説明

撮像装置及び撮像方法

【課題】撮像装置を2台使用して立体画像を撮像する場合の、操作や調整が簡単に行えるようにする。
【解決手段】第1の撮像装置100Lと第2の撮像装置100Rとを通信可能に接続する。そして、第1の撮像装置100Lと第2の撮像装置100Rとで、同期したタイミングで撮像を行う。その上で、第1の撮像装置100Lに装着されたレンズ装置200Lの設定を、第1の撮像装置内の制御部110Lで判断し、その判断したレンズ装置の設定を、第2の撮像装置100Rに送信する。第2の撮像装置100Rでは、受信したレンズ装置の設定を、第2の撮像装置内の制御部110Rの指示で、第2の撮像装置100Rに装着されたレンズ装置200Rに設定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置及び撮像方法に関し、特に立体画像(3D画像)を撮像する場合に適用される技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラなどの撮像装置で立体画像を撮像する場合には、2台の撮像装置を用意する。そして、それぞれの撮像装置で、左チャンネル用画像の撮像と右チャンネル用画像の撮像とを個別に行う。この場合、2台の撮像装置は、リグと称される連結機構で固定し、それぞれの撮像装置に装着されたレンズ装置の光軸が平行になるようにして撮像を行う。
【0003】
このように2台の撮像装置を使用して立体画像の撮像を行う際の操作や調整は、1台の撮像装置ごとに個別に行う必要がある。例えば、レンズのフォーカス合わせやズーム調整を行う場合、それぞれの撮像装置での調整操作が必要である。2台の撮像装置でのフォーカスやズームの調整状態は、完全に一致させる必要がある。
【0004】
特許文献1には、立体画像撮像用撮像装置に装着されるレンズ装置として、左チャンネル用のレンズ部と右チャンネル用のレンズ部とを一体に連結した構成とし、両チャンネルのレンズ部のフォーカス合わせなどを連動して行う構成についての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−323672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のように設計段階から立体撮像用として構成された撮像装置の場合には、左右のチャンネルのレンズ部を連動して動く機構を設けることが比較的容易に行える。これに対して、立体画像用でない通常の撮像装置を2台用意して、立体画像の撮像を行う場合には、事実上そのような連動機構を設けることは不可能である。このため、2台の撮像装置をリグで固定して立体画像の撮像を行う場合には、1台ずつレンズなどを調整した後、それぞれの撮像装置での調整状態が一致しているかを確認している。このため、調整状態にずれがあると、レンズの再調整が必要となり、立体画像の撮像に非常に手間を要するという問題があった。
なお、ここまでの説明では、レンズの調整の問題について述べたが、撮像装置の信号処理系についても、レンズと同様に調整時には2台の撮像装置で同じように調整する必要があり、手間がかかる問題があった。
【0007】
本開示は、撮像装置を2台使用して立体画像を撮像する場合の、操作や調整が簡単に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、第1の撮像装置と第2の撮像装置とを通信可能に接続する。そして、第1の撮像装置と第2の撮像装置とで、同期したタイミングで撮像を行う。また、第1の撮像装置に装着されたレンズ装置の設定を、第1の撮像装置内の制御部で判断し、その判断したレンズ装置の設定を、第2の撮像装置に送信する。第2の撮像装置では、受信したレンズ装置の設定に基づいて、第2の撮像装置内の制御部の指示で、第2の撮像装置に装着されたレンズ装置に設定する。
【0009】
