戻る。
【0097】
また、小さなグリッド線が表示されているときに「通話」ボタンが押下されると(ステップST21のyes)、小さなグリッド線を消去して大きなグリッド線の表示状態に戻る。図15は、このキャンセル動作を示す表示例である。
【0098】
なお、第3の実施形態では、通常のオペレーションモードから「通話」ボタンを押下して高速でのカーソル移動モードに移行する際に、現在のカーソル位置は変化しない形態としている(図11(a)参照)。情報機器3で動作しているアプリケーションソフトウェアの種類によっては、通常のオペレーションモードにおける現在のカーソル位置の変化を特定の情報として取り扱う場合がある。本実施形態では、そのようなアプリケーションソフトウェアに対しても影響を与えることがない。
【0099】
(4)第4の実施形態
図16は、第4の実施形態に係る携帯電話2の動作を説明する図である。
【0100】
第4の実施形態に係る携帯電話2の基本的な動作の流れは、図10に示した第3の実施形態のフローチャートと同じ流れとなっている。第3の実施形態との相違点は、通常のオペレーションモードから高速カーソル移動モードに移行したときのカーソルの動きにある。
【0101】
第4の実施形態に係る携帯電話2では、「通話」ボタンを押下すると、大きなグリッド線を表示すると共に、現在のカーソル位置を画面中央の格子点に移動させる形態としている。図16(a)は、この状態を示している。その他の動作は第3の実施形態と同様である。
【0102】
(3)式等から類推できるように、カーソルの初期位置を中央に設定することによって、セル単位の移動であっても、上下左右矢印ボタンの平均押下回数を最小に抑えることができる。この意味で、第4の実施形態は、第3の実施形態の利点に第1の実施形態の利点を付加した形態ということもできる。
【0103】
なお、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る携帯電話が連接される情報機器遠隔操作システムの構成例を示す図。
【図2】本発明に係る携帯電話の第1ないし第4の実施形態に係る構成例を示す図。
【図3】本発明に係る携帯電話の第1ないし第4の実施形態に係る表示器の表示例を示す図。
【図4】本発明に係る携帯電話の第1ないし第4の実施形態に係る操作ボタンの一例を示す図。
【図5】従来の携帯電話の動作を説明する図。
【図6】本発明に係る携帯電話の第1の実施形態に係る動作を説明する図。
【図7】本発明に係る携帯電話の第2の実施形態に係る動作例を示すフローチャート。
【図8】本発明に係る携帯電話の第2の実施形態に係る動作を説明する第1の図。
【図9】本発明に係る携帯電話の第2の実施形態に係る動作を説明する第2の図。
【図10】本発明に係る携帯電話の第3の実施形態に係る動作例を示すフローチャート。
【図11】本発明に係る携帯電話の第3の実施形態に係る動作を説明する第1の図。
【図12】本発明に係る携帯電話の第3の実施形態に係る動作を説明する第2の図。
【図13】本発明に係る携帯電話の第3の実施形態に係る動作を説明する第3の図。
【図14】本発明に係る携帯電話の第3の実施形態に係る動作を説明する第4の図。
【図15】本発明に係る携帯電話の第3の実施形態に係る動作を説明する第5の図。
【図16】本発明に係る携帯電話の第4の実施形態に係る動作を説明する図。
【符号の説明】
【0105】
1 情報機器遠隔操作システム
2 携帯電話
2a 表示器
3 情報機器
4 電気通信回線
20 通信部
21 表示制御部
22 操作制御部
23 操作部
24 操作ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話およびその遠隔操作方法に係り、特に、ネットワークを介してパーソナルコンピュータ等の情報機器を遠隔操作する携帯電話およびその遠隔操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット接続が可能な携帯電話や無線LAN(Local Area Network)内蔵のPDA(Personal Digital Assistant)等、ネットワーク接続が可能な情報機器が普及してきている。また、これらの情報機器の表示装置は解像度が高くなり、細かな画像の表示が可能となってきている。それに伴い、情報機器から遠隔地にあるパーソナルコンピュータ(以下、PCという。)等の他の情報機器にネットワークで接続し、操作を行うための製品の開発や研究が進められている。
【0003】
例えば、予めソフトウェアをインストールしたPCを、WEBブラウザが使用可能な携帯電話及びPDAからネットワーク経由で操作する技術がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、同様にソフトウェアをあらかじめインストールしたPCを特定の言語が使用できるWEBブラウザまたは専用のビューアで操作する技術がある(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
さらに、携帯電話とPCの間に中継サーバを設け、中継サーバと携帯電話を独自プロトコルで通信するという方法で携帯電話からPCを遠隔操作する遠隔操作システムが実現されている(例えば、非特許文献3参照)。
【非特許文献1】日本IBM ”携帯電話からPCの遠隔操作を実現するソフト”、[online],プレス・リリース、[平成17年6月28日検索]、インターネット<URL:http://www−6.ibm.com/jp/domino05/ewm/NewsDB.nsf/2002/05271>
【非特許文献2】ATT ”Virtual Network Cc”、[online],[平成17年6月28日検索]、インターネット<URL:http://www.uk.research.att.com/archive/vnc/>
【非特許文献3】中須正人 ” 携帯電話を用いたコンピュータ遠隔操作システムの研究”、[online],筑波大学大学院、[平成17年6月28日検索]、インターネット<URL:http://www.iplab.is.tsukuba.ac.jp/〜baru/research/keitai.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1ないし3が開示する技術は、PCの表示画像情報やPCのキーボード或いはマウスから入力された情報を、特定の通信プロトコルによって、PCと携帯電話との間で授受することによって、携帯電話からPCを遠隔操作する技術に関するものである。
【0007】
ところで、今日、PCに対してデータを入力しようとする場合は、キーボードの他、マウスやタッチパッド等のポインティングデバイスを用いる形態が一般的になっている。マウス等を用いることによって、PCの画面上の任意の位置に瞬時にマウスカーソルを移動させることが可能であり、移動後直ちにマウスボタンを押下することによって各種のメニュー選択やデータ入力を行うことができるため、高い操作性が実現されている。
【0008】
他方、携帯電話には、電話番号をダイアルするための数字ボタン、メニュー選択のための上下左右方向の矢印ボタンおよび確定ボタン、およびその他の特別な操作のための数個のボタンがついているだけである。
【0009】
このため、携帯電話を用いてPCを遠隔操作しようとする場合、マウス等のようにPCの画面上の任意の位置にカーソルを瞬時に移動させることができず、例えば、上下左右方向の矢印ボタンを何回も押下することによってカーソルを少しずつ移動させる以外適切な手段が無いというのが実情である。
