説明

携帯電話

【課題】 映像および音声の無線送受信機能を有する電話機本体1と、映像情報を映像情報駆動部から結像光学系を通して使用者の目の網膜上に虚像を形成する虚像光学表示装置2とを備える携帯電話において、使用者の使用勝手を向上させた携帯電話を提供することにある。
【解決手段】 電話機本体1にヒンジを介して折り畳み可能に設けられたアーム6に虚像光学表示装置2が装着され、電話機本体1の背面側に虚像光学表示装置2に表示されるカーソルの移動を操作するためのカーソル移動入力部15を設けた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、映像および音声の無線送受信機能を有する電話機本体と、受信した映像情報を映像情報駆動部から結像光学系を通して使用者の目の網膜上に虚像を形成する虚像光学表示装置を備える携帯電話に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、携帯電話において、受信した映像情報を映像情報駆動部から結像光学系を通して使用者の目の網膜上に虚像を形成させて認識表示させるようにしたものがある(米国特許第6,073,034号等参照)。
【0003】また、最近の携帯電話においては、インターネットに接続可能に構成され、携帯電話でインターネットブラウジングも行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の携帯電話においては、その大きさから直視型ディスプレイ装置も小さく、その小さなディスプレイ装置では、映像は視認し辛いという難点がある。
【0005】一方、上記した受信した映像情報を映像情報駆動部から結像光学系を通して使用者の目の網膜上に虚像を形成させて認識表示させるように構成すると、表示される画面も大きなものとなり、インターネットブラウジングが容易に行える。
【0006】しかし、インターネットブラウジングの際には、表示画面上でのカーソルの移動などが要求される。このたびに、携帯電話のプッシュボタン装置を用いて、この作業を行うと、いちいち結像光学系から目を離して、その作業を行わなければならず、動作が煩わしいなどの問題がある。
【0007】そこでこの発明の課題は、使用者の使用勝手を向上させた携帯電話を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題を解決するために、映像および音声の無線送受信機能を有する電話機本体と、映像情報を映像情報駆動部から結像光学系を通して使用者の目の網膜上に虚像を形成する虚像光学表示装置と、電話機本体部に設けられたプッシュボタン操作部と、を備え、上記電話機本体の側面または背面部に、虚像光学表示装置に表示されるカーソルを移動させるカーソル移動入力手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】上記した構成によれば、使用者が、虚像光学表示装置で映像情報を視認する状態で、カーソル動作が行え、自然な状態でカーソル移動が行える。
【0010】また、この発明は、上記キー入力部と同じ側の電話機本体に直視型のディスプレイ装置が設けられ、キー入力部による文字入力が選択された場合に、上記直視型のディスプレイ装置にキー入力部による情報が表示されることを特徴とする。
【0011】文字入力が多い場合には、キー入力部による入力が容易なため、上記したように、キー入力部と直視型のディスプレイ装置での文字入力ができるようにすることで、利便性が向上する。
【0012】また。連続して2個以上の項目の文字入力を行う場合に、上記キー入力部により各項目の入力終了を示す情報を入力すると、次の入力要求項目を上記直視型のディスプレイ装置に表示させるように構成すると良い。
【0013】上記したように構成すると、連続した複数の入力項目をいちいち虚像光学表示装置と直視型ディスプレイ装置とを交互に見る必要が無くなり、使用者の利便性が向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】図1〜図8は、この発明に係る携帯電話の第1の実施形態を示している。
【0015】この実施形態の携帯電話は、映像および音声の無線送受信機能を有する電話機本体1と、映像情報を映像情報駆動部2aから凹面鏡光学系からなる結像光学系3を通して使用者の目Eの網膜上に虚像を形成する虚像光学表示装置2と、を備える。
