携帯電話マルチシステムアクセス制御方法
【課題】携帯電話のマルチシステムアクセスにおいて、呼損率等や災害発生からの時間で、状況に応じて他ネットワーク端末からの受入れを制限し、接続し易いネットワークに接続要求を行なって非常時の輻輳状態を緩和する。
【解決手段】自ネットワークのサービス品質を観測し、その品質を保ちながら、他ネットワークからの接続要求の受入率を決め、受入制限を行う。品質として、呼損率や接続損失率やパケット廃棄率やパケット遅延を用いる。また、マルチシステムアクセス制御状態の経過時間を用いてもよい。これにより、他ネットワークからの接続要求及び通信の増加による、各端末の自ネットワークヘの呼損率、接続損失率、パケット廃棄率やパケット遅延の増加を抑制し、かつ、通信可能となる端末増加も実現できる。さらに、受入率の報知または通知を受けて接続要求するネットワークの選択に重み付けする。
【解決手段】自ネットワークのサービス品質を観測し、その品質を保ちながら、他ネットワークからの接続要求の受入率を決め、受入制限を行う。品質として、呼損率や接続損失率やパケット廃棄率やパケット遅延を用いる。また、マルチシステムアクセス制御状態の経過時間を用いてもよい。これにより、他ネットワークからの接続要求及び通信の増加による、各端末の自ネットワークヘの呼損率、接続損失率、パケット廃棄率やパケット遅延の増加を抑制し、かつ、通信可能となる端末増加も実現できる。さらに、受入率の報知または通知を受けて接続要求するネットワークの選択に重み付けする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、災害時などの通信需要の急増に対して、契約し普段使用している携帯電話ネットワーク(以下では、自ネットワーク)の基地局だけではなく他の携帯電話ネットワーク(以下では、他ネットワーク)の基地局にアクセス(つまり接続)を行なうことによって、通信可能となる携帯電話数を従来の方法よりも増加させることができる携帯電話マルチシステムアクセス制御方法に関している。
【背景技術】
【0002】
地震などの大規模災害時には、大概、被災地への安否確認などで、固定電話や携帯電話への通信需要(呼量)が急増する。とりわけ携帯電話は、利用者が普段携帯しているため、災害時の連絡手段として大変有効である。しかし、携帯電話は有限な決められた周波数帯域の中で通信を行うため、通信需要急増時に必要な通信容量(チャネル数)を確保することが難しいという問題がある。
【0003】
実際、2004年10月に発生した新潟県中越地震では、全国から新潟県への電話が平常ピーク時に比べ、ある携帯電話事業者では、約45倍に達した。しかし、別の携帯電話事業者では約17倍、さらに、別の携帯電話事業者では、3から4倍であった。基地局の停波についても、携帯電話事業者毎に、合計61、37、91局と異なっている。
【0004】
このようなことから、非特許文献1では、自ネットワークの基地局だけではなく、他ネットワークの基地局にもアクセス(接続)するマルチシステムアクセスに着目し、このマルチシステムアクセスによって、ユーザからみて通信可能となる機会を多くすることが検討されている。
【0005】
従来の単一ネットワークにしか接続要求出来ない場合は、接続要求が受け入れられなかった時は呼損となるのみであるが、マルチシステムアクセスの場合は、複数のネットワークへの接続要求の後に最終的にネットワークに接続出来なかった場合と、単に各ネットワークで接続出来ない場合が存在する。そこで、前者を通信損失、後者を呼損または接続損失とする。
【0006】
また、非特許文献1によれば、マルチシステムアクセスの計算機シミユレーションの結果では、自ネットワークの端末の接続要求に加え、他ネットワークの端末からの接続要求が増加するので、各ネットワークヘの接続要求は増加し各ネットワークの負担か増加するとともに、接続損失となる率も増加するか、他ネットワークの基地局で接続か可能となることがあり、最終的に通信可能となる端末が増加することが、明らかになっている。
【0007】
従来の非常時携帯電話マルチシステムアクセスの接続フローチャートは図12の通りである。地震などの非常時には、このフローチャートに沿った処理が行なわれる。
(1)端末は、通信要求が起きると、自ネットワークへ接続要求を行い空きスロット(回線)があれば、通信が開始されるが、無い場合は接続損失となる。
ここで、通常の単一ネットワークしか接続要求出来ない場合は、この通信要求は、通信が出来ないということで、通信損失となり終了となる。しかし、非常時携帯電話マルチシステムアクセスでは、他ネットワークヘ接続を要求する。
(2) 他ネットワークで空き回線がある場合は、その回線を用いて通信を開始し、無い場合は、接続損失となり、
(3)他にネットワークが無い場合は、この通信要求は、通信が出来ないということで、通信損失となり終了となる。
【0008】
非常時携帯電話マルチシステムアクセスは、PHS(Personal Handy-phone System)、PDC(Personal Digital Cellular)、W‐CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、無線LAN(Local Area Network)などの様々な携帯電話システムの内の複数にアクセス可能な端末とネットワーク側が契約外の端末を受け入れるようにすることにより可能である。端末については、PDCとW−CDMAのデュアルモード端末は、既に市販されており、ソフトウェア無線技術の発達により、今後一層、増加し普及していくと予想される。
【0009】
この非常時携帯電話マルチシステムアクセスでは、自ネットワークの基地局が混雑していたり、停波していたりする時に、他ネットワークの基地局で接続が可能となることがあり、最終的に通信可能となる端末が増加する。しかし、自ネットワークの端末の接続要求に加え、他ネットワークの端末からの接続要求が増加するので、各ネットワークヘの接続要求は増加し、各ネットワークの負担が増加するとともに、接続損失となる率も増加する、また、音声をIP(インターネットプロトコル)で伝送する場合やパケット通信を音声通信の回線に混在させて送る場合には、通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延が増加する、という問題があった。また、他ネットワークの端末を接続することで、回線が使用され、自ネットワーク端末の自ネットワークヘの接続損失が増加してしまう。これは、普段使用しているユーザが、他ネットワークのユーザのために、自ネットワークを使えなくなるということを意味し、不公平感が生じるという問題もある。
【0010】
また、従来の他ネットワークを選択可能とした場合の技術として、以下のもの知られている。
【0011】
特許文献1(特開2001−197538号公報)には、受信レベル低下に伴うハンドオーバー時に他ネットワークも含めて受信レベルを測定しユーザの希望ネットワークリストと照らし合わせて、他ネットワークを選択するものが開示されている。また、特許文献2(特開2005−198074号公報)には、ネットワーク選択時に、正確に到達すること、即時性、セキュリティなどの端末で動作するアプリケーションプログラムの属性が適切なネットワークを選択するものが開示されている。また、特許文献3(特開2005−203926号公報)には、ネットワークを選択する時に、着信側端末のユーザの要求または着信側端末の電波状況を考慮して接続を開始するネットワークを選択出来るようにするものが開示されている。また、特許文献4(特開2005−244463号公報)には、携帯電話と無線LANの複数ネットワークに個別番号をもつ移動端末接続時に端末の在圏を考慮して適切なネットヮークを選択するものが開示されている。
【0012】
これらはいずれも、大規模災害時など各ネットワークが混雑しているような輻輳環境下において、注目されるべき問題である自ネットワークを守るためや自ネットワークユーザの接続性を確保するために、他ネットワークからの呼の受入率を制限するものではない。また、端末に受入率を報知して発信呼量自体を減少させるものではない。
【0013】
また、通信ネットワーク間における輻輳の制御に関して、擬似的なネットワーク負荷を与えることにより簡易かつメモリの少なくてすむ輻輳制御装置に関するものとしては、特許文献5(特開平6−326710号公報)がある。しかし、これは、ネットワーク間に流れるトラヒックの制御に関するものであり、自ネットワークを守るために他ネットワーク端末からの選択による発信を制御するものではなく、また、端末に受入率を報知または通知して発信呼量自体を減少させるものではない。
【0014】
【特許文献1】特開2001−197538号公報
【特許文献2】特開2005−198074号公報
【特許文献3】特開2005−203926号公報
【特許文献4】特開2005−244463号公報
【特許文献4】特開平6−326710号公報
【非特許文献1】木村,岡田,小倉,篠田,“大規模災害時の非常時携帯電話マルチシステムアクセスについての一検討,”信学技報,CQ2004-51,pp13-18, 2004年7月
