説明

撮像投影システム

【課題】簡単な構成で収差が少なく、カメラ自体の写り込みが目立たずに、臨場感ある映像を観察することが可能な撮像投影システムを提供する。
【解決手段】撮像投影システムは、撮像部と、第1の反射曲面と、を含む撮像装置と、投影部21と、第2の反射曲面22と、曲面スクリーン23と、を含む投影装置2と、を有し、撮像部に対する第1の反射曲面の偏心位置と投影部21に対する第2の反射曲面22の偏心位置は、相似であり、投影部21からスクリーン23へ向かう光束の中心主光線を含む面をYZ断面、YZ断面に対して直交すると共に中心主光線がスクリーン23と交差する投影中心と投影中心でのスクリーン23の垂線を含む面をXZ断面とし、スクリーン23は、XZ断面内で第2の反射曲面22側に凹面を向け、第2の反射曲面22は、XZ断面と平行な面内でスクリーン23側に凸面を向けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広画角な映像を撮影して、その映像を広画角に投影することが可能な撮像投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、広画角撮影装置には魚眼レンズを使った方式のものが一般的であり、特殊なものとして特許文献1のようなものもある。
【0003】
また、特許文献2のように横方向のみ画角を広げて圧縮して撮影するものがある
【0004】
また、特許文献3には、カメラ自体が写り込む問題を光軸を偏芯させて視野の周辺にしたり、視野外にすることが開示されている
【0005】
また、特許文献4には、魚眼レンズで撮影して、魚眼レンズで投影することにより、像歪を取り除く尚且つ平面映像でも無理なく観察できる方法を開示している。
【0006】
また、特許文献5には、観察者の前にプロジェクタを配置した場合は観察の邪魔になるため、これを回避する方法として観察者の斜め上からプロジェクタで投影し、歪をソフトウェアで補正する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−334019号公報
【特許文献2】特許第3934345号公報
【特許文献3】特開2002−343202号公報
【特許文献4】特開平6−125522号公報
【特許文献5】特開2007−312402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されたような魚眼レンズは、光線を大きく屈曲させるため、色収差等の発生が多く、これを補正するためにレンズ枚数が増え、光学系のコストがかかる問題があった。
【0009】
また、特許文献2に記載された技術には、撮像素子自体が写ってしまう問題があり、大型のハーフミラーで光路を分ける。カメラが写らないように死角を設ける必要があった。
【0010】
また、特許文献3に記載された技術では、撮影された映像が横方向に縮小された映像のままだった。
【0011】
また、特許文献4に記載された技術では、曲面投影時に魚眼レンズとプロジェクタを観察者の前に配置しなければ観察者の影がスクリーンに投影されてしまう。
【0012】
また、特許文献5に記載された技術では、高性能なPCが必要になる問題がある。
【0013】
すなわち、球面スクリーンに投影する装置は、像歪が発生しないようにスクリーンの中心から凸面鏡又は魚眼レンズで投影する方法があるが、観察位置が制限される問題や平面像で観察することに無理があった。一方、球面スクリーンに斜めに投影する方法はあらかじめ像歪を高度な処理で取り除く必要があった。
【0014】
本発明は、簡単な構成で収差が少なく、カメラ自体の写り込みが目立たずに、臨場感ある映像を観察することが可能な撮像投影システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
