説明

撮像装置、撮像方法および情報機器

【課題】撮影者が指導者より適切なアドバイスを受けながら撮影テクニックを容易に学ぶことのできる撮像装置、撮像方法および情報機器を提供する。
【解決手段】生徒用カメラ10aと指導者用カメラ10bが双方向通信しながら、撮影のためのアシスト情報を受信して撮影を行う。被写体20を撮影してこの撮影した画像を表す画像データを生成する撮像素子3等を含む撮像部と、画像データを外部機器に送信する外部通信部9bと、外部機器による送信されたアシスト情報を表示する表示パネル8等で構成される表示部と、アシスト情報に従って撮影者が操作可能なスイッチ1a〜1c等の操作部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像方法および情報機器に関し、詳しくは、写真教室において先生や指導者が生徒に撮影指導を行なう等、指導にあたって使用することのできる撮像装置、撮像方法および情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の撮像機器や情報機器の普及により、撮影教室の開催回数も増加し、また参加者も増えている。撮影教室を公園等の広い場所で行う場合には、生徒である撮影者の撮影状況がリアルタイムで指導者に伝わりにくい。このため、撮影時に撮影者の意志を重んじた適切なアドバイスを伝えることは困難であり、また、適切なアドバイスを受けるまでに時間が経過してしまうと、アドバイスを活かして撮り直すことが難しい。
【0003】
そこで、画像通信技術を用いて、お手本となる撮影画像とその付随情報を送信するカメラシステムや携帯電話などでカメラを遠隔操作する通信システムが、種々提案されている。例えば、特許文献1には、指導者側のお手本となる撮影画像と付随情報が生徒である撮影者に送られ、それにしたがって同様の写真を撮影するシステムが開示されている。また、特許文献2には、携帯電話などでカメラを遠隔操作するシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2001−8089号公報
【特許文献2】特開2003−250079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示のシステムでは、予め指導者側が撮影した対象物に限られるので、撮影者(生徒)が重んじる撮影意志を尊重し、リアルタイムで撮影者にアドバイスをすることができない。また、特許文献2に開示のシステムでは、リモコンなので遠隔操作する側の意志は入るが、撮影状況の確認や、カメラ側の撮影者自らの意志による撮影に対応することができないという問題点がある。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、撮影者が指導者より適切なアドバイスを受けながら撮影テクニックを容易に学ぶことのできる撮像装置、撮像方法および情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる撮像装置は、撮影をアシストするための外部機器と双方向通信しながら、上記外部機器から撮影のためのアシスト情報を受信して撮影を行う撮像装置であって、被写体を撮影してこの撮影した画像を表す画像データを生成する撮像部と、上記画像データを上記外部機器に送信する送信部と、上記外部機器による送信された上記アシスト情報を表示する表示部と、上記アシスト情報に従って撮影者が操作可能な操作部を備える。
【0007】
第2の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記撮像装置は、さらに上記外部機器から上記アシスト情報を受けている所定の期間、撮影のための操作を禁止するための撮影操作制御部を備える。
また、第3の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記外部機器は上記アシスト情報を表示する表示部を備え、上記撮像装置側の表示部に上記外部機器のアシスト情報を表示する。
【0008】
さらに、第4の発明に係わる撮像装置は、上記第3の発明において、上記表示部は、上記アシスト情報を枠表示、カーソル表示もしくは画像の明暗で表示する。
さらに、第5の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記表示部は、上記撮像部で生成された上記画像データをスルー画表示すると共に、この画像データを上記外部機器に送信する。
さらに、第6の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記外部機器からの画像送信要求に応じて上記画像データを送信する。
【0009】
