説明

携帯電話機用カバー

【課題】携帯電話機に電子キーの機能を持たせる際の利便性を向上させることのできる携帯電話機用カバーを提供する。
【解決手段】この携帯電話機用カバーは、携帯電話機の外面を覆うカバー本体2からなる。ここでは、車両の電子キーシステムを構成する電子キーの機能部品が組み込まれたモジュール部3をカバー本体2に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機を保護するための携帯電話機用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子キーを所持したユーザが車両ドアに接近することにより車両ドアの解錠が自動的に実行されるとともに、ユーザが車室内に入ることによりエンジンの始動等が許可される、いわゆる電子キーシステムが周知である。この電子キーシステムでは、車両ドアの周辺に設定された通信エリア、あるいは車室内に設定された通信エリアに電子キーが進入すると、車両に設けられた車載機と電子キーとの間で無線通信が行われるとともに、この無線通信を通じて電子キーの認証が行われる。そして、電子キーの認証が成立すると、車両ドアの解錠やエンジン始動許可などの各種制御が実行される。このような電子キーシステムによれば、ユーザの直接的な手動操作によることなく車両の各種操作が自動的に行われるため、車両の操作にかかる利便性が大きく向上するようになる。
【0003】
ところで、このような電子キーシステムにあっては、ユーザが電子キーを携帯所持する必要があるため、ユーザの所持品数が増加してしまい、ひいては携帯性が損なわれるおそれがある。
【0004】
そこで従来は、例えば特許文献1に見られるように、普及率の高い携帯電話機に電子キーの機能を搭載するといった方法などが提案されている。このような方法によれば、ユーザは携帯電話機を所持するだけで車両ドアの解錠などを実行することができるため、電子キーを所持しない分だけ携帯性が向上するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−181119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、携帯電話機に電子キーの機能を搭載することで、確かに携帯性が向上するようにはなる。ただし、既存の携帯電話機には通常、電子キーの機能が搭載されていないため、こうした携帯電話機に電子キーの機能を新たに設けるとなると、携帯電話機のハードウェア及びソフトウェアを大幅に変更したり、あるいは携帯電話機に新たなハードウェアやソフトウェアを追加する必要がある。このため、既存の携帯電話機を所持しているユーザにとっては利用し難いものとなっている。
【0007】
なお、このような課題は、車両の電子キーシステムに限らず、例えば玄関ドアに設けられた施解錠装置と電子キーとの間の無線通信を通じて玄関ドアの施解錠を行う電子キーシステムにも共通する課題である。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、携帯電話機に電子キーの機能を持たせる際の利便性を向上させることのできる携帯電話機用カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、携帯電話機の外面を覆うカバー本体と、該カバー本体に設けられて、電子キーシステムを構成する電子キーの機能部品が組み込まれたモジュール部とを備えることを要旨としている。
【0010】
同構成によれば、ユーザが、電子キーの機能を有していない携帯電話機を所持している場合であっても、携帯電話機にカバー本体を装着するだけで、カバー本体に設けられたモジュール部を通じて電子キーシステムを利用することができる。したがって、携帯電話機のハードウェアやソフトウェアの大幅な変更などを必要とすることなく電子キーシステムを利用することができるため、利便性が向上するようになる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯電話機用カバーにおいて、前記モジュール部が前記カバー本体に対して取り外し可能に設けられていることを要旨としている。
同構成によれば、ユーザが携帯電話機を買い換えた際に、買い換え前の携帯電話機に対応するカバー本体からモジュール部を取り外した後、買い換え後の携帯電話機に対応するカバー本体にモジュール部を装着すれば、買い換え後の携帯電話機でも電子キーシステムを利用することができるため、利便性が更に向上するようになる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の携帯電話機用カバーにおいて、前記モジュール部には、前記電子キーの機能部品のうちのアンテナを除く部分が組み込まれ、前記カバー本体には、前記アンテナが一体的に設けられていることを要旨としている。
【0013】
電子キーの機能部品が組み込まれたモジュール部をカバー本体に設けるようにした場合、携帯電話機に設けられた金属体とモジュール部との位置関係によっては次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、モジュール部に内蔵されたアンテナを介して無線信号を授受する際に、携帯電話機の金属体によって無線信号の授受が阻害されてしまい、モジュール部において無線信号を適切に授受することができないおそれがある。そしてこのようにモジュール部において無線信号を適切に授受することができない場合、電子キーシステムとして要求される機能に支障をきたすおそれがある。このような問題に対しては、例えば携帯電話機の金属体と干渉しないようにアンテナをモジュール部に配置するといった方法も考えられるが、携帯電話機の金属体の位置は携帯電話機毎にそれぞれ異なるため、全ての携帯電話機に対して最適となるようにアンテナを配置することが難しいといった実情がある。この点、上記構成によるように、カバー本体にアンテナを一体的に設けることとすれば、各種携帯電話機に対応するカバー毎に最適な位置及び形状となるようにアンテナを配置することで、ユーザが携帯電話機の買い換えの際にそのカバーを変更するだけで、上述した携帯電話機の金属体による無線通信への影響を低減することができる。このため、モジュール部が安定した無線通信を行うことができるようになる。
【0014】