撮像投影システムは、映像を撮影する撮像部と、前記撮像部の前方に配置された第1の反射曲面と、を含む撮像装置と、前記撮像装置が撮影した映像を投影する投影部と、前記投影部の前方に配置された第2の反射曲面と、前記第2の反射部で反射した映像を写す曲面スクリーンと、を含む投影装置と、を有し、前記撮像部に対する前記第1の反射曲面の偏心位置と前記投影部に対する前記第2の反射曲面の偏心位置は、相似であり、前記投影部から前記スクリーンへ向かう光束の中心主光線を含む面をYZ断面、前記YZ断面に対して直交すると共に前記中心主光線が前記スクリーンと交差する投影中心と前記投影中心での前記スクリーンの垂線を含む面をXZ断面とし、前記スクリーンは、前記XZ断面内で前記第2の反射曲面側に凹面を向け、前記第2の反射曲面は、前記XZ断面と平行な面内で前記スクリーン側に凸面を向けていることを特徴とする。
【0016】
また、前記第1の反射曲面と前記第2の反射曲面は、相似形であることを特徴とする。
【0017】
また、前記撮像部は撮像範囲内に配置されて、前記投影部は投影映像範囲内に配置されることを特徴とする。
【0018】
また、前記撮像部は撮像範囲内の上方に配置されて、前記投影部は投影映像範囲内の上方に配置されることを特徴とする。
【0019】
また、前記スクリーンは、前記投影部から投影される映像が通過するための穴を有することを特徴とする。
【0020】
また、前記第1の反射曲面の前記撮像部の光軸に対する傾斜角度及び前記第2の反射曲面の前記投影部の光軸に対する傾斜角度は、以下の条件式(1)及び条件式(2)を満足することを特徴とする。
10° < α1 < 45° (1)
10° < α2 < 45° (2)
ただし、
α1は前記撮像部の光軸に対する前記第1の反射曲面の傾斜角度、
α2は前記投影部の光軸に対する前記第2の反射曲面の傾斜角度、
である。
【0021】
また、前記第1の反射曲面の前記撮像部の光軸に対する傾斜角度及び前記第2の反射曲面の前記投影部の光軸に対する傾斜角度は、以下の条件式(3)を満足することを特徴とする。
0.8 < α1/α2 < 1.2 (3)
ただし、
α1は前記撮像部の光軸に対する前記第1の反射曲面の傾斜角度、
α2は前記投影部の光軸に対する前記第2の反射曲面の傾斜角度、
である。
【0022】
また、前記第1の反射曲面、前記第2の反射曲面、及び前記スクリーンは、球面からなることを特徴とする。
【0023】
また、前記撮像部の画角及び前記投影部の画角は、等しいことを特徴とする。
【0024】
また、前記投影装置は、以下の条件式(4)を満足することを特徴とする。
1 < A < 10 (4)
ただし、Aは、前記スクリーンの曲率半径(cm)×投影部の横方向の半画角(deg)/前記第2の反射曲面の曲率半径(mm)である。
【発明の効果】
【0025】
簡単な構成で収差が少なく、カメラ自体の写り込みが目立たずに、臨場感ある映像を観察することが可能な撮像投影システムを提供することが可能となる。
【0026】
本発明によれば、平面像で観察したときにも自然に観察でき、カメラ自体の写り込みが目立たない、像歪の高度な補正無しに、臨場感ある映像を観察することが可能な半球状のスクリーンに投影する撮像投影システムを提供するもことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかる実施形態の撮像装置を示す斜視図である。
【図2】本発明にかかる実施形態の投影装置を示す斜視図である。
【図3】実施例1の撮像装置についてYZ平面における断面を示した図である。
【図4】実施例1の撮像装置についてYZ平面に直交し、中心主光線を含む面を上から見た図である。
【図5】実施例1の投影装置についてYZ平面における断面を示した図である。
【図6】実施例1の投影装置についてYZ平面に直交し、中心主光線を含む面を上から見た図である。
【図7】実施例1の投影装置の寸法を示す図である。
【図8】実施例2の撮像装置についてYZ平面における断面を示した図である。
【図9】実施例2の撮像装置についてYZ平面に直交し、中心主光線を含む面を上から見た図である。
【図10】実施例2の投影装置についてYZ平面における断面を示した図である。
【図11】実施例2の投影装置についてYZ平面に直交し、中心主光線を含む面を上から見た図である。