このような処理を行うことで、第1の撮像装置に装着されたレンズ装置の設定を変更する操作者の操作があった際には、その設定の変更が第1の撮像装置内で判断されて、第2の撮像装置に設定の変更の情報が送信される。その設定の変更の情報を受信した第2の撮像装置では、受信した設定の変更の情報に基づいて、第2の撮像装置に装着されたレンズ装置の設定を、第1の撮像装置と同じように変更する処理が行われる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によると、接続した2台の撮像装置の内の一方に装着されたレンズ装置の設定を手動操作などで変更することで、他方に装着されたレンズ装置の設定も連動して変更されるようになる。したがって、2台の撮像装置でフォーカスやズームなどのレンズ設定を合わせる調整が不要になり、立体画像を得るための2台の撮像装置の調整が非常に簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の一実施の形態例による撮像装置の構成を示す図である。
【図2】本開示の一実施の形態例による補正処理の一例を示す説明図である。
【図3】本開示の一実施の形態例による伝送例を示す説明図である。
【図4】本開示の一実施の形態例による同期処理を示すフローチャートである。
【図5】本開示の一実施の形態例によるリモートコントローラからの指令があった場合の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)を、以下の順序で説明する。
1.システム全体と撮像装置の構成(図1)
2.撮像装置間での伝送例(図2,図3)
3.2台の撮像装置での同期処理(図4)
4.リモートコントローラからの指令があった場合の処理(図5)
5.変形例
【0013】
[1.システム全体と撮像装置の構成]
本開示の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)のシステム全体と撮像装置の構成を、図1を参照して説明する。
本例の撮像システムは、2台の撮像装置100L,100Rを用意して、立体画像の撮像を行うシステムである。すなわち、一方の撮像装置(第1の撮像装置)100Lで左チャンネル用画像の撮像を行い、他方の撮像装置(第2の撮像装置)100Rで右チャンネル用画像の撮像を行う。
2台の撮像装置100L,100Rは、リグなどの連結機構(図示せず)を使用して固定し、それぞれの撮像装置100L,100Rに装着されたレンズ装置200L,200Rの光軸が平行になるようにして撮像を行う。
【0014】
第1の撮像装置100Lと第2の撮像装置100Rは、同一構成の撮像装置である。したがって、いずれか1台の撮像装置100L又は100Rだけの使用で、立体画像でない通常の画像(2D画像)の撮像ができる。図面では、左チャンネル用の第1の撮像装置100Lの各構成要素の符号にLを付与し、右チャンネル用の第2の撮像装置100Rの各構成要素の符号にRを付与してある。これらのL,Rの符号は、画像信号の左右のチャンネルを区別するために付与したものであり、撮像装置の構成の相違を示すものではない。撮像装置100L,100Rに装着されるレンズ装置200L,200Rについても、同様の意味で各構成要素の符号にL,Rを付与している。
【0015】
第1の撮像装置100Lと第2の撮像装置100Rは同一構成であるので、以下の撮像装置の構成の説明では、第1の撮像装置100Lの構成のみを説明する。
第1の撮像装置100Lは、撮像部としてのイメージャ101Lを備える。このイメージャ101Lは、レンズ装置200Lを介して入射した像光を、電気的な撮像信号に変換する。レンズ装置200Lは、撮像装置100Lのマウント部121Lに装着される。
【0016】
イメージャ101Lで撮像を行うタイミングは、イメージャ駆動部111Lから供給される駆動パルスで決まる。また、イメージャ101Lの受光面の前面に、シャッタ102Lを配置し、イメージャ101Lでの撮像に連動してシャッタ102Lを開閉させる。このシャッタ102Lの開閉タイミングは、シャッタ駆動部112Lから供給される駆動信号で決まる。なお、シャッタを必要としない撮像素子からなるイメージャ101Lを使用して、シャッタのない撮像装置として構成でもよい。
【0017】
そして、イメージャ101Lが出力する撮像信号を撮像処理部103Lに供給し、この撮像処理部103Lで各種撮像処理を行う。例えば、撮像処理部103Lで、ゲイン調整,ホワイトバランス調整,ガンマ補正などの処理を行う。