【0016】この虚像光学表示装置2は、図7に示すように、液晶表示パネルとLED光源からなる液晶表示装置からなる映像情報駆動部2aと、自由曲面レンズ3aをプリズム構成面に採用し、更に偏心光学系を融合させたプリズムである所謂フリーシェイプト・プリズム3と、からなる。このフリーシェイプト・プリズム3に映像情報駆動部2aからの光を入射させ、フリーシェイプト・プリズム3の光出射面から使用者の目Eに映像光を与える。
【0017】上記のフリーシェイプト・プリズム3と、液晶表示装置で構成された映像情報駆動部2aからなる虚像光学表示装置2は、小型化を図ることができ、上記電話機本体1のアーム6内に設けることができる。この虚像光学表示装置2を装着するアーム6は、上記電話機本体1に対してヒンジ5により、折り畳み可能に設けられている。
【0018】更に、図示しないが電話機本体1の内部にはこの電話機の送受動作や他の制御動作を行うための制御回路が設けられている。
【0019】この実施形態においては、以下、アーム6に設けられる虚像光学表示装置2のフリーシェイプト・プリズム3の光出射側の面部分を含めてディスプレイ接眼部3bと称する。
【0020】図1は、アーム6を起こして開いた状態、図2はアームを畳んで閉じた状態を示している。
【0021】上記電話機本体1は、キー入力部としてのプッシュボタン操作部7、直視型のディスプレイ装置としての液晶表示部8、スピーカー部9、マイク部10を有する。更に、この携帯電話は、背面部(プッシュボタン操作部7が設けられた面とは反対側の面)または側面部に、カーソル移動入力部15が設けられている。この実施形態では、背面部にカーソル移動入力部15を設けている。カーソル移動入力部15は、ジョイスティックや上下左右方向にカーソルを移動させるためのカーソルキー、アップダウンキーなどで構成される。
【0022】図8に示すように、虚像光学表示装置2を備えたディスプレイ接眼部3bを装着するアーム6を開いた状態で、スピーカー部9を耳に当てると、使用者の目Eの前に、虚像光学表示装置2のディスプレイ接眼部3bが位置し、映像情報駆動部2aからの映像情報が光学系を通して使用者の目Eの網膜上に虚像として表示される。即ち、アーム6を確実に開き、この状態でスピーカー部9を耳に当てると、ディスプレイ接眼部3bが使用者の目Eの前に位置するように、スピーカー部9から電話機本体1のヒンジ部5迄の長さ、アーム6の長さ、アーム6と電話機本体1との角度が人間工学的に最適な条件で決定されている。
【0023】このため、使用者が、虚像光学表示装置2を含むディスプレイ接眼部3bを装着したアーム6を開いた状態で、スピーカー部9を耳に当て、映像情報を視認する際にも、疲れがなく、自然な状態で観察できるように構成されている。
【0024】そして、使用者がスピーカー部9を耳に当て、映像情報を視認している状態で、インターネットブラウジングの際に、表示画面上でのカーソルの移動などを行う場合には、そのままの状態で上記したカーソル移動入力部15を用いて行うことができる。
【0025】また、電話機本体1のスピーカー部9とヒンジ5との間に、図示するように、丸みを帯び持ちやすいような形状に構成された保持部13が設けられている。そして、この保持部13の部分に、虚像光学表示装置2を内蔵したアーム6及び電話機本体1を含んだ重心位置の中心がくるように、重量配分が考慮されている。
【0026】このように、重量配分することで、使用者が、虚像光学表示装置2を含むディスプレイ接眼部3bを装着したアーム6を開いた状態で、スピーカー部9を耳に当て、映像情報を視認する際にも安定した操作が行える。
【0027】更に、上記電話機本体1には、送信映像を撮影するビデオカメラ部11を有し、このビデオカメラ部11は使用者に対向する被写体を撮影する状態に取付けられている。すなわち、図4及び図8に示すように、アーム6を開いた状態において、ディスプレイ接眼部3bからの光出射方向と、ビデオカメラ部11のレンズ部とが平行又はほぼ平行な方向となるように、スピーカー部9などが設けられた面とは反対の面に配置される。従って、ディスプレイ接眼部3bを使用者が観察するようにすると、使用者の目の前方に位置する箇所をビデオカメラ部11が撮影することになる。このため、使用者は目で追うようにして、ビデオカメラ部11で被写体を撮影することができる。
【0028】そして、図4に示すように、この携帯電話は、使用状態において、スピーカー部9、保持部13、ビデオカメラ部11、ディスプレイ接眼部6aという順序で配置されるように構成されている。そして、保持部13でこの電話機本体1を使用者が掴んで保持したときに、その指先が押下しやすい位置にビデオカメラ部11のシャッタボタン12が設けられている。
