説明

携帯電話機

【構成】携帯電話機10は、平面矩形である、第1筐体C1、第2筐体C2および第3筐体C3を備える。第2筐体C2の長辺が第1筐体C1の長辺より長いため、第1筐体C1の閉状態において、第2筐体C2の上面が遮蔽部と露出部とに区分される。また、第1筐体C1の上面にはディスプレイ26が設けられる。さらに、第2筐体C2の上面には、遮蔽部にQWERTYキーボード22bが設けられ、露出部にポインティングデバイスである十字キーを含むタッチキー32が設けられる。そして、第3筐体C3の上面には、第3筐体がスライドすることで露出するテンキー22aが設けられる。
【効果】ポインティングデバイスとQWERTYキーボードとを同じ面に設けることで、文字入力操作とポインティング操作を同時に行うことが可能な携帯電話機10の操作性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話機に関し、特にたとえばスライド型の携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特にたとえばスライド型の携帯電話機が知られており、この種の携帯電話機の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1の電子装置は、移動可能に相互接続された3つのモジュール層を有する。一番上のモジュール層にはディスプレイ装置および指向性キーパッドなど設けられ、中間のモジュール層には電話キーパッドなどが設けられ、一番下のモジュール層にはQWERTYキーボードが設けられる。
【0003】
一番上のモジュール層が、他のモジュール層に対して第1の方向に移動されると、電話キーパッドが露出する。電話キーパッドが露出した状態の電子装置は電話モードなどになり、ユーザは電子装置を携帯電話として利用することができる。
【0004】
一番下のモジュール層が、他のモジュール層に対して第2の方向に移動されると、QWERTYキーボードが露出する。QWERTYキーボードが露出した状態の電子装置はPDAモードになり、ユーザは電子装置をPDAとして利用することができる。
【0005】
また、特許文献2に開示される携帯電話は、電話用のテンキーが設けられるテンキーケースを最下段にして、フルキーケースを中段、液晶表示部およびカーソルキーが設けられた表示部ケースを上段に配置して重ね合わせた3段重ねのケース構造を有する。この携帯電話では、テンキーケースをスライドさせると通話スタイルとなり、使用者は電話をかけることができる。また、表示部ケースがフルキーケースに対して180度回転させられると、携帯電話はキーボードスタイルとなり、使用者はE-mailの作成などを両手で容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−110514号公報[G06F 3/02, H04M 1/02, G06F 1/16 H04M 1/23 H04M 1/247]
【特許文献2】特開2007−179525号公報[G06F 1/16, H04M 1/02, G06F 3/02 H05K 5/02]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1の電子機器では、文字を入力するQWERTYキーボードと、ポインティングデバイスとして利用可能な指向性キーパッドとが設けられるモジュール層が異なるため、キー操作の操作性が悪くなる。たとえば、ユーザがQWERTYキーボードと指向性キーパッドとを同時に一本の指(親指など)で操作すると、指を一度離す動作を行わなければならない。
【0008】
そして、特許文献2に開示される携帯電話においても、同様の問題が発生してしまう。
【0009】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、携帯電話機を提供することである。
【0010】
この発明の他の目的は、操作性が良い、携帯電話機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために記述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0012】
