説明

撮像装置および内視鏡診断装置

【課題】辺縁部分に注目する部分が存在する場合であっても、画像の明るさを適切な明るさに調整することができ、また、マスクを複数有する場合であっても、マスクに応じて、画像の明るさを適切な明るさに調整する。
【解決手段】入力指示に応じてマスクを選択設定するマスク選択設定部と、ハレーション軽減強度を選択する強度選択部とを有し、撮影画像の中央を含む第1部分と辺縁寄りの第2部分との輝度比を求め、撮影画像の平均輝度およびピーク輝度を、輝度比に応じた重み係数を用いて混合して、撮影画像の全体的な明るさを表す測光値を求め、この測光値に基づいて撮影画像の明るさを調整するものであり、かつ、選択されたマスクとハレーション軽減強度との組み合わせに応じてあらかじめ設定された、ピーク輝度の算出条件、および、重み係数の設定条件に応じて、前記測光値を求めることにより前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮影して撮影画像を得る撮像装置およびこの撮像装置を備える内視鏡診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療の分野においては、先端にCCDなどが取り付けられた細長い管を被検体の体内に挿入し、被検体の体内を撮影して腫瘍や血栓などを観察する内視鏡装置が広く利用されている。このような内視鏡診断装置によれば、被検体の体内を直接撮影することによって、被検体に外的なダメージを与えることなく、放射線画像では分かりにくい病巣の色や形状などを把握することができ、治療方針の決定などに必要な情報を手軽に得ることができる。
【0003】
このような内視鏡診断装置では、被検体の体内を照らし、その照明下で撮影が行われる。ここで、撮影画像が暗過ぎる、あるいは撮影画像中にハレーションが発生している等といった照明上の不具合が生じていると、撮影画像に基づいて行われる医師の診断の大きな妨げとなってしまう。そこで、撮影画像におけるこのような不具合を回避するために、撮影画像を解析することでその撮影画像の明るさを測り、被検体の体内を照らす照明を、この得られた明るさに基づいて適切な照明に自動的に調整するという技術が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、撮影画像の中央を含んだ第1部分における明るさと、撮影画像中で辺縁寄りの第2部分における明るさとを比較する比較部と、撮影画像の平均的な明るさと、撮影画像中の高輝度部分における明るさとを、比較部での比較において、第1部分の明るさが第2部分の明るさよりも明るいほど高輝度部分の明るさに対する重みを重くして混合することで撮影画像の全体的な明るさを測る測光部と、測光部によって測られた明るさに基づいて、撮影画像の明るさに影響する撮影条件を調整する条件調整部とを有する撮影装置が記載されている。
【0005】
この特許文献1においては、画像中央部分での明るさと、周辺部分での明るさとを比較して、この比較結果に応じた重みを用いて、画像全体での平均輝度と高輝度とを混合することにより、医師が診断のために注目している部分、すなわち、画像中央部分の明るさを適切な明るさに自動的に調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−60237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、診断の目的によっては、医師が注目する部分が、画像の中央部分ではなく、辺縁部分に存在する場合もある。このような場合には、医師が診断のために注目している部分の明るさを適切な明るさに自動的に調整することができないおそれがある。
【0008】
また、内視鏡診断装置での撮影は、基本的に、被検体の略筒状の体内を撮影するものであるので、被検体を撮影するCCD等と被検体との距離は、中央部分に比べて、辺縁部分が近くなる場合が多い。そのため、辺縁部分では、中央部分に比べて、被検体からの反射光が大きくなり、辺縁部分でのハレーションが発生する場合が多い。
そのため、特許文献1のように、画像中央部分の明るさが適切な明るさになるように調整した場合は、周辺部分でハレーションが発生してしまうおそれがある。医師が診断のために注目している部分が、画像の中央部分に存在する場合は、辺縁部分でハレーションが発生した場合でも、医師が診断のために注目している部分は適切な明るさに調整されている。しかしながら、辺縁部分であっても、ハレーションが発生していると、医師にとっては不快な画像となり、医師の診断の妨げとなるおそれもある。
【0009】
また、撮像装置において、撮影した画像を表示する際には、画像の表示領域を規定するマスクを使用する場合がある。マスクを複数種類有し、いずれかを選択して使用する場合は、マスクの形状によって、表示される領域が異なる。同じ画像であっても、表示領域が異なる場合は、適切な明るさも変わってくる。例えば、ハレーションが起きやすい辺縁部分が表示されないマスクを用いる場合には、辺縁部分でハレーションが起きても問題ないので、照明による明るさがより明るくなるように調整することが好ましい。