【0010】
もちろん、マウスを携帯電話に接続して使用する形態も技術的には可能であるが、携帯電話の可搬容易性を低下させるだけでなく、外出先や電車等での移動中の操作を考えるとあまり現実的な解決方法とは言えない。
【0011】
このように、携帯電話を用いてPCを遠隔操作する場合の操作性は、PC単独をマウス等で操作する場合に比べてかなり低いと言わざるを得ない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、携帯電話等の既存の操作ボタンを使用しつつも、高い操作性でPCを遠隔操作することができる携帯電話およびその遠隔操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る携帯電話は、上記課題を解決するため、請求項1に記載したように、情報機器を遠隔操作する機能を有する携帯電話において、前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示する表示器と、各種データを入力する複数の操作ボタンと、前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルを識別可能に表示すると共に、カーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御部と、前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る携帯電話は、上記課題を解決するため、請求項2に記載したように、情報機器を遠隔操作する携帯電話において、前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示する表示器と、各種データを入力する複数の操作ボタンと、前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルの境界を表すグリッド線およびカーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御部と、前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る携帯電話の遠隔操作方法は、上記課題を解決するため、請求項10に記載したように、情報機器を遠隔操作する携帯電話の遠隔操作方法において、前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示器に表示する表示ステップと、複数の操作ボタンを用いて各種データを入力する入力ステップと、前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルの境界を表すグリッド線およびカーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御ステップと、前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御ステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る携帯電話およびその遠隔操作方法によれば、携帯電話等の既存の操作ボタンを使用しつつも、高い操作性でPCを遠隔操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る携帯電話およびその遠隔操作方法の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0018】
(1)第1の実施形態
図1は、情報機器遠隔操作システム1のシステム構成例を示す図である。
【0019】
本発明の実施形態に係る携帯電話2は、基地局5および電気通信回線4を介して情報機器3と連接される。情報機器3は、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0020】
情報機器遠隔操作システム1は、オフィス等に設置されている情報機器3を、携帯電話2によって出張先や外出先等から遠隔操作することを可能とするシステムである。
【0021】
情報機器3に表示される表示器3aの表示画面情報を、電気通信回線4を介して受信し、携帯電話2の表示器2aに表示させる。通常、携帯電話2の表示器2aは情報機器3の表示器3aより小さいため、表示器3aの一部が表示器2aに表示されることになる。
【0022】
他方、携帯電話2から情報機器3に対して操作をする場合やデータを入力する場合には、携帯電話2に設けられている操作ボタン等を用いることになる。
【0023】
情報機器3を直接操作する場合であれば、マウスやタッチパッド等のポインティングデバイスを用いることにより、マウスカーソル(以下、単にカーソルという)を表示器3a上の任意の位置に瞬時に移動させることができる。
【0024】
これに対して、携帯電話2では、携帯容易性が重視されるため、通常マウスやタッチパッド等のポインティングデバイスは備えておらず、このため従来カーソルの移動操作は効率の悪いものとなっていた。本発明は、カーソルの移動操作を効率良く行う技術を提供するものであり、これによって携帯電話2による遠隔操作の操作性を向上させることができる。
【0025】
図2は、携帯電話2の構成例を示すブロック図である。
【0026】
携帯電話2は、通信部20、表示制御部21、表示器2a、操作制御部22、および操作部23を備えている。
【0027】
通信部20は、電気通信回線4を介して情報機器3とのデータ通信を行っている。表示制御部21は、情報機器3から送信されてくる表示画面情報を、携帯電話2の表示器2aに表示させるための処理を行っている。また、表示制御部21は、カーソルやグリッド線(後述)を表示器2aに表示させる処理も行っている。
【0028】
表示器2aは、例えば液晶表示器等で構成されるものである。
【0029】
操作制御部22は、操作部23の各種操作ボタン24等から入力されるデータに基づいて各種のデータ変換等を行う。本実施形態では、押下される操作ボタン24に応じて、例えばカーソルの位置への変換やカーソルの移動量への変換を行っている。
【0030】
図3(a)は、携帯電話2の表示器2aに表示される表示画面の一例を示す図である。図3(b)は、遠隔操作の対象である情報機器3の表示器3aに表示される表示画面を示している。
【0031】
パーソナルコンピュータ等に代表される情報機器3の表示器3aは、比較的大きな画面を構成することが可能であり、例えば1024×768ドット(XGA規格)の画素数で構成される。一方、携帯電話2の表示器2aは、高解像度化が進んできているものの情報機器3に比べると小さな画面となり、例えば240×320ドット(QVGA規格)である。
【0032】
従って、情報機器3の表示画面を携帯電話2の表示器2aに表示させる場合には、図3に例示したように、情報機器3の表示画面の一部が切り取られて表示されることになる。
【0033】
図4は、携帯電話2の操作部23の構成例を示す外観図である。操作部23は複数の操作ボタン24を備えて構成されている。
【0034】
操作部23の上部領域には、4つの上下左右矢印ボタン、即ち、「上」矢印ボタン、「下」矢印ボタン、「左」矢印ボタン、および「右」矢印ボタンが配置されている。また、4つの上下左右矢印ボタンで囲まれた中央部には「確定」ボタンが配置されている。
【0035】