【非特許文献2】ARIB Evaluation Group,“ Evaluation Methodology IMT‐2000 Radio Transmission Technologies (Version.1.1)”, Sep.1998.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来は、非常時であれば、他ネットワークに接続要求するのみであったので、各ネットワークヘの接続要求は増加し、各ネットワークの負担が増加するとともに、接続損失となる率も増加するという問題、また、通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延が増大するという問題があった。また、他ネットワークの端末を接続することで、回線が使用され、自ネットワーク端末の自ネットワークヘの接続損失が増加してしまい、普段使用しているユーザが、他ネットワークのユーザのために、自ネットワークを使えなくなるという問題もあった。
【0016】
本発明では、これらの問題を、呼損率などの観測や災害発生時からの時間によって状況に応じた他ネットワークからの受入れを制限することにより改善する。また、接続要求を抑制するために、接続要求ネットワークの選択に重み付けを用いた接続要求を行なう。
【発明の効果】
【0017】
この発明を適用することで、携帯電話システムにおける非常時の輻輳状態を緩和することができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明では、マルチシステムアクセス時に、自ネットワークのサービス品質を観測し、自ネットワークの端末のサービス品質を維持しながら、他ネットワークからの接続要求を受け入れる率を決め、受入制限を行う。これにより、他ネットワークからの接続要求及び通信の増加に伴う、自ネットワーク端末の自ネットワークヘの接続時のサービス品質である呼損率や接続損失率あるいは通信中のサービス品質である通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延の増加を減少させる。さらに、マルチシステムアクセスによって生じる最終的に通信可能となる端末増加の効果も実現できるようにする。
【0019】
なお、以下では、2つのネットワークが存在する場合を述べているが、多数のネットワークから選択した2つのネットワークについて述べたものであり、また、それぞれのネットワークに接続した複数の基地局から選択した基地局について述べたものであることは、当然のことである。
【0020】
このため、本発明は、第1のネットワークに接続された第1の基地局と、
第2のネットワークに接続された第2の基地局と、
第1の基地局と第2の基地局とに電波を介して接続することができ、それぞれ複数の携帯電話端末を含む第1の端末群と第2の端末群とを含み、
第1の端末群と第2の端末群は、それぞれ第1の基地局と第2の基地局に電波を介して接続しているか接続の待機状態にある携帯電話システムに適用するものである。より詳細には、さらに、非常時である旨の信号を受けて、第1の基地局、第2の基地局、および、第1の端末群あるいは第2の端末群に属するそれぞれの携帯電話端末は、それぞれ自身を、マルチシステムアクセス制御状態に設定するそれぞれの手段と、
接続サービス品質あるいは通信サービス品質を観測する手段と、
他ネットワークからの接続要求に対する受入率を決定する手段と、
を備える携帯電話システムに適用するものである。
このような携帯電話システムにおいて、他ネットワークの端末から接続要求がある場合に、次の手続きに沿って通話を開始する。つまり、
1)マルチシステムアクセス制御状態であるかどうかを判定し、
マルチシステムアクセス制御状態である場合は次のステップに進む。また、マルチシステムアクセス制御状態で無い場合は接続要求を受け付けない。
2)マルチシステムアクセス制御状態で、他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定する。
3)他ネットワークの端末から接続要求を、上記の確率で受け付ける。
4)空き回線の有無を探査し、有る場合は次のステップに進み、無い場合は接続損失として処理する。
5)空き回線がある場合には通話を開始する。
このようにして、非常時である旨の信号を受けて、上記携帯電話システムをマルチシステムアクセス制御状態に設定し、接続サービス品質あるいは通信サービス品質が劣化(あるいは改善)するに従って、他ネットワークからの受け入れを減少(あるいは増加)させる。
【0021】
特に、上記の
2)マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、は、
上記接続サービス品質の指標に従って、マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、
であることができる。
【0022】
また、同様に、上記の
2)マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、は、
上記通信サービス品質の指標に従って、マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、
であることができる。
【0023】
上記接続サービス品質の指標として、自ネットワークの呼損率あるいは接続損失率を用いることができる。
【0024】
また、上記通信サービス品質の指標として、自ネットワークの通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延時間を用いることができる。
【0025】
また、大都市かつ震度の大きな地震などのような大規模災害時では、呼量の増加は急激であり、基地局の停波も多くかつ瞬時に起こるので、観測では追従できないことが予想される。このため、過去の地震時などの呼量変動データから計算し、予め決められた時間毎に受入率を決めておき、受入制限を行うようにする。このため、上記の
2)マルチシステムアクセス制御状態状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定することは、
マルチシステムアクセス制御状態の経過時間に従って行なうことができる。これは、自ネットワークの呼損率、接続損失率、通信中の呼のパケット廃棄率またはパケット遅延が、上記の経過時間とともに回復することが予想される場合にも適用する。
【0026】
第1の基地局あるいは第2の基地局は、種々のイベントや災害の種類ごとに、受入率を、時間帯、あるいは曜日ごとあるいは暦日に従って最適化しておき、設定パラメータとして状況に応じて変えながら運用する。このような運用により、過去のデータを反映した迅速かつ効率的な運用ができるようになる。
【0027】
上記の場合でも、他ネットワークの端末から不要な接続要求が発生するので、これらを抑制することが望まれる。これは次のようにして抑制することが出来る。
まず、それぞれの基地局は端末群に、報知チャネルを用いて受入率を報知する。それぞれの携帯電話端末が他ネットワークへ接続要求を出す場合に、それぞれの端末は、上記報知チャネルから得たそれぞれの基地局の受入率の比較から接続要求する他ネットワークを決定する。多くの場合は、受入率の高い順から接続要求を送信する。
【0028】
上記の報知チャネルによって受入率を報知する代わりに、それぞれの端末群からの接続要求に対する応答として、他ネットワークの基地局の受入率を通知し、
それぞれの携帯電話端末が他ネットワークへ接続要求を出す場合に、それぞれの端末は、上記通知から得たそれぞれの基地局の受入率の比較から接続要求する他ネットワークの基地局を決定することができる。この方法による利点は、携帯電話端末ごとに、受入率の通知内容を変えることが容易である点である。
【0029】
上記ネットワークに加えてさらに多数のネットワークがある場合には、これらのネットワークのいずれかに接続された少なくとも1つの基地局が前記ネットワークに接続された端末群に、上記報知チャネルを用いて受入率を報知するようにしてもよい。
【0030】
非常時である旨の信号は、第1の基地局あるいは第2の基地局が発するようにすることができる。
【0031】
また、非常時である旨の信号は、第1の端末群あるいは第2の端末群に属する携帯電話端末が発するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図6に本発明を適用しようとする携帯電話システムの一例を示す。
図6には、第1のネットワーク(A社基幹回線)に接続された第1の基地局(基地局A)と、第2のネットワーク(B社基幹回線)に接続された第2の基地局(基地局B)と、第1の端末群(端末A−1からA−5)と、第2の端末群(端末B−1からB−4)が示されている。通常の場合は、第1の端末群は第1の基地局に、第2の端末群は第2の基地局に接続されているか接続の待機状態にある。また、携帯端末は、例えば、FOMA(登録商標) N2701(NTTドコモ)のような、デュアルネットワークサービスに対応できるものである。
【0033】
また、図7に、公知の基地局と交換局の一例を示す。この図の構成に本発明を適用する場合に本発明が関わるのは、特に呼制御処理部(CCP)である。この呼制御処理部は移動交換機(MSC)と移動機との発呼/着呼制御などを行う。
【0034】
