説明

撥水性マットを有するダクトボード

ダクトボードまたはダクトライナー(10)は、樹脂バインダーで結合された繊維材料から形成された絶縁層(12)、絶縁層の外側表面に付着された外側面材層(18)、およびダクトボード材料を形成するように外側表面と反対側の絶縁層の内側表面に付着された撥水性マット面材(14)を含む。マット面材(14)は、約40%イソプロパノールおよび約60%水の混合物をはじくのに十分な撥水性を提供する。ダクトボードまたはダクトライナー材料(10)は、空気を導くことが可能なように管状形態に形成され、管状形状の内部にマット面材を有し得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の分野
本発明は、建材一般、特にダクトボードおよびダクトライナー材料およびそれらから作られるダクトに関する。
【0002】
背景
ダクトおよび導管は、建物の加熱、通気および空気調節(HVAC)システム中で空気を運ぶために用いられる。多くの用途において、特に、商業的および工業的建造物において、ダクトは、柔軟な熱および音絶縁材料を内張りされる。ライニングは、ダクトの熱効率を高め、流れる空気の動きに伴われる騒音を減少させる。ダクトライナーは、いずれか適切な有機材料または無機材料、例えば、ガラス繊維絶縁材などのような鉱物繊維を含み得る。例えば、典型的なガラス繊維ダクトライナーは、立法フィートあたり(pcf)約1.5〜3ポンドの密度および約0.5〜2インチの厚さを有するガラス繊維マットとして作られる。空気の流れによる繊維の腐食を防ぐために、絶縁材は、その内部すなわち「空気流」表面上に塗膜を含み得る。絶縁材の空気流表面は、ダクトを通る空気を運び、最終的なダクト組み立て物中のダクトシート金属に接触する表面の反対側にある表面である。塗膜は、また、ダクトの内部のブラシおよび/または真空洗浄のあいだ絶縁材を保護する役割もする。内側表面上に塗膜を有するダクトライナーの例は、米国特許第3,861,425号および第4,101,700号において提供されている。いくつかの塗装された絶縁材ダクトライナーが、ペンシルバニア州バレー・フォージのサーティン・ティード社によればタフガード(登録商標)の商品名、オハイオ州トレドのオーエンス・コーニング・ファイバーグラス社によればエアロフレックス(登録商標)およびエアロマット(登録商標)の商品名、およびコロラド州デンバーのジョンズ・マンビル社によればパーマコート(登録商標)およびポリコースティック(登録商標)の商品名の下で販売されている。
【0003】
他の絶縁HVACシステムは、硬質ダクトボードまたはチューブから作られているかまたはそれらによりライニングされているかのいずれかのダクトを用いる。ダクトボードは、樹脂で結合された鉱物繊維から形成された硬質部材であり、その空気流表面は、また、保護被覆を付与され得る。ダクトボードは、典型的には、立法フィートあたり(pcf)約3〜6ポンドの密度および約0.5〜2インチの厚さを有する。塗装されたダクトボードおよび塗装されていないダクトボードは、前述のダクトライナーの製造業者からさまざまの商品名の下で販売されている。ダクトライナー上であってもダクトボード上であっても、提供されると、専用の耐水性塗膜はコストを増やし、製品の製造を複雑にする。
【0004】
微生物は、水分と養分が存在し、微生物の多くの種が室内の空気の質(IAQ)に対して負の影響を有する環境において増殖することはよく知られている。液体の水が空気ダクト絶縁材中に漏出するならば、水は、絶縁材の中にたまり、よどみ得るし、微生物の増殖を助け得る。
【0005】
HVACシステム中での微生物の増殖の問題に対処するために、米国特許第5,314,719号、第5,379,806号、第5,487,412号および第5,783,268号は、不透過性ダクトライナーおよび/またはダクトボードの空気搬送表面上にまたは表面内に抗微生物剤を提供することを開示する。しかしながら、それらの抗微生物剤は、きわめて限定された場所でしか効果を有さない。すなわち、それらは、そのすぐ近くの場所でしか微生物のコロニー形成を防止しない傾向がある。例えば、米国特許第5,314,719号は、約1ミリメートルの真菌阻害のゾーンを記載する。典型的なダクトライナーおよびダクトボードは、約1.5〜2インチの範囲の絶縁材厚さを有する。それらの製品については、そのような限定された面積の阻害では、外壁およびダクトの継ぎ目を通して入ってくる水により飽和することになるダクト絶縁材により引き起こされる微生物コロニー形成を防止することについては、ほとんど有用性はないであろう。
【0006】