操作部23の下部領域には、ダイヤルボタンが配置されている。ダイヤルボタンは、3行3列に配置された「1」ボタンないし「9」ボタンの他、「0」ボタン、「*」ボタン、「#」ボタン等を備えて構成されている。この他、携帯電話2は「通話」ボタンを備えている。
【0036】
図5は、これらの操作ボタン24を用いてカーソルを移動させる従来の方法について説明する図である。
【0037】
図5中、十字を○で囲んだシンボルが、カーソルを表している。従来、カーソルを移動させようとした場合、上下左右矢印ボタンを用いて移動させる形態が多い。即ち、上下左右矢印ボタンを押下する毎に矢印の方向にカーソルが移動距離dだけ移動する形態である。図5の例示では、「右」矢印ボタンを1回押下してカーソルを右に移動させ、その後、「下」矢印ボタンを1回押下してカーソルを下に移動させている。
【0038】
カーソルを所望の位置に移動させて時点で、例えば「確定」ボタンを押下することによって、情報機器3のマウスのボタンをクリックしたのと等価な操作としている。
【0039】
移動距離dが固定だとすると、移動距離dの中間位置にカーソルをポインティングすることができない。このため、移動距離dは設定により変更可能となっている。
【0040】
例えば、1回の移動距離dが8ドットに設定されている状態で、カーソルの位置を+x方向(右方向)に36ドット、+y方向(下方向)に40ドット移動させる場合を考えてみる。「右」矢印ボタンを4回押下し、「下」矢印ボタンを5回押下すると、目的位置の左横4ドットの位置に移動できる。そこで、カーソルの移動距離dを4ドットに設定しなおし、1回「右」矢印ボタンを押下することによって目的位置に到達することができる。この場合、移動距離dの設定操作を除いたとしても合計10回の操作ボタン24の押下が必要となる。
【0041】
携帯電話2の画面サイズをa×bドットとし、移動距離をdドットとした場合、移動に必要となる上下左右矢印ボタンの平均の押下回数は、カーソルの現在位置を(x,y)とすると、(1)式で近似することができる。
【数1】
【0042】
(1)式は離散式なので、計算を簡略化するために、以下の連続式で近似する。
【数2】
【0043】
(2)式を計算すると、以下の式が得られる。
[数3]
((x2−a・x+a2/2)/(a・d))+((y2−b・x+b2/2)/(b・d))
すなわち、携帯電話2の画面サイズをa×bドットとし、移動距離をdドットとした場合、移動に必要となる上下左右矢印ボタンの平均の押下回数は、カーソルの現在位置を(x,y)とすると、(3)式で近似することができる。
【0044】
[数4]
((x2−a・x+a2/2)/(a・d))+((y2−b・x+b2/2)/(b・d))……(3)
0≦x≦a、0≦y≦b
なお、(3)式は、カーソルの目的位置が、画面サイズa×bドットの範囲に一様に分布しているという仮定での平均押下回数を示すものである。
【0045】
今日、携帯電話2の代表としての携帯電話の画面サイズで一般的になりつつあるQVGA規格の画面サイズは、240×320ドットである。そこで、a=240、b=320を(3)式に代入し、さらに、移動距離dを8ドットとして、d=8を(3)式に代入すると、(4)式が得られる。
[数5]
((x2−240・x+28800)/1920)+((y2−320・x+51200)/2560) ……(4)
0≦x≦240、0≦y≦320
上記(4)式で表される関数は、表示器2aの表示画面の中央位置、(x,y)=(120,160)で最小値17.5をとり、画面の隅、例えば(x,y)=(0,0)で最大値35をとる。平均値は約23.333回である。
【0046】
ボタンの押下回数を低減させるためには、1回のボタン押下での移動距離dを長くすることが考えられるが、その場合、中途半端な位置をポインティングする確率が高くなるため、移動距離dの設定変更をする頻度が増し、実際の操作としてはかえって効率の悪いものとなる。
【0047】
携帯電話2におけるボタン操作では、しばらく押しっぱなしにする操作(長押し)があり、通常のボタン操作(短押し)とは区別されている。そこで、ボタンを長押しした場合と、短押しした場合で移動距離dを変えるという改良案がある。また、長押しをしてさらに引き続きそのボタンを押し続けていると、リピートと言う状態になり、長押しが繰り返される。このリピートの回数により移動距離dを変えるという改良案もある。
【0048】
しかしながら、長押しはそれ自体で短押しよりも押下に時間を要するため、カーソルの移動時間を短縮するための決定的な解決策とはなり得ない。
【0049】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る携帯電話2におけるカーソルの移動方法を説明する図である。
【0050】
第1の実施形態に係る携帯電話2では、特定のボタン、例えば「通話」ボタンを押下することによって、カーソルを現在位置から表示画面の中央に強制的に移動させるものとしている。この動作は、携帯電話2の操作制御部22において、「通話」ボタンの押下を認識したときには、カーソルの位置データを強制的に画面中央の座標、(x,y)=(0,0)に設定することで実現できる。
【0051】
移動先がカーソルの現在位置に近い場合には必ずしも画面中央を経由する必要はないが、仮に、必ず「通話」ボタンを押下して画面中央に移動させた後に目的位置に移動させるとすると、(4)式から、現在のカーソル位置に関わらず、目的位置までカーソルを移動させるために必要となるボタンの平均押下回数は、17.5回となる。「通話」ボタンの押下も考慮すると、平均押下回数は、18.5回となる。
【0052】
前述したように、現在のカーソルの位置が任意の位置にある場合(従来の方式)の平均押下回数は、23.333回である。従って、第1の実施形態に係る携帯電話2では、約5回程度平均押下回数が低減されることになり、カーソルを目的位置まで移動させる時間が短縮され、操作性が向上する。
【0053】
(2)第2の実施形態
図7は、第2の実施形態に係る携帯電話2の動作例を示すフローチャートである。また、図8および図9は、第2の実施形態に係る携帯電話2の動作例を説明する図である。
【0054】
第2の実施形態に係る携帯電話2では、カーソルを効率的に移動させるために、「1」ボタンないし「9」ボタンのダイヤルボタン(第1のボタン)と特定の1つのボタン、例えば「通話」ボタン(第2のボタン)を用いる。
【0055】
ユーザがカーソルを現在位置から移動させようとする場合、ユーザはまず「通話」ボタンを押下する(ステップST1)。
【0056】
「通話」ボタンの押下により、携帯電話2は通常のオペレーションモードから高速でカーソルを移動させるモードへ移行する。また、この「通話」ボタンの押下により、携帯電話2の表示制御部21は、図8に示すように、表示器2a上に3行3列の大きなグリッド線(第1のグリッド線)を表示し、このグリッド線によって9つの大きな升目(第1のセル)を形成する(ステップST2)。
【0057】
図8の例では、第1のセルを表示するためにグリッド線を用いているが、セルを識別可能な表示であればよく、グリッド線に限定するものではない。例えばセルの格子点のみを表示する形態であってもよい。また、セル毎に背景色を異なる色にしてセルを識別可能とする形態であってもよい。なお、以下の説明においてはセルの識別表示として総てグリッド線を用いた形態として説明しているが、これらについても同様である。
【0058】
