撮像装置及びその制御方法、並びにプログラム
【課題】被写体に対してLEDにより発光する撮像装置の振れによって撮像画像に生じる影響を抑制する。
【解決手段】撮像装置202は、撮像装置202の振れの度合いを検出し、検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するためにLED発光部135が発光する発光時間を演算する。そして、演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、LED発光部135に供給する電流の電流値を演算する。こうして演算された発光時間、及び演算された電流値により、LED発光部135を制御する。
【解決手段】撮像装置202は、撮像装置202の振れの度合いを検出し、検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するためにLED発光部135が発光する発光時間を演算する。そして、演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、LED発光部135に供給する電流の電流値を演算する。こうして演算された発光時間、及び演算された電流値により、LED発光部135を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
キセノン管とLEDを撮影補助光として配備し、撮影環境に応じて発光手段を切り替え制御するカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この技術では、手ぶれ検出手段を備え、検出された手ぶれが所定のレベルを超えた場合はキセノン管発光部に照射させ、検出された手ぶれが所定のレベル以下の場合はLED発光部に照射させる発光制御を特徴としている。
【0004】
また、この技術は、手ぶれ検出手段の検出結果と、撮影レンズの撮影時の焦点距離との双方に基づいて発光部を選択することを特徴としている。
【0005】
さらに、この技術では、撮影前の被写体像の動きを検出し、撮影時の被写体像のぶれを予測する手段を備え、予測された被写体像ぶれが所定のレベルを超えた場合はキセノン管発光部に照射させる。そして、予測された被写体像ぶれが所定のレベル以下の場合はLED発光部に照射させる発光制御を特徴としている。
【0006】
これにより、撮影から次の撮影までの待機時間を短縮するとともに、被写体像のぶれを低減している。
【0007】
LEDはキセノン管が照射する光の輝度に比べ相対的に低い輝度の光を照射するため、キセノン管が照射する光の輝度と同等にするためにはLEDを複数同時に発光させるか、発光時間を長くして輝度の時間積分値を大きくする必要があることは広く知られている。
【0008】
また、LEDに大電流を流した場合、LEDが発熱する事により、発光電流と発光輝度の特性における線形性が崩れることも広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−25157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記技術では、キセノン管とLEDを撮影補助光として配備しているため、機構実装スペースとコストが必要となる。また、撮影補助光としての発光部をLEDのみとした場合において、複数のLEDを同時発光して全体の輝度を高くするためには、先行技術と同じく機構実装スペースとコストが必要となる。
【0011】
さらに、撮影補助光としての発光部をLEDのみとした場合において、撮影露光中の発光時間を長くして輝度の時間積分値を大きくするためには、手ぶれや被写体ぶれが問題とならない撮影環境である事が必要となり、用途が限定されてしまう。
【0012】
また、撮影補助光としての発光部をLEDのみとした場合において、LEDに大電流を流して輝度を高くするためには、非線形となる発光輝度特性や、LEDの許容損失に注意が必要となり、ストロボ撮影時の消費電力が増加してしまう。
【0013】
本発明の目的は、被写体に対してLEDにより発光する撮像装置の振れによって撮像画像に生じる影響を抑制した撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1の撮像装置は、被写体を光学部材を介して撮像する撮像素子と、被写体に対してLEDにより発光する発光手段とを備えた撮像装置であって、前記撮像装置の振れの度合いを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するために前記発光手段が発光する発光時間を演算する第1演算手段と、前記第1演算手段により演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、前記発光手段に供給する電流の電流値を演算する第2演算手段と、前記第1演算手段により演算された発光時間、及び前記第2演算手段により演算された電流値により、前記発光手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被写体に対してLEDにより発光する撮像装置の振れによって撮像画像に生じる影響を抑制した撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1のCPUにより実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】振れ検出部により検出された複合波である振れ信号と、近似した1Hzの単周波をそれぞれ示す図である。
【図4】近似した1Hzの単周波から本発光時間の演算方法を説明するための図である。
【図5】錯乱円、ブレ許容錯乱円を示す図である。
【図6】LED発光電流と、光度との関係を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図8】図7のCPUにより実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】振れ残り量の検出方法を説明するための図であり、(A)はシフトレンズの光軸が被写体に対して垂直な状態を示し、(B)は撮像装置が傾いた状態を示し、(C)はシフトレンズの振れ補正制御後の状態を示している。
【図10】第3の実施の形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図11】図10のCPUにより実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図13】図12のCPUにより実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図12のCPUにより実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置202の概略構成を示す図である。
【0019】
図1において、撮像装置202は、CPU104、LED発光部135、電流制御部136、撮像レンズ109、撮像素子107、撮像部103、電池100、電源部102、振れ検出部115、ROM105、及び操作部101で構成される。
【0020】
電池100は、着脱可能な電池である。電源部102は、撮像装置202のストロボブロックや各動作ブロックに必要な電源を、電池100から変換して供給する。
【0021】
操作部101は、撮像装置202を起動したり、撮像パラメータの設定を変更したり、撮影する時に操作するための操作SWである。
【0022】
撮像部103は、光学部材である撮像レンズ109を介して外部から取り込んだ入射光を、被写体を光学部材を介して撮像する撮像素子107で電気信号に変換し、画像データとして処理するための画像信号処理を行う。
【0023】
CPU104は、各演算処理を行う演算部200を備え、撮像装置202の各動作ブロックの全体制御を行う中央演算処理装置である。ROM105は、撮像装置202が起動するための起動プログラムなどが格納されている不揮発性メモリである。
【0024】
振れ検出部115は、撮像装置202の振れの度合いを電気信号として出力する。振れの度合いの検出には不図示の角速度センサがよく使用されており、この角速度センサは圧電素子等の振動材を一定周波数で振動させ、回転運動成分により発生するコリオリ力による力を電圧に変換して角速度情報を得ている。
【0025】
LED発光部135は、被写体に対して発光する発光手段に対応し、撮像補助光として被写体を照射する。電流制御部136は、LED発光部135に供給する電流の電流値を制御する。
【0026】
図2は、図1のCPU104により実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0027】
図2において、CPU104からの発光信号により、予め設定されているプリ発光時間にて、LED発光部135がプリ発光を行う(ステップS101)。発光時の発光電流は、電流制御部136により一定電流で制御され、その電流値は、予め設定されている電流値となっている。
【0028】
次いで、LED発光部135がプリ発光で発した光による被写体反射光より、CPU104が本露光時に必要な本発光量を演算する(ステップS102)。この本発光量の演算方法については後述する。
【0029】
次いで、撮像装置202の振れの度合いを検出する(ステップS103)。このステップS103は、撮像装置202の振れの度合いを検出する検出手段に対応する。そして、検出した振れの度合いから、撮像時に被写体ブレを許容範囲内に収められるLED発光部135の最長発光時間を演算する(ステップS104)。この最長発光時間の演算方法については後述する。このステップS104は、ステップS103により検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するためにLED発光部135が発光する発光時間を演算する第1演算手段に対応する。
【0030】
さらに、最長発光時間で本発光量となる本発光電流値を演算し(ステップS105)、演算された本発光電流値で本発光制御を行い(ステップS106)、本処理を終了する。上記本発光電流値の演算方法については後述する。上記ステップS105は、ステップS104により演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、LED発光部135に供給する電流の電流値を演算する第2演算手段に対応する。また、ステップS106は、ステップS104により演算された発光時間、及びステップS105により演算された電流値により、LED発光部135を制御する制御手段に対応する。
【0031】
上記ステップS102で行われる本発光量の演算方法について説明する。ここでは、一般的なプリ発光と本発光の2回発光方式による本発光量の演算方法について説明する。
【0032】
まず、主被写体反射光を受光して生成した画像信号を処理して得られたデータからCPU104の演算によって輝度値が得られる。そして、この輝度値を用いて、適正輝度レベルからの差を次式より求める。
【0033】
ΔEv = log2( ( YFL − YDL ) / ( Yref − YDL ) ) …(式1)
ΔEv : 外光(定常光)輝度値と適正輝度値の差
YDL :外光(定常光)輝度値
YFL :プリ発光時の輝度値
Yref : 基準となる適正輝度値
