説明

撮像装置及び自動焦点調節方法

【課題】位相差AFを効率的かつ精度良く行う撮像装置および自動焦点調節方法を提供する。
【解決手段】撮像装置は、主要被写体検出手段120が焦点検出センサ115が焦点検出が可能な領域の全域A1内に主要被写体を検出した場合に主要被写体と全域が重なった領域Dを焦点検出センサの焦点検出領域に設定して位相差AFを行った後でTV−AFを行い、主要被写体検出手段が全域内に主要被写体を検出しない場合に位相差AFを行わずにTV−AFを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および自動焦点調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コントラスト方式を使用したオートフォーカス(以下、「TV−AF」と称する)と焦点検出センサを使用した位相差AFを組み合わせたハイブリッドAFを開示している。特許文献2は複数の被写体から主要被写体を決定する方法を開示している。特許文献3は、検出した人物の顔を焦点検出領域としてTV−AFを適用することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−251065号公報
【特許文献2】特開2002−51255号公報
【特許文献3】特開2003−107335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、位相差AFの焦点検出センサ(ラインセンサ)で焦点検出が可能な検出可能領域の全域を使用しようとすると、電荷蓄積時間や信号読出し時間により焦点検出に時間がかかるだけでなく制御手段に大きな負荷がかかる。また、焦点検出領域が主要被写体を含む複数の被写体を含む場合には焦点検出精度が低下する場合がある。
【0005】
本発明は、位相差AFを短時間で少ない負荷で精度良く行う撮像装置および自動焦点調節方法を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、一対の被写体像の位相差を検出する焦点検出センサの検出結果から得られる合焦位置にフォーカスレンズを移動して焦点調節を行う第1焦点調節手段と、撮像素子の出力信号を処理して得られるコントラスト値を表す評価値のピークに対応する合焦位置に前記フォーカスレンズを移動して焦点調節を行う第2焦点調節手段と、前記出力信号から主要被写体を検出する主要被写体検出手段と、前記主要被写体検出手段が検出した前記主要被写体が前記焦点検出センサが検出可能な検出可能領域内にある場合に前記主要被写体と前記検出可能領域が重なった領域を前記焦点検出センサの焦点検出のための焦点検出領域に設定して前記第1焦点調節手段による焦点調節後に前記第2焦点調節手段に焦点調節を行わせ、前記主要被写体が前記検出可能領域内にない場合に前記第1焦点調節手段による焦点調節を行わずに前記第2焦点調節手段に焦点調節を行わせる制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、位相差AFを短時間で少ない負荷で精度良く行う撮像装置および自動焦点調節方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施例の撮像装置のブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す焦点検出センサの検出原理を説明する図である。
【図3】図3は、撮影装置における自動焦点調節方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、図1に示す撮像装置の撮影領域、焦点検出センサの焦点検出領域、主要被写体領域の関係を示した概念図である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、図3のS406を説明するための図である。
【図6】図6は、図1に示す撮像装置の撮影領域、焦点検出センサの焦点検出領域、主要被写体領域の関係を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施例の撮像装置のブロック図である。本実施例の撮像装置は、レンズ装置(レンズユニット)がカメラ本体から着脱可能なデジタル一眼レフカメラであり、図1において、一対の一点鎖線で挟まれたマウントの左側がレンズ装置、右側がカメラ本体である。なお、本発明はレンズ装置とカメラ本体が一体型の撮像装置(デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ)にも適用可能である。