また、撮像処理部103Lが出力する撮像信号を、画像データ変換部104Lに供給する。この画像データ変換部104Lは、供給される撮像信号を、出力用の所定のフォーマットの画像データに変換する画像データ出力処理を行う。そして、画像データ変換部104Lで変換された画像データを、画像データ出力端子部105Lに供給する。これにより、画像データ変換部104Lと画像データ出力端子部105Lとが、画像データの出力部として機能する。
そして、画像データ出力端子部105Lに接続された画像データ出力ライン91Lを使用して、外部の機器に左チャンネルの画像データを供給する。なお、各撮像装置100L,100Rから出力される左右のチャンネルの画像データは、図示しない外部の編集装置や記録装置に供給されて、編集や記録などが行われる。
【0018】
撮像処理部103Lでの撮像処理と、画像データ変換部104Lでの変換処理は、撮像制御部110Lの制御で実行される。また、撮像制御部110Lには記憶部117Lが接続されており、撮像制御部110Lの制御で、記憶部117Lが制御に必要なデータを記憶する。後述するレンズオフセット量のデータについても、この記憶部117Lが記憶する。
【0019】
また、撮像装置100Lは、ユーザが操作する操作キーなどで構成された操作部118Lを備え、この操作部118Lからの操作データに基づいて、撮像制御部110Lが撮像状態の設定を行う。例えば、撮像処理部103Lでの各種調整状態や、画像データ変換部104Lで変換されるフォーマットなどが、ユーザ操作で設定される。
また、操作部118Lは、撮像装置本体内での撮像状態を指示する操作キーの他に、レンズの状態を指示する操作キーも備える。例えば、ズーム操作を行うキー、フォーカス調整を行うキー、アイリス調整を行うキーを備える。これらのレンズの状態のキーの操作に基づいた操作データが操作部118Lから撮像処理部103Lに供給されたとき、撮像処理部103Lからレンズ装置200L側に対応した指示を送る。レンズ装置200Lの構成については後述する。
【0020】
また、撮像装置100Lは、他の機器と通信を行うための端子として、同期用端子部114Lとコントロール用端子部116Lとを備える。同期用端子部114Lは、他の撮像装置と同期して撮像を行うための端子であり、図1の例では、同期用端子部114Lに、カメラ接続ライン92を介して第2の撮像装置100Rを接続している。同期用端子部114Lを使用した通信処理は、撮像制御部110Lによる制御に基づいて、同期処理部113Lで実行される。本例の場合には、撮像を行うフィールド周期(又はフレーム周期)を決めるフィールド同期データ(又はフレーム同期データ)を、同期用端子部114Lから送信する。
【0021】
コントロール用端子部116Lは、リモートコントローラ300を接続するための端子である。このリモートコントローラ300と通信を行うために、撮像装置100Lは、通信処理部115Lを備え、この通信処理部115Lで、コントロール用端子部116Lに受信した信号に含まれる指令の判断処理を行う。そして、通信処理部115Lで判断した指令に基づいた動作制御を、撮像制御部110Lが実行する。また、同期用端子部114Lを介して他の撮像装置100Rが接続されている状態のときには、同期用端子部114Lから送信するフィールド同期データ(又はフレーム同期データ)に、通信処理部115Lで判断した指令を付加する。
なお、第1の撮像装置100Lと第2の撮像装置100Rは同一構成であるため、各々がコントロール用端子部116L,116Rを備えるが、本例の場合にはいずれか一方のコントロール用端子部を使用してリモートコントローラ300を接続するだけでよい。他方のコントロール用端子部には何も接続しない。
【0022】
リモートコントローラ300は、撮像の開始・停止の指示の他、ズーム,フォーカスなどのレンズ状態の指示や、撮像装置の各種設定の指示が可能なコントロール機器であり、リモートコントロール用ライン93でコントロール用端子部116Lに接続する。
リモートコントローラ300の構成について説明すると、コントロール用制御部301に操作部302と表示部303が接続してあり、操作部302の操作に基づいた指令がコントロール用制御部301で生成される。生成された指令は通信処理部304に送られ、通信処理部304で送信用に変調されたデータとされる。そして、その変調された送信データを端子部305からリモートコントロール用ライン93に出力する。表示部303は、操作指令の送信状態などを表示する。
