説明

撮像装置および撮像表示システム

【課題】撮像画像の高画質化を実現することが可能な撮像装置、およびそのような撮像装置を備えた撮像表示システムを提供する。
【解決手段】撮像装置は、各々が光電変換素子を含む複数の画素を有する撮像部と、画素内に蓄積された信号電荷の読み出し駆動を行うと共に、画素内に蓄積された信号電荷のリセット駆動を行う駆動部(システム制御部,列走査部,行走査部)と、撮像部から出力される画像において残像が低減されるように、リセット駆動を行うタイミングを補正する補正部(リセットタイミング補正部)とを備える。撮像部の各画素において入射光に基づく光電変換がなされ、信号電荷の読み出し動作およびリセット動作がなされ、入射光に基づく撮像画像が得られる。補正部によりリセットタイミングが補正され、この補正されたリセットタイミングを用いてリセット駆動が行われることにより、残留電荷に起因する残像の発生が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電変換素子を有する撮像装置、およびそのような撮像装置を備えた撮像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各画素(撮像画素)に光電変換素子を内蔵する撮像装置として、種々のものが提案されている。そのような光電変換素子を有する撮像装置の一例としては、例えばいわゆる光学式のタッチパネルや、放射線撮像装置などが挙げられる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−135561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような撮像装置では一般に、複数の画素から読み出された信号電荷に基づいて画像が得られるが、この画像において、いわゆる残像(撮像時刻よりも前に蓄積された信号電荷に基づく実際の被写体像とは異なる像)が発生する場合があり、撮像画像の画質が劣化するという問題がある。
【0005】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、撮像画像の高画質化を実現することが可能な撮像装置、およびそのような撮像装置を備えた撮像表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の撮像装置は、各々が光電変換素子を含む複数の画素を有する撮像部と、画素内に蓄積された信号電荷の読み出し駆動およびリセット駆動を行う駆動部と、撮像部から出力される画像において残像が低減されるように、リセット駆動を行うタイミングを補正する補正部とを備えたものである。
【0007】
本開示の撮像表示システムは、上記本開示の撮像装置と、この撮像装置により得られた撮像信号に基づく画像表示を行う表示装置とを備えたものである。
【0008】
本開示の撮像装置および撮像表示システムでは、撮像部の各画素において入射光に基づく光電変換がなされ、上記のような信号電荷の読み出し駆動およびリセット駆動が行われることにより、入射光に基づく撮像画像が得られる。この撮像画像において残像が低減されるように、補正部は、リセット駆動を行うタイミングを補正する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の撮像装置および撮像表示システムによれば、撮像部の各画素が光電変換素子を含み、駆動部が、各画素からの信号電荷の読み出し駆動およびリセット駆動を行うことにより、入射光に基づく撮像画像を得ることができる。補正部が、撮像画像において残像が低減されるように、駆動部におけるリセット駆動のタイミングを補正することにより、信号電荷の読み出し後に電荷が残存(残留)した場合であっても、その残留電荷に起因する残像の発生を抑制することができる。よって、撮像画像の高画質化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の全体構成例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した撮像部の概略構成例を表す模式図である。
【図3】図1に示した画素等の詳細構成例を表す回路図である。
【図4】図1に示した行走査部の詳細構成例を表すブロック図である。
【図5】図1に示した列選択部の詳細構成例を表すブロック図である。
【図6】(A)は露光期間の動作状態の一例を表す回路図、(B)は読み出し/第1リセット期間における動作状態の一例を表す回路図である。
【図7】ラテラル型構造のPIN型のフォトダイオードにおいて、(A)は蓄積状態を、(B)は空乏状態をそれぞれ説明するための模式図である。
【図8】バーティカル型構造のPIN型のフォトダイオードの一例を表す断面模式図である。
【図9】電荷分配現象(チャージインジェクション)について説明するための回路図である。
【図10】信号電荷残留のメカニズムを説明するための特性図である。
【図11】読み出し/第1リセット期間後の経過時間とDecay電流との関係の一例を表す特性図である。
【図12】残留電荷量とDecay電流との関係について説明するための特性図である。
【図13】実施の形態に係る線順次撮像動作の概要を説明するためのタイミング図である。
【図14】1ライン分の撮像動作を説明するためのタイミング波形図である。
【図15】(A),(B)は、第2リセット期間における動作状態の一例を表す回路図である。
【図16】2回目のリセット動作により低減される残留電荷量について説明するための特性図である。
【図17】Decayの時間的変化(残像特性)を表す特性図である。
【図18】Decayのリセット間隔依存について説明するための特性図である。
【図19】リセット間隔と残像特性との相関関係を表す特性図である。
【図20】変形例1に係る画素等の構成を表す回路図である。
【図21】変形例2に係る画素等の構成を表す回路図である。
【図22】変形例3に係る画素等の構成を表す回路図である。
【図23】変形例4に係る画素等の構成を表す回路図である。
【図24】アクティブ型の画素回路における線順次撮像動作の一例を表すタイミング図である。
【図25】(A)は変形例5に係る撮像部の概略構成、(B)は変形例6に係る撮像部の概略構成をそれぞれ表す模式図である。
【図26】適用例に係る撮像表示システムの概略構成を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(リセット間隔を補正して複数回リセット駆動を行う撮像装置の例)
2.変形例1(パッシブ型の画素回路の他の例)
3.変形例2(パッシブ型の画素回路の他の例)
3.変形例3,4(アクティブ型の画素回路の例)
4.変形例5,6(放射線に基づいて撮像を行う撮像部の例)
5.変形例7(リセット電圧値を補正する場合の例)
6.適用例(撮像表示システムへの適用例)
【0012】
<実施の形態>
[撮像装置1の全体構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置(撮像装置1)の全体のブロック構成を表すものである。撮像装置1は、入射光(撮像光)に基づいて被写体の情報を読み取る(被写体を撮像する)ものである。この撮像装置1は、撮像部11、行走査部13、A/D変換部14、列走査部15、システム制御部16およびリセットタイミング補正部18を備えている。これらのうち、行走査部13、A/D変換部14、列走査部15およびシステム制御部16が、本開示における「駆動部」の一具体例に対応し、リセットタイミング補正部18が、本開示における「補正部」の一具体例に対応する。
【0013】
(撮像部11)
撮像部11は、入射光(撮像光)に応じて電気信号を発生させるものである。この撮像部11では、画素(撮像画素,単位画素)20が、行列状(マトリクス状)に2次元配置されており、各画素20は、撮像光の光量に応じた電荷量の光電荷を発生して内部に蓄積する光電変換素子(後述の光電変換素子21)を有している。尚、図1中に示したように、以下、撮像部11内における水平方向(行方向)を「H」方向とし、垂直方向(列方向)を「V」方向として説明する。
【0014】
図2は、この撮像部11の概略構成例である。撮像部11は、画素20毎に光電変換素子21が配置された光電変換層111を有している。光電変換層111では、図中に示したように、入射した撮像光Linに基づく光電変換(撮像光Linから信号電荷への変換)がなされるようになっている。
【0015】
図3は、画素20の回路構成(いわゆるパッシブ型の回路構成)を、A/D変換部14内の後述する列選択部17の回路構成とともに例示したものである。このパッシブ型の画素20には、1つの光電変換素子21と、1つのトランジスタ22とが設けられている。この画素20にはまた、H方向に沿って延在する読み出し制御線Lreadと、V方向に沿って延在する信号線Lsigとが接続されている。
【0016】