【0029】上記したように、使用時にビデオカメラ部11の後方に保持部13が位置することにより、電話機を使用しているときにも指先などがビデオカメラ部11の撮影の邪魔になることがなく、使用者の目線方向にある被写体を撮影することができる。
【0030】このビデオカメラ部11で撮影した映像は、映像情報駆動部2aに映像情報として与えられ、上記フリーシェイプト・プリズム3を通して使用者の目Eの網膜上に虚像として表示することにより、ビデオカメラ部11で撮影している映像を使用者がモニタリングすることができる。このため、使用者は、現在撮影されている実際の映像を確認しながら、相手側にその映像を送信することができる。
【0031】勿論、虚像光学表示装置2の映像情報駆動部2aに、相手先からの映像情報を与えられることにより、上記フリーシェイプト・プリズム3を通して使用者の目Eの網膜上に送信されてきた映像を虚像として表示することもできる。
【0032】ところで、使用者は、使用状態においては、ある程度上下方向にビデオカメラ部11の撮影方向を変化させ、撮影状態を変化させたい場合もある。ビデオカメラ部11は固定のままでは、顔を上下させるなどして、対応する必要がある。そこで、図5に示すように、ビデオカメラ部11を電話機本体1に対して、回転軸11aを介して回転可能に取り付け、ビデオカメラ部11を所定の角度を回転可能なように構成してもよい。
【0033】このように構成することにより、ビデオカメラ部11を指先などで回転させ、ディスプレイ接眼部3bを介して与えられる虚像を確認しながら所望の角度位置にビデオカメラ部11の位置を決めれば、使用者が一番好ましい使用状態で電話機本体1及びビデオカメラ部11を操作することができる。
【0034】上記映像情報駆動部2aは、透過型又は反射型の液晶パネルとLED等からなる光源とによって構成されている。
【0035】なお、上記虚像光学表示装置2の映像情報駆動部2aは、液晶表示装置以外にEL等の自発光型表示装置を使用することもできる。
【0036】また、この携帯電話機は、相手先のとの送受信以外に、インターネットブラウジングやメールの送受信も可能に構成されている。このインターネットブラウジングや送受信したメールを確認する際には、直視型の液晶表示装置8並びに虚像光学表示装置2による視認が可能である。
【0037】ところで、上記した携帯電話においては、電池にて駆動されるので、使用時間などを考慮すれば、使用電力はなるべく少なくする方が好ましい。このため、電源スイッチをオンにすると、虚像光学表示装置2も常にオンにすると、使用者が映像を見る必要がない場合においても虚像光学表示装置2による電力を使用することになるので、好ましくはない。
【0038】そこで、この実施形態においては、アーム6の開閉状態、プッシュボタン操作部7による設定などにより、虚像光学表示装置2などの電力制御を行うように制御している。
【0039】図6は、上記した携帯電話の回路構成を示すブロック図である。図1においては、図示していないが、アーム6と電話機本体1を繋ぐヒンジ5部分にアームセンサスイッチ108が設けられており、アーム6の開閉の度合いが検知可能に構成されている。
【0040】このアームセンサスイッチ108からの信号がコントローラ100に与えられ、コントローラ100はこのアームセンサスイッチ108からの信号に基づき、各種モジュール回路の制御を行う。携帯電話を使用する場合には、アーム6を完全に開いて、ディスプレイ接眼部3bが処置の位置にする必要がある。このため、アーム6を開けた状態が不完全な状態であれば、使用者の網膜に虚像を結像することができない。そのような状態においては、使用者にアーム6の開放状態が不完全であることを知らせると共に、その間の映像情報駆動部2aへの電力の消費を少なくするために、アーム6の開閉状態をアームセンサスイッチ108からの信号に基づきコントローラ100が判断し、各種モジュール回路を制御するものである。このように構成することで、消費電力の削減及び見難い形態での使用を回避することができる。具体的な制御については、後述する。
【0041】リチウムイオン蓄電池などの2次電池101からの電力は電源管理回路102を介して各モジュール回路に与えられる。この電源管理回路102はコントローラ100により制御される。