そしてこの場合、請求項4に記載の発明によるように、前記カバー本体が、2つのカバー部材からなる分割体として構成されている、といった構成を採用すれば、カバー本体を携帯電話機に装着する際の利便性が高められるようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の携帯電話機用カバーにおいて、前記カバー本体を構成する2つのカバー部材のうちの一方のカバー部材には、その他方のカバー部材との当接面に開口部を有して同開口部から挿入される前記モジュール部を収容する凹部が形成されていることを要旨としている。
【0016】
同構成によれば、ユーザによって2つのカバー部材が組み付けられた際に、凹部の開口部を他方のカバー部材によって閉塞することができるため、部品点数の増加を回避しつつ、凹部からのモジュール部の脱落を防止することができるようになる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の携帯電話機用カバーにおいて、前記カバー本体を構成する2つのカバー部材のうちの一方のカバー部材には、その他方のカバー部材との当接面に開口部を有して同開口部から挿入されるメカニカルキーを収容する凹部が形成されていることを要旨としている。
【0018】
同構成によれば、携帯電話機にカバーを装着することで、携帯電話機にメカニカルキーを付属させることができるため、利便性が向上するようになる。また、ユーザによって2つのカバー部材が組み付けられた際に、凹部の開口部を他方のカバー部材によって閉塞することができるため、部品点数の増加を回避しつつ、凹部からのメカニカルキーの脱落を防止することができるようにもなる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の携帯電話機用カバーにおいて、前記カバー本体を構成する2つのカバー部材のうちの一方のカバー部材には、前記モジュール部の動作電源となる電池を露出する態様にて同モジュール部が設けられるとともに、その他方のカバー部材には、前記一方のカバー部材から露出した前記電池を覆うための電池カバーが形成されていることを要旨としている。
【0020】
同構成によれば、ユーザによって2つのカバー部材が分離されたとき、モジュール部の電池が一方のカバー部材から露出するため、ユーザは、この露出した部分を把持することで、モジュール部から電池を容易に取り出すことができる。このため、電池交換が容易となる。また、ユーザによって2つのカバー部材が互いに組み付けられたとき、その他方のカバー部材に形成された電池カバーによって電池が覆われるため、電池カバーを別途設ける必要がない。したがって、部品点数を削減することができるようにもなる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の携帯電話機用カバーにおいて、前記カバー本体を構成する2つのカバー部材のうちの一方の部材には、その他方の部材との当接面から導出されるかたちでメカニカルキーが一体的に形成されるとともに、その他方の部材には、前記メカニカルキーを収容するための凹部が形成されていることを要旨としている。
【0022】
同構成によるように、カバー本体を構成する2つの部材のうちの一方の部材にメカニカルキーを一体的に形成することとすれば、部品点数の増加を伴うことなく、携帯電話機用カバーにメカニカルキーを設けることができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる携帯電話機用カバーによれば、携帯電話機に電子キーの機能を持たせる際の利便性を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかる携帯電話機用カバーの第1の実施形態について携帯電話機に装着された状態での斜視構造を示す斜視図。
【図2】同第1の実施形態の携帯電話機用カバーについてその分解斜視構造を示す斜視図。
【図3】同第1の実施形態の携帯電話機用カバーについてその斜視構造を示す斜視図。
【図4】同第1の実施形態の携帯電話機用カバーの他の例について携帯電話機に装着された状態での斜視構造を示す斜視図。
【図5】同第1の実施形態の携帯電話機用カバーの他の例についてその分解斜視構造を示す斜視図。
【図6】車両の電子キーシステムのシステム構成を示すブロック図。
【図7】同第1の実施形態の携帯電話機用カバーの変形例についてその分解斜視構造を示す斜視図。
【図8】図7のA−A線に沿った断面構造を示す断面図。
【図9】本発明にかかる携帯電話機用カバーの第2の実施形態についてその分解斜視構造を示す斜視図。
【図10】同第2の実施形態の携帯電話機用カバーについてそのアンテナ部の斜視構造を示す斜視図。
【図11】図10のB−B線に沿った断面構造を示す断面図。
【図12】同第2の実施形態の携帯電話機用カバーの他の例についてその分解斜視構造を示す斜視図。
【図13】同第2の実施形態の携帯電話機用カバーの他の例についてそのアンテナ部の斜視構造を示す斜視図。
【図14】図13のC−C線に沿った断面構造を示す断面図。
【図15】本発明にかかる携帯電話機用カバーの第3の実施形態についてその分解斜視構造を示す斜視図。
【図16】同第3の実施形態の携帯電話機用カバーについてその正面構造を示す斜視図。
【図17】同第3の実施形態の携帯電話機用カバーについてその第2のカバー部材のメカニカルキーを含む断面の構造を示す断面図。
【図18】本発明にかかる携帯電話機用カバーの第4の実施形態についてその分解斜視構造を示す斜視図。
【図19】同第4の実施形態の携帯電話機用カバーについてそのカバー部材のボタン電池を含む断面の構造を示す断面図。
【図20】本発明にかかる携帯電話機用カバーの第5の実施形態についてその分解斜視構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる携帯電話機用カバーの第1の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。はじめに、図1及び図2を参照して、本実施形態にかかる携帯電話機用カバーの構造について説明する。なお、図1及び図2に例示する携帯電話機1には、車両の電子キーシステムの電子キーの機能が搭載されていないとする。
【0026】
図1に示すように、携帯電話機1は、薄型直方体状に形成された携帯電話機であって、その正面には、各種情報を表示したり、当該携帯電話機1にかかる各種操作を行うためのタッチパネル11と共に、電話などの際に用いられるスピーカ12や操作ボタン13を有している。また、当該携帯電話機1の底面には、電話などの際に用いられるマイク(図示略)が配設されている。そしてこの携帯電話機1には、これらタッチパネル11などの部品を露出する態様にてカバー本体2が装着されており、このカバー本体2によって携帯電話機1の外面が保護されている。