第1の発明は、第1長辺と第1短辺とからなる平面矩形の第1筐体、第2長辺と第2短辺とからなる平面矩形の第2筐体、および第2筐体の上に第1筐体を重ねた状態で、第1筐体を短辺方向へスライド可能に連結する第1スライド機構を備え、第2長辺は第1長辺より長く、そのために第1筐体の閉状態において、第2筐体の上面が遮蔽部と露出部とに区分され、さらに第2長辺と略同じ長さの第3長辺と第3短辺とからなる平面矩形の第3筐体、第2筐体の下に第3筐体を重ねた状態で、第3筐体を長辺方向へスライド可能に連結する第2スライド機構、第1筐体の上面に設けられる表示装置、第2筐体の上面の遮蔽部に設けられるQWERTYキーボード、第2筐体の上面の露出部に設けられ、それの操作に応じて表示装置上の位置を指定するポインティングデバイス、および第3筐体が長辺方向にスライドしたときに露出し、第3筐体の上面に設けられるテンキーを備える、携帯電話機である。
【0013】
第1の発明では、携帯電話機(10)は、平面矩形である、第1筐体(C1)、第2筐体(C2)および第3筐体(C3)を備える。また、第2筐体の第2長辺が第1筐体の第1長辺より長いため、第1筐体と第2筐体とが重なる第1筐体の閉状態において、第2筐体の上面が遮蔽部と露出部とに区分される。さらに、第1筐体と第2筐体とは、第1スライド機構(50)によって第1筐体を短辺方向へスライド可能に連結され、第2筐体と第3筐体とは、第2スライド機構(60)によって第3筐体を長辺方向へスライド可能に連結される。
【0014】
また、第1筐体の上面には表示装置(26)が設けられる。さらに、第2筐体の上面では、遮蔽部にQWERTYキーボード(22b)が設けられ、露出部にポインティングデバイス(32,70,72,74)が設けられる。また、ポインティングデバイスは、たとえば使用者による操作に応じて表示装置上の位置を指定する。そして、第3筐体の上面にはテンキー(22a,80,82)が設けられ、テンキーは第3筐体が長辺方向にスライドしたときに露出する。
【0015】
第1の発明によれば、ポインティングデバイスとQWERTYキーボードとを同じ面に設けることで、文字入力操作とポインティング操作を同時に行うことが可能な携帯電話機の操作性を高めることができる。
【0016】
さらに、使用者は、第3筐体をスライドさせてテンキーを露出させることで、従来のようなスライド型の携帯電話機として利用することができる。
【0017】
第2の発明は、第1の発明に従属し、QWERTYキーボードは、長辺方向の中心が表示装置の長辺方向の中心と一致するように設けられる。
【0018】
第2の発明では、QWERTYキーボードの長辺方向の中心(P1)と、表示装置の長辺方向の中心(P2)とが一致するように、QWERTYキーボードおよび表示装置が設けられる。
【0019】
第2の発明によれば、使用者は、表示装置とQWERTYキーボードとの中心が一致していない携帯電話機に比べて、文字入力のキー操作が行いやすくなる。つまり、携帯電話機の開発メーカは、使用者にとって使いやすい携帯電話機を提供できる。
【0020】
第3の発明は、第1長辺と第1短辺とからなる平面矩形の第1筐体、第2長辺と第2短辺とからなる平面矩形の第2筐体、および第2筐体の上に第1筐体を重ねた状態で、第1筐体を短辺方向へスライド可能に連結する第1スライド機構を備え、第2長辺は第1長辺より長く、そのために第1筐体の閉状態において、第2筐体の上面が遮蔽部と露出部とに区分され、さらに第1筐体の上面に設けられる表示装置、第2筐体の上面の遮蔽部に設けられるQWERTYキーボード、および第2筐体の上面の露出部に設けられ、それの操作に応じて表示装置上の位置を指定するポインティングデバイスを備える、携帯電話機である。
【0021】
第3の発明では、携帯電話機(10)は、平面矩形である、第1筐体(C1)および第2筐体(C2)を備える。また、第2筐体の第2長辺が第1筐体の第1長辺より長いため、第1筐体と第2筐体とが重なる第1筐体の閉状態において、第2筐体の上面が遮蔽部と露出部とに区分される。さらに、第1筐体と第2筐体とは、第1スライド機構(50)によって第1筐体を短辺方向へスライド可能に連結される。
【0022】
また、第1筐体の上面には表示装置(26)が設けられる。さらに、第2筐体の上面では、遮蔽部にQWERTYキーボード(22b)が設けられ、露出部にポインティングデバイス(32,70,72,74)が設けられる。また、ポインティングデバイスは、たとえば使用者による操作に応じて表示装置上の位置を指定する。
【0023】
第3の発明によれば、第1の発明と同様に、ポインティングデバイスとQWERTYキーボードとを同じ面に設けることで、文字入力操作とポインティング操作を同時に行うことが可能な携帯電話機の操作性を高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、ポインティングデバイスとQWERTYキーボードとを同じ面に設けることで、文字入力操作とポインティング操作を同時に行うことが可能な携帯電話機の操作性を高めることができる。