【図12】実施例2の投影装置の寸法を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る投影装置2について、YZ断面における断面、及び観察者による観察の様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施例に基づいて本発明の撮像投影システムについて説明する。
【0029】
図1は本発明にかかる実施形態の撮像装置を示す斜視図、図2は本発明にかかる実施形態の投影装置を示す斜視図である。
【0030】
本実施形態の撮像投影システムは、図1及び図2に示すように、撮像装置1と、投影装置2とからなる。
【0031】
撮像装置1は、図1に示すように、撮像部としてのカメラ11と、カメラ11の前方に配置された第1の反射曲面としての第1の曲面鏡12と、を有する。
【0032】
第1の曲面鏡12は、カメラ11に対して凸面を向けている。そして、第1の曲面鏡12に反射させた映像をカメラ11で撮影することにより、広い画角の映像を、簡単に収差を少なくして撮影することが可能となる。なぜならば、原理的に透過レンズで光線を屈折させるよりも反射面で光線を反射させた方が収差の発生が少ないためである。
【0033】
また、第1の曲面鏡12は、カメラ11の光軸に対して傾斜させて配置することが好ましい。このように配置することにより、カメラ自体の映像への映り込みを目立たなくすることが可能となる。
【0034】
さらに、カメラ11の光軸に対する第1の曲面鏡12の傾斜角度が、以下の条件式(1)を満足するように、設定すると好ましい。
10° < α1 < 45° (1)
ただし、α1はカメラ11の光軸に対する第1の曲面鏡12の傾斜角度である。
【0035】
条件式(1)の下限を下回ると、観察画像の中心付近にカメラが写り込んでしまう。条件式(2)の上限を上回ると、偏心による偏心収差の発生が大きくなり、特に台形の像歪みが大きくなりすぎてしまう。
【0036】
また、第1の曲面鏡12に対してカメラ11を撮影視野の上方となるように偏心させて配置することが好ましい。なぜならば、人間の視野は、所定の視標を見た場合、下方よりも上方の視野角度が小さいので、カメラ11が上方に移り込んだ方が気にならないからである。
【0037】
さらに、第1の曲面鏡12は、球面の凸面鏡であることが好ましい。球面の凸面鏡は、ブロー成型で製作が容易であり、安価に製作することが可能となる。
【0038】
投影装置2は、図2に示すように、投影部としてのプロジェクタ21と、プロジェクタ21の前方に配置された第2の反射曲面としての第2の曲面鏡22と、第2の曲面鏡22で反射した映像を写す曲面スクリーンとしてのスクリーン23と、を有する。
【0039】
プロジェクタ21からスクリーン23へ向かう光束の中心主光線RCを含む面をYZ断面、YZ断面に対して直交すると共に中心主光線RCがスクリーン23と交差する投影中心Osと投影中心Osでのスクリーン23の垂線を含む面をXZ断面とし、スクリーン23は、XZ断面内で第2の反射曲面22側に凹面を向け、第2の反射曲面22は、XZ断面と平行な面内でスクリーン23側に凸面を向けている。
【0040】
第2の曲面鏡22は、第1の曲面鏡12と相似形である。また、カメラ11に対する第1の曲面鏡12の配置と、プロジェクタ21に対する第2の曲面鏡22の配置とは、相似に偏心して配置される。第1の曲面鏡12と第2の曲面鏡22の形状と配置が相似であると、像歪みが同じように発生するので、結果として像歪みを打ち消しあい、歪みの少ない観察像を観察することが可能となる。
【0041】
また、カメラ11とプロジェクタ21の画角が等しいと、さらに像歪みの発生が同程度となり、さらに歪みの少ない観察像を観察することが可能となる。
【0042】
また、第2の曲面鏡22は、プロジェクタ21に対して凸面を向けている。そして、プロジェクタ21が第2の曲面鏡22に反射させた映像を投影することにより、広い画角の映像を簡単に収差が少なく投影することが可能となる。なぜならば、原理的に透過レンズで光線を屈折させるよりも反射面で光線を反射させた方が収差の発生が少ないためである。
【0043】