【0027】
ここで、図2に示すように、本実施形態では、カバー本体2を、携帯電話機1の上部に装着される第1のカバー部材20と、携帯電話機1の下部に装着される第2のカバー部材21との分割体として構成することによって、携帯電話機1への装着に際しての利便性が高められている。なお、カバー本体2は、例えばゴムやプラスチックなどによって形成されている。また、第1のカバー部材20及び第2のカバー部材21には、これらの部材を一体的に組み付けるための図示しない組み付け構造が形成されている。ここで、第2のカバー部材21において携帯電話機1の背面を保護する部分となる背面保護部21aには、第1のカバー部材20との当接面21bに開口部22aを有する凹部22が形成されており、この凹部22に、電子キーシステムの電子キーの機能部品が一体的に組み込まれたモジュール部3が収容される。なお、このモジュール部3は、背面保護部21aと同一の板厚からなる直方体状の部材であって、その正面、背面、及び上面が背面保護部21aの各面と同一面となるように凹部22に収容される。また、凹部22において互いに対向する2つの内壁面には、凹部22の内側に向けて突出するとともに、上下方向(矢印a1,a2で示す方向)に延伸された突出部23がそれぞれ形成されている。一方、モジュール部3の右側壁及び左側壁には、この突出部23に係合する溝部30がそれぞれ形成されている。そして、凹部22の開口部22aからモジュール部3を挿入する際に、凹部22に形成された突出部23がモジュール部3の溝部30に係合することによって、モジュール部3が第2のカバー部材21に組み付けられる。また、図3に示すように、ユーザによって第1及び第2のカバー部材20,21が互いに組み付けられると、凹部22の開口部22aが第1のカバー部材20によって閉塞されるため、凹部22からのモジュール部3の脱落を防止することができる。また、ユーザによって第1及び第2のカバー部材20,21が分離された場合には、凹部22からモジュール部3を取り出すことができる。
【0028】
次に、図4及び図5を参照して、携帯電話機1と異なる外形形状を有する携帯電話機用カバーについて説明する。なお、同図4に例示する携帯電話機4にも、車両の電子キーシステムの電子キーの機能が搭載されていないとする。
【0029】
図4に示すように、この携帯電話機4は、先の図1に例示した携帯電話機1とほぼ同様の外形を有しているが、その上面及び底面に突出部を有しているといった点で携帯電話機1と異なる外形をなしている。そしてこの携帯電話機4の外面には、その外形形状に対応した形状を有するカバー本体5が装着されている。ここで図5に示すように、このカバー本体5は、上記カバー本体2とほぼ同様の構造を有するものであって、基本的には、携帯電話機4の上部に装着される第1のカバー部材50と、携帯電話機4の下部に装着される第2のカバー部材51との分割体として構成されている。このうち、第2のカバー部材51において携帯電話機4の背面を保護する部分となる背面保護部51aには、第1のカバー部材50との当接面51bに開口部52aを有して上記凹部22と同一の形状からなる凹部52が形成されている。そして、この凹部52の右側壁及び左側壁にも、モジュール部3の溝部30に係合する突出部53がそれぞれ形成されている。したがって、ユーザは、例えば上記携帯電話機1から携帯電話機4に買い換えたとき、先の図2に例示したカバー本体2からモジュール部3を取り外した後、このモジュール部3を図5に例示する凹部52に挿入すれば、携帯電話機4に対応するカバー本体5にモジュール部3を装着することができる。
【0030】
次に、図6を参照して、モジュール部3の電気的な構成、並びに同モジュール部3を含めて構成される車両の電子キーシステムの構成、動作について説明する。なお、この車両の電子キーシステムは、車両に搭載された車載機6とモジュール部3との間の無線通信を通じて車両ドアの解錠やエンジン始動許可などを行うシステムである。
【0031】
図6に示すように、モジュール部3には、車載機6から送信されるLF帯の無線信号(リクエスト信号)を受信するための受信回路32とともに、リクエスト信号の受信に基づき車載機6に対してUHF帯の応答信号を送信するための送信回路34が設けられている。そして、受信回路32を通じて受信されるリクエスト信号に基づく応答信号の生成、及びこの生成した応答信号の上記送信回路34を介しての送信制御が、同じくモジュール部3に設けられた制御部35を通じて統括的に行われる。この制御部35は、演算処理装置(CPU)や不揮発性のメモリ35aなどを有してマイクロコンピュータを中心に構成されている。また、このモジュール部3には、ボタン型電池36が内蔵されており、このボタン型電池36によって、受信回路32、送信回路34、及び制御部35の動作電源が確保されている。
【0032】
このような構成からなるモジュール部3にあって、車両ドアの周辺に設定された通信エリアA、あるいは車室内に設定された通信エリアBに対して車載機6からリクエスト信号が発せられているとするときに、ユーザが所持する携帯電話機1あるいは携帯電話機4がこの通信エリアに進入したとすると、車両の電子キーシステムは次のように動作する。すなわちこのシステムでは、車載機6から送信されたリクエスト信号が受信アンテナ31を介して上記受信回路32により受信されるとともに、このリクエスト信号が上記制御部35に伝達される。制御部35は、こうしてリクエスト信号が伝達されると、内蔵するメモリ35aに記憶されている識別コード(IDコード)を含む応答信号を生成してこれを送信回路34へ伝達して、この応答信号を送信アンテナ33を介して車載機6に送信する。このようにして応答信号が送信されることにより、車載機6はこれを受信するとともに、受信した応答信号に含まれるIDコードと自身に予め登録されているIDコードとの照合を行う。そして、互いのIDコードが一致することをもって、ドアロック機構を通じて車両ドアを解錠したり、あるいはエンジン始動装置による車載エンジンの始動を許可する。
【0033】
携帯電話機用カバーとしてのこうした構成によれば、ユーザは、電子キーの機能を有していない携帯電話機1を所持している場合であっても、携帯電話機1に上記カバー本体2を装着するだけで、カバー本体2に設けられたモジュール部3を通じて車両の電子キーシステムを利用することが可能となる。したがって、携帯電話機1のハードウェアやソフトウェアの大幅な変更などを必要とすることなく電子キーシステムを利用することができるため、利便性が向上するようになる。