【0025】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本発明の一実施例の携帯電話機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図2】図2は図1に示す携帯電話機の外観の一例を示す図解図である。
【図3】図3は図1に示す携帯電話機に含まれるスライド機構の外観の一例を示す図解図である。
【図4】図4は図2に示すQWERTYキーボードおよびタッチキーに対する操作の一例を示す図解図である。
【図5】図5は図2に示すディスプレイとQWERTYキーボードとの位置関係を示す図解図である。
【図6】図6は図2に示すタッチキーに代えて設けられる、他のポインティングデバイスの一例を示す図解図である。
【図7】図7は図2に示すテンキーに代えて設けられる、サブディスプレイおよびタッチパネルの一例を示す図解図である。
【図8】図8は図7に示すサブディスプレイに表示される他のGUIの一例を示す図解図である。
【図9】図9は図1に示すRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
【図10】図10は図1に示すプロセサの表示制御処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施例>
図1を参照して、携帯電話機10は、プロセサ(CPUまたはコンピュータと呼ばれることもある。)20、キー入力装置22およびタッチキー32を含む。プロセサ20は、CDMA方式に対応する無線通信回路14を制御して発呼信号を出力する。出力された発呼信号は、アンテナ12から送出され、基地局を含む移動通信網に送信される。通話相手が応答操作を行うと、通話可能状態が確立される。
【0028】
通話可能状態に移行した後に、キー入力装置22およびタッチキー32によって通話終了操作が行われると、プロセサ20は、無線通信回路14を制御して、通話終了信号を送信する。そして、通話終了信号の送信後、プロセサ20は、通話処理を終了する。また、先に通話終了信号を受信した場合も、プロセサ20は、通話処理を終了する。さらに、通話相手によらず、移動通信網から通話終了信号を受信した場合も、プロセサ20は通話処理を終了する。
【0029】
携帯電話機10が起動している状態で通話相手からの発呼信号がアンテナ12によって捉えられると、無線通信回路14は、着呼をプロセサ20に通知する。プロセサ20は、図示しないスピーカから着呼音(着信音ともいう)を出力させ、着呼を使用者に通知する。なお、図示しないバイブレータを駆動させることで携帯電話機10を振動させ、着呼を使用者に通知してもよい。そして、プロセサ20は、表示ドライバ24を制御することで、発呼信号と共に通話相手から送信される発信元情報を表示装置であるディスプレイ26に表示させる。
【0030】
通話可能状態では、次のような処理が実行される。通話相手から送られてきた変調音声信号(高周波信号)は、アンテナ12によって受信される。受信された変調音声信号は、無線通信回路14によって復調処理および復号処理が施される。そして、得られた受話音声信号は、スピーカ18から出力される。一方、マイク16によって取り込まれた送話音声信号は、無線通信回路14によって符号化処理および変調処理が施される。そして、生成された変調音声信号は、上述と同様、アンテナ12を利用して通話相手に送信される。
【0031】
タッチキー32は、タッチセンサーとも呼ばれ、指がタッチキー32の表面に接近して生じた電極間の静電容量の変化を検出する静電容量方式と呼ばれる方式で、指がタッチキー32に触れたことを検出する。そして、プロセサ20は、タッチキー32が指を検出すると、所定の処理を実行する。たとえば、キー入力装置22によって電話番号が入力された後に、指がタッチキー32に触れると、プロセサ20は無線通信回路14を制御して発呼信号を出力する。
【0032】
また、携帯電話機10は、データ通信機能を備えており、図示しないサーバとのデータ通信を行い、天気情報や、交通情報などの多くの情報(データ)を取得することができる。なお、データ通信中における、アンテナ12および無線通信回路14は通信手段として機能し、図示しないサーバは有線または無線でネットワークと接続されている。
【0033】
図2(A)は携帯電話機10の閉状態の外観を示す図解図であり、図2(B)は携帯電話機10の第1開状態の外観を示す図解図であり、図2(C)は携帯電話機10の第2開状態の外観を示す図解図である。図2(A)、図2(B)、図2(C)を参照して、携帯電話機10は、第1短辺および第1長辺とからなる平面矩形の第1筐体C1、第2短辺および第2長辺とからなる平面矩形の第2筐体C2および第3短辺および第3長辺とからなる平面矩形の第3筐体C3を備える。