上記式において、YFLはLED発光部135がプリ発光で発した光と外光(定常光)が重なることによって測光された輝度値である。適正輝度値に対する純粋なストロボ光のみの光量を求めるため、外光(定常光)のみから測光した輝度値を、LED発光部135がプリ発光した際に測光した輝度値から差し引く。
【0034】
YFLの測光では外光(定常光)の影響を減らすため電子シャッターを速く切り、同じシャッタースピードで露光したYDLを差し引く事で、CPU104はLED発光部135がプリ発光で発した光のみの正確な輝度値を得る事ができる。
【0035】
また、絞り制御や、シャッター制御、撮像時のゲインを考慮すれば、外光(定常光)輝度値と適正輝度値の差は次式より求める事が出来る。
【0036】
ΔEv = log2 ((( YFL − YDL )・AvDG ) / ( Yref・Ka・Kb − YDL・AvTvDG ))
…(式2)
AvDG = 2( ΔAv + ΔDG )
AvTvDG = 2( ΔAv + ΔTv + ΔDG )
ΔAv = EFPreAv − EFHAv
ΔTv = EFPreTv − EFHTv
ΔDG = − ( EFPreDG − EFHDG )
Ka : 露出補正係数
Kb : 感度補正係数
EFPreAv : プリ発光測光用のAv値
EFHAv : 本発光測光用のAv値
EFPreTv : プリ発光測光用のTv値
EFHTv : 本発光測光用のTv値
EFPreDG : プリ発光用のDeltaGain
EFHDG : 本発光用のDeltaGain
上記式1、または式2のいずれかにより、本発光量の演算を行う。
【0037】
次いで、ステップS104で行われる最長発光時間の演算方法について説明する。ステップS104では、ステップS103で検出した振れの度合いから、撮像時に被写体ブレを許容範囲内に収められる、LED発光部135の本発光時間を演算することとなる。
【0038】
まず、振れ検出部115において、検出される振れ信号は、角速度[deg/sec]をy、時間[sec]をtとすると式(3)、式(4)のように表現できる。
【0039】
y = f(t)…(式3)
f = Σ a i ・ sin t i…(式4)
上記和は、i=1〜mまでの和である
ここで、複合波である振れ信号は、約1Hz〜10Hzの低域における振幅が最も大きくなる傾向がある事が広く知られており、本実施の形態においては複合波である振れ信号を、図3に示されるように、最大振幅を包含する1Hzの単周波に近似して考える。
【0040】
図3は、振れ検出部115により検出された複合波である振れ信号と、近似した1Hzの単周波をそれぞれ示す図である。
【0041】
図4は、近似した1Hzの単周波から本発光時間の演算方法を説明するための図である。
【0042】
図4において、図4(A)と図4(C)は、それぞれレンズの中心を通り撮像素子に垂直となる図示した中心線から角度αの傾きをもって、仮想的な点光源から放たれた光がレンズの中心を通り撮像素子に入射される時の状態を示している。
【0043】
また、図4(B)は、仮想的な点光源から放たれた光がレンズの中心を通り撮像素子に垂直に入射される時の状態を示している。
【0044】
さらに、図4(A)と図4(C)において、撮像素子上で仮想的な点光源から放たれた光がもっとも強く収束する点をそれぞれq、rとする。
【0045】
また、図4(B)において、焦点距離をD0、撮像素子上で仮想的な点光源から放たれた光がもっとも強く収束する点をpとする。ここで、この角度αは、近似した1Hzの単周波における、最も大きい振幅角であり、近似した1Hzの単周波の波高値をA1とした時に、下記式5のような時間積分値として示すことができる。
【0046】
α(t) = ∫t A1・sin τ dτ…(式5)
また、図4(A)と図4(C)において、レンズから撮像素子までの焦点距離をD0とすると、上述した撮像素子上で仮想的な点光源から放たれた光がもっとも強く収束する点qとrは、pを中心とする同一円周上にある。そして、その時の半径ΔDは、式6となる。
【0047】
ΔD(t) = D0・tan α(t)…(式6)
このΔDは、撮像装置202が近似した1Hzの単周波で振れている場合の、仮想的な点光源から放たれた光がもっとも強く収束する点が撮像素子上に結像する錯乱円の半径である。
【0048】
従って、撮像画像のブレが所定の範囲内に収まるように低減するためには、上述したΔDを所定の錯乱円(以下、「ブレ許容錯乱円」という)の半径よりも小さくする必要がある。
【0049】
図5は、錯乱円、ブレ許容錯乱円を示す図である。
【0050】
ここで、撮像素子の画素ピッチをD1、nを任意の係数(実数)とすると、上述した撮像画像のブレが所定の範囲内に収まる時のブレ許容錯乱円の半径は、D1のn倍であるnD1と定義できる。つまり、近似した1Hzの単周波の振幅が下記式7を満足させる時間内に撮像補助光を照射して露光すれば、撮像画像のブレが所定の範囲内に収まる事になる。
【0051】
n D1 ≧ ΔD(t)…(式7)
上記ステップS108で演算するのは、撮像画像のブレが所定の範囲内に収まる時の最長時間であるから、上述したnD1とΔDが等しくなる時の時間を演算すればいい。よって、式(式5)、(式6)、(式7)より時間について解くと、tは、式8で示される。
【0052】
t = cos-1( 1 / A1 ・ tan-1( n D1 / D0 ) )…(式8)
ここで求めた時間がLED発光部135を本発光制御する際の最長発光時間となる。この最長発光時間で発光制御すれば、適正輝度を得るために必要な光量となる発光電流を最小にすることができる。
【0053】
よって、撮像画像のブレが所定の範囲内に収まるだけでなく、LEDの発光特性において積極的に効率の良いところを使用することができる。
【0054】
図6は、LED発光電流と、光度との関係を示す図である。
【0055】
図6において、ある電流値(臨界点)を超えると、線形性が保たれなくなることが示されている。そこで、上記効率の良いところとは、図6に示した特性の線形性が保たれているところまでである。
【0056】
線形特性が非線形特性になる臨界点は、LEDの単体バラツキと温度バラツキにより変化するため、積極的に発光電流を小さく抑えて発光制御しなければ、効率の良いところを利用できない可能性がある。
【0057】
次いで、ステップS105で行われる本発光電流値の演算方法について説明する。
【0058】
これは、予め撮像装置202に記録されているLED発光部135発光量と発光電流、及び発光時間のテーブルから、ステップS102で演算されたΔEvに相当する発光電流を直線補間するという方法となっている。
【0059】
ここで、本実施の形態のプリ発光の制御において、撮像素子やその他の調光手段から読み出した輝度信号の時間積分値を基に、所定の輝度レベルとなったところで発光停止する方法でも構わない。
【0060】
また、本実施の形態では振れ検出部115として角速度センサを使用した例を説明したが、加速度センサを使用した手段やその他の振れ検出手段でも構わない。
【0061】
さらに、図2のフローチャートでは本発光量を演算した後で振れ検出を行なっているが、プリ発光して演算するまでの制御と、振れを検出する制御は並行して処理しても構わない。
【0062】
また、本実施の形態では検出された振れ信号を1Hzの単周波に近似して本発光時間を演算したが、直接複合波から本発光時間を演算しても構わない。
【0063】
さらに、演算された発光電流が、LEDが許容できる所定の電流値以上であった場合は、撮像装置202はLEDが許容できる所定の電流値を発光電流値として選択し、上記で演算されたΔEvに相当する発光時間となるように発光制御しても構わない。
【0064】
この時、LEDが許容できる所定の電流値を発光電流値として選択した後で、ISO感度設定を上げるように制御して、発光時間を制御しても構わない。
【0065】
また、LEDが許容できる所定の電流値を発光電流値として選択した後で、絞りを開放に制御して、発光時間を制御しても構わない。
【0066】
以上説明した第1の実施の形態により、手ぶれが懸念される撮像状況でも、ある一定のレベル以下にぶれを低減した画像をユーザは得ることができる。また、手ぶれが懸念されない撮像状況においては、ストロボ撮像時の消費電力を低く抑えることができる。
【0067】
従って、撮像補助光としての発光部がLEDのみの構成で、撮像画像のぶれ低減と、ストロボ撮像時の消費電力低減の最適化を図ることができるという効果が得られる。
【0068】
このように、第1の実施の形態によれば、撮像装置202は、撮像装置202の振れの度合いを検出し、検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するためにLED発光部135が発光する発光時間を演算する。そして、演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、LED発光部135に供給する電流の電流値を演算する。こうして演算された発光時間、及び演算された電流値により、LED発光部135を制御する。その結果、被写体に対してLEDにより発光する撮像装置の振れによって撮像画像に生じる影響を抑制することができる。
【0069】
[第2の実施の形態]
図7は、第2の実施の形態に係る撮像装置202の概略構成を示す図である。
【0070】
図7において、第1の実施の形態と異なる点は、シフトレンズ111及びシフトレンズ駆動制御部113、及びA/D部204が追加された点である。
【0071】
第2の実施の形態における撮像装置202は、振れ検出部115からの振れ信号より演算した振れ補正量に基づいて、CPU104がシフトレンズ駆動制御部113へ指令して、制御対象であるシフトレンズ111を目標位置へ駆動させる制御を行なっている。
【0072】
図8は、図7のCPU104により実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0073】
図8において、CPU104からの発光信号により、予め設定されているプリ発光時間にて、LED発光部135がプリ発光を行う(ステップS201)。発光時の発光電流は、電流制御部136により一定電流で制御され、その電流値は、予め設定されている電流値となっている。
【0074】
次いで、LED発光部135がプリ発光で発した光による被写体反射光より、CPU104が本露光時に必要な本発光量を演算する(ステップS202)。この本発光量の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0075】
次いで、撮像装置202の振れの度合いを検出する(ステップS203)。このステップS203は、撮像装置202の振れの度合いを検出する検出手段に対応する。そして、振れ補正量を演算する(ステップS204)。この振れ補正量の演算については後述する。次いで、演算した振れ補正量を基に、防振処理を行う(ステップS205)。この防振処理では、演算した振れ補正量を基に、シフトレンズ駆動制御部113がシフトレンズ111を目標位置へ駆動する。そして、シフトレンズ111の実位置を取得する事により、これら目標位置と実位置の偏差をゼロにするようなフィードバック制御が行なわれる。
【0076】
従って、上記ステップS205は、ステップS203により検出された振れの度合いから、撮像装置202の振れによる撮像画像への影響を、撮像レンズ109を用いて光学的に補正する補正手段に対応する。
【0077】