光電変換素子21は、例えばPIN(Positive Intrinsic Negative)型のフォトダイオードまたはMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)型センサからなり、前述したように、入射光(撮像光Lin)の光量に応じた電荷量の信号電荷を発生させるようになっている。尚、この光電変換素子21のカソードは、ここでは蓄積ノードNに接続されている。
【0017】
トランジスタ22は、読み出し制御線Lreadから供給される行走査信号に応じてオン状態となることにより、光電変換素子21により得られた信号電荷(入力電圧Vin)を信号線Lsigへ出力するトランジスタ(読み出し用トランジスタ)である。このトランジスタ22は、ここではNチャネル型(N型)の電界効果トランジスタ(FET;Field Effect Transistor)により構成されている。但し、トランジスタ22はPチャネル型(P型)のFET等により構成されていてもよい。このトランジスタ22はまた、例えば、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、微結晶シリコンまたは多結晶シリコン(ポリシリコン)等のシリコン系半導体を用いて構成されている。あるいは、酸化インジウムガリウム亜鉛(InGaZnO)または酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物半導体を用いて構成されていてもよい。
【0018】
この画素20では、トランジスタ22のゲートが読み出し制御線Lreadに接続され、ソースが例えば信号線Lsigに接続され、ドレインが例えば光電変換素子21のカソードに蓄積ノードNを介して接続されている。また、光電変換素子21のアノードは、ここではグランドに接続(接地)されている。
【0019】
(行走査部13)
行走査部13は、後述のシフトレジスタ回路や所定の論理回路等を含んで構成されており、撮像部11内の複数の画素20に対して行単位(水平ライン単位)での駆動(線順次走査)を行う画素駆動部(行走査回路)である。具体的には、後述する読み出し動作やリセット動作等の撮像動作を例えば線順次走査により行う。尚、この線順次走査は、読み出し制御線Lreadを介して前述した行走査信号を各画素20へ供給することによって行われるようになっている。
【0020】
図4は、行走査部13のブロック構成例である。行走査部13は、V方向に沿って延在する複数の単位回路130を有している。尚、ここでは、図中に示した4つの単位回路130に接続された8つの読み出し制御線Lreadを、上から順に、Lread(1)〜Lread(8)として示している。
【0021】
各単位回路130は、複数列(ここでは2列)のシフトレジスタ回路131,132(図中のブロック内では便宜上、「S/R」と記載;以下同様)と、4つのAND回路(論理積回路)133A〜133Dと、2つのOR回路(論理和回路)134A,134Bと、2つのバッファ回路135A,135Bとを有している。
【0022】
シフトレジスタ回路131は、システム制御部16から供給されるスタートパルスVST1およびクロック信号CLK1に基づいて、複数の単位回路130全体として、V方向に順次シフトするパルス信号を生成する回路である。同様に、シフトレジスタ回路132は、システム制御部16から供給されるスタートパルスVST2およびクロック信号CLK2に基づいて、複数の単位回路130全体として、V方向に順次シフトするパルス信号を生成する回路である。これらのシフトレジスタ回路131,132は、後述するリセット駆動の実効回数(例えば2回)に対応して設けられたものである(実行回数に対応して2列設けられている)。即ち、例えば、シフトレジスタ回路131は、1回目のリセット駆動用のパルス信号を生成する役割を担う一方、シフトレジスタ回路132は、2回目のリセット駆動用のパルス信号を生成する役割を担っている。
【0023】
AND回路133A〜133Dにはそれぞれ、シフトレジスタ回路131,132から出力される各パルス信号(各出力信号)の有効期間を制御(規定)するための4種類のイネーブル信号EN1〜EN4が入力されている。具体的には、AND回路133Aでは、一方の入力端子にはシフトレジスタ回路132からのパルス信号が入力され、他方の入力端子にはイネーブル信号EN1が入力されている。AND回路133Bでは、一方の入力端子にはシフトレジスタ回路131からのパルス信号が入力され、他方の入力端子にはイネーブル信号EN2が入力されている。AND回路133Cでは、一方の入力端子にはシフトレジスタ回路132からのパルス信号が入力され、他方の入力端子にはイネーブル信号EN3が入力されている。AND回路133Dでは、一方の入力端子にはシフトレジスタ回路131からのパルス信号が入力され、他方の入力端子にはイネーブル信号EN4が入力されている。
【0024】
OR回路134Aは、AND回路133Aからの出力信号とAND回路133Bからの出力信号との論理和信号(OR信号)を生成する回路である。同様に、OR回路134Bは、AND回路133Cからの出力信号とAND回路133Dからの出力信号との論理和信号を生成する回路である。このようにして、上記したAND回路133A〜133DとOR回路134A,134Bとによって、シフトレジスタ回路131,132からの出力信号(パルス信号)同士の論理和信号が、各出力信号の有効期間を制御しつつ生成される。これにより、後述する複数回のリセット駆動の際の駆動タイミング等が規定される。
【0025】
バッファ回路135Aは、OR回路134Aからの出力信号(パルス信号)に対するバッファとして機能する回路であり、バッファ回路135Bは、OR回路134Bからの出力信号に対するバッファとして機能する回路である。これらのバッファ回路135A,135Bによるバッファ後のパルス信号(行走査信号)は、読み出し制御線Lreadを介して撮像部11内の各画素20へ出力されるようになっている。
【0026】
(A/D変換部14)
A/D変換部14は、複数(ここでは4つ)の信号線Lsigごとに1つ設けられた複数の列選択部17を有しており、信号線Lsigを介して入力した信号電圧(信号電荷)に基づいてA/D変換(アナログ/デジタル変換)を行うものである。これにより、デジタル信号からなる出力データDout(撮像信号)が生成され、外部へ出力されるようになっている。
【0027】
各列選択部17は、例えば図3および図5に示したように、チャージアンプ172、容量素子(コンデンサ,フィードバック容量素子)C1、スイッチSW1、サンプルホールド(S/H)回路173、4つのスイッチSW2を含むマルチプレクサ回路(選択回路)174、およびA/Dコンバータ175を有している。これらのうち、チャージアンプ172、容量素子C1、スイッチSW1、S/H回路173およびスイッチSW2はそれぞれ、信号線Lsig毎に設けられている。マルチプレクサ回路174およびA/Dコンバータ175は、列選択部17毎に設けられている。
【0028】
チャージアンプ172は、信号線Lsigから読み出された信号電荷を電圧に変換(Q−V変換)するためのアンプ(増幅器)である。このチャージアンプ172では、負側(−側)の入力端子に信号線Lsigの一端が接続され、正側(+側)の入力端子には所定のリセット電圧Vrstが入力されるようになっている。チャージアンプ172の出力端子と負側の入力端子との間は、容量素子C1とスイッチSW1との並列接続回路を介して帰還接続(フィードバック接続)されている。即ち、容量素子C1の一方の端子がチャージアンプ172の負側の入力端子に接続され、他方の端子がチャージアンプ172の出力端子に接続されている。同様に、スイッチSW1の一方の端子がチャージアンプ172の負側の入力端子に接続され、他方の端子がチャージアンプ172の出力端子に接続されている。尚、このスイッチSW1のオン・オフ状態は、システム制御部16からアンプリセット制御線Lcarstを介して供給される制御信号(アンプリセット制御信号)によって制御される。
【0029】
S/H回路173は、チャージアンプ172とマルチプレクサ回路174(スイッチSW2)との間に配置されており、チャージアンプ172からの出力電圧Vcaを一時的に保持するための回路である。
【0030】
マルチプレクサ回路174は、列走査部15による走査駆動に従って4つのスイッチSW2のうちの1つが順次オン状態となることにより、各S/H回路173とA/Dコンバータ175との間を選択的に接続または遮断する回路である。
【0031】
A/Dコンバータ175は、スイッチSW2を介して入力されたS/H回路173からの出力電圧に対してA/D変換を行うことにより、上記した出力データDoutを生成して出力する回路である。
【0032】
(列走査部15)
列走査部15は、例えば図示しないシフトレジスタやアドレスデコーダ等を含んで構成されており、上記した列選択部17内の各スイッチSW2を走査しつつ順番に駆動するものである。このような列走査部15による選択走査によって、信号線Lsigの各々を介して読み出された各画素20の信号(上記した出力データDout)が、順番に外部へ出力されるようになっている。