【0034】
第1筐体C1は第2筐体C2の上に重ねられた状態で、第1スライド機構50(図3(A)参照)によって、スライド可能に連結される。これにより、第1筐体C1は、第2筐体C2に対して短辺方向にスライドする。また、第2筐体C2の第2長辺は第1筐体C1の第1長辺より長いため、図2(A)および図2(B)に示す第1筐体の閉状態において、第2筐体の上面が遮蔽部と露出部とに区分される。
【0035】
第3筐体C3は第2筐体C2の下に重ねられた状態で、第2スライド機構60(図3(B)参照)によって、スライド可能に連結される。これにより、第3筐体C3は、第2筐体C2に対して長辺方向にスライドする。また、第3筐体の第3長辺は、第2筐体の第2長辺より僅かに長くてもよいし、僅かに短くてもよい。さらに、第3長辺と第2長辺とが同じ長さであってもよい。つまり、第3長辺と第2長辺とは略同じ長さである。
【0036】
ここで、携帯電話機10が備える第1スライド機構50および第2スライド機構60について説明する。図3(A)を参照して、第1スライド機構50は、第1プレート52、第2プレート54および1対のバネ56a,56bから構成されている。
【0037】
第1スライド機構50は、第1筐体C1と第2筐体C2との間に介在し、第1プレート52は第1筐体C1の下面に連結され、第2プレート54は第2筐体C2の上面に連結される。そして、第1プレート52は、第2プレート54に対して短辺方向(図3(A)では上下方向)にスライドするように組み合わせられる。これにより、第1プレート52が第2プレート54に対してスライドすることで、第1筐体C1が第2筐体C2に対して短辺方向へスライドする。なお、本実施例では、第1プレート52および第2プレート54は、それぞれ第1筐体C1および第2筐体C2に対して、ネジにより軸止めされることで連結されてもよいし、凹部と凸部との嵌合などによって連結されてもよい。
【0038】
また、1対のバネ56aとバネ56bとは、一方端が第1プレート52に留められ、他方端が第2プレート54に留められる。そして、バネ56aとバネ56bとの弾力によって、第1プレート52と第2プレート54との状態を保持する。また、バネ56aとバネ56bとの力の方向は、第1プレート52が一定量までスライドすると逆転する。つまり、バネ56aとバネ56bとによる力の方向が逆転するため、第1プレート52が上に位置する状態と第1プレート52が下に位置する状態とがそれぞれ保持される。
【0039】
図3(B)を参照して、第2スライド機構60は、第3プレート62、第4プレート64およびバネ66から構成される。第2スライド機構60は、第2筐体C2と第3筐体C3との間に介在し、第3プレート62は第2筐体C2の下面に連結され、第4プレート64は第3筐体C2の上面に連結される。そして、第3プレート62は、第4プレート64に対して長辺方向(図3(B)では左右方向)にスライドするよう、組み合わせられる。つまり、第4プレート62がスライドすることで、第3筐体C3が第2筐体C2に対して長辺方向にスライドする。
【0040】
また、第2スライド機構60のバネ66は、第1スライド機構50におけるバネ56a,56bと同様に機能することで、第3プレート62と第4プレート64との状態を保持する。
【0041】
なお、第1筐体C1と第2筐体C2とは、スライドの影響を受けないフレキシブルハーネスによって電気的に接続され、第2筐体C2と第3筐体C3とについても同様に接続される。また、バネ56a,56bおよびバネ64にコイルバネを用いたが、板バネなどの他の種類のバネが用いられてもよい。
【0042】
図2(A)、図2(B)、図2(C)を再度参照して、図示しないマイク16は、第3筐体C3に内蔵され、内蔵されたマイク16に通じる開口は図示を省略するが、第3筐体C3の上面に設けられる。同じく、図示しないスピーカ18は、第1筐体C1に内蔵され、内蔵されたスピーカ18に通じる開口OPは、第1筐体C1の長辺方向一方の上面に設けられる。
【0043】
キー入力装置22は、0〜9の数字キーなどから構成されるテンキー22aおよびQWERTY配列のQWERTYキーボード22bを含む。また、テンキー22aは第3筐体C3の上面に設けられ、QWERTYキーボード22bは第2筐体の上面における遮蔽部に設けられる。
【0044】