【0010】
レンズ装置は、撮像光学系(撮影レンズ)、アクチュエータ(ACT)109及び111、駆動回路110及び112、焦点検出センサ115、レンズマイクロコンピュータ(レンズマイコン)124を有する。
【0011】
撮像光学系は、被写体側から光軸方向に沿って順に、固定レンズ100、変倍レンズ101、光量調整を行う絞り102、固定アフォーカルレンズ103、フォーカスレンズ104を有する。なお、図1では、各レンズ100、101、103及び104は一つのレンズから構成されているが、実際には一つ又は複数のレンズを含むレンズユニットとして構成される。
【0012】
変倍レンズ101はステッピングモータやDCモータ等のACT109により光軸方向に駆動され、変倍を行う。駆動回路110はACT109に駆動電流を供給する。
【0013】
フォーカスレンズ104はステッピングモータやDCモータ等のACT111により光軸方向に駆動され、焦点調節を行う。フォーカスレンズ105は焦点調節機能と変倍による像面移動を補正するいわゆるコンペンセータ機能とを兼ね備えている。駆動回路112はACT111に駆動電流を供給する。
【0014】
焦点検出センサ(測距センサ)115は、撮像装置から被写体までの距離(被写体距離)を三角測距方式で検出するのに使用される。本実施例の焦点検出センサ115は、撮像光学系からの光を使用せずに位相差方式で焦点検出を行う外測センサであるが、本発明は焦点検出センサ115が撮像光学系からの光を使用して位相差方式で焦点検出を行う内測センサにも適用可能である。また、焦点検出センサ115は、検出が可能な検出可能領域に設定された焦点検出に使用される焦点検出領域において一対の被写体像の位相差(焦点ずれ量)を検出する。
【0015】
図2は、焦点検出センサ115の検出原理を説明する図であり、図2では焦点検出センサ115は一対の結像レンズ115a及び115bと、一対の光電変換センサアレイ(センサアレイ)115c及び115dを有する。各センサアレイには光電変換センサが複数並んで配置されており、CCD等の領域センサやラインセンサであるが、以下ではラインセンサとして説明する。CTは被写体の中心位置である。
【0016】
センサアレイ115aは結像レンズ115cと対応し、センサアレイ115bは結像レンズ115dと対応する。被写体像は、結像レンズ115a及び115bを介してセンサアレイ115c及び115dで検出される。
【0017】
焦点検出センサ115から位置CTまでの距離Lは、焦点検出センサ115の基線長をB、各結像レンズの焦点距離をf、センサアレイ115dを基準としたセンサアレイ115cの位相差をXとすると、L=B×f/Xで与えられる。また、この結果に基づいて距離Lまたは位相差Xを関数としたフォーカスレンズ104の合焦位置までの駆動量(繰り出し量)を求めることができる。
【0018】
A1は焦点検出センサ115が検出が可能な検出可能領域であり、説明のため、結像レンズでセンサアレイに結像される検出可能領域を被写体側に表記している。
【0019】
検出可能領域の全域において位相差を検出しようとすると、ラインセンサへの電荷蓄積時間やセンサ信号をレンズマイコン124に送信する転送時間かかるだけでなく、レンズマイコン124にも大きな演算負荷発生する。また、遠近が混在した被写体を焦点検出した場合に十分な精度を得ることができない。
【0020】
そこで、本実施例では、カメラマイコン125で検出した主要被写体の情報に基づいて検出可能領域に実際に焦点検出に使用される焦点検出領域を限定的に設定している。
【0021】
レンズマイコン124は、レンズ装置の各部を制御する制御手段(プロセッサ、CPU)である。レンズマイコン124は、焦点検出センサ115を有し、焦点検出センサ115の検出結果から得られる合焦位置にフォーカスレンズ104を移動して焦点調節を行う位相差AF手段(第1焦点調節手段)の一部を構成する。また、レンズマイコン124は、後述するように、位相差AF手段とTV−AF手段(第2焦点調節手段)の動作を制御する制御手段として機能する。なお、これらの機能を一部または全部はカメラマイコン125が担ってもよい。