【0033】
(リセットタイミング補正部18)
リセットタイミング補正部18は、リセット間隔(後述のリセット間隔A)と残像特性との相関関係(例えば、ルックアップテーブル(LUT))を予め保持しており、この相関関係に基づいて、リセットタイミング(リセット間隔)を補正(調整)する処理部である。後述するように、撮像部11の各画素20では、光電変換素子21におけるいわゆるDecay現象(後述するように読み出し後に電荷が放出され、その放出電荷量が時系列に沿って減衰していく現象)により、撮像画像に残像が生じる。このようなDecay現象に起因して蓄積ノードNに蓄積される電荷量(残留電荷量)の時間的変化(残像特性,Decay特性)は、光電変換素子21に使用される光電変換材料等に応じて異なり、即ち撮像部11の構成に固有のものである。従って、撮像部11における残像特性を予め測定しておき、この測定結果を補正用のルックアップテーブルとして保持しておけばよい。尚、本実施の形態および本開示における「残像」とは、撮影した画像においては、実際の撮像時刻(露光期間)よりも前に蓄積された信号電荷に基づく実際の被写体像とは異なる像を意味し、撮像データDoutにおいてはノイズ成分となるものである。
【0034】
ルックアップテーブルを作成する際には、例えば時間的に連続する数フレームを実際に出力し、この出力に基づいて以下のような手順で行う。即ち、あるフレームにおける信号電荷読み出し時のリセット動作(後述の1回目のリセット動作)と後述の2回目のリセット動作との時間間隔を変化させながら、その次フレームにおける残留電荷量を測定する。各測定結果をプロットした特性図(あるいはその近似曲線を用いた特性図)を作成し、これを上記リセット間隔と残像特性との相関関係を表すルックアップテーブルとして保持しておく。補正の際には、リセットタイミング補正部18は、まず、上記のようにして予め作成、保持しておいたルックアップテーブルに基づき、所望の残像規定値(例えば1%)以下が得られるリセット間隔Aの値を選択(設定)する。そして、選択したリセット間隔Aの値に応じて、リセットタイミング(2回目のリセットタイミング)を補正(調整)する。このようにして得られたリセットタイミングについての補正データDtは、システム制御部16へ出力され、入力された補正後のリセットタイミングに基づいて、各画素20のリセット駆動が行われるようになっている。
【0035】
尚、リセットタイミング補正部18による上記補正動作は、システム制御部16からの制御信号に基づいてなされるが、この補正動作は、例えば撮像装置起動前や、動画撮影前等に、自動的または手動的に(図示しない外部入力手段を介して得られた外部入力信号に基づいて)行われる。
【0036】
(システム制御部16)
システム制御部16は、行走査部13、A/D変換部14、列走査部15およびリセットタイミング補正部18の動作を制御するものである。具体的には、システム制御部16は、前述した各種のタイミング信号(制御信号)を生成するタイミングジェネレータを有しており、このタイミングジェネレータにおいて生成される各種のタイミング信号を基に、行走査部13、A/D変換部14および列走査部15の駆動制御を行う。但し、詳細は後述するが、リセット駆動を行う際のタイミング信号については、リセットタイミング補正部18から出力される補正データに基づいて、適切なリセット間隔となるように補正されたリセットタイミングに基づくタイミング信号が用いられる。このシステム制御部16の制御に基づいて、行走査部13、A/D変換部14および列走査部15がそれぞれ撮像部11内の複数の画素20に対する撮像駆動(線順次撮像駆動)を行うことにより、撮像部11から出力データDoutが取得されるようになっている。
【0037】
[撮像装置1の作用・効果]
本実施の形態の撮像装置1では、撮像光Linが撮像部11へ入射すると、各画素20内の光電変換素子21では、この撮像光Linが信号電荷に変換(光電変換)される。このとき、蓄積ノードNでは、光電変換により発生した信号電荷の蓄積によって、ノード容量に応じた電圧変化が生じる。具体的には、蓄積ノード容量をCs、発生した信号電荷をqとすると、蓄積ノードNでは(q/Cs)の分だけ電圧が変化(ここでは低下)する。このような電圧変化に応じて、トランジスタ22のドレインには入力電圧Vin(信号電荷に対応した電圧)が印加される。このトランジスタ22へ供給される入力電圧Vinは、読み出し制御線Lreadから供給される行走査信号に応じてトランジスタ22がオン状態になると、蓄積ノードNに蓄積された信号電荷が画素20から信号線Lsigへ読み出される。
【0038】
読み出された信号電荷は、信号線Lsigを介して複数(ここでは4つ)の画素列ごとに、A/D変換部14内の列選択部17へ入力される。列選択部17では、まず、各信号線Lsigから入力される信号電荷毎に、チャージアンプ172等からなるチャージアンプ回路においてQ−V変換(信号電荷から信号電圧への変換)を行う。次いで、変換された信号電圧(チャージアンプ172からの出力電圧Vca)毎に、S/H回路173およびマルチプレクサ回路174を介してA/Dコンバータ175においてA/D変換を行い、デジタル信号からなる出力データDout(撮像信号)を生成する。このようにして、各列選択部17から出力データDoutが順番に出力され、外部へ伝送される(または図示しない内部メモリーへ入力される)。以下、このような撮像駆動動作における各動作について詳細に説明する。
【0039】
(露光期間,読み出し期間における動作)
図6(A),(B)は、露光期間および読み出し期間における画素20および列選択部17内のチャージアンプ回路の動作例を表したものである。尚、以下では説明の便宜上、トランジスタ22のオン・オフ状態を、スイッチを用いて図示している。
【0040】
まず、図6(A)に示したように、露光期間Texでは、トランジスタ22はオフ状態となっている。この状態では、画素20内の光電変換素子21へ入射した撮像光Linに基づく信号電荷は、蓄積ノードNに蓄積され、信号線Lsig側へは出力されない(読み出されない)。一方、チャージアンプ回路では、後述するアンプリセット動作(チャージアンプ回路のリセット動作)がなされた後の状態であるため、スイッチSW1がオン状態となっており、結果としてボルテージフォロワ回路が形成されている。
【0041】
続いて、この露光期間Tex後には、画素20から信号電荷を読み出す動作(読み出し動作)と共に、画素20内に蓄積された信号電荷をリセットするため動作(リセット動作,画素リセット動作)がなされる。本実施の形態では、画素20がパッシブ型の画素回路を有することから、読み出し動作に伴ってリセット動作が行われる。尚、このリセット動作が、後述する複数回のリセット動作のうちの1回目のリセット動作(第1のリセット動作)に対応する。従って、以下では、この読み出し期間を、「読み出し/第1リセット期間Tr1」あるいは単に「期間Tr1」と称して説明を行う。
【0042】
具体的には、読み出し/第1リセット期間Tr1では、図6(B)に示したように、トランジスタ22がオン状態となることにより、画素20内の蓄積ノードNから信号線Lsig側へ信号電荷が読み出される(図中の矢印P11参照)。このようにして読み出された信号電荷は、チャージアンプ回路へ入力される。一方、チャージアンプ回路では、スイッチSW1がオフ状態となっている(チャージアンプ回路が読み出し動作状態となっている)。詳細には、トランジスタ22がオン状態とされる直前に、チャージアンプ回路においてスイッチSW1がオフ状態とされる。従って、チャージアンプ回路へ入力された信号電荷は容量素子C1に蓄積され、その蓄積電荷に応じた信号電圧(出力電圧Vca)がチャージアンプ172から出力される。尚、容量素子C1に蓄積された電荷は、後述するアンプリセット動作の際にスイッチSW1がオン状態となることにより、リセットされる(アンプリセット動作がなされる)。
【0043】
この読み出し/第1リセット期間Tr1では、上記のような読み出し動作に伴って、以下のようなリセット動作(1回目のリセット動作)が行われる。即ち、図中の矢印P12で示したように、チャージアンプ回路(チャージアンプ172)における仮想短絡(イマジナリー・ショート)現象を利用して、1回目のリセット動作がなされる。詳細には、仮想短絡現象によって、チャージアンプ172における負側の入力端子側(信号線Lsig側)の電圧が、正側の入力端子に印加されているリセット電圧Vrstに略等しくなることから、蓄積ノードNもリセット電圧Vrstとなる。このように、パッシブ型の画素回路を用いた本実施の形態では、読み出し/第1リセット期間Tr1において、上記した読み出し動作に伴って、蓄積ノードNが所定のリセット電圧Vrstにリセットされる。
【0044】
(読み出し/リセット後の信号電荷の残存)
