説明

撮像素子およびそれを用いた撮像素子用装置

【課題】 蓄積部に蓄積する手順について汎用性が高い撮像素子およびそれを用いた撮像素子用装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 フォトダイオード11に最も隣接する蓄積用CCDセル12について、その1つの蓄積用CCDセル12について3つのフォトダイオード11を並列的に接続するようにそれぞれを構成しているので、並列的に接続された各フォトダイオード11から蓄積用CCDセル12(蓄積部)に蓄積する手順について汎用性が高くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入射された光を電気信号に変換することで光を受光する受光部やその受光部から得られた電気信号を蓄積する蓄積部などを備えた撮像素子およびそれを用いた撮像素子用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の撮像素子として、例えばCCD(Charge Coupled Device)型固体撮像素子がある。近年、かかるCCD型固体撮像素子(以下、『CCD』と略記する)において、高速撮像を可能にするために、入射された光を電気信号(すなわち信号電荷)に変換することで光を受光する受光部(例えばフォトダイオード)の傍らに、受光部から得られた電気信号を蓄積して記憶する複数の蓄積部(例えば蓄積用CCDセル)を備える(例えば、特許文献1,2参照)。これらの受光部や蓄積部をチップ上に配設している。
【0003】
特許文献1,2では、『斜行CCD型固体撮像素子』と呼ばれるCCDを採用している。この斜行CCD型固体撮像素子について図5を参照して説明する。図5に示すように、CCD50は、上述したフォトダイオード51と蓄積用CCDセル52とを複数個備えるとともに、これら蓄積用CCDセル52内の電気信号を図5に示す垂直方向に転送する垂直転送用CCDセル53を備えている。
【0004】
各フォトダイオード51の傍らには読み出しゲート54をそれぞれ配設しており、このフォトダイオード51から読み出された電気信号を各読み出しゲート54はそれに隣接した蓄積用CCDセル52に書き込む。
【0005】
各蓄積用CCDセル52についてはそれぞれをライン状に接続して構成しており、ライン状の蓄積用CCDセル52を複数本分配設している。ライン状の蓄積用CCD52の下流側において垂直転送用CCDセル53に接続している。フォトダイオード51から得られた電気信号を、隣接する蓄積用CCDセル52に順次に転送しながら各蓄積用CCDセル52に蓄積する。そして、蓄積用CCDセル52から順次に転送された電気信号を垂直転送用CCDセル53に合流させる。垂直転送用CCDセル53から転送されたこの電気信号を水平転送用CCDセル55に転送する。
【0006】
この『斜行CCD型固体撮像素子』では、ライン状の蓄積用CCDセル52は斜め方向に延びている。このように斜め方向にすることで水平および垂直方向に平行して各フォトダイオード51を並べて配設することができる。なお、ライン状の蓄積用CCDセル52を垂直方向に延在するように構成すると、各フォトダイオードが斜め方向に配置されてしまう。この『斜行CCD型固体撮像素子』では、各フォトダイオード51が、かかる配置にならずに直方配列になる。
【0007】
このように、蓄積用CCDセルなどに代表される蓄積部をライン状に複数備えることで、水平転送用CCDセルの読み出し速度は撮影速度に依存しない。例えば撮影速度が1.0×106フレーム/秒(1,000,000フレーム/秒)の高速撮像のように、フォトダイオードに代表される受光部に光を高速に受光する場合でも、外部に蓄積部を有する構造の場合、画素数×撮影速度:1.0×106フレーム/秒で読み出す必要があるが、本構造の場合には読み出し速度は撮影速度に全く依存しない。
【特許文献1】特開2001−345441号公報(第2,5−9頁、図2−4,10−12)
【特許文献2】特開2000−165750号公報(第3,6−14頁、図1,4,5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、蓄積用CCDセルなどに代表される蓄積部の数は、チップ上に配設する関係上、限られている。したがって、蓄積できる電気信号のデータに制限がある。また、1つの素子でカラー画像を得るためには、光の3原色である赤:R(Red)、緑:G(Green)、青:B(Blue)を光に対して施すRGBフィルタや、補色フィルタをフォトダイオードに代表される受光部に有する必要がある。