しかしながら、特許文献1のような装置では、マスクに応じて明るさを調整することができないという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解消し、辺縁部分に注目する部分が存在する場合であっても、画像の明るさを適切な明るさに調整することができ、また、マスクを複数有する場合であっても、マスクに応じて、画像の明るさを適切な明るさに調整することができる撮像装置および内視鏡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は、固体撮像素子によって画像を撮影する撮影装置であって、撮影した撮影画像を表示する際の表示領域を規定するマスクを複数有し、入力指示に応じて選択して設定するマスク選択設定部と、前記撮影画像を表示する際におけるハレーション軽減強度を選択する強度選択部と、前記撮影画像の全体的な明るさを表す測光値を求める測光手段とを有し、前記測光手段は、前記撮影画像の中央を含んだ第1部分における明るさと、この第1部分に対し前記撮影画像中で辺縁寄りの第2部分における明るさとを比較し、前記第1部分と前記第2部分との輝度比を求め、前記撮影画像の平均輝度およびピーク輝度を算出し、前記平均輝度と前記ピーク輝度とを、前記輝度比に応じて、前記第1部分の明るさが前記第2部分の明るさよりも明るいほど前記ピーク輝度に対する重みを重くした重み係数を用いて混合することで、前記撮影画像の全体的な明るさを表す測光値を求め、この測光値に基づいて、撮影画像の明るさに影響する撮影条件を調整するものであり、かつ、前記選択されたマスクとハレーション軽減強度との組み合わせに応じてあらかじめ設定された、ピーク輝度の算出条件、および、重み係数の設定条件に応じて、前記測光値を求めることを特徴とする撮像装置を提供する。
【0012】
ここで、前記マスクとして、少なくとも、固体撮像素子の撮影領域の4隅をマスキングするマスクと、固体撮像素子の対向する1つの両端部の所定領域をマスキングするマスクとを有することが好ましい。
また、前記ピーク輝度の算出条件は、ハレーションの軽減強度が強いほど、前記ピーク輝度が高くなるように設定されていることが好ましい。
また、前記ピーク輝度の算出条件は、前記マスクの視野角が大きいほど、前記ピーク輝度が高くなるように設定されていることが好ましい。
【0013】
また、前記重み係数の算出条件は、ハレーションの軽減強度が強いほど、前記ピーク輝度に対する重みが重くなるように設定されていることが好ましい。
また、前記重み係数の算出条件は、前記マスクの視野角が大きいほど、前記ピーク輝度に対する重みが重くなるように設定されていることが好ましい。
また、前記第1部分の明るさが、前記第1部分でのピーク輝度であり、前記第2部分の明るさが、前記第2部分でのピーク輝度であることが好ましい。
【0014】
また、前記撮影画像全体に対する前記第1部分の面積の比を、25〜50%程度とすることが好ましい。
また、撮影する領域を照明するための光源を有し、光源から撮影領域までの光路上のいずれかで、前記光路を通過する光の量を調整することにより、前記撮影画像の明るさに影響する撮影条件を調整することが好ましい。
また、前記目的を達成するために、本発明は、上記撮像装置を備える内視鏡診断装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明によれば、入力指示に応じてマスクを選択して設定するマスク選択設定部と、ハレーション軽減強度を選択する強度選択部とを有し、撮影画像の中央を含んだ第1部分と辺縁寄りの第2部分との輝度比を求め、撮影画像の平均輝度およびピーク輝度を、輝度比に応じた重み係数を用いて混合して、撮影画像の全体的な明るさを表す測光値を求め、この測光値に基づいて、撮影画像の明るさに影響する撮影条件を調整するものであり、かつ、選択されたマスクとハレーション軽減強度との組み合わせに応じてあらかじめ設定された、ピーク輝度の算出条件、および、重み係数の設定条件に応じて、前記測光値を求めるので、辺縁部分に注目する部分が存在する場合であっても、画像の明るさを適切な明るさに調整することができ、また、マスクを複数有する場合であっても、マスクに応じて、画像の明るさを適切な明るさに調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る内視鏡診断装置の構成を表す一実施形態の外観図である。
【図2】図1に示す内視鏡診断装置の内部構成を表すブロック図である。
【図3】図1に示す内視鏡診断装置の一部の構成を表すブロック図である。
【図4】(A)および(B)は、本発明の内視鏡診断装置に用いられるマスクの一例を概念的に示す図である。
【図5】(A)は、静止画像Gを模式的に示す図であり、(B)は、画像中央部ヒストグラムを示す模式図であり、(C)は、画像辺縁部ヒストグラムを示す模式図であり、(D)は、画像全体ヒストグラムとを示す模式図である。
【図6】辺縁ピーク輝度Yshに対する中央ピーク輝度Ychの比(Ych/Ysh)と重みWpとの対応関係を表わすグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明に係る撮像装置および内視鏡診断装置を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る内視鏡診断装置の構成を表す一実施形態の外観図、図2は、その内部構成を表すブロック図である。これらの図に示すように、内視鏡診断装置10は、照明光を発生する光源装置14と、光源装置14から発せられる照明光を導光し、導光した照明光を被検体の被観察領域に照射し、その反射光を撮像して画像信号を出力する内視鏡装置12と、内視鏡装置12により撮像された画像を画像処理して照明光に対応する内視鏡画像等を出力するプロセッサ装置16と、プロセッサ装置16によって画像処理して得られた内視鏡画像等を表示する表示装置18と、入力操作を受け付ける入力装置20とによって構成されている。
【0019】
入力装置20は、撮影メニュー、撮影条件などを設定し、被検体の撮像を指示する部位である。入力装置20には、撮影メニュー、撮影条件などを設定するための入力キーや、撮影の指示手段が設けられる。
