説明

撮像装置及びホワイトバランス制御値算出方法

【課題】 調光制御されて撮影された画像において、主被写体領域のホワイトバランス補正を適切に行えるようにする。
【解決手段】 撮像装置は、スピードライト(138)と、入射した被写体光学像を電気信号に変換し、画像データを出力する撮像素子(101)と、前記スピードライトにより調光を行って前記撮像素子で撮像した前記画像データにおいて、主被写体を含む主被写体領域を決定する主被写体領域検出部(140)と、前記画像データから、前記主被写体領域内の無彩色部分を検出し、当該無彩色部分に対応する部分画像データに基づいて、ホワイトバランス制御値を算出する無彩色部分検出部(112)及びWBゲイン算出部(114)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びホワイトバランス制御値算出方法に関し、特に、調光を行って撮影を行う場合のホワイトバランス制御値算出方法及び当該方法を適用した撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来のデジタルカメラの一構成例を示す図である。
【0003】
図7において、不図示の撮影レンズを通過した被写体光学像は撮像素子301上に結像し、その光量に応じた電荷に変換される。撮像素子301は例えば図8に示すようなR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタにより覆われている。なお、図8に示すフィルタ配列は一般にベイヤー配列と呼ばれて、輝度信号に対する寄与度の高いGフィルタを2画素分配置した4画素を1組として構成される。なお、後述する処理において、撮像素子の回路構成上、Rを含む行とBを含む行とが異なる読み出しアンプを用いている場合を考慮して、R行のGをG1、B行のGをG2として、G1、G2を異なる色成分として扱うため、図8では区別して記載する。各カラーフィルタはそれぞれの色の波長帯域周辺の分光感度を持ち、各カラーフィルタに対応して設けられた光電変換素子は、各カラーフィルタを通過した帯域の光線をそれぞれ光電変換する。
【0004】
各光電変換素子により変換された電荷は、撮像素子301から電気信号としてA/D変換部303に出力され、A/D変換処理によりデジタル信号(画像データ)に変換される。
【0005】
A/D変換部303から出力されたデジタル信号は、オートホワイトバランス(AWB)処理部305に送られてゲイン補正されると同時に、色度座標変換部310にも送られる。
【0006】
撮影した画像データから撮影画像に適したホワイトバランス制御値を自動で求めるオートホワイトバランスの場合、例えば以下のようにしてホワイトバランスのゲイン値(ホワイトバランス制御値)を求める。
【0007】
まず、色度座標変換部310は、画像データのうち、図8に示されるように、隣接したR、G1、G2、Bの組み合わせで、R:B及び(R+B):(G1+G2)を求めて、図9に示すような二次元座標上にプロットし、無彩色部分検出部312は、黒体輻射軌跡802の近傍の座標範囲801の枠内に位置したR、G1、G2、Bの組み合わせを無彩色の領域として判定する。そして、WBゲイン算出部314は、判定された組み合わせの信号を各色成分毎に順次積分して各色成分の積分値SumR、SumG1、SumG2、SumBを求め、SumR:SumG1:SumG2:SumBの比がG成分を基準として、1:1:1:1になるようなホワイトバランス制御値WbR、WbG1、WbG2、WbBを次式(1)のようにして求める。
WbR =(SumG1+SumG2)/(2×SumR)
WbG1 =(SumG1+SumG2)/(2×SumG1)
WbG2 =(SumG1+SumG2)/(2×SumG2)
WbB =(SumG1+SumG2)/(2×SumB) …(1)
【0008】
AWB処理部305では、WBゲイン算出部314において上述したようにして求められたホワイトバランス制御値をこの画像での最適な光源の色温度に対する制御値であると決定して、全画像データのうち、Rフィルタの画素信号に対してWbRを、G1フィルタの画素信号に対してWbG1を、G2フィルタの画素信号に対してWbG2を、Bフィルタの画素信号に対してWbBをそれぞれ乗算することでホワイトバランス演算処理を行う。
【0009】
オートホワイトバランス処理された画像データは、現像処理部307において現像処理される。ここではホワイトバランス調整された画像データに対して、最適なガンマ特性によって最適なコントラスト特性を与えたり、色調整やシャープネス処理などを行うことで、モニタ鑑賞のための出力やプリント出力などに最適な特性の画像データに変換される。
【0010】
現像処理部307で出力に最適な画像処理が行われた画像データは、画像データ出力部309においてファイル化されて出力される。例えば、ファイル形式をJPEGファイルに変換する場合には、画像処理されたRGBデータをYCrCb形式に3次元マトリックス変換して付属データを添付することでJPEGファイル形式に変換する(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】特開平07−154814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来例では、オートホワイトバランス処理を行うときは、撮影された全画像データから無彩色部分を検出し、検出された部分のR:G:Bを1:1:1にするゲインを求め、そのゲインをR、G、Bの各色成分ごとに乗算することで実現している。
