説明

撮像装置

【課題】装置を大型化させずに、装置製造時の作業工程を表す情報やトレーサビリティ情報を管理することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】レンズ10によって集光された光を電気信号に変換する撮像素子11と、撮像素子11から得られた電気信号を映像信号として処理する信号処理部12と、少なくとも信号処理部12の設定情報を格納する不揮発性の記録媒体13と、信号処理部12によって処理された映像信号を出力するための映像出力端子15b、記録媒体13に記録させる情報を書き込むための第1端子15c、および、記録媒体13に記録された情報を読み出すための第2端子15dを有するコネクタ15と、を備えた撮像装置1において、第1端子15cは、工程履歴を表す工程履歴情報を入力し、信号処理部12は、工程履歴を表す工程履歴情報を記録媒体13に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に、車両に搭載され、車両周辺を撮像する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置製造時の作業工程を表す情報やトレーサビリティ情報を管理するものとして、1以上の作業工程およびその工程順と、各作業工程が作業済みか否かを示す作業状態フラグとを示した工程情報をICタグの記憶部に記憶し、各工程に設置される端末装置が、リーダライタで読み取ったICタグの作業工程と、その工程順と、各作業工程が作業済みか否かを示す作業状態フラグとを参照して、自身の作業工程よりも前の作業工程において、作業済みでない作業工程があると判断したとき、作業済みでない作業工程を表示装置へ出力するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、近年、車両の駐車時等に車両の後方、側方および前方の安全確認のために車両の周辺を撮像する撮像装置が知られている。この種の撮像装置は、後方のナンバープレート周辺、ドアミラー内およびフロントグリル内等の車両のデザインを損なわないように車両に搭載されている。このため、この種の撮像装置は、小型化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−212132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の技術を車両の周辺を撮像する撮像装置に適用すると、ICタグを撮像装置に設ける必要があり、装置が大型化してしまうといった課題があった。
【0006】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、装置を大型化させずに、装置製造時の作業工程を表す情報やトレーサビリティ情報を管理することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、集光するレンズと、集光された光を電気信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子から得られた電気信号を映像信号として処理する信号処理部と、少なくとも前記信号処理部の設定情報を格納する不揮発性の記録媒体と、前記信号処理部によって処理された映像信号を出力するための映像出力端子、前記記録媒体に記録された情報を書き込むための第1端子、および、前記記録媒体に記録された情報を読み出すための第2端子を有するコネクタと、を備えた撮像装置において、前記第1端子は、工程履歴を表す工程履歴情報を入力し、前記信号処理部は、前記第1端子を介して入力された工程履歴を表す工程履歴情報を前記記録媒体に格納する構成を有している。
【0008】
この構成により、本発明の撮像装置は、少なくとも信号処理部の設定情報を格納する不揮発性の記録媒体に工程履歴を表す工程履歴情報、すなわち、装置製造時の作業工程を表す情報やトレーサビリティ情報を格納することにより、工程履歴情報を管理するためのデバイスを別途に必要としないため、装置を大型化させずに、装置製造時の作業工程を表す情報やトレーサビリティ情報を管理することができる。
【0009】
なお、前記第1端子は、前記記録媒体に格納された工程履歴情報の要求を表す要求信号を入力し、前記信号処理部は、前記記録媒体に格納された工程履歴情報を前記要求信号に応じて前記第2端子を介して出力するようにしてもよい。
【0010】
この構成により、本発明の撮像装置は、装置製造時、装置出荷前および装置出荷後の問題発生時に、装置製造時の作業工程を表す情報やトレーサビリティ情報を確認させることができる。
【0011】
また、前記記録媒体には、正常な工程履歴を表す参照履歴情報がさらに格納され、前記第1端子は、原工程を表す原工程情報を入力し、前記信号処理部は、前記第1端子を介して入力された原工程情報と前記参照履歴情報とに基づいて、前記原工程より前の工程が正常に完了しているか否かを表す診断情報を生成し、前記第2端子は、前記診断情報を出力するようにしてもよい。
【0012】
