説明

携帯電話装置および受信メールの表示方法

【課題】メールの送信者が予め設定した特定の人である場合には、送信されたメールの内容を受信側で暗号化できる携帯電話装置および受信メールの表示方法を提供することを目的とする。
【解決手段】メール情報を受信する手段と、受信したメール情報に含まれる送信者の情報と予め設定されている情報とを照合する手段と、メール情報に含まれる送信者の情報が予め設定されている情報に一致したときに、暗号鍵を生成する手段と、受信したメールの表示要求があったときに、生成された暗号鍵に基づいて、受信したメールを暗号化する手段と、暗号化されたメールを表示する手段とにより、メールの送信者が予め設定した特定の人である場合には、送信されたメールの内容を受信側で暗号化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メールの受信機能を備えた携帯電話装置に関し、特に、特定の送信者から受信したメールを暗号化して表示する携帯電話装置および受信メールの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯情報端末や携帯電話機に代表される通信端末装置の普及は目覚しく、特に携帯電話機では通話料金や本体価格の低下に伴い、一人に一台の時代となりつつあり、若者の間では既に必須アイテムとなっている。
【0003】
また、それらの通信端末装置では基本機能である通話機能に加え、テキストデータや各種ファイルを送受信する電子メール機能やインターネット接続機能を具備するものを各通信事業者が短期間に競って商品化しており、次々に性能アップと機能アップが図られている。
【0004】
殊に、電子メール機能は、着信相手が通話可能であるか否かにかかわらず、要件を文字や記号、絵文字等によって作成したメールで簡単に送信できるため、多くのユーザに利用されており、最近では、通信事業者がパケット通信の定額化をうたい文句に顧客の獲得を図っている。
【0005】
一方で、電子メール機能は、上述のような利点を有する反面、受信者にとっては、知らないうちに多くのメールが受信され、また、送信者側にとっては、それぞれのメールの重要度がわからないために、重要度が高いにもかかわらず、メールを着信の順番に開封すると、受信者からなかなか返信が得られないという問題がある。
【0006】
こうした問題に対して、ユーザが予め設定した重要度に関するルールに基づいて受信した電子メールの重要度を決め、その重要度に応じた表示方法で、電子メール見出し一覧表示を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、メールの情報は、一般的な連絡手段として用いられることが多いものの、個人間の情報伝達手段であることから、プライバシーの保護についても留意する必要がある。こうした要請に対して、従来は、メールをロックする方法が提案されている。この方法は、メールボックスに入ると、携帯電話機の操作者にロックナンバーを要求し、このロックナンバーが一致したときに、メールのロックを解除し、その内容を表示するものである。また、こうした方法以外にも、特定のメールに関しては、特別な操作を行わないと、メールボックスの一覧表にも表示しない方法が提案されている。
【特許文献1】特開平9−200254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の方法では、ロックナンバーの設定や解除が煩雑であり、また、ロックナンバーを設定していないときには、他人にメールの内容を覗かれる危険性がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、メールの送信者が予め設定した特定の人である場合には、送信されたメールの内容を受信側で暗号化できる携帯電話装置および受信メールの表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、メール情報を受信する受信手段と、該受信したメール情報に含まれる送信者の情報と予め設定されている情報とを照合する照合手段と、該メール情報に含まれる送信者の情報が予め設定されている情報に一致したときに、暗号鍵を生成する暗号鍵生成手段と、該生成された暗号鍵に基づいて、受信したメールを暗号化する暗号化手段と、該暗号化されたメールを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、メール情報を受信する受信ステップと、該受信したメール情報に含まれる送信者の情報と予め設定されている情報とを照合する照合ステップと、該メール情報に含まれる送信者の情報が予め設定されている情報に一致したときに、暗号鍵を生成する暗号鍵生成ステップと、該生成された暗号鍵に基づいて、受信したメールを暗号化する暗号化ステップと、該暗号化されたメールを表示する表示ステップとを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項1または請求項3に記載の発明によれば、照合手段により、受信手段により受信したメール情報に含まれる送信者の情報と予め設定されている情報とが照合される。