上記目的を達成するため第7の発明に係わる撮像方法は、撮影をアシストするための外部機器と双方向通信しながら、撮影した画像に対して上記外部機器から撮影のためのアシスト情報を受信して撮影を行う撮像方法であって、被写体を撮影してこの撮影した画像を表す画像データを生成するステップと、上記画像データを上記外部機器に送信するステップと、上記外部機器により送信された上記アシスト情報を表示するステップと、上記アシスト情報に基づいて撮影者が操作するステップを備える。
【0010】
上記目的を達成するため第8の発明に係わる情報機器は、光電変換され画像に関する画像データを外部機器から受信する受信部と、この受信部によって受信した上記画像データを表示する表示部と、この表示部に表示された画像に基づいて撮影をアシストするためのアシスト情報を生成するための操作部と、この操作部の操作によって生成された上記アシスト情報を上記外部機器に送信する送信部を備える。
【0011】
第9の発明に係わる情報機器は、上記第8の発明において、上記外部機器に上記画像データの送信を要求し、この要求に応じて送信された上記画像データに基づいて上記アシスト情報を生成する。
また、第10の発明に係わる情報機器は、上記第8の発明において、上記外部機器とは、無線通信もしくは赤外線通信によって、上記受信および上記送信を行なう。
【0012】
さらに、第11の発明に係わる情報機器は、上記第8の発明において、焦点距離の変更を指示する指示部材を有し、この指示に応じて、上記外部機器は枠表示を変更する。
さらに、第12の発明に係わる情報機器は、上記第8の発明において、露出補正の変更を指示する指示部材を有し、この指示に応じて、上記外部機器は画像の明暗を変更する。
さらに、第13の発明に係わる情報機器は、上記第8の発明において、カーソルの位置を変更する操作部材を有し、この操作に応じて、上記外部機器はカーソル表示を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮影をアシストするためアシスト情報を外部機器と双方向通信しながら、アシスト情報を表示もしくはアシスト情報を送信するようにしたので、撮影者が指導者より適切なアドバイスを受けながら撮影テクニックを容易に学ぶことのできる撮像装置、撮像方法および情報機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラおよび撮影システムを用いて好ましい実施形態について説明する。本実施形態における撮影システムは、写真教室などで先生が生徒を指導するのを想定している。この撮影システムにおいては、指導者、講師または先生(第2の撮影者)が、無線通信や赤外線通信等を利用し、画像送信によって生徒・撮影者(第1の撮影者)に構図や画像の確認や指示を行うことができる。つまり、二台以上のカメラで本システムを構成し、第1の撮影者(生徒)のスルー画表示(ライブビューまたは電子ビュー表示ともいう)を、第2の撮影者(指導者・講師・先生)も確認することができ、第2の撮影者の指示を第1の撮影者のカメラにおいて確認することができるようにしている。
【0015】
本実施形態の構成の詳細を説明するに先立って、図2を用いて、本システムの操作方法について説明する。第1のカメラ10aは、生徒(第1のユーザー)31aが使用するカメラであり、第2のカメラ10bは、指導者(第2のユーザー)31bが使用するカメラである。第1のカメラ10aのモニタに表示されている画像や構図は、第2のカメラ10bに無線通信や赤外線通信により送信される。このため第1のカメラ10aに表示中の画像は、第2のカメラ10bにも表示可能である。
【0016】
第2のカメラ10bのモニタに表示されている画像を第2のユーザー31bは確認し、第2のユーザー31bが的確と考える構図や撮影操作を第2のカメラ10bにて行う。この第2のカメラ10bで操作を行うと、この操作に基づく撮影アシスト情報が第1のカメラ10aに送信され、表示パネル8に表示される。例えば、図2の例において、指導者31bが画像を見て、もっと大きくした方がよいと判断した場合には、第2のカメラ10bを操作して、第1のカメラ10aの表示パネル8中の表示枠8cを小さくし、この表示枠8cが大きくなるように指示する。
【0017】
このようなシステム構成であるので、生徒(第1のユーザー)10aは、リアルタイムで同じ状況下において指導者(第2のユーザー)10bならこう撮るという撮影アドバイス(撮影アシスト情報)を受けることができ、この撮影アドバイスを参考にして自らの撮影意志を重んじた撮影を行うことができる。
【0018】
指導者は、生徒に対して撮影のアドバスをするために、画像送信要求をする。指導者は生徒が見ている被写体、光源、背景の状態、構図等、生徒の撮影判断と周りの状況下を全てリアルタイムで確認をすることができる。
【0019】
指導者は、生徒が行っている操作より、生徒の着眼点・方向性を考えながら指導者ならこうするという操作を行い、生徒に送信する。生徒は指導者の撮影方法を参考にしながら自分の意志も入れてその場で撮影をすることができる。常に隣に指導者がいて、自分ならこう撮影するという見本をやってみせ、生徒が再トライするのと同じことが達成可能である。