ここで、再度「通話」ボタンが押下された場合(ステップST3のyes)には、直前の操作がキャンセルされたと判断して、グリッド線を消去してステップST1の前に戻る。「通話」ボタンが押下されない場合にはそのままステップST4へ進む。
【0059】
ステップST4では、ユーザが「1」ボタンないし「9」ボタンの9つのボタンのうち、何れかのダイヤルボタンを押下する。「1」ボタンないし「9」ボタンは、その配列が3行3列に構成されているものであり、図8に示したように、大きなグリッド線が形成する升目(セル)の位置に対応している。従って、ユーザは、表示器2aに表示された升目からカーソルの目的位置に対応するダイヤルボタンを容易に選択することができる。
【0060】
図9は、動作の流れに沿った表示画面の表示例を示したものであるが、図9(a)は、ステップST2で「通話」ボタンを押下して大きなグリッド線が表示された直後を示したものである。図9(a)におけるカーソルの位置(左上)は、カーソルの現在位置(移動前)を示している。
【0061】
図9(b)は、ステップST4で、「4」ボタンを押下した直後の表示例である。「4」ボタンが押下されると、カーソルは「4」ボタンの位置に対応する升目(左側中段)の中央に移動する。併せて、そのセルの内部にさらに3行3列の小さなグリッド線(第2のグリッド線)を表示し、このグリッド線によって9つの小さな升目(第2のセル)を形成する(ステップST5)。
【0062】
ここで、再度「通話」ボタンが押下された場合(ステップST6のyes)には、直前の操作がキャンセルされたと判断して、小さなグリッド線を消去してステップST3の前に戻る。「通話」ボタンが押下されない場合にはそのままステップST7へ進む。
【0063】
ステップST7で、ユーザは目的位置に対応する「1」ボタンないし「9」ボタンを選択して押下する。図9(c)の例では「9」ボタンを選択して押下している。「9」ボタンの押下によってカーソルは小さな升目の「9」ボタンに対応する位置に移動する。併せて、総てのグリッド線を消去して図9(d)の状態(通常のオペレーションモード)に戻る。図9(d)の通常のオペレーションモードでは、上下左右矢印ボタンを用いて例えば移動距離d(d=8ドット)の単位でカーソルを移動させ、最終的に目的位置まで移動させる。
【0064】
小さな升目の画像サイズは、表示器2a全体の画像サイズに比べると縦横それぞれが1/9となるため、表示器2aの画像サイズが240ドット×320ドットの場合、約27×36ドットとなる。従って、図9(d)の状態からカーソルを目的位置まで移動させるための平均押下回数は、(3)式にa=27、b=36、d=8を代入した(5)式から得ることができる。
【0065】
[数6]
((x2−27・x+364.5)/216)+((y2−36・x+648)/288)+3 ……(5)
0≦x≦27、0≦y≦36
(5)式の最後の項の「3」は、「通話」ボタンの押下1回(ステップST1)、ダイヤルボタンの押下2回(ステップST4およびステップST7)に対応するものである。 (5)式の最小値は、4.969であり、最大値は6.939となる。また、平均値は約5・625である。
【0066】
即ち、第2の実施形態に係る携帯電話2では、カーソルを現在位置から目的位置まで移動させるために必要となるボタンの平均押下回数は、約6回となる。従来の方法では、約23回であったから、およそ1/4となる。
【0067】
このように、第2の実施形態に係る携帯電話2によれば、カーソル移動に要する操作ボタンの押下回数が大幅に削減されるため、短時間でカーソルを目的位置まで移動させることが可能となり、操作性が向上する。
【0068】
(3)第3の実施形態
図10は、第3の実施形態に係る携帯電話2の動作例を示すフローチャートである。また、図11は、第3の実施形態に係る携帯電話2の動作の流れに沿った表示器2aの表示例を示す図である。
【0069】
第2の実施形態ではカーソルの移動を「1」ボタンないし「9」ボタンのダイヤルボタンで行っている。これに対して、第3の実施形態では、カーソルの移動を、上下左右矢印ボタンを用いて行う形態としている。
【0070】
ダイヤルボタンによる操作は簡潔ではあるものの、ユーザによってはボタンの位置を確認しながら操作する場合もある。これに対して、上下左右矢印ボタンはボタンを見なくても操作するブラインドタッチがより行いやすい形態である。
【0071】
上下左右矢印ボタンを用いてカーソルを移動させる場合、カーソルの画面上の位置よりも移動する方向が重視される。そこで、カーソルをセルの中央に表示させる第2の実施形態とは異なり、カーソルをグリッド線の格子点に表示させる形態としている。この表示形態であれば、カーソルの動きはグリッド線上を動くことになるため、グリッド線がカーソルの軌跡を表し、上下左右矢印ボタンとの相性が良い。従って、素早い操作が可能となる。
【0072】
ステップST10で、ユーザが特定のボタン、例えば「通話」ボタン(第1のボタン)を押下することで、携帯電話2は、通常のオペレーションモードからカーソルを高速で移動させるモードに移行する。
【0073】
また、「通話」ボタンの押下により、カーソルの現在位置を格子点の1つとする大きなグリッド線(第1のグリッド線)を表示器2aに表示する(ステップST11)。図11(a)は、この状態を示している。
【0074】
第2の実施形態では、ダイヤルボタンの配置とグリッド線が形成するセルの配置を一致させるために、3行3列のセルに分割するグリッド線としていたが、第3の実施形態ではこのような制約がない。従って、グリッド線の本数や間隔は視認性を重視して選定することが可能であり、図11のように縦横の間隔を等間隔とすることができる。例えば、本実施形態では、縦横のグリッド線の間隔をいずれも80ドット間隔としている。
【0075】
ユーザは、表示画面を見ながらブラインドタッチで上下左右矢印ボタンを押下しながら、カーソルを現在位置から目的位置に近づけていく。カーソルの移動は、上下左右矢印ボタンの一回の押下でグリッド線が形成するセル単位で格子点上を移動する。
【0076】
図11(b)に示した例では、「下」矢印ボタンの1回の押下と、「右」矢印ボタンの1回の押下によってカーソルを現在位置から目的位置の近傍まで移動させている。
【0077】
カーソルを目的位置の近傍まで移動させた後、ユーザは特定のボタン、例えば「確定」ボタン(第2のボタン)を押下する(ステップST16)。
【0078】
「確定」ボタンの押下によって、カーソルが位置する格子点に接する例えば4つのセル(第1のセル)をさらに分割する小さなグリッド線(第2のグリッド線)を表示する。小さなグリッド線によって、大きなセルは小さなセル(第2のセル)に分割される。図11(c)は、この状態を示している。本実施形態では、大きなセルを縦横それぞれ3分割しており、小さなグリッド線の間隔を縦横とも27ドット間隔としている。
【0079】
ステップST18で、ユーザは上下左右矢印ボタンを押下してカーソルをさらに目的位置の近傍まで近づける。この時のカーソルの移動単位は、小さなセル単位となるため、より細かな移動が可能となる。図11(d)に示した例では、「下」矢印ボタンの1回の押下と、「右」矢印ボタンの1回の押下によってカーソルを目的位置の近傍までさらに移動させている。
【0080】
カーソルを目的位置のほぼ近傍まで移動させたのち、ユーザは「確定」ボタンを押下する(ステップST22)。「確定」ボタンの押下によって、カーソル位置を確定し、高速でカーソルを移動させるモードから通常のオペレーションモードに戻る。また、総てのグリッド線を消去する(ステップST23)。図11(e)は、この状態を示している。