【0009】
例えば、図5に示すように、赤、青用のフォトダイオードを1つずつ、緑用のフォトダイオード51を2つで、1つ分のカラー画素Cとする(1点鎖線の楕円で囲まれた部分を参照)。なお、図5では、赤のフィルタを施したフォトダイオード51を右斜線のハッチングで示し、符号51aを付するとともに、緑のフィルタを施したフォトダイオード51を左斜線のハッチングで示し、符号51bを付する。また、青のフィルタを施したフォトダイオード51を右斜線および左斜線がクロスしたハッチングで示し、符号51cを付する。
【0010】
この場合には、1つ分のカラー画素Cに対して、4本分のライン状の蓄積用CCDセル52が占有される。すなわち、赤用のフォトダイオード51aに接続されたライン状の蓄積用CCDセル52が1本分、緑用のフォトダイオード51bに接続されたライン状の蓄積用CCDセル52が2本分、青用のフォトダイオード51cに接続されたライン状の蓄積用CCDセル52が1本分で、合計4本分となる。
【0011】
したがって、各ラインには互いに異なる色が施された電気信号が混在することがなく、同じ色に関して電気信号が各ライン状の蓄積用CCDセル52にそれぞれ蓄積される。例えば、カラー画像から白黒(モノクロ)画像にモードを変換したい場合には、各色に関する電気信号を加算して蓄積することでモノクロにすることが考えられるが、かかる構造では電気信号を加算して蓄積することができない。
【0012】
このように、蓄積できる電気信号のデータに制限があり、カラー画像から白黒(モノクロ)画像にモードを変換したい場合には、電気信号を加算して蓄積することができない。このように、蓄積部に蓄積する手順について汎用性が低い。
【0013】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、蓄積部に蓄積する手順について汎用性が高い撮像素子およびそれを用いた撮像素子用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、入射された光を電気信号に変換することで光を受光する受光部と、その受光部から得られた電気信号を蓄積する蓄積部とを備えた撮像素子であって、受光部に最も隣接する蓄積部について、1つの蓄積部に対して複数の受光部を並列的に接続するようにそれぞれを構成することを特徴とするものである。
【0015】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、受光部に最も隣接する蓄積部について、1つの蓄積部に対して複数の受光部を並列的に接続するようにそれぞれを構成することで、並列的に接続された各受光部から蓄積部に蓄積する手順について汎用性が高くなる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、入射された光を電気信号に変換することで光を受光する受光部と、その受光部から得られた電気信号を蓄積する蓄積部とを備えた撮像素子を用いた撮像素子用装置であって、受光部に最も隣接する蓄積部について、1つの蓄積部に対して複数の受光部を並列的に接続するようにそれぞれを構成することを特徴とするものである。
【0017】
[作用・効果]請求項6に記載の発明によれば、受光部に最も隣接する蓄積部について、1つの蓄積部に対して複数の受光部を並列的に接続するようにそれぞれを構成しているので、並列的に接続された各受光部から蓄積部に蓄積する手順について汎用性が高くなる。
【0018】
上述した発明の好ましい一例は、光に対してフィルタ処理を施すフィルタを備え、上述した複数の受光部のうちの各受光部に対してフィルタをそれぞれ有することである(請求項2に記載の発明)。この場合には、各受光部に対してフィルタをそれぞれ有することで、各フィルタ処理がそれぞれ施された光について、様々な撮像態様を実現することができる。
【0019】
上述した発明において、各受光部から蓄積部に蓄積する手順については、例えば以下のようなものが挙げられる。
【0020】
すなわち、各受光部から蓄積部に蓄積する手順の一例は、複数の受光部からそれぞれ得られた各電気信号を切り換えて、各電気信号を蓄積部に順に転送して蓄積する第1転送部を備えることである(請求項3に記載の発明)。この場合には、複数の受光部からそれぞれ得られた各電気信号を切り換えて、各電気信号を蓄積部に順に転送するので、受光部に最も隣接する蓄積部を集約することができる。
【0021】