この構成により、本発明の撮像装置は、装置製造時の各工程において、原工程より前の工程が正常に実行されていたか否かを確認させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、装置を大型化させずに、装置製造時の作業工程を表す情報やトレーサビリティ情報を管理することができるといった効果を有する撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る撮像装置のブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る撮像装置の動作を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明の一実施の形態としての撮像装置1は、集光するレンズ10と、集光された光を電気信号に変換する撮像素子11と、撮像素子11から得られた電気信号を映像信号として処理する信号処理部12と、少なくとも信号処理部12の設定情報を格納する不揮発性の記録媒体13と、各部に電源を供給するための電源供給部14と、信号処理部12によって処理された映像の出力、電力の入力、記録媒体13に記録させる情報の書き込みおよび記録媒体13に記録された情報の読み出しをそれぞれ行うための端子を有するコネクタ15とを備えている。
【0017】
撮像素子11は、例えば、CCDイメージセンサ (Charge Coupled Device Image Sensor) によって構成され、レンズ10によって集光された光を電気信号に変換するようになっている。
【0018】
信号処理部12は、例えば、撮像素子11から得られた電気信号を映像信号として、映像を矩形の映像に変換する座標変換処理、映像からノイズを除去するノイズ除去処理および映像の輝度を補正する輝度補正処理等の映像信号処理を実行するようにプログラミングされたDSP(Digital Signal Processor)によって構成され、映像信号処理が施された映像信号をコネクタ15を介して出力するようになっている。
【0019】
記録媒体13は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)によって構成され、信号処理部12が映像信号処理を実行するときに参照する設定情報が格納されている。
【0020】
電源供給部14は、コネクタ15を介して入力された電力を用いて、撮像素子11、信号処理部12および記録媒体13を機能させるための電力を供給するようになっている。
【0021】
コネクタ15は、外部から電力を入力するための電源端子15aと、信号処理部12によって処理された映像信号を出力するための映像出力端子15bと、記録媒体13に記録させる情報を書き込むための第1端子15cと、記録媒体13に記録された情報を読み出すための第2端子15dを有している。
【0022】
本実施の形態において、第1端子15cは、工程履歴を表す工程履歴情報を入力し、信号処理部12は、第1端子15cを介して入力された工程履歴を表す工程履歴情報を記録媒体13に格納するようになっている。
【0023】
ここで、工程履歴情報には、装置製造時の作業工程を表す情報やトレーサビリティ情報が含まれている。より具体的には、工程履歴情報には、既に完了した各工程を表す情報と、各工程に使用した部品のロット番号、各工程の責任者や担当者を表す識別番号、各工程に使用した治具や試験機を表す識別番号、各工程の開始日時や終了日時を表す情報および撮像装置1のシリアル番号等が含まれる。
【0024】
工程履歴情報は、撮像装置1のコネクタ15にケーブルを介して接続される工程管理装置2によって生成される。この工程管理装置2としては、各工程においてそれぞれ異なるものを用いる場合もあるが、一般的には、汎用的なコンピュータ装置によって構成される。
【0025】
また、第1端子15cは、記録媒体13に格納された工程履歴情報の要求を表す要求信号を入力し、信号処理部12は、記録媒体13に格納された工程履歴情報を要求信号に応じて第2端子15dを介して出力するようになっている。
【0026】
したがって、装置出荷時や装置出荷後の問題発生時に、撮像装置1を工程管理装置2に接続することにより、装置製造時の作業工程を表す情報やトレーサビリティ情報を工程管理装置2で確認させることができる。
【0027】
なお、記録媒体13には、正常な工程履歴を表す参照履歴情報がさらに格納され、第1端子15cは、原工程を表す原工程情報を入力し、信号処理部12は、第1端子15cを介して入力された原工程情報と参照履歴情報とに基づいて、原工程より前の工程が正常に完了しているか否かを表す診断情報を生成し、第2端子15dは、診断情報を出力するようにしてもよい。
【0028】
この場合には、撮像装置1を工程管理装置2に接続したときに、原工程より前の工程が正常に実行されていたか否かを工程管理装置2で確認させることができる。
【0029】
このように構成された撮像装置1について、図2を用いてその動作例を説明する。図2は、撮像装置1を製造する工程がSMD(Surface Mount Device)実装工程P1、本体組立工程P2、光軸調整工程P3および検査工程P4の4つの作業工程に分かれていた場合の例を示している。
【0030】
SMD実装工程P1は、プリント基板に部品を実装する工程である。また、本体組立工程P2は、SMD実装工程P1で部品が実装された基板Assy(assembly)を本体に組み込む工程である。
【0031】