なお、リモートコントローラ300と撮像装置100Lとの通信が双方向通信である場合には、リモートコントローラ300が撮像装置100Lの動作状況を受信して、その受信した動作状況を、表示部303に表示させてもよい。また、リモートコントローラ300を接続したシステム構成とするのは一例であり、リモートコントローラ300がない状態で撮像を行ってもよい。
【0023】
次に、撮像装置100Lのマウント部121Lに装着されるレンズ装置200Lの構成について説明する。
レンズ装置200Lは、フォーカスレンズ202Lとズームレンズ203Lとアイリス204Lとを備える。これらのレンズ202L,203Lとアイリス204Lは、レンズ装置200L内のレンズ制御部201Lからの指令で位置が設定される不図示の駆動部を備える。また、フォーカスレンズ202Lの位置(フォーカス設定位置)と、ズームレンズ203Lの位置(ズーム設定位置)と、アイリス204Lの位置(アイリス設定位置)を検出する不図示のセンサを備えて、それぞれのセンサ出力をレンズ制御部201Lに供給する。そして、レンズ制御部201Lで現在のフォーカス設定位置とズーム設定位置とアイリス設定位置を判断する。判断した現在のフォーカス設定位置とズーム設定位置とアイリス設定位置のデータは、撮像装置100L内の撮像制御部110Lに供給する。
【0024】
なお、レンズ制御部201Lと撮像制御部110Lとは、マウント部121Lに設けた接点を介して通信可能に接続してあり、フレーム周期などで周期的に通信を行う。この周期的な通信で、撮像制御部110Lからレンズ制御部201Lに、フォーカス位置,ズーム位置、アイリス位置の変更を指示する指令が送られる。また、レンズ制御部201Lから撮像制御部110Lに、センサが検出した実際のフォーカス設定位置,ズーム設定位置、アイリス設定位置のデータが送られる。
【0025】
[2.撮像装置間での伝送例]
次に、図2及び図3を参照して、第1の撮像装置100Lと第2の撮像装置100Rとの間での伝送例について説明する。
まず、初期設定として、2台の撮像装置100L,100Rに装着されたレンズ装置200L,200Rのレンズ特性のオフセット量の測定処理が行われる。このレンズ特性のオフセット量の測定処理は、例えば2台の撮像装置100L,100Rから出力される画像データが入力される編集装置や、その編集装置に接続されたモニタなどを使用して行われる。例えば、レンズ装置200Lとレンズ装置200Rに同じフォーカス位置,ズーム位置、アイリス位置とする指令を送り、その状態で各撮像装置100L,100Rが撮像して出力する画像をモニタに表示する。
例えば、図2に示すように、左チャンネル画像1Lと、右チャンネル画像1Rとを、モニタに交互又は並べて表示する。そして、それぞれの画像1L,1Rを比較して、表示サイズの相違から、両レンズ装置の間のズーム設定位置のオフセット量を判断する。フォーカス設定位置のオフセット量や、アイリス設定位置のオフセット量についても、表示状態などから判断する。なお、これらの判断は、ユーザがモニタ表示状態から判断してもよいが、画像の各特性を測定して自動的に判定してもよい。
【0026】
判断したそれぞれのオフセット量は、撮像装置100Lの記憶部117Lに記憶される。この記憶作業は外部から撮像装置100Lへの調整データの供給で、自動的に行うようにしてもよいが、操作部118Lを使用してユーザが手動でオフセット量の値を設定してもよい。
オフセット量のデータを設定した後は、図3に示すように、第1の撮像装置100Lから第2の撮像装置100Rにレンズ設定位置のデータを送る際に、記憶部117Lが記憶したオフセット量を読み出し、オフセット量の分だけシフトした設定位置のデータとする。
このレンズ設定位置のデータは、図3に示すように、フィールド同期データFS(又はフレーム同期データ)に付加された状態で、第1の撮像装置100Lから第2の撮像装置100Rに供給される。また、撮像処理についての設定のデータについても、フィールド同期データFSに付加されて供給される。ここでの撮像処理のデータには、シャッタ速度のデータも含まれる。