ここで、本発明に係る内視鏡診断撮影装置においては、撮影画像を表示装置18に表示する際の、表示領域を規定するマスクを2種類有しており、いずれかを選択することができる。また、光源装置14から発せられる照明光の光量を調整して、表示装置18に表示される撮影画像に発生するハレーションを軽減するための、ハレーション軽減強度を選択することができる。これらの点については、後に詳述する。
入力装置20は、このマスクおよびハレーション軽減強度を選択、設定するための指示を入力するためのものである。
入力装置20は、入力された指示に基づいて、指示信号を制御部52に供給する。
【0020】
内視鏡装置12は、被検体内に挿入される内視鏡挿入部22の先端から照明光を出射する照明光学系と、被観察領域を撮像する撮像光学系とを有する、電子内視鏡である。内視鏡装置12は、内視鏡挿入部22と、内視鏡挿入部22の先端の湾曲操作や観察のための操作を行う操作部24と、内視鏡装置12を光源装置14およびプロセッサ装置16に着脱自在に接続するコネクタ部26A,26Bとを備えている。
【0021】
内視鏡挿入部22は、可撓性を持つ軟性部28と、湾曲部30と、先端部(以降、内視鏡先端部とも呼称する)32とから構成されている。
【0022】
湾曲部30は、軟性部28と先端部32との間に設けられ、操作部24に配置されたアングルノブ34の回動操作により湾曲自在に構成されている。この湾曲部30は、内視鏡装置12が使用される被検体の部位等に応じて、任意の方向、任意の角度に湾曲でき、内視鏡先端部32の照射口36及び撮像素子38の観察方向を、所望の観察部位に向けることができる。
【0023】
内視鏡先端部32には、図2に示すように、被観察領域へ光を照射する照射口36と、被観察領域からの反射光を撮像する観察窓40が配置されている。
【0024】
照射口36の奥には、レンズ46等の光学系が取り付けられ、さらにその奥に、ライトガイドとしての光ファイバ42が収納されている。光ファイバ42は、光源装置14からコネクタ部26Aを介して内視鏡先端部32まで敷設されている。
【0025】
光源装置14から発せられる光が、光ファイバ42によって内視鏡先端部32まで導かれ、レンズ46を介して照射口36から被検体の被観察領域に照射される。
このとき、光源装置14から発せられる光は、後述するプロセッサ装置16による測光結果に基づいて、適切な明るさに調整されている。
【0026】
観察窓40の奥には、被検体の被観察領域の像光を取り込むための対物レンズユニット44等の光学系が取り付けられ、さらにその奥には、被観察領域の画像情報を取得するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子38が取り付けられている。
【0027】
光が照射された被検体の被観察領域からの反射光が対物レンズユニット44により集光され、撮像素子38によって白色光画像が撮像される。
【0028】
撮像素子38から出力される画像の撮像信号(アナログ信号)は、スコープケーブル48を通じてA/D変換器50に入力される。A/D変換器50は、撮像素子38からの撮像信号(アナログ信号)を画像信号(デジタル信号)に変換する。変換後の画像信号は、コネクタ部26Bを介してプロセッサ装置16の画像処理手段54に入力される。
【0029】
なお、図示はしていないが、操作部24及び内視鏡挿入部22の内部には、組織採取用処置具等を挿入する鉗子チャンネルや、送気・送水用のチャンネル等、各種のチャンネルが設けられている。
【0030】
図3は、図1に示す内視鏡診断装置の一部の構成を表すブロック図である。
プロセッサ装置16は、制御部52と、画像処理手段54と、記憶部56とを備えている。制御部52には、表示装置18および入力装置20が接続されている。プロセッサ装置16は、入力装置20から入力される指示に基づき、内視鏡装置12から入力される画像信号を画像処理し、表示用画像を生成して表示装置18に出力するとともに、画像処理手段54の測光手段60が算出した、画像の明るさを示す測光値に基づいて、光源装置14を制御する。
【0031】
制御部52は、入力装置20からの指示に基づいて、画像処理手段54および光源装置14の動作を制御する。
また、制御部52は、撮影画像を表示装置18に表示するように制御する。撮影画像を表示装置18に表示する際には、マスク選択部70から供給されるマスクに応じて、表示領域を規定(マスキング)する。
また、制御部52は、画像処理手段54から供給される測光値に応じて、光源装置14の動作を制御する。
また、本実施例においては、入力装置20において、撮影画像を表示装置18に表示する際の、表示領域を規定するマスクと、ハレーション軽減強度とを選択する指示が入力されるので、マスクの選択指示と、ハレーション軽減強度の指示を、画像処理手段54に供給する。
【0032】
画像処理手段54は、制御部52の制御の基で、内視鏡装置12から入力される画像信号に対して所定の画像処理を施す。画像処理手段54で処理された画像信号は、制御部52に送られて、制御部52で各種情報と共に内視鏡観察画像にされて表示装置18に表示され、必要に応じて、メモリやストレージ装置からなる記憶部56に記憶される。
また、画像処理手段54は、撮影された画像の明るさを測定して測光値を求める。画像処理手段54が求めた測光値は、制御部52に送られて、制御部52は、測光値に応じて、光源装置14を制御する。
【0033】
画像処理手段54は、画像処理部58と、測光手段60とを有している。