また、各受光部から蓄積部に蓄積する手順の他の一例は、複数の受光部からそれぞれ得られた各電気信号を加算して、加算された電気信号を蓄積部に転送して蓄積する第2転送部を備えることである(請求項4に記載の発明)。この場合には、複数の受光部からそれぞれ得られた各電気信号を加算して、加算された電気信号を蓄積部に転送して蓄積するので、従来の各受光部から隣接する蓄積部に電気信号を蓄積するタイプと比較すると、蓄積部の数を固定した状態でも、複数の受光部から集約された電気信号のデータの量を、受光部の数の倍だけ増やすことができる。
【0022】
さらに、請求項2に記載の発明に従属されており、赤:R(Red)、緑:G(Green)、青:B(Blue)を光に対して施すRGBフィルタを各受光部がそれぞれ有する場合には、RGBフィルタ処理が施された各光、すなわち各色に関する電気信号を加算して蓄積することで白黒(モノクロ)にすることができるという効果をも奏する。したがって、カラー画像からモノクロ画像にモードを変換することができる。
【0023】
また、各受光部から蓄積部に蓄積する手順のさらなる他の一例は、複数の受光部からそれぞれ得られた各電気信号に対して重み付けを行い、重み付けされた各電気信号を蓄積部に転送して蓄積するようにそれぞれを構成することである(請求項5に記載の発明)。本明細書中での『重み』の例は、各受光部の面積を変更すること、各フィルタの透過率を変更すること、あるいは蓄積部に蓄積する蓄積時間を変更することなどである。
【0024】
また、請求項6に記載の発明(撮像素子用装置)において、装置を、撮像素子で得られた電気信号のデータを用いて分析を行う分析装置や、データのみを記憶して記憶したデータを外部装置に転送する転送装置として用いてもよいし、被写体の光学像を取り込み、取り込まれた光学像を受光部が電気信号に変換して被写体を撮像する撮像装置として用いてもよい。撮像装置の場合には、上述した被写体の光学像を取り込む水晶体を備えている(請求項7に記載の発明)。また、撮像装置が、例えば撮影速度が1.0×106フレーム/秒(1,000,000フレーム/秒)の高速撮像装置のように、電気信号を高速に転送する場合には、この発明は特に有用である。本明細書中では、撮影速度が100,000フレーム/秒以上を『高速撮影』とする。
【発明の効果】
【0025】
この発明に係る撮像素子およびそれを用いた撮像素子用装置によれば、受光部に最も隣接する蓄積部について、1つの蓄積部に対して複数の受光部を並列的に接続するようにそれぞれを構成しているので、並列的に接続された各受光部から蓄積部に蓄積する手順について汎用性が高くなる。
【実施例1】
【0026】
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1、後述する実施例2に係るCCD型固体撮像素子(CCD)を用いた撮像装置の概略を示すブロック図であり、図2は、実施例1,2に係るCCDの構成を示すブロック図であり、図3は、実施例1に係るCCDにおける転送・蓄積の手順を示す説明図である。なお、本実施例1は、RGBフィルタを用いてカラー画像を得る場合に適用したときの実施態様である。
【0027】
後述する実施例2も含めて、実施例1に係る撮像装置は、被写体の光学像を取り込み、取り込まれた光学像を電気信号に変換して被写体を撮像するように構成されている。すなわち、撮像装置10は、図1に示すように、固体撮像素子(CCD)1を備えるとともに、レンズ2とADコンバータ3と画像処理演算部4と画像記憶部5とモニタ6と操作部7と制御部8とを備えている。この撮像装置10は、撮影速度が1.0×106フレーム/秒(1,000,000フレーム/秒)の高速撮像として用いられる。撮像装置10は、この発明における撮像素子用装置に相当する。
【0028】
レンズ2は、被写体の光学像を取り込む。ADコンバータ3は、CCD2から出力された電気信号をディジタル信号に変換する。画像処理演算部4は、ADコンバータ3でディジタル化された電気信号に基づいて被写体の2次元画像を作成するために各種の演算処理を行う。画像記憶部5は、画像処理演算部4で作成された2次元画像を記憶する。モニタ6は、画像記憶部5に記憶された2次元画像を画面に出力する。操作部7は、高速撮像の実行に必要な種々の操作を行う。制御部8は、操作部7により設定された撮影条件などの操作にしたがって装置全体を統括制御する。レンズ2は、この発明における水晶体に相当する。
【0029】
次に、CCD1の具体的な構成について、図2を参照して説明するとともに、本実施例1に係る転送・蓄積の具体的な手順について、図3を参照して説明する。