空気ダクト絶縁製品の空気流表面に適用されるならば、水分不透過性塗膜は、絶縁材への水の浸入および付随する微生物コロニーの形成を阻害する。米国特許第3,861,425号は、そのような塗膜を有するバット、マット、ボードなどのような繊維ガラス絶縁材で構成されているかまたはそれで内張りされているHVACダクトを提供することを論述している。ある種の塗膜は繊維腐食の保護および水分への耐性の利益を提供し得るが、それは、コストを増やし、製品およびその製造方法の複雑さを増大させる。繊維質絶縁材の空気流表面に適用される塗膜は、その形成後製品に設けられる。これは、ブラシ、ローラー、スプレー装置またはいくつかの他の手段または方法によりすでに形成された絶縁材に塗膜を適用することおよびその後に塗膜を硬化または乾燥させることを必要とする。この成形後の塗装工程は、絶縁材を製造するために必要とされる時間を長くし得るものであり、手動で実施されるか自動で実施されるかにかかわらず、塗膜の付与については均一性を保証するために注意深くモニターされねばならないものである。
【0007】
塗装されたダクトライナーおよびダクトボードに対する代替物として、少なくともサーティン・ティード社およびクノーフ・ファイバー・グラスGmbHは、製品の空気流表面を規定する不織布面材料の層で覆われたガラス繊維絶縁材を有するダクトライナーまたはダクトボードを提供する。面材料は、繊維腐食から空気ダクトを保護する耐久性表面を作り出す。
【0008】
しかしながら、塗装されていない繊維質絶縁HVACダクト製品および面材料で覆われている一部の製品は、限定された固有の水分耐性しか有さない。結果として、それらは、ぬれたときに微生物コロニーの形成を受けやすい。
【0009】
発明の概要
ダクトボードまたはダクトライナー製品は、樹脂バインダーで結合された繊維質材料から形成された絶縁層、この絶縁層の外側表面に付着された外側面材層、およびダクトボード材料を形成する外側表面の反対側の絶縁層の内側表面に付着する撥水性マット面材を備える。マット面材は、少なくとも約40%のイソプロパノールと約60%の水の混合物をはじくという十分な撥水性を提供する。
【0010】
詳細な説明
2001年2月20日に出願された出願第09/789,063号および2001年2月20日に出願された出願第09/788,760号は、その全体について参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
典型的な態様の本説明は、記載されている説明全体の部分とみなされるべきである添付の図面と結びつけて読まれることが意図されている。記載において、「下方」、「上方」、「水平的」、「垂直的」、「上」、「下」、「上向き」、「下向き」、「頂部」および「底部」並びにそれらの派生語(例えば、「水平的に」、「下向きに」、「上向きに」など)のような相対的な用語は、そこで記載されているかまたは説明の下で図面に示されているとおりの配向をいうものと解釈されるべきである。それらの相対的な用語は、説明の簡便さのためにあるのであり、装置が特定の配向で構築されるかまたは操作されることを必要としているのではない。「結び付けられる」および「結合している」のような付着、結合などに関連する用語は、別段の特別な記載のない限り、構造群が介在構造を通して直接または間接的に互いに対して固定されているかまたは付着している関係ならびに可動的または固定的な付着または関係を言及するものである。
【0012】
図1は、ダクトボードまたはダクトライナー材料10の一部の切欠図である。ダクトボードまたはダクトライナー10は、樹脂バインダーにより結合された繊維質材料から形成される絶縁層12、13、外側絶縁層部分13の外側表面に付着された外側面材層18、およびダクトボードまたはダクトライナー材料を形成するように外側表面18の反対側の内側絶縁層部分12の内側表面に付着する撥水性マット面材14を備える。マット面材14は、IST80.6−92試験方法を用いて、約40%のイソプロパノールおよび約60%の水を含む液滴を最短5分間はじくのに十分な撥水性を提供する。マット面材14は、任意に、40%を超えるイソプロパノールの混合物をはじくのに十分な撥水性を提供する。ダクトボードまたはダクトライナー材料10は、内部にマット面材14を有する、空気を状態調整することが可能な管状形態に形成される。図4は、ダクトボード10から形成される典型的なエアダクトを示す。ダクトライナーは、同様の外観を有するであろうが、ダクトの内側での配置にとって適切な低密度を有するであろう。方形ダクトが示されているけれども、ダクトは、当該技術において知られているように、方形ではない管状形態に形成され得る。
【0013】