【0081】
通常のオペレーションモードでさらにカーソル位置を微調整する場合には、上下左右矢印ボタンを用いて、予め設定されている移動距離d、例えば8ドット単位でカーソルを移動させればよい。
【0082】
大きなグリッド線の格子点をカーソルが移動するときは、1回の上下左右矢印ボタンの押下によって80ドット移動する。前述したように、従来の方法(通常のオペレーションモード)では、1回の上下左右矢印ボタンの押下による移動距離は8ドットであるから、ボタンの平均押下回数は、(4)式の1/10となる。即ち、約2.333回である。
【0083】
小さなグリッド線の格子点をカーソルが移動するときは、大きなセルを分割した3×3の領域の移動を行うことになるので、大きなグリッド線の格子点を移動するときよりも平均押下回数は少なくなる。即ち、小さなグリッド線の格子点をカーソルが移動するときの平均押下回数は、約2.333回よりも少ない。
【0084】
小さなセルの大きさは27×27ドットである。従って通常のオペレーションモードに戻って8ドット単位でカーソル位置の微調整を行うときの平均押下回数は、(5)式とほぼ同じとなり、約2.333回となる。
【0085】
この他、1回の「通話」ボタンの押下、および2回の「確定」ボタンの押下を考慮すると、結局、第3の実施形態に係る携帯電話2の平均押下回数は、
[数7]
2.333+2.333+2.333+10=約10(回) ……(6)
となる。第2の実施形態に係る携帯電話2の平均押下回数の約6回に比べると若干多くなっているが、従来の方法による平均押下回数約23回に比べれば、半分以下の回数となっている。
【0086】
このように、第3の実施形態に係る携帯電話2によれば、第2の実施形態と同様に、カーソル移動に要する操作ボタンの押下回数が大幅に削減されるため、短時間でカーソルを目的位置まで移動させることが可能となり、操作性が向上する。
【0087】
ところで、上下左右矢印ボタンを用いる場合に、カーソルの移動先が表示器2aの表示範囲外となる方向に移動させようとするときがあり得る。このような場合、本実施形態では、カーソルの移動先が表示範囲外であるか否かを判断し(図10のステップST13)、表示範囲外である場合には、表示器2aに表示されている情報機器3の表示画面情報の一部を、カーソルを移動させようとしている方向と逆方向に移動させ、移動した新たな表示画面に対してカーソルの位置設定ができるようにしている。
【0088】
具体例を図12に示している。図12(a)は、情報機器3の表示器3aの表示画面の一例を示したものである。この表示画面の一部(左端の矩形で囲んだ領域)が切り出されて携帯電話2の表示画面(図12(b))に表示されている。
【0089】
図12(b)の状態からカーソルの位置をさらに右に移動させようとした場合、このままではカーソル目的位置が表示器2aに表示されていないため、目的位置に移動させることができない。そこで、本実施形態では、例えば「右」矢印ボタンを押下した場合には、ビュー(表示器3aの一部を切り取った表示領域)を左方向へ、グリッド線の間隔だけ移動させる形態としている。この結果、今まで見えていなかった右隣の表示画像が表示器2a上に現れてカーソルを所望の目的位置に移動させることが可能となる。
【0090】
この動作によって、「右」矢印ボタンを1回押下するだけで、カーソルの移動とビューの移動を同時に行うことができるため、効率の高い操作を実現できる。
【0091】
また、図13(a)に示したように、小さなグリッド線が表示されている場合に、小さなグリッド線の表示範囲外にカーソルを移動させようとする場合もあり得る。
【0092】
本実施形態では、このような場合には図13(b)に示したように、小さなグリッド線の表示領域をカーソルの移動方向に自動的にシフトさせる形態としている。この結果、小さなグリッド線を用いたカーソルの移動を継続的に行うことが可能となり、操作性が向上する。
【0093】
また、図14(a)に示したように、小さなグリッド線が表示されている場合に、小さなグリッド線の表示範囲外であり、かつ表示器2aの表示範囲外の領域にカーソルを移動させようとする場合もあり得る。
【0094】
本実施形態では、このような場合には、図14(b)に示したように、小さなグリッド線の表示領域と表示器2aのビューを、大きなグリッド線の間隔だけ、カーソルの移動方向と逆方向に移動させる形態としている(図10のステップST20)。この結果、今まで見えていなかった右隣の表示画像が表示器2a上に現れ、かつ小さなグリッド線を用いたカーソルの移動可能となり、操作上便利である。
【0095】
第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、「通話」ボタンを用いたキャンセル動作が可能としている。
【0096】
図10のステップST15において、「通話」ボタンが押下されると、大きなグリッド線の表示を消去して、通常のオペレーションモード(ステップST10の直前)に戻る。
【0097】
また、小さなグリッド線が表示されているときに「通話」ボタンが押下されると(ステップST21のyes)、小さなグリッド線を消去して大きなグリッド線の表示状態に戻る。図15は、このキャンセル動作を示す表示例である。
【0098】
なお、第3の実施形態では、通常のオペレーションモードから「通話」ボタンを押下して高速でのカーソル移動モードに移行する際に、現在のカーソル位置は変化しない形態としている(図11(a)参照)。情報機器3で動作しているアプリケーションソフトウェアの種類によっては、通常のオペレーションモードにおける現在のカーソル位置の変化を特定の情報として取り扱う場合がある。本実施形態では、そのようなアプリケーションソフトウェアに対しても影響を与えることがない。
【0099】
(4)第4の実施形態
図16は、第4の実施形態に係る携帯電話2の動作を説明する図である。
【0100】
第4の実施形態に係る携帯電話2の基本的な動作の流れは、図10に示した第3の実施形態のフローチャートと同じ流れとなっている。第3の実施形態との相違点は、通常のオペレーションモードから高速カーソル移動モードに移行したときのカーソルの動きにある。
【0101】
第4の実施形態に係る携帯電話2では、「通話」ボタンを押下すると、大きなグリッド線を表示すると共に、現在のカーソル位置を画面中央の格子点に移動させる形態としている。図16(a)は、この状態を示している。その他の動作は第3の実施形態と同様である。
【0102】
(3)式等から類推できるように、カーソルの初期位置を中央に設定することによって、セル単位の移動であっても、上下左右矢印ボタンの平均押下回数を最小に抑えることができる。この意味で、第4の実施形態は、第3の実施形態の利点に第1の実施形態の利点を付加した形態ということもできる。
【0103】
なお、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る携帯電話が連接される情報機器遠隔操作システムの構成例を示す図。
【図2】本発明に係る携帯電話の第1ないし第4の実施形態に係る構成例を示す図。
【図3】本発明に係る携帯電話の第1ないし第4の実施形態に係る表示器の表示例を示す図。
【図4】本発明に係る携帯電話の第1ないし第4の実施形態に係る操作ボタンの一例を示す図。
【図5】従来の携帯電話の動作を説明する図。