なお、撮像処理についての設定のデータについても、2台の撮像装置100L,100Rの間での各特性の相違を測定して、その測定した相違量に基づいたオフセット量を設定してもよい。また、図3の例では、第1の撮像装置100Lから第2の撮像装置100Rにオフセット量のデータを送るようにしたが、第1の撮像装置100L自身が、装着されたレンズ装置200Lに対してオフセット量だけシフトした指令を送って補正してもよい。
【0027】
[3.2台の撮像装置での同期処理]
次に、図4のフローチャートを参照して、それぞれの撮像装置100L,100Rでの同期処理例について説明する。図4のフローチャートは、各撮像装置100L,100R内の撮像制御部110L,110Rの制御による判断処理を示したものである。
まず、同期用端子部114L,114Rを介して他の撮像装置の接続がある否かを判断する(ステップS11)。この判断で他の撮像装置の接続がない場合には、同期処理は実行しない。
【0028】
そして、ステップS11で他の撮像装置の接続があると判断した場合には、2台の撮像装置のいずれか一方をマスタに決定し、他方をスレーブに決定する(ステップS12)。このマスタとスレーブの決定処理は、例えば図1に示すようにリモートコントローラ300の接続がある場合には、そのリモートコントローラ300が接続された撮像装置100Lをマスタとし、他の撮像装置100Rをスレーブとする。リモートコントローラ300の接続がない場合には、いずれをマスタとしてもよい。なお、スレーブとなった撮像装置(例えば撮像装置100R)では、その撮像装置が備える操作部での操作を無効とする処理を行う。
このマスタとスレーブの決定後、同期処理を行う通信モードが、立体画像の撮像を行うモードである3Dモードか否かを判断する(ステップS13)。ここで、3Dモード以外のモードである場合には、ステップS14に移って、そのときに設定されたモードでの撮像処理を行う。
【0029】
そして、ステップS13で3Dモードであると判断した場合には、自機の設定がマスタかスレーブかを判断する(ステップS15)。この判断でマスタであると判定したときには、撮像制御部が自機に装着されたレンズ制御部と通信を行って、現在のレンズ設定位置の値を取得する(ステップS16)。この現在のレンズ設定位置は、レンズ装置に装着したセンサが検出した実際の設定位置である。また、撮像制御部が自機内の撮像処理部での撮像処理状態の設定状態のデータを取得する(ステップS17)。これらのレンズ設定値と撮像処理の設定値は、他の撮像装置に送信するフィールド同期データに付加される(ステップS18)。これらの設定値を付加する際には、上述したオフセット量だけシフトした設定値の指令とする。
そして、これらの設定値の指令が付加されたフィールド同期データを、他の撮像装置に送信する(ステップS19)。その後、送信したフィールド同期データに同期したタイミングで、1フィールドの撮像処理を行う(ステップS20)。ここまでの撮像処理が終わると、ステップS16の処理に戻り、1フィールドごとにステップS16からステップS20の処理を繰り返す。
【0030】
ステップS15でスレーブであると判断したときには、相手の撮像装置から伝送されるフィールド同期データの受信処理を行う(ステップS21)。このフィールド同期データは、マスタ側の撮像装置からステップS19で送信されたものである。
ステップS21でフィールド同期データを受信すると、その受信したフィールド同期データに付加されたレンズ設定値及び撮像の設定値を判断し、直前のフィールド同期で指示された設定から変化したか否かを判断する(ステップS22)。ここで変化があると判断した場合には、その変化した設定値となるように、撮像制御部から自機に接続されたレンズ装置のレンズ制御部や自機内の撮像処理部に指示を送る(ステップS23)。ステップS22で変化がないと判断した場合には、ステップS23の処理は行わない。その後、ステップS21で受信したフィールド同期データで同期したタイミングで、1フィールドの撮像処理を行う(ステップS24)。ここまで撮像処理が終わると、ステップS16の処理に戻り、1フィールドごとにステップS21からステップS24の処理を繰り返す。
【0031】