上述のように、読み出し/第1リセット期間Tr1では、読み出し動作に伴ってリセット動作がなされるが、この期間Tr1後であっても、それ以前に蓄積されていた信号電荷の一部が画素20内に(残留)する場合がある。信号電荷の一部が画素20内に残ると、次の読み出し動作時(次のフレーム期間での撮像時)においてその残留電荷に起因した残像が発生し、撮像画質が劣化してしまう。以下、図7〜図12を参照して、このような信号電荷の残存について、詳細に説明する。
【0045】
ここで、光電変換素子21がPIN型のフォトダイオード(薄膜フォトダイオード)である場合、具体的には以下の2つの構造のものに大別される。即ち、図7(A),(B)に示したような、いわゆるラテラル型(横型)構造のものと、図8に示したような、いわゆるバーティカル型(縦型)構造のものである。
【0046】
ラテラル型構造の場合、光電変換素子21は横方向(積層面内方向)に沿って、p型半導体層21P、真性半導体層(i層)21Iおよびn型半導体層21Nを、この順に有している。また、真性半導体層21I付近でゲート絶縁膜(図示せず)を介して対向配置された、ゲート電極21Gを有している。一方、バーティカル型構造の場合には、光電変換素子21は縦方向(積層方向)に沿って、例えば、下部電極211a、p型半導体層21P、真性半導体層21I、n型半導体層21Nおよび上部電極211bを、この順に有している。尚、以下では、光電変換素子21が、上記2つの構造のうち、ラテラル型構造のPIN型のフォトダイオードである場合を想定して説明を行う。
【0047】
(信号電荷残存のメカニズム)
上記のような信号電荷の残存が発生する理由の一つとして、外光(特に、強外光)の影響を受けて画素20内の電荷が飽和してしまうことが考えられる。光電変換素子21では、ゲート電極21Gに印加されるゲート電圧により、真性半導体層21Iが、蓄積状態(飽和状態)、空乏状態、反転状態のいずれかの状態となる。ところが、薄膜フォトダイオードでは、その蓄積状態もしくは反転状態においてゲート電極21G側の界面に電荷が誘起された状態(図7(A))から、空乏状態(図7(B))に遷移するには、数百μsオーダーの時間が必要である。通常、PIN型のフォトダイオードは、空乏状態で光感度が最大となるため空乏状態で使用するが、例えば強外光が照射されてVnp<0Vの状態になると、蓄積状態に遷移する。尚、Vnpは、p型半導体層21P側から見たn型半導体層21Nの電位である。
【0048】
このため、例えば、強外光が照射された直後に暗状態に環境が変化し、かつリセット動作(1回目のリセット動作)が行われてVnp>0の状態に戻っても、数百μsの間は蓄積状態から空乏状態に遷移しない。ここで、空乏状態と、蓄積状態もしくは反転状態とでは、上記したゲート電極21G側の界面に誘起された電荷の影響により、PIN型のフォトダイオードにおける容量特性が異なることが知られている。具体的には、図7(A),(B)に示したように、ゲート電極21Gとp型半導体層21Pと間に形成される寄生容量Cgpは、蓄積状態では大きく、空乏状態では小さくなる。
【0049】
一方、画素20内の蓄積ノードNでは、上述のように読み出し/第1リセット期間Tr1後に所定のリセット電圧Vrstとなるが、この後、トランジスタ22がオン状態からオフ状態に遷移する際、以下のような現象が起こる。即ち、例えば図9に示したように、画素20内の寄生容量(トランジスタ22のゲート・ドレイン間に形成された寄生容量Cgd等)に蓄積された電荷に起因して、蓄積ノードNの電位がリセット電圧Vrstから微小に変動する(図中のP2参照)。このような現象は、電荷分配現象(チャージインジェクション現象)と呼ばれる。
【0050】
ここで、蓄積ノードNに接続されているPIN型のフォトダイオード(光電変換素子21)では、その寄生容量Cgpが空乏状態,蓄積状態および反転状態の状態毎に異なる場合、上記のような状態遷移により、画素20内における全体のカップリング量(寄生容量の大きさ)が変化する。このため、読み出し/第1リセット期間Tr1後においても、その期間Tr1の直前まで入射していた光の情報(電荷)が、蓄積ノードNに残ってしまう。このようなメカニズムにより、強外光が照射されて画素20内の電荷が飽和してしまう場合、リセット動作を伴う読み出し/第1リセット期間Tr1後においても、その直前まで蓄積されていた信号電荷の一部が、画素20内に残存してしまうのである。このような強外光に起因する信号電荷の残存は、図7(A),(B)に示したような真性半導体層21Iの下にゲート電極が配置された構造を有するダイオードにおいて生じるものである。但し、ゲート電極のない構造のものであっても、ラテラル型,バーティカル型を問わず、強い光が照射されることによって飽和電子に達した場合には、信号電荷の残留が発生する。厳密には、飽和電子に達していなくとも強い光が入射することで、発生したキャリアがトラップ準位に捕獲され、放出されるまでに時間がかかる。
【0051】
あるいは、上記のような場合(強外光の影響により電荷が飽和してしまう場合)に限らず、以下に説明するような理由から信号電荷が残存する場合もある。即ち、Decay電流が光電変換素子21(PIN型のフォトダイオード)から生ずることによっても、残留電荷が発生する。
【0052】
図10(A),(B)はそれぞれ、前述したPIN型のフォトダイオードにおける、エネルギーバンド構造(各層の位置とエネルギー準位との関係)を表したものである。これらの図から分かるように、真性半導体層21Iには多数の欠陥準位Edが存在している。そして、図10(A)に示したように、読み出し/第1リセット期間Tr1の直後においては、これらの欠陥準位Edに電荷eが捕獲(トラップ)された状態となっている。ところが、例えば図10(B)に示したように、読み出し/第1リセット期間Tr1からある程度の時間が経過すると、欠陥順位Edにトラップされている電荷eが、真性半導体層21Iからフォトダイオード(光電変換素子21)の外部へ放出される(図中の破線の矢印参照)。これにより、上記したDecay電流(電流Idecay)が光電変換素子21から発生する。
【0053】
ここで、図11(A),(B)に、読み出し/第1リセット期間Tr1後の経過時間tと電流Idecayとの関係の一例を示す。図11(A)では、縦軸および横軸とも対数(log)スケールで示し、図11(B)では、縦軸を対数スケール、横軸を線形(リニア)スケールでそれぞれ示している。各図において破線で囲った部分(G1)が相対応する部分である。これらの図から分かるように、電流Idecayは、読み出し/第1リセット期間Tr1の終了時(t=0)から時間の経過と共に相乗的に減少していく傾向にある(Idecay=(I0/t),I0:定数値)。また、このときに発生する残留電荷(q1とする)は、例えば図12に示したように、電流Idecay=(I0/t)を経過時間tで積分することにより求められることが分かる。このような光電変換素子21から発生するdecay電流によっても、画素20内に残留電荷が発生する。また、上記のような寄生容量Cgpの変化やDecay電流に起因して発生する残留電荷量は、光電変換素子21の光電変換材料等に依存して異なる。
【0054】
以上のような理由(強外光照射,Decay電流の発生)により、リセット動作を伴う読み出し/第1リセット期間Tr1後においても、画素20内に残留電荷q1が発生してしまうのである。
【0055】
(複数回のリセット動作)
そこで本実施の形態では、複数回(ここでは、上記読み出し/第1リセット期間Tr1におけるリセット動作を含む2回)のリセット動作が行われる。また、読み出し駆動およびリセット駆動は、後述するように線順次でなされ、詳細には読み出し駆動および複数回のリセット駆動が単一の線順次駆動によってなされる。これにより、上記残留電荷を低減し、この残留電荷に起因する残像を抑えるようにしている。以下、この複数回のリセット動作について詳細に説明する。
【0056】
具体的には、図13に示したように、1垂直期間(1フレーム期間)ΔTvにおいて、露光期間Tex後、読み出し/第1リセット期間Tr1において読み出し動作および1回目のリセット動作がなされた後、所定の時間間隔後の第2リセット期間Tr2において2回目のリセット動作(第2リセット動作)がなされる。また、これらのうち、期間Tr1,Tr2における読み出し動作およびリセット動作はそれぞれ線順次に行われる(システム制御部16の制御に基づいて、各画素20では、線順次読み出し駆動および線順次リセット駆動がなされる)。
【0057】
図14(A)は、読み出し制御線Lreadの電位Vreadのタイミング波形を、図14(B)は、チャージアンプ172からの出力電圧Vcaのタイミング波形を、図14(C)は信号線Lsigの電位Vsigのタイミング波形を、図14(D)は蓄積ノードNの電位Vnのタイミング波形を、それぞれ表したものである。尚、これらの各タイミング波形は、1フレーム期間ΔTvを含む前後の期間についてのものである。
【0058】