ディスプレイ26は、モニタ画面が第1筐体C1の上面に露出するように設けられる。また、ディスプレイ26の表示は、携帯電話機10の状態によって表示方向が切り替わる。具体的には、傾きセンサ32が検出する携帯電話機10の傾きに基づいて切り替えられる。傾きセンサ32は、半導体式の3軸の加速度センサであり、各軸の重力加速度をプロセサ20に出力する。そして、プロセサ20は、各軸の重力加速度の値に対して逆三角関数を用いて、携帯電話機10の傾きを検出する。そして、携帯電話機10は、図2(A)および図2(B)に示す縦向きの状態であればディスプレイ26の表示を縦向きにし、図2(C)に示す横向きの状態であればディスプレイ26の表示を横向きにする。
【0045】
タッチキー32は、ポインティングデバイスとして機能する十字キー、使用者による操作結果を確定する確定キー、通話キーおよび終話キーを含む。そして、タッチキー32は、第2筐体C2の上面における露出部に設けられる。つまり、QWERTYキーボード22bとタッチキー32とが略同じ平面に設けられる。
【0046】
たとえば、使用者は、ディスプレイ26を確認しながら、テンキー22aを操作して電話番号を入力し、タッチキー32に含まれる通話キーにタッチすることによって発呼操作を行い、終話キーにタッチすることで通話終了操作を行う。また、使用者は、十字キーによって上下、左右方向の入力操作を行い、その操作結果を確定キーによって確定することができる。
【0047】
なお、アンテナ12、表示ドライバ24、フラッシュメモリ28、RAM30および傾きセンサ34は、第1筐体C1、第2筐体C2または第3筐体C3のいずれかに内蔵されており、図2(A)、図2(B)、図2(C)では、図示されない。また、他の外観図では、第1筐体C1、第2筐体C2、第3筐体C3、開口OP、テンキー22a、QWERTYキーボード22b、ディスプレイ26およびタッチキー32の参照符号を、簡単のため省略することがある。
【0048】
第1磁気センサ36は第2筐体C2に内蔵され、第1磁気センサ36と対となる、図示しない第1磁石は第3筐体C3に内蔵される。また、第1磁気センサ36と第1磁石とは、図2(A)に示す閉状態で最も近づき、図2(B)に示す第1開状態で最も離れるように、それぞれ内蔵される。つまり、第1磁気センサ36は、図2(B)に示す第1開状態を検出する。
【0049】
また、第2磁気センサ38は第1磁気センサ36とは異なる位置で第2筐体C2に内蔵され、第2磁気センサ38と対となる、図示しない第2磁石は第1筐体C1に内蔵される。また、第2磁気センサ38と第2磁石とは、閉状態で最も近づき、図2(C)に示す第2開状態で最も離れるように、それぞれ内蔵される。つまり、第2磁気センサ38は、図2(C)に示す第2開状態を検出する。
【0050】
たとえば、使用者は、閉状態でアドレス帳などのデータを読み出し、第1開状態で他の携帯電話機10などに電話をかける。そして、使用者は、第2開状態でデータ通信機能を実行することで、サーバに記憶されている多くのデータを取得する。
【0051】
図4は、第2開状態の携帯電話機10に対する、使用者による操作の一例を示す図解図である。図4を参照して、ディスプレイ26には、データ通信機能によって得られた、或る検索サイトのトップ画面が表示される。また、ディスプレイ26には表示範囲内の位置を任意に指定する矢印アイコンYが表示されており、使用者は、十字キーによって矢印アイコンYを移動させる操作を行う。なお、本実施例では、ポインティングデバイスである十字キーに対する操作を「ポインティング操作」と言うことにする。
【0052】
たとえば、使用者は、自身の親指でポインティング操作を行い、確定キーを操作することで、文字入力範囲CIAを指定することができる。そして、使用者は、文字入力範囲CIAを指定した後に、自身の親指を第2筐体C2の上面から離さずに移動させることで、QWERTYキーボード22bを操作することができる。つまり、QWERTYキーボード22bとポインティングデバイスであるタッチキー32とが略同じ平面に設けられているため、使用者は自身の親指を、第2筐体C2の上面から離さずに移動させるだけで、ポインティング操作とQWERTYキーボードに対する文字入力操作とを容易に切り替えることができる。
【0053】
また、図5を参照して、本実施例のQWERTYキーボード22bは、長辺方向の中心である点P1が、ディスプレイ26の長辺方向の中心である点P2と一致するように設けられる。これにより、使用者は、ディスプレイ26とQWERTYキーボードとの中心が一致していない場合に比べて、文字入力操作が行いやすくなる。つまり、携帯電話機10の開発メーカは、使用者にとって使いやすい携帯電話機10を提供できるようになる。
【0054】