そして、暗号鍵生成手段が、メール情報に含まれる送信者の情報が予め設定されている情報に一致したときに、暗号鍵を生成し、受信したメールの表示要求があったときに、生成された暗号鍵に基づいて、受信したメールを暗号化して、暗号化されたメールを表示する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された携帯電話装置について、特定の送信者のメールアドレスと電話番号とを関連づけて記憶するデータテーブルを有し、前記受信したメール情報に含まれるメールアドレスが前記データテーブルに存在するときに、前記暗号鍵生成手段が、送信者の電話番号及び/又は受信者の電話番号から暗号鍵を生成することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載された受信メールの表示方法について、前記暗号鍵生成ステップが、前記受信したメール情報に含まれるメールアドレスが前記特定の送信者のメールアドレスと電話番号とを関連づけて記憶するデータテーブルに存在するときに、送信者の電話番号及び/又は受信者の電話番号から暗号鍵を生成することを特徴とする。
【0015】
請求項2または請求項4に記載の発明によれば、暗号鍵生成手段が、受信したメール情報に含まれるメールアドレスが特定の送信者のメールアドレスと電話番号とを関連づけて記憶するデータテーブルに存在するときに、送信者の電話番号と受信者の電話番号から暗号鍵を生成する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1または請求項3に記載の発明は、メールを受信した受信側がメールの内容を暗号化するため、送信側に処理負担を及ぼすことがないという効果がある。また、受信側がメールの内容を暗号化するため、送信側の携帯電話装置が特別なものである必要がなく、不要な通信負荷を及ぼすことがないという効果がある。
【0017】
又、設定された情報と照合するので、暗号化するメールと暗号化しないメールとを区別して設定することができる。即ち、特定の相手先からのメールのみを暗号化する為、真に見られたくないメールのみを暗号化でき、総てのメールを暗号化した場合に、他人に見られても良いメールまでも一々複合化の操作を行う必要がない。
【0018】
請求項2または請求項4に記載の発明は、受信側の電話番号と送信側の電話番号とに基づいて暗号鍵を生成するため、送信相手によって、暗号化処理を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係る携帯電話装置について、図面を参照して説明する。
【0020】
本発明の実施形態に係る携帯電話装置10は、図1に示すように、通信部(受信手段)12と、CDMA処理回路18および音声コーデック20とからなるベースバンド部14と、アンテナ16と、切替回路22と、増幅回路24、28、32と、第1スピーカ26と、マイクロホン30と、第2スピーカ34と、制御回路(照合手段)36と、ROM38と、RAM(データテーブル)40と、ディスプレイ42(表示手段)と、照明部46と、テンキー48と、通話キー50と、切キー52と、機能キー54とからなる入力部(入力手段)44と、暗号化部43(暗号鍵生成手段、暗号化手段)と、復号化部(復号手段)45とから構成されている。
通信部12は、後述のベースバンド部14から出力される中間周波数帯の送信信号を無線周波数帯に変換し、この信号をアンテナ16を介して基地局へ発信し、あるいはアンテナ16を介して受信した基地局からの電波信号を中間周波数帯に変換してベースバンド部14に出力する。本実施形態においては、送信側端末からメールアドレスやメール情報等を受信し、これをベースバンド部14に出力する。
【0021】
ベースバンド部14を構成するCDMA処理回路18は、符号分割多元接続やスクランブル処理、誤り制御およびタイミング検出等の処理を行う。音声コーデック20は、音声データの圧縮処理(符号化)および伸長処理を行い、あるいは、アナログ信号をディジタル信号に、ディジタル信号をアナログ信号に変換処理する。また、図示しない内部の増幅回路の増幅度を可変して、受話音量を増幅あるいは減衰させ、マイクロホンの感度を変更する。
【0022】
切替回路22は、増幅回路24を介して第1スピーカ26に接続されている。第1スピーカ26は、増幅回路24で増幅されたベースバンド部14からの電気信号を音声信号として外部に出力する。この第1スピーカ26は、ユーザの耳にあてることにより、通話に使用される。
【0023】
切替回路22は、また、増幅回路28を介してマイクロホン30が接続されている。このマイクロホン30は、通話に使用され、収音した音声信号を電気信号に変換する。マイクロホン30から出力された電気信号は、増幅回路28において増幅されてベースバンド部14に出力される。