【0022】
レンズマイコン124は、レンズマイコン124は、合焦判定手段117、フォーカス駆動信号発生手段118、焦点検出領域設定手段121、ズーム駆動信号発生手段122、ズーム情報検出手段123、距離演算手段128を有する。
【0023】
合焦判定手段117は、カメラマイコン125から受信した被写体像のコントラスト情報を用いてフォーカスレンズ104を移動させながら合焦したか否かの判定を行う。
【0024】
フォーカス駆動信号発生手段118はフォーカスレンズ104を駆動するための駆動信号を生成し、駆動回路112に供給する。
【0025】
焦点検出領域設定手段121は、焦点検出センサ115の焦点検出領域を検出可能領域内に設定する。
【0026】
ズーム駆動信号発生手段122は、カメラ装置のズーム操作スイッチ113のズーム操作情報に基づいてズーム駆動信号を生成し、駆動回路110に供給する。
【0027】
ズーム情報検出手段123は、ズーム情報(焦点距離情報)を検出する。
【0028】
距離算出手段128は、焦点検出センサ115からの出力信号を用いて被写体距離を算出する。
【0029】
カメラ装置は、撮像素子105、映像信号処理回路106、記憶装置107、表示装置108、ズーム操作スイッチ113、カメラマイクロコンピュータ(カメラマイコン)125を有する。
【0030】
撮像素子105は、CCDセンサやCMOSセンサにより構成される光電変換素子であり、撮像面に形成された光学像(被写体像)を光電変換して電気信号(映像信号または出力信号)に変換する。撮像素子105は、光電変換された電荷が蓄積され、所定のタイミングで映像信号処理回路106により、該電荷が読み出される。
【0031】
映像信号処理回路106は撮像素子105からのアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換の機能も有している。映像信号処理回路106では撮像素子105からの出力信号に対して所定の増幅やガンマ補正などの各種処理を施して映像信号を生成する。映像信号は液晶ディスプレイパネル等の表示装置108や、テープや磁気ディスク、フラッシュメモリ等の記録装置107、カメラマイコン125に出力される。
【0032】
ズーム操作スイッチ113はズーミング操作(変倍操作)を行う。
【0033】
カメラマイコン125は、カメラ装置の各部を制御する制御手段(プロセッサ、CPU)であり、レンズマイコン124と構成要素126a〜127dを介して通信する。
【0034】
127aはカメラマイコン125からレンズマイコン124に通信開始タイミングを知らせるための割込みラインであり、マウントを介してライン126aに接続されている。127bは同期式シリアル通信を行うためのクロック信号ラインであり、マウントを介してライン126bに接続されている。127cはクロック信号ライン127bのクロック信号のタイミングで各種データを送信するための送信データ信号ラインであり、マウントを介してライン126cに接続されている。127dはレンズマイコン側からのデータをカメラ側で受信するための受信データ信号ラインであり、マウントを介してライン126dに接続されている。
【0035】
カメラマイコン125は、コントラスト検出手段116、被写体検出手段119、主被写体判定手段120を有する。カメラマイコン125は、レンズマイコン124(の合焦判定手段117)と共に、コントラスト値を表す評価値のピークに対応する合焦位置にフォーカスレンズ104を移動して焦点調節を行うTV−AF手段(第2焦点調節手段)の一部を構成する。
【0036】
コントラスト検出手段116は、映像信号処理回路106から得た撮像素子105の出力信号を処理してコントラスト値(高周波成分)を表す評価値を生成する。
【0037】
被写体検出手段119は、撮像素子105の出力信号から人物や顔などの被写体を検出する。人物を検出する場合、例えば、移動物体を検出し、移動物体のシルエット形状から人物であるか否かを検出する方法がある。あるいは顔検出を行う場合、映像信号をエッジ強調することで、目・鼻・口の候補となる形状特徴点を検出し、予めカメラ制御CPUに記憶している平均顔の形状特徴点テンプレートと比較することで顔を検出する方法などがある。本実施例では、ボケた状態や低照度撮影時に、まず焦点検出センサ115を用い、その後TV−AFにより合焦位置を見つけるため、顔検出の場合にはボケた状態や低照度時の検出が困難な可能性がある。そのため、人物等の大まかな形を検出する被写体検出を用いる。