この防振処理によっても補正しきれない量が発生することもあるので、振れ残りの度合いを検出する(ステップS206)。この検出方法については後述する。
【0078】
検出した振れ残りの度合いから、撮像時に被写体ブレを許容範囲内に収められるLED発光部135の最長発光時間を演算する(ステップS207)。この最長発光時間の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0079】
さらに、最長発光時間で本発光量となる本発光電流値を演算し(ステップS208)、演算された本発光電流値で本発光制御を行い(ステップS209)、本処理を終了する。上記本発光電流値の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。従って、ステップS208では、補正後の振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するためにLED発光部135が発光する発光時間を演算する。
【0080】
上記ステップS204における振れ補正量の演算について説明する。撮像装置202に外部から与えられた振れを補正する手段として、光学式手振れ補正方式、撮像素子手振れ補正方式等がある。
【0081】
光学式手振れ補正方式は、略垂直な平面内で移動する像振れ補正用の支持体としてのシフトレンズ111を、振れ補正だけ移動することにより、撮像素子上で結像された画像から振れを取り除く方式である。
【0082】
撮像素子式手振れ方式は、略垂直な平面内で移動する像振れ補正用の支持体としての撮像素子107を、振れ補正量だけ移動することにより、画像から補正を取り除く方式である。
【0083】
いずれの方式であっても第2の実施の形態に適用できるため、ここでは光学式手振れ補正の構成を例として説明を行なう。
【0084】
補正量の演算は、まず振れ検出部115からの振れ信号をサンプリングして、A/D部204でアナログデータをデジタルデータに変換する。
【0085】
次に、不図示のデジタルハイパスフィルタで所定の高周波数帯域を通過させ、振れ検出部の温度ドリフト成分等の低周波数帯域を遮断する。最後に、不図示のデジタルローパスフィルタで積分した値が振れ補正量となる。
【0086】
次に、上記ステップS206での検出方法について説明する。まず、光学式手振れ補正におけるシフトレンズ111の駆動範囲は、メカニカルな限界、および光学的性能による限界により定まる。
【0087】
図9は、振れ残り量の検出方法を説明するための図であり、(A)はシフトレンズ111の光軸が被写体に対して垂直な状態を示し、(B)は撮像装置202が傾いた状態を示し、(C)はシフトレンズ111の振れ補正制御後の状態を示している。
【0088】
図9(A)のように、レンズの光軸が被写体に対して垂直な状態から、図9(B)のようにカメラが傾いた場合、図9(A)における撮像素子107の被写体像からの振れ量をΔD1とする。
【0089】
次に、図9(B)に示される状態から、図9(C)に示されるシフトレンズ111の振れ補正制御後の状態において、図9(A)における撮像素子107の被写体像からの振れ量が、ΔD2(ΔD1>ΔD2)となる。
【0090】
ステップS206では、この振れ残り量を検出して、撮像画像のブレが上述したブレ許容錯乱円内に収まるように発光時間を演算する。
【0091】
ここで、図8のストロボ撮像処理では本発光量を演算した後で振れ残り検出を行なっているが、プリ発光して演算するまでの制御と、振れ検出から防振制御して振れ残りを検出するまでの制御は並行して処理しても構わない。
【0092】
また、検出された振れ信号を基に、光学式手振れ補正方式や撮像素子手振れ補正方式以外の補正手段を用いても構わない。
【0093】
以上説明した第2の実施の形態により、手ぶれ補正残りが懸念される撮像状況でも、ある一定のレベル以下にぶれを低減した画像をユーザは得ることができる。また、手ぶれ補正残りが懸念されない撮像状況においては、ストロボ撮像時の消費電力を低く抑える事ができる。
【0094】
従って、撮像補助光としての発光部がLEDのみの構成で、撮像画像のぶれ低減と、ストロボ撮像時の消費電力低減の最適化を図ることができるという効果が得られる。
【0095】
[第3の実施の形態]
図10は、第3の実施の形態に係る撮像装置202の概略構成を示す図である。
【0096】
図10において、第1の実施の形態と異なる点は、振れ検出部115に代えて、動きベクトル検出部117が備わり、被写体動き量予測部206が追加された点である。
【0097】
動きベクトル検出部117は、被写体像の動きベクトルを検出する。被写体動き量予測部206は、被写体像の動き量を予測する。
【0098】
図11は、図10のCPU104により実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0099】
図11において、CPU104からの発光信号により、予め設定されているプリ発光時間にて、LED発光部135がプリ発光を行う(ステップS301)。発光時の発光電流は、電流制御部136により一定電流で制御され、その電流値は、予め設定されている電流値となっている。
【0100】
次いで、LED発光部135がプリ発光で発した光による被写体反射光より、CPU104が本露光時に必要な本発光量を演算する(ステップS302)。この本発光量の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0101】
次いで、動きベクトル検出部117により、単位時間当たりの被写体像の動きベクトルを検出する(ステップS303)。このステップS303は、撮像素子107における被写体像の動きを示す動きベクトル検出することにより、撮像装置202の振れの度合いを検出する。
【0102】
具体的には、撮像装置がピントを合わせた測距領域において、撮像素子107から読み出したフレーム毎の画像信号を基に、認識した被写体像の画像信号の差分から、単位時間当たりの被写体像の動きベクトルを検出する。
【0103】
ここで、画像信号の差分とは、認識した被写体画像を微分回路でエッジ検出して得られた画像領域の大きさや、色差、色相、輝度差等の画像信号レベルの変化量である。
【0104】
次いで、検出した単位時間当たりの被写体像の動きベクトルを基に、被写体動き量予測部206により、本露光時の被写体像の動き量を予測する(ステップS304)。このステップS304は、ステップS303により検出された動きベクトルから、被写体像の動き量を予測する予測手段に対応する。
【0105】
この予測方法としては、単位時間内で検出された被写体像の動きベクトルから、単純移動平均手法を用いて予測する。
【0106】
予測した被写体像の動き量から、撮像時に被写体ブレを許容範囲内に収められるLED発光部135の最長発光時間を演算する(ステップS305)。この最長発光時間の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。従って、ステップS305では、ステップS304により予測された被写体像の動き量が示す振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するためにLED発光部135が発光する発光時間を演算する。
【0107】
さらに、最長発光時間で本発光量となる本発光電流値を演算し(ステップS306)、演算された本発光電流値で本発光制御を行い(ステップS307)、本処理を終了する。上記本発光電流値の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0108】
このように、被写体像の動き量を予測し、撮像画像のブレが上述したブレ許容錯乱円内に収まるように発光時間を演算するにしている。
【0109】
ここで、図11のストロボ撮像処理ではでは本発光量を演算した後で単位時間当たりの被写体像の動きを検出し予測を行なっている。しかし、プリ発光して演算するまでの制御と、単位時間当たりの被写体像の動きを検出し予測するまでの制御は並行して処理しても構わない。
【0110】
また、被写体像の動きベクトルの検出は、上述した方法でなくても構わない。また、被写体像の動き量を予測する方法は、加重移動平均や累積移動平均等の各種移動平均法、または別の方法でも構わない。
【0111】
以上説明した第3の実施の形態により、被写体ぶれが懸念される撮像状況でも、所定のレベル以下にぶれを低減した画像をユーザは得ることができる。また、被写体ぶれが懸念されない撮像状況においては、ストロボ撮像時の消費電力を低く抑える事ができる。
【0112】
従って、撮像補助光としての発光部がLEDのみの構成で、撮像画像のぶれ低減と、ストロボ撮像時の消費電力低減の最適化を図ることができるという効果が得られる。
【0113】
[第4の実施の形態]
図12は、第4の実施の形態に係る撮像装置202の概略構成を示す図である。
【0114】
図12において、第1の実施の形態と異なる点は、昇圧部138が追加された点である。
【0115】
第4の実施の形態における撮像装置202は、演算した本発光量は閾値以上の場合、電池100から充電した不図示のメインキャパシタの電圧を昇圧部138による昇圧する昇圧制御を行う。
【0116】
図13は、図12のCPU104により実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0117】
図13において、CPU104からの発光信号により、予め設定されているプリ発光時間にて、LED発光部135がプリ発光を行う(ステップS401)。発光時の発光電流は、電流制御部136により一定電流で制御され、その電流値は、予め設定されている電流値となっている。
【0118】
次いで、LED発光部135がプリ発光で発した光による被写体反射光より、CPU104が本露光時に必要な本発光量を演算する(ステップS402)。この本発光量の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0119】
次いで、ステップS402で演算した本発光量が閾値以上か否かを判断する(ステップS403)。本発光量が閾値以上であれば昇圧部138を制御して不図示のメインキャパシタの電圧を昇圧する(ステップS404)。一方、ステップS402で演算した本発光量が閾値未満であれば昇圧制御をせずに撮像装置202の振れの度合いを検出する(ステップS405)。ここでの閾値は、不図示のメインキャパシタに充電されている電気エネルギーで出力可能な、ストロボ発光時の発光量の最小値である。
【0120】
以降のステップS406〜S408は、図2のステップS104〜S106と同様であるため説明は省略する。
【0121】
次に、ステップS404における昇圧制御について具体的に説明する。一般的にLEDストロボで使用するメインキャパシタには、電気二重層キャパシタを2直接続で使用することが多い。電気二重層キャパシタを使用する場合、キャパシタ内部の等価直列抵抗(以下、ESR)を低く抑える目的で、有機系の電解液が一般的に多く使われている。
【0122】
有機系の電解液で2直接続とした場合、実仕様上の耐圧としては約5.0Vであり、それ以上の直流電圧を印加すれば特性劣化が著しく、ESRの増加、容量の低下により所望の電気的特性が得られなくなってしまう。よって、電気二重層キャパシタの充電制御電圧は約5.0Vとなる。
【0123】