【図6】本発明に係る携帯電話の第1の実施形態に係る動作を説明する図。
【図7】本発明に係る携帯電話の第2の実施形態に係る動作例を示すフローチャート。
【図8】本発明に係る携帯電話の第2の実施形態に係る動作を説明する第1の図。
【図9】本発明に係る携帯電話の第2の実施形態に係る動作を説明する第2の図。
【図10】本発明に係る携帯電話の第3の実施形態に係る動作例を示すフローチャート。
【図11】本発明に係る携帯電話の第3の実施形態に係る動作を説明する第1の図。
【図12】本発明に係る携帯電話の第3の実施形態に係る動作を説明する第2の図。
【図13】本発明に係る携帯電話の第3の実施形態に係る動作を説明する第3の図。
【図14】本発明に係る携帯電話の第3の実施形態に係る動作を説明する第4の図。
【図15】本発明に係る携帯電話の第3の実施形態に係る動作を説明する第5の図。
【図16】本発明に係る携帯電話の第4の実施形態に係る動作を説明する図。
【符号の説明】
【0105】
1 情報機器遠隔操作システム
2 携帯電話
2a 表示器
3 情報機器
4 電気通信回線
20 通信部
21 表示制御部
22 操作制御部
23 操作部
24 操作ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報機器を遠隔操作する機能を有する携帯電話において、
前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示する表示器と、
各種データを入力する複数の操作ボタンと、
前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルを識別可能に表示すると共に、カーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御部と、
前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御部と、
を備えたことを特徴とする携帯電話。
【請求項2】
情報機器を遠隔操作する携帯電話において、
前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示する表示器と、
各種データを入力する複数の操作ボタンと、
前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルの境界を表すグリッド線およびカーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御部と、
前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御部と、
を備えたことを特徴とする携帯電話。
【請求項3】
前記操作ボタンは、3行3列の格子上に配列された9つの第1のボタン、および1つの第2のボタンを少なくとも備えて構成され、
前記第2のボタンの押下によって、
前記表示制御部は、前記表示器を3行3列の9つの第1のセルに分割する第1のグリッド線と、前記9つのセルの何れかの内部に配置されるカーソルとを前記表示器に表示し、
前記9つの第1のボタンのうち何れかのボタンの第1の押下によって、
前記操作制御部は、前記カーソルを、押下された前記第1のボタンの位置と対応する前記第1のセルの内部に移動させると共に、
前記表示制御部は、前記カーソルが位置する第1のセルをさらに3行3列の9つの第2のセルに分割する第2のグリッド線を表示し、
前記9つの第1のボタンのうち何れかのボタンの第2の押下によって、
前記操作制御部は、前記カーソルを、押下された前記第1のボタンの位置と対応する前記第2のセルの内部に移動させると共に、
前記表示制御部は、前記第1および第2のグリッド線を消去する、
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯電話。
【請求項4】
前記操作ボタンは、上下左右の4方向を指定する4つの矢印ボタン、1つの第1のボタン、および1つの第2のボタンを少なくとも備えて構成され、
前記第1のボタンの押下によって、
前記表示制御器は、前記表示器を複数の第1のセルに分割すると共に、前記カーソルの現在の位置をその格子点の1つとする第1のグリッド線を前記表示器に表示し、
前記4つの矢印ボタンの押下によって、
前記操作制御部は、前記矢印ボタンの方向に対応して、前記第1のグリッド線の格子点上を前記第1のセル単位で前記カーソルを移動させ、
前記第2のボタンの第1の押下によって、
前記表示制御器は、前記第1のセルを複数の第2のセルに分割すると共に前記カーソルの現在の位置をその格子点の1つとする第2のグリッド線を、前記カーソルの位置を中心とした所定の範囲に表示し、
前記4つの矢印ボタンの押下によって、
前記操作制御部は、前記矢印ボタンの方向に対応して、前記第2のグリッド線の格子点上を前記第2のセル単位で前記カーソルを移動させ、
前記第2のボタンの第2の押下によって、
前記表示制御部は、前記第1および第2のグリッド線を消去する、
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯電話。
【請求項5】
前記第2のボタンは、前記矢印ボタンの中央に位置するボタンであることを特徴とする請求項4に記載の携帯電話。
【請求項6】
前記4つの矢印ボタンの押下によって、前記カーソルが前記表示器の表示範囲外となる方向に移動させようとした場合には、
前記表示器に表示されている前記情報機器の表示画面情報の一部を、前記カーソルを移動させようと方向と逆方向に移動させ、新たな前記情報機器の表示画面情報を前記表示器に表示させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電話。
【請求項7】
前記4つの矢印ボタンの押下によって、前記カーソルが前記第2のグリッドの表示範囲外となる方向に移動させようとした場合には、
前記第2のグリッドの表示範囲を、前記カーソルを移動させようと方向に移動させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電話。
【請求項8】
前記第1のグリッドが表示されている場合において、
前記第1のボタンの押下によって、
前記表示制御部は、前記第1のグリッドを消去する、
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電話。
【請求項9】
前記第2のグリッド線が表示されている場合において、
前記第1のボタンの押下によって、
前記表示制御部は、前記第2のグリッド線の表示から前記第1のグリッド線の表示に移行する、
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電話。
【請求項10】
情報機器を遠隔操作する携帯電話の遠隔操作方法において、
前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示器に表示する表示ステップと、
複数の操作ボタンを用いて各種データを入力する入力ステップと、
前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルの境界を表すグリッド線およびカーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御ステップと、
前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御ステップと、