【0013】
上記方式によりホワイトバランス処理を行うカメラにスピードライトなどの調光装置を装着して撮影を行った場合、例えば図10に示される撮影画面901において、被写体及びその周辺を定常光として元々照射している光源が、タングステン光やハロゲン光などのように色温度が約3000Kほどの赤みの強い光源である場合、色温度が約5500Kほどの青みの強いスピードライト光と光源色が大きく異なる。こういった撮影画面901において、主被写体部分904の露光量が適切となるように調光制御が行われた場合であっても、上記した従来の方法では調光されていない赤みの強い画像部分903からもホワイトバランス制御値を求める為の無彩色部を検出するため、その赤みの強い低色温度側の無彩色部もホワイトバランスの結果に影響を及ぼすことになる。その結果、調光されている高色温度側の青みの強い主被写体部分904やその周辺の画像部分902を適正にホワイトバランス補正できず、若干青みの残る補正結果となり、見苦しい画像となってしまう。
【0014】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、調光制御されて撮影された画像において、主被写体領域のホワイトバランス補正を適切に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、調光手段と、入射した被写体光学像を電気信号に変換し、画像データを出力する撮像手段と、前記調光手段により調光を行って前記撮像手段で撮像した前記画像データにおいて、主被写体を含む主被写体領域を決定する主被写体領域決定手段と、前記画像データから、前記主被写体領域内の無彩色部分を検出し、当該無彩色部分に対応する部分画像データに基づいて、ホワイトバランス制御値を算出する算出手段とを有する。
【0016】
また、本発明のホワイトバランス制御値算出方法は、調光手段による調光が必要かどうか判定する判定工程と、調光が必要な場合に、前記調光手段により調光を行い、入射した被写体光学像を電気信号に変換し、画像データを出力する撮像工程と、前記撮像工程で撮像された前記画像データにおいて、主被写体を含む主被写体領域を決定する主被写体領域決定工程と、前記画像データから、前記主被写体領域内の無彩色部分を検出し、当該無彩色部分に対応する部分画像データに基づいて、ホワイトバランス制御値を算出する算出工程とを有する。
【0017】
また、別の構成によれば、本発明の撮像装置は、調光手段と、入射した被写体光学像を電気信号に変換し、画像データを出力する撮像手段と、前記調光手段により調光を行って前記撮像手段で撮像した前記画像データにおいて、主被写体を含む主被写体領域を決定する主被写体領域決定手段と、前記画像データを複数の領域に分割し、前記主被写体領域の重み付けが最も重くなるように、前記複数の分割領域それぞれに対して、重み付け係数を割り当てる重み付け係数決定手段と、前記画像データの前記複数の分割領域それぞれについて無彩色部分を検出し、検出された各無彩色部分に対応する部分画像データに対して、該各無彩色部分が属する分割領域に割り当てられた重み付け係数により重み付けをし、得られた値に基づいてホワイトバランス制御値を算出する算出手段とを有する。
【0018】
また、本発明のホワイトバランス制御値算出方法は、調光手段による調光が必要かどうか判定する判定工程と、調光が必要な場合に、前記調光手段により調光を行い、入射した被写体光学像を電気信号に変換し、画像データを出力する撮像工程と、前記撮像工程で撮像された前記画像データにおいて、主被写体を含む主被写体領域を決定する主被写体領域決定工程と、前記画像データを複数の領域に分割し、前記主被写体領域の重み付けが最も重くなるように、前記複数の分割領域それぞれに対して、重み付け係数を割り当てる重み付け係数決定工程と、前記画像データの前記複数の分割領域それぞれについて無彩色部分を検出し、検出された各無彩色部分に対応する部分画像データに対して、該各無彩色部分が属する分割領域に割り当てられた重み付け係数により重み付けをし、得られた値に基づいてホワイトバランス制御値を算出する算出工程とを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、調光制御されて撮影された画像において、主被写体領域のホワイトバランス補正を適切に行えるようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0021】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態における撮像装置の概略機能構成を示すブロック図である。
【0023】
図1において、121は焦点調節レンズを含む撮影レンズ、101は撮影レンズ121を透過した被写体光学像を受光し、受光した光量に応じた電気信号を出力する、CCDやMOS等の撮像素子、103は撮像素子から出力された電気信号をデジタル信号(画像データ)に変換するA/D変換部、105はA/D変換部103から出力された画像データに対して、ホワイトバランス処理を行うオートホワイトバランス(AWB)処理部、107はAWB処理部105によりホワイトバランス処理された画像データに対して現像処理を行う現像処理部、109は現像処理によって生成された画像データを画像ファイル化して出力する画像データ出力部である。なお、上記各構成は、従来と同様の処理動作を行う。