この図4のフローチャートに示す処理が行われることで、2台の撮像装置100L,100Rが同期したタイミングで撮像を行うようになる。そして、マスタとなる撮像装置(lここでは撮像装置100L)の操作部118Lを使用したユーザ操作で、レンズ設定が変更された場合、その操作に基づいたレンズ設定位置のデータが、スレーブとなる撮像装置100Rに送られ、同じ設定状態に制御される。ここで、レンズ設定位置は、予め測定したオフセット量を付加して指示することで、2台の撮像装置で完全に一致した状態の画像が撮像できるようになる。また、スレーブとなる撮像装置100Rに送られるレンズ設定位置のデータは、実際にセンサが検出したレンズ設定位置であるため、ずれのない完全に一致した状態での撮像を行うことができる。
また、シャッタ速度や撮像処理部でのゲイン調整やホワイトバランス調整などの撮像設定についても、マスタとなる撮像装置100Lからスレーブとなる撮像装置100Rに指示するので、撮像処理状態についても、完全に一致した状態での撮像が可能である。
また、それぞれの撮像装置100L,100Rは、カメラ接続ライン92で接続した場合にだけ、このような同期処理が行われるため、1台ずつで通常の立体視用でない画像の撮像も可能であり、汎用性の高いシステムが得られる。
【0032】
なお、マスタの撮像装置100Lからスレーブの撮像装置100Rに送るレンズ設定位置のデータは、図4のフローチャートの処理では、レンズ装置200L内のセンサが検出した実際のレンズ位置のデータとする。これに対して、撮像装置100Lの撮像制御部110Lが指示した設定値を、スレーブの撮像装置100Rに送るようにしてもよい。この場合にも、オフセット量のデータだけシフトした設定値とする。
【0033】
[4.リモートコントローラからの指令があった場合の処理]
図4のフローチャートの処理では、2台の撮像装置100L,100Rでレンズ位置などが設定されるタイミングのずれについては考慮していない。これに対して、レンズ位置が動くタイミングについても、同期させるようにしてもよい。すなわち、一方の撮像装置から他方の撮像装置にデータを送るため、そのデータの送受信の処理に要する時間だけ遅延が発生することになり、この遅延分を補正することで、同期タイミングを一致させることが可能になる。
【0034】
図5のフローチャートは、動作タイミングを同期させる1つの例を示したものである。まず、マスタとなる撮像装置で、リモートコントローラからのレンズ設定に関する指令の受信、又は操作部でレンズ設定に関する操作があるか否かを判断する(ステップS31)。この判断で、レンズ設定に関する指令や操作があると判断した場合には、変更された設定値を次のフィールド同期データに付加して、スレーブとなる撮像装置に送信する(ステップS32)。その後、マスタとなる撮像装置は、予め設定された期間(時間)だけ待機する(ステップS33)。このステップS33での待機期間が、同期タイミングを補正する時間である。そして、その待機後に自機のレンズ設定を、指令や操作で得た設定に変更する処理を開始する(ステップS34)。
ステップS31でレンズ設定に関する指令や操作がないと判断した場合と、ステップS34の処理を開始した後は、ステップS31の判断に戻る。
【0035】
この図5のフローチャートに示す処理が行われることで、2台の撮像装置でレンズ設定が変更されるタイミングが一致するようになり、より良好な立体画像の撮像が可能になる。例えば、ズームレンズの制御に適用することで、左右のチャンネルの画像が、同期してズームするようになり、立体視用の画像として、違和感のない良好な画像が得られる。
【0036】
[5.変形例]
なお、図1の例では、レンズ装置のフォーカス,ズーム,アイリスを操作するキーは、撮像装置本体側に設けた構成としている。これに対して、レンズ装置側がフォーカス,ズーム,アイリスを操作するキーを備える構成としてもよい。また、レンズ装置として、ユーザが手動で操作可能なフォーカスリングやズームリングを備えた構成として、これらのリングの手動操作で変化した位置のデータを、撮像装置本体に送るようにしてもよい。
また、図1の例では、撮像装置本体がマウント部を備えて、レンズ装置が本体に対して着脱自在な構成としたが、撮像装置に固定的に装着されたレンズ装置として構成としてもよい。
【0037】