また、第2の曲面鏡22は、プロジェクタ21の光軸に対して傾斜させて配置することが好ましい。このように配置することにより、カメラ自体の映像への映り込みを目立たなくすることが可能となる。
【0044】
さらに、プロジェクタ21の光軸に対する第2の曲面鏡22の傾斜角度が、以下の条件式(1)を満足するように、設定すると好ましい。
10° < α2 < 45° (2)
ただし、α2はプロジェクタ21の光軸に対する第2の曲面鏡22の傾斜角度である。
【0045】
また、カメラ11の光軸に対する第1の曲面鏡12の傾斜角度とプロジェクタ21の光軸に対する第2の曲面鏡22の傾斜角度が、以下の条件式(3)を満足するように、設定すると好ましい。
0.8 < α1/α2 < 1.2 (3)
ただし、
α1はカメラ11の光軸に対する第1の曲面鏡12の傾斜角度、
α2はプロジェクタ21の光軸に対する第2の曲面鏡22の傾斜角度、
である。
【0046】
条件式(1)の下限を下回ると、観察画像の中心付近にカメラが写り込んでしまう。条件式(2)の上限を上回ると、偏心による偏心収差の発生が大きくなり、特に台形の像歪みが大きくなりすぎてしまう。
【0047】
また、第2の曲面鏡22に対してプロジェクタ21を撮影視野の上方となるように偏心させて配置することが好ましい。なぜならば、人間の視野は、所定の視標を見た場合、下方よりも上方の視野角度が小さいので、プロジェクタ21が上方に移り込んだ方が気にならないからである。
【0048】
さらに、第2の曲面鏡22は、球面の凸面鏡であることが好ましい。球面の凸面鏡は、ブロー成型で製作が容易であり、安価に製作することが可能となる。
【0049】
また、スクリーン23は、曲面スクリーンとすることにより、観察画角を大きくすることが可能となる。例えば、120°〜180°とすることが可能となる。
【0050】
また、第2の曲面鏡22は、プロジェクタ21に対して凸面を向け、スクリーン23は、第2の曲面鏡22に対して凹面を向けることが好ましい。このように配置することにより、斜めから投影することで発生する弓なりの像歪みの発生が打ち消しあって発生しなくなる。
【0051】
また、第2の曲面鏡22は、プロジェクタ21に対して凸面を向けたシリンドリカル面とし、スクリーン23は、第2の曲面鏡22に対して凹面を向けたシリンドリカル面とすることが好ましい。この場合、上下方向には拡大されないが、人間の視野は上下方向と比較して水平方向に広いので、臨場感のある映像を観察することが可能となる。
【0052】
また、第2の曲面鏡22は、プロジェクタ21に対して凸面を向けた球面とし、スクリーン23は、第2の曲面鏡22に対して凹面を向けた球面とすることが、さらに好ましい。第2の曲面鏡22とスクリーン23の両方を球面とすることにより、投影される映像が縦横共に等倍の映像となり、通常の平面ディスプレイで違和感なく観察することができる。
【0053】
また、カメラ11は撮像範囲内に配置されて、プロジェクタ21は観察画像範囲内に配置されると好ましい。このように構成することで、カメラ11と第1の曲面鏡12の偏心角度及びプロジェクタ21と第2の曲面鏡22の偏心角度を小さくすることができ、偏心収差の発生を小さくすることが可能となる。一方、カメラ11の映像への映り込みは、映像のカメラ11の位置にプロジェクタ21を配置する相似形の構成とすることで、目立たなくすることが可能となる。
【0054】
さらに、スクリーン23は、穴23aを有し、プロジェクタ21は、映像をスクリーン23の第2の曲面鏡22と反対側から穴23aを通して投影することが好ましい。このように構成することで、簡単な構成で、さらにカメラ11の映像への映り込みを目立たなくすることが可能となる。なお、プロジェクタ21をスクリーン23に対して第2の曲面鏡22側に配置してもよい。また、プロジェクタ21をスクリーン23の穴23aに挿入された状態で配置してもよい。
【0055】
また、投影装置2は、第2の曲面鏡22及びスクリーン23が球面の場合、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
1 < A < 10 (4)
ただし、
Aは、スクリーン23の曲率半径(cm)×プロジェクタ21の横方向の半画角(deg)/第2の曲面鏡22の曲率半径(mm)