【0020】
本システムを適用した場合を考えてみるに、例えば、公園内において生徒が紅葉したイチョウの木を撮影したいと思った場合を想定する。生徒がイチョウの木と背景の中心に太陽を入れてカメラを操作する。そのスルー画像を指導者が確認し、紅葉したイチョウは逆光が美しいので太陽位置を美しいと思われる位置に構図し、適正と考える露出などカメラ操作を行い生徒へ送信する。生徒は指導者の考えるベスト操作による画像を参照しながらその場で撮影を再開できる。
【0021】
このように公園内の如く広い場所で開かれる写真教室では、参加者全員に対して、指導者が常時その場でアドバイスをすることができないため、撮影が終了してから撮影画像に対して後から講評を行うことしかできない。このため講評を受けても生徒はまた同じ条件下で撮影できるとは限らず、その撮影に生かすことはできないので、イチョウが散ってしまって、翌年まで撮影テクニックの上達を確認することができない。
【0022】
しかし、本実施形態においては、第1の撮影者(生徒)の撮影しようとしている状況を、第2の撮影者(指導者)がモニタにて確認した上で、撮影シーンを生かした的確な操作アドバイスを、第1の撮影者(生徒)のカメラに表示する。このときの指示は、第1の撮影者(生徒)の意志を重んじて行なうことができ、また第2のカメラ(指導者)にて行った操作指示が、第1のカメラのモニタに表示される。第1の撮影者(生徒)はリアルタイムで指導者のアドバイス(操作指示)を参考に自らの意志によって撮影を行うことができる。
【0023】
次に、本実施形態に係わる撮影システムに使用するデジタルカメラについて説明する。図1は、デジタルカメラと撮影システムのブロック図である。本システムは前述のように、写真教室などで2台以上のカメラを生徒と先生で操作する状況を想定しているが、各カメラは、同様の構成であるので、第1のカメラ10a、第2のカメラ10bのうち、第1のカメラ10aのみを詳細に表示してある。
【0024】
ユーザーが使用する第1のカメラ10aには、撮影レンズ2、AF(オートフォーカス)制御部2a、絞り2b、絞り制御部2c、撮像素子3、アナログフロントエンド(以下、AFEと略す)部4が設けられている。撮影レンズ2は、焦点距離を可変にできるズームレンズであり、内部にフォーカスレンズを有し、入射した被写体20の像を撮像素子3上に結像させる。
【0025】
AF制御部2aは、撮影レンズ2の合焦位置を、後述する画像処理部5内において画像処理を行い、いわゆる山登り法により検出し、フォーカスレンズを駆動して、合焦位置に移動させる。なお、山登り法は、撮影画像のコントラスト信号ピークから合焦位置(ピント位置)を検出する方式であるが、山登り法以外にも、例えば位相差法や三角測距法等公知の合焦方法に置き換えてもよい。AFによって合焦位置に達すると、このときの撮影レンズ2を検出することにより、後述する距離判定部5cは距離判定を行うことができる。この場合、撮影レンズ2がズームレンズのときには、ズーム位置等を加味して距離の判定を行う。
【0026】
撮影レンズ2内または近傍に、シャッターや絞りの効果を奏する絞り2bが設けられる。絞り2bは、撮影時に所定の口径まで開き、露出が終了すると閉じて露光を終了させるものである。絞り制御部2cは、絞り2bを駆動して絞り径を設定する。この絞りを変えることによって、レンズの被写界深度が変化するので、背景のぼけ具合などを調整して、被写体を浮かび上がらせたり、背景をしっかりと描写したりするなど、表現の切り替えを行うことができる。
【0027】
また、露出補正の操作によって、絞り2bによるシャッターや絞りの制御を切り換えて、画像を明るくしたり、暗くしたりすることができる。またAF制御部2bによるオートフォーカスをマニュアル(手動)に切り換えることにより、ユーザーは写真撮影にあたって種々の効果を与えることができる。もちろん、ズームレンズの焦点距離を調節することにより画角を変更することができる。
【0028】
撮像素子3は、多数の受光画素からなるCCDやCMOSセンサ等であり、撮影レンズ2を介して被写体20からの像を受光しこれを画像信号に変換する。アナログフロントエンド(AFE)部4は、アナログデジタル変換(AD)手段を含み、撮像素子3からの信号をデジタル信号化する。そして、AFE部4は、撮像素子3から出力される画像信号について各種処理を行う。また、AFE部4には、撮像素子3のいくつかの画素をまとめて、一括して読み出す機能も設けられている。たとえば、4画素(2×2)や9画素(3×3)など、各画素の信号レベルが小さいときには、いくつかの画素信号を加算して、S/Nを向上させることができ、また、感度を上げることもできる。
【0029】