【0024】
切替回路22は、また、増幅回路32を介して第2スピーカ34が接続されている。この第2スピーカ34には、増幅回路32において増幅されたベースバンド部14から入力された電気信号を音声信号として外部に出力する。この第2スピーカ34は、受話音を周囲の人々に聞かせるための拡声用のスピーカである。また、第2スピーカ34は、着信報知の鳴動も行う。なお、これらの3つの増幅回路24、28、32は、ゲインが固定されており、第1スピーカ26及び第2スピーカ34の音量やマイクロホン30の感度を変更することはできないようになっている。
【0025】
切替回路22は、また、ベースバンド部14との接続を、第1スピーカ26用の増幅回路24とマイクロホン30用の増幅回路28側にするか、あるいは拡声用の第2スピーカ34用の増幅回路32とマイクロホン30用の増幅回路28側にするかを切り替える。
【0026】
制御回路36は、通話に必要な制御(例えば、位置登録、待受け、リンク確立、ハンドオーバなどの制御)や表示制御など携帯電話装置の全ての制御を行う。本実施形態においては、RAM40内に格納されたデータテーブルから受信したメール情報内のメールアドレスに基づいて、送信者側の電話番号を検索し、電話番号がデータテーブル内にあったときには、この電話番号を暗号化部43に出力する。また、送受信制御、電話番号通知制御および電話番号記憶制御などを行う。さらに、上述した切替回路22の切替制御やベースバンド部14における音声コーディング20を制御し、第1スピーカ26及び第2スピーカ34の音量やマイクロホン30の感度を制御する。
ROM38には、携帯電話装置全体を制御するためのシステムプログラムが格納されている。また、RAM40は、不揮発性メモリ等で構成され、制御回路36の制御に必要な所定の情報や発呼あるいは電子メールの送信に使用する電話帳データ、写真などの画像データが記憶されている。また、本実施形態においては、特定の送信者のメールアドレスと電話番号とを関連付けて記憶するデータテーブルを備えている。
【0027】
ディスプレイ42は、現在の時刻や、電話番号、電子メールの内容等の所定の情報を表示する表示器であり、例えば、カラーLCDやEL(エレクトロ・ルミネッセンス)、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)などで構成されている。照明部46は、ディスプレイ42やキー等の照明を行う。入力部44は、電話番号等の入力を行うテンキー48と、通話の開始を操作する通話キー50と、通話の終了を操作する切キー52と、各種機能の設定を行う機能キー54と、を有している。
【0028】
暗号化部43は、送信者および受信者の電話番号に基づいて暗号鍵を生成するとともに、この暗号鍵を用いて、メールの内容を暗号化する。なお、暗号化の詳細については後述する。復号化部45は、暗号化されたメールの内容を暗号化部43において生成された暗号鍵を用いて復号化する。
【0029】
次に、本実施形態に係る携帯電話装置の処理動作について、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0030】
まず、制御回路36は、ユーザからの受信メールの表示要求があるか否かを確認し、表示要求がない場合には、表示要求を待って待機する(ステップ101)。ユーザからの受信メールの表示要求がある場合には、表示要求のあったメール送信者のメールアドレスがRAM40内のデータテーブルにあるか否かを検索する(ステップ102)。そして、表示要求のあったメール送信者のメールアドレスがRAM40内のデータテーブルにある場合には、次に、メールアドレスに対応する送信者の電話番号を検索する(ステップ103)。一方、表示要求のあったメール送信者のメールアドレスがRAM40内のデータテーブルにない場合には、メールの内容をそのまま表示データとしてディスプレイ42に出力し、表示する(ステップ104)。送信者の電話番号を検索すると、これと受信端末の電話番号とを暗号化部43に出力する。暗号化部43では、送信側及び/又は受信側の電話番号から暗号鍵を生成する(ステップ105)。続いて、この暗号鍵に基づいて、表示要求のあったメールを暗号化する(ステップ106)。ステップ105及び106の具体的な動作としては、先ず、送信側又は受信側の電話番号の下4桁とメール本文データの内の、1文字のデータとの排他的論理和をとる。
【0031】
尚、送信側の電話番号の下4桁と1文字の排他的論理和を取り、次の1文字については、受信側の電話番号の下4桁と1文字の排他的論理和をとり、これを繰り返す構成としても良い。
【0032】