【0042】RF回路107は、アンテナからの受信信号を周波数変換、A/D変換して、受信したデジタル信号をコントローラ100に与えると共に、コントローラ100より与えられる送信データをD/A変換、周波数変換してアンテナより出力する。
【0043】このコントローラ100は、携帯電話のベースバンドの信号処理、通常電話の音声コーデック及び全体のコントロールを行う。
【0044】また、テレビ電話通信時のMPEG4などの規格に基づく画像圧縮・伸張並びに音声信号の圧縮・伸張の処理は、マルチメディアプロセッサ106で行われ、このマルチメディアプロセッサ106は、コントローラ100により制御される。
【0045】メモリ105は、主としてマルチメディア処理時に必要な画像などを記憶する。このメモリ105は、コントローラ100により書き込み、読み出し等が制御される。
【0046】表示コントローラ113は、映像情報駆動部2aに対するインターフェース並びにその制御を行うものであり、コントローラ100により制御される。
【0047】映像情報駆動部2aに与えられる映像情報は、上記したように、ビデオカメラ部11で撮像した画像データ、相手側からから送られてきた映像、インターネットブラウジングした際の画像、メールの送受信データなどである。
【0048】これらの表示の切り替え制御等は、後述するプッシュボタン操作部7の操作やカーソル移動入力部15による操作により行われる。
【0049】ビデオカメラ部11は、カメラコントローラ104により制御され、ビデオカメラ部11から入力された映像データは、カメラコントローラ104によりデジタル信号に変換され、メモリ105、マルチメディアプロセッサ106、表示コントローラ113に画像データが与えられる。
【0050】マイク回路110は、入力された、音声データをデジタル変換し、コントローラ100に与える。そして、コントローラ100にて音声コーデックされ、RF回路107を介してアンテナから相手先に送信される。
【0051】スピーカー部109は、コントローラ100から与えられる相手側からの音声データを復調し、音声として出力する。
【0052】プッシュボタン操作部7は、テンキー、電源キー、ファクションキーなどで構成され、使用者が押下したキー情報がコントローラ100に与えられる。コントローラ100は、プッシュボタン操作部7から与えられたキー情報に基づき、各種動作を行う。カーソル入力操作部15は、主として虚像光学表示装置2に表示されているカーソルを移動させる指示を行うもので、カーソル入力操作部15による入力動作情報がコントローラ100に与えられる。コントローラ100は、カーソル入力操作部15から与えられた情報に基づき、各種動作を行う。
【0053】ディスプレイコントローラ114は、プッシュボタン操作部7のキーパッドより入力されたデータ、送受信動作等を表示するための液晶表示部8を制御する。
【0054】次に、この発明にかかる携帯電話の送受信動作等につき説明する。基本的な動作は、テレビ電話の受信データは、RF回路107からコントローラ100に与えられ、コントローラ100からマルチメディアプロセッサ106に与えられる。マルチメディアプロセッサ106にて、音声、画像をデコードし、画像データが表示コントローラ113に送られ、表示コントローラ113は与えられた画像データに基づき、虚像光学表示装置2の映像情報駆動部2aを駆動し、虚像光学表示装置2の映像情報駆動部2aからの映像データがディスプレイ接眼部3bを通して使用者の目Eに与えられ、虚像として認識される。
【0055】また、テレビ電話の送信データは、ビデオカメラ部11で撮影した被写体の画像データがカメラコントローラ104からマルチメディアプロセッサ106に与えられ、マルチメディアプロセッサ106にて画像圧縮され、コントローラ100からRF回路107に与えられて送信される。ビデオカメラ部11からの画像データは表示コントローラ113にも与えられ、虚像光学表示装置2の映像情報駆動部2aからビデオカメラ部11で撮像された映像データをディスプレイ接眼部3bから使用者の目Eに与え、モニタリングできる。また、テレビ電話の音声データはマイク回路110からマルチメディアプロセッサ106に与えられ、マルチメディアプロセッサ106にて音声圧縮され、コントローラ100からRF回路107に与えられて送信される。