【0030】
CCD1は、図2に示すように、入射された光(被写体の光学像)を電気信号に変換することで光を受光するフォトダイオード11と、そのフォトダイオード11から得られた電気信号を蓄積して記憶する複数の蓄積用CCDセル12と、これら蓄積用CCDセル12内の電気信号を図2に示す垂直方向に転送する垂直転送用CCDセル13とを備えている。フォトダイオード11は、この発明における受光部に相当し、蓄積用CCDセル12および垂直転送用CCDセル13は、この発明における蓄積部に相当する。
【0031】
各フォトダイオード11の傍らには読み出しゲート14をそれぞれ配設しており、このフォトダイオード11から読み出された電気信号を各読み出しゲート14はそれに隣接した蓄積用CCDセル12に書き込む。
【0032】
各蓄積用CCDセル12についてはそれぞれをライン状に接続して構成しており、ライン状の蓄積用CCDセル12を複数本分配設している。ライン状の蓄積用CCDセル12の下流側において垂直転送用CCDセル13に接続している。フォトダイオード11から得られた電気信号を、隣接する蓄積用CCDセル12に順次に転送しながら各蓄積用CCDセル12に蓄積する。そして、蓄積用CCDセル12から順次に転送された電気信号を垂直転送用CCDセル13に合流させる。垂直転送用CCDセル13から転送されたこの電気信号を水平転送用CCDセル15に転送する。
【0033】
フォトダイオード11を2次元状に配置しており、水平および垂直方向に平行して各フォトダイオード11を並べて配設する関係上、ライン状の蓄積用CCDセル12は斜め方向に延びている。後述する実施例2も含めて本実施例1に係るCCD1は、いわゆる『斜行CCD型固体撮像素子』と呼ばれているものである。
【0034】
後述する実施例2も含めて本実施例1に係るCCD1では、フォトダイオード11に最も隣接する蓄積用CCDセル12、すなわち読み出しゲート14に接続された蓄積用CCDセル12について、1つの蓄積用CCDセル12に対して複数のフォトダイオード11を並列的に接続している。本実施例1,2では、最も隣接する蓄積用CCDセル12に対して3つのフォトダイオード11を並列的に接続している。個々のフォトダイオード11をそれぞれ区別するために、図2に示すように、右斜線のハッチング、左斜線のハッチング、右斜線および左斜線がクロスしたハッチングでそれぞれ示す。
【0035】
本実施例1では、各フォトダイオード11に対して互いに異なるRGBフィルタを備えている。具体的には、図3に示すように、右斜線のハッチングのフォトダイオード11を、赤のフィルタを施した赤用のフォトダイオード11aとするとともに、左斜線のハッチングのフォトダイオード11を、緑のフィルタを施した緑用のフォトダイオード11bとし、右斜線および左斜線がクロスしたハッチングのフォトダイオード11を、青のフィルタを施した青用のフォトダイオード11cとする。最も隣接する同一の蓄積用CCDセル12に対して並列的に接続された赤用のフォトダイオード11a、緑用のフォトダイオード11b、青用のフォトダイオード11cで、1つ分のカラー画素Cとなる(1点鎖線の円で囲まれた部分を参照)。この場合には、1つ分のカラー画素Cに対して、1本分のライン状の蓄積用CCDセル12をそれぞれ有することになる。
【0036】
また、本実施例1では、図3に示すように、3つのフォトダイオード11a〜11cからそれぞれ得られたR/G/B信号を切り換えて、各信号を蓄積用CCDセル12に順次に転送して蓄積する。具体的には、3つのフォトダイオード11a〜11cにそれぞれ接続された読み出しゲート14に印加する電圧のタイミングによって切り換えの制御を行う。読み出しゲート14は、この発明における第1転送部に相当する。赤用のフォトダイオード11aから赤のR信号を転送して、その転送後に青用のフォトダイオード11cから青のB信号を転送して、その転送後に緑用のフォトダイオード11cから緑のG信号を転送する場合を例に採って説明する。
【0037】
先ず、赤用のフォトダイオード11aに接続された読み出しゲート14に電圧を印加して、その他のフォトダイオード11b、11cに接続された読み出しゲート14には電圧を印加せずに未転送の状態に遮断する。すると、赤用のフォトダイオード11bからのR信号が、図3(a)に示す状態から図3(b)に示す状態のように最も隣接する蓄積用CCDセル12に読み出されて書き込まれる(図3(b)中の『R』を参照)。
【0038】