続いて、このように変換したデータにbase64を用いたキャラクタ変換を行う。base64は、バイナリデータ、すなわちバイト列を3バイト(24ビット)ずつに分割し、さらに、この24ビットを6ビットずつの4つの組に分割して、それぞれを0から63の計64種類の数として表現するものである。もうすこし具体的に説明すると、元のバイナリデータの6ビットを0〜63までの数とみなし、これらをそれぞれアルファベットのA〜Zの大文字、小文字(全部で26文字×2の52文字)、数字の0〜9(全部で10文字)、および「+」と「/」との64文字に対応させることでデータをエンコードする方法である。
こうして、暗号化されたメールのデータは、ディスプレイ42に出力され、表示される(ステップ107)。
【0033】
尚、携帯電話の持ち主であるユーザが暗号化されたメールを見たい場合には、逆の操作を行えばよい。即ち、base64で変換されたデータをbase64で逆変換し、更に、このデータを電話番号の下4桁で排他的論理和をとることにより、もとのデータに戻して表示することができる。
なお、本実施形態においては、表示要求があったときに所定のメールに対して、暗号化処理を行い、処理後のデータを表示する例について説明したが、例えば、メール受信をした際に、送信者のメールアドレスから暗号化の対象メールであるか否かを判断するとともに、データテーブルから検索した電話番号に基づいてデータを暗号化して、これをRAM40に格納するとともに、表示要求があったときには、RAM40に格納した暗号化済のデータをディスプレイ42に表示させるようにしてもよい。
【0034】
したがって、本実施形態によれば、メールを受信した受信側がメールの内容を暗号化するため、送信側の携帯電話装置が特別なものである必要がなく、不要な通信負荷を及ぼすことがない。
以上、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の携帯電話装置の構成図である。
【図2】本発明の携帯電話装置の処理フローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
10・・・携帯電話装置、12・・・通信部(受信手段)、14・・・ベースバンド部、16・・・アンテナ、18・・・CDMA処理回路、20・・・音声コーデック、22・・・切替回路、24、28、32・・・増幅回路、26・・・第1スピーカ、30・・・マイクロホン、34・・・第2スピーカ、36・・・制御回路(照合手段)、38・・・ROM、40・・・RAM、42・・・ディスプレイ(表示手段)、43・・・暗号化部(暗号鍵生成手段、暗号化手段)、44・・・入力部(入力手段)、45・・・復号化部(復号手段)、46・・・照明部、48・・・テンキー、50・・・通話キー、52・・・切キー、54・・・機能キー、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メール情報を受信する受信手段と、
該受信したメール情報に含まれる送信者の情報と予め設定されている情報とを照合する照合手段と、
該メール情報に含まれる送信者の情報が予め設定されている情報に一致したときに、暗号鍵を生成する暗号鍵生成手段と、
該生成された暗号鍵に基づいて、受信したメールを暗号化する暗号化手段と、
該暗号化されたメールを表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする携帯電話装置。
【請求項2】
特定の送信者のメールアドレスと電話番号とを関連づけて記憶するデータテーブルを備え、
前記受信したメール情報に含まれるメールアドレスが前記データテーブルに存在するときに、前記暗号鍵生成手段が、送信者の電話番号及び/又は受信者の電話番号から暗号鍵を生成することを特徴とする請求項1に記載された携帯電話装置。
【請求項3】
メール情報を受信する受信ステップと、
該受信したメール情報に含まれる送信者の情報と予め設定されている情報とを照合する照合ステップと、
該メール情報に含まれる送信者の情報が予め設定されている情報に一致したときに、暗号鍵を生成する暗号鍵生成ステップと、
該生成された暗号鍵に基づいて、受信したメールを暗号化する暗号化ステップと、
該暗号化されたメールを表示する表示ステップと、
を備えたことを特徴とする受信メールの表示方法。
【請求項4】
前記暗号鍵生成ステップが、前記受信したメール情報に含まれるメールアドレスが前記特定の送信者のメールアドレスと電話番号とを関連づけて記憶するデータテーブルに存在するときに、送信者の電話番号及び/又は受信者の電話番号から暗号鍵を生成することを特徴とする請求項3に記載された受信メールの表示方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−40137(P2006−40137A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222025(P2004−222025)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】