一方、発光時にLEDの両端(Anode−Cathode間)にかかる電圧が発光電流に応じた順方向電圧値より小さいと、必要な順方向電圧が確保できずダイオード内のn層側の電子が拡散電位を持つ空乏層をp層側へ越え難くなるため、発光電流が小さくなる。順方向電圧を下回って発光電流が小さくなると、所望の発光量が得られなくなるため、ストロボ撮影時に適正な調光精度が得られない。
【0124】
所望の発光量を得るためには、LEDの順方向電圧を確保する事が重要となる。そこで、発光電流が流れる経路のESRと配線抵抗値による電圧降下と、電流制御部での電圧降下を考慮して、発光中にLEDのAnodeに印加されるメインキャパシタからの電圧値は式9より求めることができる。
【0125】
Vm = Vc − (RESR + R)・ILED− Vr − ILED∫dt / Cm …(式9)
Vm : LEDのAnodeに印加されるメインキャパシタからの電圧値
Vc : メインキャパシタの充電完了電圧値
RESR : メインキャパシタの等価直列抵抗値
R : 発光経路の配線抵抗値
ILED : 発光電流値
Vr : 電流制御部で降下する電圧値
Cm : メインキャパシタの容量値
t : 発光時間
また、発光時には、式10を満足する必要がある。
【0126】
Vm ≧ VF
VF : LEDの順方向電圧
具体例として、充電電圧が5.0V、配線抵抗値が50mΩ、メインキャパシタのESRが75mΩ、メインキャパシタの容量が0.4F、電流制御部で降下する電圧が150mV、LEDが5灯並列接続の場合について考える。そのような条件において発光電流1Aで2msのプリ発光時間では、発光後のメインキャパシタの電圧が4.975Vとなる。その後、本発光量を演算した結果が、プリ発光量の40倍の発光量だとすると、本発光終了前のVmが3.075Vとなる。仮に、最低発光電流が0.5Aで、その時の順方向電圧値が3.6Vだったとすると、本発光制御中にVmが最低順方向電圧値を下回ってしまうため、所望の発光量が得られないことになる。
【0127】
そこで本実施の形態においては、プリ発光後に、メインキャパシタから本発光量に相当する電気エネルギーが、Vm ≧ VFを満足したまま出力できるか否かを、閾値と演算した本発光量とを比較する事で判断する。プリ発光後に演算した発光量が閾値以上の場合は、本発光量に必要なVmとなるようメインキャパシタの充電電圧を昇圧し、閾値未満の場合は、メインキャパシタの充電電圧を昇圧せずに本発光制御する。
【0128】
以上説明した第4の実施の形態により、演算した本発光量がメインキャパシタから出力できる発光量より大きい場合においても、メインキャパシタの電圧を昇圧することで、所望の発光量を得ることができる。
【0129】
従って、撮像補助光としての発光部がLEDのみの構成で、撮像画像のぶれ低減と、ストロボ撮像時の消費電力低減の最適化を図ることができるという効果が得られる。
【0130】
なお、本実施の形態は、第1の実施形態だけでなく、第2、3の実施の形態にも適用可能である。
【0131】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態に係る撮像装置202の概略構成は第4の実施の形態に係る撮像装置と同様であるため説明は省略する。
【0132】
図14は、図12のCPU104により実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0133】
図14において、CPU104からの発光信号により、予め設定されているプリ発光時間にて、LED発光部135がプリ発光を行う(ステップS501)。発光時の発光電流は、電流制御部136により一定電流で制御され、その電流値は、予め設定されている電流値となっている。
【0134】
次いで、LED発光部135がプリ発光で発した光による被写体反射光より、CPU104が本露光時に必要な本発光量を演算する(ステップS502)。この本発光量の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0135】
次いで、撮像装置202の振れの度合いを検出する(ステップS503)。そして、検出した振れの度合いから、撮像時に被写体ブレを許容範囲内に収められるLED発光部135の最長発光時間を演算する(ステップS504)。
【0136】
さらに、最長発光時間で本発光量となる本発光電流値を演算し(ステップS505)、演算された本発光電流値が閾値(第2の閾値)以上か否かを判断する(ステップS506)。本発光電流値が第2の閾値以上であれば昇圧部138を制御して不図示のメインキャパシタの電圧を昇圧する(ステップS508)。本発光電流値が第2の閾値未満であれば、ステップS507に進む。
【0137】
次いで、ステップS502で演算された本発光量が閾値(第1の閾値)以上か否かを判断する(ステップS507)。本発光量が第1の閾値以上であれば昇圧部138を制御して不図示のメインキャパシタの電圧を昇圧し、第1の閾値未満であれば昇圧制御をせずに演算された本発光電流値で本発光制御を行い(ステップS509)、本処理を終了する。
【0138】
発光電流値が大きくなれば、ESRと配線抵抗による電圧降下も大きくなり、順方向電圧も高くなるため、本発光制御中にVm ≦ VFとなり得る。そこで本実施例においては、プリ発光後に、メインキャパシタから本発光量に相当する電気エネルギーが、Vm ≧ VFを満足したまま出力できるか否かを判断し昇圧制御を行う。
【0139】
以上説明した第5の実施の形態により、演算した本発光電流値が大きい場合においても、メインキャパシタの電圧を昇圧することで所望の発光量を得ることができる。また、演算した本発光電流値が小さく、演算した本発光量がメインキャパシタから出力できる発光量より大きい場合においても、メインキャパシタの電圧を昇圧することで所望の発光量を得ることができる。
【0140】
従って、撮像補助光としての発光部がLEDのみの構成で、撮像画像のぶれ低減と、ストロボ撮像時の消費電力低減の最適化を図ることができるという効果が得られる。
【0141】
なお、本実施の形態は、第1の実施形態だけでなく、第2、3の実施の形態にも適用可能である。
【0142】
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0143】
(他の実施の形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0144】
103 撮像部
104 CPU
105 ROM
107 撮像素子
109 撮像レンズ
111 シフトレンズ
113 シフトレンズ駆動制御部
115 振れ検出部
117 動きベクトル検出部
138 昇圧部
200 演算部
204 A/D部
206 被写体動き量予測部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
キセノン管とLEDを撮影補助光として配備し、撮影環境に応じて発光手段を切り替え制御するカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この技術では、手ぶれ検出手段を備え、検出された手ぶれが所定のレベルを超えた場合はキセノン管発光部に照射させ、検出された手ぶれが所定のレベル以下の場合はLED発光部に照射させる発光制御を特徴としている。
【0004】
また、この技術は、手ぶれ検出手段の検出結果と、撮影レンズの撮影時の焦点距離との双方に基づいて発光部を選択することを特徴としている。
【0005】
さらに、この技術では、撮影前の被写体像の動きを検出し、撮影時の被写体像のぶれを予測する手段を備え、予測された被写体像ぶれが所定のレベルを超えた場合はキセノン管発光部に照射させる。そして、予測された被写体像ぶれが所定のレベル以下の場合はLED発光部に照射させる発光制御を特徴としている。
【0006】
これにより、撮影から次の撮影までの待機時間を短縮するとともに、被写体像のぶれを低減している。
【0007】
LEDはキセノン管が照射する光の輝度に比べ相対的に低い輝度の光を照射するため、キセノン管が照射する光の輝度と同等にするためにはLEDを複数同時に発光させるか、発光時間を長くして輝度の時間積分値を大きくする必要があることは広く知られている。
【0008】
また、LEDに大電流を流した場合、LEDが発熱する事により、発光電流と発光輝度の特性における線形性が崩れることも広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−25157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記技術では、キセノン管とLEDを撮影補助光として配備しているため、機構実装スペースとコストが必要となる。また、撮影補助光としての発光部をLEDのみとした場合において、複数のLEDを同時発光して全体の輝度を高くするためには、先行技術と同じく機構実装スペースとコストが必要となる。
【0011】
さらに、撮影補助光としての発光部をLEDのみとした場合において、撮影露光中の発光時間を長くして輝度の時間積分値を大きくするためには、手ぶれや被写体ぶれが問題とならない撮影環境である事が必要となり、用途が限定されてしまう。
【0012】
また、撮影補助光としての発光部をLEDのみとした場合において、LEDに大電流を流して輝度を高くするためには、非線形となる発光輝度特性や、LEDの許容損失に注意が必要となり、ストロボ撮影時の消費電力が増加してしまう。
【0013】
本発明の目的は、被写体に対してLEDにより発光する撮像装置の振れによって撮像画像に生じる影響を抑制した撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1の撮像装置は、被写体を光学部材を介して撮像する撮像素子と、被写体に対してLEDにより発光する発光手段とを備えた撮像装置であって、前記撮像装置の振れの度合いを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するために前記発光手段が発光する発光時間を演算する第1演算手段と、前記第1演算手段により演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、前記発光手段に供給する電流の電流値を演算する第2演算手段と、前記第1演算手段により演算された発光時間、及び前記第2演算手段により演算された電流値により、前記発光手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被写体に対してLEDにより発光する撮像装置の振れによって撮像画像に生じる影響を抑制した撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1のCPUにより実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】振れ検出部により検出された複合波である振れ信号と、近似した1Hzの単周波をそれぞれ示す図である。
【図4】近似した1Hzの単周波から本発光時間の演算方法を説明するための図である。
【図5】錯乱円、ブレ許容錯乱円を示す図である。
【図6】LED発光電流と、光度との関係を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図8】図7のCPUにより実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】振れ残り量の検出方法を説明するための図であり、(A)はシフトレンズの光軸が被写体に対して垂直な状態を示し、(B)は撮像装置が傾いた状態を示し、(C)はシフトレンズの振れ補正制御後の状態を示している。