【0024】
また、A/D変換部103から出力された画像データは、色度座標変換部110、測光部132、主被写体領域検出部140へも出力される。色度座標変換部110は、入力した画像データを図9に示すような二次元座標上に変換し、無彩色部分検出部112は、座標範囲801の枠内にある無彩色の画像データ(R、G1、G2、B)を検出する。WBゲイン算出部114は、検出された無彩色の画像データに基づいて、AWB処理部105でホワイトバランス処理に用いられるホワイトバランス(AWB)制御値WbR、WbG1、WbG2、WbBを算出する。
【0025】
122は焦点状態を検出する焦点検出部、124は、焦点検出部124の検出結果に基づいて撮影レンズ121を制御するレンズ制御部、132は測光部、134は測光部132の測光結果に応じて撮像素子を駆動する駆動部、138はスピードライト、136は測光部132の測光結果に応じて、スピードライト138の発光を制御するスピードライト制御部である。また、140は主被写体領域検出部である。
【0026】
上記構成を有する本第1の実施形態の撮像装置では、AWB処理部105は、WBゲイン算出部114で算出されたAWB制御値を用いてAWB処理を行う。
【0027】
次に、本第1の実施形態の撮像装置におけるWB制御値の算出手順について、図2のフローチャートを参照して説明する。この動作は、例えば、不図示のシャッターボタンの操作により、撮影準備が指示されたときに実行される。
【0028】
まず、ステップS11において、スピードライト138による調光が必要かどうかを判断する。ここでは、例えば、撮像装置が表示部を有する場合、表示部にスルー表示されていた、シャッターボタン操作直前の画像の明るさを測光部132で測光するようにしても、測光部132とは別に周辺光量を測光する測光回路を設けても良い。調光が必要な場合、ステップS12に進み、必要でない場合にはステップS15に進む。
【0029】
ステップS12において、スピードライト制御部136は、スピードライト138に撮影前発光(プレ発光)させ、調光された画像を取得する。ここでは、プレ発光をした状態で撮像素子101により撮影を行い、A/D変換部103によりデジタル信号に変更された画像データが測光部132、色度座標変換部110、主被写体領域検出部に入力される。なお、測光部132では、ここで取得した画像データを用いて測光を行うが、このとき、図3に示すように撮像素子101の撮影画面内401を複数に分割した各測光領域402毎に個別に測光値を求める。
【0030】
ステップS13では、主被写体領域検出部140により主被写体領域を決定し、無彩色部分決定部112に通知する。ここでは、A/D変換部103から出力された画像データから各測光領域402に対応する領域毎(便宜上、測光領域と呼ぶ。)に位置する各被写体までの距離を算出し、焦点検出部122から送られてくるレンズの焦点距離に合致する距離の被写体を含む測光領域402を主被写体領域として検出する。なお、主被写体を検出する方法としては、レンズの焦点距離を用いずに、最も近くに位置する被写体を主被写体と定義するなど、これら以外にも公知の方法を用いてもよい。このように、各測光領域を単位として主被写体領域を求めることで、露光量制御に利用することができる。図3の例では、被写体404をこの撮影シーンにおける主被写体として決定し、主被写体領域として領域403を決定する。なお、図3に示す例では1つの測光領域を主被写体領域403としたが、1つの領域に限るものではなく、複数の測光領域であっても勿論構わない。
【0031】
また、主被写体領域検出部140は、検出した主被写体404を含む主被写体領域403を測光部132にも通知する。測光部132は、本発光を行う場合に主被写体領域403の測光値をスピードライト制御部136に渡す。スピードライト制御部136では、主被写体領域403が最適な調光状態となるように、本発光時の調光量を演算する。このように制御することにより、主被写体404を適正な露光状態で撮影することができる。
【0032】
スピードライト制御部136は、同時に、発光制御を行うことを示す信号を無彩色部分検出部112に送り、本撮影時にスピードライト138による調光制御を行うことを通知する。
【0033】
ステップS14では、色度座標変換部110はA/D変換部103から入力される画像データを各画素毎に色度座標値に変換し、無彩色部分検出部112は、入力された発光制御を行うことを示す信号と、主被写体領域を示す信号の2つの信号に基づいて、各画素の色度座標値の内、主被写体領域403に含まれる無彩色部分のみを検出して、対応する画像データ(R、G1、G2、B)をWBゲイン算出部114に渡す。WBゲイン算出部114では、無彩色部分検出部112が検出した画像データを従来と同様の方法を用いて積分し、各色の積分値SumR、SumG1、SumG2、SumBを求める。
【0034】