概要を示すと、本発明では、まず、災害時などの非常時に端末かマルチシステムアクセス可能となった場合に、自ネットワークの呼損率や接続損失率や通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延などを観測し、自ネットワークの端末のサービス品質を維持しながら、他ネットワークからの接続要求の受入率を決める。本発明の特徴は、接続サービス品質である自ネットワークの呼損率や接続損失率など、また、通信サービス品質である通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延などを、通話の妨げとならない程度に他ネットワークからの接続要求を受け入れる点にある。このために、観測型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御、あるいは、観測では追従できない場合のために、予め決められた時間毎に受入率を決めておく予約型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御を行う。これらのフローチャートとブロック構成図を、それぞれ、図1と図2、図3と図4に示す。他の特徴としては、接続要求数を減らすことである。このために、各ネットワークの受入率を、それぞれの基地局から報知チャネルを通して、端末に知らせる。複数のネットワークに属する端末に対して、ひとつの基地局から、各ネットワークの受入率を、報知チャネルを通して各端末に知らせるようにしてもよい。または、端末が自ネットワークに接続要求した時に、自ネットワークからの接続制御信号の中に他ネットワークの受入率の情報を入れる事により情報を得る。端末側では、接続要求ネットワークの選択に重み付けを行い接続要求する。例えば、受入率の高い順から接続要求を行なう。これは、受入率が低い他ネットワークへ接続要求をしても、受け入れられることが少ないためである。
【実施例1】
【0035】
図1は、基地局あるいは交換局での観測型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御フローチャートを示す図である。これは、観測した呼損率に基いて制御するものである。VOIP(Voice Over Internet Protoco1)のようなパケット通信ネットワークの場合および、パケット通信を音声通信の回線に混在させて送る場合には、通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延の観測を用いるが、図1と同様なフローチャートとなる。
まず、非常時である旨の信号を受けて、携帯電話システムがマルチシステムアクセス制御状態になっており、他ネットワークの端末からの接続要求を受け付ける様にしておく。
F1:他ネットワークの端末からの接続要求かあった時、
F2:通常時である場合は接続要求を受け付けないが、地震などか起こり非常時(つまりマルチシステムアクセス制御状態)である場合は、
F3:自ネットワークの呼損率かx1%以下であるなら、
F4:Y1%の確率で接続要求を受付け、X1%以下でなければ、
F7:自ネットワークの呼損率がX2%以下である場合なら、
F8:Y2%の確率で接続要求を受け付ける。
X2%を超えた場合は、
F10:接続要求は受け付けない。
図1では、接続要求受付の確率は2段階しかないが、より詳細に制御したい場合は段階数を増加することで対応する。受け付けられなかった場合は、接続損失となり、受け付けられた場合で、空き回線がある場合は接続を開始し、空き回線がない場合は、接続損失となる。
【0036】
また、図2は、基地局あるいは交換局での観測型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御装置のブロック構成図である。観測した呼損率に基いて制御するものであるが、通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延の観測を用いる場合も同様である。
他ネットワーク端末接続要求観測装置1により他ネットワーク端末の要求が観測されると、自ネットワーク端末呼損率観測装置7、自ネットワーク呼損率判別閾値メモリ8、他ネットワーク受入確率閾値メモリ5からの観測値及び閾値により、他ネットワーク端末接続受入判別装置2が、図1のフローチャートに沿って受入の可否を判別する。受入可と判別されると、空き回線観測装置6が空き回線か存在するとした場合に、接続要求接続判別装置3が接続要求可能と判断し、接続処理装置4にて接続処理が行われる。
【0037】
図3は、基地局あるいは交換局での予約型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御のフローチャートである。この場合も、非常時である旨の信号を受けて、携帯電話システムがマルチシステムアクセス制御状態になっており、他ネットワークの端末からの接続要求を受け付ける様にしておく。
F1:他ネットワークの端末からの接続要求があった時、
F2:通常時である場合は接続要求を受け付けないか、地震などか起こり非常時である場合は、
F3:災害発生からT1時間以内であるなら
F4:Y1%の確率で接続要求を受付け、
F7:T1時間を越えてT2時間以内ならば、
F8:Y2%の確率で接続要求を受け付け、
F10:T2時間を超えた場合は、接続要求を受け付けない。図3でも、接続要求受付の確率は2段階しかないが、より詳細に制御したい場合は段階数を増加することで対応する。受け付けられなかった場合は、接続損失となり、受け付けられた場合で、空き回線がある場合は接続して通信を開始し、
空き回線がない場合は、接続損失となる。
【0038】
図4は、基地局あるいは交換局での予約型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御のブロック構成図である。他ネットワーク端末接続要求観測装置1により、他ネットワーク端末の要求が観測か観測されると、時刻を刻むタイマー9、他ネットワーク受入確率閥値メモリ5からの情報により、他ネットワーク接続受入判別装置2が受入の可否を図3のフローチャートに沿って判別する。受入可と判別されると、空き回線観測装置6が空き回線が存在するとした場合に、接続要求接続判別装置3が接続要求可能と判断し、接続処理装置4にて接続処理が行われる。
【0039】
受入率が低い他ネットワークには、接続要求をしても受け入れられることが少ないので、接続要求数を減らすために、報知チャネルを通じて、各ネットワークの受入率を端末に知らせる。または、端末が自ネットワークに接続要求した時に、その応答として送られる自ネットワークからの接続制御信号の中に他ネットワークの受入率の情報を入れる事により情報を得る。この報知チャネルは、通話に用いるチャネルとは、別に設けるもので、それぞれの携帯端末に共通のチャネルであり、定期的な時間帯に設けられ、ストーリーミング情報として流されるものであってもよい。端末側では、受入率の低いネットワークには、あまり接続要求をしないように、接続要求ネットワークの選択に重み付けを行い接続を要求する。例えば、受入率の高い順から接続要求を行なう。
【0040】
図5は、携帯電話システムをマルチシステムアクセス制御状態に設定する操作も含めたフローチャートである。まず、準備として、
F11:非常時である旨の信号を受けて、携帯電話システムをマルチシステムアクセス制御状態に設定し、
F12:他ネットワークの携帯端末からの接続要求を受け付ける確率Pを決定する。
ここで、
F1:他ネットワークの携帯端末からの接続要求を受信した場合、
F2:携帯電話システムがマルチシステムアクセス制御状態でない場合は、その受付を拒否し(F10)、マルチシステムアクセス制御状態である場合は、
F3:他ネットワークの携帯端末からの接続要求を上記の確率Pで受付け、
F5:空き回線を探査して、空き回線が無い場合は接続損失として処理し(F9)、それがある場合は、
F6:接続して通信を開始する。
【実施例2】
【0041】
次に、本発明の計算機シミュレーションと、その結果について説明する。このためのシミュレーションモデルとして、図8に示す様に、マクロセルネットワークとマイクロセルネットワークが存在し、2つがオーバーレイしているものを用いた。また、図8のように、ビル群と道路からなる非特許文献2の記載にあるマンハツタンモデルを参考として、サービスエリアを21×21ブロックに設定した。マクロセルネットワークとマイクロセルネットワークの基地局は、それぞれ道路上に一定の規則に従って配置した。
【0042】
図9にモデルの中のブロックと道路の構成を示す。エッジ効果を避けるため、統計データを取得した範囲は、中心部の7×7ブロックとした。また、端末の移動は考慮しないこととした。この際の主要なシミュレーション条件を図10の表に示す。単一ネットワークしかアクセス出来ない場合(SSA)、非常時マルチシステムアクセスの場合(EMSA)、EMSAに呼損率の観測に基く受入れ制限制御を行った場合(EMSA−C)、について計算機シミュレーションを行った。また、受入制限制御の場合では、マイクロセルネットワークの呼損率が0.7になるまで受入率を0.3とし、それ以上の呼損率では受け入れないこととし、マクロセルネットワークでは、制御を行わなかった。
【0043】
これらの条件で、シミユレーションした結果を図11の表に示す。
最終的に通信できなかった通信損失率は、合計で、SSAが0.487、EMSAが0.286、EMSA−Cが0.389となった。EMSAでは、他ネットワークに接続要求できるので、通信損失率はSSAより低くなり、最終的に通信できる端末が多くなる。
【0044】