1フレーム期間ΔTvでは、まず露光期間Tex(タイミングt11〜t12)において、前述(図6(A))のようにして露光動作がなされ、各画素20内の光電変換素子21では、入射した撮像光Linが信号電荷に変換(光電変換)される。そして、この信号電荷が画素20内の蓄積ノードNに蓄積されることにより、蓄積ノードNの電位Vnが徐々に変化する(図14(D)中のP31)。ここでは、光電変換素子21のカソード側が蓄積ノードNに接続されているため、露光期間Texでは、電位Vnがリセット電圧Vrst側から0Vへ向けて徐々に低下する。
【0059】
次いで、読み出し/第1リセット期間Tr1(タイミングt13〜t14)では、前述のように、読み出し動作と共に1回目のリセット動作が行われる。尚、タイミングt13の直前のタイミングt13’に(トランジスタ22がオン状態とされる直前に)、チャージアンプ回路のスイッチSW1はオフ状態とされる。また、その後のタイミングt15において、チャージアンプ回路におけるスイッチSW1がオン状態となることにより、このチャージアンプ回路内の容量素子C1に蓄積された電荷がリセットされる(アンプリセット動作が行われる)。
【0060】
但し、この読み出し/第1リセット期間Tr1後、上述したような理由から、残留電荷q1が発生し、蓄積ノードNの電位Vnが徐々に低下する(図14(D)中のP32)。
【0061】
このような読み出し/第1リセット期間Tr1に所定の時間間隔(リセット間隔A)をおいて続く第2リセット期間Tr2(タイミングt16〜t17)において、以下に説明する2回目のリセット動作が行われる。
【0062】
(2回目のリセット動作)
第2リセット期間Tr2では、具体的には、例えば図15(A)に示した第1の動作例のようにして、2回目のリセット動作が行われる。即ち、画素20内のトランジスタ22がオン状態になると共に、チャージアンプ回路におけるスイッチSW1もオン状態となっている。これにより、チャージアンプ172を用いたボルテージフォロワ回路が形成されている。このため、チャージアンプ172では、その帰還特性(フィードバック特性)により、負側の入力端子側(信号線Lsig側)の電圧が、正側の入力端子に印加されているリセット電圧Vrstに略等しくなる。このように第1の動作例では、チャージアンプ172における帰還特性を利用して、画素20内の蓄積ノードNの電位Vnがリセット電圧Vrstに変位する(2回目のリセット動作がなされる)。
【0063】
あるいは、図15(B)に示した第2の動作例のように、2回目のリセット動作が行われてもよい。即ち、前述した1回目のリセット動作と同様、チャージアンプ回路における仮想短絡現象を利用して、2回目のリセット動作がなされてもよい(図中のP42)。この仮想短絡現象によっても、画素20内の蓄積ノードNの電位Vnがリセット電圧Vrstに変位する。但し、この例では、読み出し/第1リセット期間Tr1のときと同様に、画素20内のトランジスタ22がオン状態であると共にチャージアンプ回路におけるスイッチSW1がオフ状態であることから、チャージアンプ回路が読み出し動作状態となっている。つまり、図中の矢印P41で示したように、この第2の動作例では、蓄積ノードNに残存している電荷をチャージアンプ回路によって読み出すことも可能である。
【0064】
このようにして本実施の形態では、画素20内の蓄積電荷のリセット動作が、1フレーム期間内において間欠的に繰り返し行われる(リセット動作が複数回行われる)。具体的には、ここでは1回目のリセット動作(読み出し/第1リセット期間Tr1)と2回目のリセット動作(第2リセット期間Tr2)とが、所定のリセット間隔Aをおいて行われる。これにより、1回目のリセット動作後における画素20内の残留電荷q1(信号電荷の残存量)が低減される(図14(D)中のP33)。
【0065】
具体的には、1回目のリセット動作の終了時(Tr1の終了時)から2回目のリセット動作の終了時(Tr2の終了時)までの時間をΔt12(リセット間隔Aに対応)とすると、残留電荷q1のうちの低減される電荷量は、例えば図16に示したようになる。即ち、例えば図12において説明した残留電荷q1のうち、時間Δt12の開始時t1(=0)から終了時t2までの時間積分値に対応する電荷q12を、この2回目のリセット動作によって排出する(低減する)ことができる。
【0066】
ところが、第2リセット期間Tr2以降においても、蓄積される信号電荷(q1−q12=q23により与えられる電荷q23)が生じ、この電荷q23に起因して残像が形成されてしまう。
【0067】
(リセットタイミング補正動作)
そこで、本実施の形態では更に、上記した時間Δt12の長さ、即ちリセット間隔Aを適切な値に補正(調整)して、2回目のリセット動作後の残留電荷ができるだけ生じないようにする。この際、リセットタイミング補正部18は、システム制御部16の制御に基づいて、撮像画像における残像を所望値まで低減し得る必要十分なリセット間隔Aの値を定め、2回目のリセットタイミング(t16〜t17)を補正する。
【0068】
具体的には、リセットタイミング補正部18は、予め保持された、リセット間隔Aと残像特性との相関関係(ルックアップテーブル)を用いて、最適なリセット間隔Aを選択し、選択したリセット間隔Aに基づいて2回目のリセットタイミングを補正(調整)する。上述のように、撮像部11では、読み出し後の残留電荷により、蓄積ノードNにおける電位(Vn)が変位するが、この際の残像特性は撮像部11に固有のものである。
【0069】
ここで、図17にDecayの時間的変化(残像特性)を示す。これは、フレーム0(ゼロ)において信号電荷の読み出しを行い、その読み出した信号電荷量を100%とした場合のフレーム1以降の残留電荷量(%)をプロットし、これを近似したものである。但し、フレーム0,1,2,…は、50(フレーム/秒)で時間的に連続するタイミングで取得したフレームとする。また、図18には、リセット間隔A(ms)と残留電荷量(%)の関係を示す。これは、図17の0フレームにおいてリセット間隔Aを変化させた場合の、1フレームにおける残留電荷量(0フレームで読み出した信号電荷量を100%とする)を表すものである。
【0070】
図17および図18に示したように、光電変換素子21固有の残像特性により、時間経過に伴って徐々に信号電荷が抜けていき(残留電荷量が減り)、リセット間隔Aに依存して(リセット間隔Aが長くなるに従って)、残留電荷量が減少していくことがわかる。即ち、撮像部11におけるDecayおよび残像特性は、リセット間隔Aに対する依存性が高いものであることがわかる。
【0071】
また、図19には、補正用のルックアップテーブルとして、上記のようなリセット間隔Aと残存特性との相関関係の一例を示す。これは、例えば、図17のフレーム0における1回目のリセット動作と2回目のリセット動作とのリセット間隔Aを変化させながら、その次の1フレームにおける残留電荷量をプロットし、これを近似したものである。補正時には、このようにして作成した特性図において、所望の残像規定値B(例えば1%)以下となるようなリセット間隔Aの値(A1)を選択する。そして、リセットタイミング(2回目のリセットタイミング)を、そのリセット間隔Aの値A1となるようなタイミングへ補正(調整)する。このようにして得られたリセットタイミングについての補正データDtは、システム制御部16へ出力され、入力された補正後のリセットタイミングに基づいて、各画素20のリセット駆動が行われる。
【0072】
尚、上述したような複数回のリセット動作は、例えば線順次駆動における1水平期間(1水平走査期間:一例として32μs程度)を超える期間に亘って間欠的に行われることが望ましい。これは、以下の理由によるものである。即ち、前述したように、PIN型のフォトダイオードにおける状態遷移には、数百μs程度の時間がかかる。このことから、例えば100μs程度の時間、リセット電圧Vrstを連続的または間欠的に蓄積ノードNに与えることで、残留電荷の発生を低減することができる。実際、リセット電圧Vrstを与える期間が1水平期間(例えば32μs程度)を超えると残留電荷が大きく減少し始めることが、実験等により確認されている。
【0073】
以上のように本実施の形態では、撮像部11の各画素20において撮像光Linに基づく光電変換がなされ、上述のような信号電荷の読み出し駆動およびリセット駆動を行うことにより、撮像光Linに基づく撮像画像が得られる。この撮像画像において残像が低減されるように、リセットタイミング補正部18は、リセット間隔A(リセットタイミング)を補正する。これにより、信号電荷の読み出し後に電荷が蓄積された場合であっても、その残留電荷に起因する残像の発生を抑制することができる。よって、撮像画像の高画質化を実現することが可能となる。
【0074】