【0034】
また、ユーザは、例えば携帯電話機1から先の図5に例示した携帯電話機4に買い換えたとき、携帯電話機1に対応するカバー本体2からモジュール部3を取り外した後、同モジュール部3を携帯電話機4に対応するカバー本体5に装着すれば、携帯電話機4でも電子キーシステムを利用することができるため、利便性が更に向上するようになる。また、モジュール部3に登録されているIDコードをそのまま用いることができるため、携帯電話機の買い換えの際に車載機6にIDコードを登録する作業を行う必要がないといった点でも利便性が向上するようになる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態にかかる携帯電話機用カバーによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)携帯電話機1,4の外面を覆うカバー本体2,5に、電子キーの機能部品が組み込まれたモジュール部3を設けることとした。これにより、ユーザは、携帯電話機1,4のハードウェアやソフトウェアの大幅な変更などを必要とすることなく車両の電子キーシステムを利用することができるため、利便性が向上するようになる。
【0036】
(2)モジュール部3をカバー本体2,5に対して取り外し可能に設けることとした。これにより、ユーザは、携帯電話機を買い換えた場合であっても、買い換え後の携帯電話機に対応するカバー本体にモジュール部3を装着するだけで買い換え後の携帯電話機でも車両の電子キーシステムを利用することができるため、利便性が更に向上するようになる。また、車載機6にIDコードを登録する作業を行う必要がないため、こうした点でも利便性が向上するようになる。
【0037】
(3)カバー本体2を、第1及び第2のカバー部材20,21からなる分割体として構成することとした。また、カバー本体5を、第1及び第2のカバー部材50,51からなる分割体として構成することとした。これにより、携帯電話機1にカバー本体2を装着する際の利便性、並びに携帯電話機4にカバー本体5を装着する際の利便性が高められるようになる。
【0038】
(4)第2のカバー部材21,51には、第1のカバー部材20,50との当接面21b,51bに開口部22a,52aを有して同開口部22a,52aから挿入されるモジュール部3を収容する凹部22,52をそれぞれ形成することとした。これにより、部品点数の増加を回避しつつ、凹部22からのモジュール部3の脱落を防止することができるようになる。
【0039】
(変形例)
図7及び図8に、上記第1の実施形態にかかる携帯電話機用カバーの変形例を示す。
同図7に示されるように、この変形例では、カバー本体2を一体的に形成するようにしている。また、図8に併せ示されるように、カバー本体2において携帯電話機1の背面を保護する部分となる背面保護部2aには、モジュール部3を脱着可能に収容するための凹部2bが形成されている。なお、携帯電話機4に対応するカバー本体5も同様の構成を採用することとする。携帯電話機用カバーとしてのこうした構成によっても、上記第1の実施形態による(1),(2)の効果に準じた効果が得られるようになる。
【0040】
<第2の実施形態>
続いて、本発明にかかる携帯電話機用カバーの第2の実施形態について図9〜図14を参照して説明する。なお、この第2の実施形態もその基本構造は先の図1〜図5に例示した構造に準ずるものであり、ここでは先の図2に対応する図として、携帯電話機1に対応するカバー本体2の斜視構造を図9に示す。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0041】
上記第1の実施形態のように、電子キーの機能部品が組み込まれたモジュール部3をカバー本体2に設けるようにした場合、携帯電話機1に設けられた金属体とモジュール部3との位置関係によっては次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、受信アンテナ31及び送信アンテナ33を介してリクエスト信号及び応答信号を授受する際に、携帯電話機1の金属体によってリクエスト信号及び応答信号の授受が阻害されるおそれがある。この場合、モジュール部3においてリクエスト信号及び応答信号の授受を適切に行うことができなくなるため、電子キーシステムとして要求される機能に支障をきたすおそれがある。このような問題に対しては、例えば携帯電話機1の金属体と干渉しないように各アンテナ31,33をモジュール部3に配置するといった方法も考えられるが、携帯電話機の金属体の位置は携帯電話機毎に異なるため、全ての携帯電話機に対して最適となるように各アンテナを配置することが難しいといった実情がある。
【0042】
そこで本実施形態では、電子キーの機能部品のうち、受信アンテナ31及び送信アンテナ33をカバー本体に一体的に設けることとしている。また、各携帯電話機に対応するカバーには、最適な位置及び形状となるように受信アンテナ31及び送信アンテナ33を設ける。
【0043】
具体的には、図9に示すように、第1のカバー部材20において携帯電話機1の背面を保護する部分となる背面保護部20aには、上記受信アンテナ31及び送信アンテナ33を備えるアンテナ部8がインサート成形などにより埋設されている。図10に示すように、このアンテナ部8は、受信アンテナ31及び送信アンテナ33が実装された基板80をモールド部材によって封止(モールド)することで構成されている。このうち、受信アンテナ31は、上記LF帯のリクエスト信号を直交する3軸方向で各別に受信する3つのコイルアンテナ31a〜31cからなるものであって、各コイルアンテナ31a〜31cは、携帯電話機1にカバー本体2が装着された際に、携帯電話機1の金属体から離間するように図中の位置に配置されている。これにより、コイルアンテナ31a〜31cを介してリクエスト信号を受信する際に、携帯電話機1の金属体の影響を回避することができるため、リクエスト信号を適切に受信することが可能となる。
【0044】
一方、送信アンテナ33は、基板80の外周に沿って環状に配設されるループアンテナからなる。図10のB−B線に沿った断面構造を図11に示すように、この送信アンテナ33には、携帯電話機1に設けられた金属体1aの外面S1mに対して直交する方向に突出する段差部33aが形成されている。これにより、この段差部33aにおいて金属体1aの外面S1mに対して直交する方向に延びる部位33bでは、金属体1aの外面S1mが導体面として働くため、応答信号の送信に伴い送信アンテナ33への給電が行われた際に、部位33bの鏡像が金属体1a側に形成される。このため、送信アンテナ33から送信される応答信号の信号強度を強めることができるため、携帯電話機1の金属体によって応答信号の送信が阻害されるような状況であっても、応答信号を的確に送信することができるようになる。