マット面材14は、織布または不織布繊維材料から形成され得る。材料は、それ自体撥水性であり得るか、または所望の撥水性を提供するために例えばシリコーンまたはフルオロカーボンのような処理を含む撥水性材料により処理され得る。
【0014】
好ましいマット材料14は、IST80.6−92試験方法を用いて、少なくとも80%のイソプロピルアルコールおよび約20%の水を含む液滴を最短5分間はじくのに十分な撥水性を有する。IST80.6−92試験において100%までのイソプロピルアルコールをはじく材料が用いられ得る。いくつかの好ましい態様において、マット14は、ニューヨーク州グリーンアイランドのライドールInc.製の40#マニグラス1886ブラックマットもしくは1786ブラックマットまたはコロラド州デンバーのジョンズ・マンビル製の撥水性エラスティ−グラス(登録商標)3220Bマットから形成される。
【0015】
他の態様において、マット14は、撥水性塗膜(例えば、シリコーンまたはフルオロカーボン)が付与されているジョンズマンビルデュラ−グラス(登録商標)8440のようなアクリル系バインダー中のフィラメントガラス繊維から形成される。
【0016】
同様の程度のまたはよりよい程度の撥水性を提供する他のマット材料が代わりに用いられ得る。例えば、そのような材料は、ウエットレイプロセスでランダムに分散されてウエブとされ、アクリルまたは他の樹脂系で結合され、所望の程度の撥水性を提供するフルオロカーボン系塗膜により後処理されたガラス繊維の不織布マットを含み得る。
【0017】
製品10は、適切な樹脂により結合されたガラス繊維、耐火物繊維または鉱物ウール繊維のような鉱物繊維の絶縁層12、13、およびボードまたはチューブのための空気流表面を規定する接着剤16によりそれに付着されたマット面材14を含む。限定ではないが、絶縁層12、13の繊維を結合させるために用いられ得るバインダーは、米国特許第5,300,562号および第5,473,012号に開示されるフェノール系バインダーを含み得るものであり、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。製品10は、立法フィート当り(pcf)約0.5〜6ポンドの密度および約1.27ないし5.08センチメートル(0.5〜2インチ)の厚さを有しうる。絶縁層12、13の厚さと密度は、製品がダクトボードであるかダクトライナーであるかによって規定され、また、特定の建築設備のために所望されるか必要である防音および/または断熱のレベルによっても影響を受ける。当業者は、他の既知のダクトライナー製造プロセスが用いられ得ることを理解するはずである。
【0018】
図1に示されるダクトボード材料の片は、雌合じゃくりエッジと雄合じゃくりエッジを有し、外側面材層18のストリップが雄合じゃくりエッジから張り出しているものであるが、合じゃくりエッジを有するか有しない他の形状も形成される。
【0019】
いくつかの態様では、撥水性マット面材14は、単独で所望の程度の撥水性を提供する。他の態様においては、下記のように、製品10の撥水性は、絶縁層12、13のバインダー、絶縁材12に面材14を結合させる接着剤、または両方における添加物により高められる。
【0020】
図1を参照すると理解されるように、絶縁層12、13は、最終製品において複数の異なっているかまたは別々の層または積層物としてよりもむしろ交絡されており、連続な均質の塊として見え、そして存在し得る樹脂結合された繊維の一連の蓄積された層として形成される。例示と説明の簡潔さのために、製品10は、第1と第2の部分12および13を含むものとして以下に言及されているが、しかしながら、典型的な硬質ダクトボードおよびダクトチューブは多くの結合された層を含む。部分12と13の間の破線の位置は任意である。いくつかの態様において、部分12および13は連続で同一組成のものであり、単層とみなされ得る。他の態様においては、下記のように、部分12は、部分13に含まれていない添加物を有する。いくつかの態様において、部分12はより厚くなっている。他の態様においては、部分13のほうが厚くなっている。
【0021】
いくつかの態様において、ダクトボードまたはダクトチューブの撥水性は、部分12、13の少なくとも一方のバインダーに疎水性剤を含ませることにより任意に高められる。1つの例において、疎水性剤は、製品10の空気流表面により近く、かつ面材14に隣接する部分12に含まれる。部分13は、バインダー中に疎水性剤を有さない。このようにして、面材14を貫通するダクトの内部からの液体の水または他の水性液体は、製品10に入ることをさらにさえぎられ、それにより絶縁材中で微生物の増殖の可能性が少なくなる。好ましくは、ホイル/スクリム/ペーパー積層体または他の適切な蒸気遮断層18は、水分が周囲環境から絶縁材に入ることを防止するように層12の空気流表面と反対側の製品の面に付着するかまたは固着される。