【図10】第3の実施の形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図11】図10のCPUにより実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図13】図12のCPUにより実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図12のCPUにより実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置202の概略構成を示す図である。
【0019】
図1において、撮像装置202は、CPU104、LED発光部135、電流制御部136、撮像レンズ109、撮像素子107、撮像部103、電池100、電源部102、振れ検出部115、ROM105、及び操作部101で構成される。
【0020】
電池100は、着脱可能な電池である。電源部102は、撮像装置202のストロボブロックや各動作ブロックに必要な電源を、電池100から変換して供給する。
【0021】
操作部101は、撮像装置202を起動したり、撮像パラメータの設定を変更したり、撮影する時に操作するための操作SWである。
【0022】
撮像部103は、光学部材である撮像レンズ109を介して外部から取り込んだ入射光を、被写体を光学部材を介して撮像する撮像素子107で電気信号に変換し、画像データとして処理するための画像信号処理を行う。
【0023】
CPU104は、各演算処理を行う演算部200を備え、撮像装置202の各動作ブロックの全体制御を行う中央演算処理装置である。ROM105は、撮像装置202が起動するための起動プログラムなどが格納されている不揮発性メモリである。
【0024】
振れ検出部115は、撮像装置202の振れの度合いを電気信号として出力する。振れの度合いの検出には不図示の角速度センサがよく使用されており、この角速度センサは圧電素子等の振動材を一定周波数で振動させ、回転運動成分により発生するコリオリ力による力を電圧に変換して角速度情報を得ている。
【0025】
LED発光部135は、被写体に対して発光する発光手段に対応し、撮像補助光として被写体を照射する。電流制御部136は、LED発光部135に供給する電流の電流値を制御する。
【0026】
図2は、図1のCPU104により実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0027】
図2において、CPU104からの発光信号により、予め設定されているプリ発光時間にて、LED発光部135がプリ発光を行う(ステップS101)。発光時の発光電流は、電流制御部136により一定電流で制御され、その電流値は、予め設定されている電流値となっている。
【0028】
次いで、LED発光部135がプリ発光で発した光による被写体反射光より、CPU104が本露光時に必要な本発光量を演算する(ステップS102)。この本発光量の演算方法については後述する。
【0029】
次いで、撮像装置202の振れの度合いを検出する(ステップS103)。このステップS103は、撮像装置202の振れの度合いを検出する検出手段に対応する。そして、検出した振れの度合いから、撮像時に被写体ブレを許容範囲内に収められるLED発光部135の最長発光時間を演算する(ステップS104)。この最長発光時間の演算方法については後述する。このステップS104は、ステップS103により検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するためにLED発光部135が発光する発光時間を演算する第1演算手段に対応する。
【0030】
さらに、最長発光時間で本発光量となる本発光電流値を演算し(ステップS105)、演算された本発光電流値で本発光制御を行い(ステップS106)、本処理を終了する。上記本発光電流値の演算方法については後述する。上記ステップS105は、ステップS104により演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、LED発光部135に供給する電流の電流値を演算する第2演算手段に対応する。また、ステップS106は、ステップS104により演算された発光時間、及びステップS105により演算された電流値により、LED発光部135を制御する制御手段に対応する。
【0031】
上記ステップS102で行われる本発光量の演算方法について説明する。ここでは、一般的なプリ発光と本発光の2回発光方式による本発光量の演算方法について説明する。
【0032】
まず、主被写体反射光を受光して生成した画像信号を処理して得られたデータからCPU104の演算によって輝度値が得られる。そして、この輝度値を用いて、適正輝度レベルからの差を次式より求める。
【0033】
ΔEv = log2( ( YFL − YDL ) / ( Yref − YDL ) ) …(式1)
ΔEv : 外光(定常光)輝度値と適正輝度値の差
YDL :外光(定常光)輝度値
YFL :プリ発光時の輝度値
Yref : 基準となる適正輝度値
上記式において、YFLはLED発光部135がプリ発光で発した光と外光(定常光)が重なることによって測光された輝度値である。適正輝度値に対する純粋なストロボ光のみの光量を求めるため、外光(定常光)のみから測光した輝度値を、LED発光部135がプリ発光した際に測光した輝度値から差し引く。
【0034】
YFLの測光では外光(定常光)の影響を減らすため電子シャッターを速く切り、同じシャッタースピードで露光したYDLを差し引く事で、CPU104はLED発光部135がプリ発光で発した光のみの正確な輝度値を得る事ができる。
【0035】
また、絞り制御や、シャッター制御、撮像時のゲインを考慮すれば、外光(定常光)輝度値と適正輝度値の差は次式より求める事が出来る。
【0036】
ΔEv = log2 ((( YFL − YDL )・AvDG ) / ( Yref・Ka・Kb − YDL・AvTvDG ))
…(式2)
AvDG = 2( ΔAv + ΔDG )
AvTvDG = 2( ΔAv + ΔTv + ΔDG )
ΔAv = EFPreAv − EFHAv
ΔTv = EFPreTv − EFHTv
ΔDG = − ( EFPreDG − EFHDG )
Ka : 露出補正係数
Kb : 感度補正係数
EFPreAv : プリ発光測光用のAv値
EFHAv : 本発光測光用のAv値
EFPreTv : プリ発光測光用のTv値
EFHTv : 本発光測光用のTv値
EFPreDG : プリ発光用のDeltaGain
EFHDG : 本発光用のDeltaGain
上記式1、または式2のいずれかにより、本発光量の演算を行う。
【0037】
次いで、ステップS104で行われる最長発光時間の演算方法について説明する。ステップS104では、ステップS103で検出した振れの度合いから、撮像時に被写体ブレを許容範囲内に収められる、LED発光部135の本発光時間を演算することとなる。
【0038】
まず、振れ検出部115において、検出される振れ信号は、角速度[deg/sec]をy、時間[sec]をtとすると式(3)、式(4)のように表現できる。
【0039】
y = f(t)…(式3)
f = Σ a i ・ sin t i…(式4)
上記和は、i=1〜mまでの和である
ここで、複合波である振れ信号は、約1Hz〜10Hzの低域における振幅が最も大きくなる傾向がある事が広く知られており、本実施の形態においては複合波である振れ信号を、図3に示されるように、最大振幅を包含する1Hzの単周波に近似して考える。
【0040】
図3は、振れ検出部115により検出された複合波である振れ信号と、近似した1Hzの単周波をそれぞれ示す図である。
【0041】
図4は、近似した1Hzの単周波から本発光時間の演算方法を説明するための図である。
【0042】
図4において、図4(A)と図4(C)は、それぞれレンズの中心を通り撮像素子に垂直となる図示した中心線から角度αの傾きをもって、仮想的な点光源から放たれた光がレンズの中心を通り撮像素子に入射される時の状態を示している。
【0043】
また、図4(B)は、仮想的な点光源から放たれた光がレンズの中心を通り撮像素子に垂直に入射される時の状態を示している。
【0044】
さらに、図4(A)と図4(C)において、撮像素子上で仮想的な点光源から放たれた光がもっとも強く収束する点をそれぞれq、rとする。
【0045】
また、図4(B)において、焦点距離をD0、撮像素子上で仮想的な点光源から放たれた光がもっとも強く収束する点をpとする。ここで、この角度αは、近似した1Hzの単周波における、最も大きい振幅角であり、近似した1Hzの単周波の波高値をA1とした時に、下記式5のような時間積分値として示すことができる。
【0046】
α(t) = ∫t A1・sin τ dτ…(式5)
また、図4(A)と図4(C)において、レンズから撮像素子までの焦点距離をD0とすると、上述した撮像素子上で仮想的な点光源から放たれた光がもっとも強く収束する点qとrは、pを中心とする同一円周上にある。そして、その時の半径ΔDは、式6となる。
【0047】
ΔD(t) = D0・tan α(t)…(式6)
このΔDは、撮像装置202が近似した1Hzの単周波で振れている場合の、仮想的な点光源から放たれた光がもっとも強く収束する点が撮像素子上に結像する錯乱円の半径である。
【0048】
従って、撮像画像のブレが所定の範囲内に収まるように低減するためには、上述したΔDを所定の錯乱円(以下、「ブレ許容錯乱円」という)の半径よりも小さくする必要がある。
【0049】
図5は、錯乱円、ブレ許容錯乱円を示す図である。
【0050】
ここで、撮像素子の画素ピッチをD1、nを任意の係数(実数)とすると、上述した撮像画像のブレが所定の範囲内に収まる時のブレ許容錯乱円の半径は、D1のn倍であるnD1と定義できる。つまり、近似した1Hzの単周波の振幅が下記式7を満足させる時間内に撮像補助光を照射して露光すれば、撮像画像のブレが所定の範囲内に収まる事になる。
【0051】
n D1 ≧ ΔD(t)…(式7)
上記ステップS108で演算するのは、撮像画像のブレが所定の範囲内に収まる時の最長時間であるから、上述したnD1とΔDが等しくなる時の時間を演算すればいい。よって、式(式5)、(式6)、(式7)より時間について解くと、tは、式8で示される。
【0052】
t = cos-1( 1 / A1 ・ tan-1( n D1 / D0 ) )…(式8)
ここで求めた時間がLED発光部135を本発光制御する際の最長発光時間となる。この最長発光時間で発光制御すれば、適正輝度を得るために必要な光量となる発光電流を最小にすることができる。
【0053】
よって、撮像画像のブレが所定の範囲内に収まるだけでなく、LEDの発光特性において積極的に効率の良いところを使用することができる。
【0054】
図6は、LED発光電流と、光度との関係を示す図である。
【0055】
図6において、ある電流値(臨界点)を超えると、線形性が保たれなくなることが示されている。そこで、上記効率の良いところとは、図6に示した特性の線形性が保たれているところまでである。