【0045】
また、図9及び図10に示されるように、基板80には、背面保護部20aの第2のカバー部材21との当接面20bから導出される金属ターミナルT1,T2が接続されている。これら金属ターミナルT1,T2は、当該アンテナ部8の入力端子及び出力端子として機能する部分である。
【0046】
一方、本実施形態のモジュール部3には、電子キーの機能部品のうちの受信アンテナ31及び送信アンテナ33を除く要素、すなわち受信回路32、送信回路34、制御部35、及びボタン型電池36が組み込まれている。また、図9に示されるように、このモジュール部3には、ユーザによって第1及び第2のカバー部材20,21が組み付けられた際に上記金属ターミナルT1,T2に接触する端子P1,P2が設けられている。そして、これらの端子P1,P2に金属ターミナルT1,T2が接触することで、モジュール部3とアンテナ部8とが電気的に接続される。
【0047】
次に、図12〜図14を参照して、上記携帯電話機4のカバー本体5について説明する。図12は、先の図5に対応する図として、携帯電話機4に対応するカバー本体5の分解斜視構造を示したものである。
【0048】
同図12に示されるように、このカバー本体5も、先の図9に例示したカバー本体2とほぼ同様の構造を有している。すなわち、第1のカバー部材50において携帯電話機4の背面を保護する部分となる背面保護部50aには、受信アンテナ31及び送信アンテナ33を備えるアンテナ部9がインサート成形などにより埋設されている。図13に示すように、このアンテナ部9は、受信アンテナ31を構成するコイルアンテナ31a〜31c、及び送信アンテナ33を構成するループアンテナが実装された基板90をモールド部材によって封止することで構成されている。このうち、コイルアンテナ31a〜31cは、携帯電話機4にカバー本体5が装着された際に携帯電話機4に設けられた金属体から離間するように図中の位置に配置されている。なお、同図13と先の図10とを比較して明らかなように、基板90におけるコイルアンテナ31a〜31cの配置と、基板80におけるコイルアンテナ31a〜31cの配置とが互いに異なっている。本実施形態ではこのように各種携帯電話機に対応するそれぞれのカバーにおいてコイルアンテナ31a〜31cの配置を適宜変更することにより、全ての携帯電話機でリクエスト信号を適切に受信することができるようになっている。
【0049】
一方、図13のC−C線に沿った断面構造を図14に示すように、送信アンテナ33にも、応答信号の信号強度を高めるべく、携帯電話機4の金属体4aが位置する部分に対応してその外面S2mに対して直交する方向に突出する段差部33cが形成されている。なお、同図14と先の図11とを比較して明らかなように、この基板90における段差部33cの位置と、基板80における段差部33aの位置とが互いに異なっている。本実施形態ではこのように各種携帯電話機に対応するそれぞれのカバーにおいて送信アンテナ33の形状を変更することにより、全ての携帯電話機で応答信号を適切に送信することが可能となっている。
【0050】
携帯電話機用カバーとしてのこうした構成によれば、ユーザが携帯電話機の買い換えの際にそのカバーを変更するだけで、上述した携帯電話機の金属体による無線通信への影響を低減することができる。このため、モジュール部3が安定した無線通信を行うことができるようになる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態にかかる携帯電話機用カバーによれば、上記第1の実施形態による(1)〜(4)の効果と同等、もしくはそれら効果に準じた効果が得られるとともに、次のような効果が得られるようになる。
【0052】
(5)カバー本体2,5に、受信アンテナ31及び送信アンテナ33を一体的に設けることとした。また、モジュール部3には、電子キーの機能部品のうち、受信アンテナ31及び送信アンテナ33を除く電子部品を組み込むこととした。これにより、ユーザが携帯電話機の買い換えの際にそのカバーを変更するだけで、モジュール部3が安定した無線通信を行うことができるようになる。
【0053】
(6)カバー本体2,5では、携帯電話機1,4の金属体から離間するようにコイルアンテナ31a〜31cを配置することとした。これにより、携帯電話機1,4の金属体による無線通信への影響を回避することができるため、リクエスト信号を適切に受信することができるようになる。
【0054】
(7)送信アンテナ33には、携帯電話機1,4の金属体の位置に対応してその外面S1m,S2mに対して直交する方向に突出する段差部33a,33cを形成することとした。これにより、送信アンテナ33から送信される応答信号の信号強度を強めることができるため、応答信号を的確に送信することができるようになる。
【0055】
<第3の実施形態>
続いて、本発明にかかる携帯電話機用カバーの第3の実施形態について図15〜図17を参照して説明する。なお、この第3の実施形態もその基本構造は先の図1〜図4に例示した構造に準ずるものであり、ここでは先の図2に対応する図として、携帯電話機1に対応するカバー本体2の分解斜視構造を図15に示す。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0056】
同図15に示されるように、本実施形態では、第2のカバー部材21の背面保護部21aの内部に上記モジュール部3をインサート成形することとしている。また、背面保護部21aには、第1のカバー部材20との当接面21bから携帯電話機1との当接面21cにかけて開口部を有する凹部24が形成されている。そして、図16に併せ示されるように、第2のカバー部材21は、開口部24aから矢印a1で示す方向に挿入されるメカニカルキー7の全体を凹部24の内部に収容する構造となっている。ちなみに、メカニカルキー7は、例えば車両ドアの施解錠などを機械的に行う際に車両ドアに設けられたキーシリンダに挿入されるものであって、図15に示されるように、ユーザが把持する部分となるグリップ部71と、キー溝の形成されたキープレート72とを有している。このうち、グリップ部71において、キープレート72が導出される端部と反対側の端部には、矢印a1で示す方向と直交する方向、すなわち凹部24への挿入方向と直交する方向に突出する把持部71aが形成されている。また、このグリップ部71において、凹部24の内壁面との当接面には、突出部71bが形成されている。一方、上記背面保護部21aには、凹部24にメカニカルキー7が収容された際に上記突出部71bが挿入される部分として、上記凹部24の内部から当接面21cに貫通する貫通孔21dが形成されている。そして、この第2のカバー部材21では、背面保護部20aに形成された貫通孔21dにメカニカルキー7の突出部71bが係合することによって、メカニカルキー7が凹部24に収容された状態で保持される。このため、凹部24からのメカニカルキー7の脱落を防止することができる。