尚、上記実施の形態では、1フレーム期間内に2回のリセット駆動を行う場合を例に挙げて説明したが、これには限られず、1フレーム期間内で3回以上のリセット駆動を行うようにしてもよい。この場合、リセットタイミング補正部18は、1フレーム期間内において最後のリセット期間とその1つ前のリセット期間とのリセット間隔を少なくとも最適化すればよい。即ち、1フレーム期間にn回(nは3以上の整数)のリセット駆動を行う場合には、n回目と(n−1)回目のリセット間隔を調整して、少なくともn回目の(最後の)リセットタイミングを補正すればよい。この際、n回目と(n−1)回目の両方のリセットタイミングを調整してもよいし、一方(望ましくはn回目)のリセットタイミングのみを調整してもよい。但し、各リセット間隔のうちの選択的な1または2以上のリセット間隔を補正してもよいし、全てのリセット間隔を補正してもよい。
【0075】
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1〜5)について説明する。尚、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0076】
<変形例1>
図20は、変形例1に係る画素(画素20A)の回路構成を、上記実施の形態で説明した列選択部17の回路構成例と共に表したものである。本変形例の画素20Aは、実施の形態の画素20と同様にいわゆるパッシブ型の回路構成となっており、1つの光電変換素子21と1つのトランジスタ22とを有している。また、この画素20AにはH方向に沿って延在する読み出し制御線Lreadと、V方向に沿って延在する信号線Lsigとが接続されている。
【0077】
但し、本変形例の画素20Aでは、上記実施の形態の画素20とは異なり、光電変換素子21のアノードが蓄積ノードNに接続され、カソードがグランド(接地)に接続されている。このように、画素20Aにおいて光電変換素子21のアノードに蓄積ノードNが接続されるようにしてもよく、このように構成した場合であっても、上記実施の形態の撮像装置1と同様の効果を得ることが可能である。
【0078】
<変形例2>
図21は、変形例7に係る画素(画素20D)の回路構成を、上記実施の形態で説明した列選択部17の回路構成例と共に表したものである。本変形例の画素20Dは、実施の形態の画素20と同様にいわゆるパッシブ型の回路構成となっており、1つの光電変換素子21を有しており、H方向に沿って延在する読み出し制御線Lread、V方向に沿って延在する信号線Lsigとに接続されている。
【0079】
但し、本変形例では、画素20Dが、2つのトランジスタ(トランジスタ22A,22B)を有している。これら2つのトランジスタ22A,22Bは、互いに直列に接続されている(一方のソースまたはドレインと他方のソースまたはドレインとが電気的に接続されている。または、半導体層が一体的に連結して形成されている。)。また、各トランジスタ22A,22Bにおける各ゲートは読み出し制御線Lreadに接続されている。本変形例のように、ゲート電極を並設させることにより、オフリーク(Vg=0Vでの漏れ電流)を低減させることができる。また、ここでは、2つのゲート電極を並設させているが、3つ以上を並設させてもよい。
【0080】
このように、画素20D内に直列接続させた2つのトランジスタ22A,22Bを設けてもよく、この場合にも、上記実施の形態の撮像装置1と同様の効果を得ることが可能である。
【0081】
<変形例3,4>
図22は、変形例3に係る画素(画素20B)の回路構成を、以下説明する列選択部17Bの回路構成例とともに表したものである。また、図23は、変形例4に係る画素(画素20C)の回路構成を、列選択部17Bの回路構成例とともに表したものである。これらの変形例3,3に係る画素20B,20Cはそれぞれ、これまで説明した画素20,20Aとは異なり、いわゆるアクティブ型の画素回路を有している。
【0082】
このアクティブ型の画素20B,20Cには、1つの光電変換素子21と、3つのトランジスタ22,23,24とが設けられている。これらの画素20B,20Cにはまた、H方向に沿って延在する読み出し制御線Lreadおよびリセット制御線Lrstと、V方向に沿って延在する信号線Lsigとが接続されている。
【0083】
画素20B,20Cではそれぞれ、トランジスタ22のゲートが読み出し制御線Lreadに接続され、ソースが信号線Lsigに接続され、ドレインが、ソースフォロワ回路を構成するトランジスタ23のドレインに接続されている。トランジスタ23のソースは電源VDDに接続され、ゲートは、蓄積ノードNを介して、光電変換素子21のカソード(図22の例)またはアノード(図23の例)と、リセット用トランジスタとして機能するトランジスタ24のドレインとに接続されている。トランジスタ24のゲートはリセット制御線Lrstに接続され、ソースにはリセット電圧Vrstが印加されるようになっている。図22の変形例3では、光電変換素子21のアノードがグランドに接続され、図23の変形例4では、光電変換素子21のカソードがグランドに接続されている。
【0084】
また、これらの変形例3,3において列選択部17Bは、前述した列選択部17において、チャージアンプ172、容量素子C1およびスイッチSW1に代わりに、定電流源171およびアンプ176を設けたものとなっている。アンプ176では、正側の入力端子には信号線Lsigが接続されると共に、負側の入力端子と出力端子とが互いに接続され、ボルテージフォロワ回路が形成されている。尚、信号線Lsigの一端側には定電流源171の一方の端子が接続され、この定電流源171の他方の端子には電源VSSが接続されている。
【0085】
このようなアクティブ型の回路構成を有する画素20B,20Cを有する撮像装置においても、読み出し後の残留電荷に起因して残像が発生する。このため、変形例3,3においても、上記実施の形態と同様、複数回のリセット動作を行い、またリセット間隔Aを残像特性に応じて補正することにより、残像を低減して、撮像画像の高画質化を図ることができる。但し、アクティブ型の回路構成を有する画素20B,20Cに対しては、以下のようにして撮像動作(線順次撮像駆動)が行われる。
【0086】
即ち、例えば図24に示したように、線順次読み出し駆動と複数回(ここでは2回)の線順次リセット駆動とが、互いに独立して(間欠的に)行われる。具体的には、読み出し期間Tr1aの線順次動作を行うための線順次読み出し駆動と、1回目のリセット期間(第1リセット期間Tr1b)の線順次動作を行うための1回目の線順次リセット駆動と、2回目のリセット期間(第2リセット期間Tr2)の線順次動作を行うための2回目の線順次リセット駆動とが、互いに独立してなされる。尚、アクティブ型の回路構成の場合、各リセット動作は、リセット用トランジスタとしてのトランジスタ24がオン状態となることによって行われる。
【0087】
<変形例5,6>
図25(A),(B)はそれぞれ、変形例5,5に係る撮像部(撮像部11A,11B)の概略構成を模式的に表したものである。
【0088】
図25(A)に示した変形例5に係る撮像部11Aは、上記実施の形態で説明した光電変換層111上(受光面側)に、更に波長変換層112を有している。波長変換層112は、放射線Rrad(α線,β線,γ線,X線等)を、光電変換層111の感度域に波長変換するものであり、これにより光電変換層111では、この放射線Rradに基づく情報を読み取ることが可能となっている。この波長変換層112は、例えばX線などの放射線を可視光に変換する蛍光体(例えば、シンチレータ)からなる。このような波長変換層112は、例えば有機平坦化膜、スピンオングラス材料等からなる平坦化膜、および蛍光体膜をこの順に積層したものである。蛍光体膜は、例えばCsI:Tl,Gd22S,BaFX(XはCl,Br,I等),NaIまたはCaF2等からなる。この撮像部11Aは、例えばいわゆる間接型の放射線撮像装置に適用されるものである。
【0089】
図25(B)に示した変形例6に係る撮像部11Bは、上記実施の形態と異なり、入射した放射線Rradを電気信号に変換する光電変換層111Bを有するものである。光電変換層111Bは、例えば、アモルファスセレン(a−Se)半導体や、カドミニウムテルル(CdTe)半導体などにより構成されている。この撮像部11Bは、例えばいわゆる直接型の放射線撮像装置に適用されるものである。
【0090】
これらの変形例5,5に係る撮像部11A,11Bを備えた撮像装置では、入射した放射線Rradに基づいて電気信号を得る、様々な種類の放射線撮像装置として利用される。放射線撮像装置としては、例えば、医療用のX線撮像装置(Digital Radiography等)や、空港等で用いられる携帯物検査用X線撮影装置、工業用X線撮像装置(例えば、コンテナ内の危険物等の検査や、鞄等の中身の検査を行う装置)などに適用することが可能である。
【0091】
<変形例7>