このような操作によって感度を上げることができ、シャッタースピードを速くする等、撮影上の工夫が可能となる。シャッタースピードが速いと、動いている被写体が止まっているように撮影することが可能となる。シャッタースピードをユーザーが切り替え可能とし、適正露出を絞りや感度の制御で行うカメラでは、一般にシャッタースピードを遅くすれば、例えば、川の流れを撮影する際に、水の流れが糸のように伸びた描写が可能となる。シャッタースピードを速くすれば、同じ川の流れを撮影したとしても、その瞬間がとらえられ、水しぶきが上がった瞬間や、さざなみの様子が細かく再現可能となる。また、スポーツ写真でも、シャッタースピードを速くすれば、被写体の動きを止めることができ、その表情までをはっきり写しこむことが可能となる。
【0030】
また、AFE部4は、撮像素子3の出力する信号を取捨選択する機能を有し、受光範囲の中から限られた範囲の画像データを抽出することが出来る。一般に撮像素子3の画素から間引いた画素信号を抽出する場合には、高速読出が可能となる。これにより後述するように、構図確認用の画像信号を、画像処理部5によって高速処理し、表示制御部8aを介して表示パネル8に表示することができる。
【0031】
AFE部4の出力は、画像処理部5に接続されている。画像処理部5は、入力信号の色や階調やシャープネスを補正処理する。また、撮像素子3から得られた画像信号を所定のレベルに増幅して、正しい濃淡、正しい灰色レベルに設定する増感部5bを有している。これは、デジタル化された信号レベルが、所定レベルになるようにデジタル演算するものである。また、画像処理部5は、ライブ画像をリアルタイムに表示部に表示できるように、撮像素子3からの信号を表示パネル8に表示できるようなサイズに加工するリサイズ手段を有する。
【0032】
この構成により、撮影に先立って撮像部に入射する被写体像を確認でき、光学ファインダー代わりにこれを見ながら撮影時のタイミングやシャッターチャンスを決定することができる。このフレーミング時の取得画像は、表示パネル8に表示されると共に、外部送信部9bを介して、もう一台の第2のカメラ10bに送信される。第2のカメラ10bも、表示部を有しており、この送られてきた画像を表示可能な構成になっている。また、マルチ画像部8bを利用して、指導者のアドバイスなどがインポーズ表示される。
【0033】
また、この画像処理部5の信号を利用して、撮像素子から入力されてくる画像の特徴などを判定する画像判定機能を有している。例えば、画像情報を加工して得られる輪郭情報から、撮像しているものの形状を検出する形状判定部5a、画像の信号レベルのコントラストを判定して、被写体の距離を判定する距離判定部5c、また、画像の特徴を調べて、主要被写体の位置を検出する顔検出部5dなどが含まれている。これは、写真撮影時に、ユーザーがどのような写真を撮ろうとしているかを判定して、撮影制御を最適化するためのものである。
【0034】
このうち距離判定部5cは、前述した画像のコントラストを判定する機能を有し、撮影レンズのピント合わせ手段との連動で、オートフォーカスの制御を行う。撮影レンズ2のピント合わせ時のレンズ位置の情報によって、被写体の距離や、背景の距離などが判定できる。ただし、凝った写真撮影を楽しもうとすれば、このように自動で、いろいろな制御が決められるだけではなく、前述のように、露出やピント、ズーム制御などの操作をユーザーがマニュアルで行った方が好ましい状況もある。しかし、このような撮影は、なかなか簡単に習熟できず、先生の指導が上達の早道である。
【0035】
また、カメラ10aには、圧縮部6、記録部9a、記録メディア9、外部通信9b、師弟関係記録部9c、表示パネル8、表示制御部8a及びマルチ画像処理部8bが設けられている。圧縮部6は、撮影時に画像処理部5から出力された信号を圧縮する。圧縮部6内には、MPEG(Moving Picture Experts Group)4やH.264などの圧縮用コア部で構成される動画用の圧縮部及び JPEG(Joint
Photographic Experts Group)コア部など静止画像用の圧縮部が設けられる。また、圧縮部6は記録メディア9に記録されている画像を表示パネル8に再生する際には、画像伸張も行なう。
【0036】
記録部9aは、圧縮された画像信号を記録メディア9に記録する。記録メディア9はカメラに着脱可能な保存用の記録媒体である。また記録部9a内には、後述するように、カメラを使用する者が、指導者(講師・先生)であるか、生徒であるかの設定を記録する師弟関係記録部9cが設けられている。
【0037】
表示パネル8は、例えば液晶や有機EL等から構成され、撮影時には観察用に被写体画像を表示し、再生時には伸張処理された記録画像を表示する。表示制御部8aは、表示パネル8への表示を制御する。マルチ画像処理部8bは、表示パネル8に、複数の画像を表示するための画像処理部であり、前述したように指導者からの撮影アドバイス(アシスト情報)が表示される。
【0038】