【0057】
このような構成からなるカバー本体2にあって、凹部24にメカニカルキー7が収容されている状態でユーザによって第1及び第2のカバー部材20,21が組み付けられたとする。このとき、図16に示されるように、凹部24の開口部24aが第1のカバー部材20によって閉塞されるため、凹部24からのメカニカルキー7の脱落を防止することができる。
【0058】
また、凹部24からメカニカルキー7を取り出す際には、図17に示すように、第1及び第2のカバー部材20,21を互いに分離した上で、凹部24から露出したメカニカルキー7の把持部71aに指を引っ掛けてこれを押せば、メカニカルキー7に対して矢印a2で示す方向の外力を容易に印加することができる。そして、その外力によって、背面保護部20aに形成された貫通孔21dとメカニカルキー7の突出部71bとの係合を解除すれば、凹部24からメカニカルキー7を取り出すことができる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態にかかる携帯電話機用カバーによれば、上記第1の実施形態による(1),(3)の効果と同等、もしくはそれらに準じた効果が得られるとともに、次のような効果が得られるようになる。
【0060】
(8)第2のカバー部材21には、第1のカバー部材20との当接面21bに開口部24aを有して同開口部24aから挿入されるメカニカルキー7を収容する凹部24を形成することとした。これにより、携帯電話機1にカバー本体2を装着すれば、携帯電話機1にメカニカルキー7を付属させることができるため、利便性が向上するようになる。また、部品点数の増加を回避しつつ、凹部24からのメカニカルキー7の脱落を防止することができるようにもなる。
【0061】
(9)メカニカルキー7の端部には、把持部71aを形成することとした。また、メカニカルキー7を、把持部71aが露出する態様にて凹部24に収容することとした。これにより、把持部71aを押すだけで凹部24からメカニカルキー7を取り出すことができるため、メカニカルキー7の取り出しが容易となる。
【0062】
(10)メカニカルキー7と凹部22との当接面には、突出部71b及び貫通孔21dからなる凹凸係合構造を設けることとした。これにより、メカニカルキー7を凹部22に収容した状態で保持することができるため、凹部22からのメカニカルキー7の脱落を防止することができるようになる。
【0063】
<第4の実施形態>
続いて、本発明にかかる携帯電話機用カバーの第4の実施形態について図18及び図19を参照して説明する。なお、この第4の実施形態もその基本構造は先の図1〜図4に例示した構造に準ずるものであり、ここでは先の図2に対応する図として、携帯電話機1に対応するカバー本体2の斜視構造を図18に示す。
【0064】
同図18に示されるように、本実施形態でも、上記第3の実施形態と同様に、第2のカバー部材21の背面保護部21aの内部に、上記モジュール部3をインサート成形することとしている。このモジュール部3には、その動作電源となるボタン型電池36の正面に設けられた正極端子及びその背面に設けられた負極端子にそれぞれ接触するターミナル38,39が設けられており、これらのターミナル38,39によってボタン型電池36が挟持されている。また、第2のカバー部材21の背面保護部21aには、ターミナル38,39共々、ボタン型電池36を露出するための凹部25が形成されている。一方、第1のカバー部材20の当接面20bには、ユーザによって第1及び第2のカバー部材20,21が組み付けられたときに凹部25の正面側の部分及び背面側の部分を覆うための電池カバー26が形成されている。そして、図19に示すように、ユーザによって第1及び第2のカバー部材20,21が組み付けられたときに電池カバー26によってボタン型電池36及びターミナル38,39が覆われて、それらが外部から保護される。
【0065】
携帯電話機用カバーとしてのこうした構成によれば、ユーザが第1及び第2のカバー部材20,21を分離した際に、ボタン型電池36がカバー本体2から露出するため、ユーザは、この露出した部分を把持することで、モジュール部3からボタン型電池36を容易に取り出すことができる。このため、電池交換が容易となる。また、ユーザによって第1及び第2のカバー部材20,21が組み付けられたときに、第1のカバー部材20に形成された電池カバー26によってボタン型電池36が覆われるため、電池カバーを別途設ける必要がない。このため、部品点数を削減することができるようにもなる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態にかかる携帯電話機用カバーによれば、上記第1の実施形態による(1),(3)の効果と同等、もしくはそれらに準じた効果が得られるとともに、次のような効果が得られるようになる。
【0067】
(11)第2のカバー部材21には、モジュール部3の動作電源となるボタン型電池36の正極端子及び負極端子を露出する態様にて同モジュール部3を設けることとした。これにより、第2のカバー部材21からボタン型電池36を容易に取り出すことができるため、電池交換が容易となる。
【0068】
(12)第1のカバー部材20には、凹部25から露出したボタン型電池36を覆うための電池カバー26を形成することとした。これにより、電池カバーを別途設ける必要がないため、部品点数を削減することができるようになる。
【0069】
<第5の実施形態>
続いて、本発明にかかる携帯電話機用カバーの第5の実施形態について図20を参照して説明する。なお、この第5の実施形態もその基本構造は先の図1〜図4に例示した構造に準ずるものであり、ここでは先の図2に対応する図として、携帯電話機1に対応するカバー本体2の分解斜視構造を図20に示す。
【0070】