上記実施の形態では、複数回のリセット動作の際、各リセット期間(Tr1,Tr2)において、互いに同値のリセット電位Vrstが蓄積ノードNに印加される場合について説明したが、各リセット期間におけるリセット電位Vrstは必ずしも同一でなくともよい。例えば、ゲートパルスとして3値以上を印加可能な回路構成を採用して、リセット期間毎に異なるリセット電位を印加するようにしてもよい。この場合、補正用のルックアップテーブルとしては、上述したリセット間隔Aと残像特性との相関関係に加え、リセット電圧値と残像特性との相関関係についても予め測定を行い、これを保持しておく。このように、リセット間隔(リセットタイミング)に加え、リセット電圧値についても補正パラメータとすることで、上述のような残留電荷排出の効果に加え、リセット動作に伴うリセット電位Vrstの微小変動(チャージインジェクション)を低減することができる。よって、より高画質な画像を得ることが可能となる。
【0092】
また、上記のように、各リセット動作においてリセット電圧値を変化させる場合には、1回目よりも2回目においてリセット電圧値が低くなるように設定することが望ましい。チャージインジェクションをより効果的に低減できるためである。
【0093】
これは、1フレーム期間内に3回以上のリセット駆動を行う場合についても適用可能である。この場合、リセットタイミング補正部18は、1フレーム期間内において最後のリセット動作におけるリセット電圧値がその1つ前のリセット動作におけるそれよりも低く設定されていればよい。即ち、1フレーム期間にn回(nは3以上の整数)のリセット駆動を行う場合には、(n−1)回目よりもn回目におけるリセット電圧値を低く設定すればよい。
【0094】
<適用例>
続いて、上記実施の形態および各変形例(変形例1〜7)に係る撮像装置は、以下に説明するような撮像表示システムへ適用可能である。
【0095】
図26は、適用例に係る撮像表示システム(撮像表示システム5)の概略構成例を模式的に表したものである。撮像表示システム5は、上記実施の形態等に係る撮像部11(11A,11B)等を有する撮像装置1と、画像処理部52と、表示装置4とを備えており、この例では放射線を用いた撮像表示システム(放射線撮像表示システム)として構成されている。
【0096】
画像処理部52は、撮像装置1から出力される出力データDout(撮像信号)に対して所定の画像処理を施すことにより、画像データD1を生成するものである。表示装置4は、画像処理部52において生成された画像データD1に基づく画像表示を、所定のモニタ画面40上で行うものである。
【0097】
この撮像表示システム5では、撮像装置1(ここでは放射線撮像装置)が、光源(ここではX線源等の放射線源)51から被写体50に向けて照射された照射光(ここでは放射線)に基づき、被写体50の画像データDoutを取得し、画像処理部52へ出力する。画像処理部52は、入力された画像データDoutに対して上記した所定の画像処理を施し、その画像処理後の画像データ(表示データ)D1を表示装置4へ出力する。表示装置4は、入力された画像データD1に基づいて、モニタ画面40上に画像情報(撮像画像)を表示する。
【0098】
このように、本適用例の撮像表示システム5では、撮像装置1において被写体50の画像を電気信号として取得可能であるため、取得した電気信号を表示装置4へ伝送することによって画像表示を行うことができる。即ち、従来のような放射線写真フィルムを用いることなく、被写体50の画像を観察することが可能となり、また、動画撮影および動画表示にも対応することが可能となる。
【0099】
尚、本適用例では、撮像装置1が放射線撮像装置として構成されており、放射線を用いた撮像表示システムとなっている場合を例に挙げて説明したが、本開示の撮像表示システムは、他の方式の撮像装置を用いたものにも適用することが可能である。
【0100】
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げたが、本開示内容はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、撮像部における画素の回路構成は、上記実施の形態等で説明したもの(画素20,20A〜20Cの回路構成)には限られず、他の回路構成であってもよい。同様に、行走査部や列選択部等の回路構成についても、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の回路構成であってもよい。
【0101】
また、上記実施の形態等において、リセットタイミングおよびリセット電圧値を補正する際には、更に、環境条件(温度、管電圧、駆動周波数)等を考慮するようにしてもよい。この場合、温度、管電圧および駆動周波数等の各パラメータと残像特性との相関関係を予めルックアップテーブルとして保持しておけばよい。このような環境条件を考慮して、リセットタイミング(または、リセットタイミングおよびリセット電圧値)の補正を行うことにより、環境依存性の高い光電変換素子21が使用される場合に、上述した効果を特に有効に得ることができる。
【0102】
更に、上記実施の形態等では、1フレーム期間において複数回のリセット動作(パッシブ型駆動回路を用いた場合に、読出し動作に伴って行われるリセット動作を含む)がなされる場合を例示したが、本開示は、1フレーム期間において1回のみのリセット動作がなされる場合にも適用可能である。上述のように、読み出し後において時間経過と共に蓄積される電荷が適切なタイミングにおけるリセット動作により排出されれば、本開示の効果を得ることができる。
【0103】
例えばアクティブ型の回路構成を用いた場合には、上述のように読み出し動作とリセット動作とが互いに独立してなされるため、読み出し動作直後に行うリセット動作のタイミングを調整可能である。このため、1フレーム期間内においてリセット動作を1回のみ行うようにリセット駆動を行う場合に、読み出し期間とその1回のリセット期間との時間間隔(上述のリセット間隔Aに相当)を、残像特性との関係から最適化することができる。即ち、上記実施の形態等と同様の手順により、読み出し期間とリセット期間との時間間隔(読み出し・リセット間隔とする)と残像特性との相関関係を、予め作成、保持しておくことにより、その読み出し・リセット間隔を最適化して、残留電荷に起因する残像発生を抑制可能である。
【0104】
更に、上記実施の形態等で説明した撮像部、行走査部、A/D変換部(列選択部)および列走査部等はそれぞれ、例えば同一基板上に形成されているようにしてもよい。具体的には、例えば低温多結晶シリコンなどの多結晶半導体を用いることにより、これらの回路部分におけるスイッチ等も同一基板上に形成することができるようになる。このため、例えば外部のシステム制御部からの制御信号に基づいて、同一基板上における駆動動作を行うことが可能となり、狭額縁化(3辺フリーの額縁構造)や配線接続の際の信頼性向上を実現することができる。
【0105】
尚、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)各々が光電変換素子を含む複数の画素を有する撮像部と、前記画素内に蓄積された信号電荷の読み出し駆動およびリセット駆動を行う駆動部と、前記撮像部から出力される画像において残像が低減されるように、前記リセット駆動を行うタイミングを補正する補正部とを備えた撮像装置。
(2)前記駆動部は、前記リセット駆動を1フレーム期間内で間欠的に複数回行い、前記補正部は、各リセット駆動動作の時間間隔(リセット間隔)を最適化することにより前記タイミングを補正する上記(1)に記載の撮像装置。
(3)前記補正部は、前記リセット間隔と残像特性との相関関係を予め保持すると共に、前記相関関係を用いて所望の残像値以下となるリセット間隔を選択し、選択したリセット間隔に応じて前記タイミングを調整する上記(2)に記載の撮像装置。
(4)前記駆動部による読み出し駆動に伴って、前記画素内の信号電荷のリセット動作がなされる上記(2)または(3)に記載の撮像装置。
(5)前記駆動部は、1フレーム期間において、前記読み出し駆動に伴うリセット動作を1回目のリセット動作として、この1回目のリセット動作後、間欠的に1または2以上のリセット動作がなされるように、前記リセット駆動を複数回にわたって行う上記(4)に記載の撮像装置。
(6)前記駆動部は、1フレーム期間において、前記1回目のリセット動作を含む計n回(nは2以上の整数)のリセット動作がなされるように複数回のリセット駆動を行うと共に、(n−1)回目のリセット動作後、前記補正後のタイミングに基づいてn回目のリセット駆動を行う上記(5)に記載の撮像装置。
(7)前記駆動部は、1フレーム期間において、前記1回目のリセット動作を含む計2回のリセット駆動を行う上記(6)に記載の撮像装置。
(8)前記補正部は、前記タイミングと共に、前記リセット動作の際に前記画素のトランジスタに印加するリセット電圧を補正する上記(1)〜(7)のいずれかに記載の撮像装置。
(9)前記駆動部は、1フレーム期間において、前記1回目のリセット動作を含む計n回(nは2以上の整数)のリセット動作がなされるように複数回のリセット駆動を行うと共に、前記補正部によって補正されたリセット電圧を用いてn回目のリセット駆動を行う上記(8)に記載の撮像装置。