カメラ10aには、補助光発光部11、演算制御部としてのMPU(Micro Processing Unit)1、各種スイッチであるスイッチ1a〜1c(実際には、3以上のスイッチから構成されている)が設けられる。補助光発光部11は、白色LEDやXe放電発光管を有し、電流量で光量が制御できるようになっている。状況に応じて被写体20に光を照射して、明るさの不足や不均一な明るさを防止する。この補助光発光部11による発光制御もマニュアル制御できるようにしてもよい。
【0039】
MPU1は、カメラ全体の制御を司る制御手段である。スイッチ1a〜1cおよびプログラム等を記憶したROM(不図示)またはフラッシュメモリ(不図示)が、MPU1に接続される。カメラのユーザーの操作はスイッチ1a〜1cの状態によって検出され、MPU1がそれを判定し、各マニュアル操作を各機構に反映させ、撮影時に各ブロックをシーケンシャルに制御する。これらのスイッチ1a〜1cの操作に従って、撮影/再生のモードの切換や撮影モードの切換なども行える。また、MPU1は撮影時には、AF制御部2aや絞り制御部2c等の制御を行う撮影制御部として機能する。
【0040】
さらに、このスイッチ1a〜1cの操作によって、指導者が使用する第2のカメラ10bで、生徒が使用する第1のカメラ10aの制御を可能としている。すなわち、スイッチ1a〜1cの操作によって、師弟関係の設定操作を、外部送信部9bを介して送受信し、この師弟関係を受信したカメラの制御部(MPU1)が、これを実際の画像処理や、各機能の制御に反映する。このように、指導者が使用する第2のカメラ10bと生徒が使用する第1のカメラ10aは同様の構成ながら、画像が送信される方向と操作が送信される方向によって、その働きは異なるので、どちらがどの働きをするかを、前述の師弟関係記録部9cに記録する。
【0041】
MPU1内には、時刻を検出するための時計1tが設けられており、写真の撮影日時を検出し、撮影画像と関連付けを行う。また、MPU1内には、スイッチ1a〜1cの一部または全部の操作を禁止する操作禁止部1dが設けられている。また、外部通信部9bは、第2のカメラ10bと送受信するための通信部であり、表示パネル8に表示されるスルー画の画像や、また露出制御値、被写体距離等の各種撮影情報を送受信可能である。
【0042】
次に、図1のように構成された第1のカメラ10aと第2のカメラ10bの操作法について、図3を用いて説明する。生徒が使用する第1のカメラ10aを用いて、撮影しようとしている画像は、第1のカメラ10aの表示パネル8にスルー画表示される。このときのスルー画は、外部通信部9bを介して第2のカメラ10bにも送信され、表示される。第2のカメラ10bは指導者(講師、先生)が使用しており、生徒がどんな構図(画角)、どんなピント位置、どんな露出補正で撮影しようとしているかを、確認することができる。
【0043】
指導者は生徒にもっと大きく写した方が良いという指示を出す場合には、その旨を第2のカメラ10bのズーム操作を行うことによって指示する。これによって、生徒の第1のカメラ10aの表示パネル8には、その旨を表わす枠表示8cが出るので、生徒は、もっと近づいたり、ズーミングしたりすることによって、先生の指示に従うことができる。
【0044】
また、指導者は、所定のメッセージを選んで、送るようにしてもよい。このような操作は、指導者は第2のカメラ10bの十字キー等のスイッチ1bなどを操作したり、ズームスイッチ(不図示)を操作する等により行う。また、生徒が合わせようとしているピントの位置が好ましくない場合は、カーソル表示8dなどを送信し、ピント合わせの場所などを指定する。
【0045】
指導者から撮影アドバイスが送信された際に、生徒が他の操作をしたりすると、先生の指示が正しく反映されないので、操作禁止部1dは、指導者が指示した状態で、生徒の画面が変化しないようにしたり、生徒の操作を受け付けないようにしている。
【0046】
次に、第1のカメラ10aや第2のカメラ10bにおける動作について、図4に示す制御フローチャートに用いて説明する。まず、撮影を行うか否かの判定を行なう(S1)。撮影か否かはレリーズ釦の状態を検出することにより行い、全押しされていた場合には、撮影と判定される。判定の結果、撮影である場合に、ステップS2に進み、撮影を行う。撮影動作では、第1のカメラ10aまたは第2のカメラ10bは、撮像素子3によって画像信号を取得し、この画像信号に基づく画像データを記録メディア9に記録する。
【0047】
次に、ステップS1において、撮影ではなかった場合、続いて再生モードが選択されているか否かの判定を行なう(S11)。再生モードが選択されていた場合には、再生表示を行う(S12)。この再生表示では、記録メディア9に記録されている画像データを表示パネル8に表示を行う。
【0048】
ステップS11において、再生モードが選択されていないと判定された場合には、ステップS21において、指導者が生徒を指導するか否かの判定を行なう(S21)。カメラは、指導者用として動作するか生徒用として動作するかを事前に設定しており、この設定結果は、師弟関係記録部9cに記憶されている。指導者用として記憶されている場合には、第2のカメラ10bとして動作する。そして、指導を行なう場合には、スイッチを操作して、その旨を設定する。