【0056】この発明にかかる携帯電話の基本的な動作は、上記のように行われるが、電力消費を少なくするために、この発明においては、テレビ電話として使用する場合には、アーム6を完全に解放した状態にて行うものとし、電源スイッチがオンにされてもアーム6が完全に開放されていない限り、画像処理を行う回路に電源を与えないように、電源管理回路102を制御して、電力の消費を抑制している。
【0057】このため、コントローラ100は、アームセンサスイッチ108からの信号に基づき、アーム6が完全に開放されたことを検知すると、映像情報駆動部2a、表示コントローラ113、ビデオカメラ部11、カメラコントローラ104、マルチメディアプロセッサ106などに電源を与えるるように制御する。なお、ファンクションキーなどの設定により、上記した全てのモジュール回路に電源を与えるのではなく、最低限のモジュール回路に電源を与えるように設定できるように構成してもよい。例えば、相手先に画像を送信するだけの場合には、電力を多く必要とする虚像光学表示装置2には、電力を与えずに、電力消費を抑制するなど、色々な設定が考えられる。
【0058】以下、制御例につき説明する。例えば、音声回線のみにて通話しているときに、アーム6を開き、アームセンサスイッチ108からの信号により、コントローラ100はアーム6が完全に開かれたと判断すると、コントローラ100は、虚像光学表示装置2の映像情報駆動部2a、表示コントローラ113、マルチメディアプロセッサ106、ビデオカメラ部11、カメラコントローラ104及びメモリ105を起動するように、電源管理回路102と各モジュール回路に指示する。
【0059】なお、音声回線ではテレビ電話は利用できないため、通常、一度音声回線を切断し、改めてテレビ電話のための回線を確立する(かけ直す)必要がある。しかしながら、複数の回線を同時に接続できる機能があれば,以下の手順により途切れなく音声電話からテレビ電話に移行することが可能になる。
【0060】コントローラ100は、ビデオカメラ部11で撮影した送信映像を虚像光学表示装置2の映像情報駆動部2aに与え、使用者の目Eの網膜上に虚像を表示すると共に、テレビ電話のための回線接続を行い、片方向のビデオ送信と双方向の音声送受信を実現し、その後、最初の音声回線を切断するように、各モジュール回路を制御する。
【0061】また、例えば、テレビ電話通信時で且つ画像を受信していないとき、即ち、画像送信のみ行っているときに、アーム6が閉じられ、アームセンサスイッチ108からの信号により、コントローラ100はアーム6が閉じられたと判断すると、音声のための回線接続を行い、双方向の音声送受信を実現し、その後、これまでのテレビ電話用回線を切断する。そして、コントローラ100は、虚像光学表示装置2の映像情報駆動部、表示コントローラ113、マルチメディアプロセッサ106、ビデオカメラ部11、カメラコントローラ104及びメモリ105を停止するように、電源管理回路102と各モジュール回路に指示する。
【0062】また、例えば、音声のみで通話しているときで、且つ同じ相手からの画像データ受信(呼出)があるときに、アーム6を開き、アームセンサスイッチ108からの信号により、コントローラ100は、アーム6が完全に開かれたと判断すると、コントローラ100は、虚像光学表示装置2の映像情報駆動部2a、表示コントローラ113、マルチメディアプロセッサ106、ビデオカメラ部11、カメラコントローラ104及びメモリ105を起動するように、電源管理回路102と各モジュール回路に指示する。
【0063】そして、コントローラ100は、テレビ電話のための回線接続を行い、片方向のビデオ受信と双方向の音声送受信を実現すると同時に,相手から送られてきた受信映像を虚像光学表示装置2の映像情報駆動部2aで表示し、その後、最初の音声回線を切断するように、各モジュール回路を制御する。
【0064】なお、アーム6が開かれた状態においてもテレビ電話を使用しない場合には、プッシュボタン操作部7からのボタン操作により、テレビ電話に関するモジュール回路を停止するようにコントローラ100が制御するように構成できる。このとき、テレビ電話の動作を開始するときには、プッシュボタン操作部7からのボタン操作によりテレビ電話に関するモジュール回路を起動するように構成すればよい。
【0065】また、テレビ電話通信時で且つ画像を送信していないとき、即ち、画像を受信しているとき、アーム6が閉じられ、アームセンサスイッチ108からの信号により、コントローラ100がアーム6が閉じられたと判断すると、音声のための回線接続を行い、双方向の音声送受信を実現し、その後、これまでのテレビ電話用回線を切断する。そして、コントローラ100は、虚像光学表示装置2の映像情報駆動部、表示コントローラ113、マルチメディアプロセッサ106、ビデオカメラ部11、カメラコントローラ104及びメモリ105を停止するように、電源管理回路102と各モジュール回路に指示する。