同図20に示されるように、本実施形態では、第1のカバー部材20の背面保護部20aに、当接面20bから導出されるかたちでメカニカルキー27を一体的に形成することとしている。なお、本実施形態では、メカニカルキー27の強度を確保すべく、カバー本体2が硬質樹脂材料などにより形成されている。また、第2のカバー部材21の背面保護部21aには、第1のカバー部材20との当接面21bに開口部28aを有する凹部28が形成されている。そして、このカバー本体2は、ユーザによって第1及び第2のカバー部材20,21が組み付けられた際に、第2のカバー部材21の凹部28にメカニカルキー27が収容される構造となっている。なお、本実施形態でも、上記第3及び第4の実施形態と同様に、第2のカバー部材21の内部に上記モジュール部3をインサート成形することとしている。
【0071】
携帯電話機用カバーとしてのこうした構成によれば、部品点数の増加を伴うことなく、カバー本体2にメカニカルキー27を付属させることができるようになる。
以上説明したように、本実施携帯にかかる携帯電話機用カバーによれば、上記第1の実施形態による(1),(3)の効果と同等、もしくはそれらに準じた効果が得られるとともに、次のような効果が得られるようになる。
【0072】
(13)第1のカバー部材20には、当接面20bから導出されるかたちでメカニカルキー27を一体的に形成することとした。また、第1のカバー部材20には、メカニカルキー27を収容するための凹部28を形成することとした。これにより、部品点数の増加を伴うことなく、カバー本体2にメカニカルキー27を付属させることが可能となる。
【0073】
<他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第1及び第2の実施形態及びその変形例では、モジュール部3を第2のカバー部材21に対して取り外し可能に設けることとしたが、これに代えて、第3〜第5の実施形態と同様に、モジュール部3を第2のカバー部材21に一体的に設けてもよい。
【0074】
・上記第2の実施形態では、アンテナ部8,9を第1のカバー部材20,50に設けることとしたが、これに代えて、例えば第2のカバー部材21,51に設けてもよい。
・上記第2の実施形態では、送信アンテナ33に段差部33a,33cを形成することとしたが、例えば応答信号の送信に対して携帯電話機1,4の金属体の影響が小さい場合には、これらの段差部33a,33cを省略してもよい。すなわちこの場合には、コイルアンテナ31a〜31cの配置を携帯電話機のカバー毎に変更するといった構造のみを採用してもよい。また、例えばリクエスト信号の受信に対して携帯電話機1,4の金属体の影響が小さい場合には、基板80,90上のコイルアンテナ31a〜31cの位置をそれぞれ同一の位置としてもよい。すなわちこの場合には、送信アンテナ33の段差部の位置を携帯電話機のカバー毎に変更するといった構造のみを採用してもよい。
【0075】
・上記第2〜第5の実施形態では、カバー本体2を第1及び第2のカバー部材20,21からなる分割体として構成することとしたが、これに代えて、第1の実施形態の変形例のように、カバー本体2を一体的に形成してもよい。
【0076】
・上記第3の実施形態では、第2のカバー部材21にメカニカルキー7を収容することとしたが、これに代えて、例えば第1のカバー部材20にメカニカルキー7を収容してもよい。
【0077】
・上記第3の実施形態では、メカニカルキー7の突出部71bを第2のカバー部材21の貫通孔21dに係合させることで、凹部22からのメカニカルキー7の脱落を防止することとしたが、このような凹凸係合構造を省略することも可能である。また、メカニカルキー7の端部に把持部71aを形成することとしたが、同把持部71aを省略することも可能である。このような構成であっても、上記第3の実施形態による(8)の効果を奏することは可能である。
【0078】
・上記第3〜第5の実施形態では、モジュール部3をカバー本体2に一体的に設けることとしたが、これに代えて、第1及び第2の実施形態と同様に、モジュール部3を第2のカバー部材21に対して取り外し可能に設けてもよい。
【0079】
・上記第4の実施形態では、ボタン型電池36の正面側の部分及び背面側の部分を露出する構造を採用したが、これに代えて、例えばその正面側の部分だけを露出する構造、あるいはその背面側の部分だけを露出する構造を採用してもよい。このような構造であっても、ボタン型電池36の露出した部分を把持することができるため、電池交換が容易となる。
【0080】
・上記第4の実施形態では、電池カバー26を第1のカバー部材20に形成することとしたが、これに代えて、例えばボタン型電池36及びモジュール部3を第1のカバー部材20に設けた場合には、電池カバーを第2のカバー部材21に形成してもよい。
【0081】
・上記第5の実施形態では、第1のカバー部材20にメカニカルキー27を形成することとしたが、これに代えて、例えば第2のカバー部材21にメカニカルキーを形成してもよい。
【0082】
・上記各実施形態では、第2のカバー部材21にモジュール部3を設けることとしたが、これに代えて、例えば第1のカバー部材20にモジュール部3を設けてもよい。
・上記各実施形態では、本発明にかかる携帯電話機用カバーを、薄板状の携帯電話機1,4のカバーに適用したが、これに代えて、例えば折りたたみ式の携帯電話機のカバーなど、適宜の携帯電話機のカバーに適用することが可能である。
【0083】
・上記各実施形態では、本発明にかかる携帯電話機用カバーを、車載機との間でリクエスト信号及び応答信号を授受することで電子キーの認証を行う電子キーシステムに利用したが、これに代えて、例えばトランスポンダ通信を通じて電子キーの認証を行う電子キーシステムに利用することも可能である。この場合、上記車載機6には、駆動電波を発信するイモビライザを設ける。また、上記モジュール部3には、イモビライザから発信される駆動電波を受信することにより駆動電源を得て起動するとともに起動時にIDコードを含む無線信号を送信するトランスポンダを設ける。このような電子キーシステムに本発明にかかる携帯電話機用カバーを適用した場合であっても、上記各実施形態による各種効果と同等、あるいはそれに準じた効果を奏することが可能である。
【0084】
・上記各実施形態では、本発明にかかる携帯電話機用カバーを車両の電子キーシステムに利用することとしたが、これに代えて、例えば玄関ドアの施解錠を行う電子キーシステムに利用してもよい。
【0085】