A/D変換器50によりデジタル信号に変換された動画の画像信号が、画像処理部58に供給される。また、A/D変換器50によりデジタル信号に変換された動画の画像信号を構成する複数コマの静止画像の中から適宜に1つの静止画像が抽出され、測光手段60のヒストグラム作成手段62に供給される。
【0034】
画像処理部58は、供給された動画の画像信号に対して、所定の画像処理を施し、処理済みの動画の画像信号を出力する。画像処理としては、例えば、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、輪郭強調、色補正等が含まれる。
画像処理部58は、処理済の動画の画像信号を制御部52に供給する。制御部52により、処理済みの動画の画像信号が表示装置18に表示される。
また、処理済みの動画の画像信号は、例えば、1枚(1フレーム)の画像を単位として記憶部56に記憶される。
【0035】
測光手段60は、撮影された画像の明るさを測定して測光値を求める部位である。
測光手段60は、ヒストグラム作成手段62、明るさ比較手段64、測光値算出手段66、強度設定部68、マスク選択部70、および、マスク記憶部72を有している。
【0036】
マスク記憶部72は、表示装置18に画像(動画)を表示する際に、表示領域を規定するためのマスクを、複数、記憶するための部位である。マスク記憶部72が記憶するマスクは、電子的なマスキングを行なうためのものであり、表示領域以外の画像のデータが、表示装置18に表示されないように、制御部52において、動画の画像信号に対してマスキングを行なう。
本実施例においては、マスク記憶部72は、図4に示す2種類のマスクを記憶している。
図4(A)に概念的に示すマスクAは、画像の1組の対向する2辺側が、円弧状に表示されるマスクである。一方、図4(B)に概念的に示すマスクBは、画像の1組の対向する2辺側の、一定距離の領域が表示されない、矩形の表示領域を有するマスクである。
本発明の内視鏡診断装置10において、利用されるマスクの形状には特に限定はない。また、記憶するマスクの数にも限定はなく3以上であってもよい。
【0037】
マスク選択部70は、制御部52からの指示に応じて、マスク記憶部72に記憶されているマスクを読み出して、制御部52にマスクを供給する部位である。また、マスク選択部70は、選択したマスクの情報を測光値算出手段66のピーク輝度算出条件記憶部78と測光値算出条件記憶部80とに供給する。
【0038】
強度設定部68は、制御部52からの指示に応じて、ハレーションの軽減強度を設定するための部位である。具体的には、ハレーションを軽減する割合が弱いモード(弱モード)と、ハレーションを軽減する割合が強いモード(強モード)と、これらの中間のモード(中モード)とを有し、入力装置20による指示に応じて、いずれかのモードを選択する。
強度設定部68は、設定したハレーション軽減強度の情報を測光値算出手段66のピーク輝度算出条件記憶部78と測光値算出条件記憶部80とに供給する。
例えば、ハレーション軽減強度が強モードに設定されると、ハレーションが軽減される方向に、すなわち、光源装置14からの照明光の光量が小さくなる方向に、測光値が算出されるように、ピーク輝度算出条件記憶部78および測光値算出条件記憶部80において、ピーク輝度算出条件および測光値算出条件がそれぞれ選択される。この点に関しては、後に詳述する。
【0039】
なお、ハレーションの軽減強度のモードは3つに限定はされず、2つであってよく4以上であってもよい。
【0040】
ヒストグラム作成手段62は、供給された静止画像の各所の明るさについてヒストグラムを作成し、明るさ比較手段64および測光値算出手段66に供給するものである。
ヒストグラム作成手段62は、中央部ヒストグラム作成部62A、辺縁部ヒストグラム作成部62B、全体ヒストグラム作成部62Cとを有する。
【0041】
中央部ヒストグラム作成部62Aは、供給された静止画像の中央を含んだ中央部分についてのヒストグラム(画像中央部ヒストグラム)を作成するものである。
また、辺縁部ヒストグラム作成部62Bは、供給された静止画像の中央部分を囲む辺縁寄りの辺縁部分についてのヒストグラム(画像辺縁部ヒストグラム)を作成するものである。
また、全体ヒストグラム作成部62Cは、供給された静止画像の画像全体についてのヒストグラム(画像全体ヒストグラム)を作成するものである。
【0042】
図5は、画像中央部ヒストグラムと画像辺縁部ヒストグラムと画像全体ヒストグラムとを示す模式図である。
図5(A)には、静止画像Gが示され、さらに、その静止画像G中の中央を含む中央部分G1と、中央部分G1を囲む辺縁寄りの辺縁部分G2が示されている。ここで、中央部分G1が本発明にいう第1部分の一例に相当し、辺縁部分G2が本発明にいう第2部分の一例に相当する。
【0043】
図5(B)には、中央部分G1についてのヒストグラムである画像中央部ヒストグラムH1が示され、図5(C)には、辺縁部分G2についてのヒストグラムである画像辺縁部ヒストグラムH2が示され、図5(D)には、静止画像G全体についてのヒストグラムである画像全体ヒストグラムH3が模式的に示されている。この図4の例では、中央部分G1における明るさの分布が、辺縁部分G2における明るさの分布よりも暗い方に偏っている。
【0044】
中央部ヒストグラム作成部62Aが作成した画像中央部ヒストグラムH1は、明るさ比較手段64の中央明るさ算出部74Aに供給される。
また、辺縁部ヒストグラム作成部62Bが作成した画像辺縁部ヒストグラムH2は、明るさ比較手段64の辺縁明るさ算出部74Bに供給される。
また、全体ヒストグラム作成部62Cが作成した画像全体ヒストグラムH3は、測光値算出手段66の平均輝度算出部82Aおよびピーク輝度算出部82Bに供給される。
【0045】