【0038】
主要被写体検出手段120は、得られた被写体が複数存在する場合に、色や大きさから主要被写体を検出し、得られた被写体が一つであれば、その被写体を主要被写体として検出する。このように、主要被写体検出手段120は、撮像素子105の出力信号から主要被写体を検出する。あるいは、撮影者が複数の被写体から主要被写体を指定してもよい。
【0039】
カメラマイコン125で検出された主要被写体の領域情報はレンズマイコン124に送信される。カメラマイコン125からレンズマイコン124に送信されるデータとしては、カメラ識別情報、コントラスト情報(AF評価値・焦点検出領域)、被写体領域情報、主要被写体領域情報、ズーム操作情報がある。レンズマイコン124からカメラマイコン125に送信されるデータとしては、レンズ識別情報、フォーカスレンズ位置情報、ズームレンズ位置情報、被写体距離情報がある。
【0040】
図3は、撮影装置における自動焦点調節方法(AF方法)を説明するためのフローチャートであり、SはStep(ステップ)の略である。図3のステップの全部または一部はコンピュータに各ステップを実行させるプログラムとして具現化可能である。
【0041】
まず、カメラマイコン125は、人物や顔といった被写体を公知の技術により検出し(S401)、画面内において被写体が存在する位置を表す被写体領域情報としてレンズマイコン124に送信する。
【0042】
次に、カメラマイコン125は、検出した複数被写体の中で主要被写体つまり撮影者がピントを合わせたいと思われる被写体を検出する(S402)。カメラマイコン125は、S401で検出した被写体が1つであれば、これを主要被写体とし、画面内において主要被写体が存在する位置を表す主要被写体領域情報としてレンズマイコン124に送信する。
【0043】
次に、レンズマイコン124は、受信した主要被写体領域情報から主要被写体が検出できたか否かを判断し(S403)、主要被写体を検出できなかったと判断した場合には(S403のNo)、TV−AFのみで合焦動作を行うため、フローはS410に移行する。
【0044】
このように、レンズマイコン124は、主要被写体検出手段120が主要被写体を検出しない場合には、位相差AF手段による焦点調節を行わずにTV−AF手段に焦点調節を行わせる。これは、主要被写体がない状態で焦点検出センサ115が検出可能領域の全域または一部において位相差検出を行うと焦点調節時間がかかり、焦点検出精度も低く、レンズマイコン124に負荷がかかるからである。
【0045】
一方、レンズマイコン124(のズーム情報検出手段123)は、主要被写体を検出できたと判断した場合には(S403のYes)、ズーム情報を検出する(S404)。ズーム情報とは焦点距離やズームレンズユニットの位置などの情報であり、焦点検出センサ115の焦点検出領域を決定する際に使用する。
【0046】
次に、レンズマイコン124は、検出可能領域内に主要被写体が位置するかどうかを判断する(S405)。このように、レンズマイコン124は、主要被写体検出手段120が主要被写体を検出した場合に、検出可能領域内に主要被写体を検出したかどうかを判断する(S405)。
【0047】
レンズマイコン124は、検出可能領域内に主要被写体があると判断すると(S405のYes)、その焦点検出領域設定手段121が画面内での主要被写体が位置する情報とズーム情報を用いて焦点検出センサ115の焦点検出領域を設定する(S406)。
【0048】
図4は、カメラ装置の撮影領域と焦点検出センサ115の焦点検出領域の関係を示す図である。A1、A2はそれぞれ、説明のために被写体側の像として表記した検出可能領域と実際に焦点検出に使用される焦点検出領域である。B1は検出した主要被写体領域、B2は検出した複数の被写体領域、Cは撮影領域である。
【0049】
図4に示すように、検出可能領域A1と主要被写体領域B1とが重なる領域が存在するため、その領域を焦点検出領域A2として設定することができる。