また、図5のフローチャートの処理では、リモートコントローラからの指示を受信した第1の撮像装置100Lで、第2の撮像装置100Rで動作する時間の分だけ待機処理(ステップS33の処理)を行うようにしている。これに対して、例えば動作指示を行う際に、その動作の開始タイミング(又は設定終了タイミング)を、第2の撮像装置100R側に指示し、それぞれの撮像装置100L,100Rで、その指示したタイミングで同時に動作するようにしてもよい。
【0038】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)レンズ装置を介して入射した像光を電気的な撮像信号に変換する撮像部と、
前記撮像部が出力する撮像信号を処理する撮像処理部と、
前記撮像処理部で処理された撮像信号を所定のフォーマットの画像信号に変換して出力する出力部と、
他の撮像装置と接続するための同期用端子部と、
前記同期用端子部を介して前記他の撮像装置と通信が可能な場合に、前記他の撮像装置と同期したタイミングで撮像の制御を行うと共に、前記レンズ装置の制御状態を前記他の撮像装置側のレンズ装置と同じ制御状態とする撮像制御部とを備えた
撮像装置。
【0039】
(2)当該撮像装置に装着されたレンズ装置の特性と、前記他の撮像装置に装着されたレンズ装置の特性の差を補正する情報を記憶する記憶部を備えた
前記(1)記載の撮像装置。
【0040】
(3)前記撮像制御部は、当該撮像装置に装着されたレンズ装置が備えるレンズ制御部と通信を行い、その通信で得たレンズの設定値を、前記同期用端子部を介した通信で前記他の撮像装置へ通知する処理を行う
前記(1)又は(2)記載の撮像装置。
【0041】
(4)前記撮像制御部は、前記撮像処理部の設定状況についても、前記同期用端子部を介した通信で前記他の撮像装置へ通知する処理を行う
前記(1)、(2)、(3)のいずれか1項に記載の撮像装置。
【0042】
(5)前記撮像制御部は、前記同期用端子部を介して接続された前記他の撮像装置に、フレーム同期信号又はフィールド同期信号をフレーム周期又はフィールド周期で伝え、
前記レンズの設定値及び前記撮像処理部の設定状況を、前記フレーム同期信号又は前記フィールド同期信号に付加する処理を行う
前記(1)、(2)、(3)、(4)のいずれか1項に記載の撮像装置。
【0043】
(6)前記レンズ装置の制御状態は、外部のコントローラから指示された設定値であり、外部から指示された設定値を、当該撮像装置に装着されたレンズ装置が備えるレンズ制御部に伝えると共に、前記同期用端子部を介して接続された前記他の撮像装置に通知する処理を行う
前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)のいずれか1項に記載の撮像装置。
【0044】
(7)前記撮像制御部は、前記同期用端子部を介して接続された前記他の撮像装置と通信を行い、その通信で得たレンズの設定値を、当該撮像装置に装着されたレンズ装置が備えるレンズ制御部へ通知する処理を行う
前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)のいずれか1項に記載の撮像装置。
【0045】
(8)前記撮像制御部は、前記同期用端子部を介して接続された前記他の撮像装置との通信で、撮像処理の設定状況についても取得し、取得した撮像処理の設定状況を前記撮像処理部に設定する処理を行う
前記(7)記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0046】
1L…左チャンネル画像、1R…右チャンネル画像、91L,91R…画像データ出力ライン、92…カメラ接続ライン、93…リモートコントロール用ライン、100L,100R…撮像装置、101L,101R…イメージャ、102L,102R…シャッタ、103L,103R…撮像処理部、104L,104R…画像データ変換部、105L,105R…画像データ出力端子部、110L,110R…撮像制御部、111L,111R…イメージャ駆動部、112L,112R…シャッタ駆動部、113L,113R…同期処理部、114L,114R…同期用端子部、115L,115R…通信処理部、116L,116R…コントロール用端子部、117L,117R…記憶部、118L,118R…操作部、121L,121R…マウント部、200L,200R…レンズ装置、201L,201R…レンズ制御部、202L,202R…フォーカスレンズ、203L,203R…ズームレンズ、204L,204R…アイリス、300…リモートコントローラ、301…コントロール用制御部、302…操作部、303…表示部、304…通信処理部、305…端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ装置を介して入射した像光を電気的な撮像信号に変換する撮像部と、