【0056】
線形特性が非線形特性になる臨界点は、LEDの単体バラツキと温度バラツキにより変化するため、積極的に発光電流を小さく抑えて発光制御しなければ、効率の良いところを利用できない可能性がある。
【0057】
次いで、ステップS105で行われる本発光電流値の演算方法について説明する。
【0058】
これは、予め撮像装置202に記録されているLED発光部135発光量と発光電流、及び発光時間のテーブルから、ステップS102で演算されたΔEvに相当する発光電流を直線補間するという方法となっている。
【0059】
ここで、本実施の形態のプリ発光の制御において、撮像素子やその他の調光手段から読み出した輝度信号の時間積分値を基に、所定の輝度レベルとなったところで発光停止する方法でも構わない。
【0060】
また、本実施の形態では振れ検出部115として角速度センサを使用した例を説明したが、加速度センサを使用した手段やその他の振れ検出手段でも構わない。
【0061】
さらに、図2のフローチャートでは本発光量を演算した後で振れ検出を行なっているが、プリ発光して演算するまでの制御と、振れを検出する制御は並行して処理しても構わない。
【0062】
また、本実施の形態では検出された振れ信号を1Hzの単周波に近似して本発光時間を演算したが、直接複合波から本発光時間を演算しても構わない。
【0063】
さらに、演算された発光電流が、LEDが許容できる所定の電流値以上であった場合は、撮像装置202はLEDが許容できる所定の電流値を発光電流値として選択し、上記で演算されたΔEvに相当する発光時間となるように発光制御しても構わない。
【0064】
この時、LEDが許容できる所定の電流値を発光電流値として選択した後で、ISO感度設定を上げるように制御して、発光時間を制御しても構わない。
【0065】
また、LEDが許容できる所定の電流値を発光電流値として選択した後で、絞りを開放に制御して、発光時間を制御しても構わない。
【0066】
以上説明した第1の実施の形態により、手ぶれが懸念される撮像状況でも、ある一定のレベル以下にぶれを低減した画像をユーザは得ることができる。また、手ぶれが懸念されない撮像状況においては、ストロボ撮像時の消費電力を低く抑えることができる。
【0067】
従って、撮像補助光としての発光部がLEDのみの構成で、撮像画像のぶれ低減と、ストロボ撮像時の消費電力低減の最適化を図ることができるという効果が得られる。
【0068】
このように、第1の実施の形態によれば、撮像装置202は、撮像装置202の振れの度合いを検出し、検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するためにLED発光部135が発光する発光時間を演算する。そして、演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、LED発光部135に供給する電流の電流値を演算する。こうして演算された発光時間、及び演算された電流値により、LED発光部135を制御する。その結果、被写体に対してLEDにより発光する撮像装置の振れによって撮像画像に生じる影響を抑制することができる。
【0069】
[第2の実施の形態]
図7は、第2の実施の形態に係る撮像装置202の概略構成を示す図である。
【0070】
図7において、第1の実施の形態と異なる点は、シフトレンズ111及びシフトレンズ駆動制御部113、及びA/D部204が追加された点である。
【0071】
第2の実施の形態における撮像装置202は、振れ検出部115からの振れ信号より演算した振れ補正量に基づいて、CPU104がシフトレンズ駆動制御部113へ指令して、制御対象であるシフトレンズ111を目標位置へ駆動させる制御を行なっている。
【0072】
図8は、図7のCPU104により実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0073】
図8において、CPU104からの発光信号により、予め設定されているプリ発光時間にて、LED発光部135がプリ発光を行う(ステップS201)。発光時の発光電流は、電流制御部136により一定電流で制御され、その電流値は、予め設定されている電流値となっている。
【0074】
次いで、LED発光部135がプリ発光で発した光による被写体反射光より、CPU104が本露光時に必要な本発光量を演算する(ステップS202)。この本発光量の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0075】
次いで、撮像装置202の振れの度合いを検出する(ステップS203)。このステップS203は、撮像装置202の振れの度合いを検出する検出手段に対応する。そして、振れ補正量を演算する(ステップS204)。この振れ補正量の演算については後述する。次いで、演算した振れ補正量を基に、防振処理を行う(ステップS205)。この防振処理では、演算した振れ補正量を基に、シフトレンズ駆動制御部113がシフトレンズ111を目標位置へ駆動する。そして、シフトレンズ111の実位置を取得する事により、これら目標位置と実位置の偏差をゼロにするようなフィードバック制御が行なわれる。
【0076】
従って、上記ステップS205は、ステップS203により検出された振れの度合いから、撮像装置202の振れによる撮像画像への影響を、撮像レンズ109を用いて光学的に補正する補正手段に対応する。
【0077】
この防振処理によっても補正しきれない量が発生することもあるので、振れ残りの度合いを検出する(ステップS206)。この検出方法については後述する。
【0078】
検出した振れ残りの度合いから、撮像時に被写体ブレを許容範囲内に収められるLED発光部135の最長発光時間を演算する(ステップS207)。この最長発光時間の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0079】
さらに、最長発光時間で本発光量となる本発光電流値を演算し(ステップS208)、演算された本発光電流値で本発光制御を行い(ステップS209)、本処理を終了する。上記本発光電流値の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。従って、ステップS208では、補正後の振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するためにLED発光部135が発光する発光時間を演算する。
【0080】
上記ステップS204における振れ補正量の演算について説明する。撮像装置202に外部から与えられた振れを補正する手段として、光学式手振れ補正方式、撮像素子手振れ補正方式等がある。
【0081】
光学式手振れ補正方式は、略垂直な平面内で移動する像振れ補正用の支持体としてのシフトレンズ111を、振れ補正だけ移動することにより、撮像素子上で結像された画像から振れを取り除く方式である。
【0082】
撮像素子式手振れ方式は、略垂直な平面内で移動する像振れ補正用の支持体としての撮像素子107を、振れ補正量だけ移動することにより、画像から補正を取り除く方式である。
【0083】
いずれの方式であっても第2の実施の形態に適用できるため、ここでは光学式手振れ補正の構成を例として説明を行なう。
【0084】
補正量の演算は、まず振れ検出部115からの振れ信号をサンプリングして、A/D部204でアナログデータをデジタルデータに変換する。
【0085】
次に、不図示のデジタルハイパスフィルタで所定の高周波数帯域を通過させ、振れ検出部の温度ドリフト成分等の低周波数帯域を遮断する。最後に、不図示のデジタルローパスフィルタで積分した値が振れ補正量となる。
【0086】
次に、上記ステップS206での検出方法について説明する。まず、光学式手振れ補正におけるシフトレンズ111の駆動範囲は、メカニカルな限界、および光学的性能による限界により定まる。
【0087】
図9は、振れ残り量の検出方法を説明するための図であり、(A)はシフトレンズ111の光軸が被写体に対して垂直な状態を示し、(B)は撮像装置202が傾いた状態を示し、(C)はシフトレンズ111の振れ補正制御後の状態を示している。
【0088】
図9(A)のように、レンズの光軸が被写体に対して垂直な状態から、図9(B)のようにカメラが傾いた場合、図9(A)における撮像素子107の被写体像からの振れ量をΔD1とする。
【0089】
次に、図9(B)に示される状態から、図9(C)に示されるシフトレンズ111の振れ補正制御後の状態において、図9(A)における撮像素子107の被写体像からの振れ量が、ΔD2(ΔD1>ΔD2)となる。
【0090】
ステップS206では、この振れ残り量を検出して、撮像画像のブレが上述したブレ許容錯乱円内に収まるように発光時間を演算する。
【0091】
ここで、図8のストロボ撮像処理では本発光量を演算した後で振れ残り検出を行なっているが、プリ発光して演算するまでの制御と、振れ検出から防振制御して振れ残りを検出するまでの制御は並行して処理しても構わない。
【0092】
また、検出された振れ信号を基に、光学式手振れ補正方式や撮像素子手振れ補正方式以外の補正手段を用いても構わない。
【0093】
以上説明した第2の実施の形態により、手ぶれ補正残りが懸念される撮像状況でも、ある一定のレベル以下にぶれを低減した画像をユーザは得ることができる。また、手ぶれ補正残りが懸念されない撮像状況においては、ストロボ撮像時の消費電力を低く抑える事ができる。
【0094】
従って、撮像補助光としての発光部がLEDのみの構成で、撮像画像のぶれ低減と、ストロボ撮像時の消費電力低減の最適化を図ることができるという効果が得られる。
【0095】
[第3の実施の形態]
図10は、第3の実施の形態に係る撮像装置202の概略構成を示す図である。
【0096】
図10において、第1の実施の形態と異なる点は、振れ検出部115に代えて、動きベクトル検出部117が備わり、被写体動き量予測部206が追加された点である。
【0097】
動きベクトル検出部117は、被写体像の動きベクトルを検出する。被写体動き量予測部206は、被写体像の動き量を予測する。
【0098】
図11は、図10のCPU104により実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0099】
図11において、CPU104からの発光信号により、予め設定されているプリ発光時間にて、LED発光部135がプリ発光を行う(ステップS301)。発光時の発光電流は、電流制御部136により一定電流で制御され、その電流値は、予め設定されている電流値となっている。
【0100】
次いで、LED発光部135がプリ発光で発した光による被写体反射光より、CPU104が本露光時に必要な本発光量を演算する(ステップS302)。この本発光量の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0101】
次いで、動きベクトル検出部117により、単位時間当たりの被写体像の動きベクトルを検出する(ステップS303)。このステップS303は、撮像素子107における被写体像の動きを示す動きベクトル検出することにより、撮像装置202の振れの度合いを検出する。
【0102】
具体的には、撮像装置がピントを合わせた測距領域において、撮像素子107から読み出したフレーム毎の画像信号を基に、認識した被写体像の画像信号の差分から、単位時間当たりの被写体像の動きベクトルを検出する。