【0066】上記したように、アーム6の開閉に応じて、テレビ電話の動作を制御するように構成すれば、使用する機能以外のモジュール回路への電源供給を停止又は抑制することができ、消費電力を低減することができる。
【0067】上記した制御は、携帯電話としての送受信動作についてであるが、次に、この携帯電話を用いて、インターネットブラウジングなどの動作を行う場合につき説明する。プッシュボタン操作部7を操作し、サーバにアクセスすると、図9に示すように、ブラウジング画面30が虚像光学表示装置2に表示される。
【0068】使用者は、図8に示すように、虚像光学表示装置2を備えたディスプレイ接眼部3bを装着するアーム6を開いた状態で、スピーカー部9を耳に当てると、使用者の目Eの前に、虚像光学表示装置2のディスプレイ接眼部3bが位置し、映像情報駆動部2aからの映像情報が光学系を通して使用者の目Eの網膜上にブラウジング画面30が虚像として表示される。
【0069】そして、使用者がスピーカー部9を耳に当て、映像情報を視認している状態で、インターネットブラウジングの際に、表示画面上でのカーソルの移動などを行う場合には、そのままの状態で上記したカーソル移動入力部15を用いて、ブラウジング画面30を視認しながらカーソルを移動させる。コントローラ100は、カーソル移動入力部15からの情報に基づき、インターネットブラウジングでのスクロールや、メールの閲覧などを行うように制御し、その制御に基づき、映像が更新される。
【0070】このように、電話機本体1の背面部にカーソル移動入力部15を設けることにより、虚像光学表示装置2を見ながら、カーソル移動が行える。
【0071】また、ソフトキーボード機能を持たすことにより、カーソル移動入力部15を用いて、文字入力や映像の切り替えなどを行うように構成できる。
【0072】例えば、図10に示すように、虚像光学表示装置2に映像A、映像Bの2つの画像が表示されているとする。(a)に示すように、映像Bの左下に映像Bが表示されているときに、映像Bのところにカーソル移動入力部15により、カーソルを移動させ、映像Bの部分を指定すると、同図(b)に示すように、映像Bだけを表示するようにする。また、映像Aのところにカーソル移動入力部15により、カーソルを移動させ、映像Aの部分を指定すると、同図(c)に示すように、映像Bだけを表示するようにする。
【0073】同図(d)に示すように、映像Aと映像Bを入れ替えたり、また、(e)に示すように、映像の位置を変えたり、カーソル移動入力部15の操作により、色々と変更可能に構成できる。
【0074】また、図11に示すように、インターネットブラウジング中に文字入力を要求する部分を選択した場合、カーソル移動入力部15により文字を入力する方法もあるが、カーソル移動入力部15では、文字入力は煩わしい場合がある。そこで、この実施形態においては、インターネットブラウジング中に文字入力を要求する部分を選択した場合、コントローラ100は、図12に示すように、直視型の液晶表示装置8に文字入力部分を表示させ、プッシュボタン操作部7を用いて文字入力ができるように構成している。このように、文字入力が多い場合には、プッシュボタン操作部7による入力が容易なため、プッシュボタン操作部7と直視型の液晶表示装置8での文字入力ができるようにしている。
【0075】さらに、連続して幾つかの項目に文字情報を入力を行う場合、例えば、氏名、年齢、住所、電話番号などを入力する場合には、直視型の液晶表示装置8に表示させ、各入力項目の入力終了を示すプッシュボタン操作部7のキーを押下すると、液晶表示装置8には、次の入力があれば次の入力項目が表示されるように制御する。このように構成すると、連続した複数の入力項目をいちいち虚像光学表示装置2と液晶表示装置8とを交互に見る必要が無くなり、使用者の利便性が向上する。
【0076】上記した実施形態においては、テンキーなどのプッシュボタン操作部7により、文字入力を行っている。キー入力としては、プッシュボタン以外に、タッチパネルなどのような構成でも可能である。この場合、直視型の液晶表示装置8などの表面をペン、指などで操作して、入力することになる。