受入制限制御がある場合(EMSA−C)は、他ネットワークからの受入が制限されるので、EMSAより通信損失率が増加してしまうが、SSAよりは低くなる。また、マイクロセルネットワークだけみると、受入制限により、マイクロセルネットワークの端末は、自ネットワークであるマイクロセルネットワークヘの接続が、他ネットワークであるマクロセルネットワークの端末の接続要求によりできなくなることが少なくなるので、0.129とEMSAより低くなる。
【0045】
接続要求数についてみると、EMSAでは、合計373886と、他ネットワークからの接続要求により、増加して、各ネットワークの負担か増加してしまう。しかし、EMSA−Cでは、283811と、SSAに比べ、大きくは増加しない。
【0046】
さらに、接続損失率についてみると、SSAでは、マイクロセルネットワークの接続損失率か0.0294であったのに対し、EMSAでは、他ネットワークであるマクロセルネットワークの接続要求を受けるため0.535と非常に高くなってしまう。しかし、EMSA−Cでは、0.251と、受入を制限するため、接続損失率の増加が抑えられる。
【0047】
このように、EMSAに呼損率の観測に基く受入れ制限制御を行った場合には、受入制限制御により、各ネットワークの負荷が軽減され、自ネットワーク接続要求が守られる上に、最終的に通信できる場合を示す通信損失率の低下も得られることが、計算機シミュレーションで明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、災害時の通信需要の急増に対してだけでなく、お正月の挨拶電話による輻輳や、サッカー場や野球場、コンサート会場など、イベントによる輻輳状態の対策としても利用できる。
【0049】
また、種々のイベントや災害の種類ごとに、受入率を、時間帯、あるいは曜日ごとあるいは暦日に従って最適化しておき、本発明を適用する際に、設定パラメータとして状況に応じて変えながら運用することで、携帯電話ユーザからみた不便を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】基地局あるいは交換局での観測型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御フローチャートを示す図である。
【図2】図2は、基地局あるいは交換局での観測型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御装置のブロック構成図である。
【図3】基地局あるいは交換局での予約型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御のフローチャートである。
【図4】基地局あるいは交換局での予約型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御のブロック構成図である。
【図5】携帯電話システムをマルチシステムアクセス制御状態に設定する操作も含めたフローチャートである。
【図6】本発明を適用しようとする携帯電話システムの一例を示す図である。
【図7】公知の基地局と交換局の一例を示す図である。
【図8】計算機シミュレーションモデルを示す図である。
【図9】計算機シミュレーションモデルの中のブロックと道路の構成を示す図である。
【図10】主要なシミュレーション条件の表を示す図である。
【図11】シミユレーション結果の表を示す図である。
【図12】従来の非常時携帯電話マルチシステムアクセスの接続フローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 他ネットワーク端末接続要求観測装置
2 他ネットワーク端末接続受入判別装置
3 接続要求接続判別装置
4 接続処理装置
5 他ネットワーク受入確率閥値メモリ
6 空き回線観測装置
7 自ネットワーク端末呼損率観測装置
8 自ネットワーク呼損率判別閾値メモリ
9 タイマー
【技術分野】
【0001】
この発明は、災害時などの通信需要の急増に対して、契約し普段使用している携帯電話ネットワーク(以下では、自ネットワーク)の基地局だけではなく他の携帯電話ネットワーク(以下では、他ネットワーク)の基地局にアクセス(つまり接続)を行なうことによって、通信可能となる携帯電話数を従来の方法よりも増加させることができる携帯電話マルチシステムアクセス制御方法に関している。
【背景技術】
【0002】
地震などの大規模災害時には、大概、被災地への安否確認などで、固定電話や携帯電話への通信需要(呼量)が急増する。とりわけ携帯電話は、利用者が普段携帯しているため、災害時の連絡手段として大変有効である。しかし、携帯電話は有限な決められた周波数帯域の中で通信を行うため、通信需要急増時に必要な通信容量(チャネル数)を確保することが難しいという問題がある。
【0003】
実際、2004年10月に発生した新潟県中越地震では、全国から新潟県への電話が平常ピーク時に比べ、ある携帯電話事業者では、約45倍に達した。しかし、別の携帯電話事業者では約17倍、さらに、別の携帯電話事業者では、3から4倍であった。基地局の停波についても、携帯電話事業者毎に、合計61、37、91局と異なっている。
【0004】
このようなことから、非特許文献1では、自ネットワークの基地局だけではなく、他ネットワークの基地局にもアクセス(接続)するマルチシステムアクセスに着目し、このマルチシステムアクセスによって、ユーザからみて通信可能となる機会を多くすることが検討されている。
【0005】
従来の単一ネットワークにしか接続要求出来ない場合は、接続要求が受け入れられなかった時は呼損となるのみであるが、マルチシステムアクセスの場合は、複数のネットワークへの接続要求の後に最終的にネットワークに接続出来なかった場合と、単に各ネットワークで接続出来ない場合が存在する。そこで、前者を通信損失、後者を呼損または接続損失とする。
【0006】
また、非特許文献1によれば、マルチシステムアクセスの計算機シミユレーションの結果では、自ネットワークの端末の接続要求に加え、他ネットワークの端末からの接続要求が増加するので、各ネットワークヘの接続要求は増加し各ネットワークの負担か増加するとともに、接続損失となる率も増加するか、他ネットワークの基地局で接続か可能となることがあり、最終的に通信可能となる端末が増加することが、明らかになっている。
【0007】
従来の非常時携帯電話マルチシステムアクセスの接続フローチャートは図12の通りである。地震などの非常時には、このフローチャートに沿った処理が行なわれる。
(1)端末は、通信要求が起きると、自ネットワークへ接続要求を行い空きスロット(回線)があれば、通信が開始されるが、無い場合は接続損失となる。
ここで、通常の単一ネットワークしか接続要求出来ない場合は、この通信要求は、通信が出来ないということで、通信損失となり終了となる。しかし、非常時携帯電話マルチシステムアクセスでは、他ネットワークヘ接続を要求する。
(2) 他ネットワークで空き回線がある場合は、その回線を用いて通信を開始し、無い場合は、接続損失となり、
(3)他にネットワークが無い場合は、この通信要求は、通信が出来ないということで、通信損失となり終了となる。
【0008】
非常時携帯電話マルチシステムアクセスは、PHS(Personal Handy-phone System)、PDC(Personal Digital Cellular)、W‐CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、無線LAN(Local Area Network)などの様々な携帯電話システムの内の複数にアクセス可能な端末とネットワーク側が契約外の端末を受け入れるようにすることにより可能である。端末については、PDCとW−CDMAのデュアルモード端末は、既に市販されており、ソフトウェア無線技術の発達により、今後一層、増加し普及していくと予想される。
【0009】
この非常時携帯電話マルチシステムアクセスでは、自ネットワークの基地局が混雑していたり、停波していたりする時に、他ネットワークの基地局で接続が可能となることがあり、最終的に通信可能となる端末が増加する。しかし、自ネットワークの端末の接続要求に加え、他ネットワークの端末からの接続要求が増加するので、各ネットワークヘの接続要求は増加し、各ネットワークの負担が増加するとともに、接続損失となる率も増加する、また、音声をIP(インターネットプロトコル)で伝送する場合やパケット通信を音声通信の回線に混在させて送る場合には、通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延が増加する、という問題があった。また、他ネットワークの端末を接続することで、回線が使用され、自ネットワーク端末の自ネットワークヘの接続損失が増加してしまう。これは、普段使用しているユーザが、他ネットワークのユーザのために、自ネットワークを使えなくなるということを意味し、不公平感が生じるという問題もある。
【0010】
また、従来の他ネットワークを選択可能とした場合の技術として、以下のもの知られている。
【0011】
特許文献1(特開2001−197538号公報)には、受信レベル低下に伴うハンドオーバー時に他ネットワークも含めて受信レベルを測定しユーザの希望ネットワークリストと照らし合わせて、他ネットワークを選択するものが開示されている。また、特許文献2(特開2005−198074号公報)には、ネットワーク選択時に、正確に到達すること、即時性、セキュリティなどの端末で動作するアプリケーションプログラムの属性が適切なネットワークを選択するものが開示されている。また、特許文献3(特開2005−203926号公報)には、ネットワークを選択する時に、着信側端末のユーザの要求または着信側端末の電波状況を考慮して接続を開始するネットワークを選択出来るようにするものが開示されている。また、特許文献4(特開2005−244463号公報)には、携帯電話と無線LANの複数ネットワークに個別番号をもつ移動端末接続時に端末の在圏を考慮して適切なネットヮークを選択するものが開示されている。