【0103】
ここで、画像信号の差分とは、認識した被写体画像を微分回路でエッジ検出して得られた画像領域の大きさや、色差、色相、輝度差等の画像信号レベルの変化量である。
【0104】
次いで、検出した単位時間当たりの被写体像の動きベクトルを基に、被写体動き量予測部206により、本露光時の被写体像の動き量を予測する(ステップS304)。このステップS304は、ステップS303により検出された動きベクトルから、被写体像の動き量を予測する予測手段に対応する。
【0105】
この予測方法としては、単位時間内で検出された被写体像の動きベクトルから、単純移動平均手法を用いて予測する。
【0106】
予測した被写体像の動き量から、撮像時に被写体ブレを許容範囲内に収められるLED発光部135の最長発光時間を演算する(ステップS305)。この最長発光時間の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。従って、ステップS305では、ステップS304により予測された被写体像の動き量が示す振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するためにLED発光部135が発光する発光時間を演算する。
【0107】
さらに、最長発光時間で本発光量となる本発光電流値を演算し(ステップS306)、演算された本発光電流値で本発光制御を行い(ステップS307)、本処理を終了する。上記本発光電流値の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0108】
このように、被写体像の動き量を予測し、撮像画像のブレが上述したブレ許容錯乱円内に収まるように発光時間を演算するにしている。
【0109】
ここで、図11のストロボ撮像処理ではでは本発光量を演算した後で単位時間当たりの被写体像の動きを検出し予測を行なっている。しかし、プリ発光して演算するまでの制御と、単位時間当たりの被写体像の動きを検出し予測するまでの制御は並行して処理しても構わない。
【0110】
また、被写体像の動きベクトルの検出は、上述した方法でなくても構わない。また、被写体像の動き量を予測する方法は、加重移動平均や累積移動平均等の各種移動平均法、または別の方法でも構わない。
【0111】
以上説明した第3の実施の形態により、被写体ぶれが懸念される撮像状況でも、所定のレベル以下にぶれを低減した画像をユーザは得ることができる。また、被写体ぶれが懸念されない撮像状況においては、ストロボ撮像時の消費電力を低く抑える事ができる。
【0112】
従って、撮像補助光としての発光部がLEDのみの構成で、撮像画像のぶれ低減と、ストロボ撮像時の消費電力低減の最適化を図ることができるという効果が得られる。
【0113】
[第4の実施の形態]
図12は、第4の実施の形態に係る撮像装置202の概略構成を示す図である。
【0114】
図12において、第1の実施の形態と異なる点は、昇圧部138が追加された点である。
【0115】
第4の実施の形態における撮像装置202は、演算した本発光量は閾値以上の場合、電池100から充電した不図示のメインキャパシタの電圧を昇圧部138による昇圧する昇圧制御を行う。
【0116】
図13は、図12のCPU104により実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0117】
図13において、CPU104からの発光信号により、予め設定されているプリ発光時間にて、LED発光部135がプリ発光を行う(ステップS401)。発光時の発光電流は、電流制御部136により一定電流で制御され、その電流値は、予め設定されている電流値となっている。
【0118】
次いで、LED発光部135がプリ発光で発した光による被写体反射光より、CPU104が本露光時に必要な本発光量を演算する(ステップS402)。この本発光量の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0119】
次いで、ステップS402で演算した本発光量が閾値以上か否かを判断する(ステップS403)。本発光量が閾値以上であれば昇圧部138を制御して不図示のメインキャパシタの電圧を昇圧する(ステップS404)。一方、ステップS402で演算した本発光量が閾値未満であれば昇圧制御をせずに撮像装置202の振れの度合いを検出する(ステップS405)。ここでの閾値は、不図示のメインキャパシタに充電されている電気エネルギーで出力可能な、ストロボ発光時の発光量の最小値である。
【0120】
以降のステップS406〜S408は、図2のステップS104〜S106と同様であるため説明は省略する。
【0121】
次に、ステップS404における昇圧制御について具体的に説明する。一般的にLEDストロボで使用するメインキャパシタには、電気二重層キャパシタを2直接続で使用することが多い。電気二重層キャパシタを使用する場合、キャパシタ内部の等価直列抵抗(以下、ESR)を低く抑える目的で、有機系の電解液が一般的に多く使われている。
【0122】
有機系の電解液で2直接続とした場合、実仕様上の耐圧としては約5.0Vであり、それ以上の直流電圧を印加すれば特性劣化が著しく、ESRの増加、容量の低下により所望の電気的特性が得られなくなってしまう。よって、電気二重層キャパシタの充電制御電圧は約5.0Vとなる。
【0123】
一方、発光時にLEDの両端(Anode−Cathode間)にかかる電圧が発光電流に応じた順方向電圧値より小さいと、必要な順方向電圧が確保できずダイオード内のn層側の電子が拡散電位を持つ空乏層をp層側へ越え難くなるため、発光電流が小さくなる。順方向電圧を下回って発光電流が小さくなると、所望の発光量が得られなくなるため、ストロボ撮影時に適正な調光精度が得られない。
【0124】
所望の発光量を得るためには、LEDの順方向電圧を確保する事が重要となる。そこで、発光電流が流れる経路のESRと配線抵抗値による電圧降下と、電流制御部での電圧降下を考慮して、発光中にLEDのAnodeに印加されるメインキャパシタからの電圧値は式9より求めることができる。
【0125】
Vm = Vc − (RESR + R)・ILED− Vr − ILED∫dt / Cm …(式9)
Vm : LEDのAnodeに印加されるメインキャパシタからの電圧値
Vc : メインキャパシタの充電完了電圧値
RESR : メインキャパシタの等価直列抵抗値
R : 発光経路の配線抵抗値
ILED : 発光電流値
Vr : 電流制御部で降下する電圧値
Cm : メインキャパシタの容量値
t : 発光時間
また、発光時には、式10を満足する必要がある。
【0126】
Vm ≧ VF
VF : LEDの順方向電圧
具体例として、充電電圧が5.0V、配線抵抗値が50mΩ、メインキャパシタのESRが75mΩ、メインキャパシタの容量が0.4F、電流制御部で降下する電圧が150mV、LEDが5灯並列接続の場合について考える。そのような条件において発光電流1Aで2msのプリ発光時間では、発光後のメインキャパシタの電圧が4.975Vとなる。その後、本発光量を演算した結果が、プリ発光量の40倍の発光量だとすると、本発光終了前のVmが3.075Vとなる。仮に、最低発光電流が0.5Aで、その時の順方向電圧値が3.6Vだったとすると、本発光制御中にVmが最低順方向電圧値を下回ってしまうため、所望の発光量が得られないことになる。
【0127】
そこで本実施の形態においては、プリ発光後に、メインキャパシタから本発光量に相当する電気エネルギーが、Vm ≧ VFを満足したまま出力できるか否かを、閾値と演算した本発光量とを比較する事で判断する。プリ発光後に演算した発光量が閾値以上の場合は、本発光量に必要なVmとなるようメインキャパシタの充電電圧を昇圧し、閾値未満の場合は、メインキャパシタの充電電圧を昇圧せずに本発光制御する。
【0128】
以上説明した第4の実施の形態により、演算した本発光量がメインキャパシタから出力できる発光量より大きい場合においても、メインキャパシタの電圧を昇圧することで、所望の発光量を得ることができる。
【0129】
従って、撮像補助光としての発光部がLEDのみの構成で、撮像画像のぶれ低減と、ストロボ撮像時の消費電力低減の最適化を図ることができるという効果が得られる。
【0130】
なお、本実施の形態は、第1の実施形態だけでなく、第2、3の実施の形態にも適用可能である。
【0131】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態に係る撮像装置202の概略構成は第4の実施の形態に係る撮像装置と同様であるため説明は省略する。
【0132】
図14は、図12のCPU104により実行されるストロボ撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0133】
図14において、CPU104からの発光信号により、予め設定されているプリ発光時間にて、LED発光部135がプリ発光を行う(ステップS501)。発光時の発光電流は、電流制御部136により一定電流で制御され、その電流値は、予め設定されている電流値となっている。
【0134】
次いで、LED発光部135がプリ発光で発した光による被写体反射光より、CPU104が本露光時に必要な本発光量を演算する(ステップS502)。この本発光量の演算方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0135】
次いで、撮像装置202の振れの度合いを検出する(ステップS503)。そして、検出した振れの度合いから、撮像時に被写体ブレを許容範囲内に収められるLED発光部135の最長発光時間を演算する(ステップS504)。
【0136】
さらに、最長発光時間で本発光量となる本発光電流値を演算し(ステップS505)、演算された本発光電流値が閾値(第2の閾値)以上か否かを判断する(ステップS506)。本発光電流値が第2の閾値以上であれば昇圧部138を制御して不図示のメインキャパシタの電圧を昇圧する(ステップS508)。本発光電流値が第2の閾値未満であれば、ステップS507に進む。
【0137】
次いで、ステップS502で演算された本発光量が閾値(第1の閾値)以上か否かを判断する(ステップS507)。本発光量が第1の閾値以上であれば昇圧部138を制御して不図示のメインキャパシタの電圧を昇圧し、第1の閾値未満であれば昇圧制御をせずに演算された本発光電流値で本発光制御を行い(ステップS509)、本処理を終了する。
【0138】
発光電流値が大きくなれば、ESRと配線抵抗による電圧降下も大きくなり、順方向電圧も高くなるため、本発光制御中にVm ≦ VFとなり得る。そこで本実施例においては、プリ発光後に、メインキャパシタから本発光量に相当する電気エネルギーが、Vm ≧ VFを満足したまま出力できるか否かを判断し昇圧制御を行う。
【0139】
以上説明した第5の実施の形態により、演算した本発光電流値が大きい場合においても、メインキャパシタの電圧を昇圧することで所望の発光量を得ることができる。また、演算した本発光電流値が小さく、演算した本発光量がメインキャパシタから出力できる発光量より大きい場合においても、メインキャパシタの電圧を昇圧することで所望の発光量を得ることができる。
【0140】
従って、撮像補助光としての発光部がLEDのみの構成で、撮像画像のぶれ低減と、ストロボ撮像時の消費電力低減の最適化を図ることができるという効果が得られる。