光軸調整工程P3は、本体組立工程P2で組み上げられた撮像装置1の光軸を調整する工程である。検査工程P4は、光軸調整工程P3で光軸が調整された撮像装置1を出荷前に検査する工程である。
【0032】
撮像装置1または撮像装置1を構成する基板Assyは、SMD実装工程P1および本体組立工程P2において、各工程が完了する度に、工程管理装置2に接続され、各工程に関する工程履歴情報が記録媒体13に書き込まれる。
【0033】
また、撮像装置1は、光軸調整工程P3および検査工程P4において、各工程を実行するための試験機によって構成された工程管理装置2に接続され、各工程が完了する度に、各工程に関する工程履歴情報が記録媒体13に書き込まれる。
【0034】
また、本体組立工程P2、光軸調整工程P3および検査工程P4が実行される前、および、検査工程P4が実行された後の出荷前の各工程確認ステップS1乃至S4で、工程管理装置2によって各工程に関する工程履歴情報が記録媒体13から読み出され、各工程が完了しているか否かが確認される。
【0035】
例えば、撮像装置1が本体組立工程P2から検査工程P4に入った場合には、工程管理装置2によって光軸調整工程P3に関する工程履歴情報が記録媒体13から読み出されないため、光軸調整工程P3が実行されていないことが工程確認ステップS3で確認される。
【0036】
以上説明したように、本発明の一実施の形態としての撮像装置1は、少なくとも信号処理部12の設定情報を格納する不揮発性の記録媒体13に工程履歴を表す工程履歴情報、すなわち、装置製造時の作業工程を表す情報やトレーサビリティ情報を格納することにより、工程履歴情報を管理するためのデバイスを別途に必要としないため、装置を大型化させずに、装置製造時の作業工程を表す情報やトレーサビリティ情報を管理することができる。
【0037】
なお、本実施の形態において、信号処理部12の設定情報、工程履歴情報、要求信号および原工程情報が第1端子15cを介して入力されるものとして説明したが、本発明においては、信号処理部12の設定情報、工程履歴情報、要求信号および原工程情報がそれぞれ異なる端子から入力されるものとしてもよい。
【0038】
また、本実施の形態において、信号処理部12の設定情報、工程履歴情報および診断情報が第2端子15dを介して出力されるものとして説明したが、本発明においては、信号処理部12の設定情報、工程履歴情報および診断情報がそれぞれ異なる端子から出力されるものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかる撮像装置は、装置を大型化させずに、装置製造時の作業工程を表す情報やトレーサビリティ情報を管理することができるという効果を有し、例えば、車両に搭載され、車両周辺を撮像する撮像装置等として有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 撮像装置
2 工程管理装置
10 レンズ
11 撮像素子
12 信号処理部
13 記録媒体
14 電源供給部
15 コネクタ
15a 電源端子
15b 映像出力端子
15c 第1端子
15d 第2端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光するレンズと、
集光された光を電気信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子から得られた電気信号を映像信号として処理する信号処理部と、
少なくとも前記信号処理部の設定情報を格納する不揮発性の記録媒体と、
前記信号処理部によって処理された映像信号を出力するための映像出力端子、前記記録媒体に記録させる情報を書き込むための第1端子、および、前記記録媒体に記録された情報を読み出すための第2端子を有するコネクタと、を備えた撮像装置において、
前記第1端子は、工程履歴を表す工程履歴情報を入力し、
前記信号処理部は、前記第1端子を介して入力された工程履歴を表す工程履歴情報を前記記録媒体に格納することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1端子は、前記記録媒体に格納された工程履歴情報の要求を表す要求信号を入力し、
前記信号処理部は、前記記録媒体に格納された工程履歴情報を前記要求信号に応じて前記第2端子を介して出力することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記記録媒体には、正常な工程履歴を表す参照履歴情報がさらに格納され、
前記第1端子は、原工程を表す原工程情報を入力し、
前記信号処理部は、前記第1端子を介して入力された原工程情報と前記参照履歴情報とに基づいて、前記原工程より前の工程が正常に完了しているか否かを表す診断情報を生成し、
前記第2端子は、前記診断情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−227653(P2011−227653A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95990(P2010−95990)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】