(10)前記駆動部は、前記n回目のリセット駆動を、(n−1)回目よりも低いリセット電圧を用いて行う上記(9)に記載の撮像装置。
(11)前記補正部は、前記タイミングの補正を、環境条件を考慮して行う上記(1)〜(10)のいずれかに記載の撮像装置。
(12)前記補正部は、前記タイミングの補正を、装置起動前または動画撮影前に行う上記(1)〜(11)のいずれかに記載の撮像装置。
(13)前記光電変換素子が、PIN型のフォトダイオードまたはMIS型センサからなる上記(1)〜(12)のいずれかに記載の撮像装置。
(14)前記撮像部が、入射した放射線に基づいて電気信号を発生させるものである上記(1)〜(13)のいずれかに記載の撮像装置。
(15)前記撮像部は、前記光電変換素子上に、放射線を前記光電変換素子の感度域に変換する波長変換層を有する上記(14)に記載の撮像装置。
(16)前記放射線がX線である上記(14)または(15)に記載の撮像装置。
(17)前記複数の画素を駆動するためのトランジスタを有し、前記トランジスタは、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコンまたは酸化物半導体よりなる上記(14)〜(16)のいずれかに記載の撮像装置。
(18)撮像装置と、この撮像装置により得られた撮像信号に基づく画像表示を行う表示装置とを備え、前記撮像装置は、各々が光電変換素子を含む複数の画素を有する撮像部と、前記画素内に蓄積された信号電荷の読み出し駆動およびリセット駆動を行う駆動部と、前記撮像部から出力される画像において残像が低減されるように、前記リセット駆動を行うタイミングを補正する補正部とを有する撮像表示システム。
【符号の説明】
【0106】
1…撮像装置、11,11A,11B…撮像部、111,111B…光電変換層、112…波長変換層、13…行走査部、130…単位回路、131,132…シフトレジスタ回路(S/R)、135A,135B…バッファ回路、133A〜133D…AND回路、134A,134B…OR回路、14…A/D変換部、15…列走査部、16…システム制御部、17,17B…列選択部、171…定電流源、172…チャージアンプ、173…S/H回路、174…マルチプレクサ回路、175…A/Dコンバータ、176…アンプ、20,20A〜20C…画素(撮像画素)、21…光電変換素子、21P…p型半導体層、21N…n型半導体層、21I…真性半導体層(i領域)、21G…ゲート電極、22,23,24…トランジスタ、4…表示装置、40…モニタ画面、5…撮像表示システム、50…被写体、51…光源(放射線源)、52…画像処理部、Lsig…信号線、Lread…読み出し制御線、Lrst…リセット制御線、Lcarst…アンプリセット制御線、Dout…出力データ、Dt…補正データ、D1…撮像信号、Vrst…リセット電圧、N…蓄積ノード、SW1,SW2…スイッチ、C1…容量素子、Cgp,Cdp…寄生容量、VST1,VST2…スタートパルス信号、CLK1,CLK2…クロック信号、EN1〜EN4…イネーブル信号、ΔTv…1垂直期間(1フレーム期間)、Tex…露光期間、Tr1…読み出し/第1リセット期間、Tr1a…読み出し期間、Tr1b…第1リセット期間、Tr2…第2リセット期間、Lin…撮像光、Rrad…放射線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が光電変換素子を含む複数の画素を有する撮像部と、
前記画素内に蓄積された信号電荷の読み出し駆動およびリセット駆動を行う駆動部と、
前記撮像部から出力される画像において残像が低減されるように、前記リセット駆動を行うタイミングを補正する補正部と
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記リセット駆動を1フレーム期間内で間欠的に複数回行い、
前記補正部は、各リセット駆動動作の時間間隔(リセット間隔)を最適化することにより前記タイミングを補正する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記補正部は、
前記リセット間隔と残像特性との相関関係を予め保持すると共に、前記相関関係を用いて所望の残像値以下となるリセット間隔を選択し、
選択したリセット間隔に応じて前記タイミングを調整する
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記駆動部による読み出し駆動に伴って、前記画素内の信号電荷のリセット動作がなされる
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記駆動部は、1フレーム期間において、前記読み出し駆動に伴うリセット動作を1回目のリセット動作として、この1回目のリセット動作後、間欠的に1または2以上のリセット動作がなされるように、前記リセット駆動を複数回にわたって行う
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記駆動部は、1フレーム期間において、前記1回目のリセット動作を含む計n回(nは2以上の整数)のリセット動作がなされるように複数回のリセット駆動を行うと共に、(n−1)回目のリセット動作後、前記補正後のタイミングに基づいてn回目のリセット駆動を行う
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記駆動部は、1フレーム期間において、前記1回目のリセット動作を含む計2回のリセット駆動を行う
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記補正部は、前記タイミングと共に、前記リセット動作の際に前記画素のトランジスタに印加するリセット電圧を補正する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記駆動部は、1フレーム期間において、前記1回目のリセット動作を含む計n回(nは2以上の整数)のリセット動作がなされるように複数回のリセット駆動を行うと共に、前記補正部によって補正されたリセット電圧を用いてn回目のリセット駆動を行う
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記駆動部は、前記n回目のリセット駆動を、(n−1)回目よりも低いリセット電圧を用いて行う
請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記補正部は、前記タイミングの補正を、環境条件を考慮して行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記補正部は、前記タイミングの補正を、装置起動前または動画撮影前に行う
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記光電変換素子が、PIN型のフォトダイオードまたはMIS型センサからなる
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記撮像部が、入射した放射線に基づいて電気信号を発生させるものである
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記撮像部は、前記光電変換素子上に、放射線を前記光電変換素子の感度域に変換する波長変換層を有する
請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記放射線がX線である
請求項14に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記複数の画素を駆動するためのトランジスタを有し、
前記トランジスタは、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコンまたは酸化物半導体よりなる
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項18】
撮像装置と、この撮像装置により得られた撮像信号に基づく画像表示を行う表示装置とを備え、
前記撮像装置は、
各々が光電変換素子を含む複数の画素を有する撮像部と、
前記画素内に蓄積された信号電荷の読み出し駆動およびリセット駆動を行う駆動部と、
前記撮像部から出力される画像において残像が低減されるように、前記リセット駆動を行うタイミングを補正する補正部とを有する
撮像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−90124(P2013−90124A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228628(P2011−228628)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】