なお、本実施例におけるポインティングデバイスには、タッチキー32に含まれる、十字キーを利用したが、図6(A)に示すポインティングスティック(TrackPoint(登録商標)、アキュポイント(登録商標)、ニューロポインタ(登録商標)ともいう)70や、図6(B)に示すトラックボール72などによって、矢印カーソルYを操作するようにしてもよい。また、タッチキー32に含まれる確定キーに代えて、図6(C)に示すジョグダイヤル74を備えるようにしてもよい。そして、ポインティングスティック70、トラックボール72およびジョグダイヤル74は、操作する部位が、第2筐体C2の上面に対して飛び出さないように設けられる。
<第2実施例>
第2実施例では、第1実施例のテンキー22aに代えて、サブディスプレイ80およびサブディスプレイ80の上に設けられるタッチパネル82を備えるようにしてもよい。
【0055】
また、図7を参照して、第2筐体C2の露出部には、モニタ画面が露出するようにサブディスプレイ80が設けられる。そして、サブディスプレイ80の上面には、静電容量方式のタッチパネル82が設けられる。
【0056】
また、第2実施例では、携帯電話機10が第1開状態である場合に、図8(A)−(C)に示すGUIがサブディスプレイ80に表示される。図8(A)を参照して、サブディスプレイ80には、テンキー22aに相当するキー配置で、0−9の数字キーなどが表示される。つまり、サブディスプレイ82およびタッチパネル82は、第1実施例のテンキー22aに相当し、使用者は、テンキー22aを表すGUIを操作することで、電話番号を入力する。
【0057】
また、TVチューナを備え、TV視聴機能を実行する携帯電話機10であれば、図8(B)に示すチャンネルキーのGUIがサブディスプレイ80に表示される。この場合、携帯電話機10は、ディスプレイ26に受信した画像を表示し、サブディスプレイ80にGUIを表示することで、タッチパネル82によってチャンネル操作を受け付ける。さらに、音楽プレイヤ機能を有する携帯電話機10であれば、図8(C)に示すサブメニューキーのGUIがサブディスプレイ80に表示されてもよい。たとえば、音楽機能が実行された場合に、ディスプレイ26には、曲名や、音楽データの再生に関係するGUIが表示され、サブディスプレイ80に、再生中の音楽データを変更するメニューキー、音質を変更するメニューキーおよびサブディスプレイ80の表示を設定するためのメニューキーが表示される。そして、使用者は、タッチパネル82に対するタッチ操作によって、任意のメニューキーを操作する。
【0058】
図9は、RAM30のメモリマップを示す図解図である。図9を参照して、RAM30のメモリマップには、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304が含まれる。プログラムおよびデータの一部は、フラッシュメモリ28から一度に全部または必要に応じて部分的にかつ順次的に読み出され、RAM30に記憶されてからプロセサ20などで処理される。
【0059】
プログラム記憶領域302は、携帯電話機10を動作させるためのプログラムを記憶されており、たとえば表示制御プログラム310などが記憶される。表示制御プログラム310は、図8(A)−(C)に示すGUIの表示を制御するためのプログラムである。なお、図示は省略するが、携帯電話機10動作させるためのプログラムは、通話を行うためのプログラムおよびネットワークのサーバとのデータ通信を行うためのプログラムなどを含む。
【0060】
データ記憶領域304には、傾きバッファ330、表示GUIバッファ332などが設けられる。また、データ記憶領域304には、実行機能一覧データ334、GUIデータ336などが記憶されると共に、姿勢フラグ338、第1開状態フラグ340および第2開状態フラグ342なども設けられる。
【0061】
傾きバッファ330は、傾きセンサ34から出力される重力加速度のデータが一時的に記憶されるバッファである。表示GUIバッファ332は、サブディスプレイ80に表示されるGUIの画像データが一時的に記憶されるバッファである。
【0062】
実行機能一覧データ332は、携帯電話機10で実行されている機能に対応する機能IDが記憶されるデータであり、たとえばテーブル形式で記憶される。また、この実行機能一覧データ332は、携帯電話機10で実行される機能が変更する毎に更新される。GUIデータ336は、サブディスプレイ80に表示されるGUIの画像データや、文字列データなどから構成される。
【0063】
姿勢フラグ338は、携帯電話機10の状態を判断するためのフラグである。たとえば、姿勢フラグ338は、1ビットのレジスタで構成され、オン(成立)されると、レジスタにはデータ値「1」が設定される。一方、姿勢フラグ338がオフ(不成立)されると、レジスタにはデータ値「0」が設定される。また、姿勢フラグ338は、傾きバッファ330に格納されたデータに基づいてオン/オフが切り替えられる。なお、本実施例では、姿勢フラグ338は、図2(A)および図2(B)に示す縦向きの状態ではオンになり、図2(C)に示す横向きの状態ではオフになる。