【0050】
図5(a)は、ズームが望遠(Tele)位置にある場合の主要被写体領域B11と検出可能領域A11の関係をxy座標系を用いて示している。(0,0)は撮影領域C11の原点である。(x1,y1)と(x2,y2)を含む点線内が主要被写体領域B11である。
【0051】
検出可能領域A11は撮影領域C11の原点を基準とした座標で示している。検出可能領域A11は(xT1,yT1)と(xT2,yT2)を含む実線で囲まれた範囲となる。座標(xT1,yT1)及び(xT2,yT2)はレンズ装置のテレ位置での焦点距離と焦点検出センサ115の焦点距離fから求めることができる。
【0052】
主要被写体領域B11と検出可能領域A11が重なる領域の頂点D1〜D4の座標は(x1,yT1)、(x2,yT1)、(x1,yT2)、(x2,yT2)となり、レンズマイコン124は焦点検出センサ115の焦点検出領域A21をこの領域に設定する。また、ラインセンサの場合、x軸方向の座標x1、x2が分かればどこのラインを用いて焦点検出を行えばよいかが分かる。
【0053】
図5(b)はズームが広角(Wide)位置にある場合の主要被写体領域B12と検出可能領域A12の関係をxy座標系を用いて示している。図5(a)と同様に、(0,0)は撮影領域C12の原点である。(x3,y3)と(x4,y4)を含む点線内が主要被写体領域B12である。
【0054】
検出可能領域A12は(xW1,yW1)と(xW2,yW2)を含む実線で囲まれた範囲となる。座標(xW1,yW1)及び(xW2,yW2)はレンズ装置のワイド位置での焦点距離と焦点検出センサ115の焦点距離fから求めることができる。
【0055】
主要被写体領域B12と検出可能領域A12が重なる領域の頂点D5〜D8の座標は(x1,yW1)、(x2,yW1)、(x1,yW2)、(x2,yW2)となり、レンズマイコン124は焦点検出センサ115の焦点検出領域A22をこの領域に設定する。
【0056】
説明を簡略化するためにテレ位置とワイド位置での焦点検出センサ115焦点検出領域の設定方法を説明したが、その中間の焦点距離位置でも同様に考えることで、検出可能領域に主要被写体領域を重ねることができる。
【0057】
このように、レンズマイコン124は、主要被写体が検出可能領域内にある場合に主要被写体と検出可能領域が重なった領域を焦点検出センサ115の焦点検出領域に設定する。これによって焦点検出精度を高め、レンズマイコン124の負荷を減らし、焦点検出時間を短縮することができる。
【0058】
次に、レンズマイコン124(の距離演算手段128)は、焦点検出センサ115の検出結果から主要被写体の距離を取得し(S407)、主要被写体までの距離からフォーカスレンズ104の駆動量を算出し(S408)。次に、レンズマイコン124は、フォーカス駆動信号発生手段118を用いてフォーカスレンズ104をS408の結果に従って合焦位置まで駆動する(S409)。この結果、フォーカスレンズ104は合焦位置付近に移動される(位相差AF)。
【0059】
その後、レンズマイコン124は合焦判定手段117を使用してTV−AFを実行する(S410)。TV−AFでは、合焦方向を判別するためのウォブリングを行ってから合焦方向に山登り駆動を行う。ウォブリングでは、フォーカスレンズを光軸方向に一定周期で微小往復移動させながらフォーカスレンズの移動の中心をAF評価値信号が大きくなる方向に動かす。
【0060】
このように、レンズマイコン124は、焦点検出センサ115の焦点検出領域を設定して位相差AF手段による焦点調節後にTV−AF手段に焦点調節を行わせる。このハイブリッドAFによって高速かつ高精度に焦点調節を行うことができる。
【0061】
一方、レンズマイコン124は、焦点検出領域内に主要被写体が位置しないと判断すると(S405のNo)、TV−AFのみで合焦動作を行うため、フローはS410に移行する。
【0062】
このように、レンズマイコン124は、主要被写体が検出可能領域内にない場合に位相差AF手段による焦点調節を行わずにTV−AF手段に焦点調節を行わせる。
【0063】
撮像光学系のズーム位置(焦点距離)や交換レンズ側に設ける焦点検出センサ115の位置によっては、焦点検出領域と撮影領域との視界のずれ(パララックス)が生じる可能性がある。
【0064】
