説明

撮像装置

【課題】ディスプレイ部に表示された画像情報に基いて露出の手動設定が可能なデジタルスチルカメラやムービーカメラ等の撮像装置で、露出設定に最も必要な白とびや黒つぶれの情況を即座に把握できるよう視認性が改善された撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像された被写体像の画像信号の輝度成分から輝度レベルに対する出現頻度を表すヒストグラムを算出するヒストグラム算出手段12と、前記ヒストグラムに白とび閾値と黒つぶれ閾値を設けこの夫々の閾値を超える輝度成分の出現頻度を算出し、算出した夫々の値を画像表示部の一部に表示させる白とび黒つぶれ算出手段13とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に係り、特に露出の適否表示を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像装置として、CCDなどの撮像素子から得られる被写体画像をリアルタイムに表示したり、メモリカードや磁気テープに記録された被写体画像を再生表示できるディスプレイ部を備えたデジタルスチルカメラやムービーカメラが知られている。
特に撮像時には、撮影者はこのディスプレイ部に表示される被写体画像を見て構図や露出の適否などの撮影条件を確認している。
一般に、こうした撮像装置では、露出は自動設定で行われることが多いが、撮影者が意図的に設定できるように手動設定が可能な撮像装置も多く存在している。
【0003】
しかしながら、ディスプレイ部に表示される被写体画像では、小さい上に外来光の影響等でディスプレイ部の明るさが変わってしまい正確な露出の確認ができないことが多い。そこで、露出の状態を分りやすくするために、被写体画像の映像信号から輝度レベルの分布を算出し、図5に示すようなヒストグラムを作成して、このヒストグラム画像を被写体画像の一部に重ねて表示することで、撮影者の露出設定をしやすくする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−38801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の場合、表示されるヒストグラムは非常に多くの情報を含んでいるため、この画像から露出の判定に必要な情報を得るための分析を行う必要があり、特にヒストグラムの仕組みに詳しくない撮影者には、露出設定に最も必要な白とび(ハイライト部の階調の飽和)や黒つぶれ(シャドウ部の階調の詰まり)の情況が即座に把握しにくくいという欠点を有していた。そのため、素早く適切な露出の設定ができず意図した被写体画像が得られないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みなされたものであり、ディスプレイ部を有し、露出の手動設定が可能なデジタルスチルカメラやムービーカメラ等の撮像装置で、露出設定に最も必要な白とびや黒つぶれの情況を即座に把握できるよう視認性が改善された撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ディスプレイ部に表示された画像情報に基いて露出の手動設定が可能な撮像装置において、撮像された被写体像の画像信号の輝度成分から輝度レベルに対する出現頻度を表すヒストグラムを算出するヒストグラム算出手段と、前記ヒストグラムに白とび閾値と黒つぶれ閾値を設けこの夫々の閾値を超える輝度成分の出現頻度を算出し、算出した夫々の値を前記画像情報の一部に表示させる白とび黒つぶれ算出手段とを有することを特徴とする撮像装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮像された被写体像の画像信号の輝度成分から輝度レベルに対する出現頻度を表すヒストグラムを算出するヒストグラム算出手段と、前記ヒストグラムに白とび閾値と黒つぶれ閾値を設けこの夫々の閾値を超える輝度成分の出現頻度を算出し、算出した夫々の値を前記画像情報の一部に表示させる白とび黒つぶれ算出手段とを有しているので、ヒストグラムの仕組みに詳しくない撮影者であっても、露出設定に最も必要な白とびや黒つぶれの情況が即座に把握できるので素早く露出の手動設定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る撮像装置について、図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る撮像装置の一実施例を示すブロック図、図2は本発明に係る撮像装置のディスプレイ部に露出情報を表示した画像の図、図3はヒストグラム上の白とびと黒つぶれの閾値の設定を示す図、図4は露出補正をしたあとのヒストグラムの一例である。
【0010】
まず、図1および図2を用いて、本発明の実施形態に係る撮像装置の構成について説明する。なお、図1は、撮像装置の一例としてデジタルスチルカメラに本発明を適用した例である。
撮影レンズ1を通過し、自動および手動調整可能な絞り2を経て入来した被写体光は、CCD撮像素子3に入り電気信号に変換される。この電気信号は、次のA/D変換回路4でデジタル化され、次いで、DSP信号処理回路5に供給されてコンポーネント画像信号に生成される。生成された画像信号はメモリ6に一時保存されると共にJPEG圧縮エンコーダ7で所定のJPEG信号に圧縮生成される。このJPEG圧縮された画像信号は、外部インターフェース8を介して接続されている外部記憶メモリ9に供給されて記録保存されるようになる。