【0049】
ステップS21における判定の結果、指導を行なう状態ではなかった場合には、スルー画表示(ライブビュー)を行なう(S31)。このステップでは、前述したように、撮影前に構図や撮影効果を確認するため、撮像素子3による撮像結果を用いてスルー画表示する。
【0050】
ステップS21における判定の結果、指導者が生徒を指導する場合は、ステップS21をYesに分岐して、生徒の画像を取得する(S22)。このステップでは第1のカメラ10aに画像送信を促して、第1のカメラ10aからの無線信号(電波や赤外線)による画像信号を受信し、表示パネル8に表示する。この受信画像を指導者が観察し、撮影アドバイスが必要であれば、図3を用いて説明したような指示操作を行い(S23)、この操作結果に基づく撮影アシスト情報が第1のカメラ10aに送信される(S24)。なお、この操作結果送信のサブルーチンについては、図5を用いて後述する。
【0051】
ステップS31において、スルー画(ライブビュー)表示を行うと、続いて、指導者からステップS22における撮影アドバイスのための画像送信要求がなされたか否かの判定を行なう(S32)。画像送信要求があった場合には、生徒が使用する第1のカメラ10aは、スルー画表示と同じ画像の送信を行う(S33)。
【0052】
次に、指導者の指導があるか否かの判定を行う(S34)。このステップでは、ステップS23およびS24において、指導者が撮影アドバイスとして操作結果に基づく撮影アシスト情報を送信し、この情報を受信したか否かを判定するものである。判定の結果、指導がある場合には、第1のカメラ10aは、操作禁止部1dによって生徒の操作を受け付けないようにし、表示パネル8の画面もそのまま固定にする(S35)。ただし、指導者の指示を実行するための操作については、操作を禁止せず、操作を許容する。この状態で、生徒は第1のカメラ10aを操作して、撮影制御を行う(S36)。
【0053】
なお、ステップS35における操作禁止は、指導者から撮影アドバイスのための指導信号を受信した時点で、生徒の使用する第1のカメラ10aのMPU1が判断し、操作部材の入力とそれに伴うカメラ制御を禁止するものである。この操作禁止は、指導者からの撮影アシスト情報に基づく表示を数秒間のみ行った後に解除する。また、生徒の使用する第1のカメラ10aに設けたスイッチによって、生徒が撮影アドバイスを納得した時点で、そのスイッチを操作することにより解除するようにしても良い。
【0054】
さらに、特別のスイッチを設けなくとも、第1のカメラ10aの画像信号をモニタし、これが十秒程度の期間にわたって、大きく変化した場合には操作禁止を解除するようにMPU1の制御をプログラムしておいても良い。この場合には、生徒が第1のカメラ10aを振れば画像が変化して、操作禁止を解除することができる。
【0055】
次に、ステップS24における操作結果送信について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。このサブルーチンは、前述したように指導者による撮影アシスト情報を生徒に送信するためのルーチンである。まず、指導者が第2のカメラ10bのズーム操作を行ったか否かの判定を行う(S41)。判定の結果、ズーム操作を行った場合には、枠表示8cの切り替えを行い(S44)、この旨を撮影アシスト情報として、第1のカメラ10aに送信する(S47)。
【0056】
これらのステップS41、S44、S47を実行することにより、撮影アシスト情報を生徒の第1のカメラ10aに表示することができる。例えば、もっと大きく撮るよう指示するときは、第2のカメラ10bをズームアップ操作することにより、生徒が使用する第1のカメラ10aの表示パネル8の画面内の枠表示8cが小さくなって、その枠内でいっぱいに写すよう、生徒に撮影アシスト情報を図示で伝えることができる。生徒は、それを見て、ズームアップしたり、被写体に近づいたりすれば良い。もっとワイドにした方が良いときは、枠では表示できないので、指導者の操作が「広角にせよ」などの文字表示で表現されてもよい。
【0057】
ステップS41の判定の結果、ズーム操作でない場合には、続いて、露出補正を行っているかを判定する(S42)。指導者が露出補正を薦める時には、第2のカメラ10bの露出補正を行ない、判定の結果、露出補正を検出した場合には、画面の明暗を行い(S45)、続いて、この旨を第1のカメラ10aに送信する(S47)。
【0058】
例えば、指導者が第2のカメラ10bの露出補正操作部材をマイナス側に補正した場合は、その旨を撮影アシスト情報として第1のカメラ10aに送信し、表示パネル8の表示画像を暗くする。生徒は、それを見て、露出の合わせ方を変更し、先生の撮影アドバイスに沿った撮影を行う。