次に、青のフォトダイオード11cに接続された読み出しゲート14に電圧を印加して、その他のフォトダイオード11a,11bに接続された読み出しゲート14には電圧を印加せずに未転送の状態に遮断する。すると、青用のフォトダイオード11cからのB信号が、図3(b)に示す状態から図3(c)に示す状態のように最も隣接する蓄積用CCDセル12に読み出されて書き込まれる(図3(c)中の『B』を参照)。このときに先に書き込まれたR信号は、次に隣接する蓄積用CCDセル12に書き込まれる(図3(c)中の『R』を参照)。
【0039】
さらに、緑用のフォトダイオード11bに接続された読み出しゲート14に電圧を印加して、その他のフォトダイオード11c,11aに接続された読み出しゲート14には電圧を印加せずに未転送の状態に遮断する。すると、緑用のフォトダイオード11bからのG信号が、図3(c)に示す状態から図3(d)に示す状態のように最も隣接する蓄積用CCDセル12に読み出されて書き込まれる(図3(c)中の『G』を参照)。このときに先に書き込まれたR信号/B信号は、それぞれに隣接する蓄積用CCDセル12に順次に書き込まれる(図3(c)中の『R』および『B』をそれぞれ参照)。
【0040】
以下、同様の手順で、図3(d)に示す状態から図3(e)に示す状態、さらに図3(e)に示す状態から図3(f)に示す状態へと転送・蓄積を行う。
【0041】
上述したCCD1およびそれを用いた撮像装置10によれば、フォトダイオード11に最も隣接する蓄積用CCDセル12について、その1つの蓄積用CCDセル12について複数(実施例1,2では3つ)のフォトダイオード11a〜11cを並列的に接続するようにそれぞれを構成しているので、並列的に接続された各フォトダイオード11a〜11cから蓄積用CCDセル12に蓄積する手順について汎用性が高くなる。
【0042】
本実施例1では、RGBフィルタを備え、各フォトダイオード11a〜11cに対して赤(R)・緑(G)・青(B)と各フィルタをそれぞれ有することで、カラー画像という撮像態様を実現することができる。
【0043】
また、本実施例1では、3つのフォトダイオード11a〜11cからそれぞれ得られたR/G/B信号を切り換えて、各信号を蓄積用CCDセル12に順次に転送して蓄積する。この場合には、フォトダイオード11a〜11cからそれぞれ得られた各信号を切り換えて、各信号を蓄積用CCDセル12に順次に転送するので、フォトダイオード11に隣接する蓄積用CCDセル12を集約することができる。
【実施例2】
【0044】
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。
図4は、実施例2に係るCCDにおける転送・蓄積の手順を示す説明図である。なお、本実施例2では白黒(モノクロ)画像を得る場合に適用したときの実施態様である。
【0045】
上述した実施例1と同様に、本実施例2では、1つの蓄積用CCDセル12に対して3つのフォトダイオード11を並列的に接続している。本実施例2では、3つのダイオード11からそれぞれ得られた各電気信号を加算して、加算された電気信号を蓄積用CCDセル12に転送して蓄積する。具体的には、各フォトダイオード11にそれぞれ接続された読み出しゲート14に印加する電圧のタイミングによって切り換えの制御を行う。読み出しゲート14は、この発明における第2転送部に相当する。
【0046】
各フォトダイオード11にそれぞれ接続された読み出しゲート14の全てに電圧を印加する。すると、全てのフォトダイオード11から各電気信号が、図4(a)に示す状態から図4(b)に示す状態のように最も隣接する蓄積用CCDセル12に一斉に読み出されて書き込まれる。一斉に読み出されて書き込まれることで各電気信号が加算される。加算された信号を『S』とし、加算されて蓄積された信号Sを、縦横にクロスしたハッチングで示す。
【0047】
次に、同様の手順で、各フォトダイオード11にそれぞれ接続された読み出しゲート14の全てに電圧を印加すると、全てのフォトダイオード11から各電気信号Sが、図4(b)に示す状態から図4(c)に示す状態のように最も隣接する蓄積用CCDセル12に一斉に読み出されて書き込まれる。このときに、先に書き込まれた信号Sは、次に隣接する蓄積用CCDセル12に書き込まれる。
【0048】
以下、同様の手順で、図4(c)に示す状態から図4(d)に示す状態へと転送・蓄積を行う。
【0049】