を備えたことを特徴とする携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項11】
前記操作ボタンは、3行3列の格子上に配列された9つの第1のボタン、および1つの第2のボタンを少なくとも備えて構成され、
前記第2のボタンの押下によって、
前記表示器を3行3列の9つの第1のセルに分割する第1のグリッド線と、前記9つのセルの何れかの内部に配置されるカーソルとを前記表示器に表示するステップと、
前記9つの第1のボタンのうち何れかのボタンの第1の押下によって、
前記カーソルを、押下された前記第1のボタンの位置と対応する前記第1のセルの内部に移動させると共に、前記カーソルが位置する第1のセルをさらに3行3列の9つの第2のセルに分割する第2のグリッド線を表示するステップと、
前記9つの第1のボタンのうち何れかのボタンの第2の押下によって、
前記カーソルを、押下された前記第1のボタンの位置と対応する前記第2のセルの内部に移動させると共に、前記第1および第2のグリッド線を消去するステップと、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項12】
前記操作ボタンは、上下左右の4方向を指定する4つの矢印ボタン、1つの第1のボタン、および1つの第2のボタンを少なくとも備えて構成され、
前記第1のボタンの押下によって、
前記表示器を複数の第1のセルに分割すると共に、前記カーソルの現在の位置をその格子点の1つとする第1のグリッド線を前記表示器に表示するステップと、
前記4つの矢印ボタンの押下によって、
前記矢印ボタンの方向に対応して、前記第1のグリッド線の格子点上を前記第1のセル単位で前記カーソルを移動させるステップと、
前記第2のボタンの第1の押下によって、
前記第1のセルを複数の第2のセルに分割すると共に前記カーソルの現在の位置をその格子点の1つとする第2のグリッド線を、前記カーソルの位置を中心とした所定の範囲に表示するステップと、
前記4つの矢印ボタンの押下によって、
前記矢印ボタンの方向に対応して、前記第2のグリッド線の格子点上を前記第2のセル単位で前記カーソルを移動させるステップと、
前記第2のボタンの第2の押下によって、
前記第1および第2のグリッド線を消去するステップと、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項13】
前記第2のボタンは、前記矢印ボタンの中央に位置するボタンであることを特徴とする請求項12に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項14】
前記4つの矢印ボタンの押下によって、前記カーソルが前記表示器の表示範囲外となる方向に移動させようとした場合には、
前記表示器に表示されている前記情報機器の表示画面情報の一部を、前記カーソルを移動させようと方向と逆方向に移動させ、新たな前記情報機器の表示画面情報を前記表示器に表示させる、
ことを特徴とする請求項12に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項15】
前記4つの矢印ボタンの押下によって、前記カーソルが前記第2のグリッドの表示範囲外となる方向に移動させようとした場合には、
前記第2のグリッドの表示範囲を、前記カーソルを移動させようと方向に移動させる、
ことを特徴とする請求項12に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項16】
前記第1のグリッドが表示されている場合において、
前記第1のボタンの押下によって、
前記表示制御部は、前記第1のグリッドを消去する、
ことを特徴とする請求項12に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項17】
前記第2のグリッド線が表示されている場合において、
前記第1のボタンの押下によって、
前記表示制御部は、前記第2のグリッド線の表示から前記第1のグリッド線の表示に移行する、
ことを特徴とする請求項12に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項1】
情報機器を遠隔操作する機能を有する携帯電話において、
前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示する表示器と、
各種データを入力する複数の操作ボタンと、
前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルを識別可能に表示すると共に、カーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御部と、
前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御部と、
を備えたことを特徴とする携帯電話。
【請求項2】
情報機器を遠隔操作する携帯電話において、
前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示する表示器と、
各種データを入力する複数の操作ボタンと、
前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルの境界を表すグリッド線およびカーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御部と、
前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御部と、
を備えたことを特徴とする携帯電話。
【請求項3】
前記操作ボタンは、3行3列の格子上に配列された9つの第1のボタン、および1つの第2のボタンを少なくとも備えて構成され、
前記第2のボタンの押下によって、
前記表示制御部は、前記表示器を3行3列の9つの第1のセルに分割する第1のグリッド線と、前記9つのセルの何れかの内部に配置されるカーソルとを前記表示器に表示し、
前記9つの第1のボタンのうち何れかのボタンの第1の押下によって、
前記操作制御部は、前記カーソルを、押下された前記第1のボタンの位置と対応する前記第1のセルの内部に移動させると共に、
前記表示制御部は、前記カーソルが位置する第1のセルをさらに3行3列の9つの第2のセルに分割する第2のグリッド線を表示し、
前記9つの第1のボタンのうち何れかのボタンの第2の押下によって、
前記操作制御部は、前記カーソルを、押下された前記第1のボタンの位置と対応する前記第2のセルの内部に移動させると共に、
前記表示制御部は、前記第1および第2のグリッド線を消去する、
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯電話。
【請求項4】
前記操作ボタンは、上下左右の4方向を指定する4つの矢印ボタン、1つの第1のボタン、および1つの第2のボタンを少なくとも備えて構成され、
前記第1のボタンの押下によって、
前記表示制御器は、前記表示器を複数の第1のセルに分割すると共に、前記カーソルの現在の位置をその格子点の1つとする第1のグリッド線を前記表示器に表示し、
前記4つの矢印ボタンの押下によって、
前記操作制御部は、前記矢印ボタンの方向に対応して、前記第1のグリッド線の格子点上を前記第1のセル単位で前記カーソルを移動させ、
前記第2のボタンの第1の押下によって、