【0059】
ステップS42の判定の結果、露出補正動作ではない場合には、続いて、カーソル操作を行っているかを判定する(S43)。指導者がピント合わせについて撮影アドバイスを行う場合には、十字キーなどでカーソル操作を行う。判定の結果、カーソル操作がなされている場合には、カーソル移動を行い(S46)、続いて、この旨を第1のカメラ10aに送信する(S47)。
【0060】
これらのステップS43、S46、S47によって、ピント位置などの変更を、カーソル表示によって行ない、十字キーなどで指示した位置に、生徒はピント合わせ操作を行えばよい。これによって、例えば、マクロの写真撮影で、ピントが合った部分とぼけた部分をどう配分するかなどが、指導者の撮影アドバイスで、自信を持って判断し、決定することが可能となる。
【0061】
これらのステップを終えると元のルーチンに戻るが、指導者がズーム処理、露出補正処理、およびカーソル処理を行なうたびに、この図5に示す操作結果送信のサブルーチンを実行し、生徒に撮影アドバイスを伝えることができる。
【0062】
以上の如く、本実施形態においては、撮影をアシストするための外部機器であるカメラ10aまたは10bと双方向通信しながら、外部機器であるカメラ10aまたは10bから撮影のためのアシスト情報を受信して撮影を行う。被写体20を撮影してこの撮影した画像を表す画像データを生成する撮像素子3等を含む撮像部と、画像データを外部機器に送信する外部通信部9bと、外部機器による送信されたアシスト情報を表示する表示パネル8等で構成される表示部と、アシスト情報に従って撮影者が操作可能なスイッチ1a〜1c等の操作部を備えている。このため、撮影者が指導者(講師、先生)より適切なアドバイスを受けながら撮影テクニックを容易に学ぶことが可能となる。つまり、生徒の使用する第1のカメラ10aにおける観察画像を、指導者の使用する第2のカメラ10bで観察し、撮影アドバイスを第1のカメラ10aにフィードバックしているので、生徒は指導者よりリアルタイムで指導を受けることができる。
【0063】
また、本実施形態においては、生徒の使用する第1のカメラ10aは、撮影アドバイスを受けると、撮影アドバイスを実行する操作以外は禁止される。撮影アドバイスとは異なる操作を行うと、指導者は撮影アドバイスがどのように活かされているかを確認することができなくなってしまうが、本実施形態では、操作禁止部1cを設けているので、このような不具合が生じない。
【0064】
さらに、本実施形態においては、撮影アドバイスを示すアシスト情報として、表示枠8cやカーソル表示8dおよび画面の明暗等、文字を用いずに図形等で表示している場合には、直感的に、アシスト情報を理解することができ、分かりやすいという効果がある。
【0065】
なお、本実施形態においては、撮像装置として、デジタルカメラに適用した例で説明したが、デジタルカメラとしては、所謂デジタル一眼レフカメラやコンパクトカメラのいずれにも適用でき、またデジタルカメラに限らず、デジタル画像用ビュワーや、画面付きストレージ、携帯電話などにも適用できる。画像を撮像し、記録するだけのものに限らず、情報を取得するための情報機器にも適用できる。特に指導者用の第2のカメラ10bは、一般的なデジタルカメラである必要はない。
【0066】
また、本実施形態においては、指導者用の第2のカメラ10bから生徒用の第1のカメラ10aに対して指導する際に画像送信の送信を要求していたが(図4のS22)、これに限らず、生徒用の第1のカメラ10aから画像を送信し、指導を要求するように構成しても勿論構わない。
【0067】
さらに、指導者用の第2のカメラ10bには、生徒用の第1のカメラ10aから画像を送信し、これを基に指導者は撮影アドバイスを送っていたが、情報としては画像に限らず、露出制御値、被写体距離等の各種撮影情報をも取得し、これらの情報を総合的に判断して、撮影アドバイスをするようにしても勿論構わない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係わるデジタルカメラとその撮影システムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わる撮影システムの使用状態を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態において第1のカメラ10aと第2のカメラ10bの操作法を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態において、デジタルカメラのカメラ制御を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態において、操作結果送信のサブルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1・・・MPU、1a・・・スイッチ、1b・・・スイッチ、1c・・・スイッチ、1d・・・操作禁止部、1t・・・時計、2・・・撮影レンズ、2a・・・AF(オートフォーカス)制御部、2b・・・絞り、3・・・撮像素子、4・・・アナログフロントエンド(アナログフロントエンド)部、5・・・画像処理部、5a・・・形状判定部、5b・・・増感部、5c・・・距離判定部、5d・・・顔検出部、6・・・圧縮部、8・・・表示パネル、8a・・・表示制御部、8b・・・マルチ画像部、8c・・・表示枠、8d・・・カーソル表示、9・・・記録メディア、9a・・・記録部、9b・・・外部送信部、9c・・・指摘関係記録部、10a・・・第1のカメラ、10b・・・第2のカメラ、11・・・補助光発光部、20・・・被写体、31a・・・第1のユーザー、31b・・・第2のユーザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影をアシストするための外部機器と双方向通信しながら、上記外部機器から撮影のためのアシスト情報を受信して撮影を行う撮像装置であって、
被写体を撮影してこの撮影した画像を表す画像データを生成する撮像部と、
上記画像データを上記外部機器に送信する送信部と、
上記外部機器による送信された上記アシスト情報を表示する表示部と、
上記アシスト情報に従って撮影者が操作可能な操作部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記撮像装置は、さらに上記外部機器から上記アシスト情報を受けている所定の期間、撮影のための操作を禁止するための撮影操作制御部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記外部機器は上記アシスト情報を表示する表示部を備え、上記撮像装置側の表示部に上記外部機器のアシスト情報を表示するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記表示部は、上記アシスト情報を枠表示、カーソル表示もしくは画像の明暗で表示することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
上記表示部は、上記撮像部で生成された上記画像データをスルー画表示すると共に、この画像データを上記外部機器に送信することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
上記外部機器からの画像送信要求に応じて上記画像データを送信することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮影をアシストするための外部機器と双方向通信しながら、撮影した画像に対して上記外部機器から撮影のためのアシスト情報を受信して撮影を行う撮像方法であって、
被写体を撮影してこの撮影した画像を表す画像データを生成するステップと、
上記画像データを上記外部機器に送信するステップと、
上記外部機器により送信された上記アシスト情報を表示するステップと、
上記アシスト情報に基づいて撮影者が操作するステップと、
を備えたことを特徴とする撮像方法。
【請求項8】
光電変換され画像に関する画像データを外部機器から受信する受信部と、
この受信部によって受信した上記画像データを表示する表示部と、
この表示部に表示された画像に基づいて撮影をアシストするためのアシスト情報を生成するための操作部と、
この操作部の操作によって生成された上記アシスト情報を上記外部機器に送信する送信部と、
を備えることを特徴とする情報機器。
【請求項9】
上記外部機器に上記画像データの送信を要求し、この要求に応じて送信された上記画像データに基づいて上記アシスト情報を生成することを特徴とする請求項8に記載の情報機器。
【請求項10】
上記外部機器とは、無線通信もしくは赤外線通信によって、上記受信および上記送信を行なうことを特徴とする請求項8に記載の情報機器。
【請求項11】
さらに焦点距離の変更を指示する指示部材を有し、この指示に応じて、上記外部機器は枠表示を変更することを特徴とする請求項8に記載の情報機器。
【請求項12】
さらに露出補正の変更を指示する指示部材を有し、この指示に応じて、上記外部機器は画像の明暗を変更することを特徴とする請求項8に記載の情報機器。
【請求項13】
さらにカーソルの位置を変更する操作部材を有し、この操作に応じて、上記外部機器はカーソル表示を行うことを特徴とする請求項8に記載の情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−258718(P2008−258718A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96173(P2007−96173)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】