である。
【0056】
条件式(4)の下限を下回ると、第2の曲面鏡22で大きな画角に広げることが不可能となる。また、条件式(4)の上限を上回ると、第2の曲面鏡22の大きさが大きくなりすぎ、観察者の頭と干渉する。
【0057】
さらに、撮像装置1の撮像した映像データは、一時的に記録するメモリー及び磁気テープ等の図示しない記憶部材に記憶しておき、記憶部材に記憶した映像を投影装置2に入力することにより、任意の時に映像を再生することが可能となる。
【0058】
また、撮像装置1の撮像した映像データを、無線又は有線の通信手段を用いて遠隔地に伝送し、伝送された映像を投影装置2に入力することにより、任意の時に任意の場所で映像を再生することが可能となる。
【0059】
次に、実施例1について説明する。なお、撮像装置1及び投影装置2共に、中心主光線を含む面とYZ平面とし、右手系の直交座標系とする。
【0060】
図3は、実施例1の撮像装置1についてYZ平面における断面を示した図、図4は、実施例1の撮像装置1についてYZ平面に直交し、中心主光線を含む面を上から見た図である。
【0061】
実施例1の撮像装置1は、撮像した映像を結像する撮像部11と、撮像部11に対して偏心し、映像を反射して撮像部11に入射させる第1の曲面鏡12と、を有する。
【0062】
撮像部11は、二次元からなる撮像素子11aと、撮像される映像を撮像素子11aに結像させる撮像光学系11bを有する。実施例1では、撮像光学系11bは理想レンズとする。
【0063】
第1の曲面鏡12は、XZ平面に平行な面で撮像部11に凸面を向けた凸面鏡であって、Y軸に平行な回転軸を有するシリンドリカル面からなり、撮像部11に対して偏心して配置されている。
【0064】
撮像される映像は、第1の曲面鏡12で反射され、撮像光学系11bを通過し、撮像素子11aに結像する。
【0065】
図5は、実施例1の投影装置2についてYZ平面における断面を示した図、図6は、実施例1の投影装置2についてYZ平面に直交し、中心主光線を含む面を上から見た図である。
【0066】
実施例1の投影装置2は、映像を投影する投影部21と、投影部21に対して偏心し、投影部21の投影した映像が投影される第2の曲面鏡22と、第2の曲面鏡22で反射した映像が投影される曲面からなるスクリーン23と、を有する。なお、RCは中心主光線、Osは中心主光線RCがスクリーン23と交差する投影中心、O23はスクリーン23の回転中心位置である。
【0067】
投影部21は、二次元からなる映像表示素子21aと、映像表示素子21aに表示された映像を投影する投影光学系21bと、を有する。実施例1では、投影光学系21bは理想レンズとする。
【0068】
第2の曲面鏡22は、XZ平面に平行な面で投影部21に凸面を向けた凸面鏡であって、Y軸に平行な回転軸を有するシリンドリカル面からなり、投影部21に対して偏心して配置されている。
【0069】
スクリーン23は、XZ平面に平行な面で第2の曲面鏡22に凹面を向けて、Y軸に平行な回転軸を有するシリンドリカル面からなり、第2の曲面鏡22に対して偏心して配置されている。
【0070】
映像表示素子21aに表示された映像は、投影光学系21bを通過して第2の曲面鏡22に投影され、第2の曲面鏡22で反射されて、スクリーン23に結像する
【0071】
図7は、実施例1の投影装置2の寸法を示す図である。なお、図7中の単位はmmである。実施例1における条件式(4)のパラメータに対応する数値は、スクリーン23の曲率半径:100cm、投影装置2の水平半画角:15.9deg、及び第2の曲面鏡22の曲率半径:400mmである。
【0072】
次に、実施例2について説明する。なお、撮像装置1及び投影装置2共に、中心主光線を含む面とYZ平面とし、右手系の直交座標系とする。
【0073】
図8は、実施例2の撮像装置1についてYZ平面における断面を示した図、図9は、実施例2の撮像装置1についてYZ平面に直交し、中心主光線を含む面を上から見た図である。
【0074】