【0012】
これらはいずれも、大規模災害時など各ネットワークが混雑しているような輻輳環境下において、注目されるべき問題である自ネットワークを守るためや自ネットワークユーザの接続性を確保するために、他ネットワークからの呼の受入率を制限するものではない。また、端末に受入率を報知して発信呼量自体を減少させるものではない。
【0013】
また、通信ネットワーク間における輻輳の制御に関して、擬似的なネットワーク負荷を与えることにより簡易かつメモリの少なくてすむ輻輳制御装置に関するものとしては、特許文献5(特開平6−326710号公報)がある。しかし、これは、ネットワーク間に流れるトラヒックの制御に関するものであり、自ネットワークを守るために他ネットワーク端末からの選択による発信を制御するものではなく、また、端末に受入率を報知または通知して発信呼量自体を減少させるものではない。
【0014】
【特許文献1】特開2001−197538号公報
【特許文献2】特開2005−198074号公報
【特許文献3】特開2005−203926号公報
【特許文献4】特開2005−244463号公報
【特許文献4】特開平6−326710号公報
【非特許文献1】木村,岡田,小倉,篠田,“大規模災害時の非常時携帯電話マルチシステムアクセスについての一検討,”信学技報,CQ2004-51,pp13-18, 2004年7月
【非特許文献2】ARIB Evaluation Group,“ Evaluation Methodology IMT‐2000 Radio Transmission Technologies (Version.1.1)”, Sep.1998.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来は、非常時であれば、他ネットワークに接続要求するのみであったので、各ネットワークヘの接続要求は増加し、各ネットワークの負担が増加するとともに、接続損失となる率も増加するという問題、また、通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延が増大するという問題があった。また、他ネットワークの端末を接続することで、回線が使用され、自ネットワーク端末の自ネットワークヘの接続損失が増加してしまい、普段使用しているユーザが、他ネットワークのユーザのために、自ネットワークを使えなくなるという問題もあった。
【0016】
本発明では、これらの問題を、呼損率などの観測や災害発生時からの時間によって状況に応じた他ネットワークからの受入れを制限することにより改善する。また、接続要求を抑制するために、接続要求ネットワークの選択に重み付けを用いた接続要求を行なう。
【発明の効果】
【0017】
この発明を適用することで、携帯電話システムにおける非常時の輻輳状態を緩和することができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明では、マルチシステムアクセス時に、自ネットワークのサービス品質を観測し、自ネットワークの端末のサービス品質を維持しながら、他ネットワークからの接続要求を受け入れる率を決め、受入制限を行う。これにより、他ネットワークからの接続要求及び通信の増加に伴う、自ネットワーク端末の自ネットワークヘの接続時のサービス品質である呼損率や接続損失率あるいは通信中のサービス品質である通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延の増加を減少させる。さらに、マルチシステムアクセスによって生じる最終的に通信可能となる端末増加の効果も実現できるようにする。
【0019】
なお、以下では、2つのネットワークが存在する場合を述べているが、多数のネットワークから選択した2つのネットワークについて述べたものであり、また、それぞれのネットワークに接続した複数の基地局から選択した基地局について述べたものであることは、当然のことである。
【0020】
このため、本発明は、第1のネットワークに接続された第1の基地局と、
第2のネットワークに接続された第2の基地局と、
第1の基地局と第2の基地局とに電波を介して接続することができ、それぞれ複数の携帯電話端末を含む第1の端末群と第2の端末群とを含み、
第1の端末群と第2の端末群は、それぞれ第1の基地局と第2の基地局に電波を介して接続しているか接続の待機状態にある携帯電話システムに適用するものである。より詳細には、さらに、非常時である旨の信号を受けて、第1の基地局、第2の基地局、および、第1の端末群あるいは第2の端末群に属するそれぞれの携帯電話端末は、それぞれ自身を、マルチシステムアクセス制御状態に設定するそれぞれの手段と、
接続サービス品質あるいは通信サービス品質を観測する手段と、
他ネットワークからの接続要求に対する受入率を決定する手段と、
を備える携帯電話システムに適用するものである。
このような携帯電話システムにおいて、他ネットワークの端末から接続要求がある場合に、次の手続きに沿って通話を開始する。つまり、
1)マルチシステムアクセス制御状態であるかどうかを判定し、
マルチシステムアクセス制御状態である場合は次のステップに進む。また、マルチシステムアクセス制御状態で無い場合は接続要求を受け付けない。
2)マルチシステムアクセス制御状態で、他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定する。
3)他ネットワークの端末から接続要求を、上記の確率で受け付ける。
4)空き回線の有無を探査し、有る場合は次のステップに進み、無い場合は接続損失として処理する。
5)空き回線がある場合には通話を開始する。
このようにして、非常時である旨の信号を受けて、上記携帯電話システムをマルチシステムアクセス制御状態に設定し、接続サービス品質あるいは通信サービス品質が劣化(あるいは改善)するに従って、他ネットワークからの受け入れを減少(あるいは増加)させる。
【0021】
特に、上記の
2)マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、は、
上記接続サービス品質の指標に従って、マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、
であることができる。
【0022】
また、同様に、上記の
2)マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、は、
上記通信サービス品質の指標に従って、マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、
であることができる。
【0023】
上記接続サービス品質の指標として、自ネットワークの呼損率あるいは接続損失率を用いることができる。
【0024】
また、上記通信サービス品質の指標として、自ネットワークの通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延時間を用いることができる。
【0025】
また、大都市かつ震度の大きな地震などのような大規模災害時では、呼量の増加は急激であり、基地局の停波も多くかつ瞬時に起こるので、観測では追従できないことが予想される。このため、過去の地震時などの呼量変動データから計算し、予め決められた時間毎に受入率を決めておき、受入制限を行うようにする。このため、上記の
2)マルチシステムアクセス制御状態状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定することは、
マルチシステムアクセス制御状態の経過時間に従って行なうことができる。これは、自ネットワークの呼損率、接続損失率、通信中の呼のパケット廃棄率またはパケット遅延が、上記の経過時間とともに回復することが予想される場合にも適用する。
【0026】
第1の基地局あるいは第2の基地局は、種々のイベントや災害の種類ごとに、受入率を、時間帯、あるいは曜日ごとあるいは暦日に従って最適化しておき、設定パラメータとして状況に応じて変えながら運用する。このような運用により、過去のデータを反映した迅速かつ効率的な運用ができるようになる。
【0027】
上記の場合でも、他ネットワークの端末から不要な接続要求が発生するので、これらを抑制することが望まれる。これは次のようにして抑制することが出来る。
まず、それぞれの基地局は端末群に、報知チャネルを用いて受入率を報知する。それぞれの携帯電話端末が他ネットワークへ接続要求を出す場合に、それぞれの端末は、上記報知チャネルから得たそれぞれの基地局の受入率の比較から接続要求する他ネットワークを決定する。多くの場合は、受入率の高い順から接続要求を送信する。
【0028】
上記の報知チャネルによって受入率を報知する代わりに、それぞれの端末群からの接続要求に対する応答として、他ネットワークの基地局の受入率を通知し、