上述したCCD1およびそれを用いた撮像装置10によれば、3つのフォトダイオード11からそれぞれ得られた各電気信号を加算して、加算された電気信号を蓄積用CCDセル12に転送して蓄積するので、図5に示すように、従来の各フォトダイオード51から隣接する蓄積用CCDセル52に電気信号を蓄積するタイプと比較すると、蓄積用CCDセルの数を固定した状態でも、3つのフォトダイオード11から集約された電気信号のデータ量を、フォトダイオード11の数の3倍だけ増やすことができる。
【0050】
さらに、上述した実施例1のように、RGBフィルタを用いてカラー画像のモードを実現する場合には、RGBフィルタ処理が施された各光、すなわち各色に関する電気信号(R/G/B信号)を、本実施例2のように加算して蓄積することでモノクロにすることができるという効果をも奏する。したがって、カラー画像からモノクロ画像にモードを変換することができる。
【0051】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0052】
(1)上述した各実施例では、撮影速度が100,000フレーム/秒以上の高速撮像を例に採って説明したが、撮影速度が100,000フレーム/秒未満の通常の撮像に適用してもよい。
【0053】
(2)上述した各実施例では、CCDなどに代表される撮像素子を用いた撮像素子用装置として撮像装置を例に採って説明したが、撮像素子を用いた装置であれば、特に限定されない。例えば、撮像素子で得られた電気信号のデータを用いて分析を行う分析装置や、データのみを記憶して記憶したデータを外部装置に転送する転送装置として用いてもよい。
【0054】
(3)上述した各実施例では、受光部としてフォトダイオードを例に採って説明したが、これに限定されない。例えば、フォトゲートを受光部と用いてもよい。この場合には、フォトゲートが各実施例のフォトダイオードおよび読み出しゲートの機能を果たす。したがって、フォトゲートを実施例1に用いた場合には、フォトゲートは、この発明における第1転送部に相当し、フォトゲートを実施例2に用いた場合には、フォトゲートは、この発明における第2転送部に相当する。
【0055】
(4)上述した各実施例では、『斜行CCD型固体撮像素子』を例に採って説明したが、ライン状の蓄積用CCDセルを垂直方向に延在するように構成した撮像素子にもこの発明は適用することができる。また、蓄積用CCDセルに代表される蓄積部の配置形態については、特に限定されない。
【0056】
(5)上述した各実施例では、1つの蓄積部(各実施例では蓄積用CCDセル)に対して並列的に接続される受光部(各実施例ではフォトダイオード)の数は3つであったが、数については複数であれば特に限定されない。2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0057】
(6)上述した実施例1と実施例2とを組み合わせてもよい。すなわち、この発明における第1転送部と第2転送部とを組み合わせてもよい。例えば、3つのフォトダイオードのうち、1つと2つとに区分して、2つに区分されたフォトダイオードからそれぞれ読み出された電気信号を加算して、加算された電気信号を蓄積用CCDセルに転送して蓄積し、1つに区分されたフォトダイオード、2つに区分されたフォトダイオードからそれぞれ得られた電気信号を切り換えて、各電気信号を蓄積用CCDセルに順に転送して蓄積してもよい。
【0058】
(7)上述した実施例1では、カラーなどのRGBフィルタを施しつつ、各フォトダイオード11a〜11cからそれぞれ得られたR/G/B信号を切り替えて、各信号を蓄積用CCDセル12に順次に転送して蓄積したが、RGB以外のフィルタ(例えば補色フィルタや赤外フィルタや紫外フィルタなど)を施して、あるいはフィルタ処理を施さずに、実施例1と同じ転送・蓄積の手順を行ってもよい。
【0059】
(8)上述した実施例2では、フィルタ処理を施さずに白黒(モノクロ)で、フォトダイオード11からそれぞれ得られた電気信号を加算して、その加算された電気信号を蓄積用CCDセル12に転送して蓄積したが、RGBフィルタあるいはRGB以外のフィルタを施した状態で電気信号を加算して、実施例2と同じ転送・蓄積を行ってもよい。
【0060】
(9)複数の受光部(実施例ではフォトダイオード)からそれぞれ得られた電気信号に対して重み付けを行う、重み付けされた各電気信号を蓄積部(実施例では蓄積用CCDセル)に転送して蓄積するようにそれぞれを構成してもよい。例えば、受光部の面積を広くすることで、広くした受光部の電気信号については重み付けが大きくなる。逆に受光部の面積を狭くすることで、狭くした受光部の電気信号については重み付けが小さくなる。また、例えば、フィルタの透過率を上げることで、透過率を上げた受光部の電気信号については重み付けが大きくなる。逆にフィルタの透過率を下げることで、透過率を下げた受光部の電気信号については重み付けが小さくなる。また、例えば、蓄積部に蓄積する時間を(読み出しゲートに電圧を印加する印加時間によって)長くすれば、蓄積時間が長くなった電気信号については重み付けが大きくなる。逆に蓄積部に蓄積する時間を短くすれば、蓄積時間が短くなった電気信号については重み付けが小さくなる。