【0064】
第1開状態フラグ340は、図2(B)に示す第1開状態であるか否かを判断するためのフラグである。第2開状態フラグ342は、図2(C)に示す第2開状態であるか否かを判断するためのフラグである。また、第1開状態フラグ340および第2開状態フラグ342のオン/オフは、第1磁気センサ36および第2磁気センサ38が出力する値に基づいて切り替えられる。
【0065】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、待受画面で表示される待受画像データや、他の携帯電話機10に設定されている電話番号などから構成されるアドレス帳データなどが記憶されると共に、携帯電話機10の動作に必要なカウンタや、フラグも設けられる。
【0066】
プロセサ20は、「Linux(登録商標)」および「REX」などのRTOS(Real-time Operating System)の制御下で、図10に示す表示制御処理などを含む、複数のタスクを並列的に処理する。
【0067】
図10は表示制御処理のフロー図である。たとえば、携帯電話機10の電源がオンにされると、プロセサ20は、ステップS1で第1開状態であるか否かを判断する。つまり、第1開状態フラグ340がオンであるか否かを判断する。ステップS1で“NO”であれば、つまり第1開状態でなければ、ステップS1の判断を繰り返し実行する。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり第1開状態であれば、ステップS3に進む。
【0068】
ステップS3では、実行される機能の機能IDを取得する。つまり、実行機能一覧データ334から、実行される機能の機能IDを取得する。続いて、ステップS5では、機能IDに対応するGUIデータ336を読み出す。つまり、ステップS3で読みだされた機能IDに基づいて、実行される機能に対応するGUIの画像データを、GUIデータ336から読出し、表示GUIバッファ332に格納する。たとえば、ステップS3で、TV視聴機能の機能IDが読みだされた場合には、チャンネルキー(図8(B)参照)を表すGUIの画像データが、GUIデータ336から読み出される。
【0069】
続いて、ステップS7では、GUIを表示する。つまり、表示GUIバッファ332に格納される画像データを、サブディスプレイ80に表示する。たとえば、サブディスプレイ80には、図8(B)に示すチャンネルキーのGUIが表示される。続いて、ステップS9では、開状態であるか否かを判断する。つまり、第1開状態フラグ340に基づいて、携帯電話機10が第1開状態から閉状態に遷移したか否かを判断する。ステップS9で“NO”であれば、つまり第2開状態であれば、ステップS9の判断を繰り返し実行する。一方、ステップS9で“YES”であれば、つまり閉状態に遷移すればステップS11に進む。続いて、ステップS11では、GUIの表示を消去し、ステップS1に戻る。つまり、ステップS11では、GUIを表示するサブディスプレイ80の表示を消去する。
【0070】
このように、第2実施例では、テンキー22aの代わりに、サブディスプレイ80およびタッチパネル82を利用することができる。また、第2実施例では、表示制御処理が実行されるため、サブディスプレイ80およびタッチパネル82を、携帯他電話機10で実行される機能に応じて活用可能な、入力補助手段として機能させることもできる。
【0071】
以上の説明から分かるように、スライド型の携帯電話機10は、平面矩形である、第1筐体C1、第2筐体C2および第3筐体C3を備える。また、第2長辺が第1長辺より長く、そのために第1筐体C1の閉状態において、第2筐体C2の上面が遮蔽部と露出部とに区分される。さらに、第1筐体C1と第2筐体C2とは第1スライド機構50によって、第1筐体C1を短辺方向へスライド可能に連結され、第2筐体C2と第3筐体C3とは第2スライド機構60によって、第3筐体C3を長辺方向へスライド可能に連結される。
【0072】
また、第1筐体C1の上面にはディスプレイ26が設けられる。さらに、第2筐体C2の上面には、遮蔽部にQWERTYキーボード22bが設けられ、露出部にポインティングデバイスである十字キーを含むタッチキー32が設けられる。そして、第3筐体C3の上面には、第3筐体がスライドすることで露出するテンキー22aが設けられる。
【0073】