【0077】上記したように、この発明にかかる携帯電話においては、アーム6を確実に開き、この状態でスピーカー部9を耳に当てると、ディスプレイ接眼部3bが使用者の目Eの前に位置するように、スピーカー部9から電話機本体1のヒンジ部5迄の長さ、アーム6の長さ、アーム6と電話機本体1との角度が人間工学的に最適な条件で決定されている。次に、この各種寸法等の決定方法につき、図8を参照して説明する。
【0078】図8に示すように、耳と携帯電話との接触点Paが決まる。この接触点は、携帯電話のスピーカー部9の位置に使用者の耳を当てた点になる。
【0079】次に、ディスプレイ接眼部3bの接眼レンズ部分の中心位置Pbを以下のようにして決定する。
【0080】人間光学的に見やすいディスプレイ接眼部3bの接眼レンズ部分の中心位置Pbは、光軸がまっすぐ前方かそれより内向きになる方向にある。図8においては、光軸がまっすぐ前方になるようにした。目とディスプレイ接眼部3bの接眼レンズ部分との距離は眼鏡をかけた使用者であっても、眼鏡が接触しないことを考慮して3.5cm程度する。
【0081】携帯電話のスピーカー部9と耳とを接触点Paで接触させつつ、携帯電話が顔に接触するまで、Paを中心に垂直軸回りに回転させる。この接触点の顔側をPc、携帯電話側をPdとする。
【0082】接眼レンズの中心位置Pbを通り、水平で且つ光軸に垂直な直線をLaとし、この直線Laと直線Pa−Pdとの交点をPeとする。両耳間を結ぶ直線とPa−Peとのなす角をαとすると、Pc=Pdのとき、これが使用中のαの最小角度α1となる。日本人の人体計測データの平均値(20〜24歳の男性)から算出すると、α1は約80度となる
【0083】α=90度の場合、距離Pb−Peは{(耳間距離)−(瞳孔間距離)}/2となる。日本人の人体計測データの平均値(20〜24歳の男性)から算出すると、40.3mmとなるが、眼鏡や人間光学的な使い易さを考慮し、αを以下のように決定する。
【0084】眼鏡と干渉しないことを考慮したαをα2とすると、使用中はα≧α2となる。上記した日本人の人体計測データに基づくと、α2は約85度となる。
【0085】接眼部の長さを長くすることにより、αは大きくすることも可能であるが、人間工学的に肘を閉じた姿勢の方がカメラ撮影などが安定し、持ちやすいため、αの上限値α3とすると、α3=90度が上限値と設定する。よって、α1≦α≦α3の範囲になるようにαを選択すればよい。
【0086】距離Pa−Peは、α=90度の場合、日本人の人体計測データの平均値における(耳と目の間の距離)に目と接眼レンズまでの距離35mmを加算した値となる。従って、α=90度の場合、距離Pa−Peは139mmとなる。
【0087】α=α2=85度の場合、距離Pb−Pe=40.3−139/tanαとなり、距離Pb−Pe=40.3−139/11.43≒28.1(mm)となる。
【0088】距離Pa−Pe=139/sinα=139/0.996=139.5mmとなる。
【0089】ヒンジ5の位置は、アーム6の開閉角度、アーム6を閉じたときの本体のディスプレイ接眼部3bの格納部分の大きさに影響する。例えば、ヒンジ5をスピーカー部9に近づければ、アーム6を閉じたときの本体の長さを短くすることができるが、回転角度が大きくなり、閉じたときのディスプレイ接眼部3bの先がスピーカー部9に近づくことになる。逆に、ヒンジ5をスピーカー部9から遠ざければ、アーム6を閉じたときの本体の長さが長くなり、閉じたときのディスプレイ接眼部3bの先がスピーカー部9から遠ざかる。
【0090】この実施形態においては、電話機本体1には、アーム6を閉じたときにもプッシュボタン操作部7が使えるだけのスペースを設ける方が使用勝手が良い。また、電話機本体1はできるだけ短くする方が小型化が図れる。
【0091】また、ヒンジ5の位置は、閉じた時の小型化を考慮すると、接眼部の光軸からの距離の最小値がPb−Pe+βで、かつ、スピーカー部9の位置Paからの距離の最小値がPaからめがね折り曲げ部までの距離になる。
【0092】なお、βはPeから本体表面までの距離と本体表面からヒンジ5までの距離の和で、本体厚さに関係する。ここでは,約11.9mmとし、接眼部の光軸からヒンジ5までの距離の最小値は、40mm、スピーカー部9の位置Paからヒンジ5までの距離の最小値は、標準的めがねの寸法から約120mmとする。