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項3に記載の携帯電話機用カバーにおいて、前記アンテナが、コイルアンテナからなる受信用のアンテナであって、前記カバー本体には、前記携帯電話機に設けられた金属体と離間する態様にて前記コイルアンテナが配置されてなることを特徴とする携帯電話機用カバー。同構成によれば、カバー本体2に一体的に設けられたアンテナがコイルアンテナからなる受信用のアンテナである場合に、携帯電話機の金属体による無線通信への影響を回避することができるため、無線信号の受信を適切に行うことができるようになる。
【0086】
(ロ)請求項3に記載の携帯電話機用カバーにおいて、前記アンテナが、ループアンテナからなる送信用のアンテナであって、同ループアンテナには、前記携帯電話機に設けられた金属体の位置に対応して同金属体の外面に対して直交する方向に突出する段差部が形成されてなることを特徴とする携帯電話機用カバー。同構成によれば、カバー本体に一体的に設けられたアンテナがループアンテナからなる送信用のアンテナである場合に、同ループアンテナの段差部に対して携帯電話機の金属体の外面が導体面として働く。このため、無線信号の送信に伴いループアンテナへの給電が行われた際に、段差部の鏡像が携帯電話機の金属体に形成されるため、ループアンテナから送信される無線信号の強度を強めることができる。したがって、携帯電話機の金属体によって無線信号の送信が阻害されるような状況であっても、無線信号を的確に送信することができるようになる。
【0087】
(ハ)請求項6に記載の携帯電話機用カバーにおいて、前記凹部に前記メカニカルキーが挿入される方向を挿入方向とするとき、前記メカニカルキーには、前記挿入方向と直交する方向に突出する把持部が形成されるとともに、同メカニカルキーは、前記把持部が露出する態様にて前記凹部に収容されてなることを特徴とする携帯電話機用カバー。同構成によれば、メカニカルキーが凹部に収容されているときに、メカニカルキーの把持部を押すだけで凹部からメカニカルキーを取り出すことができるため、メカニカルキーの取り出しが容易となる。
【0088】
(ニ)請求項6又は付記ハに記載の携帯電話機用カバーにおいて、前記メカニカルキーと前記凹部との当接面には、凹凸係合構造が設けられてなることを特徴とする携帯電話機用カバー。同構成によれば、メカニカルキーと凹部との当接面に設けられた凹凸係合構造により、カバー本体を構成する2つの部材のうちの一方のカバー部材とメカニカルキーとが互いに係合するため、メカニカルキーを凹部に収容した状態で保持することができる。このため、凹部からのメカニカルキーの脱落を防止することができるようになる。
【0089】
(ホ)請求項7に記載の携帯電話機用カバーにおいて、前記電池はボタン型電池であって、前記一方のカバー部材には、前記ボタン型電池の正極端子及び負極端子を露出する態様にて前記モジュール部が設けられてなることを特徴とする携帯電話機用カバー。同構成によれば、より容易に電池を取り出すことが可能となるため電池交換が更に容易となる。
【符号の説明】
【0090】
A,B…通信エリア、P1,P2…端子、T1,T2…金属ターミナル、1,4…携帯電話機、1a,4a…金属体、2,5…カバー本体、2a…背面保護部、2b…凹部、3…モジュール部、6…車載機、7…メカニカルキー、8,9…アンテナ部、11…タッチパネル、12…スピーカ、13…操作ボタン、20…第1のカバー部材、20a,21a…背面保護部、20b,21b,21c,51b…当接面、21…第2のカバー部材、21d…貫通孔、22,24,25,28,52…凹部、22a,24a,28a,52a…開口部、23,53…突出部、26…電池カバー、27…メカニカルキー、30…溝部、31…受信アンテナ、31a〜31c…コイルアンテナ、32…受信回路、33…送信アンテナ、33a,33c…段差部、33b…部位、34…送信回路、35…制御部、35a…メモリ、36…ボタン型電池、38,39…ターミナル、50…第1のカバー部材、50a,51a…背面保護部、51…第2のカバー部材、71…グリップ部、71a…把持部、71b…突出部、72…キープレート、80,90…基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機の外面を覆うカバー本体と、
該カバー本体に設けられて、電子キーシステムを構成する電子キーの機能部品が組み込まれたモジュール部と、
を備えることを特徴とする携帯電話機用カバー。
【請求項2】
前記モジュール部が、前記カバー本体に対して取り外し可能に設けられてなる
請求項1に記載の携帯電話機用カバー。
【請求項3】
前記モジュール部には、前記電子キーの機能部品のうちのアンテナを除く部分が組み込まれ、前記カバー本体には、前記アンテナが一体的に設けられてなる
請求項2に記載の携帯電話機用カバー。
【請求項4】
前記カバー本体が、2つのカバー部材からなる分割体として構成されてなる
請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯電話機用カバー。
【請求項5】
前記カバー本体を構成する2つのカバー部材のうちの一方のカバー部材には、その他方のカバー部材との当接面に開口部を有して同開口部から挿入される前記モジュール部を収容する凹部が形成されてなる
請求項4に記載の携帯電話機用カバー。
【請求項6】
前記カバー本体を構成する2つのカバー部材のうちの一方のカバー部材には、その他方のカバー部材との当接面に開口部を有して同開口部から挿入されるメカニカルキーを収容する凹部が形成されてなる
請求項4に記載の携帯電話機用カバー。
【請求項7】
前記カバー本体を構成する2つのカバー部材のうちの一方のカバー部材には、前記モジュール部の動作電源となる電池を露出する態様にて同モジュール部が設けられるとともに、その他方のカバー部材には、前記一方のカバー部材から露出した前記電池を覆うための電池カバーが形成されてなる
請求項4に記載の携帯電話機用カバー。
【請求項8】
前記カバー本体を構成する2つのカバー部材のうちの一方の部材には、その他方の部材との当接面から導出されるかたちでメカニカルキーが一体的に形成されるとともに、その他方の部材には、前記メカニカルキーを収容するための凹部が形成されてなる
請求項4に記載の携帯電話機用カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−100227(P2012−100227A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248694(P2010−248694)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】