【0022】
図2は、部分12のバインダー中に上記任意の疎水性剤を含む絶縁層12,13を形成するための形成セクションを示す。絶縁層12および13は、ガラスのような溶融材料を複数の繊維化ユニット22a〜22fを用いて微細繊維のベール20に溶融紡糸することにより形成セクションで作ることができる。繊維のベールは、水性キャリヤー(または順次の水とバインダー)中のフェノール樹脂のようなバインダーがベール20上にスプレーされる形成フード24に入る。形成フード24において、繊維は、チェーン、ベルトまたは他の通常のように駆動されるコンベア16上でウエブとして蓄積され、集められる。部分12に疎水性を与えるために、少なくとも繊維化ユニット22fは、疎水性剤が含まれたバインダーを分散させるように作られている。ウエブが形成部分19を出て行った後、所望の厚さと密度にウエブを圧縮し、硬化させるために図示されていない通常の硬化オーブンに運ばれる。
【0023】
オーブン中にある間に、部分12、13は、製品10の均質な塊を形成するようにバインダーを硬化させ、部分を互いに付着させるために同時に加熱される。好ましくは、複数の繊維の層は、互いに対して部分12および13中の繊維の塊を圧縮するための十分な圧力の下で図示されていない加熱された定盤などにより互いに保持される。製品10が硬化オーブンを出て行った後、蒸気遮断層18が、空気流表面と反対側の層13の表面に付与される。
【0024】
いくつかの態様において、少なくとも部分12において用いられるバインダーは、シリコーン、オイル、フルオロカーボン、ワックスなどのような少なくとも1種の疎水性剤を、空気流面材層14の撥水性にかかわらず適度の量の溶媒を含む水溶液に対する撥水性および耐性を製品に与えるのに十分な有効量で含む。選択された疎水性剤に依存して、疎水性剤の有効量は、約1:200〜1:5の疎水性剤対バインダーの比に渡り得る。1つの態様において、これらの目的にとって適切な市販の疎水性剤は、ミシガン州ミッドランドのダウ・コーニング・コーポレーションにより製造されるDC347シリコーンエマルジョンである。この剤がフェノール樹脂バインダーに対して約1:24の比で存在するとき良好な撥水特性が示された。フェノール樹脂とともに使用して適切な、代わりの疎水性剤には、バージニア州フェアファックスのモービル・オイル・コーポレーションにより販売されるマルレックス(登録商標)オイルエマルジョンおよびオハイオ州コロンバスのボーデン・ケミカル社により販売される在庫番号SL849オイルが含まれる。良好な撥水特性は、ボーデン(登録商標)SL849オイルがフェノール樹脂バインダーに対して約1:16の比で存在するとき示された。
【0025】
絶縁層の1つの部分12がそのバインダー中に疎水性剤を含み、絶縁層の別の部分13がそのバインダー中に疎水性剤を含まない例が上述されているけれども、他の態様は、絶縁層12、13全体のバインダーの中に疎水性剤を含む。上述のように、もしマット面材14が所望の撥水性(単独でまたは撥水性接着剤16との組み合わせで)を提供するならば、そのときは、部分12または13のいずれもが疎水性剤を必要としない。
【0026】
上記の典型的なロータリープロセスは、ダクトボード製品を作るのに有利である。ダクトライナー製品の場合には、同様の火炎減衰プロセス(flame-attenuated process)が用いられる。代わりに、ダクトライナー製品は、連続ストランドの繊維が2〜5インチ長にチョップされ、エアレイプロセスによりマットまたはボードに形成される繊維素材マット形成プロセスを用いて製造され得る。シリコーン、フルオロカーボンまたはワックスのような疎水性剤は、このプロセスで用いられる粉末状バインダーに加えられ得る。
【0027】
いくつかの態様において、ダクトボードまたはダクトチューブ10の撥水性は、接着剤16に疎水性剤を含ませることにより高められる。このようにして、面材14を貫通するダクトの内部の液体水または他の水性液体は絶縁層12、13の内部12に入らないようにされ、それにより絶縁材の中での微生物の増殖の可能性がさらに少なくなる。
【0028】
図3を参照すると、絶縁層12、13は、上記のように、ガラスのような溶融材料を微細繊維に溶融紡糸し、水性キャリヤー中のフェノール樹脂バインダーのようなバインダーを繊維上にスプレーし、繊維をコンベア上にウエブとして集めることにより形成ステーション19の中で作られ得る。次いでウエブは、ウエブが形成ステーションを出て行った後ウエブを硬化させ、所望の厚さに圧縮するための通常の硬化オーブンまたは他の手段を通過させられる。部分13が図3には示されていないことに注意されたい。この例の目的のためには、絶縁層の中に識別可能な部分12、13を有することは、任意であり、必要ではない。