実施例2の撮像装置1は、撮像した映像を結像する撮像部11と、撮像部11に対して偏心し、映像を反射して撮像部11に入射させる第1の曲面鏡12と、を有する。
【0075】
撮像部11は、二次元からなる撮像素子11aと、撮像される映像を撮像素子11aに結像させる撮像光学系11bを有する。実施例1では、撮像光学系11bは理想レンズとする。
【0076】
第1の曲面鏡12は、XZ平面に平行な面で撮像部11に凸面を向けた凸面鏡であって、Y軸に平行な回転軸を有するシリンドリカル面からなり、撮像部11に対して偏心して配置されている。
【0077】
撮像される映像は、第1の曲面鏡12で反射され、撮像光学系11bを通過し、撮像素子11aに結像する。
【0078】
図10は、実施例2の投影装置2についてYZ平面における断面を示した図、図11は、実施例2の投影装置2についてYZ平面に直交し、中心主光線を含む面を上から見た図である。
【0079】
実施例2の投影装置2は、映像を投影する投影部21と、開口絞りSと、投影部21に対して偏心し、投影部21の投影した映像が投影される第2の曲面鏡22と、第2の曲面鏡22で反射した映像が投影される曲面からなるスクリーン23と、を有する。なお、RCは中心主光線、Osは中心主光線RCがスクリーン23と交差する投影中心、O23はスクリーン23の中心位置である。
【0080】
投影部21は、二次元からなる映像表示素子21aと、映像表示素子21aに表示された映像を投影する投影光学系21bと、を有する。実施例1では、投影光学系21bは理想レンズとする。
【0081】
開口絞りSは、投影部21から投影された映像がスクリーン23の穴23aを通過する直前に配置されている。
【0082】
第2の曲面鏡22は、XZ平面に平行な面で投影部21に凸面を向けた凸面鏡であって、中心O22を有する球面からなり、投影部21に対して偏心して配置されている。
【0083】
スクリーン23は、XZ平面に平行な面で第2の曲面鏡22に凹面を向けて、中心O23を有する球面からなり、第2の曲面鏡22に対して偏心して配置されている。また、スクリーン23は、穴23aを有する。
【0084】
映像表示素子21aに表示された映像は、投影光学系21b及び開口絞りSを通過し、スクリーン23に形成された穴23aを通過して、第2の曲面鏡22に投影され、第2の曲面鏡22で反射されて、スクリーン23に結像する。
【0085】
図12は、実施例2の投影装置2の寸法を示す図である。なお、図12中の単位はmmである。実施例2における条件式(4)のパラメータに対応する数値は、スクリーン23の曲率半径:90cm、投影装置2の水平半画角:9.81deg、第2の曲面鏡22の曲率半径:300mm、及び条件式(4)に対応する値A:2.943である。また、O22は第2の曲面鏡22の中心位置である。
【0086】
図13は、本発明の実施形態に係る投影装置2について、YZ断面における断面、及び観察者による観察の様子を示した図である。
【0087】
構成、並びに、光線については図8で示した実施例2と同様である。本実施形態の装置において、観察者は例えば、図示するように着座した状況で観察が行われる。観察上、着座状態で観察者の視線方向が、Z軸に沿うようにすることが好ましい。そのため、プロジェクタ21を可動式にし、着座の状態に応じて位置を変更可能とすることで、着座状況に応じて観察しやすい投影像を提供することが可能となる。また、リクライニング式の可動シートなどにおいては、リクライニングの角度に応じて、装置全体を傾ける構成としてもよい。
【0088】
このように、本実施形態の光学系を用いた装置によれば、観察者が着座した状態などにおいて没入感のある投影像を提供することが可能となる。さらに、スクリーン23に、歪みが抑えられるとともに、高解像の投影像を投影することが可能となる。
【符号の説明】
【0089】
1…撮像装置
11…撮像部
11a…撮像素子
11b…撮像光学系
12…第1の曲面鏡
2…投影装置
21…投影部
21a…映像表示素子
21b…投影光学系
22…第2の曲面鏡
23…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を撮影する撮像部と、