一方、ステップS11でスピードライト138による調光が必要でないと判断した場合には、ステップS15において、撮影前発光(プレ発光)行わずに画像を取得する。そして、ステップS16において、色度座標変換部110はA/D変換部103から入力される画像データを各画素毎に色度座標値に変換し、無彩色部分検出部112は撮像画像全体の無彩色部分の色度座標値に対応する画像データ(R、G1、G2、B)をWBゲイン算出部114に渡し、WBゲイン算出部114では、従来と同様の方法を用いて積分して、各色の積分値SumR、SumG1、SumG2、SumBを求める。
【0035】
次に、ステップS17において、WBゲイン算出部114はステップS14またはステップS16のいずれかで求めた積分値SumR、SumG1、SumG2、SumBに基づいて、上述した式(1)によりWB制御値WbR、WbG1、WbG2、WbBを求め、求めたWB制御値WbR、WbG1、WbG2、WbBをAWB処理部105に設定する。
【0036】
以上のように、本第1の実施形態によれば、調光撮影時のオートホワイトバランス制御値を求める場合に、本発光制御値を決めるために用いられる主被写体領域についてのみ、画像データの無彩色部分を検出してWB制御値を求めることにより、撮影画面内で調光の届かない範囲の色の影響を受けずに、調光された主被写体のホワイトバランス制御結果が適正な色あいとなるように処理とすることが可能となる。
【0037】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0038】
図4は、本発明の第2の実施形態における撮像装置の概略機能構成を示すブロック図である。なお、第1の実施形態で説明した図1と同様の構成には同じ参照番号を付し、説明を省略する。図1に示す構成とは、各測光領域に重み付けを行う重み付け係数決定部240が追加され、それに伴い、無彩色部分検出部212、WBゲイン算出部214、測光部232の動作が変わるところが異なる。
【0039】
以下、図4に示す構成を有する本第2の実施形態の撮像装置におけるAWB制御値の算出手順について、図5のフローチャートを参照して説明する。なお、図5に示す処理において、図2と同様の処理には同じステップ番号を付し、一部説明を省略する。
【0040】
まず、ステップS11において、スピードライト138による調光が必要かどうかを判断する。調光が必要な場合、ステップS12に進み、必要でない場合にはステップS15に進む。
【0041】
ステップS12において、スピードライト制御部136は、スピードライト138に撮影前発光(プレ発光)させ、調光された画像を取得する。測光部232では得られた画像データを基にして、図3に示す各測光領域毎に測光値を求める。
【0042】
次に、ステップS21において、色度座標変換部110はA/D変換部103から入力される画像データを各画素毎に色度座標値に変換し、無彩色部分検出部212は各測光領域毎に無彩色部分を検出して、対応する画像データ(R、G1、G2、B)をWBゲイン算出部214に渡す。WBゲイン算出部214では、無彩色部分検出部212が検出した画像データを従来と同様の方法を用いて各測光領域毎に積分し、各色の積分値SumR(n)、SumG1(n)、SumG2(n)、SumB(n)(但し、nは各測光領域の番号とする。)を求める。
【0043】
次にステップS22で、重み付け係数決定部240により主被写体領域を決定し、更にステップS23で各測光領域に対する重み付け係数Wt(n)を決定する。ここでこの動作について説明する。
【0044】
まず、上記第1の実施形態と同様にして主被写体領域を検出する。図6(a)に示す例では、領域504を主被写体とする。次に、重み付け係数決定部240は、主被写体504が位置する測光領域503を重み付け1.0とし、その周辺の各測光領域の測光結果に対しては、図6(b)の例に示されるように、測光領域503から離れるほど重み付け値が小さくなるように割り当てる。なお、重み付けの方法はこれに限るものではなく、測光領域毎に各測光領域に含まれる被写体までの距離を求め、求めた距離が主被写体までの距離から離れるにつれて重み付け値が小さくなるようにするなど、公知の方法を用いても良い。また、図6に示す例では1つの測光領域を主被写体領域503としたが、1つの領域に限るものではなく、複数の測光領域であっても勿論構わない。
【0045】
重み付け係数決定部240は、求めた重み付け係数をWBゲイン算出部214に出力すると共に、測光部232にも出力する。
【0046】
測光部232では、各測光値に重み付け係数による重み付けを行い、重み付けした測光値をスピードライト制御部136に渡す。スピードライト制御部130では、以上のように各測光領域ごとに重み付け乗算を行なった結果の各測光値より、この撮影シーンに対して最適な調光制御量を求める。
【0047】
スピードライト制御部130は、同時に、発光制御を行うことを示す信号をWBゲイン算出部214に送り、本撮影時にスピードライト138による調光制御を行うことを通知する。
【0048】
ステップS24では、測光領域の番号を示す変数iを1に初期化する。ステップS25では、i番目の測光領域の積分値SumR(i)、SumG1(i)、SumG2(i)、SumB(i)にその測光領域の重み付け係数Wt(i)を掛け、その値を全ての測光領域について(ステップS26でYESとなるまで)、ステップS27でiを1ずつ増やしながら)順次加算することで、各色毎の重み付けした積分値の合計SumR、SumG1、SumG2、SumBを演算する。