【0029】
いくつかの態様において、面材層14の連続ウエブは、ロール32から小出しされ、絶縁材の中のバインダーの硬化の前に絶縁層12の1表面に付与される。面材層14を絶縁層12に接着させる前に、接着剤16を面材層14と絶縁層12の片方または両方に付与する。接着剤16は、続く硬化の前に層12、14を互いにしっかりと付着させるのに適切な接着剤を含むパン36または同様の容器の中に回動自在に保持されているアプリケーターロール34を介して面材層14の下側に連続的に付与され得る。接着剤16は、スプレーまたはブラシングのような他の手段により層12、14の片方または両方に付与され得る。
【0030】
接着剤の付与においては、面材全体を浸透して面材14の(内側)空気流表面に至り、該表面に堆積するようになる接着剤16の量を最小化するように注意が払われるべきである。マット14の内側表面上の接着剤16は、剥き出しの面材14よりもより濡れ性の表面を提供し得る。従って、もし空気流表面が接着剤16により部分的または全体的に塗装されているならば、このことは、その表面の表面張力を増加させ、剥き出しの面材14の撥水性を下回って撥水性を減少させる。
【0031】
限定されないけれども、好ましい接着剤は、絶縁層12の中の繊維を結合させるために用いられるバインダーと一般的に同じか同様の組成を有するフェノール樹脂である。しかしながら、フェノール樹脂接着剤は、限定された疎水性しか有さない。
【0032】
従って、面材14を絶縁層12に接着させるために用いられる接着剤は、面材14の撥水性にかかわらず、製品を水に対して本質的に不透過性にし、適度な量の溶媒を含む水溶液に対して耐性にするのに十分な有効量のシリコーン、オイル、フルオロカーボン、ワックスなどのような少なくとも1種の疎水性剤を任意に含み得る。疎水性剤の有効量は、約1:20〜1:200、より好ましくは約1:40の疎水性剤対バインダーの比に渡り得る。これらの目的にとって適切な市販の疎水性剤は、ミシガン州ミッドランドのダウ・コーニング・コーポレーションにより製造されるDC347シリコーンエマルジョンである。
【0033】
層12、14は、いずれか所望される同一速度で移動し得るものであり、アプリケーターロール24は、動いている面材層ウエブ14の下側に接着剤16を十全に付与するのに十分な速度で回転し得る。許容可能な結果は、約3〜20rpmのアプリケーターロール24回転速度と組み合わせられた分当り約80フィートの移動する層の速度について立証された。アイドラーローラー等のような配置手段38が層12上の層14の配置を容易にするために用いられ得る。次いで、製品10は、図示されたコンベアにより硬化オーブン30まで通過する。オーブン中にある間、層12、14は、バインダーおよび接着剤16を硬化させるために同時に加熱される。好ましくは、層12、14は、絶縁層12に対して面材層14を圧縮するために十分な圧力のもとで図示されていない加熱された定盤などにより互いに保持される。圧縮下で2層を加熱すると、面材層14は絶縁層12にしっかり結合する。蒸気遮断層18(図1に示される)は、絶縁ボードが硬化オーブンを出た後に面材層14の反対側の絶縁層12の表面に付与され得る。
【0034】

フェノールバインダーを有するガラス繊維絶縁ボード上のジョンズ・マンビル3220Bおよびライドールマニグラス1886で作られた面材14により試料を作製した。試料は、分当り80および92フィートの異なるコインベアライン速度(それは絶縁層12の密度に影響を与える)で作製した。それらの試料において、疎水性剤は、絶縁層12のバインダーまたは接着剤16には加えなかった。ボードの表面上に水および水/アルコール溶液の液滴を配置することによりボードの撥水性を評価した結果は、表1に記載されているとおりである。市販のクノーフ・エア・ダクト・ボード−Mとハイドロシールド・テクノロジーEI475ダクトボードについての試験結果もまた比較のために提供される。「OK」という用語は、言及される時間において液滴が表面を透過しなかったことを示す。
【表1】

【0035】
80フィート/分のラインスピードでJM 3220Bを用いて調製された試料上で、延長された試験を行った。試料は、水平からほぼ60度の角度で7時間にわたって流れている水道水の下に配置し、水は、13.3センチメートル(5.25インチ)の高さから滴下した。7時間後、約2.5センチメートル(1インチ)以内が水で浸されているボードのボトムエッジを除いて、水の浸透は存在しなかった(試料においては、マットは、ボトムエッジの周りを覆っておらず、それゆえ、剥き出しの絶縁材料が流水/滴下水に直接暴露された)。ボードの断面は、水の滴下の直下のボードの部分が乾燥していることを示した。