なお、画像の中央部分G1の大きさには、特に限定はないが、画像全体に対する面積比を25〜50%程度とするのが好ましい。これにより、より好適に画像の明るさをより適切な明るさに調整することができる。
【0046】
また、画像の辺縁部分G2の大きさにも、特に限定はないが、画像全体に対する面積比を50〜75%程度とするのが好ましい。これにより、より好適に画像の明るさをより適切な明るさに調整することができる。
【0047】
また、図示例においては、第1部分および第2部分の各一例として、中央部分G1、および、この中央部分G1に隣接しかつ全周を囲む辺縁部分G2を例示したが、本発明はこれに限るものではない。本発明の第1部分および第2部分は、相互間に隙間があいているものであっても良く、また、第2部分が第1部分を囲むに当たって、周囲のうちの一部を欠いた状態で囲むものであっても良い。
【0048】
また、上記では、本発明にいう第1部分の一例として、矩形状の中央部分を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、本発明の第1部分は、例えば円形状や楕円形状であっても良く、あるいは三角形状や五角形状等といった矩形以外の多角形状等であっても良い。
【0049】
明るさ比較手段64は、ヒストグラム作成手段62から供給された画像中央部ヒストグラムH1と、画像辺縁部ヒストグラムH2とを用いて、静止画像の中央部での明るさと、辺縁部での明るさを比較するための部位である。
明るさ比較手段64は、中央明るさ算出部74Aと、辺縁明るさ算出部74Bと、比較部76とを有している。
【0050】
中央明るさ算出部74Aは、ヒストグラム作成手段62から供給された画像中央部ヒストグラムH1を使って中央部分G1中の高輝度部分における明るさを算出するものである。
中央明るさ算出部74Aは、図5(B)に示す画像中央部ヒストグラムH1において高輝度側から見て累積度数が10%となる輝度(中央ピーク輝度)Ychを、中央部分G1中の高輝度部分における明るさとして算出する。
中央明るさ算出部74Aは、算出した中央部分G1の明るさの情報(中央ピーク輝度Ych)を比較部76に供給する。
【0051】
辺縁明るさ算出部74Bは、ヒストグラム作成手段62から供給された画像辺縁部ヒストグラムH2を使って辺縁部分G2中の高輝度部分における明るさを算出するものである。
辺縁明るさ算出部74Bは、図5(C)に示す画像辺縁部ヒストグラムH2において高輝度側から見て累積度数が10%となる輝度(辺縁ピーク輝度)Yshを、辺縁部分G2中の高輝度部分における明るさとして算出する。
辺縁明るさ算出部74Bは、算出した辺縁部分G2の明るさの情報(辺縁ピーク輝度Ysh)を比較部76に供給する。
【0052】
なお、図示例においては、中央明るさ算出部74Aおよび辺縁明るさ算出部74Bは、高輝度側から見て累積度数が10%となる輝度(ピーク輝度)を、中央部分G1および辺縁部分G2の明るさとして算出したが、本発明はこれに限定はされず、平均輝度を明るさとして算出してもよい。
【0053】
比較部76は、中央明るさ算出部74Aおよび辺縁明るさ算出部74Bから供給された中央ピーク輝度Ychおよび辺縁ピーク輝度Yshを比較するための部位である。
比較部76は、中央ピーク輝度Ychおよび辺縁ピーク輝度Yshの比Ych/Yshを算出する。この比が大きいほど、辺縁部分G2に対して中央部分G1が明るいことを意味する。
比較部76は、算出した比(Ych/Ysh)を測光値算出手段66の測光値算出部84に供給する。
【0054】
測光値算出手段66は、全体ヒストグラム作成部から供給された画像全体ヒストグラムH3、および、比較部76から供給された比(Ych/Ysh)から測光値を算出する部位である。
測光値算出手段66は、ピーク輝度算出条件記憶部78、測光値算出条件記憶部80、平均輝度算出部82A、ピーク輝度算出部82Bおよび測光値算出部84とを有する。
測光値算出手段66は、算出した測光値を制御部52に供給する。
【0055】
ここで、測光値算出手段66が測光値を算出する際の算出条件であるピーク輝度の算出条件および測光値の算出条件(混合条件)は、マスクの選択に応じて、マスクの視野角が大きいほど、測光値が高くなるように設定されている。また、ハレーション軽減強度に応じて、ハレーションの軽減強度が強いほど、測光値が高くなるように設定されている。
【0056】
平均輝度算出部82Aは、ヒストグラム作成手段62から供給された画像全体ヒストグラムH3において、この画像全体ヒストグラムH3の曲線で囲まれた部分の面積を等分する輝度(全体平均輝度)Yaを、静止画像G中の平均的な明るさとして算出する。
平均輝度算出部82Aは、算出した全体平均輝度Yaを、測光値算出部84に供給する。
【0057】
ピーク輝度算出部82Bは、ヒストグラム作成手段62から供給された画像全体ヒストグラムH3において、高輝度側から見て累積度数がz%となる輝度(全体ピーク輝度)Ypを、静止画像G中の高輝度部分における明るさとして算出する。
ここで、全体ピーク輝度Ypを算出する際の、累積度数z%、すなわち、ピーク輝度の算出条件は、ピーク輝度算出条件記憶部78から供給される。
ピーク輝度算出部82Bは、算出した全体ピーク輝度Ypを測光値算出部84に供給する。
【0058】
ピーク輝度算出条件記憶部78は、ピーク輝度算出部82Bにおいて、ピーク輝度を算出する際の算出条件、すなわち、累積度数z%を設定するための部位である。
ピーク輝度算出条件記憶部78は、ピーク輝度を算出する際の算出条件を、ハレーション軽減強度およびマスクの種類に応じて、複数記憶している。