【0093】また、上記距離のそれぞれの最大値を、接眼部の光軸からヒンジ5までの距離の最大値を本体の厚さを考慮して60mmに、スピーカー部9の位置Paからヒンジ5までの距離の最大値を接眼部の厚さを考慮して150mmとした。
【0094】従って、電話機のスピーカー部9の位置からヒンジ5の位置までの長さと接眼部の光軸からヒンジ5までの長さの比は、2:1から15:4の範囲となる。
【0095】この実施形態では、電話機のスピーカー部9の位置からヒンジ5の位置までの長さを135mmと接眼部の光軸からヒンジ5までの長さを52mmに設定している。
【0096】上記した各部位の寸法は、日本人の人体計測データの平均値(20〜24歳の男性)から算出したものであり、女性専用や欧米人用には、それぞれの平均値から電話機本体部1の長さを設定し、この長さに基づき、上記した比率によりアーム6の長さ及びヒンジ5の位置を設定すればよい。
【0097】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、虚像光学表示装置を備えた携帯電話において、使用者が、虚像光学表示装置を用いている状態で、映像情報などの切り替え動作などが容易に行えることができ、使用者の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る携帯電話の第1の実施形態を示すアームを開いた状態の斜視図である。
【図2】この発明に係る携帯電話の第1の実施形態を示すアームを閉じた状態の正面図である。
【図3】この発明に係る携帯電話の第1の実施形態を示す背面図である。
【図4】この発明に係る携帯電話の第1の実施形態を示すアームを開いた状態の側面図である。
【図5】この発明に係る携帯電話のビデオカメラ部の取付状態を示す模式的断面図である。
【図6】この発明に係る携帯電話のブロック回路図である。
【図7】この発明の虚像光学表示装置の構成を示す模式図である。
【図8】この発明に係る第1の実施形態の携帯電話の使用者と機器との関係を示す上面図である。
【図9】この発明に係る携帯電話を用いてインターネットブラウジングを行った状態を示す図である。
【図10】この発明に係る携帯電話を用いてインターネットブラウジングを行った状態の他の例を示す図である。
【図11】この発明に係る携帯電話を用いてインターネットブラウジングにおける文字入力を行う状態を示す図である。
【図12】この発明に係る携帯電話を用いてインターネットブラウジングにおける文字入力を行う状態を示す図である。
【符号の説明】
1 電話機本体
2 虚像光学表示装置
3 映像情報駆動部
3b ディスプレイ接眼部
5 ヒンジ
6 アーム
7 プッシュボタン操作部
8 液晶表示部
9 スピーカー部
10 マイク部
11 ビデオカメラ部
15 カーソル移動入力部
E 目

【特許請求の範囲】
【請求項1】 映像および音声の無線送受信機能を有する電話機本体と、映像情報を映像情報駆動部から結像光学系を通して使用者の目の網膜上に虚像を形成する虚像光学表示装置と、電話機本体部に設けられたキー入力部と、を備え、上記電話機本体の側面または背面部に、虚像光学表示装置に表示されるカーソルを移動させるカーソル移動入力手段が設けられていることを特徴とする携帯電話。
【請求項2】 上記キー入力部と同じ側の電話機本体に直視型のディスプレイ装置が設けられ、キー入力部による文字入力が選択された場合に、上記直視型のディスプレイ装置にキー入力部による情報が表示されることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話。
【請求項3】 連続して2個以上の項目の文字入力を行う場合に、上記キー入力部により各項目の入力終了を示す情報を入力すると、次の入力要求項目を上記直視型のディスプレイ装置に表示させることを特徴とする請求項2に記載の携帯電話。

【図5】
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【図7】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2002−290520(P2002−290520A)
【公開日】平成14年10月4日(2002.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−88250(P2001−88250)
【出願日】平成13年3月26日(2001.3.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】