前記撮像部が出力する撮像信号を処理する撮像処理部と、
前記撮像処理部で処理された撮像信号を所定のフォーマットの画像信号に変換して出力する出力部と、
他の撮像装置と接続するための同期用端子部と、
前記同期用端子部を介して前記他の撮像装置と通信が可能な場合に、前記他の撮像装置と同期したタイミングで撮像の制御を行うと共に、前記レンズ装置の制御状態を前記他の撮像装置側のレンズ装置と同じ制御状態とする撮像制御部とを備えた
撮像装置。
【請求項2】
当該撮像装置に装着されたレンズ装置の特性と、前記他の撮像装置に装着されたレンズ装置の特性の差を補正する情報を記憶する記憶部を備えた
請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像制御部は、当該撮像装置に装着されたレンズ装置が備えるレンズ制御部と通信を行い、その通信で得たレンズの設定値を、前記同期用端子部を介した通信で前記他の撮像装置へ通知する処理を行う
請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像制御部は、前記撮像処理部の設定状況についても、前記同期用端子部を介した通信で前記他の撮像装置へ通知する処理を行う
請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像制御部は、前記同期用端子部を介して接続された前記他の撮像装置に、フレーム同期信号又はフィールド同期信号をフレーム周期又はフィールド周期で伝え、
前記レンズの設定値及び前記撮像処理部の設定状況を、前記フレーム同期信号又は前記フィールド同期信号に付加する処理を行う
請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記レンズ装置の制御状態は、外部のコントローラから指示された設定値であり、外部から指示された設定値を、当該撮像装置に装着されたレンズ装置が備えるレンズ制御部に伝えると共に、前記同期用端子部を介して接続された前記他の撮像装置に通知する処理を行う
請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像制御部は、前記同期用端子部を介して接続された前記他の撮像装置と通信を行い、その通信で得たレンズの設定値を、当該撮像装置に装着されたレンズ装置が備えるレンズ制御部へ通知する処理を行う
請求項2記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像制御部は、前記同期用端子部を介して接続された前記他の撮像装置との通信で、撮像処理の設定状況についても取得し、取得した撮像処理の設定状況を前記撮像処理部に設定する処理を行う
請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
第1の撮像装置と第2の撮像装置とを通信可能に接続し、
前記第1の撮像装置と前記第2の撮像装置とで、同期したタイミングで撮像を行うと共に、
前記第1の撮像装置に装着されたレンズ装置の設定を、前記第1の撮像装置内の制御部で判断し、その判断したレンズ装置の設定を、前記第2の撮像装置に送信し、
前記第2の撮像装置が受信したレンズ装置の設定を、前記第2の撮像装置内の制御部の指示で、前記第2の撮像装置に装着されたレンズ装置の設定とする
撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−222570(P2012−222570A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85628(P2011−85628)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】