このように、ポインティングデバイスとQWERTYキーボードとが同じ面に設けられるため、文字入力操作とポインティング操作を同時に行うことが可能な携帯電話機10の操作性を高めることができる。
【0074】
また、使用者は、第3筐体C3をスライドさせてテンキー22aを露出させることで、従来のようなスライド型の携帯電話機として利用することもできる。
【0075】
さらに、本実施例の携帯電話機10では、タッチキー32が第2筐体C2の露出部に設けられ、テンキー22aが第3筐体C3の上面に設けられるため、使用者は、テンキー22aとタッチキー32とに対する操作の切り替えを簡単に行える。たとえば、タッチキー32が第1筐体C1の上面にも設けられる場合に、タッチキー32とテンキー22aとの距離が第2筐体C2の厚みによって離れてしまう。この場合、使用者は、本実施例における携帯電話機10に比べて、テンキー22aとタッチキー32とに対する操作の切り替えを行いにくくなる。
【0076】
なお、本実施例では、ディスプレイ26にはLCDモニタが利用されるが、他の有機ELパネルなどの他の表示装置が利用されてもよい。また、第1磁気センサ36および第2磁気センサ38によって、携帯電話機10の閉状態、第1開状態および第2開状態を検出するようにしたが、機械式のスイッチや、他のセンサを利用して検出してもよい。また、タッチキー32に含まれる十字キーは、機械式のスイッチキーで構成されてもよい。
【0077】
また、携帯電話機10の通信方式には、CDMA方式に限らず、W-CDMA方式、TDMA方式、PHS方式およびGSM方式などを採用してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 … 携帯電話機
20 … プロセサ
22 … キー入力装置
22a … テンキー
22b … QWERTYキーボード
26 … ディスプレイ
32 … タッチキー
50 … 第1スライド機構
60 … 第2スライド機構
70 … ポインティングスティック
72 … トラックボール
74 … ジョグダイヤル
80 … サブディスプレイ
82 … タッチパネル
C1 … 第1筐体
C2 … 第2筐体
C3 … 第3筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1長辺と第1短辺とからなる平面矩形の第1筐体、
第2長辺と第2短辺とからなる平面矩形の第2筐体、および
前記第2筐体の上に前記第1筐体を重ねた状態で、前記第1筐体を短辺方向へスライド可能に連結する第1スライド機構を備え、
前記第2長辺は前記第1長辺より長く、そのために前記第1筐体の閉状態において、前記第2筐体の上面が遮蔽部と露出部とに区分され、さらに
前記第2長辺と略同じ長さの第3長辺と第3短辺とからなる平面矩形の第3筐体、
前記第2筐体の下に前記第3筐体を重ねた状態で、前記第3筐体を長辺方向へスライド可能に連結する第2スライド機構、
前記第1筐体の上面に設けられる表示装置、
前記第2筐体の上面の前記遮蔽部に設けられるQWERTYキーボード、
前記第2筐体の上面の前記露出部に設けられ、それの操作に応じて前記表示装置上の位置を指定するポインティングデバイス、および
前記第3筐体が長辺方向にスライドしたときに露出し、第3筐体の上面に設けられるテンキーを備える、携帯電話機。
【請求項2】
前記QWERTYキーボードは、長辺方向の中心が前記表示装置の長辺方向の中心と一致するように設けられる、請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
第1長辺と第1短辺とからなる平面矩形の第1筐体、
第2長辺と第2短辺とからなる平面矩形の第2筐体、および
前記第2筐体の上に前記第1筐体を重ねた状態で、前記第1筐体を短辺方向へスライド可能に連結する第1スライド機構を備え、
前記第2長辺は前記第1長辺より長く、そのために前記第1筐体の閉状態において、前記第2筐体の上面が遮蔽部と露出部とに区分され、さらに
前記第1筐体の上面に設けられる表示装置、
前記第2筐体の上面の前記遮蔽部に設けられるQWERTYキーボード、および
前記第2筐体の上面の前記露出部に設けられ、それの操作に応じて前記表示装置上の位置を指定するポインティングデバイスを備える、携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−10051(P2011−10051A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151806(P2009−151806)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】