前記表示制御器は、前記第1のセルを複数の第2のセルに分割すると共に前記カーソルの現在の位置をその格子点の1つとする第2のグリッド線を、前記カーソルの位置を中心とした所定の範囲に表示し、
前記4つの矢印ボタンの押下によって、
前記操作制御部は、前記矢印ボタンの方向に対応して、前記第2のグリッド線の格子点上を前記第2のセル単位で前記カーソルを移動させ、
前記第2のボタンの第2の押下によって、
前記表示制御部は、前記第1および第2のグリッド線を消去する、
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯電話。
【請求項5】
前記第2のボタンは、前記矢印ボタンの中央に位置するボタンであることを特徴とする請求項4に記載の携帯電話。
【請求項6】
前記4つの矢印ボタンの押下によって、前記カーソルが前記表示器の表示範囲外となる方向に移動させようとした場合には、
前記表示器に表示されている前記情報機器の表示画面情報の一部を、前記カーソルを移動させようと方向と逆方向に移動させ、新たな前記情報機器の表示画面情報を前記表示器に表示させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電話。
【請求項7】
前記4つの矢印ボタンの押下によって、前記カーソルが前記第2のグリッドの表示範囲外となる方向に移動させようとした場合には、
前記第2のグリッドの表示範囲を、前記カーソルを移動させようと方向に移動させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電話。
【請求項8】
前記第1のグリッドが表示されている場合において、
前記第1のボタンの押下によって、
前記表示制御部は、前記第1のグリッドを消去する、
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電話。
【請求項9】
前記第2のグリッド線が表示されている場合において、
前記第1のボタンの押下によって、
前記表示制御部は、前記第2のグリッド線の表示から前記第1のグリッド線の表示に移行する、
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯電話。
【請求項10】
情報機器を遠隔操作する携帯電話の遠隔操作方法において、
前記情報機器に表示される表示画面情報を受信しその一部を表示器に表示する表示ステップと、
複数の操作ボタンを用いて各種データを入力する入力ステップと、
前記表示器の表示画面を複数のセルに分割し、分割した前記セルの境界を表すグリッド線およびカーソルを前記表示器の表示画面情報に重ねて表示する表示制御ステップと、
前記表示器に表示されるカーソルを、前記操作ボタンの操作に応じて、前記セルの単位で移動させる操作制御ステップと、
を備えたことを特徴とする携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項11】
前記操作ボタンは、3行3列の格子上に配列された9つの第1のボタン、および1つの第2のボタンを少なくとも備えて構成され、
前記第2のボタンの押下によって、
前記表示器を3行3列の9つの第1のセルに分割する第1のグリッド線と、前記9つのセルの何れかの内部に配置されるカーソルとを前記表示器に表示するステップと、
前記9つの第1のボタンのうち何れかのボタンの第1の押下によって、
前記カーソルを、押下された前記第1のボタンの位置と対応する前記第1のセルの内部に移動させると共に、前記カーソルが位置する第1のセルをさらに3行3列の9つの第2のセルに分割する第2のグリッド線を表示するステップと、
前記9つの第1のボタンのうち何れかのボタンの第2の押下によって、
前記カーソルを、押下された前記第1のボタンの位置と対応する前記第2のセルの内部に移動させると共に、前記第1および第2のグリッド線を消去するステップと、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項12】
前記操作ボタンは、上下左右の4方向を指定する4つの矢印ボタン、1つの第1のボタン、および1つの第2のボタンを少なくとも備えて構成され、
前記第1のボタンの押下によって、
前記表示器を複数の第1のセルに分割すると共に、前記カーソルの現在の位置をその格子点の1つとする第1のグリッド線を前記表示器に表示するステップと、
前記4つの矢印ボタンの押下によって、
前記矢印ボタンの方向に対応して、前記第1のグリッド線の格子点上を前記第1のセル単位で前記カーソルを移動させるステップと、
前記第2のボタンの第1の押下によって、
前記第1のセルを複数の第2のセルに分割すると共に前記カーソルの現在の位置をその格子点の1つとする第2のグリッド線を、前記カーソルの位置を中心とした所定の範囲に表示するステップと、
前記4つの矢印ボタンの押下によって、
前記矢印ボタンの方向に対応して、前記第2のグリッド線の格子点上を前記第2のセル単位で前記カーソルを移動させるステップと、
前記第2のボタンの第2の押下によって、
前記第1および第2のグリッド線を消去するステップと、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項13】
前記第2のボタンは、前記矢印ボタンの中央に位置するボタンであることを特徴とする請求項12に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項14】
前記4つの矢印ボタンの押下によって、前記カーソルが前記表示器の表示範囲外となる方向に移動させようとした場合には、
前記表示器に表示されている前記情報機器の表示画面情報の一部を、前記カーソルを移動させようと方向と逆方向に移動させ、新たな前記情報機器の表示画面情報を前記表示器に表示させる、
ことを特徴とする請求項12に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項15】
前記4つの矢印ボタンの押下によって、前記カーソルが前記第2のグリッドの表示範囲外となる方向に移動させようとした場合には、
前記第2のグリッドの表示範囲を、前記カーソルを移動させようと方向に移動させる、
ことを特徴とする請求項12に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項16】
前記第1のグリッドが表示されている場合において、
前記第1のボタンの押下によって、
前記表示制御部は、前記第1のグリッドを消去する、
ことを特徴とする請求項12に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【請求項17】
前記第2のグリッド線が表示されている場合において、
前記第1のボタンの押下によって、
前記表示制御部は、前記第2のグリッド線の表示から前記第1のグリッド線の表示に移行する、
ことを特徴とする請求項12に記載の携帯電話の遠隔操作方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−27851(P2007−27851A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−203066(P2005−203066)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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