【0049】
一方、ステップS11でスピードライト138による調光が必要でないと判断した場合には、撮影前発光(プレ発光)行わずに画像を取得し、取得した画像に基づいて、ステップS16において、撮像画像全体の無彩色部分の積分値SumR、SumG1、SumG2、SumBを求める。
【0050】
次に、ステップS17において、WBゲイン算出部114はステップS25またはステップS16のいずれかで求めた積分値SumR、SumG1、SumG2、SumBに基づいて、上述した式(1)によりWB制御値WbR、WbG1、WbG2、WbBを求め、求めたWB制御値WbR、WbG1、WbG2、WbBをAWB処理部105に設定する。
【0051】
以上のように、調光撮影時のオートホワイトバランス制御値を求めるために、検出した無彩色部分に対して、重み付けを行ってホワイトバランス制御値を求めることにより、主被写体を中心とした適正なホワイトバランス制御処理を実現することが可能となる。
【0052】
以上のように、本第2の実施形態によれば、調光撮影時のオートホワイトバランスの制御値を求める場合に、主被写体の領域を中心に割り当てられた重み付け係数を用いて、各測光領域に相当する領域ごとに求めた各色成分積分値に重み付け演算を行ってから合計し、この重み付けされた各色の積分値を用いてWB制御値を求める。これにより、撮影画面内の調光の届かない範囲の色の影響を相対的に減らすことができるため、調光された主被写体を中心とした付近のホワイトバランス制御結果が適正な色あいとなるように処理とすることが可能となる。
【0053】
<他の実施形態>
本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。ここでプログラムコードを記憶する記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、CD−ROM、CD−R、DVD、光ディスク、光磁気ディスク、MOなどが考えられる。また、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)やWAN(ワイド・エリア・ネットワーク)などのコンピュータネットワークを、プログラムコードを供給するために用いることができる。
【0054】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態における撮像装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるホワイトバランス制御値の算出手順を示すフローチャートである。
【図3】主被写体検出動作を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における撮像装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態におけるホワイトバランス制御値の算出手順を示すフローチャートである。
【図6】主被写体検出動作及び重み付け係数を説明する図である。
【図7】従来の撮像装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】撮像素子上のカラーフィルターの位置と、色度座標を算出するときの画素の組み合わせの一例を示す図である。
【図9】色度座標上の黒体輻射軌跡と無彩色判定領域を表す図である。
【図10】撮影画面内での調光範囲を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
101 撮像素子
103 A/D変換部
105 オートホワイトバランス処理部
107 現像処理部
109 画像データ出力部
110 色度座標変換部
112、212 無彩色部分検出部
114、214 WBゲイン算出部
121 撮影レンズ
122 焦点検出部
124 レンズ制御部
132、232 測光部
134 駆動部
138 スピードライト
136 スピードライト制御部
140 主被写体領域検出部
240 重み付け係数決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光手段と、
入射した被写体光学像を電気信号に変換し、画像データを出力する撮像手段と、
前記調光手段により調光を行って前記撮像手段で撮像した前記画像データにおいて、主被写体を含む主被写体領域を決定する主被写体領域決定手段と、
前記画像データから、前記主被写体領域内の無彩色部分を検出し、当該無彩色部分に対応する部分画像データに基づいて、ホワイトバランス制御値を算出する算出手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記検出された無彩色部分に対応する部分画像データを各色毎に合計し、得られた各色毎の和が同じ比率となる係数をホワイトバランス制御値として算出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
調光手段と、
入射した被写体光学像を電気信号に変換し、画像データを出力する撮像手段と、
前記調光手段により調光を行って前記撮像手段で撮像した前記画像データにおいて、主被写体を含む主被写体領域を決定する主被写体領域決定手段と、
前記画像データを複数の領域に分割し、前記主被写体領域の重み付けが最も重くなるように、前記複数の分割領域それぞれに対して、重み付け係数を割り当てる重み付け係数決定手段と、