【0011】
前記DSP信号処理回路5で生成された画像信号は、表示ディスプレイ14にも供給され、これにより被写体画像がリアルタイムに表示される。このとき、表示画像には後述の白とび黒つぶれ算出回路13からの露出情報が重畳される。
【0012】
さらに、前記DSP信号処理回路5で生成された画像信号中の輝度信号成分が、ヒストグラム算出回路12にも供給されており、ヒストグラム算出回路12では、入力された輝度信号の明るさの分布状態を示すヒストグラムが算出される。このヒストグラムは、次いで白とび黒つぶれ算出回路13に供給され、後述の白とび閾値と黒つぶれ閾値を越える輝度信号成分の全輝度成分に対する比を算出して、その値を文字画像に生成し前記表示ディスプレイ14に出力する。
ここで、表示ディスプレイ14の表示画像の一例を図2に示す。この図においては、画面全体は前記被写体画像のリアルタイム画像であり、画面下方の(A)で示す部分に前記白とび黒つぶれ算出回路13で生成した文字画像が表示されている。
なお、表示される文字画像の大きさや位置はこの例に限らず任意である。
【0013】
図1に戻り、CPU10は、撮像装置100の全体の動作を制御するマイコンである。使用者がシャッターを押すなどの撮像装置100を操作したときには、操作部11からの操作入力信号がCPU10に入力されて所定の動作に制御されるようになる。
なお、前記ヒストグラム算出回路12や白とび黒つぶれ算出回路13の機能は、このCPU10が受け持つことも可能である。
【0014】
次に、図3および図4を用いて、本実施例における白とびと黒つぶれ情報の算出と露出の補正について説明する。
図3において、aは輝度信号のヒストグラムである。このヒストグラムは、8ビット(256階調)で構成されている輝度信号のレベルを画素毎に分類し、レベル別の画素数の分布を集計し表示したものである。
【0015】
bは白とび閾値の値を、cは黒つぶれ閾値の値を示したものであり、夫々の閾値はCCD撮像素子3のダイナミックレンジを基に、どの程度の白とびや黒つぶれを許容するかなどの経験的な判断を加えて設計時に設定する。
同図では、撮像時の露出がオーバーのために白とび閾値bを越える輝度信号成分が多いことを示している。同様に黒つぶれ閾値を越える(下回る)輝度信号成分も算出するが、同図ではその成分が存在していない。
この白とび閾値bあるいは黒つぶれ閾値cを越える輝度信号成分の画素数と全体の画素数の比を算出し夫々文字として表示したのが、前記図2の(A)部である。
【0016】
使用者は、この文字表示を見ることで現在の露出の情況を即座に把握できる。このとき、この表示は文字表示であるので、ディスプレイ画面の明るさや外来光の影響を受けずに読み取ることができる。
こうして現在の露出情況が把握できたら、使用者は撮像装置の絞り2を白とびの値が小さくなるように手動調整する。そして、白とびの値と黒つぶれの値のバランスが取れる位置に、あるいは、白とびと黒つぶれのどちらを重視するか等の好みで最終の絞り値を決定する。
図4は、使用者が手動で絞りを調整した後のヒストグラムが変化した状態を示した一例で、この図では、白とびの値と黒つぶれの値のバランスが取れる位置に調整している。
【0017】
なお、本実施例はデジタルスチルカメラについて説明したが、これに限ることなく、本発明はムービーカメラにも適用できるものである。また、本実施例では撮像素子にCCDを用いたが、これに限ることなくCMOS型に撮像素子でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る撮像装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る撮像装置のディスプレイ部に露出情報を表示した画像の図である。
【図3】ヒストグラム上の白とびと黒つぶれの閾値の設定を示す図である。
【図4】露出補正をしたあとのヒストグラムの一例である。
【図5】従来のヒストグラムの一例である。
【符号の説明】
【0019】
1…撮影レンズ
2…絞り
3…CCD撮像素子
4…A/D変換回路
5…DSP信号処理回路
6…メモリ
7…JPEG圧縮エンコーダ
8…外部インターフェース
9…外部記憶メモリ
10…CPU
11…操作部
12…ヒストグラム算出回路
13…白とび黒つぶれ算出回路
14…表示ディスプレイ
100…撮像装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ部に表示された画像情報に基いて露出の手動設定が可能な撮像装置において、
撮像された被写体像の画像信号の輝度成分から輝度レベルに対する出現頻度を表すヒストグラムを算出するヒストグラム算出手段と、
前記ヒストグラムに白とび閾値と黒つぶれ閾値を設けこの夫々の閾値を超える輝度成分の出現頻度を算出し、算出した夫々の値を前記画像情報の一部に表示させる白とび黒つぶれ算出手段と、を有することを特徴とする撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−266680(P2007−266680A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85295(P2006−85295)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】