前記撮像部の前方に配置された第1の反射曲面と、
を含む撮像装置と、
前記撮像装置が撮影した映像を投影する投影部と、
前記投影部の前方に配置された第2の反射曲面と、
前記第2の反射部で反射した映像を写す曲面スクリーンと、
を含む投影装置と、
を有し、
前記撮像部に対する前記第1の反射曲面の偏心位置と前記投影部に対する前記第2の反射曲面の偏心位置は、相似であり、
前記投影部から前記スクリーンへ向かう光束の中心主光線を含む面をYZ断面、前記YZ断面に対して直交すると共に前記中心主光線が前記スクリーンと交差する投影中心と前記投影中心での前記スクリーンの垂線を含む面をXZ断面とし、
前記スクリーンは、前記XZ断面内で前記第2の反射曲面側に凹面を向け、
前記第2の反射曲面は、前記XZ断面と平行な面内で前記スクリーン側に凸面を向けている
ことを特徴とする撮像投影システム。
【請求項2】
前記第1の反射曲面と前記第2の反射曲面は、相似形である
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像投影システム。
【請求項3】
前記撮像部は撮像範囲内に配置されて、前記投影部は投影映像範囲内に配置される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像投影システム。
【請求項4】
前記撮像部は撮像範囲内の上方に配置されて、前記投影部は投影映像範囲内の上方に配置される
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像投影システム。
【請求項5】
前記スクリーンは、前記投影部から投影される映像が通過するための穴を有する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の撮像投影システム。
【請求項6】
前記第1の反射曲面の前記撮像部の光軸に対する傾斜角度及び前記第2の反射曲面の前記投影部の光軸に対する傾斜角度は、以下の条件式(1)及び条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の撮像投影システム。
10° < α1 < 45° (1)
10° < α2 < 45° (2)
ただし、
α1は前記撮像部の光軸に対する前記第1の反射曲面の傾斜角度、
α2は前記投影部の光軸に対する前記第2の反射曲面の傾斜角度、
である。
【請求項7】
前記第1の反射曲面の前記撮像部の光軸に対する傾斜角度及び前記第2の反射曲面の前記投影部の光軸に対する傾斜角度は、以下の条件式(3)を満足する
ことを特徴とする請求項6に記載の撮像投影システム。
0.8 < α1/α2 < 1.2 (3)
ただし、
α1は前記撮像部の光軸に対する前記第1の反射曲面の傾斜角度、
α2は前記投影部の光軸に対する前記第2の反射曲面の傾斜角度、
である。
【請求項8】
前記第1の反射曲面、前記第2の反射曲面、及び前記スクリーンは、球面からなる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の撮像投影システム。
【請求項9】
前記撮像部の画角及び前記投影部の画角は、等しい
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の撮像投影システム。
【請求項10】
前記投影装置は、以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の撮像投影システム。
1 < A < 10 (4)
ただし、
Aは、前記スクリーンの曲率半径(cm)×投影部の横方向の半画角(deg)/前記第2の反射曲面の曲率半径(mm)
である。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−173605(P2012−173605A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36885(P2011−36885)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】