ピーク輝度算出条件記憶部78は、強度設定部68から供給されるハレーション軽減強度の設定情報、および、マスク選択部70から供給されるマスクの設定情報から、ピーク輝度を算出する際の算出条件を選択する。
ピーク輝度算出条件記憶部78は、選択したピーク輝度の算出条件をピーク輝度算出部82Bに供給する。
【0059】
ここで、表1にハレーション軽減強度およびマスクの種類と、累積度数zとの関係の一例を示す。
【0060】
【表1】

【0061】
表1に示すように、ピーク輝度算出条件記憶部78は、ハレーション軽減強度の設定が、強いほど、ピーク輝度が高く算出されるように、すなわち、累積度数zが小さい値となるように、累積度数zが設定されている。
ピーク輝度が高く算出されるほど、後述する測光値算出部84において測光値が高く算出される。測光値が高い場合、制御部52は、光源装置14が照射する光の光量が低くなるように、光源装置14を制御する。被検体に照射される光量が小さいほど、ハレーションが起きにくくなり、ハレーションの発生が軽減される。
【0062】
また、図4に示すマスクAおよびマスクBでは、マスクAの方が、視野角が大きく、表示領域が広い。従って、マスクAの方がマスクBよりも辺縁部でのハレーションが発生する可能性が高い。そのため、マスクAを選択した場合は、マスクBを選択した場合よりも累積度数zが小さい値となるように、累積度数zが設定されている。
【0063】
このように、ハレーション軽減強度の設定、および、マスクの選択に応じて、測光値を求める際のピーク輝度の算出条件を変更するので、辺縁部分に注目する部分が存在した場合であっても、医師が診断のために注目している部分の明るさを適切な明るさに自動的に調整することができ、また、マスクの形状によって、適切な明るさに自動的に調整することができる。
【0064】
測光値算出部84は、平均輝度算出部82Aから供給される全体平均輝度Ya、およびピーク輝度算出部82Bから供給される全体ピーク輝度Ypから測光値を算出する部位である。
測光値算出部84は、明るさ比較手段64の比較部76から供給される中央ピーク輝度Ychおよび辺縁ピーク輝度Yshの比Ych/Yshに応じて、全体平均輝度Yaと、全体ピーク輝度Ypとを混合して、静止画像Gの全体的な明るさである測光値を算出する。
【0065】
測光値算出部84は、重みWpを用いて、全体平均輝度Yaと全体ピーク輝度Ypとを式(1)に従って混合する。
測光値=重みWp×ピーク輝度Yp+(1−重みWp)×平均輝度Ya・・・(式1)
ここで、重みWpは混合に占めるピーク輝度Ypの割合であり、この重みWpが重いほど、求められた測光値が示す明るさにおいて高輝度部分の明るさが占める割合が高まり、逆に、重みWpが軽いほど平均的な明るさが占める割合が高まる。
【0066】
重みWpは、辺縁ピーク輝度Yshに対する中央ピーク輝度Ychの比(Ych/Ysh)から求められるものである。
具体的には、測光値算出部84は、図6に示すグラフから、比Ych/Yshに応じた重みWpを求める。図6は、辺縁ピーク輝度Yshに対する中央ピーク輝度Ychの比(Ych/Ysh)と重みWpとの対応関係を表わす対応関数を有しており、その対応関数に、比較部76から渡された比を代入することで重みを算出する。
【0067】
この図6のグラフでは、横軸に辺縁ピーク輝度Yshに対する中央ピーク輝度Ychの比(Ych/Ysh)がとられており、縦軸に重みWpがとられている。グラフ上の折れ線Lから分かるように、本実施形態では、辺縁部分G2が中央部分G1よりも圧倒的に明るいことを意味する「a」未満の比(Ych/Ysh)に対しては、重みWpは「x」(x<1)になり、逆に、中央部分G1が辺縁部分G2よりも圧倒的に明るいことを意味する「b」(a<b)を超える比(Ych/Ysh)に対しては、重みWpは「1.0」になる。また、「a」以上「b」以下の比(Ych/Ysh)に対しては、この比(Ych/Ysh)に比例して重みWpは「x」から「1.0」まで増加する。
【0068】
このような重みWpが上記の算出式に用いられることで、中央部分G1が辺縁部分G2に対して明るいほど重みWpが重くなり、測光値算出部84において算出式で求められる測光値が示す明るさに占める、静止画像G中の高輝度部分、即ち、明るさが集中している中央部分G1の明るさの割合が高まる。逆に、辺縁部分G2が中央部分G1に対して明るいほど重みWpは軽くなり、静止画像Gの平均的な明るさが占める割合が高まる。
【0069】
ここで、本発明においては、強度設定部68から供給されるハレーション軽減強度の設定情報、および、マスク選択部70から供給されるマスクの設定情報に基づいて、図6に示す、重みWpを求める際の折れ線Lの形状を変更する。
具体的には、図6のグラフに示す「x」、「a」、および、「b」の値を変更することにより、重みWpを求めるための折れ線Lの形状を変更する。
【0070】
表2にハレーション軽減強度およびマスクの種類と、折れ線Lの形状を示す「x」、「a」、「b」との関係の一例を示す。
【0071】
【表2】

【0072】
表2に示すように、測光値算出条件記憶部80は、ハレーション軽減強度の設定が、強いほど、重みWpが大きい値となるように、折れ線Lの形状を示す「x」、「a」、「b」が設定されている。
式1からわかるように、重みWpの値が大きいほど、ピーク輝度Ypの寄与が大きくなり、測光値が高く算出される。測光値が高い場合、制御部52は、光源装置14が照射する光の光量が低くなるように、光源装置14を制御する。被検体に照射される光量が小さいほど、ハレーションが起きにくくなり、ハレーションの発生が軽減される。
【0073】