【0036】
本発明は、典型的な態様の観点から記載されてきたけれども、それらに限定されない。むしろ、特許請求の範囲は、本発明の他の変形と態様を含むように広く解釈されるべきであり、本発明は、その範囲および均等の範囲を逸脱することなく当業者によりなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】1つの態様によるダクトボード材料の断面図である。
【図2】図1に示される材料の絶縁層を形成するための装置の模式図である。
【図3】図1に示されるダクトボード材料に対してマット面材を付与するための装置の模式図である。
【図4】空気ダクトに折りたたまれた後の図1のダクトボードの等角図である。
【符号の説明】
【0038】
10…ダクトボードまたはダクトライナー、12,13…絶縁層、14…マット面材、16…接着剤、18…外側面材層、20…ベール、24…フード、30…硬化オーブン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂バインダーで結合された繊維質材料から形成された絶縁層(12)、
前記絶縁層の外側表面に付着された外側面材層(18)、および
ダクトボード材料を形成するように前記外側表面の反対側の絶縁層の内側表面に付着された撥水性マット面材(14)であって、少なくとも約40%イソプロパノールと約60%水の混合物をはじくのに十分な撥水性を提供するマット面材
を備えるダクトボードまたはダクトライナー製品(10)。
【請求項2】
前記マット面材(14)が、IST80.6−92試験方法を用いて約40%イソプロパノールおよび約60%水を含む液滴を最短5分間はじくのに十分な撥水性を提供する請求項1記載のダクトボードまたはダクトライナー製品。
【請求項3】
前記マットが、IST80.6−92試験方法を用いて約80%イソプロピルアルコールおよび水を含む液滴を最短5分間はじくのに十分な撥水性を提供する請求項1記載のダクトボードまたはダクトライナー製品。
【請求項4】
前記マットが、撥水性フルオロカーボン塗膜を上に有する、アクリル樹脂で結合された不織ガラス繊維の材料から形成される請求項1記載のダクトボードまたはダクトライナー製品。
【請求項5】
前記マットが接着剤により前記絶縁層の表面に付着し、
前記絶縁層が、水性キャリヤー中の樹脂から形成された樹脂バインダーを含み、
接着剤および樹脂バインダーからなる群のうちの少なくとも1つがシリコーン、オイル、フルオロカーボンおよびワックスからなる群の中からの疎水性剤を含む
請求項1記載のダクトまたはダクトライナー製品。
【請求項6】
前記マットが、第1の疎水性剤を含む接着剤により前記絶縁層の表面に付着し、
前記絶縁層の少なくとも一部における樹脂バインダーが第2の疎水性剤を含む
請求項1記載のダクトボードまたはダクトライナー製品。
【請求項7】
前記ダクトボード材料が、空気を導くことが可能な管状形態に形成され、その内部に前記マット面材を有する請求項1記載のダクトボードまたはダクトライナー製品。
【請求項8】
(a)外側面材層を絶縁層の外側表面に付着させる工程、
(b)ダクトボード材料を形成するために前記外側表面と反対側の絶縁層の内側表面に撥水性マット面材を付着させる工程
を含む請求項1記載のダクトボードまたはダクトライナー製品を形成するための方法。
【請求項9】
前記マットが、撥水性フルオロカーボン塗膜を有する、アクリル樹脂で結合された不織ガラス繊維の材料から形成される請求項8記載の方法。
【請求項10】
工程(b)が、シリコーン、オイル、フルオロカーボンおよびワックスからなる群より選択される疎水性剤を含む接着剤を用いて前記マット面材を前記内側表面に付着させることを含む請求項8記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−518437(P2006−518437A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500947(P2006−500947)
【出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/000900
【国際公開番号】WO2004/065115
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(305063177)サートゥンティード・コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】