【0061】
(10)この発明では、いずれの撮像方式においても適用することができる。撮像方式としては、主にIL(Interline)方式、FT(Frame Transfer)方式、FFT(Full Frame Transfer)方式、FIT(Frame Interline Transfer)方式などがある。これらの方式に合わせて撮像素子の構造も変化する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施例1,2に係るCCD型固体撮像素子(CCD)を用いた撮像装置の概略を示すブロック図である。
【図2】実施例1,2に係るCCDの構成を示すブロック図である。
【図3】(a)〜(f)は、実施例1に係るCCDにおける転送・蓄積の手順を示す説明図である。
【図4】(a)〜(d)は、実施例2に係るCCDにおける転送・蓄積の手順を示す説明図である。
【図5】従来のCCDの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0063】
2 … レンズ
10 … 撮像装置
11 … フォトダイオード
12 … 蓄積用CCDセル
13 … 垂直転送用CCDセル
14 … 読み出しゲート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射された光を電気信号に変換することで光を受光する受光部と、その受光部から得られた電気信号を蓄積する蓄積部とを備えた撮像素子であって、受光部に最も隣接する蓄積部について、1つの蓄積部に対して複数の受光部を並列的に接続するようにそれぞれを構成することを特徴とする撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、光に対してフィルタ処理を施すフィルタを備え、前記複数の受光部のうちの各受光部に対してフィルタをそれぞれ有することを特徴とする撮像素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像素子において、前記複数の受光部からそれぞれ得られた各電気信号を切り換えて、各電気信号を前記蓄積部に順に転送して蓄積する第1転送部を備えることを特徴とする撮像素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の撮像素子において、前記複数の受光部からそれぞれ得られた各電気信号を加算して、加算された電気信号を前記蓄積部に転送して蓄積する第2転送部を備えることを特徴とする撮像素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の撮像素子において、前記複数の受光部からそれぞれ得られた各電気信号に対して重み付けを行い、重み付けされた各電気信号を前記蓄積部に転送して蓄積するようにそれぞれを構成することを特徴とする撮像素子。
【請求項6】
入射された光を電気信号に変換することで光を受光する受光部と、その受光部から得られた電気信号を蓄積する蓄積部とを備えた撮像素子を用いた撮像素子用装置であって、受光部に最も隣接する蓄積部について、1つの蓄積部に対して複数の受光部を並列的に接続するようにそれぞれを構成することを特徴とする撮像素子用装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子用装置において、前記装置は、被写体の光学像を取り込み、取り込まれた光学像を前記受光部が電気信号に変換して被写体を撮像する撮像装置として用いられ、前記被写体の光学像を取り込む水晶体を備えることを特徴とする撮像素子用装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−269612(P2006−269612A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−83624(P2005−83624)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】