また、図4に示すマスクAおよびマスクBでは、マスクAの方が、視野角が大きく、表示領域が広い。従って、マスクAの方がマスクBよりも辺縁部でのハレーションが発生する可能性が高い。そのため、マスクAを選択した場合は、マスクBを選択した場合よりも重みWpが大きい値となるように、折れ線Lの形状を示す「x」、「a」、「b」が設定されている。
【0074】
このように、測光値算出手段66が測光値を算出する際の算出条件である測光値の算出条件(重みWp)は、マスクの選択に応じて、マスクの視野角が大きいほど、測光値が高くなるように設定されている。また、ハレーション軽減強度に応じて、ハレーションの軽減強度が強いほど、測光値が高くなるように設定されている。
ハレーション軽減強度の設定、および、マスクの選択に応じて、測光値を求める際の重みWpの算出条件を変更するので、辺縁部分に注目する部分が存在した場合であっても、医師が診断のために注目している部分の明るさを適切な明るさに自動的に調整することができ、また、マスクの形状によって、適切な明るさに自動的に調整することができる。
【0075】
なお、重みWpを求める際の折れ線Lの形状は、図6に示す形状に限定はされず、中央部分G1が辺縁部分G2に対して明るいほど重みWpが重くなるように、重みWpが決定されればよい。
【0076】
測光値算出部84は、求めた測光値を、制御部52に、静止画像Gの全体的な明るさとして渡す。
【0077】
光源装置14は、被検体に照明光を照射するための部位である。
光源装置14は、光源86と、明るさ調整手段88とを備えている。
光源86から照射された光は、内視鏡装置12の光ファイバ42の入射端に入射される。
【0078】
光源86には、特に限定はなく、例えば、キセノンランプや、蛍光灯、水銀灯などの白色灯、レーザ、LEDなどの半導体光源等を使用することができる。
【0079】
明るさ調整手段88は、被検体に照射される照明光の光量を制御するための部位である。
明るさ調整手段88は、制御部52の制御により、測光値算出手段66が算出した測光値に応じて、光源86の出力を制御して、被検体に照射される照明光の光量を調整する。
なお、明るさ調整手段88による光量の調整方法には特に限定はなく、光源86から照射口36までの光路上に、光の一部を物理的に遮る絞りを配置し、この絞りが遮る光の量を制御することに照明光の光量を調整してもよい。あるいは、CCDにおける電子シャッタのシャッタスピードを調整するものであっても良い。
【0080】
光源装置14が照射する光を、測光値に応じた光量となるように制御することにより、被検体に対する照明が適宜に調整されて、表示装置18上に表示される動画の明るさが、好ましい範囲内の明るさに維持され、ハレーションが発生したり、医師が注目する部分が暗くなりすぎてしまうことが抑制される。
【0081】
ここで、測光値算出部84から渡される明るさでは、中央部分G1が辺縁部分G2に対して明るいほどその中央部分G1の明るさが多くを占めるようになる。これにより、表示装置18に表示される動画において医師の関心が集まる中央部分が明る過ぎハレーションが発生しそうなときは、その中央部分の明るさが多く反映された制御が照明について行われて、その中央部分におけるハレーション発生が回避される。一方、辺縁部分が明る過ぎた場合には、照明については、その辺縁部分の明るさよりも画像の平均的な明るさが多く反映された制御が行われるので、照明を絞り過ぎて肝心の中央部分が暗くなり過ぎてしまうといった不具合が回避される。また、医師が注目する部分が、辺縁部分に存在する場合は、ハレーション軽減強度を設定することにより、辺縁部分の明るさを適切な明るさに自動的に調整することができる。また、マスクの形状によって、適切な明るさに自動的に調整することができる。
このように、本実施形態の内視鏡診断装置10によれば、照明上の不具合が良好に抑制された撮影を行うことができる。
【0082】
次に、内視鏡診断装置10の動作を説明する。
【0083】
ハレーション軽減強度やマスクの選択等の指示が、入力装置20からプロセッサ装置16の制御部52に入力される。そして、制御部52により、画像処理手段54および光源装置14が制御される。
【0084】
光源装置14からは白色光が発せられる。
【0085】
内視鏡装置12では、光源装置14から発せられた白色光が、光ファイバ42により導光され、レンズ46を介して照射口36から被検体の被観察領域に照射される。そして、被観察領域からの反射光が対物レンズユニット44により集光され、撮像素子38により光電変換されて撮像信号(アナログ信号)が出力される。
【0086】
撮像信号は、A/D変換器50により画像信号(デジタル信号)に変換され、画像処理部58により所定の画像処理が施され、処理済の画像信号が出力される。
【0087】
選択したマスクに従って、表示領域が決定され、処理済の画像信号が表示装置18に出力され、画像が表示装置18上に表示される。
【0088】
同時に、測光手段60には、画像信号(動画)を構成する複数の静止画像の中から適宜に抽出された1つの静止画像が供給される。測光手段60は、供給された静止画像の明るさを表す測光値を算出する。測光手段60は、算出した測光値を制御部52に供給する。制御部52は、供給された測光値に応じて、光源装置14を制御し、被検体を照らす照明光の明るさを制御する。
【0089】
測光手段60において測光を行なうタイミングには特に限定はなく、例えば、所定の時間間隔ごとに行なってもよく、あるいは、入力装置20から測光を行なうタイミングを指示するようにして、指示があったときに測光を行なうようにしてもよい。
【0090】
観察が終了すると、内視鏡挿入部22が被検体の体腔内から取り出され、各装置の電源がオフとされる。