それぞれの携帯電話端末が他ネットワークへ接続要求を出す場合に、それぞれの端末は、上記通知から得たそれぞれの基地局の受入率の比較から接続要求する他ネットワークの基地局を決定することができる。この方法による利点は、携帯電話端末ごとに、受入率の通知内容を変えることが容易である点である。
【0029】
上記ネットワークに加えてさらに多数のネットワークがある場合には、これらのネットワークのいずれかに接続された少なくとも1つの基地局が前記ネットワークに接続された端末群に、上記報知チャネルを用いて受入率を報知するようにしてもよい。
【0030】
非常時である旨の信号は、第1の基地局あるいは第2の基地局が発するようにすることができる。
【0031】
また、非常時である旨の信号は、第1の端末群あるいは第2の端末群に属する携帯電話端末が発するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図6に本発明を適用しようとする携帯電話システムの一例を示す。
図6には、第1のネットワーク(A社基幹回線)に接続された第1の基地局(基地局A)と、第2のネットワーク(B社基幹回線)に接続された第2の基地局(基地局B)と、第1の端末群(端末A−1からA−5)と、第2の端末群(端末B−1からB−4)が示されている。通常の場合は、第1の端末群は第1の基地局に、第2の端末群は第2の基地局に接続されているか接続の待機状態にある。また、携帯端末は、例えば、FOMA(登録商標) N2701(NTTドコモ)のような、デュアルネットワークサービスに対応できるものである。
【0033】
また、図7に、公知の基地局と交換局の一例を示す。この図の構成に本発明を適用する場合に本発明が関わるのは、特に呼制御処理部(CCP)である。この呼制御処理部は移動交換機(MSC)と移動機との発呼/着呼制御などを行う。
【0034】
概要を示すと、本発明では、まず、災害時などの非常時に端末かマルチシステムアクセス可能となった場合に、自ネットワークの呼損率や接続損失率や通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延などを観測し、自ネットワークの端末のサービス品質を維持しながら、他ネットワークからの接続要求の受入率を決める。本発明の特徴は、接続サービス品質である自ネットワークの呼損率や接続損失率など、また、通信サービス品質である通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延などを、通話の妨げとならない程度に他ネットワークからの接続要求を受け入れる点にある。このために、観測型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御、あるいは、観測では追従できない場合のために、予め決められた時間毎に受入率を決めておく予約型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御を行う。これらのフローチャートとブロック構成図を、それぞれ、図1と図2、図3と図4に示す。他の特徴としては、接続要求数を減らすことである。このために、各ネットワークの受入率を、それぞれの基地局から報知チャネルを通して、端末に知らせる。複数のネットワークに属する端末に対して、ひとつの基地局から、各ネットワークの受入率を、報知チャネルを通して各端末に知らせるようにしてもよい。または、端末が自ネットワークに接続要求した時に、自ネットワークからの接続制御信号の中に他ネットワークの受入率の情報を入れる事により情報を得る。端末側では、接続要求ネットワークの選択に重み付けを行い接続要求する。例えば、受入率の高い順から接続要求を行なう。これは、受入率が低い他ネットワークへ接続要求をしても、受け入れられることが少ないためである。
【実施例1】
【0035】
図1は、基地局あるいは交換局での観測型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御フローチャートを示す図である。これは、観測した呼損率に基いて制御するものである。VOIP(Voice Over Internet Protoco1)のようなパケット通信ネットワークの場合および、パケット通信を音声通信の回線に混在させて送る場合には、通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延の観測を用いるが、図1と同様なフローチャートとなる。
まず、非常時である旨の信号を受けて、携帯電話システムがマルチシステムアクセス制御状態になっており、他ネットワークの端末からの接続要求を受け付ける様にしておく。
F1:他ネットワークの端末からの接続要求かあった時、
F2:通常時である場合は接続要求を受け付けないが、地震などか起こり非常時(つまりマルチシステムアクセス制御状態)である場合は、
F3:自ネットワークの呼損率かx1%以下であるなら、
F4:Y1%の確率で接続要求を受付け、X1%以下でなければ、
F7:自ネットワークの呼損率がX2%以下である場合なら、
F8:Y2%の確率で接続要求を受け付ける。
X2%を超えた場合は、
F10:接続要求は受け付けない。
図1では、接続要求受付の確率は2段階しかないが、より詳細に制御したい場合は段階数を増加することで対応する。受け付けられなかった場合は、接続損失となり、受け付けられた場合で、空き回線がある場合は接続を開始し、空き回線がない場合は、接続損失となる。
【0036】
また、図2は、基地局あるいは交換局での観測型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御装置のブロック構成図である。観測した呼損率に基いて制御するものであるが、通信中の呼のパケット廃棄率やパケット遅延の観測を用いる場合も同様である。
他ネットワーク端末接続要求観測装置1により他ネットワーク端末の要求が観測されると、自ネットワーク端末呼損率観測装置7、自ネットワーク呼損率判別閾値メモリ8、他ネットワーク受入確率閾値メモリ5からの観測値及び閾値により、他ネットワーク端末接続受入判別装置2が、図1のフローチャートに沿って受入の可否を判別する。受入可と判別されると、空き回線観測装置6が空き回線か存在するとした場合に、接続要求接続判別装置3が接続要求可能と判断し、接続処理装置4にて接続処理が行われる。
【0037】
図3は、基地局あるいは交換局での予約型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御のフローチャートである。この場合も、非常時である旨の信号を受けて、携帯電話システムがマルチシステムアクセス制御状態になっており、他ネットワークの端末からの接続要求を受け付ける様にしておく。
F1:他ネットワークの端末からの接続要求があった時、
F2:通常時である場合は接続要求を受け付けないか、地震などか起こり非常時である場合は、
F3:災害発生からT1時間以内であるなら
F4:Y1%の確率で接続要求を受付け、
F7:T1時間を越えてT2時間以内ならば、
F8:Y2%の確率で接続要求を受け付け、
F10:T2時間を超えた場合は、接続要求を受け付けない。図3でも、接続要求受付の確率は2段階しかないが、より詳細に制御したい場合は段階数を増加することで対応する。受け付けられなかった場合は、接続損失となり、受け付けられた場合で、空き回線がある場合は接続して通信を開始し、
空き回線がない場合は、接続損失となる。
【0038】
図4は、基地局あるいは交換局での予約型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御のブロック構成図である。他ネットワーク端末接続要求観測装置1により、他ネットワーク端末の要求が観測か観測されると、時刻を刻むタイマー9、他ネットワーク受入確率閥値メモリ5からの情報により、他ネットワーク接続受入判別装置2が受入の可否を図3のフローチャートに沿って判別する。受入可と判別されると、空き回線観測装置6が空き回線が存在するとした場合に、接続要求接続判別装置3が接続要求可能と判断し、接続処理装置4にて接続処理が行われる。
【0039】
受入率が低い他ネットワークには、接続要求をしても受け入れられることが少ないので、接続要求数を減らすために、報知チャネルを通じて、各ネットワークの受入率を端末に知らせる。または、端末が自ネットワークに接続要求した時に、その応答として送られる自ネットワークからの接続制御信号の中に他ネットワークの受入率の情報を入れる事により情報を得る。この報知チャネルは、通話に用いるチャネルとは、別に設けるもので、それぞれの携帯端末に共通のチャネルであり、定期的な時間帯に設けられ、ストーリーミング情報として流されるものであってもよい。端末側では、受入率の低いネットワークには、あまり接続要求をしないように、接続要求ネットワークの選択に重み付けを行い接続を要求する。例えば、受入率の高い順から接続要求を行なう。
【0040】
図5は、携帯電話システムをマルチシステムアクセス制御状態に設定する操作も含めたフローチャートである。まず、準備として、
F11:非常時である旨の信号を受けて、携帯電話システムをマルチシステムアクセス制御状態に設定し、
F12:他ネットワークの携帯端末からの接続要求を受け付ける確率Pを決定する。
ここで、
F1:他ネットワークの携帯端末からの接続要求を受信した場合、
F2:携帯電話システムがマルチシステムアクセス制御状態でない場合は、その受付を拒否し(F10)、マルチシステムアクセス制御状態である場合は、