【0141】
なお、本実施の形態は、第1の実施形態だけでなく、第2、3の実施の形態にも適用可能である。
【0142】
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0143】
(他の実施の形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0144】
103 撮像部
104 CPU
105 ROM
107 撮像素子
109 撮像レンズ
111 シフトレンズ
113 シフトレンズ駆動制御部
115 振れ検出部
117 動きベクトル検出部
138 昇圧部
200 演算部
204 A/D部
206 被写体動き量予測部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を光学部材を介して撮像する撮像素子と、被写体に対してLEDにより発光する発光手段とを備えた撮像装置であって、
前記撮像装置の振れの度合いを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するために前記発光手段が発光する発光時間を演算する第1演算手段と、
前記第1演算手段により演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、前記発光手段に供給する電流の電流値を演算する第2演算手段と、
前記第1演算手段により演算された発光時間、及び前記第2演算手段により演算された電流値により、前記発光手段を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記検出手段により検出された振れの度合いから、前記撮像装置の振れによる撮像画像への影響を、前記光学部材を用いて光学的に補正する補正手段をさらに備え、
前記第1演算手段は、前記補正手段による補正後の振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するために前記発光手段が発光する発光時間を演算することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記撮像素子における被写体像の動きを示す動きベクトル検出することにより、撮像装置の振れの度合いを検出し、
前記検出手段により検出された動きベクトルから、前記被写体像の動き量を予測する予測手段をさらに備え、
前記第1演算手段は、前記予測手段により予測された前記被写体像の動き量が示す振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するために前記発光手段が発光する発光時間を演算することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1演算手段は、振れの度合いと、焦点距離によって定まる被写体からの反射光が前記撮像素子に結像する錯乱円の半径が、前記撮像素子の画素ピッチのn倍となるように、前記発光手段が発光する発光時間を演算することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記発光手段に印加する電圧を昇圧するための昇圧手段をさらに備え、
前記被写体に対して発光する光量が第1の閾値以上の場合、前記昇圧手段による昇圧制御を行い、前記被写体に対して発光する光量が前記第1の閾値未満の場合、前記昇圧手段による昇圧制御を行わないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2演算手段により演算された電流値が第2の閾値以上の場合、あるいは、前記第2演算手段により演算された電流値が前記第2の閾値未満であって前記被写体に対して発光する光量が前記第1の閾値以上の場合、前記昇圧手段による昇圧制御を行い、前記被写体に対して発光する光量が前記第1の閾値未満の場合、前記昇圧手段による昇圧制御を行わないことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
被写体を光学部材を介して撮像する撮像素子と、被写体に対してLEDにより発光する発光手段とを備えた撮像装置の制御方法であって、
前記撮像装置の振れの度合いを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するために前記発光手段が発光する発光時間を演算する第1演算ステップと、
前記第1演算ステップにより演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、前記発光手段に供給する電流の電流値を演算する第2演算ステップと、
前記第1演算ステップにより演算された発光時間、及び前記第2演算ステップにより演算された電流値により、前記発光手段を制御する制御ステップと
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
被写体を光学部材を介して撮像する撮像素子と、被写体に対してLEDにより発光する発光手段とを備えた撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記制御方法は、
前記撮像装置の振れの度合いを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するために前記発光手段が発光する発光時間を演算する第1演算ステップと、
前記第1演算ステップにより演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、前記発光手段に供給する電流の電流値を演算する第2演算ステップと、
前記第1演算ステップにより演算された発光時間、及び前記第2演算ステップにより演算された電流値により、前記発光手段を制御する制御ステップと
を備えたことを特徴とするプログラム。
【請求項1】
被写体を光学部材を介して撮像する撮像素子と、被写体に対してLEDにより発光する発光手段とを備えた撮像装置であって、
前記撮像装置の振れの度合いを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するために前記発光手段が発光する発光時間を演算する第1演算手段と、
前記第1演算手段により演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、前記発光手段に供給する電流の電流値を演算する第2演算手段と、
前記第1演算手段により演算された発光時間、及び前記第2演算手段により演算された電流値により、前記発光手段を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記検出手段により検出された振れの度合いから、前記撮像装置の振れによる撮像画像への影響を、前記光学部材を用いて光学的に補正する補正手段をさらに備え、
前記第1演算手段は、前記補正手段による補正後の振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するために前記発光手段が発光する発光時間を演算することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記撮像素子における被写体像の動きを示す動きベクトル検出することにより、撮像装置の振れの度合いを検出し、
前記検出手段により検出された動きベクトルから、前記被写体像の動き量を予測する予測手段をさらに備え、
前記第1演算手段は、前記予測手段により予測された前記被写体像の動き量が示す振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するために前記発光手段が発光する発光時間を演算することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1演算手段は、振れの度合いと、焦点距離によって定まる被写体からの反射光が前記撮像素子に結像する錯乱円の半径が、前記撮像素子の画素ピッチのn倍となるように、前記発光手段が発光する発光時間を演算することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記発光手段に印加する電圧を昇圧するための昇圧手段をさらに備え、
前記被写体に対して発光する光量が第1の閾値以上の場合、前記昇圧手段による昇圧制御を行い、前記被写体に対して発光する光量が前記第1の閾値未満の場合、前記昇圧手段による昇圧制御を行わないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2演算手段により演算された電流値が第2の閾値以上の場合、あるいは、前記第2演算手段により演算された電流値が前記第2の閾値未満であって前記被写体に対して発光する光量が前記第1の閾値以上の場合、前記昇圧手段による昇圧制御を行い、前記被写体に対して発光する光量が前記第1の閾値未満の場合、前記昇圧手段による昇圧制御を行わないことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
被写体を光学部材を介して撮像する撮像素子と、被写体に対してLEDにより発光する発光手段とを備えた撮像装置の制御方法であって、
前記撮像装置の振れの度合いを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するために前記発光手段が発光する発光時間を演算する第1演算ステップと、
前記第1演算ステップにより演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、前記発光手段に供給する電流の電流値を演算する第2演算ステップと、
前記第1演算ステップにより演算された発光時間、及び前記第2演算ステップにより演算された電流値により、前記発光手段を制御する制御ステップと
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
被写体を光学部材を介して撮像する撮像素子と、被写体に対してLEDにより発光する発光手段とを備えた撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記制御方法は、
前記撮像装置の振れの度合いを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された振れの度合いから、振れによる撮像画像への影響を低減するために前記発光手段が発光する発光時間を演算する第1演算ステップと、
前記第1演算ステップにより演算された発光時間で、被写体に対して発光する光量とするために、前記発光手段に供給する電流の電流値を演算する第2演算ステップと、
前記第1演算ステップにより演算された発光時間、及び前記第2演算ステップにより演算された電流値により、前記発光手段を制御する制御ステップと
を備えたことを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−109277(P2013−109277A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256100(P2011−256100)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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