前記画像データの前記複数の分割領域それぞれについて無彩色部分を検出し、検出された各無彩色部分に対応する部分画像データに対して、該各無彩色部分が属する分割領域に割り当てられた重み付け係数により重み付けをし、得られた値に基づいてホワイトバランス制御値を算出する算出手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記重み付けされた部分画像データを各色毎に合計し、得られた各色毎の和が同じ比率となる係数をホワイトバランス制御値として算出することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記主被写体領域の露光状態が適切となるように調光手段を制御する調光制御手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記算出手段により算出されたホワイトバランス制御値を用いてホワイトバランス補正を行うホワイトバランス処理手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記主被写体領域決定手段は、前記画像データに基づいて最も近くにある被写体を主被写体として決定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
焦点検出手段を更に有し、
前記主被写体領域決定手段は、合焦点にある被写体を主被写体として決定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
調光手段による調光が必要かどうか判定する判定工程と、
調光が必要な場合に、前記調光手段により調光を行い、入射した被写体光学像を電気信号に変換し、画像データを出力する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像された前記画像データにおいて、主被写体を含む主被写体領域を決定する主被写体領域決定工程と、
前記画像データから、前記主被写体領域内の無彩色部分を検出し、当該無彩色部分に対応する部分画像データに基づいて、ホワイトバランス制御値を算出する算出工程と
を有することを特徴とするホワイトバランス制御値算出方法。
【請求項10】
前記算出工程は、
前記検出された無彩色部分に対応する部分画像データを各色毎に合計する工程と、
得られた各色毎の和が同じ比率となる係数を算出する工程とを有し、
前記算出した係数をホワイトバランス制御値とすることを特徴とする請求項9に記載のホワイトバランス制御値算出方法。
【請求項11】
調光手段による調光が必要かどうか判定する判定工程と、
調光が必要な場合に、前記調光手段により調光を行い、入射した被写体光学像を電気信号に変換し、画像データを出力する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像された前記画像データにおいて、主被写体を含む主被写体領域を決定する主被写体領域決定工程と、
前記画像データを複数の領域に分割し、前記主被写体領域の重み付けが最も重くなるように、前記複数の分割領域それぞれに対して、重み付け係数を割り当てる重み付け係数決定工程と、
前記画像データの前記複数の分割領域それぞれについて無彩色部分を検出し、検出された各無彩色部分に対応する部分画像データに対して、該各無彩色部分が属する分割領域に割り当てられた重み付け係数により重み付けをし、得られた値に基づいてホワイトバランス制御値を算出する算出工程と
を有することを特徴とするホワイトバランス制御値算出方法。
【請求項12】
前記算出工程は、
前記重み付けされた部分画像データを各色毎に合計する工程と、
得られた各色毎の和が同じ比率となる係数を算出する工程とを有し、
前記算出した係数をホワイトバランス制御値とすることを特徴とする請求項11に記載のホワイトバランス制御値算出方法。
【請求項13】
前記主被写体領域決定工程では、前記画像データに基づいて最も近くにある被写体を主被写体として決定することを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載のホワイトバランス制御値算出方法。
【請求項14】
焦点検出工程を更に有し、
前記主被写体領域決定工程では、合焦点にある被写体を主被写体として決定することを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載のホワイトバランス制御値算出方法。
【請求項15】
請求項9乃至14のいずれかに記載のホワイトバランス制御値算出方法を実現するためのプログラムコードを有することを特徴とする情報処理装置が実行可能なプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする情報処理装置が読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−42168(P2006−42168A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221952(P2004−221952)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】