F3:他ネットワークの携帯端末からの接続要求を上記の確率Pで受付け、
F5:空き回線を探査して、空き回線が無い場合は接続損失として処理し(F9)、それがある場合は、
F6:接続して通信を開始する。
【実施例2】
【0041】
次に、本発明の計算機シミュレーションと、その結果について説明する。このためのシミュレーションモデルとして、図8に示す様に、マクロセルネットワークとマイクロセルネットワークが存在し、2つがオーバーレイしているものを用いた。また、図8のように、ビル群と道路からなる非特許文献2の記載にあるマンハツタンモデルを参考として、サービスエリアを21×21ブロックに設定した。マクロセルネットワークとマイクロセルネットワークの基地局は、それぞれ道路上に一定の規則に従って配置した。
【0042】
図9にモデルの中のブロックと道路の構成を示す。エッジ効果を避けるため、統計データを取得した範囲は、中心部の7×7ブロックとした。また、端末の移動は考慮しないこととした。この際の主要なシミュレーション条件を図10の表に示す。単一ネットワークしかアクセス出来ない場合(SSA)、非常時マルチシステムアクセスの場合(EMSA)、EMSAに呼損率の観測に基く受入れ制限制御を行った場合(EMSA−C)、について計算機シミュレーションを行った。また、受入制限制御の場合では、マイクロセルネットワークの呼損率が0.7になるまで受入率を0.3とし、それ以上の呼損率では受け入れないこととし、マクロセルネットワークでは、制御を行わなかった。
【0043】
これらの条件で、シミユレーションした結果を図11の表に示す。
最終的に通信できなかった通信損失率は、合計で、SSAが0.487、EMSAが0.286、EMSA−Cが0.389となった。EMSAでは、他ネットワークに接続要求できるので、通信損失率はSSAより低くなり、最終的に通信できる端末が多くなる。
【0044】
受入制限制御がある場合(EMSA−C)は、他ネットワークからの受入が制限されるので、EMSAより通信損失率が増加してしまうが、SSAよりは低くなる。また、マイクロセルネットワークだけみると、受入制限により、マイクロセルネットワークの端末は、自ネットワークであるマイクロセルネットワークヘの接続が、他ネットワークであるマクロセルネットワークの端末の接続要求によりできなくなることが少なくなるので、0.129とEMSAより低くなる。
【0045】
接続要求数についてみると、EMSAでは、合計373886と、他ネットワークからの接続要求により、増加して、各ネットワークの負担か増加してしまう。しかし、EMSA−Cでは、283811と、SSAに比べ、大きくは増加しない。
【0046】
さらに、接続損失率についてみると、SSAでは、マイクロセルネットワークの接続損失率か0.0294であったのに対し、EMSAでは、他ネットワークであるマクロセルネットワークの接続要求を受けるため0.535と非常に高くなってしまう。しかし、EMSA−Cでは、0.251と、受入を制限するため、接続損失率の増加が抑えられる。
【0047】
このように、EMSAに呼損率の観測に基く受入れ制限制御を行った場合には、受入制限制御により、各ネットワークの負荷が軽減され、自ネットワーク接続要求が守られる上に、最終的に通信できる場合を示す通信損失率の低下も得られることが、計算機シミュレーションで明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、災害時の通信需要の急増に対してだけでなく、お正月の挨拶電話による輻輳や、サッカー場や野球場、コンサート会場など、イベントによる輻輳状態の対策としても利用できる。
【0049】
また、種々のイベントや災害の種類ごとに、受入率を、時間帯、あるいは曜日ごとあるいは暦日に従って最適化しておき、本発明を適用する際に、設定パラメータとして状況に応じて変えながら運用することで、携帯電話ユーザからみた不便を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】基地局あるいは交換局での観測型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御フローチャートを示す図である。
【図2】図2は、基地局あるいは交換局での観測型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御装置のブロック構成図である。
【図3】基地局あるいは交換局での予約型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御のフローチャートである。
【図4】基地局あるいは交換局での予約型非常時マルチシステムアクセス受入制限制御のブロック構成図である。
【図5】携帯電話システムをマルチシステムアクセス制御状態に設定する操作も含めたフローチャートである。
【図6】本発明を適用しようとする携帯電話システムの一例を示す図である。
【図7】公知の基地局と交換局の一例を示す図である。
【図8】計算機シミュレーションモデルを示す図である。
【図9】計算機シミュレーションモデルの中のブロックと道路の構成を示す図である。
【図10】主要なシミュレーション条件の表を示す図である。
【図11】シミユレーション結果の表を示す図である。
【図12】従来の非常時携帯電話マルチシステムアクセスの接続フローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 他ネットワーク端末接続要求観測装置
2 他ネットワーク端末接続受入判別装置
3 接続要求接続判別装置
4 接続処理装置
5 他ネットワーク受入確率閥値メモリ
6 空き回線観測装置
7 自ネットワーク端末呼損率観測装置
8 自ネットワーク呼損率判別閾値メモリ
9 タイマー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワークに接続された第1の基地局と、
第2のネットワークに接続された第2の基地局と、
第1の基地局と第2の基地局とに電波を介して接続することができ、それぞれ複数の携帯電話端末を含む第1の端末群と第2の端末群とを含み、
第1の端末群と第2の端末群は、それぞれ第1の基地局と第2の基地局に電波を介して接続しているか接続の待機状態にある携帯電話システムにおいて、
さらに、
非常時である旨の信号を受けて、
第1の基地局、第2の基地局、および、第1の端末群あるいは第2の端末群に属するそれぞれの携帯電話端末は、それぞれ自身を、マルチシステムアクセス制御状態に設定するそれぞれの手段と、
接続サービス品質あるいは通信サービス品質を観測する手段と、
他ネットワークからの接続要求に対する受け入れ率を決定する手段と、
を、備え、
他ネットワークの端末から接続要求がある場合に、
1)マルチシステムアクセス制御状態であるかどうかを判定し、
マルチシステムアクセス制御状態である場合は次のステップに進み、マルチシステムアクセス制御状態で無い場合は接続要求を受け付けないステップと、
2)マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップと、
3)他ネットワークの端末から接続要求を、上記の確率で受け付けるステップと、
4)空き回線の有無を検証し、有る場合は次のステップに進み、無い場合は接続損失として処理するステップと、
5)空き回線がある場合には通信を開始するステップと、
を備え、
非常時である旨の信号を受けて、上記携帯電話システムをマルチシステムアクセス制御状態に設定し、接続サービス品質あるいは通信サービス品質が劣化(あるいは改善)するに従って、他ネットワークからの受け入れを減少(あるいは増加)させることを特徴とする携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項2】
上記の
2)マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、は、
上記接続サービス品質の指標に従って、マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、
であることを特徴とする、請求項1に記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項3】
上記の
2)マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、は、
上記通信サービス品質の指標に従って、マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、
であることを特徴とする、請求項1に記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項4】
上記接続サービス品質の指標として、
自ネットワークの呼損率あるいは接続損失率を用いることを特徴とする請求項2に記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項5】
上記通信サービス品質の指標として、
自ネットワークのパケット廃棄率あるいはパケット遅延時間を用いることを特徴とする請求項3に記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項6】
上記の
2)マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、は、