【0091】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【0092】
例えば、通常の白色光撮影のみならず、照明光として狭帯域光や近赤外光を用いる特殊光撮影にも利用可能である。
また、本発明を内視鏡診断装置に適用した例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、本発明は、被写体に対する照明を適宜に調整しながら撮影を行う撮影装置一般に適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
10 内視鏡診断装置
12 内視鏡装置
14 光源装置
16 プロセッサ装置
18 表示装置
20 入力装置
22 内視鏡挿入部
24 操作部
26A、26B コネクタ部
28 軟性部
30 湾曲部
32 先端部
34 アングルノブ
36 照射口
38 撮像素子
40 観察窓
42 光ファイバ
44 対物レンズユニット
46 レンズ
48 スコープケーブル
50 A/D変換器
52 制御部
54 画像処理手段
56 記憶部
58 画像処理部
60 測光手段
62 ヒストグラム作成手段
62A 中央部ヒストグラム作成部
62B 辺縁部ヒストグラム作成部
62C 全体ヒストグラム作成部
64 明るさ比較手段
66 測光値算出手段
68 強度設定部
70 マスク選択部
72 マスク記憶部
74A 中央明るさ算出部
74B 辺縁明るさ算出部
76 比較部
78 ピーク輝度算出条件記憶部
80 測光値算出条件記憶部
82A 平均輝度算出部
82B ピーク輝度算出部
84 測光値算出部
86 光源
88 明るさ調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子によって画像を撮影する撮影装置であって、
撮影した撮影画像を表示する際の表示領域を規定するマスクを複数有し、入力指示に応じて選択して設定するマスク選択設定部と、前記撮影画像を表示する際におけるハレーション軽減強度を選択する強度選択部と、前記撮影画像の全体的な明るさを表す測光値を求める測光手段とを有し、
前記測光手段は、前記撮影画像の中央を含んだ第1部分における明るさと、この第1部分に対し前記撮影画像中で辺縁寄りの第2部分における明るさとを比較し、前記第1部分と前記第2部分との輝度比を求め、
前記撮影画像の平均輝度およびピーク輝度を算出し、前記平均輝度と前記ピーク輝度とを、前記輝度比に応じて、前記第1部分の明るさが前記第2部分の明るさよりも明るいほど前記ピーク輝度に対する重みを重くした重み係数を用いて混合することで、前記撮影画像の全体的な明るさを表す測光値を求め、この測光値に基づいて、撮影画像の明るさに影響する撮影条件を調整するものであり、
かつ、前記選択されたマスクとハレーション軽減強度との組み合わせに応じてあらかじめ設定された、ピーク輝度の算出条件、および、重み係数の設定条件に応じて、前記測光値を求めることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記マスクとして、少なくとも、固体撮像素子の撮影領域の4隅をマスキングするマスクと、固体撮像素子の対向する1つの両端部の所定領域をマスキングするマスクとを有する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ピーク輝度の算出条件は、ハレーションの軽減強度が強いほど、前記ピーク輝度が高くなるように設定されている請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ピーク輝度の算出条件は、前記マスクの視野角が大きいほど、前記ピーク輝度が高くなるように設定されている請求項1〜3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記重み係数の算出条件は、ハレーションの軽減強度が強いほど、前記ピーク輝度に対する重みが重くなるように設定されている請求項1〜4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記重み係数の算出条件は、前記マスクの視野角が大きいほど、前記ピーク輝度に対する重みが重くなるように設定されている請求項1〜5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1部分の明るさが、前記第1部分でのピーク輝度であり、前記第2部分の明るさが、前記第2部分でのピーク輝度である請求項1〜6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮影画像全体に対する前記第1部分の面積の比を、25〜50%とする請求項1〜7のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
撮影する領域を照明するための光源を有し、
光源から撮影領域までの光路上のいずれかで、前記光路を通過する光の量を調整することにより、前記撮影画像の明るさに影響する撮影条件を調整する請求項1〜8のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の撮像装置を備える内視鏡診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−70317(P2012−70317A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215140(P2010−215140)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】