図6は、パララックス及び焦点距離の関係から検出可能領域A1と主要被写体領域B1とが一致する部分が存在しない例を示している。このような場合に位相差を測定してしまうと、使用者が合焦させたい被写体にピントが合わなくなる可能性がある。従って、S405のNoの場合にはTV−AFのみを用いて合焦動作を実行する。
【0065】
以上、本実施例によれば、ハイブリッドAFにおいて、焦点検出センサ115への電荷蓄積時間やセンサ信号の転送時間を短縮し、制御手段の負荷を低減でき、更に、焦点検出精度が向上する。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
撮像装置は、被写体の撮像の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
115 焦点検出センサ
117 合焦判定手段
124 レンズマイコン(制御手段)
120 主要被写体検出手段
A1、A11、A12 検出可能領域
A2、A21、A22 焦点検出領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の被写体像の位相差を検出する焦点検出センサの検出結果から得られる合焦位置にフォーカスレンズを移動して焦点調節を行う第1焦点調節手段と、
撮像素子の出力信号を処理して得られるコントラスト値を表す評価値のピークに対応する合焦位置に前記フォーカスレンズを移動して焦点調節を行う第2焦点調節手段と、
前記出力信号から主要被写体を検出する主要被写体検出手段と、
前記主要被写体検出手段が検出した前記主要被写体が前記焦点検出センサが検出可能な検出可能領域内にある場合に前記主要被写体と前記検出可能領域が重なった領域を前記焦点検出センサの焦点検出のための焦点検出領域に設定して前記第1焦点調節手段による焦点調節後に前記第2焦点調節手段に焦点調節を行わせ、前記主要被写体が前記検出可能領域内にない場合に前記第1焦点調節手段による焦点調節を行わずに前記第2焦点調節手段に焦点調節を行わせる制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記主要被写体検出手段が前記主要被写体を検出した場合に、前記主要被写体検出手段が前記検出可能領域内に前記主要被写体を検出したかどうかを判断し、
前記制御手段は、前記主要被写体検出手段が前記主要被写体を検出しない場合に、前記第1焦点調節手段による焦点調節を行わずに前記第2焦点調節手段に焦点調節を行わせることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記主要被写体検出手段を有するカメラ装置に、前記主要被写体検出手段の検出結果を取得する前記制御手段を有するレンズ装置が着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
一対の被写体像の位相差を検出する焦点検出センサの検出結果から得られる合焦位置にフォーカスレンズを移動して焦点調節を行う第1焦点調節手段と、
撮像素子の出力信号を処理して得られるコントラスト値を表す評価値のピークに対応する合焦位置に前記フォーカスレンズを移動して焦点調節を行う第2焦点調節手段と、
前記出力信号から主要被写体を検出する主要被写体検出手段と、
を有する撮像装置に使用される自動焦点調節方法であって、
前記主要被写体検出手段が検出した前記主要被写体が前記焦点検出センサが検出可能な検出可能領域内にある場合に前記主要被写体と前記検出可能領域が重なった領域を前記焦点検出センサの焦点検出のための焦点検出領域に設定して前記第1焦点調節手段による焦点調節後に前記第2焦点調節手段に焦点調節を行わせ、前記主要被写体が前記検出可能領域内にない場合に前記第1焦点調節手段による焦点調節を行わずに前記第2焦点調節手段に焦点調節を行わせることを特徴とする自動焦点調節方法。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−158541(P2011−158541A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18036(P2010−18036)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】