マルチシステムアクセス制御状態の経過時間に従って、マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、
であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項7】
第1の基地局あるいは第2の基地局は、種々のイベントや災害の種類ごとに、受入率を、時間帯、あるいは曜日ごとあるいは暦日に従って最適化しておき、設定パラメータとして状況に応じて変えながら運用することを特徴する請求項1から6のいずれか1つに記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項8】
それぞれの基地局はそれぞれの端末群に、報知チャネルを用いて受入率を報知し、
それぞれの携帯電話端末が他ネットワークへ接続要求を出す場合に、それぞれの端末は、上記報知チャネルから得たそれぞれの基地局の受入率の比較から接続要求する他ネットワークを決定することを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1つに記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項9】
それぞれの基地局は、それぞれの端末群からの接続要求に対する応答として、他ネットワークの基地局の受入率を通知し、
それぞれの携帯電話端末が他ネットワークへ接続要求を出す場合に、それぞれの端末は、上記通知から得たそれぞれの基地局の受入率の比較から接続要求する他ネットワークの基地局を決定することを特徴とする、
請求項1から8のいずれか1つに記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項10】
上記ネットワークに加えてさらに多数のネットワークを含み、これらのネットワークのいずれかに接続された少なくとも1つの基地局が前記ネットワークに接続された端末群に、上記報知チャネルを用いて受入率を報知することを特徴とする、請求項9に記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項11】
非常時である旨の信号は、
第1の基地局あるいは第2の基地局が発することを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項12】
非常時である旨の信号は、
第1の端末群あるいは第2の端末群に属する携帯電話端末が発することを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項1】
第1のネットワークに接続された第1の基地局と、
第2のネットワークに接続された第2の基地局と、
第1の基地局と第2の基地局とに電波を介して接続することができ、それぞれ複数の携帯電話端末を含む第1の端末群と第2の端末群とを含み、
第1の端末群と第2の端末群は、それぞれ第1の基地局と第2の基地局に電波を介して接続しているか接続の待機状態にある携帯電話システムにおいて、
さらに、
非常時である旨の信号を受けて、
第1の基地局、第2の基地局、および、第1の端末群あるいは第2の端末群に属するそれぞれの携帯電話端末は、それぞれ自身を、マルチシステムアクセス制御状態に設定するそれぞれの手段と、
接続サービス品質あるいは通信サービス品質を観測する手段と、
他ネットワークからの接続要求に対する受け入れ率を決定する手段と、
を、備え、
他ネットワークの端末から接続要求がある場合に、
1)マルチシステムアクセス制御状態であるかどうかを判定し、
マルチシステムアクセス制御状態である場合は次のステップに進み、マルチシステムアクセス制御状態で無い場合は接続要求を受け付けないステップと、
2)マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップと、
3)他ネットワークの端末から接続要求を、上記の確率で受け付けるステップと、
4)空き回線の有無を検証し、有る場合は次のステップに進み、無い場合は接続損失として処理するステップと、
5)空き回線がある場合には通信を開始するステップと、
を備え、
非常時である旨の信号を受けて、上記携帯電話システムをマルチシステムアクセス制御状態に設定し、接続サービス品質あるいは通信サービス品質が劣化(あるいは改善)するに従って、他ネットワークからの受け入れを減少(あるいは増加)させることを特徴とする携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項2】
上記の
2)マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、は、
上記接続サービス品質の指標に従って、マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、
であることを特徴とする、請求項1に記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項3】
上記の
2)マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、は、
上記通信サービス品質の指標に従って、マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、
であることを特徴とする、請求項1に記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項4】
上記接続サービス品質の指標として、
自ネットワークの呼損率あるいは接続損失率を用いることを特徴とする請求項2に記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項5】
上記通信サービス品質の指標として、
自ネットワークのパケット廃棄率あるいはパケット遅延時間を用いることを特徴とする請求項3に記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項6】
上記の
2)マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、は、
マルチシステムアクセス制御状態の経過時間に従って、マルチシステムアクセス制御状態で他ネットワークの端末から接続要求を受け付ける確率を決定するステップ、
であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項7】
第1の基地局あるいは第2の基地局は、種々のイベントや災害の種類ごとに、受入率を、時間帯、あるいは曜日ごとあるいは暦日に従って最適化しておき、設定パラメータとして状況に応じて変えながら運用することを特徴する請求項1から6のいずれか1つに記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項8】
それぞれの基地局はそれぞれの端末群に、報知チャネルを用いて受入率を報知し、
それぞれの携帯電話端末が他ネットワークへ接続要求を出す場合に、それぞれの端末は、上記報知チャネルから得たそれぞれの基地局の受入率の比較から接続要求する他ネットワークを決定することを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1つに記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項9】
それぞれの基地局は、それぞれの端末群からの接続要求に対する応答として、他ネットワークの基地局の受入率を通知し、
それぞれの携帯電話端末が他ネットワークへ接続要求を出す場合に、それぞれの端末は、上記通知から得たそれぞれの基地局の受入率の比較から接続要求する他ネットワークの基地局を決定することを特徴とする、
請求項1から8のいずれか1つに記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項10】
上記ネットワークに加えてさらに多数のネットワークを含み、これらのネットワークのいずれかに接続された少なくとも1つの基地局が前記ネットワークに接続された端末群に、上記報知チャネルを用いて受入率を報知することを特徴とする、請求項9に記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項11】
非常時である旨の信号は、
第1の基地局あるいは第2の基地局が発することを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【請求項12】
非常時である旨の信号は、
第1の端末群あるいは第2の端末群に属する携帯電話端末が発することを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の携帯電話マルチシステムアクセス制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−111603(P2009−111603A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280435(P2007−280435)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】
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